JP3283166B2 - 内面溝付伝熱管製造用素材および内面溝付伝熱管の製造方法 - Google Patents

内面溝付伝熱管製造用素材および内面溝付伝熱管の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内面溝付伝熱管を
製造するための素材およびその素材を使用する内面溝付
伝熱管の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】内面溝付伝熱管は、空調装置や冷蔵庫等
の熱交換器において蒸発管または凝縮管として主に使用
されるもので、最近では内面の全面に亙って螺旋状の溝
を形成することにより、溝同士の間に螺旋状のフィンを
形成した伝熱管が広く市販されている。
【0003】現在主流となっている伝熱管は、引き抜き
または押し出し加工により得られたシームレス(継ぎ目
のない)管の内部に、外周面に螺旋溝が形成されたフロ
ーティングプラグを通すことにより、金属管の内周面の
全面に亙って螺旋溝を転造する方法で製造されている
が、この製造方法によるものは、フローティングプラグ
の特性上、フィンの形状や高さが制限されるため、フィ
ンを改良して熱交換効率を高めるには限界がある。
【0004】そこで、本発明者らは前記シームレス管の
代わりに、長尺の金属板条材をその幅方向へ丸め、突き
合わせた両側縁を溶接することにより金属管を得る「電
縫管方式」を伝熱管製造に採用することを検討してい
る。電縫管方式によれば、伝熱管内面に形成すべきフィ
ンを、平板状の金属板条材の状態において転造でき、フ
ィン形状の設計自由度が高いからである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】図10は、電縫管方式
による内面溝付伝熱管の製造方法に使用される素材の一
例を示す断面拡大図である。この内面溝付伝熱管製造用
素材1は、銅または銅合金からなる一定幅で長尺の板条
材を、一対のフィン形成ロールで転造することにより、
板条材の一面の幅方向両端部に一対の無転造部4を形成
するとともに、これら無転造部4の間に多数のフィン2
を形成したものであり、各フィン2の間は溝部3にされ
ている。
【0006】なお、図10に示す無転造部4は、従来は
螺旋溝3内における管肉厚と等しくなるように形成され
ていた。伝熱管の厚さは全周に亘って均一である方が好
ましいと考えられていたためである。たとえば、本出願
人が先に出願した特願平2−32659号に係る内面溝
付伝熱管の製造方法も、素材の無転造部の厚さを螺旋溝
内における管肉厚と等しくすることを目的としたもので
ある。
【0007】このような素材1を、次に多数のフォーミ
ングロールに通してフィン形成面を内側にして丸め、さ
らに板条材の両側縁を突き合わせて溶接することによ
り、図11に示すような内面溝付伝熱管5を製造するの
であるが、この時、成形条件および溶接条件が適切でな
いと、溶接部6が管内周側に突き出て、伝熱管5の外周
面に落ち込み7が生じることがあった。このような落ち
込み7が生じると、伝熱管5の外周に放熱フィンを固定
したときに隙間が生じて好ましくないうえ、溶接部6の
強度に対する信頼性が低下する。したがって、落ち込み
7の発生は極力避けなければならない。
【0008】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、伝熱管の製造時に落ち込みが生じることが防止でき
る内面溝付伝熱管製造用素材および内面溝付伝熱管の製
造方法を提供することを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明に係る内面溝付伝熱管製造用素材は、一定幅
を有する金属製の板条材と、この板条材の一面の幅方向
両端部に形成された一定幅を有する一対の無転造部と、
これら無転造部同士の間のフィン形成領域に形成された
多数のフィンとを具備し、前記無転造部の幅は、前記板
条材の幅の1〜10%にされているとともに、前記板条
材の両端縁での無転造部の厚さは、前記板条材の中央部
でのフィンを含まない厚さの102〜146%、前記フ
ィン形成領域との境界での無転造部の厚さは、前記板条
材の中央部でのフィンを含まない厚さの101〜141
%にされていることを特徴としている。
【0010】一方、本発明に係る内面溝付伝熱管の製造
方法は、金属製の板条材を走行させつつ、少なくとも一
対のフィン形成ロール間を通すことにより、前記板条材
の一面の幅方向両端部に、板条材の幅の1〜10%の幅
を有する一対の無転造部を形成するとともに、これら無
転造部同士の間のフィン形成領域に多数のフィンを形成
し、前記無転造部の幅を前記板条材の幅の2〜20%に
するとともに、前記板条材の両端縁での無転造部の厚さ
を、前記板条材の中央部でのフィンを含まない厚さの1
02〜146%、前記フィン形成領域との境界での無転
造部の厚さを、前記板条材の中央部でのフィンを含まな
い厚さの101〜141%にするフィン形成工程と、前
記フィンが形成された板条材を、複数のフォーミングロ
ールを通して、前記フィンが内周側に位置するように管
状に成形する管成形工程と、管状に成形された前記板条
材の両端縁を加熱したうえ突き合わせて溶接する溶接工
程とを具備することを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】図1および図2は、本発明に係る
内面溝付伝熱管製造用素材の一実施形態10を示す断面
図および平面図である。この素材10は、一定幅を有す
る金属製の板条材の一面に、この一面の幅方向両端から
一定の幅を有する一対の無転造部18と、これら無転造
部18同士の間のフィン形成領域において互いに平行に
並ぶ多数のフィン12と、無転造部18とフィン形成領
域との境界線に沿って延びる突条部16とが形成された
ものである。また、フィン12同士の間には螺旋溝14
が形成されている。なお、本明細書において「無転造
部」は、フィン12や突条部16が転造されていない板
条材の幅方向両端部(図1および図2における幅W1の
部分)をいい、また、フィン形成領域とは、これら無転
造部の間に挟まれた領域をいうものとする。したがっ
て、この実施形態の突条部16は、無転造部18とフィ
ン形成領域の境界に沿って、フィン形成領域内に形成さ
れていることになる。
【0012】無転造部18の幅W1は、素材10の幅の
1〜10%に設定され、より好ましくは1.5〜7.0
%とされている。無転造部18の幅W1が素材10の幅
の1%未満または10%より大であると、落ち込みの発
生を阻止しにくいうえ、素材10の両側縁を溶接するこ
とが難しくなる。
【0013】無転造部18の厚さは、図1に示すよう
に、フィン形成領域との境界、すなわち溶接部22との
境から素材10の各端縁に向けて漸次増加するように形
成されており、素材10の両端縁での無転造部18の厚
さt1は、素材10の中央部でのフィン12を含まない
厚さt0の102〜146%とされ、前記フィン形成領
域との境界での無転造部18の厚さt2は、板条材18
の中央部でのフィン12を含まない厚さt0の101〜
141%にされている。すなわち、これらの関係を比で
表すと次式の通りである。 t1:t2:t0=1.02〜1.46:1.01〜
1.41:1 t1とt2の関係のみを比で表すと次式の通りである。 t1:t2=1.00〜1.10:1
【0014】厚さt1が厚さt0の102%未満では、
溶接後の伝熱管の外周面に落ち込みが生じることが防止
できず、厚さt1が厚さt0の146%より大では、製
造された伝熱管に生じる溶接部の突出料が大きくなりす
ぎて、伝熱管の外周に放熱フィンを固定する際に、拡管
プラグが溶接部でかじりを生じるおそれがある。より好
ましい範囲は、厚さt1が厚さt0の106〜132%
である。
【0015】厚さt2が厚さt0の101%未満では、
素材10を管状に丸める過程において、相対的に厚肉に
された無転造部18が溶接部22との境界から折れ曲が
りやすく、折れ曲がりに起因した溶接不良が生じるおそ
れがある。一方、厚さt2が厚さt0の141%より大
では、素材10を管状に丸めることが難しくなる。より
好ましい範囲は、厚さt1が厚さt0の105〜128
%である。
【0016】上記関係を満たすために、この実施形態で
は、フィン12同士の間の溝部14内における素材厚さ
が、素材10の端縁から一定距離W2を隔てた位置か
ら、溶接部22との境へ向けて漸次増加するように形成
されている。また、素材10の両側縁から距離W2の領
域を除いた残りの領域では、溝部14内における素材厚
さがばらつきの範囲で一定にされている。距離W2は、
素材10の幅の10〜30%であることが好ましく、さ
らに好ましくは15〜25%とされる。
【0017】このように、素材10の両端縁から一定距
離W2の範囲内で漸次厚さが増加する構成であると、落
ち込みを防止しつつも素材10を完全な管状に丸めるこ
とが容易であるという利点が得られる。距離W2が素材
10の幅の10%未満であると、無転造部18が素材1
0を丸めるときに折れ曲がりやすくなる一方、距離W2
が素材10の幅の30%より大きいと伝熱管の平均厚さ
が必要以上に大きくなり、熱交換性能がその分低下する
ので好ましくない。
【0018】この実施形態のフィン12は、図2に示す
ように、素材10の長手方向に対して一定角度(螺旋
角)αで交差するように形成されている。これにより、
製造された伝熱管では、管軸を中心とする螺旋状をなす
ようになっている。螺旋角αは伝熱管に求められる特性
に応じて決定される値であり、本発明では特に限定され
ないが、望ましくは10〜25゜とされ、さらに好まし
くは15〜20゜とされる。
【0019】また、この実施形態では、図2に示すよう
に、各フィン12の両端部がそれぞれ突条部16に連結
されている。このように突条部16を形成し、さらにフ
ィン12の末端を突条部16に連結しておくと、板条材
Bにフィン12を転造する際に、板条材Bの両端縁に波
打ち変形が発生しにくくなるという効果が得られる。但
し、本発明ではフィン12の末端を突条部16に連結し
ない構成も実施可能である。
【0020】また、フィン12の素材両側縁から一定距
離W2内に位置する部分は、図3に示すように、その金
属管内面からの高さHが、突条部16に近づくにつれ漸
次減少するように形成されており、突条部16への連結
部分では突条部16とほぼ等しくされ、図2に示すよう
にフィン12の稜線が突条部16の稜線にほぼ同じ高さ
で連続している。
【0021】突条部16の金属管内面からの突出量は、
素材10の中央部におけるフィン12の突出量の10〜
80%であることが好ましく、より好ましくは15〜7
0%とされる。10〜80%であれば、突条部16が拡
管時に拡管プラグに当たるおそれが小さく、突条部16
による補強効果も十分に得ることができる。
【0022】次に図3は、上記構成からなる伝熱管10
の製造装置の一例を示す側面図である。図中符号30は
一定幅の金属製板条材Bを連続的に繰り出すアンコイラ
であり、繰り出された板条材Bは一対の押さえロール3
2を経て、対をなす溝付ロール34および平滑ロール3
6(共にフィン形成ロールと総称する)の間を通され、
溝付ロール34により、図1および図2に示す無転造部
18、フィン12および螺旋溝14が形成される。な
お、この実施形態では、板条材Bの表面S1にのみフィ
ン12等が形成され、裏面S2は平滑のままに保たれ
る。
【0023】図4〜図6は、溝付ロール34および平滑
ロール36の詳細図であり、これらロール34,36は
それぞれシャフト54,56を介してフレーム58に回
転自在に支持されている。溝付ロール34は、図5およ
び図6に示すように、外周面に転造溝62が形成された
溝付ロール本体34Aと、その両側に固定された一対の
サイドロール34Bとを具備している。溝付ロール本体
34Aの転造溝62により板条材Bにはフィン12が形
成され、転造溝62の間の突条部64により螺旋溝14
が形成される一方、サイドロール34Bにより無転造部
18が形成されるようになっている。
【0024】溝付ロール本体34Aの中央部分の外周面
(突条部64の先端面)は、正確な円筒面とされてい
る。これに対し、溝付ロール本体34Aの軸線方向両側
部分の外周面(突条部64の先端面)は、サイドロール
34B側へ向けて徐々に外径が縮小する円錐面とされて
いる。これにより、図6に示すように、素材10の側縁
から幅W2内における板条材Bの厚さが、突条部16に
向けて漸次増大するように形成される。また、溝付ロー
ル本体34Aの前記軸線方向両側部分において、転造溝
62の深さは、溝付ロール本体34Aの両端へ向けて漸
次減少するように形成されている。これにより、素材1
0に形成されるフィン12の高さは、突条部16へ近づ
くにつれ減少するように形成される。
【0025】サイドロール34Bの外周面は、軸方向外
側へ向けて外径が縮小するテーパ面とされ、この外周面
によって素材10に側縁に向けて厚さが増す無転造部1
8が形成されるようになっている。なお、無転造部18
は、フィン形成面側へ向けて若干湾曲した状態で形成さ
れてもよい。そのような湾曲が起こる場合があり、起こ
っても電縫加工上の問題はないからである。
【0026】溝付ロール本体34Aとサイドロール34
Bとの境には、外周面の全周に亙って延びる突条部形成
用溝60が形成されており、この突条部形成用溝60に
よって、素材10には、その両側縁から一定距離離れた
位置に、板条材Bの長手方向に延びる突条部16が全長
に亙って形成される。なお、この実施形態では、突条部
形成用溝60の断面形状がなだらかな円弧状とされてい
るが、断面三角形状であってもよい。
【0027】溝付ロール34および平滑ロール36によ
り溝加工された板条材Bは、図3に示すように、一対の
ロール38を経て、複数対配列されたフォーミングロー
ル40を通して徐々に管状に丸められ、ローリングセパ
レータ41により突き合わせるべき両端縁間の間隙量が
一定に保たれたうえ、誘導加熱コイル42に通されて両
側縁部が加熱される。管状に成形され加熱された板条材
Bは、一対のスクイズロール44を通され、両側方から
押されることにより加熱された両側縁部が突き合わさ
れ、溶接される。こうして溶接された伝熱管10の外周
面には、はみ出した溶融材料によりビードが形成される
ので、このビードを切削するためのビードカッタ46が
設けられている。
【0028】ビードが切削された伝熱管10は冷却槽4
8を通されて強制冷却されたうえ、複数対配列されたサ
イジングロール50を通され、所定の外径までに縮径さ
れるようになっている。さらに、縮径された伝熱管10
は、ラフコイラ52で巻き取られる。
【0029】次に、上記装置を用いた内面溝付伝熱管の
製造方法の一実施形態を説明する。この実施形態の方法
では、まず一定幅の板条材Bをアンコイラ30から連続
的に繰り出し、繰り出された板条材Bを一対の押さえロ
ール32を経て、溝付ロール34と受けロール36との
間に通し、溝付ロール34により図1および図2に示す
ように、フィン12、螺旋溝14、突条部16、および
無転造部18を形成する。
【0030】板条材Bの材質としては、銅または銅合金
であればいかなる材質も使用可能であり、伝熱管の材質
として一般的な脱酸銅(例えばJIS1220合金)の
みならず、無酸素銅、銅合金、アルミニウム、アルミニ
ウム合金、鋼などへ適用した場合にも同様の効果が得ら
れる。
【0031】なお、本発明を一般的な外径3〜15mm
程度の伝熱管製造に適用する場合には、溝形成前の板条
材Bの厚さは0.3〜1.2mmであることが好まし
く、かつ板条材Bに形成する螺旋溝14の最大深さ(=
フィン12の最大高さ)は板条材Bの厚さの30〜60
%であることが好ましい。フィン12の高さを従来品よ
りも高めた場合には、フィン12の先端の排液性および
乱流発生効果が向上し、従来のシームレス管では得られ
ない高い熱交換性能が得られる。
【0032】次に溝加工された板条材Bを、一対のロー
ル38および複数対配列されたフォーミングロール40
を通して徐々に管状に丸めたうえ、ローリングセパレー
タ41により突き合わせるべき両端縁間の距離(間隙
量)を一定に保つ。その上で、誘導加熱コイル42に通
して両側縁部を加熱し、さらに一対のスクイズロール4
4を通して両側方から押すことにより両側縁部を突き合
わせて溶接する。伝熱管10の外周面にはみ出した溶融
材料はビードとなるため、このビードをビードカッタ4
6で切削する。
【0033】ビードが切削された伝熱管10を冷却槽4
8に通して強制冷却し、複数対配列されたサイジングロ
ール50を通して、所定の外径までに縮径する。こうし
て縮径された伝熱管20を、ラフコイラ52で巻き取
る。但し、この工程は図4の装置を使用した場合のもの
であり、装置の構成に合わせて変更してよいことは勿論
である。
【0034】図7および図8は、こうして得られる内面
溝付伝熱管20の一例を示す断面図および内面の展開図
である。素材10の両側縁に形成されていた無転造部1
8が突き合わされて溶接されることにより、内側に若干
突出した溶接部22が形成されるとともに、その両側に
は、溶接部22と平行な溝部24が形成されている。
【0035】なお、溶接部22の頂上部分での溶接部2
2の高さを含めた金属管肉厚は、テーパーを有しない部
分でのフィン12の高さを含めた金属管肉厚よりも僅か
に小さくされることが望ましい。溶接部22の先端がフ
ィン12よりも内方に突き出していると、伝熱管10の
外周に放熱フィンを固定するために拡管を行う際に、溶
接部22と拡管プラグとのかじりが生じるおそれがあ
る。また、溶接部22の先端がフィン12よりもあまり
外方に位置していると、前記拡管処理時に溶接部22に
対応する位置で管外周面に凹みが生じ、伝熱管20の円
筒度が低下して、放熱フィンの固定が不十分になるおそ
れがあるためである。
【0036】上記構成からなる内面溝付伝熱管製造用素
材10および伝熱管の製造方法によれば、両側縁部に形
成される無転造部18およびその近傍部分の厚さを、素
材側縁に向けて増大するように形成しているので、フォ
ーミングロール40により管状に成形されてスクイズロ
ール44によって両側縁を突き合わされるときに、電縫
条件に多少のばらつきが生じたとしても、この両側縁が
内側に過剰に曲がることがなく、製造された伝熱管の外
周面に落ち込みが生じにくい。
【0037】したがって、落ち込みに起因する放熱フィ
ンの取り付け異常や、製造された伝熱管20の拡管時に
拡管プラグが溶接部とかじりを生じる等の問題を軽減す
ることができ、内面溝付伝熱管の製造に対する信頼性を
向上することが可能である。
【0038】また、無転造部18とフィン形成領域との
境界に突条部16を形成しているので、これら境界部を
補強する効果が得られ、無転造部18が前記境界から折
れ曲がることが防止できる。したがって、この点からも
伝熱管に落ち込みが発生するのを防止する効果が得られ
る。
【0039】また、板条材Bにフィン12および螺旋溝
14を転造する際に、螺旋溝14の末端から無転造部1
8へ向けて材料流れが生じたとしても、この材料流れを
螺旋溝14と無転造部18との間に形成された突条部1
6によって堰止め、板条材Bの端縁に波打ち形状が発生
することが防止できる。したがって、波打ち形状の発生
により生じる溶接部22の欠陥を防ぐことが可能で、こ
の点からも内面溝付伝熱管10の信頼性を高めることが
できる。
【0040】なお、前記実施形態では、素材10の両側
部に突条部16を形成していたが、図9に示すように突
条部16を形成せず、素材10の側縁から距離W1の各
位置までフィン12が延びているだけの構成も実施可能
である。また、上述した実施形態では、溝付ロール34
により1段階のフィン転造のみを行っていたが、溝付ロ
ールを2つ以上使用して2段階以上に転造を行い、一度
目の転造で形成したフィン上に、2度目の転造でフィン
に交差する溝を形成することも可能である。
【0041】また、前記実施形態では、フィン12が単
純な螺旋状をなしていたが、本発明では螺旋状以外のフ
ィンを形成することも可能である。例えば、平面視して
V字状またはW字状をなすフィンを、周方向に並べて形
成してもよい。そのようなV字状フィン12によれば、
伝熱管内を流れる熱媒を乱流化する作用がより強くな
り、熱交換効率を向上することが可能である。もちろ
ん、フィンの平面形状はV字状やW字状に限らず、C字
状など様々な変形が可能である。
【0042】また、本発明では、長手方向に分割された
短いフィンを千鳥状または螺旋状に多数形成する構成も
実施可能であり、いずれの場合も上述した優れた効果が
得られる。さらに、伝熱管の内面にのみフィンおよび螺
旋溝を形成するのではなく、伝熱管の外面にフィンや溝
を形成してもよい。
【0043】
【実施例】次に、実施例を挙げて本発明の効果を実証す
る。図6に示す断面形状を有する溝付ロール34を使用
して内面溝付伝熱管を製造した場合(実施例)と、図1
0に示すように無転造部4の厚さがフィン形成領域での
フィンを含まない厚さと等しい場合(比較例)とにおい
て、それぞれ伝熱管を製造し、得られた伝熱管の外周面
に落ち込みが生じるか否かを検査した。フィンを転造す
る条件以外は、すべての条件を共通にした。
【0044】フィン転造条件は以下の通りである。 [共通条件] 板条材Bの初期厚さ:0.44mm 板条材Bの材質:リン脱酸銅 フィン12の最大高さ:0.20mm フィン12のピッチ:0.44mm フィン12の両側面の角度(頂角):53゜
【0045】[実施例] 素材10の中央部での厚さt0:0.30mm 無転造部18の端部の厚さt1:0.37mm=t0の
123% 突条部16との境での無転造部18の厚さt2:0.3
6mm=t0の120% 無転造部18の幅W1:2.10mm テーパー部分の幅W2:7.10mm
【0046】[比較例] 素材10の中央部での厚さt0:0.30mm 無転造部18の端部の厚さt1:0.30mm=t0の
100% 突条部16との境での無転造部18の厚さt2:0.3
0mm=t0の100% 無転造部18の幅W1:2.10mm
【0047】上記条件において6回の伝熱管製造を行っ
たところ、実施例の方法で得られた伝熱管では落ち込み
が全く生じなかったのに対し、比較例の方法では6回の
製造において伝熱管の外周面に落ち込みが生じた。
【0048】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明に係る内面
溝付伝熱管製造用素材および内面溝付伝熱管の製造方法
によれば、素材の両側縁部に形成される無転造部および
その近傍部分の厚さを、素材側縁に向けて所定の割合で
増大するように形成しているので、素材を管状に成形し
て両側縁を突き合わさるときに、電縫条件に多少のばら
つきが生じたとしても、この両側縁が内側に過剰に曲が
ることが少なく、製造された伝熱管の外周面に落ち込み
が生じにくい。したがって、落ち込みに起因する放熱フ
ィンの取り付けの異常や、製造された伝熱管の拡管時に
拡管プラグが溶接部とかじりを生じる等の問題を軽減す
ることができ、内面溝付伝熱管の信頼性を向上すること
が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る内面溝付伝熱管製造用素材の一実
施形態を示す断面図である。
【図2】同内面溝付伝熱管製造用素材の平面図である。
【図3】本発明に係る内面溝付伝熱管の製造方法に使用
する製造装置の一例を示す側面図である。
【図4】同製造装置のフィン形成ロールを示す側面図で
ある。
【図5】同フィン形成ロールの正面図である。
【図6】同フィン形成ロールによって板条材にフィン等
を転造している状態の断面拡大図である。
【図7】同実施形態の方法で製造された内面溝付伝熱管
の一例を示す断面図である。
【図8】同内面溝付伝熱管の内面の展開図である。
【図9】本発明に係る内面溝付伝熱管製造用素材の他の
実施形態を示す断面図である。
【図10】従来の内面溝付伝熱管製造用素材を示す断面
図である。
【図11】従来の内面溝付伝熱管製造用素材の問題点を
示す断面拡大図である。
【符号の説明】
10 内面溝付伝熱管製造用素材 12 フィン 14 螺旋溝 16 突条部 18 無転造部 W1 無転造部の幅 W2 素材厚さにテーパーがつけられた領域の幅 t0 素材の中央部における無転造部の厚さ t1 素材の側縁における無転造部の厚さ t2 フィン形成領域との境界における無転造部の厚さ 20 内面溝付伝熱管 22 溶接部 B 板条材 34 溝付ロール(フィン形成ロール) 36 受けロール(フィン形成ロール) 40 フォーミングロール 42 誘導加熱コイル 62 転造溝 64 突条部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 荒山 義克 福島県会津若松市扇町128の7 三菱伸 銅株式会社若松製作所内 (72)発明者 永原 孝太郎 福島県会津若松市扇町128の7 三菱伸 銅株式会社若松製作所内 (72)発明者 ▲すくも▼田 俊▲緑▼ 福島県会津若松市扇町128の7 三菱伸 銅株式会社若松製作所内 (56)参考文献 特開 平9−126678(JP,A) 特開 平9−119793(JP,A) 特開 平9−108732(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21D 53/06 B21D 53/04 B21C 37/15 F28F 1/40 B21B 1/08

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一定幅を有する金属製の板条材と、この
    板条材の一面の幅方向両端部に形成された一定幅を有す
    る一対の無転造部(18)と、これら無転造部(18)
    同士の間のフィン形成領域に形成された多数のフィン
    (12)とを具備する内面溝付伝熱管製造用素材(1
    0)であって、 前記無転造部(18)の幅(W1)は、前記板条材の幅
    の1〜10%にされるとともに、前記板条材の幅方向
    端縁での無転造部(18)の厚さ(t1)は、前記板条
    材の中央部でのフィン(12)を含まない厚さ(t0)
    の102〜146%にされ、前記フィン形成領域との境
    界での無転造部の厚さ(t2)は、前記板条材の中央部
    でのフィン(12)を含まない厚さ(t0)の101〜
    141%にされていることを特徴とする内面溝付伝熱管
    製造用素材。
  2. 【請求項2】 前記板条材の一面には、前記フィン形成
    領域と前記各無転造部(18)との境界に沿って一対の
    突条部(16)が形成されていることを特徴とする請求
    項1に記載の内面溝付伝熱管製造用素材。
  3. 【請求項3】 前記フィン(12)の前記板条材の一面
    からの高さ(H)は、前記両端縁に近づくにつれ減少す
    るように形成されていることを特徴とする請求項1また
    は2記載の内面溝付伝熱管製造用素材。
  4. 【請求項4】 金属製の板条材(B)を走行させつつ、
    少なくとも一対のフィン形成ロール(34,36)間を
    通すことにより、前記板条材(B)の一面の幅方向両端
    部に、板条材(B)の幅の1〜10%の幅を有する一対
    の無転造部(18)を形成するとともに、これら無転造
    (18)同士の間のフィン形成領域に多数のフィン
    (12)を形成し、前記無転造部(18)の幅(W1)
    を前記板条材の幅の2〜20%にするとともに、前記板
    条材の幅方向両端縁での無転造部(18)の厚さ(t
    1)を、前記板条材の中央部でのフィン(12)を含ま
    ない厚さ(t0)の102〜146%、前記フィン形成
    領域との境界での無転造部(18)の厚さ(t2)を、
    前記板条材の中央部でのフィンを含まない厚さ(t0)
    の101〜141%にするフィン形成工程と、 前記フィン(12)が形成された板条材を、複数のフォ
    ーミングロール(40)を通して、前記フィン(12)
    が内周側に位置するように管状に成形する管成形工程
    と、 管状に成形された前記板条材の両端縁を加熱したうえ突
    き合わせて溶接する溶接工程とを具備することを特徴と
    する内面溝付伝熱管の製造方法。
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