JP3287173B2 - 赤外線検出素子 - Google Patents

赤外線検出素子

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    • H01L27/14Devices consisting of a plurality of semiconductor or other solid-state components formed in or on a common substrate including semiconductor components sensitive to infrared radiation, light, electromagnetic radiation of shorter wavelength or corpuscular radiation and specially adapted either for the conversion of the energy of such radiation into electrical energy or for the control of electrical energy by such radiation
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ボロメータ型の赤外
線検出素子とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図15(a)は、従来のボロメータ型の
赤外線検出素子の基本的な構造を示す平面図である。図
15(b)は図15(a)のAA断面図である。図にお
いて、1は基板である。2は赤外線検出部で、基板1上
に形成され、熱により抵抗値が変化する可変抵抗層で、
例えば金属薄膜、酸化バナジウム等のセラミクス、多結
晶、非晶質シリコン等の材料で形成されている。3は電
極で、この電極により、感熱層に電圧あるいは電流を印
加する。4は基板1上に形成された絶縁層である。
【0003】図16は、図15の基本構造の種々の具体
的な実施例の赤外線検出部分の構成を示したものであ
る。図16(a)に示す従来例は、絶縁層4の上に空洞
5が形成されており、この上に感熱半導体層あるいは感
熱抵抗層による赤外線検出部2が形成されている。この
検出部の表面は、外部に信号を読み出すための電極3に
より殆ど覆われている。この電極3による赤外線吸収熱
は感熱抵抗層2に伝達され赤外線の検出感度が増加す
る。図16(b)に示す従来例は、検出器の直上に金属
薄膜による熱吸収層6を設け、この熱を赤外線検出部2
に伝達して感度を向上するようにしている。図16
(c)に示す従来例は、赤外線検出部2からの外部取出
電極3を、TiN等の金属電極を使用し、この電極3を
熱吸収層の働きをも兼ねるようにしている。なお、その
素子の電流の流れは、例えば右の電極8から流入し、感
熱抵抗層を通って一旦下の電極8に流れ、次に下の電極
8から感熱抵抗層2を通って左上の電極8に流れる。
【0004】この様な従来の赤外線検出素子の動作を示
す。赤外線検出素子に赤外線が照射されると、周囲の吸
収層等から伝達された熱により感熱層の抵抗値が変化す
る。この抵抗値の変化を電極3に印加した電圧あるいは
電流の変化として検出し、赤外線の照射を検出する。
【0005】しかしながら、従来の多結晶、あるいは非
晶質シリコンを用いた赤外線検出素子においては、必要
な抵抗温度係数(後述する)を得るために添加する不純
物量を微少とすると、赤外線の吸収量が非常に小さい。
このため、赤外線吸収を高めるために、図16(a)に
示したように、多結晶および非晶質シリコンと電気信号
を接続する導電膜を多結晶および非晶質シリコンの上ま
たは下を覆ったり、図16(b)に示したように、熱吸
収層6を設けたり、また図16(c)に示したように、
金属薄膜8を検出器内に別に設けるなど、赤外線の吸収
を補助している。このように、従来の赤外線検出素子に
おいては、感熱半導体以外の膜を用いて赤外線を吸収
し、これを感熱半導体等に伝達して赤外線を検出すると
いう構造が必要であった。
【0006】図17に、上記赤外線検出素子をアレー状
に配置して形成した赤外線撮像装置を示す。図において
14は図15に示したに赤外線検出素子、15は垂直方
向画素選択回路、16は水平方向画素選択回路である。
これら回路は赤外線検出素子14に走査線を介して接続
されている。特定の画素の選択は次のように行われる。
例えば垂直方向画素選択回路15の第3端子と水平方向
画素選択回路16の第2端子に電圧を印加したとする
と、電流がabcdの経路を通って流れ赤外線検出素子
14が選択される。このとき、この素子に赤外線の照射
があれば、電圧あるいは電流の変化として検知される。
しかしながら、この素子を流れる電流経路としてabe
fghijcdの経路も可能であり、同様にして他の素
子選択時の電流の重なり合いもあるので、真の選択素子
の見分けが付かなくなる場合がある。そこで、図18に
示すように、走査線の交差部分にそれぞれ電界効果トラ
ンジスタ17等によるスイッチ素子を設け、所定の素子
のみを選択するようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ボロメータ型赤外線検
出素子の性能は、雑音等価温度差(NETD)をいかに
小さくするかによる。ボロメータ型赤外線検出素子のN
ETDは NETD ∝ G(1+ω2τ21/2/(IbαReη) (1) と表される。ここでIbは感熱抵抗層のバイアス電流、
eは感熱抵抗層の抵抗値、αは抵抗温度係数(TC
R)、ηは赤外線検出素子の赤外線吸収率、Gは赤外線
検出素子と基板との間の熱伝導率、ωは赤外線の角周波
数、τは熱反応時間である。性能の良いボロメータ型赤
外線検出素子は、(1)赤外線の検出感度である抵抗温
度係数TCRが大きいこと、(2)低い熱伝導率、
(3)小さい熱容量、(4)赤外線吸収率が大きいこと
等を満たすことである。即ち、赤外線検出素子の赤外線
の吸収量と検出感度の両方が大きいことが必要である。
【0008】多結晶シリコン、あるいは非晶質シリコン
を感熱抵抗層として用いる場合、ボロンやリン、ヒ素等
の不純物を注入して所望の抵抗率および高い抵抗温度係
数(TCR)を得ることにより感度を増加することがで
きる。このことに関しては、多結晶および非晶質シリコ
ンを使用したボロメータの例として、米国特許5021
663号や特開平5−507144号公報などに、抵抗
温度係数を制御するために不純物を制御する方法が述べ
られている。しかし、必要な抵抗温度係数を得るために
添加する不純物量が微少である場合、多結晶及び非晶質
シリコン自体の赤外線吸収量は非常に小さい。このた
め、赤外線吸収を高めるために多結晶および非晶質シリ
コンと電気信号を接続する導電膜を多結晶および非晶質
シリコンの上または下を覆ったり、金属薄膜を検出器内
に別に設けて、赤外線の吸収を補助する構造が必要であ
るという問題があった。
【0009】また、素子の抵抗は多結晶及び非晶質シリ
コンと薄膜金属およびその化合物と電極との接触部の界
面状態や薄膜金属およびその化合物の種類などに依存
し、特に多結晶および非晶質シリコンの不純物濃度の薄
い場合は安定したオーミックコンタクトを得ることが難
しいという問題があった。抵抗の温度変化を検出する方
法をとる抵抗ボロメータ方式では、よいオーミックコン
タクトをとることは、抵抗の電流−電圧特性の安定性及
びコンタクト部の1/f雑音の低減のためにもたいへん
重要である。
【0010】また、赤外線検出素子が微細化すると、高
密度実装が可能となるが、個々の赤外線検出素子の受光
面積が減少し、感度が低下するという問題がある。
【0011】また、赤外線撮像装置において、個々の赤
外線検出素子部分に素子選択用の回路を付加すると、回
路等が大きな面積を占め、構造が複雑となり、高密度実
装が困難となるという問題がある。
【0012】また、シリコン集積回路と赤外線検出部と
を同一の製造ラインで形成すると、集積回路形成時の高
温により、赤外線検出部に高濃度不純物層からの不純物
の拡散により、検出感度が低下するという問題があっ
た。
【0013】また、従来の赤外線検出素子および赤外線
撮像装置では、感熱抵抗層2として酸化バナジウム等の
材料を用いたため、シリコン半導体集積装置の製造装置
を用いて製造しようとすると、装置を汚染する等の問題
があり、半導体集積回路とが同一の製造装置で形成でき
ないため、赤外線撮像装置の製造の歩留まりが悪く、高
価であるという問題があった。
【0014】また、微細な赤外線検出素子を形成すると
き、電子製版のマスクずれ等によるロット間素子のバラ
ツキ等を生ずるという問題があった。
【0015】この発明は上記のような問題点を解消する
ためになされたもので、感熱半導体層の赤外線検出感度
と赤外線吸収感度とを向上し、感熱半導体層自体で赤外
線の吸収と検出の両方ができる赤外線検出素子を提供す
ることを第1の目的とする。また、第1の目的を達成す
るとともに、素子の抵抗率が大きくても低い電圧で駆動
できる赤外線検出素子の構造を提供することを付加的な
目的とし、これを第2の目的とする。また、第1の目的
を達成するとともに、同時に形成する集積回路の高温の
製造工程後においても素子性能が変わらない赤外線検出
素子を提供することを付加的な目的とし、これを第3の
目的とする。また、第1の目的を達成するとともに、単
純な素子構成で赤外線撮像装置の素子の選択が可能な赤
外線素子を提供することを付加的な目的とし、これを第
4の目的とする。また、第1の目的を達成するととも
に、製造ロット間の性能のバラツキの少ない赤外線検出
素子を提供することを付加的な目的とし、これを第5の
目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】請求項1に係わる発明
は、基板と、この基板上に形成された絶縁層と、この絶
縁層上に形成され温度に対して電気抵抗が変化し、その
抵抗温度係数が比較的大きな半導体層およびこの半導体
層を挟んで形成され、10 18 〜10 20 /cm の不
純物を含む高濃度不純物層とで形成される感熱半導体層
と、この高濃度不純物層と接続された電極とを備えるよ
うにしたものである。
【0017】請求項2に係わる発明は、基板上の絶縁層
上に形成された第1の電極と、この第1の電極上に形成
された第1の高濃度不純物層とこの第1の高濃度不純物
層上に形成され温度に対して電気抵抗が変化し、その抵
抗温度係数が比較的大きな半導体層及びこの半導体層上
に形成された第2の高濃度不純物層とで構成される感熱
半導体層と、この第2の高濃度不純物層上に形成された
第2の電極とを備え、第1及び第2の高濃度不純物層が
10 18 〜10 20 /cm の不純物を含み半導体層上
下の全面に形成されるようにしたものである。
【0018】請求項3に係わる発明は、請求項1または
2の発明において、半導体層と高濃度不純物層との間に
拡散防止層を備えるようにしたものである。
【0019】請求項4に係わる発明は、請求項1または
3の発明において、基板上の絶縁層上の基板面と平行な
面内に形成された第1及び第2の高濃度不純物層間に半
導体層を備えるようにしたものである。
【0020】請求項5に係わる発明は、請求項1から4
のいずれかの発明において、半導体層を挟む一対の高濃
度不純物層が逆導電型であるようにしたものである。
【0021】
【0022】
【作用】請求項1の発明は、比較的大きな抵抗温度係数
の半導体層を用いたので、半導体層自体の赤外線の検出
感度が高められるように働き、高濃度不純物層の赤外線
吸収率が大きいので赤外線の吸収量を増加するように働
き、また電極との接続部をオーミックとしたので信号の
バラツキを防ぐように働き、感熱半導体層自体で赤外線
が検出できるように感度を高めるように働く。
【0023】請求項2の発明は、比較的大きな抵抗温度
係数の半導体層を用いたので、半導体層自体の赤外線の
検出感度が高められるように働き、高濃度不純物層の赤
外線吸収率が大きく、またこの面積を大きくとったので
赤外線の吸収量を増加するように働き、また電極との接
続部をオーミックとしたので信号の減少を防ぐように働
き、感熱半導体層自体で赤外線が検出できるように感度
を高められるように働く。また、第1及び第2の高濃度
不純物層が上記半導体層上下の全面に形成されるように
したので、感熱半導体層の抵抗率が大きい場合でも、素
子の抵抗値を小さくするように働く。
【0024】請求項3の発明は、請求項1または2の発
明において、半導体層と高濃度不純物層との間に拡散防
止層を備えるようにしたので、半導体層自体の赤外線の
検出感度が高められるように働き、高濃度不純物層によ
り赤外線の吸収量を増加するように働き、また電極との
接続部をオーミックとしたので信号の減少を防ぐように
働き、感熱半導体層自体で赤外線が検出できるように感
度を高めるように働くとともに、高温製造工程における
高濃度不純物層から感熱半導体層への不純物の拡散を防
止するように働く。
【0025】請求項4に係わる発明は、請求項1または
3の発明において、基板上の絶縁層上の基板面と平行な
面内に形成された第1及び第2の高濃度不純物層間に半
導体層を備えるようにしたので、半導体層自体の赤外線
の検出感度が高められるように働き、高濃度不純物層に
より赤外線の吸収量を増加するように働き、また電極と
の接続部をオーミックとしたので信号の減少を防ぐよう
に働き、感熱半導体層自体で赤外線が検出できるように
感度を高めるように働くとともに、半導体層の幅を規定
する写真製版の精度を高めるように働く。
【0026】請求項5に係わる発明は、請求項1から4
のいずれかの発明において、感熱半導体層がダイオード
機能を有するようにしたので、半導体層自体の赤外線の
検出感度が高められるように働き、高濃度不純物層によ
り赤外線の吸収量を増加するように働き、また電極との
接続部をオーミックとしたので信号の減少を防ぐように
働き、感熱半導体層自体で赤外線が検出できるように感
度を高めるように働くとともに、赤外線検出素子をマト
リクス状に配置して形成した赤外線撮像装置において、
所望の素子以外の電流路が阻止されるように働く。
【0027】
【0028】
【実施例】
実施例1.図1(a)にこの発明の赤外線検出素子の第
1の実施例の平面図を、また図1(b)に図1(a)の
AA断面図を示す。20はシリコン基板で、21はシリ
コン基板上に形成された絶縁層である。22は後述の空
洞25上の、絶縁層21上に形成された赤外線波長領域
で大きな吸収率を有する絶縁層である。23は感熱半導
体層で、赤外線吸収による温度上昇で抵抗値が変化する
可変抵抗層である。この感熱半導体層23は、絶縁層2
2上に形成され、赤外線の検出感度である抵抗温度係数
が比較的大きい半導体層と、この半導体層の上下全面を
挟んで形成された赤外線の吸収量が大きい高濃度不純物
層とで形成され、多結晶または非晶質シリコンで形成さ
れている。素子面積は例えば30μm×30μmで、膜
厚約2000Å程度のものである。24は電極で、感熱
半導体層23と外部回路と接続されている。25は空洞
で、感熱半導体層23の下側の絶縁層22の下に形成さ
れ、感熱半導体層23の熱が外部に伝達しにくいように
するためのものである。
【0029】この実施例1の赤外線検出素子は、薄い感
熱半導体層23を挟んで上下に広い電極24を備えた構
造のもので、このようにすることにより、感熱半導体層
23の抵抗率が大きい場合でも電極24間の抵抗値を小
さくすることができるので、信号処理回路に適合した低
い印加電圧で駆動することができる。
【0030】図2は図1の感熱半導体層23の部分を拡
大して示したものである。図2(a)の感熱半導体層2
3は、赤外線吸収による温度上昇で抵抗値が変化する可
変抵抗層である。この感熱半導体層23は、赤外線の検
出感度である抵抗温度係数が比較的大きい半導体層2
6、例えば所望の抵抗率、例えば104Ωm〜10-2Ω
m等、および所望の抵抗温度係数(TCR)となるよう
に不純物が注入されているか、あるいは全く不純物の注
入のない多結晶または非晶質シリコン層と、この半導体
層26を挟んで形成された赤外線の吸収量が大きく、ま
た電極24とオーミック接続をする高濃度不純物層2
7、28とで形成されている。さらに高濃度不純物層2
7、28を挟んでその両側に電極24が形成されてい
る。
【0031】図2(b)は、図2(a)に示す高濃度不
純物層27の上側の一端に電極24が形成されたもので
ある。さらに高濃度不純物層28の一端に他の電極24
が形成されたものである。29は保護のための絶縁層で
ある保護層である。この構造は、後述する実施例11で
示すように、電極24の製造工程数を減らすための例で
ある。
【0032】図2(c)は、半導体層26と高濃度不純
物層27、28との間に拡散防止層、即ちバリア層30
が形成されたものである。
【0033】図2に示した半導体層26の不純物注入量
は次のようにして決められる。図3(a)は、多結晶シ
リコンのボロンの注入量に対する抵抗率の変化を、また
図3(b)はボロン注入量に対する抵抗温度係数TCR
の変化の一例を示すものである。また図3(c)は抵抗
率と抵抗温度係数TCRとの関係を示すものである。赤
外線検出素子の検出感度を上げるために、半導体層26
の抵抗温度係数TCRを大きくしたいので、図3から、
例えばボロンを1017〜1018/cm3程度の注入をする
と大きな抵抗温度係数TCRとすることができる。この
実施例1では、半導体層26として、例えば、膜厚20
0nmの多結晶シリコンを用いて、2.2×1013/cm
2ボロンを注入し、即ち1.1×1018/cm3の注入によ
り、抵抗率は110ミリΩm、抵抗温度係数は2.0%/
Kの値が得られている。しかしながら、図3(c)から
わかるように、抵抗温度係数TCRを大きくして行くと
半導体の抵抗率が増大してしまう。従って、図3
(a)、図3(b)を比較参照しながら、例えば赤外線
検出素子の構造を実施例1または、後述の実施例2のも
のとしたとき、抵抗率がこれらの構造で駆動できる大き
さ以上に増大しない範囲に押さえた上で、抵抗温度係数
TCRを最大とするように不純物の注入量を決定する必
要がある。例えば図3から、多結晶シリコン層へのボロ
ン注入を1017〜1018/cm3程度と選択することがで
きる。
【0034】注入する不純物イオンの種類は上記のボロ
ンに限るものでなく、リン、ヒ素等でも同様な特性を実
現することができる。
【0035】また、高濃度不純物層27、28は、自由
電子吸収により、赤外線を吸収し、その注入量が増加す
るにつれて吸収量も増加するので赤外線吸収層として用
いる。多結晶シリコンで形成する場合には、ボロンを1
18/cm以上に注入量が増加すると、赤外線の吸
収量が増加する。しかしながら、注入量が1020/c
以上になると表面からの反射が増加するので赤外線
吸収の立場から不利となり、1018〜1020/cm
程度の注入量とする。
【0036】高濃度不純物層27、28のイオン注入量
を、例えば図3(a)に示すように、多結晶シリコンに
ボロンを1018/cm3程度以上とすると、抵抗率が10
-2Ωm以下にすることができ、電極24との接続をオー
ミックとすることができる。
【0037】また、実施例1の赤外線検出素子におい
て、絶縁層22も赤外線を吸収して感熱半導体26に伝
達して赤外線検出感度をあげるため、赤外線領域の光に
対して吸収率が大きなもの使用している。例えば、図4
(a)に示すように二酸化シリコンは波長9.5μmに
おいて約40%の吸収率があり、また図4(b)に示す
ように窒化シリコンは波長12μmで約30%程度の吸
収が観測されている。
【0038】また、図1の感熱半導体層23の上に赤外
線の吸収材料としての上記多結晶あるいは非晶質シリコ
ン層の吸収を高めるために、ケイ化チタン膜、あるいは
ケイ化白金膜による反射膜を重ねて形成すると更に受光
した赤外線を有効に検知することができる。
【0039】また、実施例1の赤外線検出素子は、感熱
半導体層23と基板20との間に空洞25を設けてい
る。これにより感熱半導体層23は電極24とその下側
にある絶縁層22とで構成される橋部のみにより空洞2
5上に支持されているので、感熱半導体層23に発生し
た熱が基板20や外部と熱的に分離されており、受光し
た赤外線量を有効に検知することができる。
【0040】また実施例1の赤外線検出素子は、図2
(c)に示すように、多結晶あるいは非晶質シリコン層
による半導体層26と高濃度不純物層27、28との間
に拡散防止層30が設けられる場合がある。この層は、
この赤外線検出素子と同時的に形成される集積回路等の
製造工程に含まれる高温工程により、高濃度不純物層2
7、28から低濃度不純物である半導体層26へのリン
等の拡散を防止するためのものである。
【0041】このバリア層は窒化シリコンまたは二酸化
シリコンであってもよい。
【0042】次にこの赤外線検出素子の動作について説
明する。図1において、感熱半導体層23に例えば7〜
12μmの波長帯の赤外線が照射されると、多結晶ある
いは非晶質シリコンによる感熱半導体層23が赤外線を
吸収し、その温度が上昇し抵抗変化を生じる。この抵抗
変化を感熱半導体層23両端の電極24から印加した電
圧または電流の変化分として読みとることができる。
【0043】この赤外線検出素子の構造は、第1、第2
の高濃度不純物層27、28が半導体層26上下の全面
に形成されるようにして、半導体層26の上下に広い電
極面を備え、基板に垂直方向の感熱抵抗層の厚み内を電
流が流れる構造としている。一般に抵抗層の抵抗値R
は、抵抗層の材料の抵抗率をρ、抵抗層の断面積をS,
抵抗層の長さをlとすると、R=ρl/Sと表せるの
で、この実施例1の赤外線検出素子の抵抗は、感熱半導
体層23の抵抗率が大きくとも、高濃度不純物層27と
高濃度不純物層28間距離である半導体層26の膜厚を
小さく、高濃度不純物層27、28の面積を大きくする
ことにより小さくすることができ、信号処理回路に適合
した低い電圧で駆動することができる。
【0044】また、実施例1の赤外線検出素子は、半導
体層26として多結晶または非晶質シリコン層に適当量
のボロン、リン、ヒ素が低濃度に注入された、あるいは
全く注入されないで用いられているので、赤外線検出感
度である抵抗温度係数TCRの大きな素子を実現するこ
とができ、赤外線検出感度のよいボロメータ型の赤外線
検出素子を形成することができる。
【0045】また、半導体層26の上下に設けられた高
濃度不純物28、29は、この層の自由電子吸収による
赤外線の吸収量が不純物注入量とともに増加するので、
赤外線吸収層として用いられる。この実施例では、ボロ
ン注入量を1020/cm3程度以上とすると、表面反射が
増大するので1018〜1020/cm3程度の注入量が良
い。さらに、この実施例では、素子の広い面全体を覆っ
て高濃度不純物層27、28を形成して吸収面積を広
げ、赤外線の吸収量を増大している。また、高濃度不純
物27、28のボロン注入量を1018/cm3以上とし
て、抵抗率を10-2Ωm以下としているので、電極24
との接続をオーミックとすることができ、電極との接続
部における信号の減衰がなく、検出した信号を有効に取
り出すことができる。このように、感熱半導体自体の赤
外線吸収と、検出感度を高めることにより、それ自体の
みで赤外線の検出が可能としている。
【0046】また、実施例1の赤外線検出素子におい
て、赤外線領域の光の吸収率が大きい絶縁層22を用い
ているので、使用する赤外線の波長により、適宜絶縁材
料を選択することにより、絶縁層22として働くととも
に、半導体層26と共に赤外線を吸収して半導体層26
に伝達して赤外線検出素子の感度を上げることができ
る。
【0047】また、実施例1の赤外線検出素子は、感熱
半導体層23と基板20との間に空洞25を設けてい
る。これにより感熱半導体層23は電極24とその下側
にある絶縁層22とで構成される橋部のみにより空洞2
5上に支持されているので、感熱半導体層23に発生し
た熱が基板20や外部と熱的に分離されており、受光し
た赤外線量を有効に検知することができる。
【0048】また実施例1の赤外線検出素子は、図2
(c)に示すように、感熱半導体層23を構成する多結
晶あるいは非晶質シリコン層による半導体層26と高濃
度不純物層27、28との間にバリア層30が設けられ
る場合がある。この層は、この赤外線検出素子と同時的
に形成される集積回路等の製造工程に含まれる高温工程
により、高濃度不純物層27、28から低濃度不純物注
入層である半導体層26へのリン等の拡散を防止し、素
子性能の低下を防止するためのものである。
【0049】このバリア層は窒化シリコンまたは二酸化
シリコンであってもよい。
【0050】実施例2.図5(a)にこの発明の赤外線
検出素子の他の実施例の平面図を、また図5(b)にそ
のAA断面図を示す。この赤外線検出素子は、シリコン
基板20上に形成された空洞25の上に、絶縁層22が
形成されている。この絶縁層22上の基板20面に平行
な面内に低濃度不純物層あるいは不純物の注入のない多
結晶あるいは非晶質シリコン層による半導体層26と、
この半導体層26を挟んで形成された高濃度不純物層2
7、28とから構成される感熱半導体層23と、この高
濃度不純物層27、28と接続して形成された電極24
とで形成されている。
【0051】この実施例の赤外線検出素子の寸法は、例
えば30μm×30μmで、そのうち半導体層26は2
μm×30μmでその両側が14μm×30μmの高濃
度不純物層27、28である。広い面積の高濃度不純物
層27、28で赤外線が吸収され、半導体層26で赤外
線が検出される。
【0052】この構成の素子においては、実施例1の構
造の素子と比較して、同じ抵抗率の材料を用いた場合に
は素子の抵抗が高く、高い印加電圧が必要という問題が
ある。
【0053】しかしながら、赤外線撮像装置において
は、多数の素子間の性能のバラツキが問題となる。この
バラツキを規制するものとして、製造時における半導体
層26の幅の再現性がある。この実施例2における、信
号電流経路が基板と平行となる構造のものでは、後述す
る実施例9で示すように、半導体層26の幅を正確に形
成するために精度の高いマスクのアラインメントが可能
なので、信頼性の高い赤外線撮像装置を形成することが
できる。
【0054】実施例3.実施例1または2の赤外線検出
素子において、図6(a)または図6(b)に示すよう
に、半導体層26の両側に形成した高濃度不純物層2
7、28を異なった伝導型の高濃度不純物層とすること
により、半導体層26との組み合わせでダイオードを構
成することができる。
【0055】図6(a)または図6(b)に示した赤外
線検出素子を用いてマトリクス状に配置してアレイを構
成した場合の一画素部分を取り出したものを図6(c)
に示す。図17で示したabefghijcdの経路の
うち、ji、fe等の回り込みの電流が生ぜず、電界効
果トランジスタのようなスイッチ回路を形成することな
く、所望の素子の選択をすることができる。したがっ
て、基板中にスイッチのための大きな面積を占めること
がないので、高密度実装が可能となる。
【0056】ダイオードを形成する方法は、種々の伝導
型の半導体層の組み合わせが可能であり、以下に示す変
形ができる。これは駆動する走査回路の極性や、耐圧の
大小により選択することができる。
【0057】感熱半導体層23が、p型高濃度不純物層
27−p型低濃度不純物層または不純物が注入されてい
ない多結晶または非晶質シリコン層による半導体層26
−p型高濃度不純物層28、という構造のもの。
【0058】感熱半導体層23が、n型高濃度不純物層
27−n型低濃度不純物層または不純物が注入されてい
ない多結晶または非晶質シリコン層による半導体層26
−n型高濃度不純物層28、という構造のもの。
【0059】感熱半導体層23が、p型高濃度不純物層
27−n型低濃度不純物層または不純物が注入されてい
ない多結晶または非晶質シリコン層による半導体層26
−n型高濃度不純物層28、という構造のもの。
【0060】感熱半導体層23が、p型高濃度不純物層
27−p型低濃度不純物層または不純物が注入されてい
ない多結晶または非晶質シリコン層による半導体層26
−n型高濃度不純物層28、という構造のもの。
【0061】感熱半導体層23が、p型高濃度不純物層
27−p型低濃度不純物層または不純物が注入されてい
ない多結晶または非晶質シリコン層による半導体層26
−p型高濃度不純物層28、という構造のもの。
【0062】実施例4.図7にこの発明の赤外線検出素
子のさらに他の実施例を示す。図7の赤外線検出素子
は、第1及び第2の実施例の赤外線検出素子において、
空洞25からの赤外線の反射光を検知素子に集め、受光
した赤外線を有効に利用するため、空洞25の底に反射
膜32を設けたものである。
【0063】反射膜32材料として、反射率の大きな材
料、アルミニウム、タングステン、タングステンシリサ
イド等が用いられる。
【0064】光学的共振構造としてλ/4となるよう感
熱半導体層23と基板の底との距離を調整することによ
り、より効果的に集光することができる。この距離は空
洞25を形成する際、後述する実施例5で示す犠牲層3
5の堆積膜厚で調整することができる。この距離は検出
する波長が10μm近辺の場合屈折率が1の空間で2.
5μmとなるが、集光の効果があれば距離は2.5μm
である必要はない。
【0065】実施例5.図8により、実施例1の赤外線
検出素子の製造方法を示す。図8(a)に示すように、
シリコン基板上20上に、CVD法等により二酸化シリ
コンあるいは窒化シリコン等の絶縁層21を形成する。
【0066】次に図8(b)に示すように、減圧CVD
やプラズマCVD,スパッタ法により多結晶、あるいは
非晶質シリコン層を形成し、これをパターニングして犠
牲層パターン35を形成する。
【0067】次に、図8(c)に示すように、この上に
CVD法により、二酸化シリコンあるいは窒化シリコン
層等の絶縁層22を形成する。これらの材料は、赤外線
検出素子の温度上昇を良好にするために、薄膜とする。
ただし、機械的強度との兼ね合いで膜厚を設定する。二
酸化シリコンの場合200nm堆積してある。
【0068】次に、図9(a)に示すように、この上に
反応性スパッタ法により、金属または窒化チタン等を成
膜し、パターニングすることにより、電極24を形成す
る。
【0069】次に、図9(b)に示すように、この上に
多結晶あるいは非晶質シリコンによる半導体層26を形
成する。
【0070】次に、図9(c)に示すように、この上に
高濃度のリン等の不純物元素をイオン注入して高濃度不
純物層27を形成する。
【0071】更に、図10(a)に示すように、この上
に多結晶あるいは非晶質シリコン層による半導体層26
を形成する。このとき、半導体層26が所望の抵抗率、
例えば104〜10-2Ωm、あるいは所望の抵抗温度係
数TCRとなるように、この半導体層26に低濃度のリ
ン等の不純物を注入したり、あるいは全く不純物を注入
しないまま用いることがある。
【0072】次に図10(b)に示すように、この上に
多結晶あるいは非晶質シリコン層を形成し、この層に高
濃度のリン等の不純物元素のイオン注入をし、高濃度不
純物層28を形成する。このとき、高濃度不純物層2
7、28は比抵抗が10-2Ωm以下となるように高濃度
にリンを注入している。
【0073】高濃度不純物層27、28形成のため、こ
の実施例では注入する不純物元素としてリンイオンを用
いたが、ヒ素でも、またボロン等でもよい。
【0074】上記の種々の多結晶や非晶質シリコン層に
よる半導体層26をシランやホスフィンなどを原料とし
てプラズマCVDや減圧CVDで成膜する場合は、高濃
度不純物層27、28および低濃度不純物注入層である
半導体層26等を形成する工程を連続処理で一度に積層
膜を形成させてもよい。また、それぞれのイオン注入を
別々に行い、それぞれの不純物原子をイオン注入法、あ
るいはリンを高濃度に含んだ二酸化シリコン層から拡散
させて形成してもよい。
【0075】次に、図10(c)に示すように、絶縁層
31を形成後、半導体層26、高濃度不純物層27、2
8で構成される感熱半導体層上に電極24を形成する。
【0076】次に、図示していないが、上記感熱半導体
層のパターンの外側部分の絶縁層22上から犠牲層35
までホールを形成し、このホールに水酸化カリウムやヒ
ドラジン等の溶液を注入して犠牲層パターン35を溶解
し、空洞25を形成する。
【0077】実施例6.図11に、第2の実施例で示し
た、感熱半導体23の電流方向がシリコン基板20の面
と平行に流れる構造の赤外線検出素子の製造方法を示
す。図11(a)に示すように、実施例5の図8(c)
の犠牲層35上に絶縁層22を形成した工程の後、後述
する実施例7または8で示す工程で得られる感熱半導体
層23を形成する。
【0078】次に、図11(b)に示すように、絶縁層
31を形成した後、電極24を感熱半導体層23と接続
して形成する。
【0079】次に、図11(c)に示すように、実施例
5で示したと同様に、犠牲層を溶解して空洞25を形成
する。
【0080】実施例7.図12に、実施例2の赤外線検
出素子の半導体層26の領域の間隔を制御する製造方法
の一実施例を示す。シリコン基板20(図示せず)上に
形成された二酸化シリコンなどの絶縁層21上に、多結
晶あるいは非晶質シリコンによる半導体層26を形成す
る。次に、その上に所望の形状の有機レジストマスク3
3を形成し、これをマスクとして高濃度のリン、ボロン
等をイオン注入し、同一種類のイオンの注入による高濃
度不純物層27、28を形成する。
【0081】この場合の半導体層26の間隔の寸法精度
は写真製版の精度できまる。有機レジストマスク33を
除去し、残った二酸化シリコン層を除去して感熱半導体
層23を有するボロメータが完成する。
【0082】実施例8.図13に、半導体層26の両側
に異なる種類のイオン注入による高濃度不純物層27、
28を形成する場合の製造方法の一実施例を示す。図1
3(a)に示すように、まずシリコン基板20(図示せ
ず)上に形成された二酸化シリコンなどの絶縁層21上
に、多結晶あるいは非晶質シリコン層等による半導体層
26を形成する。
【0083】次に、図13(b)に示すように、半導体
層26上に第1の有機レジストマスク34を形成し、こ
れをマスクとして例えばリン等の第1の高濃度の不純物
イオンを注入し、第1の高濃度不純物層28を形成す
る。その後第1のレジストマスク34はエッチング除去
する。
【0084】次に、図13(c)に示すように、半導体
層26、第1の高濃度不純物層28上に、新たな第2の
有機レジストマスク35を形成し、これをマスクとして
ボロン等の第2の高濃度の不純物イオンを注入する。そ
の後レジストマスク35をエッチング除去し、第2の高
濃度不純物層27を形成する。
【0085】この方法によると、第1の有機レジストマ
スク34が第1のマーク(図示せず)にアラインメント
して形成したパターンはアラインメントによる第1の誤
差がある。その後第1のマスクはエッチング除去する際
に消えてしまうので、第2の有機レジストマスク35も
また第1のマークにアラインメントして形成され、第2
の誤差が生ずる。従って、第1及び第2のマスクによる
パターン間隔の誤差は、第1のマークを介してのみの相
対関係となるので、第1及び第2の誤差の和となり、大
きな誤差となることがある。
【0086】実施例9.図14に、半導体層26の両側
に異なる種類のイオンを注入して高濃度不純物層27、
28を形成する製造方法の他の実施例を示す。図14
(a)に示すように、まずシリコン基板(図示せず)上
に形成された二酸化シリコンなどの絶縁層21上に、多
結晶あるいは非晶質シリコン層等による半導体層26を
形成する。
【0087】次に、図14(b)に示すように、半導体
層26上に二酸化シリコン層36を酸化あるいはCVD
等により成膜する。
【0088】次に、図14(c)に示すように、この上
に有機レジストを形成し、これを所望の形状にパターニ
ングして第1の有機レジストパターン34を形成する。
次に、これをマスクとして二酸化シリコン層36の一部
を除去する。この後、これをマスクとして高濃度のリン
等の不純物37を注入し、第1の高濃度不純物層28を
形成する。
【0089】次に、図14(d)に示すように、第1の
有機レジストパターン34を除去した後、新たに第2の
有機レジストを所望の形状に加工し、これを第2の有機
レジストマスク35として二酸化シリコン層36の一部
を除去する。この後、第2のイオン注入38により第2
の高濃度不純物層27を形成する。
【0090】図14(e)に示すように、第2の有機レ
ジストマスク35を除去し、図14(f)に示すよう
に、残った二酸化シリコン層36を除去して感熱ボロメ
ータが完成する。
【0091】このような製造方法とすることにより、写
真製版時において、図14(c)に示した第1の有機レ
ジストマスクを第1のマーク(図示せず)に合わせてア
ラインメントして第1の高濃度不純物層28を形成した
後、第1の有機レジストマスク34を除去した後も第1
の高濃度不純物層の境界線部分の二酸化シリコン層の端
部が残っているので、この端部を第2のマークとして第
2の有機レジストマスクを形成すれば、感熱半導体層3
6の幅が正確に設定できる。
【0092】実施例10.またこの発明の赤外線検出素
子は、図2(c)に示すように、感熱半導体層23を構
成する多結晶あるいは非晶質シリコン層による半導体層
26と高濃度不純物層27、28との間に拡散防止層、
即ちバリア層30が設けられる場合がある。この層は、
この赤外線検出素子と同時的に形成される集積回路等の
製造工程に含まれる高温工程により、高濃度不純物層2
7、28から低濃度不純物注入層である半導体層26へ
のリン等の拡散を防止するためのものである。
【0093】例えば実施例1の構成の赤外線検出素子に
おいて、実施例5の図9(c)の高濃度不純物層27形
成後、その表面を酸化あるいは窒化し、数nm程度の厚
さのバリア層30を形成する。その後、半導体層26を
形成し、さらにその表面を酸化あるいは窒化し、数nm
のバリア層30を形成する。以下実施例5の工程にもど
る。
【0094】窒化の方法は、窒素雰囲気でECRプラズ
マ処理やランプアニール処理などがあげられる。このバ
リア層30はキャリアに対して移動を妨げることはない
が、不純物元素の拡散を押さえる効果があることが確か
められている。(例えばインターナショナル コンファ
レンス オブ ソリッドステート デバイス アンド
マテアリアル 1994 P422)
【0095】これらの処理は、通常の集積回路製造装置
で行うことができ、その利用は容易である。半導体層2
6の表面にも同様の処理を行う。
【0096】実施例11.図2(b)に示すように、電
極層24を感熱半導体層形成後に形成する製造方法の一
実施例を示す。実施例5の製造方法で、図2(b)のよ
うな構成としておき、高濃度不純物層28を形成した
後、電極24を同時に形成することにより、工程を一つ
省略することができる。
【0097】
【発明の効果】1の発明では、抵抗温度係数が比較的
大きな半導体層およびこの半導体層を挟んで形成され、
10 18 〜10 20 /cm の不純物を含む高濃度不純
物層とで形成される感熱半導体層と、この高濃度不純物
層と接続された電極とを備えるようにしたので、感熱半
導体層の赤外線検出感度と赤外線吸収感度を向上し、特
別な吸熱層を設けずに感熱半導体層自体で赤外線の吸収
と検出の両方ができる赤外線検出素子を提供することが
できる。
【0098】第2の発明では、抵抗温度係数が比較的大
きな半導体層とその上下に設けられた高濃度不純物層と
で構成される感熱半導体層と、その高濃度不純物層の両
端に設けられた電極とで構成され、10 18 〜10 20
/cm の不純物を含む第1及び第2の高濃度不純物層
が半導体層上下の全面に形成されるようにしたので、感
熱半導体層の赤外線検出感度と赤外線吸収感度を向上
し、特別の吸熱層を設けずに、感熱半導体層自体で赤外
線の吸収と検出の両方ができるとともに、感熱半導体層
の抵抗率が大きい場合でも、低電圧で駆動できる赤外線
検出素子を提供することができる。
【0099】第3の発明では、第1または2の発明にお
いて、半導体層と高濃度不純物層との間に拡散防止層を
備えるようにしたので、特別の吸熱層を設けずに、感熱
半導体層自体で赤外線の吸収と検出の両方ができるとと
もに、高温時の不純物の拡散を防止するので、集積回路
の高温の製造工程後においても素子性能が変わらない赤
外線検出素子を提供することができる。
【0100】第4の発明では、第1または3の発明にお
いて、基板上の絶縁層上の基板面と平行な面内に形成さ
れた第1及び第2の高濃度不純物層間に半導体層を備え
るようにしたので、特別の吸熱層を設けずに、感熱半導
体層自体で赤外線の吸収と検出の両方ができるととも
に、半導体層の幅を規定する写真製版の精度を高まるの
で、製造ロット間のバラツキの少ない信頼性の高い赤外
線検出素子を提供することができる。
【0101】第5の発明では、第1から4のいずれかの
発明において、半導体層を挟む一対の高濃度不純物層が
逆導電型であるようにしたので、特別の吸熱層を設けず
に、感熱半導体層自体で赤外線の吸収と検出の両方がで
きるとともに、赤外線検出素子をマトリクス状に配置し
て形成した赤外線撮像装置において、素子選択回路の構
造が簡易となり、高密度実装が可能な、赤外線検出素子
を提供することができる。
【0102】
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の赤外線検出素子装置の第1の実施
例の構造図である。
【図2】 図1の感熱抵抗層部分の拡大図である。
【図3】 ポリシリコンの抵抗率、TCRと注入量との
関係、および抵抗率とTCRの関係を示す図である。
【図4】 絶縁層の光透過率の波長依存性を示す図であ
る。
【図5】 この発明の赤外線検出素子の第2の実施例の
構造図である。
【図6】 この発明の赤外線検出素子の第3の実施例の
構造図である。
【図7】 この発明の赤外線検出素子の第4の実施例の
構造図である。
【図8】 この発明の第1の実施例の赤外線検出素子の
製造工程を示す図である。
【図9】 この発明の第1の実施例の赤外線検出素子の
製造工程を示す図である。
【図10】 この発明の第1の実施例の赤外線検出素子
の製造工程を示す図である。
【図11】 この発明の第2の実施例の赤外線検出素子
の製造工程を示す図である。
【図12】 図11の赤外線検出部分の製造工程を示す
図である。
【図13】 図11の赤外線検出部分の他の製造工程を
示す図である。
【図14】 図11の赤外線検出部分のさらに他の製造
工程を示す図である。
【図15】 従来の赤外線検出素子の構造図である。
【図16】 従来の赤外線検出素子の種々の構造図であ
る。
【図17】 赤外線検出素子で構成した赤外線撮像装置
の構成図である。
【図18】 図18の素子駆動回路の一例を示す図であ
る。
【符号の説明】
20 シリコン基板 21、22、 絶縁層 23 感熱半導体層 24 電極 26 半導体層 27、28 高濃度不純
物 25 空洞 32 反射コート 35 犠牲層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−137936(JP,A) 特開 平6−140204(JP,A) 特開 平6−196307(JP,A) 特開 平7−78959(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01J 1/00 - 1/60 H01L 27/14

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板と、上記基板上に形成された絶縁層
    と、上記絶縁層上に形成され温度に対して電気抵抗が変
    化し、その抵抗温度係数が比較的大きい半導体層および
    この半導体層を挟んで形成され、10 18 〜10 20
    cm の不純物を含む高濃度不純物層とで形成される感
    熱半導体層と、上記高濃度不純物層と接続された電極と
    を備えた赤外線検出素子。
  2. 【請求項2】 基板と、上記基板上に形成された絶縁層
    と、上記絶縁層上に形成された第1の電極と、上記第1
    の電極上に形成された第1の高濃度不純物層と上記第1
    の高濃度不純物層上に形成され温度に対して電気抵抗が
    変化しその抵抗温度係数が比較的大きな半導体層及び上
    記半導体層上に形成された第2の高濃度不純物層とで構
    成される感熱半導体層と、上記第2の高濃度不純物層上
    に形成された第2の電極とを備え、上記第1及び第2の
    高濃度不純物層は10 18 〜10 20 /cm の不純物
    を含み上記半導体層上下の全面に形成されていることを
    特徴とする赤外線検出素子。
  3. 【請求項3】 半導体層と高濃度不純物層との間に拡散
    防止層を備えたことを特徴とする請求項第1項または第
    2項記載の赤外線検出素子。
  4. 【請求項4】 基板上の絶縁層上の上記基板面と平行な
    面内にある第1及び第2の高濃度不純物層間に半導体層
    を備えた請求項第1項または第3項記載の赤外線検出素
    子。
  5. 【請求項5】 半導体層を挟む一対の高濃度不純物層が
    逆導電型であることを特徴とする請求項第1項から第4
    項のいずれかに記載の赤外線検出素子
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