JP3289929B2 - 走査機構及びこれを用いた走査型顕微鏡及び記録再生装置 - Google Patents

走査機構及びこれを用いた走査型顕微鏡及び記録再生装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、走査機構及びこれを用
いた走査型顕微鏡及び記録再生装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、導体の表面原子の電子構造を直接
観察できる走査型トンネル顕微鏡(以下、STMと云
う)が開発され[G.Binning et al.Phys.Rev.Lett,49,5
7(1982)]、単結晶、非晶質を問わず実空間像の高い分解
機能の測定ができるようになり、しかも試料に電流によ
る損傷を与えずに低電力で観測できる利点も有し、更に
大気中でも作動し、種々の材料に対して用いることがで
きるため広範囲な応用が期待されている。
【0003】STMは金属製の探針から成るプローブ電
極と導電性物質間に電圧を加えて1nm程度の距離まで
近付けると、トンネル電流が流れることを利用してい
る。この電流は両者の距離変化に非常に敏感であり、ト
ンネル電流を一定に保つように探針を走査することによ
り、実空間の全電子雲に関する種々の情報をも読取るこ
とができる。このとき、面内方向の分解能は0.1nm
程度である。
【0004】また、STMの原理を応用してサブnmの
原子オーダでの高密度記録再生を行うことも可能であ
る。例えば、特開昭61−80536号に開示されてい
る記録再生装置では、電子ビーム等によって媒体表面に
吸着した原子粒子を取り除いて書き込みを行い、STM
によりこのデータを再生している。
【0005】記録層として電圧電流のスイッチンング特
性に対してメモリ効果を持つ材料、例えばπ電子系有機
化合物やカルコゲン化合物類の薄膜層を用いて、記録・
再生をSTMにより行う方法が、例えば特開昭63−1
61552号公報、特開昭63−161553号公報に
提案されている。この方法によれば、記録のビットサイ
ズを10nmとすれば、1012ビット/cm2 もの大容
量の記録再生が可能である。
【0006】ところで、実際の装置として走査型トンネ
ル顕微鏡或いは記録再生装置を構成する場合に、試料と
プローブ電極或いは記録層とプローブ電極との間の間隔
をトンネル電流が流れる距離に維持し、プローブ電極を
走査する機構が必要である。従来からプローブ電極の走
査機構として、平行板ばねと積層型ピエゾ素子で構成し
たステージや、分割電極を有した円筒型のピエゾ素子等
が用いられている。
【0007】一方、最近では走査周波数の高速化が要求
されている。即ち、STMにおいては短時間で像観察を
行ってステージ温度ドリフトの影響による像歪を除去し
たり、試料の表面状態の反応現象をリアルタイムで高速
に観察するなどの要求があり、記録再生装置においては
データの記録再生速度を高速化する上で必要である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来の走
査機構を用いて、そのまま走査周波数を上げると走査機
構が持つ共振点での共振現象の影響が無視できなくな
る。特に、XY方向二次元走査を行う場合に、走査周波
数の高いX軸方向の往復走査の折り返して生ずる高次の
周波数成分が走査機構の共振を引き起こし、この振動が
走査変位を変調してSTM像を乱したり、記録再生エラ
ーを発生したりする。
【0009】例えば、平行ばねと積層ピエゾ素子を用い
た走査機構では、共振周波数は通常のSTMで用いられ
ている構成で1〜8kHz程度の値を持っている。このと
き、STMの画像に共振点の影響なく動作できる最大の
走査周波数は約10Hz程度である。また、可動部分を軽
量化できる円筒型ピエゾ素子を用いた走査機構では、共
振周波数は10〜50kHzであり、このときのSTMに
おける最大走査周波数は100Hz程度である。
【0010】一方、リアルタイムでSTM像を観察する
場合には、試料の反応現象等の時間変化を測定する要求
から、走査周波数は1kHz以上は必要とされる。また、
記録再生装置に応用する場合は、応用する製品により異
なるが1Mbps のビットレートを得るためには5kHz以
上の走査周波数が必要である。
【0011】この問題点を解決するため、走査機構を小
型化及び軽量化して剛性を高くすることにより、共振周
波数を上げることが行われている。また、往復走査の折
り返しで生ずる高次の周波数成分を無くするため、折り
返し点で滑らかな走査をすることが行われている。
【0012】しかし、上述の走査速度を得るためには、
走査機構の共振点の近傍の周波数で駆動することにな
り、このような状況では走査駆動波形の僅かな歪でも共
振周波数での不整振動を起こすことになる。即ち、非常
に歪率の小さい正弦波で駆動を行っても、ピエゾ素子の
ヒステリシス或いはクリープ現象のため完全な正弦波駆
動は行えず走査に乱れが生ずる。
【0013】更に、外部から混入する振動性の雑音が走
査機構の共振点での振動を引き起こすため、走査機構の
共振周波数近傍において特に減衰の大きい除震機構が必
要となる。
【0014】本発明の目的は、振動体が安定な共振振動
を行い、走査機構の装置構成及び構成部材の特性から得
られる最高の周波数で走査し得る走査機構及びこれを用
いた走査型顕微鏡及び記録再生装置を提供することにあ
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めの請求項1に係る発明は、一軸方向に運動を拘束した
振動体と、該振動体の運動方向の変位又は速度を検出す
る検出手段と、該検出手段の検出信号を増幅し前記振動
体を加振する手段とから成り、該加振する手段が前記振
動体をその共振周波数でかつ一定振幅で振動させるよう
にフィードバック制御を行うことを特徴とする走査機構
である。
【0016】また、請求項2に係る発明は、試料表面を
プローブを用いて走査機構により相対的にXY走査し、
前記試料表面と前記プローブとの間の物理的相互作用に
より前記試料表面の形状或いは又は電子状態を検知する
走査型顕微鏡において、前記XY走査の少なくとも一方
の軸の走査機構を請求項1に記載の走査機構により構成
したことを特徴とする走査型顕微鏡である。
【0017】
【課題を解決するための手段】また、請求項3に係る発
明は、記録媒体の表面をプローブを用いて走査機構によ
り相対的にXY走査し、前記記録媒体と前記プローブと
の間の物理的相互作用により前記記録媒体上にデータを
記録及び/又は再生する記録再生装置において、前記X
Y走査の少なくとも一方の軸の走査機構を請求項1に記
載の走査機構により構成したことを特徴とする記録再生
装置である。
【0018】
【作用】上述の構成を有する走査機構及びこれを用いた
走査型顕微鏡及び記録再生装置は、振動体を用いて、走
査機構が持つ固有振動数を利用して高速な走査を行う。
【0019】
【実施例】本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明
する。本発明に係る走査機構は共振Q値の高い振動体
と、該振動体の共振振動に位相同期した発振器とで構成
している。この構成により、振動体が安定な共振振動を
行い、走査機構の装置構成及び構成部材の特性から得ら
れる最高の周波数で走査することができる。
【0020】図1は走査機構の構成図を示し、支持部材
1に支持されX方向のみ運動が許されるように、運動方
向が拘束されていて共振Q値が高くなるように構成され
た振動体2の先端に、プローブ電極3が先端を振動方向
と直交する方向に向けて固定されている。発振器4は振
動体2の共振周波数近傍の周波数の発振を行い、この発
振エネルギを振動体2に伝達し駆動する。検出器5は振
動体2のX方向の変位又は速度を検出し、発振器4の駆
動波形と位相の比較を行い、発振器4の発振周波数と振
動体2の共振周波数との偏差を計測する。この装置の外
容器6は、除震機構7を介して内部の構成部品を支持し
ている。なお、8は外来振動の雑音源である。
【0021】振動体2は発振器4から送られるエネルギ
により振動を起こす。検出器5は振動の変位又は速度を
検知し、発振周波数と振動体2の共振周波数の偏差を零
とするように発振器4の発振周波数を調整することによ
り、振動体2は自己の固有振動数で最大振幅の振動を起
こす。このとき、発振器4が振動体2に注入するエネル
ギに対するプローブ電極3の変位量つまり走査振幅の比
が最大であり、最も駆動効率の高い状態となる。
【0022】上記の一連の動作は個別の機能ブロックを
構成して実現することができる。また、振動体2を回路
ループに含ませ、振動体2、発振器4、検出器5が1つ
の共振回路となるように構成してもよい。
【0023】外容器6に対しこれらの構成部品を支持す
る除震機構7は、振動体2のQ値の分だけ見掛け上の除
震利得を向上する。即ち、外来雑音源の発生する雑音
のうち、問題となるのは振動体2の共振周波数以下の周
波数であり、更に振動体2がこの雑音により摂動を受け
る感度は走査周波数での感度の1/Qである。
【0024】図2、図3及び図4は第2の実施例による
走査機構を示している。図2はXYステージのX方向の
駆動機構部分の平面図を表し、図3は図2のA−A’に
沿った断面図である。試料を設置する試料台10は、支
持部材11に一端を固定された平行ヒンジ12により運
動方向を拘束された振動体であるステージ13上に固定
され、ステージ13に振動エネルギを与えるピエゾ素子
14を介して錘15aに結合され、ステージ13の変位
を検知するピエゾ素子16を介して錘15bに結合され
ている。
【0025】ステージ13はピエゾ素子14が伸張と収
縮を反復することにより振動する。錘15aはステージ
13よりも大きな慣性質量を持っており、ピエゾ素子1
4の伸張・収縮振動のエネルギは殆どステージ13に伝
達する。また、ステージ13の振動は同時にピエゾ素子
16に伝えられる。ピエゾ素子16も一端を錘15bで
支持されているので、慣性質量の大きな差によりこのス
テージ13の振動は殆どピエゾ素子16を伸張・収縮さ
せることに使用される。
【0026】この走査機構を最初に起動する時は錘15
a、15bは静止している。ピエゾ素子14に発振電圧
を加えると、上述したようにステージ13が振動を始め
る。ピエゾ素子16を用いてステージ13の振動状態を
検出し、ピエゾ素子14の駆動位相とピエゾ素子16の
検出位相の位相差が振動体ステージ13の共振条件とな
るように駆動の発振周波数を制御する。この走査機構が
共振動作状態になると錘15a、15bも振動を始め、
ステージ13と錘15a、15bは殆ど同相で変位する
ようになる。このときの振動は非常に安定で、ピエゾ素
子14から供給される振動エネルギは最小となる。
【0027】図4はこの走査機構を制御する回路のブロ
ック構成図を示し、図示しないピエゾ素子16の出力は
検出増幅器20に入力され、検出増幅器20の出力は位
相調節器21の入力に接続されている。位相調節器21
の出力は位相検波器22に入力され、その出力はローパ
スフィルタ23を介して電圧制御型発振器24の発振周
波数制御入力端に接続されている。発振出力調整回路2
5には検出増幅器20の出力がダイオードD、抵抗R、
コンデンサCで構成された整流回路26を介して接続さ
れ、発振器24の出力側に接続された可変抵抗27を調
節するようになっている。また、発振器24の出力は可
変抵抗27を介してドライバ28に入力され、ドライバ
28の出力はピエゾ素子14と位相検波器22の他方の
入力に接続されている。
【0028】ここで、発振器24で発振した出力は可変
抵抗27でレベル調整された後に、ドライバ28を介し
てピエゾ素子14を駆動する。一方、ピエゾ素子16で
検出された電圧は検出増幅器20で増幅された後に、位
相調節器21において共振条件となる位相差が得られる
ように移相する。移相された信号は位相検波器22によ
りピエゾ素子14の駆動信号の位相とで位相検波が行わ
れ、検波出力はローパスフィルタ23を介して発振器2
4の発振周波数制御端に入力する。
【0029】このような回路ループにより発振器24は
走査機構の振動体の共振条件となるように、ピエゾ素子
14、16の駆動/検出の位相差を検知して、振動体で
あるステージ13の共振周波数に同期した発振を行う。
更に、ステージ13の振動の振幅を安定させるために振
動振幅安定化回路が構成されている。つまり、ピエゾ素
子16で検出した振動電圧は整流回路26によりステー
ジ13の振動振幅に変換される。この振動振幅を表す電
圧を基準電圧Vstdと比較し、これらの差がなくなるよう
に発振調整回路25を用いて可変抵抗27を変化させ
る。
【0030】本実施例の構成によると、次のような効果
が生ずる。 (1) ピエゾ素子14が運動エネルギを蓄積する錘15a
と弾性体であるヒンジ付きステージ13との間に挟持さ
れているため、振動の位相制御が正確に行える。 (2) 錘15aに蓄積された運動エネルギと平行ヒンジ1
2に蓄えられたポテンシャルエネルギとの間のエネルギ
交換の損失が小さい。従って、共振動作状態では駆動ピ
エゾ素子14に供給する電力は小さくて済む。 (3) 駆動/検出素子を取り付けてもステージ13のQ値
が下がらない。
【0031】図5、図6及び図7は第3の実施例による
走査機構を示し、図5はプローブ電極をX方向に往復走
査する機構の平面図、図6は図5のB−B’に沿った断
面図である。プローブ電極3は一端が支持部材30に固
定支持されてX方向に振動ができるような片持ち梁31
の先端に取り付けられている。片持ち梁31の先端近傍
に永久磁石32が取り付けられており、その磁極近傍で
検出コイル33が支持部材11に固定され、振動体であ
る片持ち梁31が変位すると検出コイル33の磁界が変
化する。また、同様にこの永久磁石32は駆動コイル3
4のコアにもなっており、駆動コイル34に電流を流す
ことによって片持ち梁31に運動エネルギを与えること
ができる。
【0032】この走査機構を駆動するには、検出コイル
33に発生する電流を増幅してその出力を駆動コイル3
4に戻す閉回路を用いる。閉回路の増幅の位相遅れ及び
時定数を片持ち梁31の共振周波数での発振条件とする
ことで安定な発振が行える。
【0033】図7は図5の走査機構を駆動する回路を示
し、正電圧Vcc は駆動コイル34のセンタタップに接続
され、駆動コイル34の両端はそれぞれエミッタ接地さ
れたトランジスタQ1、Q2のコレクタに、また検出コイル
33の両端はそれぞれベースに接続され、検出コイル3
3のセンタタップはバイアス用の抵抗Rを介して正電圧
Vcc に接続されている。この回路は所謂ロイヤーの回路
とほぼ同じ構成になっているが、違いは発振トランスの
コアが振動体となっていることである。
【0034】このトランスのコアは永久磁石32であ
り、駆動コイル34に電流を流すことによって永久磁石
32を変位させると、その変位量により検出コイル33
に起電力が発生する。この起電力により、トランジスタ
Q1、Q2のうち起電力の極性で決まる何れか一方にベース
電流が流れ、それが増幅されて駆動コイル34に電流が
流れる。永久磁石32は片持ち梁31の固有振動数で動
くので、この回路を用いることにより片持ち梁31の共
振周波数に同期した発振をさせることができる。
【0035】発振の周波数を決定しているのは片持ち梁
31の共振周波数であり、駆動コイル34のコアは振動
する永久磁石32であるため、一度安定な発振状態にな
るとこの回路は殆ど電力を消費しなくなる。
【0036】本実施例によると、次のような効果があ
る。 (1) 簡単な回路構成及び機構により構成されているので
小型にできる。 (2) 振動体の機構が単純であるので、共振点を高く設計
することが容易である。 (3) 電力を殆ど消費しない。
【0037】図8は第2の実施例の走査機構を用いたS
TMの実施例を示す。バイアス電源Vbが接続されている
試料40は第1の実施例と同等の構成のX軸方向の走査
ステージ41に取り付けられ、走査ステージ41にはX
走査回路42が接続されている。走査ステージ41を支
持しY軸方向に走査するY走査機構43はY走査回路4
4により駆動される。これらの走査手段はプローブ電極
試料40XY面内で相対的に二次元走査させるた
めに用いられる。
【0038】アクチュエータ46にZ方向に移動自在に
支持され、試料40に対向したプローブ電極3に、電流
増幅器47の入力端が接続され、電流増幅器47の出力
にはローパスフィルタ48を介してコンパレータ49の
正入力が接続されている。コンパレータ49の負入力に
は基準電圧Vrefの正極が接続され、コンパレータ49の
出力は位相補償用のRC回路50及びドライバ51を介
してアクチュエータ46に入力されている。X走査回路
42及びY走査回路44の出力は画像表示装置52にも
入力され、画像表示装置52にはまたスイッチSWを介し
て電流増幅器47又はRC回路50の出力が接続されて
いる。
【0039】Z位置制御はプローブ電極3が検出するト
ンネル電流の平均値が一定値となるように以下の手順で
行われる。即ち、プローブ電極3が試料40の表面にn
mオーダまで近付くと、バイアス電源Vbにより試料40
の表面とプローブ電極3との間にトンネル電流が流れ
る。このトンネル電流を電流増幅器47で増幅し電圧に
変換する。更に、この電圧からローパスフィルタ48で
低域信号を抽出し、コンパレータ49において基準電圧
Vrefと比較する。トンネル電流値が基準電圧Vrefを越え
た場合には、プローブ電極3が試料40の表面から離れ
る方向にアクチュエータ46が駆動される。トンネル電
流が基準電圧Vrefより減少した場合には、プローブ電極
3が試料40表面に接近する方向にアクチュエータ46
が駆動される。このとき、コンパレータ49の出力側に
あるRC回路50はフィードバックの位相を補償する。
【0040】画像表示装置52はX方向走査ステージ4
1及びY走査機構43により試料40を二次元走査した
とき、トンネル電流像と呼ばれるトンネル電流の変化、
或いはプローブ電極3のZ方向の変位量を示すトポグラ
フ像の何れかを二次元画像として表示する。何れの情報
を表示するかは切換スイッチSWにより選択する。
【0041】本発明による高速走査機構はトンネル電流
像の観察を行う場合のSTMに特に有用である。即ち、
平滑な試料の原子配列状態を高速で観察することがで
き、表面の吸着の過程、結晶成長過程などの観察に適し
ている。
【0042】本実施例のSTMは次のような長所を有す
る。 (1) 高速な走査を行い、かつ広い走査領域を観察するこ
とができる。 (2) XYZ各軸の走査機構に高速走査による寄生振動を
発生することがないので、鮮明な観察画像が得られる。 (3) プローブ電極3の折返し走査が正確な正弦波となる
ので、折返し点におけるノイズ等によるフィールドバッ
クの乱れから生ずる観察像の歪がない。
【0043】図9は第3の実施例の走査機構をX軸走査
機構60及びX走査回路61に用いた記録再生装置の実
施例を示し、X軸走査機構60にはZ軸方向の駆動アク
チュエータ46を介してプローブ電極3が取り付けられ
ている。記録媒体62上には複数個のトラッキングパタ
ーン63が形成されており、それぞれトラック番号によ
り識別されるようになっている。記録媒体62をY軸方
向に走査するY走査機構64に支持されたステージ65
は、プローブ電極3とトラッキングパターン63とのX
方向の相対位置を制御する。つまり、トラッキング位置
を補正するステージ65に支持された基台66により
記録媒体62が支持されている。Y走査機構64はY走
査回路44の出力により駆動される。
【0044】X走査回路61の出力はX軸走査機構60
及びステージ65を駆動するトラッキング制御回路67
に接続されている。電流増幅器47の出力はデータ読出
し回路68、コンパレータ69の正入力にも接続され、
コンパレータ69の負入力は基準電圧Vtに接続されてお
り、コンパレータ69の出力はトラッキング制御回路6
7及びデータ読出し回路68、データ書込み回路70に
入力されている。また、データ書込み回路70の出力は
書込み変調器71及びコンデンサCiを介してプローブ電
極3に出力する。
【0045】プローブ電極3と記録媒体62の表面との
間の間隔制御は第4の実施例のSTMと同様に行う。即
ち、電流増幅器47、ローパスフィルタ48、コンパレ
ータ49、RC回路50及びドライバ51で形成される
フィードバック回路により、プローブ電極3と記録媒体
62間に流れるトンネル電流の平均値が一定となるよう
な制御が行われる。
【0046】データの記録再生は記録媒体62上のトラ
ッキングパターン63を基準にして行われる。プローブ
電極3で検出され、電流増幅器47で電圧に変換された
トンネル電流信号はコンパレータ69により基準電圧Vt
と比較される。プローブ電極3がトラッキングパターン
63上を走査すると基準電圧Vtよりも小さいトンネル電
流信号を発生するため、コンパレータ69の出力からプ
ローブ電極3がトラッキングパターン63を通過したと
きのタイミング検知される。このタイミング信号とト
ンネル電流信号とからデータ読出し動作を行い、このタ
イミング信号を基準にデータの書込み動作を行う。ま
た、このタイミング信号を用いてトラッキング制御回路
67により、プローブ電極3の記録媒体62上のX走査
領域が正しくトラッキングパターン63上を追跡するよ
うに制御する。
【0047】図10は記録媒体62上のプローブ走査の
軌跡を示し、トラッキングパターン63はY軸に平行に
直線状に形成され、プローブ電極3の軌跡TrはX軸方向
の振動の端部近くでトラッキングパターン63上を通っ
ている。軌跡Tr上に複数のデータビットDbが形成されて
いる。プローブ電極3は記録媒体62上に形成されたト
ラッキングパターン63に沿ってX方向に往復走査しな
がらY方向に走査してゆく。即ち、X走査の左端がトラ
ッキングパターン63となるように、ステージ65を制
御しながらY方向に進み記録再生を行う。
【0048】本実施例の記録再生装置によると、次のよ
うな効果がある。 (1) X方向の高速走査によりデータの記録再生のビット
レートが向上する。 (2) 正弦波駆動となるためX走査の折返し点でのノイズ
の発生がなくなり、トラッキングパターンの追跡動作が
容易となる。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように本発明によると、歪
無く高速にプローブと記録媒体又は試料を相対的に走査
することができ、また走査機構が持つ固有振動数を利用
するので極めて高速な走査が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例の走査機構の構成図である。
【図2】第2の実施例の走査機構の平面図である。
【図3】図2のA−A’断面図である。
【図4】図2の走査機構を駆動する回路のブロック回路
構成図である。
【図5】第3の実施例の走査機構の平面図である。
【図6】図5のB−B’断面図である。
【図7】図5の走査機構を駆動する回路の回路図であ
る。
【図8】第2の実施例の走査機構を用いたSTM装置の
ブロック回路構成図である。
【図9】第3の実施例の走査機構を用いた記録再生装置
のブロック回路構成図である。
【図10】図9における記録媒体上のプローブ電極の軌
道を表す説明図である。
【符号の説明】
2 振動体 3 プローブ電極 4 発振器 5 検出器 10 試料台 13、65 ステージ 14、16 ピエゾ素子 15a、15b 錘 31 片持ち梁 32 永久磁石 33 検出コイル 34 駆動コイル 40 試料 62 記録媒体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山野 明彦 東京都大田区下丸子三丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 紫藤 俊一 東京都大田区下丸子三丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−148007(JP,A) 特開 昭63−161552(JP,A) 特開 昭63−161553(JP,A) 特開 平2−285203(JP,A) 特開 平2−142048(JP,A) 特開 平2−263101(JP,A) 特開 昭63−309803(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 13/10 - 13/24 G02B 26/00 - 26/12 G11B 9/00 - 9/14 JICSTファイル(JOIS)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一軸方向に運動を拘束した振動体と、該
    振動体の運動方向の変位又は速度を検出する検出手段
    と、該検出手段の検出信号を増幅し前記振動体を加振す
    る手段とから成り、加振する手段が前記振動体をそ
    共振周波数でかつ一定振幅で振動させるようにフィード
    バック制御を行うことを特徴とする走査機構。
  2. 【請求項2】 試料表面をプローブを用いて走査機構に
    より相対的にXY走査し、前記試料表面と前記プローブ
    との間の物理的相互作用により前記試料表面の形状或い
    は電子状態を検知する走査型顕微鏡において、前記XY
    走査の少なくとも一方の軸の走査機構を請求項1に記載
    の走査機構により構成したことを特徴とする走査型顕微
    鏡。
  3. 【請求項3】 記録媒体の表面をプローブを用いて走査
    機構により相対的にXY走査し、前記記録媒体と前記プ
    ローブとの間の物理的相互作用により前記記録媒体上に
    データを記録及び/又は再生する記録再生装置におい
    て、前記XY走査の少なくとも一方の軸の走査機構を請
    求項1に記載の走査機構により構成したことを特徴とす
    る記録再生装置。
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