JP3287218B2 - セラミックグリーンシートの製造方法およびセラミックグリーンシート成形用支持体 - Google Patents

セラミックグリーンシートの製造方法およびセラミックグリーンシート成形用支持体

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、セラミックグリ
ーンシートの製造方法およびセラミックグリーンシート
成形用支持体に関するもので、特に、キャリアフィルム
によって裏打ちされた状態でのセラミックグリーンシー
トの製造方法およびキャリアフィルムとしての機能を有
するセラミックグリーンシート成形用支持体に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】たとえば積層セラミックコンデンサのよ
うな積層セラミック電子部品を製造する場合、積層され
るべきセラミックグリーンシートが用意される。このよ
うなセラミックグリーンシートを成形するため、たとえ
ばポリエチレンテレフタレートからなる可撓性のキャリ
アフィルムが用意され、このキャリアフィルム上でセラ
ミックグリーンシートの成形が行なわれることがある。
【0003】また、このようなキャリアフィルム上での
セラミックグリーンシートの成形をより能率的に進める
ため、キャリアフィルムをセラミックスラリー内に浸漬
した後、引き上げることにより、キャリアフィルムの両
面上でセラミックグリーンシートを成形することが行な
われることもある。これによれば、一挙に2枚のセラミ
ックグリーンシートが得られ、それぞれのセラミックグ
リーンシートは、通常、キャリアフィルムから剥離され
た後、以後の工程に供される。
【0004】ところで、得ようとする積層セラミック電
子部品の小型化あるいは薄型化を図りながら、高性能化
を図るための対策の1つとして、用いられるセラミック
グリーンシートの薄層化が有効である。そのため、従
来、30〜50μmの厚みであったセラミックグリーン
シートは、たとえば厚み10μm程度にまで、その薄層
化が進んでいる。
【0005】しかしながら、セラミックグリーンシート
は軟弱であるため、上述のように薄層化された場合、そ
の機械的強度を補うため、セラミックグリーンシートを
上述のキャリアフィルムによって裏打ちした状態で取り
扱うことも行なわれている。この場合には、セラミック
グリーンシートは、キャリアフィルム上で成形され、そ
のままの状態で以後のいくつかの工程を実施するように
される。
【0006】したがって、キャリアフィルム上で成形さ
れたセラミックグリーンシートを、そのままキャリアフ
ィルムによって裏打ちした状態で取り扱うことを可能に
するためには、前述したようなキャリアフィルムの両面
上でセラミックグリーンシートを成形する方法を採用す
ることができず、セラミックグリーンシートはあくまで
もキャリアフィルムの片面上でのみ成形されなければな
らない。そのため、1枚のキャリアフィルムによって、
1枚のセラミックグリーンシートしか得られない。
【0007】これらの問題を解決すべく、キャリアフィ
ルム上で成形されたセラミックグリーンシートを、その
ままキャリアフィルムによって裏打ちした状態で取り扱
うことを可能にしながら、セラミックグリーンシートの
成形にあたっては、1回の操作で2枚のセラミックグリ
ーンシートを得ることができる方法が、たとえば特開平
7−192962号公報に記載されている。図5は、こ
の公報に記載された技術を説明するためのものである。
【0008】図5に示すように、両面に粘着剤または接
着剤1および2が付与された樹脂シート3によって与え
られる両面粘着シート4が用意され、この両面粘着シー
ト4の両面に、粘着剤または接着剤1および2を介し
て、キャリアフィルム5および6がそれぞれ貼り合わさ
れることにより、成形用支持体7が構成される。この成
形用支持体7は、たとえば、セラミックスラリー中に浸
漬された後、引き上げられる。それによって、成形用支
持体7の両面上で、セラミックグリーンシート8および
9が一挙に成形される。
【0009】このようにして、2枚のセラミックグリー
ンシート8および9を得た後、キャリアフィルム5およ
び6を、それぞれ、両面粘着シート4から剥離すること
により、キャリアフィルム5によって裏打ちされたセラ
ミックグリーンシート8とキャリアフィルム6によって
裏打ちされたセラミックグリーンシート9とは、それぞ
れ、別に取り扱える状態となる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
図5に示した技術では、最終的には捨てるにもかかわら
ず、比較的高価な両面粘着シート4を用いるため、成形
用支持体7のコストが高くなるという問題がある。ま
た、捨てられた両面粘着シート4は、産業廃棄物を発生
するという問題も引き起こす。
【0011】そこで、この発明の目的は、図5に示した
技術の利点を維持しながら、上述の問題を解決できる、
セラミックグリーンシートの製造方法およびセラミック
グリーンシート成形用支持体を提供しようとすることで
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明に係るセラミッ
クグリーンシートの製造方法は、上述の技術的課題を解
決するため、樹脂フィルムからなる管状の成形用支持体
を用意し、この管状の成形用支持体を偏平状に変形さ
せ、それによって互いに接しかつ両側部が折り目を介し
て互いに連結された2枚のキャリアフィルムを形成し、
これら2枚のキャリアフィルムの各々の外側に向く面上
でセラミックグリーンシートをそれぞれ成形し、次い
で、成形用支持体を折り目に沿って切断することによ
り、2枚のキャリアフィルムを互いに分離する、各工程
を備えることを特徴としている。
【0013】また、この発明に係るセラミックグリーン
シート成形用支持体は、樹脂フィルムからなる管状のも
のを偏平状に変形させることによって得られるものであ
って、互いに接しかつ両側部が折り目を介して互いに連
結された2枚のキャリアフィルムを備え、互いに接する
2枚のキャリアフィルムの各々の外側に向く面上でセラ
ミックグリーンシートをそれぞれ成形するように用いら
れる。
【0014】
【発明の実施の形態】図1ないし図4は、この発明の一
実施形態によるセラミックグリーンシート成形用支持体
を用いたセラミックグリーンシートの製造方法を説明す
るためのものである。
【0015】図1にその端面を示すように、管状の樹脂
フィルムからなる長尺の成形用支持体11が用意され
る。この成形用支持体11は、たとえば、ポリエチレン
またはポリエチレンテレフタレート等の気密性および可
塑性を有する樹脂からなる厚さ10〜100μmのフィ
ルムによって構成される。また、管状の成形用支持体1
1の外側に向く面は、セラミックスラリーの成形性ある
いは剥離性を適当なものとするため、必要に応じて、表
面処理が施されてもよい。
【0016】次いで、この管状の成形用支持体11は、
図2に示すように、偏平状に変形される。これによっ
て、互いに接しかつ両側部が折り目12を介して互いに
連結された2枚のキャリアフィルム13および14が形
成される。この工程を実施するため、たとえば、成形用
支持体11を構成する樹脂フィルムの厚みのほぼ2倍の
クリアランスをもつ1対のロール間に成形用支持体11
を通し、管状の成形用支持体11の内部の空気を追い出
しながら、成形用支持体11の直径方向に対向する2つ
の半部を互いに密着させることが行なわれる。
【0017】次いで、これら重ね合わされた2枚のキャ
リアフィルム13および14の各々の外側に向く面上
で、図3に示すように、セラミックグリーンシート15
および16がそれぞれ成形される。これらセラミックグ
リーンシート15および16の成形には、たとえば、セ
ラミックスラリー中に成形用支持体11を浸漬した後、
引き上げる方法が用いられる。この方法によれば、成形
用支持体11の両面、すなわちキャリアフィルム13お
よび14の各々の外側に向く面上で、一挙に2枚のセラ
ミックグリーンシート15および16を成形することが
容易である。この方法に代えて、ロールコータを用いて
セラミックスラリーを塗布する方法、スプレーによって
セラミックスラリーを塗布する方法、ドクターブレード
によってセラミックスラリーを付与する方法、等を用い
ることもできる。
【0018】次いで、図示しない刃を適用することによ
り、成形用支持体11が、図3に1点鎖線で切断線17
を示すように、折り目12に沿って切断される。このと
き、この実施形態では、切断線17に沿う切断はセラミ
ックグリーンシート15および16をも切断する。この
ようにして、成形用支持体11の折り目12の近傍部分
は、その上に乗るセラミックグリーンシート15および
16の各一部とともに除去される。
【0019】なお、上述の切断線17は、折り目12の
近傍に位置していたが、図3において破線で示すよう
に、折り目12上を通る切断線18に沿って成形用支持
体11が切断されてもよい。
【0020】また、切断線17または18に沿う切断
を、切断刃の適用なしで、容易に進められるようにする
ため、ミシン目などを切断線17または18上を通るよ
うに予め成形用支持体11に形成しておいてもよい。
【0021】次いで、図4に示すように、2枚のキャリ
アフィルム13および14は、互いに分離される。これ
によって、一方のキャリアフィルム13によって裏打ち
されたセラミックグリーンシート15と、他方のキャリ
アフィルム14によって裏打ちされたセラミックグリー
ンシート16とが、各々別に取り扱える形態となる。
【0022】
【発明の効果】このように、この発明によれば、2枚の
キャリアフィルムを重ね合わせた状態とするため、高価
な両面粘着シートを用いず、単に管状の成形用支持体を
偏平状に変形させているにすぎないので、2枚のキャリ
アフィルムを備える成形用支持体のコストを低減するこ
とができる。また、捨てられる両面粘着シートによる産
業廃棄物が生じることもない。
【0023】また、2枚のキャリアフィルムは、管状の
成形用支持体を偏平状に変形させるだけで得られ、ま
た、各々の両側部が折り目を介して互いに連結された状
態であるので、互いに位置ずれすることなく、容易に重
ね合わされた状態とすることができる。
【0024】また、前述した図5に示す技術と同様、成
形用支持体の両面上で、それぞれ、セラミックグリーン
シートを成形でき、その後、2枚のキャリアフィルムを
互いに分離することにより、第1のキャリアフィルムに
よって裏打ちされた第1のセラミックグリーンシートと
第2のキャリアフィルムによって裏打ちされた第2のセ
ラミックグリーンシートとを、それぞれ、別に取り扱え
る状態にすることができる。したがって、薄層化された
セラミックグリーンシートをキャリアフィルムの裏打ち
によって損傷させることなく取り扱うことが可能とな
り、このようなセラミックグリーンシートを用いて製造
される積層セラミック電子部品の小型化あるいは薄型化
を図りながら、高性能化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態による成形用支持体11
を示す端面図である。
【図2】図1に示した成形用支持体11を偏平状に変形
させて2枚のキャリアフィルム13および14を形成し
た状態を示す断面図である。
【図3】図2に示した2枚のキャリアフィルム13およ
び14上にセラミックグリーンシート15および16を
成形した状態を示す断面図である。
【図4】図3に示した切断線17に沿う切断工程の後、
2枚のキャリアフィルム13および14を互いに分離し
た状態を示す断面図である。
【図5】この発明にとって興味あるセラミックグリーン
シート8および9の製造方法を説明するための図2に相
当の図である。
【符号の説明】
11 成形用支持体 12 折り目 13,14 キャリアフィルム 15,16 セラミックグリーンシート 17,18 切断線

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂フィルムからなる管状の成形用支持
    体を用意し、 管状の前記成形用支持体を偏平状に変形させ、それによ
    って互いに接しかつ両側部が折り目を介して互いに連結
    された2枚のキャリアフィルムを形成し、 2枚の前記キャリアフィルムの各々の外側に向く面上で
    セラミックグリーンシートをそれぞれ成形し、 次いで、前記成形用支持体を前記折り目に沿って切断す
    ることにより、2枚の前記キャリアフィルムを互いに分
    離する、各工程を備える、セラミックグリーンシートの
    製造方法。
  2. 【請求項2】 樹脂フィルムからなる管状のものを偏平
    状に変形させることによって得られるものであって、互
    いに接しかつ両側部が折り目を介して互いに連結された
    2枚のキャリアフィルムを備え、互いに接する2枚の前
    記キャリアフィルムの各々の外側に向く面上でセラミッ
    クグリーンシートをそれぞれ成形するように用いられ
    る、セラミックグリーンシート成形用支持体。
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