JP3287411B2 - 気相沈積方法および装置 - Google Patents

気相沈積方法および装置

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は光導波路ファイバに関し、特にこの種のファ
イバを製造し得る金属酸化物をドープされたプリフォー
ムを作成するための改良された方法に関する。
技術的に公知のように、光導波路ファイバは屈折率の
高いコアと、それを包囲した屈折率の低いクラッドより
なる。ファイバの種類およびそれの所望の性能特性に応
じて、ファイバの断面における半径方向の屈折率分布が
単純であったり複雑であったりする。例えば、シングル
モードのファイバでは単純なステップ状の屈折率分布と
なっていて、コア内の屈折率は実質的に均一であり、コ
アとクラッドの境界で屈折率が急激に低下している。他
方、高帯域幅マルチモードファイバを作成するために
は、ファイバコア内にほぼ放物線状の屈折率分布を形成
してモード間の分散を最小限に抑えるようにする必要が
ある。この点についてはReviews of Modern Physics,Vo
l.15,No.2,1979年4月号、341〜367ページにおけるR.Ol
shanskyの“Propagation in Glas Optical Waveguides"
を参照されたい。
光導波路ファイバは種々の公知技術によって作成する
ことができる。本発明は多孔質のスートプリフォームを
形成しそしてそれをコンソリデート(consolidate)さ
せる技術に関する。さらに詳細には、本発明はプリフォ
ームを作成するための気相沈積スートレイダウン技術に
関係している。
気相沈積技術で作成されたプリフォームは通常、所望
の屈折率分布を与えるために少なくとも1つの金属また
はメタロイド酸化物(ここでは一般的に金属酸化物と呼
ぶ)を選択的にドープされた二酸化ケイ素(SiO2)で構
成されている。今日商業的に使用されている好ましい金
属酸化物ドーパントは二酸化ゲルマニュウムであるが、
酸化チタン、酸化タンタル、酸化ランタン、酸化アンチ
モン、酸化アルミニュウムのような金属酸化物や、金属
酸化物の混合物もドーパントとして用いることができ
る。金属酸化物ドーパントは光導波路ファイバを作成す
るのに用いられる原材料のうちでも高価な材料の一つで
あるから、ドーパントが損失を最小限に抑えてプリフォ
ームに効果的に添加されるようにすることが重要であ
る。
気相沈積技術の1つである外付け気相沈積すなわちOV
Dによれば、バーナでSiCl4およびGeCl4のようなハロゲ
ン化物材料を酸化しかつ/または加水分解してスート粒
子が形成される。回転するマンドレルの長さに沿ってバ
ーナを往復移動させることによってそのスート粒子から
プリフォームが形成される。例えば米国特許第4298365
号を参照されたい。マンドレルとバーナとの間の距離
は、バーナが1回通過する毎に薄い層をなしてマンドレ
ル上にスート粒子が収集されるように選択される。バー
ナに供給されるハロゲン化物の量は、半径とともに変化
するドーパント濃度をプリフォームを生じさせるように
スートレイダウン工程時に調節される。このドーパント
濃度分布は、完成したファイバが所望の屈折率分布を有
しているように選択される。
OVD法のようなスートレイダウン法で用いられるバー
ナは多数のオリフィスまたはアウトレット構造を有して
いる。それらのオリフィスはハロゲン化物、バーナに対
する燃料、その燃料とハロゲン化物材料とを反応させる
ための酸素を運ぶ。バーナの設計および沈積される材料
の仕様に応じて、それらのオリフィスはそれらの反応物
のうちの1つまたはそれらの反応物の混合物を含み得
る。さらに、そのオリフィスのうちの幾つかは、キャリ
アまたはバーナの炎の形状と温度分布を制御するための
手段として作用するための不活性ガスをそれだけでまた
は反応物と混合して搬送することができる。典型的なバ
ーナ設計が米国特許第3698936号に開示されており、ま
たそのようなバーナによって発生される炎の温度特性に
ついての論述が1986年に米国ジョージア州アトランタで
開かれた1989年光ファイバ通信会議のためのテクニカル
ダイジェストの74ページにおけるM.ElderおよびD.Power
sによる“Profiling of Optical Waveguide Flames"で
なされている。
OVD法では、いったんスートレイダウンが完成される
と、マンドレルがプリフォームの中心から除去され、そ
してプリフォームが中空のハンドルに取付けられる。そ
のようにしてプリフォームはコンソリデーション用炉内
で乾燥されかつコンソレイデートされる態勢となる。乾
燥とコンソリデーションは多孔質のプリフォームをそれ
の焼結温度に加熱するとともにそのプリフォームを例え
ばヘリウムと塩素ガスの混合物のような1種以上の乾燥
ガスで包囲し、かつそのガスをハンドルを通じてプリフ
ォームの中心を下方に通すことによって行なわれる。あ
るいは、乾燥ガスがプリフォームの中心線に適用される
だけでもよい。例えば、米国特許第4165223号を参照の
こと。乾燥/コンソリデーション工程時に、プリフォー
ムの気孔が十分に閉塞すれば、乾燥ガスの流れ停止され
てもよい。コンソリデーションはプリフォームの長さに
わたって順次行なわれるが、その場合、プリフォームの
先端が最初にコンソリデートされ、ハンドルの近傍の部
分が最後にコンソリデートされるようにする。
理想的には、コンソリデートされたプリフォームはそ
れの長さに沿って均一な特性を有しているべきである。
しかし、実際には、プリフォームの先端部から作成され
たファイバはプリフォームの中間部から作成されたもの
とは異なる特性を有し、 かつ中間部から作成されたファイバはハンドル端部か
ら作成されたものとは異なる特性を有するような「軸線
方向の傾向」がコンソリデートされたプリフォームの長
さに沿ってコンソリデーション工程により生ずることが
認められた。
これらの相違は多くの理由で望ましくない。例えば、
そのような相違によって完成品のバラツキが大きくな
る。さらに、そのような相違が十分に大きい場合には、
製品に対する品質管理基準に適合しない受入れられない
(不合格の)材料を生ずることになる。この無駄のため
に製作費が高くなる。これらのおよび他の問題点を考慮
して、本発明の主たる目標のひとつは、コンソリデート
されたプリフォームの異なる部分から作成されたファイ
バ間の差異を最小限に抑えることである。
スートレイダウン時における金属酸化物および特に二
酸化ゲルマニウム(ゲルマニア)の挙動について幾つか
の実験的研究が行なわれている。例えば、エダヒロ外
は、沈積が生じている基体の温度が約400℃以下の場合
には、ゲルマニアがシリカ粒子と合体していない結晶構
造として沈積されることを示唆する実験を行なってい
る。他方、基体の温度が約500℃以上になると、ゲルマ
ニアはシリカ粒子に溶解した非結晶状態として存在する
と言われている。応用物理学会誌第19巻、第11号、1980
年11月号、2047〜2054ページに掲載されているエダヒロ
外の「光ファイバ作製のための火炎加水分解反応におけ
る高シリカ粒子の沈積特性」と言う標題の論文を参照さ
れたい。また、応用物理学会誌第19巻、第2号、1980年
2月号、L69〜L71ページにおけるカワチ外の「光ファイ
バ製作のための火炎加水分解反応におけるSiO2−GeO2
子の沈積特性」という標題の論文、およびベル・テレフ
ォン・ラボラトリーズ、インコーポレイテッドの「光フ
ァイバ通信」第1巻、3.3.2.3および3.3.2.4章、109〜1
13ページを参照されたい。
同様に、サナダ外は、気相軸付け沈積スートレイダウ
ン法では、プリフォームの中央部分に位置しているゲル
マニウムはGeO2およびSiO2の固溶体で構成されたガラス
粒子よりなり、一方、プリフォームの周辺部分では、ゲ
ルマニウムの大部分が六方結晶形式であることを示唆し
ている。サナダ外は、これらの差異は沈積工程時におけ
るプリフォームの種々の部分の温度差によるとしてい
る。1984年ニューオルリーンズで開催された光ファイバ
通信会議のためのテクニカルダイジェスト、26ページに
おけるサナダ外の「VAD法の脱水およびコンソリデーシ
ョン処理におけるGeO2の挙動」と言う標題の論文を参照
されたい。サナダ外は、六方晶GeO2は容易にハロゲン化
されるので、この形式のGeO2の存在がVADプリフォーム
の脱水時における屈折率分布の長さ方向の変動に影響を
与えると述べている。この問題に対する解決策としてサ
ナダが提案しているのは、六方晶GeO2が除去されるよう
に脱水処理を調節することである。1981年にコペンハー
ゲンで開催された第7回ECOCのダイジェスト、2.1−1
〜2.1−4ページにおけるサナダ外の「VAD法の脱水処理
におけるGeO2の挙動」という標題の論文を参照された
い。
米国特許第4627866号およびヨーロッパ特許公報第185
106号は、スートレイダウン工程でフッ素が添加されるV
AD法に関している。これらの文献はシリカプリフォーム
に対するフッ素の添加を助長するためにより高い酸素分
圧を用いることについて記述している。これらの文献で
上昇された酸素分圧の目的は、フッ素を含有した材料
(例えばCCl2F2、CF4等)を完全に分解させて他のフッ
素が効果的に添加されかつ十分に微細なガラス粒子が合
成されるようにすることである。(米国特許第4627866
号、第2欄、34〜39ページ参照)。これらの文献には、
バーナを出る燃料を完全に酸化するために化学当量的に
必要とされる量より多い量の酸素をバーナの最外部燃料
通路の内側でバーナに与えるという考えは全く開示され
ていない点は重要である。さらに、これらの文献には、
多孔質のガラスプリフォームの作成時に発生しそのプリ
フォームの長さに沿って移動し得る金属酸化物の量を減
少させることについては開示されても示唆されてもいな
い。
カナモリ外の文献ではGeCl4が「微細ガラス粒子を合
成する」ための「ガス状のガラス原材料」として述べら
れているが、ゲルマニウム/酸素金属酸化物の形式や、
バーナガス流における酸素の割合とその結果生ずるゲル
マニウム/酸素の形式との間の関係については全く開示
されていない。これらの文献はフッ素を含有した材料の
沈積に対する酸化雰囲気の影響に向けられているもので
あって、爾後の再加熱時に移動する傾向のある望ましく
ない形式の金属酸化物の量を減少させることによってプ
リフォームにおける軸方向傾向を低下させるためにこの
ような雰囲気を用いることについては開示してもいなけ
れば示唆もしていない。ゲルマニアの生成に関連してこ
のような雰囲気を用いることが示唆されているにすぎな
いが、そのためにはフッ素を含有した材料の存在を必要
とし、そのような材料の存在は酸化雰囲気の効果にイン
パクトを与えることは明らかである。
上述したような技術的状況を考慮して、金属酸化物を
ドープされた多孔質スートプリフォームを作成するため
の気相沈積レイダウン処理を改良することが本発明の目
的である。さらに詳細には、本発明の目的には、(1)
スートプリフォームの作成時に用いられる金属酸化物ド
ーパントの量を減少すること、(2)コンソリデートさ
れたスートプリフォームおよびそのプリフォームから作
成された光導波路ファイバの軸線方向傾向を軽減するこ
と、および(3)バーナ流の変動に対するスートレイダ
ウン処理の感度を低下させることが含まれる。
これらのおよび他の目的を達成するために、本発明
は、(1)スートプリフォーム内への金属酸化物の混入
効率が上昇され、かつ(2)レイダウンおよびコンソリ
デーション時に半径方向と軸線方向の両方向にそのよう
な酸化物が移動しようとする傾向が軽減される安定化さ
れたスートレイダウン方法を提供する。その安定化はス
ートレイダウン時におけるスートバーナに対する酸素と
燃料の流れを制御することによって実現される。詳細に
は、これらの流れは、少なくともレイダウン処理の重要
な部分時に、すなわちコアの中心部分が沈積付着されて
いるときに、燃料との反応のために利用できる酸素の量
が、燃料を完全に酸化するために必要とされる酸素の量
より化学当量的に多くなるように調節される。さらに詳
細には、バーナを通る燃料の流れと、燃料と直接混合さ
れる酸素流(もしあれば)およびこれに加えられる最外
側の燃料流の内側の酸素流(もしあれば)(これらは全
体として「バーナの最外側燃料通路の内側における酸
素」と呼ばれる)がこの完全酸化条件を実現するように
調節される。
以下例示して説明するように、この完全酸化条件を維
持することによって、プリフォームを作成するために必
要とされるドーパントを含有した原材料の量が減少され
るとともに、コンソリデートされたプリフォームおよび
完成したファイバにおける軸線方向傾向も軽減される。
さらに、バーナ中を通る反応物、酸素および燃料の流れ
の変化(摂動)(perturbations)に対する感度が低下
するという意味で全ドーパント混入工程が改良される。
以下図面を参照して本発明の実施例について説明しよ
う。
上述のように、本発明は金属酸化物ドーパントがスー
トプリフォームに混入される効率を高めることおよびレ
イダウンおよびコンソリデーション時にそのようなドー
パントがプリフォーム内で移動する傾向を軽減すること
に関係している。以下での論述は特に二酸化ゲルマニウ
ムをドーパントとして用いることに関しているが、この
論述は酸化チタン、酸化タンタル、酸化ランタン、酸化
アンチモン、酸化アルミニウム、酸化ホウ素のようなド
ーパントを含む光導波路ファイバを作成するために現在
用いられているまたは将来用いられ得る他の金属酸化物
ドーパントにも等しく該当することが理解される。
さらに、以下の論述は、原材料がSiCl4、GeCl4、O2
およびCH4であり、かつバーナが第1図にしめされた形
式の形状を有しているスートレイダウン方式についてな
される。その図に示されているように、バーナ11はSiCl
4、GeCl4およびO2の混合物が通る中央のフュームチュー
ブ13と、O2が通るチューブ13の周りの内側シールド環状
孔15と、CH4とO2の混合物(この混合物を形成するため
に用いられる酸素は「予備混合酸素」と呼ばれる)が通
る2組の燃料オリフイス17と、O2が通る外側シールドオ
リフィス19を具備している。内側シールド環状穴は必要
に応じて1組のオリフィスまたは多孔質領域あるいはリ
ングで置換され得る。
本発明は、異なる原材料および/または異なるバーナ
形状を用いる現在使用されているまたは続いて開発され
るOVD方式を含むがこれに限定されないスートレイダウ
ン方式に適用され得る。
同様に、本発明はシングルモードおよびマルチモード
ファイバを含む種々の形式の光導波路ファイバを作成す
るために用いられ得る。特に、本発明はシングルモード
光ファイバの製作における軸線方向傾向を軽減して、モ
ードフィールド直径とカットオフ波長の首尾一貫性を改
善しかつ分散の改善された制御を可能にするために用い
られ得る。本発明は、高帯域幅マルチモードファイバ
(600MHz・kmより大きいかそれに等しい帯域幅)に対し
ては高い裕度が屈折率分布に維持されなければならない
ので、この種のファイバに対して特に有益である。
上述のように、本発明によれば、プリフォームの臨界
的な部分、例えばドーパント濃度における中心線落込み
を受けるとして知られているコアの中心部分(中心線)
のようなドーパント移動を最も受ける部分の少なくとも
レイダウン時に、酸化性雰囲気を生ずるように、スート
レイダウンバーナを通る流れが調節される。酸化性雰囲
気は、もし所望されれば、レイダウン工程の全体にわた
る場合を含むレイダウン工程の非臨界的な部分において
も用いられ得る。
ここで用いられているように、バーナを通る流れは、
燃料との反応のために利用できる酸素のモルが燃料を完
全に酸化するために必要とされるモル数を超えた場合に
は酸化性と考えられる。例えば、1モルのメタンを完全
に酸化するためには2モルの酸素を必要とする。
CH4+2O2=CO2+2HO2 一方、水素の場合には、1モルの燃料に対して半モルの
酸素が必要とされる。
H2+1/2O2=H2O 本発明では、酸化条件が存在するかどうかを知るため
に用いられる酸素流は、燃料と直接混合される酸素流、
およびこれに加えられる、燃料流の内側、すなわちバー
ナの最外側燃料通路内およびそれの内側における酸素流
である。この増加された酸素流の機能は、燃料を完全に
燃焼して還元性燃焼生成物の発生を防止するとともに、
SiCl4およびGeCl4を完全に酸化することである。バーナ
の最外側燃料通路内およびそれの内側に供給される酸素
はバーナ炎内の化学反応を実質的に制御するために用い
られ得るが、この最外側燃料通路の外側に供給される酸
素は主としてバーナ炎を整形するためのものであり、炎
内の化学反応の実質的な制御を与えない。
例えば、第1図のバーナの場合には、予備混合酸素、
内側シールド環状穴を通る酸素、およびフュームチュー
ブ中を通る酸素が、酸化性雰囲気が存在しているかどう
かを知るために用いられる。これらの酸素流の和とメタ
ン流の2倍(または水素が燃料である場合には酸素流の
半分)との比が1より大きい場合には、バーナは本発明
によって要求される酸化条件の下では動作されていな
い。他方、従来技術のように上記の比が1より小さい場
合には、バーナは酸化性雰囲気を生じていない。他のバ
ーナ形状に対して比較されるべき流れは本願の開示から
当業者には明らかであろう。
気相沈積スートレイダウン工程の動作条件および温度
では、ゲルマニウムは、GeCl4(ハロゲン化物、原材料
形式)、GeO(一酸化物形式)、およびGeO2(二酸化物
形式)の3つの形式で存在し得る。GeO2が望ましい形式
であり、GeCl4とGeOはレイダウン時にはゲルマニウム収
集量が減少し、レイダウンおよびコンソリデーション時
にはゲルマニウムの移動が増大することになる形式であ
る。上述のように、ゲルマニウム収集量の減少は原材料
のコストを増大させるので単純に望ましくない。また上
述したように、スートブランクの長さに沿った不均一な
ゲルマニウムの移動はコンソリデートされたブランクに
不均一な屈折率分布を生ずる。このブランクの不均一性
がそのブランクの異なる部分から線引されるファイバの
不均一性を生ずる。特に、高帯域幅マルチモードファイ
バの場合には、これらの差異はファイバの異なる長さに
対して異なる帯域幅を有することを示すが、これは望ま
しくない。
本発明はプリフォーム内のゲルマニウムをGeO2の形式
で安定化するスートレイダウン動作条件を与えることに
よってこれらの問題に対処する。本発明が与えるレイダ
ウン安定性は第2図によって視覚的に示され得る。この
図は3つの状態(GeO(g)、GeCl4(g)またはGeO2
のそれぞれにおけるゲルマニウムの割合を所定の酸素分
圧に対する温度の関数として平衡条件のもとでプロット
した図である。このプロットは、1979年にソ連の科学ア
カデミーによって刊行されたL.V.Gurbich著「Thermodin
Svoistva Individualnykh Veshchestv」Vol.IIの熱力
学データから得られた。
このプロットに示されているように、GeO2状態におけ
るゲルマニウムの割合は、十分に高い温度でGeO(g)
が相当な量で形成し始めるまで温度上昇に伴って増加す
る。この温度を超えると、GeO2としてのゲルマニウムの
割合は温度上昇ともに急激に低下する。
従って、平衡状態または近平衡状態における温度に関
しては、動作領域として好ましい(安定な)領域はGeO2
領域におけるピークの直ぐ左側であろう。この温度領域
では、GeO2として保持されるゲルマニウムの割合が大き
く、その割合の温度による変化は比較的小さく、従っ
て、穏当な温度変化ではGeO2として形成されるゲルマニ
ウムの割合に大きな変化を生ずることはない。
もちろん、スートレイダウン工程は平衡条件下では行
なわれず、温度はその工程に影響する唯一の変数ではな
い。しかし、第2図との類似によって、プロセスがゲル
マニアの捕獲および移動の点でより安定している動作条
件を与える。しかし、温度が独立の変数であるほかに、
第2図におけるように、独立の変数としては、例えばメ
タン流、予備混合酸素流、フューム酸素流、内側シール
ド酸素流、および全反応物フューム流れ(SiCl4+GeC
l4)のようなスートレイダウンバーナを通る種々の流れ
がある。第2図に適用された理由付けとの類比によっ
て、これらの変数は、(1)ゲルマニウム捕獲を増大さ
せる、(2)ゲルマニウムの移動を減少させる、(3)
種々の流れにおける摂動に比較的感応しない動作条件、
すなわちプロセスが第2図におけるGeO2ピークのすぐ左
側の領域に類似した流れ空間のより安定した領域である
「フラッタ」で動作される条件を与えるように選択され
る。
気相沈積スートレイダウンプロセスの動的および相互
作用の性質を考慮すると、これらの結果を得るように流
れ条件を選択するには、種々の相互に関係した現象を考
慮する必要がある。GeO2からGeOへの変換を規制する基
本的な化学式は次の通りである。
2GeO2=2GeO(g)+O2(g) (1) Gurvichの熱力学データはこの反応がきわめて温度に
感応しやすいものであることをしめしている。例えば、
任意の酸素分圧およびGeO2活動度において、純粋なGeO2
に対するGeO(g)の平衡分圧は温度が1130℃から1530
℃まで上昇すると、約9200倍だけ上昇する。このように
して、温度に対するバーナ流の影響は、ゲルマニアの収
集および移動において重要な役割を演ずる相互に関連し
た要因の1つである。
現象学的な観点から、レイダウン時のスートブランク
におけるGeO2濃度の変化は(1)ブランクにスート粒子
が沈積する前にフューム流内に形成するGeO(g)およ
びGeO2の相対的な流の変化または(2)スートブランク
上に沈積して後にスート粒子の表面から移動する(GeO
(g)として)ゲルマニアの量の変化から生じ得る。換
言すれば、GeO(g)はスート沈積に先立ってフューム
流れ内で、または例えばOVDスートレイダウン工程にお
ける爾後のバーナ通過による再加熱時において沈積後の
スート粒子におけるGeO2の分解から生じ得る。さらに、
フューム流れ内で形成されるGeO(g)のいくらかはよ
り冷たいスート粒子上にGeO2として凝縮することがで
き、バーナ炎のより熱い部分に直接露呈することはな
い。
これらの効果に加えて、ゲルマニアは種々の形式のス
ート粒子として明らかに存在し得る。スートブランクの
熱重量分析により、スートブランクにおけるゲルマニア
の割合は塩素または一酸化炭素の存在しているときに非
移動度が高いことが明らかとなった。このことは、沈積
された全体のゲルマニアのうちの少なくとも幾らかは純
粋なGeO2として存在しており、シリカとは合体していな
いことを示唆している。この純粋なGeO2はゲルマニアリ
ッチの表皮被覆ゲルマニア・シリカスート粒子として存
在し得る。他方、走査透過電子顕微鏡分析はあるスート
粒子が純粋なシリカか純粋なゲルマニアよりなることを
示している。
これらの考慮のすべてがゲルマニアの収集効率および
移動を決定する役割を果す。本発明によれば、この高度
に相互に関連したシステムは、酸化性雰囲気を生ずるよ
うにバーナを通る酸素流を制御することによって、増大
されたゲルマニア収集および減少されたゲルマニア移動
に対して最適化され得ることが認められた。
さらに詳細には、フューム酸素、内側シールド酸素、
および予備混合酸素のうちの1つ以上を増加することに
よって収集効率が改善され、かつ移動が減少され、フュ
ーム酸素および内側シールド酸素の増加の効果が最も顕
著であることが認められた。これらの変化の理由付けは
次の通りである。
上記式(1)およびGurvichの熱力学データから、フ
ューム流れ内で形成されるGeO(g)の量はフューム流
れの酸化状態と温度の関数である。フューム流れの酸化
状態はフューム酸素、内側シールド酸素、および反応物
フュームの流れによって最も強く影響され、予備混合酸
素およびメタンの流れの影響は少ない。フューム酸素お
よび内側シールド酸素の増加は高い酸化状態を有するフ
ューム流れを生じ、反応物フューム流れの増加は低い酸
化状態を生ずる。
炎内の温度分布はメタン、予備混合酸素、および内側
シールド酸素の流れによって最も強く影響され、メタン
に対して増加した予備混合酸素および内側シールド酸素
はより温度の低い炎を生ずる。特に増加した内側シール
ド酸素はフューム流れのエッジ近傍におけるCH4の酸化
を禁止することによってフューム流れの温度を低下させ
る。
沈積されたGeO2リッチのスート粒子をバーナで加熱す
ることによってGeO(g)を形成することに関しては、
この効果は主としてブランクの表面温度の関数である。
炎温度はメタンと予備加熱酸素の流れによって最も強く
影響され、メタンに対して予備混合酸素が化学当量流れ
より少ないかあるいはそれより多いと炎の温度が低くな
る。他方、化学当量より少ないメタンに対する予備混合
酸素の流れで最高プリフォーム表面温度が生ずることが
観察された。
これらの観点から、増大したフューム酸素流れ、増大
したフューム内側シールド酸素流れ、および少なくとも
ある程度まで増大された予備混合酸素流れはすべて、フ
ューム流れ内または沈積されたスート粒子の表面上に形
成されるGeO(g)の量の減少を生ずる。メタンと反応
物の流れも重要な役割を果すが、その程度は少ない。詳
細には、メタン流れと全体の反応物フューム流れの減少
がフューム流れの実効的な酸化状態を増加させる。なぜ
なら、O2/(2CH4+SiCl4+GeCl4)の比が、CH4、SiCl4
およびGeCl4の流れの減少にともなって、増加するから
である。増大した実効酸化状態は形成されるGeO(g)
の量を減少させる。
実施例1 増加したフューム、内側シールドおよび予備混合酸素
流れのゲルマニア捕獲および移動に対する前述した影響
は下記の実験で確認された。
OVD法を用いて8箇のスートブランクが作成された。
各ブランクにつき、次のレイダウンパラメータ、すなわ
ち(1)全反応物(SiCl4+GeCl4)フューム流れ、
(2)GeCl4/SiCl4比、(3)フューム酸素流れ、
(4)内側シールド酸素流れ、(5)メタン流れ、およ
び(6)予備混合酸素/メタン流れ比が系統的に変化さ
れた。外側シールド酸素流れはすべてのブランクにつき
7.5slpm(standard liters per minute)に固定され
た。
最初の4箇のブランクに対しては、変化される流れの
それぞれについて3つの条件(−,0,+)が用いられ、
一方、第2の4箇のブランクに対しては、5つの条件
(−−,−,0,+,++)が用いられた。各ブランクは3
2〜34のテストセグメントを含み、各セグメントは15回
の完全な(前後の)レイダウン通過よりなる。テストセ
グメントは回転マンドレル(ベイトロッド)上に沈積さ
れた。そのマンドレルは長さが70センチメートルで、そ
の上に40回の完全通過によりシリカ中心線スートが沈積
された。各ブランクの最初の16箇のテストセグメントに
対して用いられた全反応物フューム流れ(FF)およびメ
タン流れ(CH)の対する値の範囲(「インナーハー
フ」)は最後の16〜18箇のセグメント(「アウターハー
フ」)に対して用いられたものとは異なっていた。用い
られた特定の流れが表1〜4に示されている。
異なるブランクセグメントに対する流れの組合せが異
なる変数に対する異なる流れ値間の相互作用を観察する
ために変化された。各ブランクの8箇または9箇のセグ
メントでは、ガス流のすべてが中間(0)値にセットさ
れた。これらのセグメントはコントロールとして働き、
ブランク間のバラツキを検査できるようにした。また、
ゲルマニア収集効率はセグメント半径の関数として変化
することが知られているから、これらのコントロールセ
グメントは半径の効果を軸線方向傾向データから差引く
ために用いられた。
特に、直径の効果をゲルマニア捕獲データから差引く
ためには、下記の形の式がコントロールセグメントに対
するゲルマニアデータに適合した。
GeO2(Dia)=a1+a2*Dia+a3*(Dia) (2) 同様に、直径の効果を軸線方向傾向データから差引く
ためには、下記の形式の式がコントロールセグメントに
対する中間標本マイナス先端標本データ(下記参照)に
適合した。
AxDif(Dia)=a1'+a2'*Dia+a3'(Dia) (3) 実施例2で述べるように、これらの式2および3はス
ートレイダウンバーナに対する最適流れを計算するため
に後で用いられる。
プリフォームはシリカマッフルを有するコンソリデー
ション用炉内で乾燥されそしてコンソリデートされた。
乾燥/コンソリデーション工程時に、HeとCl2の混合物
がプリフォームの中心線を下方に通され、そしてHeとO2
の混合物がマッフルの底からコンソリデート中のプリフ
ォームの周りを上方に流動された。プリフォームの気孔
が閉塞されると、その流れがHeの流れに置き換えられ
た。乾燥/コンソリデーション工程時の温度は約920℃
から約1405℃のピーク温度までの範囲であった。この実
験で用いられたプリフォームは、フィバプリフォームを
作製するために後で延伸されてケーンとなされそしてク
ラッドスートを被覆されるコアケーンブランク(クラッ
ドの一部分を含む)であった。しかし、これは、考慮中
のファイバがコアにだけ金属酸化物ドーパントを含んで
いるから、便宜上そのようになされた。本発明は、延伸
してケーンとしその後でクラッドを被着するようにしな
いで、線引してファイバとなされるプリフォームのため
のスートレイダウン処理にも同様に適用できる。
コンソリデーションの後で、ブランクの断面が、ブラ
ンクチップより約10インチの位置(中間標本、mid−spe
cimen)およびブランクチップより約2インチの位置
(先端標本、tip−specimen)からカットされた。SiO2
とGeO2濃度のマイクロプローブ測定が従来の手段で行な
われた。全GeO2/SiO2濃度の変化と各セグメント内の微
細な変化を観察するために、広い範囲と絞った範囲とで
マイクロプローブ走査が行なわれた。これらの測定で
は、OVDスートレイダウンで用いられた繰返し走査に合
致した筋跡が観察された。参考写真1、2はテスト素材
3の中間標本の後方散乱電子画像を示すもので、参考写
真1は40倍に拡大してセグメント18〜21の筋跡を示す写
真であり、参考写真2は1000倍に拡大してセグメント20
の筋跡を示す写真である。参考写真1、2の後方散乱さ
れた電子画像がこのような組成筋跡の効果を示してい
る。
8箇のブランクに対する実験データは、保持されるゲ
ルマニア濃度がフュームO2、内側シールドO2、およびあ
る程度まで予備混合したO2/CH4の流れの増加に伴って増
加することを示した。そのデータは、保持されるゲルマ
ニア濃度がメタン流の増加に伴って減少することも示し
た。
このデータはさらに、フュームO2および内側シールド
O2の増加によって軸線方向のゲルマニア変化が減少され
ること、および反応物フューム流れとCH4の流れの増加
によって軸線方向のゲルマニア変化が増加されることを
示した。
全体としては、データは、炎の酸化状態および特にフ
ュームチューブの領域における酸化状態を増大させる流
れの変化によってゲルマニアの捕獲が多くなりかつ軸線
方向傾向が少なくなることを示しており、これらは両方
とも非常に望ましいことである。
実施例2 この実施例は、(1)増大したドーパント収集効率、
(2)減少した軸線方向傾向、および/または(3)増
大したプロセス安定性のうちの1つ以上を、実施例1で
得られる種類の実験データを用いて実現するようにバー
ナ流れを選択(最適化)するための手順を示している。
一般的に言うと、この手順の実験上の部分、すなわち
実施例1に示された部分によれば、最適化が望まれてい
るプロセスとバーナ形状を用いて1箇以上のテストプリ
フォームが作成される。このテストプリフォームの作成
時に、最適化されるべきバーナ流がそれの関心のある範
囲にわたって変化される。一度に1つの流れについて変
化が行なわれてもよく、あるいは複数のグループの流れ
が同時に変化されてもよい。最適化のために必要とされ
るテストプリフォームの数を最少に抑えるために、プリ
フォームが複数のセグメントに分割され、それらのセグ
メント間で流れを変化させるようにするのが好ましい。
テストプリフォームが作成された後に、それらのテス
トプリフォームはコンソリデートされ、その後で、種々
のセグメントにおけるドーパント濃度を決定するために
測定が行なわれることが好ましい。軸線方向傾向が最小
限に抑えられるべき場合には、1つのセグメント内の異
なる軸線方向位置のドーパント濃度の測定も行なわれ
る。
この手順の分析部分によれば、流れ変数の関数、例え
ば3つの流れ(f1、f2、およびf3)が最適化されるべき
システムに対するa0+a1*f1+a2*f2+a3*f3+a4*f1
2+a5*f22+a6*f32+a7*f1*f2+a8*f1*f3+a9*f
2*f3という形式の二次多項式が、例えば従来の最小2
乗適合法(least squares fitting technique)を用い
て、測定されたドーパント濃度データに適合される。適
合化処理によって決定された係数(例えばa0、a1、a2
a3、a4、a5、a6、a7、a8、a9)を用いて、流れ変数の許
容された範囲内にありかつドーパント収集を最大にする
流れ変数(例えばF1、F2およびF3)の値が計算される。
(流れ変数の許容された範囲は、バーナまたは他のプロ
セス上の拘束のために実際に用いられ得る流れの範囲で
ある。) 軸線方向傾向も最小に抑えられるべき場合には、流れ
変数における別個の関数が軸線方向傾向データに適合さ
れる。この適合化処理によって決定された係数を用い
て、流れ変数の許容された範囲内にありかつ軸線方向傾
向を最小に抑える流れ変数(例えばF1'、F2'およびF
3')の値が計算される。
最後に、プロセス安定性および特にドーパント濃度安
定性も最適化されるべき場合には、各流れ変数に関する
ドーパント濃度関数の一次微分が計算され、二乗され、
そして加算されて、「二乗の和」安定性関数(例えば、
(a1+2*a4*f1+a7*f2+a8*f3)+(a2+2*a5
*f2+a7*f1+a9*f3)+(a3+2*a6*f3+a8*f1
+a9*f2))を形成する。流れ変数の許容された範囲
内にありかつこの関数を最小にする流れ変数(例えばF
1"、F2"、およびF3")の値が次に計算される。
一般的に、ドーパント収集を最大にする流れ変数の値
は傾向を最小にするものとは同一ではなく、かつ同様
に、これらの組の値のいずれもが安定性を最大にする値
と同一ではない。しかし、本発明によれば、これらの最
適化のそれぞれが、増大された酸素流れ、すなわち酸化
性雰囲気の生成を含む。すなわち、ドーパント捕獲を増
大する流れ変数の値、傾向を最小にする値、および安定
性を増大する値はすべて、酸化性雰囲気の生成を含む。
従って、プリフォームの作成で究極的に用いられる流
れ変数の値は、種々の組の最適値間の妥協でありうる。
その妥協値は作成中の特定の製品に対してどの最適化が
最も重要かに基づいて選択される。あるいは、その妥協
値は、関数の異なる大きさと単位を斟酌するために適当
なウエイトづけ関数を用いて3つの関数を同時に最適化
することによって数学的に決定されてもよい。例えば、
軸線方向傾向の逆数と二乗関数の和にドーパント濃度関
数が加えられ得る。各関数はウエイトづけ係数が掛け算
され、そのウエイトづけ係数の和は1に等しく、そして
流れ変数の許容された範囲内にありかつこの結合された
関数を最大にする流れ変数の値が計算され得る。
この最適化手順の分析部分が下記のようにして実施例
1の実験データに適用された。まず最初に、式2および
3と、実施例1の測定された実験データを用いて、次の
パラメータが計算された。
Resid(GeO2)=GeO2−GeO2(Dia) (4) および AsDif(GeO2)=Mid(GeO2)−Tip(GeO2) −AxDif(Dia) (5) ただし、Resid(GeO2)はゲルマニア濃度に対する直径
の影響が差引かれた後の中間標本における残留ゲルマニ
ア濃度であり、またAxDif(GeO2)はこれも直径の影響
が差引かれた後の中間および先端標本間のゲルマニア濃
度の差である。
次に、下記の形式の多項式がResid(GeO2)およびAxD
if(GeO2)データに適合された。
Resid(GeO2)= CO+C1*G/S+C2*FO+C3*IO+C4*CH+ C5*PMO/CH+C6*FF+C7*G/S*FO+ C8*G/S*IO+C9*G/S*CH+C10*G/S*MO/CH+ C11*G/S*FF+C12*FO*IO+C13*FO*CH+ C14*FO*MO/CH+C15*FO*FF+C16*IO*CH+ C17*IO*MO/CH+C18*IO*FF+C19*CH*MO/CH +C20*CH*FF+C21*MO/CH*FF+C22*(G/S) +C23*(FO)+C24/*(IO)+C25*(CH)+ C26(MO/CH)+C27*(FF) (6) および AxDif(GeO2)= DO+D1*G/S+D2*FO+D3*IO+D4*CH+ D5*PMO/CH+D6*FF+D7*G/S*FO+ D8*G/S*IO+D9*G/S*CH+D10*G/S*MO/CH+ D11*G/S*FF+D12*FO*IO+D13*FO*CH+ D14*FO*MO/CH+D15*FO*FF+D16*IO*CH+ D17*IO*MO/CH+D18*IO*FF+D19*CH*MO/CH +D20*CH*FF+D21*MO/CH*FF+D22*(G/S) +D23*(FO)+D24/*(IO)+D25*(CH)+ D26(MO/CH)+D27*(FF) (7) ただし、FO=フューム酸素流、IO=内側シールド酸素
流、CH=メタン流、PMO=予備混合酸素流、FF=全反応
物フューム流、G/S=GeCl4/SiCl4流れ比であり、かて全
ての流れの単位はslpm(standard liters per minute)
である。これらの式は線形効果、二方向相互作用効果、
および2次効果に対する係数を含んでいる。高次の多項
式または他の関数が適合化を実施するために用いること
ができ、かつある場合には、実験データに適合するため
に必要とされうる。しかし、実施例1で得られたデータ
の場合には、式6および7の多項式が充分な適合(下記
参照)を与えることが認められた。
この適合化は、ブランク1〜4の外側の半分に対する
もの、ブランク5〜8の内側の半分に対するもの、およ
びブランク5〜8の外側の半分に対するものの3つの組
の多項式を用いて実施された。各項の統計的意義を決定
するために「Fテスト」を用いた最小2乗適合ルーチン
を用いて係数が決定された。ブランク5〜8の外側の半
分に対する係数の典型的な組が表5に示されている。こ
の表で示されているように、適合化処理の後ではほんの
限られた数の項しか残らなかった。3つの適合のそれぞ
れは、項0〜6、すなわち線形項を含んでおり、統計的
に重要であると認められた高次の項は適合毎に変化し
た。
Resid(GeO2)データに対する回帰方程式の適合の品
質はR2が0.81〜0.93の範囲にある場合には極めて良好で
あることが認められた。AxDif(GeO2)に対するこの式
の適合化の品質は良好ではなかったが(R2値は0.60〜0.
76の範囲)、やはり妥当なものであった。
この回帰方程式を用いて、ゲルマニア収集を最大に
し、軸線方向傾向を最小にし、そして安定性を最大にす
る流れパラメータの値を見出すために実施例1でテスト
された流れ条件についてコンピュータサーチが行なわれ
た。ゲルマニア収集にたいする最大値のサーチは、式6
と、上述したように実験データから計算された種々の組
の係数を用いて行なわれた。
最小傾向のサーチは式7の修正を用いて行なわれた。
詳細には、軸線方向のゲルマニア差の最小値を生ずる流
れのサーチでは、Mid(GeO2)−Tip(GeO2)の最小値を
欲し、式5で定義されたAxDif(GeO2)の最小値は欲し
ない。従って、Mid(GeO2)−Tip(GeO2)の値を得るた
めに、AsDif(Dia)の値が、AxDif(GeO2)に対する回
帰方程式に加えられた。特に、各半分の中間点に対する
AsDif(GeO2)の値を計算するために式3が用いられ、
この値がその半分に対するDO係数に加えられた。
最大化された安定性のサーチは、式6と下記の「二乗
の和」安定性関数を用いて行なわれた。
SumSq(GeO2)=(dResid(GeO2)/dFO)+ (dResid(GeO2)/dIO)+ (dResid(GeO2)/dCH)+ (dResid(GeO2)/dPMO)+ (dResid(GeO2)/dFF) ただし、最初の微分は式6を用いて計算された。
このサーチは3つの組の最適流れ値を生じた。これら
の流れ値は、放物線状の屈折率分布を有したプリフォー
ムを作成している時に第1図に示された形式のバーナに
対する流れを制御するのに適した単純で連続したアルゴ
リズムを生ずるように結合された。特に、下記の式にお
けるF0、F1、F2、Ptr、Ptot、A1、およびA2の値を得る
ために最適流れ値が結合された。
流れ変数= F0+(F1−Fo)[(Pcur−1)/(Ptr−1)]A1 (PcurはPtrより小さいかそれに等しい) (9) および 流れ変数= F1+(F2−F1)[(Pcur−Ptr)/(Ptot−Ptr)]A1 (PcurはPtrより大きいかそれに等しい) (10) ただし、Pcur、Ptr、およびPtotはそれぞれ、現在のレ
イダウン通過回数、遷移レイダウン通過回数、およびス
ートプリフォームの作成のためのレイダウン通過の全回
数である。
この最適化処理によって得られた係数の値が表6に示
されている。このアルゴリズムによって要求されるメタ
ン流れは最適化手順によって示唆されるものよりも大き
い。これらの高い値は、充分に稠密で従ってレイダウン
時に割れる畏れのないコアケーンブランクを得るために
選択された。表66の係数を用いて、プリフォームが成功
裡に作成されかつコンソリデートされた。
同じ形式のプリフォームを作成するための1つの組の
最適化されていない係数が表7に示されている。これら
の係数を表6のものと比較すると、最適化された系は、
最適化されていない系よりも多いフューム酸素、内側シ
ールド酸素、および予備混合酸素を用いることが判る。
また、最適化された系に対する出発反応物フューム流れ
は小さく、最終的な反応物フューム流れはほぼ同じくら
いであり、またメタン流れは若干小さい値で始り、そし
て若干大きい値で終る。
酸化状態については、最適化された系(表6)は、Pc
ur/Ptotが0、0.65、および1.0にそれぞれ等しい場合に
1.34、1.34、および0.89のO2/2CH4比を有している、す
なわち最適化された系はレイダウン工程のほとんどにわ
たって酸化性雰囲気を生ずる。比較すると、最適化され
ていない系(表7)はプロセスの同じ点で0.95、0.81、
および0.77のO2/2CH4比を有している、すなわち最適化
されていない系はレイダウン工程全体にわたって非酸化
性である。
表6および7を用いて、多数のGeCl4/SiCl4比に対し
てAxDif(GeO2)、Resid(GeO2)、およびSumSq(Ge
O2)の予期値が計算された。その結果が表8に示されて
いる。この表に示されているAxDif(GeO2)、Resid(Ge
O2)、およびSumSq(GeO2)の推定される改良は重要で
ある。
実施例3 この実施例はブランクの臨界的な中心線部分のレイダ
ウン時に酸化性雰囲気を用いる効果を示している。
第4図のプラス記号によって示された四塩化ゲルマニ
ウムとともに表7の最適化されていないアルゴリズムを
用いて第1のコアケーンブランクが作成された。参考の
ために、このアルゴリズムに対するフューム酸素流が第
3図のプラス記号で示されている。
このブランクの先端部分と中間部分とからファイバが
作成された。その先端部分から作成されたファイバと中
間部分から作成されたフィアバとに対する差モード遅延
(DMD)が決定され、そしてそれらの部分間のDMDの差が
計算されそしてファイバの規格化半径の二乗の関数とし
てプロットされた。その結果が第5図で「標準」と印さ
れた曲線で示されている。この曲線で示されているよう
に、表7のアルゴリズムを用いて作成されたブランク
は、DMDパラメータにおいて1.23ナノ秒/キロメートル
のオーダの大きな軸線方向傾向を有している。
同じアルゴリズムを、第3図および第4図に四角で示
されているフューム酸素および四塩化ゲルマニウムとと
もに用いて第2のブランクが作成された。表7のアルゴ
リズムに対するレイダウンの開始時におけるO2/2CH4
は0.95、すなわち非酸化性であったが、第3図の増大さ
れたフューム酸素流れが用いられた場合の比は1.03であ
り、すなわちこの増大されたフューム酸素流れはブラン
クの中央部分のレイダウン時に酸化性雰囲気を生ずる。
第1のブランクの場合と同様に、第2のブランクの先
端部分と中間部分とからファイバが作成された。これら
の部分間のDMDの差が計算され、そしてその結果が「実
験」と印された曲線として第5図にプロットされてい
る。この曲線で示されているように、中心線レイダウン
時に酸化性雰囲気を用いて作成されたブランクは大幅に
軽減された、すなわち非酸化性雰囲気を用いて作成され
たブランクの場合の傾向より70%小さい軸線方向傾向を
有していた。
この重要な結果に加えて、第2のブランクのゲルマニ
ア捕獲効率は第1のブランクのそれより8%高かった。
さらに、第2のブランクで作成されたファイバは優れた
物理特性を有していた。
この実施例によって示されるように、酸化性雰囲気を
用いれば、その酸化性雰囲気はレイダウン手順の限定さ
れた部分でしか用いられなくても、レイダウン処理が大
幅に改善されることになる。
本発明によって軸線方向傾向が軽減された場合には、
光ファイバのプリフォームブランクのより大きな部分が
所定の仕様を満たすまたはそれを超えたファイバを生ず
ることになる。例えば、約2%のピークデルタを有する
マルチモードファイバを作成するためのマルチモードコ
アケーンの場合には、本発明を実施する前に、600MHz・
kmより大きい帯域幅を有する光ファイバを製造するため
に150キロメートルのコアケーンブランクの約65%を用
いることができた。本発明を用いることによって、この
パーセンテージが約90%まで上昇した。約1%のデルタ
ピークを有するマルチモードファイバの場合には、本発
明を用いれば、同様の利用パーセンテージが実現可能で
ある。すなわち、200キロメートルのコアケーンブラン
クの場合に、1500MHz・kmより大きい帯域幅を有する光
ファイバを製造するためにブランクの同様に高いパーセ
ンテージを用いることができた。これらのパーセンテー
ジは少なくとも0.5〜2.0キロメートルの典型的な測定長
を占める。
軸線方向の変化を制限された光ファイバブランクを生
成するためには例えばプラズマ内付け法のような他の製
造方法を用いることができる。これらの方法は、約30キ
ロメートル以下の光ファイバを線引しうるブランクを通
常与えるが、これらの方法は爾後にクラッドで覆うため
のコアケーンを作成するためには用いられない。
【図面の簡単な説明】
第1図はフュームチューブ(fume tube)、内側シール
ド酸素搬送環孔、2組の燃料/予備混合酸素オリフィ
ス、および2組の外側シールドオリフィスを有したスー
トレイダウンバーナの上面を示す図、第2図はGeCl4、G
eO2、およびGeOのようなGeの割合(fraction)を平衡条
件における温度の関数として示す図、第3図および第4
図はOVDプリフォームのレイダウン(沈積付着)時にお
ける規格化された半径(r/a)の関数として酸素流(第
3図)とGeCl4流(第4図)を示し、四角で示された点
に対する中心線レイダウン時には酸素/燃料の化学当量
比が酸化性であり、プラス記号で示された点に対しては
非酸化性である図、第5図は先端部と中間部とから作成
されたファイバ間の差モード遅延(DMD)の差を規格化
されたファイバ半径の二乗((a/r))の関数として
プロットした図であって、「標準」曲線は第3図および
第4図の非酸化流、すなわちプラス記号で示された流れ
で得られた結果を表わしており、「実験」曲線はそれら
の図における酸化流、すなわち四角で示された流れで得
られた結果を表わしている図である。 11:バーナ 13:中央のフュームチューブ 15:内側シールド環状穴 17:燃料オリフィス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 マイケル ジョン ストーカー アメリカ合衆国ニューヨーク州クリフト ン パーク、ウッズ ホロー 62ディー (56)参考文献 特開 昭59−169950(JP,A) 特開 平1−239033(JP,A) 特開 昭63−206328(JP,A) 特開 昭62−167238(JP,A) 特開 昭61−270226(JP,A) 特開 昭57−47740(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C03B 37/018 C03B 8/04

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】GeO2を含むコアとクラッディング構造を有
    するグレーデッドインデックス型マルチモード光導波路
    ファイバのための多孔質シリカベースプリフォームを作
    成するための気相沈積方法であって、 前記GeO2の前駆体を含んだ反応流の存在下で酸素を燃料
    と反応させてスートを形成するためにバーナを用い、前
    記酸素、前記燃料、前記反応流は前記バーナに与えら
    れ、かつ前記バーナより流出しており、 前記バーナは、燃料を含まずに少なくとも酸素を搬送す
    る第1の通路と、第1の通路を包囲しており燃料を含ま
    ずに少なくとも酸素を搬送する第2の通路と、第2の通
    路を包囲しており少なくとも燃料と酸素を搬送する第3
    の通路を含む一連の同心状の通路を有し、 さらに、 a)ファイバのコアの中心部を形成するプリフォームの
    少なくとも一部を作成する間には、単位時間当り第3の
    通路により運ばれる燃料を完全に酸化させるために、単
    位時間当たりに化学当量的に必要とされる酸素の量より
    多い単位時間当たりの合成した量になるように前記第
    1、第2、第3の通路に酸素を供給するステップと、 b)前記バーナによる反応によって生ずる前記スートを
    沈積して、前記多孔質シリカベースプリフォームを外付
    け気相沈積スートレイダウン技術によって作成し、多孔
    質ガラスプリフォームの少なくとも一部が、後に続く部
    分が沈積されるに伴って再加熱され、 当該酸素の供給により、前記多孔質ガラスプリフォーム
    の作成時に発生し、かつそのプリフォームの長さに沿っ
    て移動する傾向のあるGeOの量を減少させることを特徴
    とする気相沈積方法。
  2. 【請求項2】不活性ガスが前記反応流の中に存在してい
    ないことを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】前記プリフォームから作成されたマルチモ
    ードファイバの大部分が前記方法の屈折率分布の制御か
    ら少なくとも部分的に生ずる800MHz・kmより大きいかあ
    るいはそれに等しい帯域幅を有することを特徴とする請
    求項1記載の方法。
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