JP3286692B2 - オイルフリースクリュー圧縮機 - Google Patents

オイルフリースクリュー圧縮機

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  • Mechanical Engineering (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高速回転軸を有するオ
イルフリースクリュー圧縮機の軸受構造に関する。
【0002】
【従来の技術】図8は本発明を適用するオイルフリース
クリュー圧縮機の断面図である。この図に示すように、
オイルフリースクリュー圧縮機は、互いに噛合う雄ロー
タ1aと雌ロータ1bの両端部を軸受によって回転自在
に支持し、ロータケーシング6と両ロータ1a,1bと
によって圧縮室を形成し、その雄ロータ1aの一方の先
端部に駆動ピニオン4を固定し、他方先端部および雌ロ
ータの他方先端部に一対のタイミングギヤ5を固定し、
駆動ピニオン4を駆動すると、上記一対のタイミングギ
ヤによって一対のロータ1a,1bが同期回転して吸入
口(図示を省略した)から吸入した空気を吐出口(図示
を省略した)から吐出するように構成されている。そし
て。従来技術においては、図9および特開昭59−93
983号に示す如く、スクリューロータの吐出側軸上に
負荷側のスラスト荷重を担持するアンギュラ玉軸受2と
反負荷側のスラスト荷重を担持するアンギュラ玉軸受3
とを組み合せて用いている。前記組合せアンギュラ玉軸
受は、負荷側2、反負荷側3とも同じ大きさ、同じ型式
のものを用いている。なお、図9において、9はスクリ
ューロータに発生するラジアル方向の荷重を支える円筒
ころ軸受、7は円筒ころ受9とアンギュラ玉軸受2との
間に組込まれた給油用スペーサ、8は反負荷側のスラス
ト荷重を担持するアンギュラ玉軸受の外輪を押える押え
板である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】オイルフリースクリュ
ー圧縮機では、雄・雌ロータを各々1万〜2万回転/毎
分以上の高速で回転させて使用するため、軸受の玉自体
の発生する遠心力が大きくなり、軸受の外部荷重、即ち
圧縮によって発生するガス荷重に対して無視できない値
となる。
【0004】スラスト荷重を支えるアンギュラ玉軸受
は、外輪とハウジングの間にスキマを設けて、スラスト
荷重のみを分担するように設計されている。通常、圧縮
によって発生するスラスト荷重は一方向のみであり、こ
れを支えるために負荷側のアンギュラ玉軸受2が設けら
れている。しかし、起動・停止時等の過渡状態で起こり
得る反スラスト方向のロータの動きに対しても、ロータ
吐出端面とケーシング吐出側内壁面が接触せぬように、
反対の接触角を持ったもう一つのアンギュラ玉軸受3を
対向させて組合せている(図9および図10)。
【0005】負荷側のアンギュラ玉軸受2の内輪2aに
作用する荷重は、図10中のガス荷重FGと、ボール2
bの回転によって生じる遠心力FBが内輪を押しつける
方向の分力FBTの合計となる。
【0006】一方、反負荷側の軸受3には、ガス荷重は
作用しないが、同じくボール3bの回転によって生じる
遠心力FBは内輪3aを負荷側軸受内輪2a側へ押しつ
けようとする力FBTを発生させる。このため、負荷側軸
受内輪2aは反負荷側軸受の存在により余分に荷重FBT
を負荷されることになり、特に軸径φ20〜φ30程度
で20000rpm以上の高速で運転されるロータ軸の
アンギュラ玉軸受の寿命にとって、FBTによる寿命の低
下は、これが存在しない時に較べて30〜60%と大き
な値となる。
【0007】本発明は、前記の如き従来技術の問題点を
改善し、反スラスト方向のロータの動きに対しても充分
安全で、かつ、スラスト荷重用組合せ軸受の組合せ寿命
を最大にすることができる軸受構造を提供することを目
的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】反負荷側のスラスト荷重
を分担するアンギュラ玉軸受は、運転状態においてはボ
ールの遠心力によって発生する荷重のみを受けるため、
負荷側のスラスト荷重を受けるアンギュラ玉軸受と同じ
ものでなくてもよい。そこで下記の手段を採用する。
【0009】(1) 反負荷側のスラスト荷重を受ける
アンギュラ玉軸受のボールのピッチ円径を、負荷側のス
ラスト荷重を受けるアンギュラ玉軸受のボールのピッチ
円径より小さくする。
【0010】(2) 反負荷側のスラスト荷重を受ける
アンギュラ玉軸受のボールの材質を、負荷側のスラスト
荷重を受けるボールの材質より比重の小さいセラミック
等で構成する。
【0011】(3) 反負荷側のスラスト荷重を受ける
アンギュラ玉軸受の接触角を、負荷側のスラスト荷重を
受けるアンギュラ玉軸受の接触角より小さくする。
【0012】(4) 負荷側のスラスト荷重を受ける軸
受として四点接触型軸受を使用し、反負荷側のスラスト
荷重を受ける軸受としてアンギュラ玉軸受を使用する。
【0013】
【作用】
(1) 反負荷側のアンギュラ玉軸受のボールのビッチ
円径を小さくすることによって、反負荷側軸受の内輪に
発生する遠心力によって生ずる力の軸方向分力を小さく
することができる。従って、負荷側の軸受の内輪に働く
荷重が小さくなり、負荷側の軸受寿命を伸ばせる。
【0014】(2) 反負荷側の軸受のボールの材質を
負荷側の軸受のボールの材質より軽いものにすれば、ボ
ールに発生する遠心力も小さくなり、(1)と同じ効果
が得られる。
【0015】(3) 反負荷側の軸受の接触角を負荷側
の軸受の接触角より小さいものとすれば、遠心力によっ
て発生する力の軸方向の分力が小さくなるため、(1)
と同じ効果が得られる。
【0016】(4) 負荷側の軸受を四点接触型とする
ことにより、スラスト負荷能力が高まるため、負荷側の
寿命が伸びる。但し、これは反負荷側にアンギュラ玉軸
受を組合せて用い、スラスト方向のスキマ即ち可動範囲
を四点接触型軸受固有のそれより小さくすることによ
り、ロータ吐出端面とケーシング吐出側内壁面との接触
の危険性を防止することができる。
【0017】
【実施例】図1により、本発明の第1の実施例を説明す
る。
【0018】図1は本発明のオイルフリースクリュー圧
縮機の吐出側軸部の構造を示している。円筒ころ軸受9
はスクリューロータに発生するラジアル方向の荷重を支
えている。本図において圧縮によって発生するスラスト
方向のガス荷重は矢印FGの方向に発生し、これを負荷
側アンギュラ玉軸受2で支える。オイルフリースクリュ
ー圧縮機では、ロータ間のスキマや、ロータとケーシン
グ間のスキマは20〜40μm程度と非常に小さく作ら
れており、起動・停止時を含む過渡状態において発生し
うるロータの反スラスト方向(通常のガス荷重と反対方
向)のロータの動きは、ロータ吐出端面の接触や、ロー
タ間での接触を発生させる危険性がある。従って、これ
を防止するために反スラスト方向の荷重を受けられる反
負荷側アンギュラ玉軸受3を設けてある。組合わせられ
た2つの玉軸受の内部スキマは前記振動の発生を防止す
るために極めて小さな値に調整してある。
【0019】ロータ軸端にはタイミングギヤ5が装置さ
れており、軸受内輪3aを固定するとともに、もう一方
のロータ軸を同期回転させることにより互いのロータを
非接触で回転させ、オイルフリー状態での圧縮を可能に
している。
【0020】円筒ころ軸受9とアンギュラ玉軸受2の間
には給油用スペーサ7が組込まれ、軸受内輪の転走面を
潤滑するための油がノズル10を通して噴射される。ま
たアンギュラ玉軸受3の外輪は、押え板8とボルト11
でケーシング6内に固定されている。
【0021】ロータ軸12の回転により、各軸受のボー
ルは公転運動を行なう。これによって軸受内部にはボー
ルの遠心力によって内部荷重が発生する。これと、ガス
の圧縮により発生するスラスト荷重FGの両方を負荷側
アンギュラ玉軸受2で受けることになる。また、反負荷
側のアンギュラ玉軸受3に発生する遠心力による荷重が
負荷側アンギュラ玉軸受2に更に加わる。
【0022】しかし、本発明においては、図1に示すよ
うに、反負荷側アンギュラ玉軸受3のボール3bのピッ
チ円径を負荷側のアンギュラ玉軸受2のボール2bのピ
ッチ円径より小さくしているために、また、ボール3b
の径をボール2bの径より小さくしているために、従来
技術の構造(図9)よりも、負荷側アンギュラ玉軸受2
に加わる荷重をかなり小さな値にすることができる。一
般に玉軸受の寿命は荷重の3乗倍に比例するために、オ
イルフリー形の空気用スクリュー圧縮機のように、ガス
荷重が比較的小さく、遠心力の影響が大きい用途におい
ては、反負側の軸受から発生する遠心力によるスラスト
荷重を小さくするだけでも、容易に3倍以上の寿命を得
ることができる。
【0023】このような構造を採用することにより、反
負荷側のアンギュラ玉軸受3の定格荷重は小さくなるた
め、反負荷側の軸受寿命は従来の構造より低下するが、
二つのアンギュラ玉軸受の組合せ寿命LA
【0024】
【数1】
【0025】ここにL1:負荷例軸受の寿命 L2:反負荷側軸受の寿命 で表わされ、組合せ寿命は、短寿命側の数値に大きく影
響される。従って、一般的に寿命の短い負荷側の軸受の
寿命を伸ばすことで反負荷側の寿命の低下はあっても、
組合せ寿命としては従来の寿命の2倍以上にすることが
可能である。
【0026】また、図2に示すように、前記の構成に加
えて、反負荷側のアンギュラ玉軸受3のボール3bとし
て、セラミック等の鉄鋼より比重の軽い材料を用いたも
ので構成すれば、さらに遠心力による内部荷重を小さく
できるため、更に大きな効果を得ることができる。
【0027】図3は、前記と異なる実施例を示すもので
ある。すなわち、この実施例は、図1に示す実施例に加
えて、反負荷側のアンギュラ玉軸受3の接触角α3を負
荷側アンギュラ玉軸受2の接触角α2より小さくしたも
のである。このようにすると、反負荷側のアンギュラ玉
軸受3の内輪3aに発生するスラスト荷重が接触角をα
とするとtanαに比例することを利用して負荷側アン
ギュラ玉受軸2に作用するスラスト荷重をさらに低減す
ることができる。
【0028】図4は、本発明の第2の実施例を示すもの
である。この実施例は、負荷側および反負荷側とも同じ
ピッチ円のアンギュラ玉軸受2,3を使用し、その反負
荷側アンギュラ玉軸受3の接触角α3を負荷側アンギュ
ラ玉軸受2の接触角α2よりも小さくしたものである。
このようにすれば、図3に示す例と同様の理由により負
荷側アンギュラ玉軸受2に作用するスラスト荷重を低減
することができる。
【0029】図5は、本発明の第3の実施例を示すもの
である。この実施例は、負荷側および反負荷側とも同じ
ピッチ円のアンギュラ玉軸受2,3であるが、負荷側ア
ンギュラ玉軸受2のボール2bは通常の鉄鋼製であるの
に対し、反負荷側のアンギュラ玉軸受3のボール3bを
セラミックなどの鉄鋼より比重の小さい材料で構成した
例を示すものである。このようにすれば、反負荷側アン
ギュラ玉軸受3に発生する遠心力が小さくなり、それだ
け負荷側アンギュラ玉軸受2に作用するスラスト荷重を
低減することができる。
【0030】図6は、本発明の第4の実施例を示すもの
である。この実施例では、負荷側の軸受に四点接触玉軸
受20を用いている。四点接触玉軸受は、負荷容量が大
きいという特徴を有するが、小型のオイルフリースクリ
ュー圧縮機のように、ロータ間、ロータ、ケーシング間
のギャップが小さい機械に使用するには内部スラストス
キマが大きすぎる。そこでアンギュラ玉軸受3をこれに
隣接させて配置し、反負荷方向のロータの動きを拘束す
る。四点接触玉軸受20と反負荷側のアンギュラ玉軸受
3で構成される組合せ軸受の内部スキマを微少量に調整
しておくことにより、前記四点接触玉軸受の内部すきま
が大きいという欠点を解消できる。また、第1の実施例
と同様に、この反負荷側アンギュラ玉軸受3のボールの
ピッチ円径を、四点接触玉軸受20のそれより小さくし
ておき、ボール自体の径も四点接触玉軸受20のそれよ
り小さくしておくことにより、遠心力による内部スラス
ト荷重の発生を最小限にすることができるため、四点接
触玉軸受の高負荷特性により得られる長寿命を最大限に
生かすことができる。
【0031】また、図7に示すように、反負荷例アンギ
ュラ玉軸受3のボール3bをセラミックなどの鉄鋼より
比重の小さい材料で構成することによって、遠心力は更
に小さくでき、組合せ寿命をさらに伸ばすことができ
る。
【0032】なお、第1ないし第4の実施例とも、負荷
側の軸受のボールにもセラミック等、鉄鋼材料よりも比
重が小さく高強度の材料を使用することにより、負荷側
軸受自体の内部で発生する遠心力を小さくすることがで
きるため、一層の軸受寿命の延長がはかれる。
【0033】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、オ
イルフリースクリュー圧縮機のスラスト軸受として使用
される玉軸受の組合せ寿命を、ロータ軸の振動やロータ
の接触などの信頼性を損なうことなく顕著に向上させる
ことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す軸受部の断面図
【図2】本発明の第1の実施例の変形例を示す軸受部の
断面図
【図3】本発明の第1の実施例の他の変形例を示す軸受
部の断面図
【図4】本発明の第2の実施例を示す軸受部の断面図
【図5】本発明の第3の実施例を示す軸受部の断面図
【図6】本発明の第4の実施例を示す軸受部の断面図
【図7】本発明の第4の実施例の変形例を示す軸受部の
断面図
【図8】本発明を適用するオイルフリースクリュー圧縮
機の断面図
【図9】従来技術の軸受部の断面図
【図10】アンギュラ玉軸受部に作用するスラスト荷重
の説明図
【符号の説明】
2…負荷側アンギュラ玉軸受、2a…負荷側アンギュラ
玉軸受の内輪、2b…負荷側アンギュラ玉軸受のボー
ル、3…反負荷側アンギュラ玉軸受、3a…反負荷側ア
ンギュラ玉軸受の内輪、3b…反負荷側玉軸受のボー
ル、20…四点接触玉軸受、FG…ガス圧縮により発生
するスラスト荷重、FBT…ボールの回転により発生する
遠心力の分力。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−160621(JP,A) 特表 昭61−501278(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F04C 18/16 F04C 29/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スクリューロータに発生するスラスト荷
    重を分担するころがり軸受に2つのアンギュラ玉軸受を
    使用し、負荷側のスラスト荷重を受ける玉軸受と反負荷
    側のスラスト荷重を受ける玉軸受の接触角を反対方向に
    して互いに接触配置した軸受構造において、反負荷側の
    スラスト荷重を受ける玉軸受のボールを、負荷側のスラ
    スト荷重を受ける玉軸受のボールの材質より比重の小さ
    い材料により構成したことを特徴とするオイルフリース
    クリュー圧縮機。
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JP4365443B1 (ja) * 2008-07-29 2009-11-18 株式会社神戸製鋼所 無給油式スクリュ圧縮機
DE102013225327A1 (de) * 2013-12-10 2015-06-11 Aktiebolaget Skf Lageranordnung und Verfahren zum Lagern eines Verdrängers einer Verdrängerpumpe bezüglich eines Gehäuses

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