JP3278484B2 - 記録用インク - Google Patents

記録用インク

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JP3278484B2
JP3278484B2 JP4120693A JP4120693A JP3278484B2 JP 3278484 B2 JP3278484 B2 JP 3278484B2 JP 4120693 A JP4120693 A JP 4120693A JP 4120693 A JP4120693 A JP 4120693A JP 3278484 B2 JP3278484 B2 JP 3278484B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はインクジェット記録用お
よび筆記用具用等の記録用インクに関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェットプリンターは低騒音、低
ランニングコストおよびカラー記録が容易であるなどの
特徴を有しており、デジタル信号の出力機器として近年
急速に普及している。このようなインクジェットプリン
ターの記録用インクとしては、水性染料を主体にしたイ
ンク、油性染料を主体にしたインク、顔料分散インクお
よび熱溶融可能な固体インクなど様々な材料のものが提
案されている。この中でも水性染料を主体とした水性イ
ンクはインク材料の生体および環境に対する安全性が高
いこと、ならびにプリンターの消費エネルギーが小さい
こと、などの点から、地球環境の保全という社会の要請
に最も適合する方式であると考えられる。
【0003】さて、このような水性染料を主体とするイ
ンクジェット用インクに対して要求される性能として
は、 1)コピー用紙、レポート用紙、ボンド紙、フォーム紙
などのオフィスや家庭で一般に使用される非塗工紙、い
わゆる普通紙に対しても、乾燥時間が速くしかも滲みの
ない印字が可能なこと、 2)カラー色重ね印字の際、画素境界での滲みのないこ
と、 3)耐水性に優れていること、 4)ヘッドに充填した場合、長時間放置してもヘッドノ
ズルの目詰りがなく、信頼性の高いこと、 などが挙げられる。
【0004】上記した要求性能を満足させるべく、従来
種々の組成の水性インクが提案されてきた。例えば、イ
ンクの信頼性向上を目的に、一般に水性インクにはグリ
セロールなどの水溶性高沸点有機溶剤が含有されてい
る。しかしながらこのようなインクでサイズ度の高い普
通紙に印字した場合、インクの紙厚さ方向への浸透速度
が遅く、印字部の乾燥部が悪いという問題点があり、特
にカラーインクの色重ねの際、画質が著しく低下する。
【0005】紙厚さ方向へのインクの浸透性を高めるた
め、例えば特開昭55−29546号公報ではインク中
に多量の界面活性剤を添加する方法が提案されている。
この場合には、紙によっては滲みが非常に多く発生した
り、またインクジェット用ヘッドにインクを充填した場
合、ヘッドの材料および構造の条件によってはインクが
吐出しないなどの問題点がある。
【0006】更に紙へのインク定着性および耐水性を上
げることを目的に特開平1−213376号公報にはイ
ンクのPHを強アルカリ性にする技術が提案されてい
る。この場合には生体に対する安全性の他に、例えば中
性紙に対しては定着性および耐水性が十分ではないとい
う問題点がある。
【0007】更にインクの滲み、印字物の乾燥性および
ヘッドの目詰り性を改善することを目的に、例えば特開
平3−259967号公報ではインク中にポリプロピレ
ングリコールのアルキルエーテルを含有する技術が提案
されている。この場合にはカラーインクの色重ね印字の
画質に関し、必ずしも満足できるものではない。以上述
べたように、上記の他にもこれ迄種々の技術が提案され
ているが、前記した要求性能を十分に満足するインクは
今迄のところ知られていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的はコピー
用紙、レポート用紙、ボンド紙、フォーム紙などのオフ
ィスや家庭で一般に使用される非塗工紙、いわゆる普通
紙に対しても乾燥時間が速くてしかも滲みのない高画質
のカラー印字が可能な記録用インクを提供することであ
る。本発明の別の目的はインクジェット記録用に適用し
た場合、ノズルの目詰りの改良された高信頼性のインク
を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明の構成は、水溶性染料、水溶性有機溶媒および
ポリカルボキシメチル−N−アセチルグルコサミンの金
属塩を含有する記録用インクである。
【0010】ポリカルボキシメチル−N−アセチルグル
コサミンのアルカリ金属塩の原料としてはキチンが挙げ
られる。キチンはβ−ポリ−N−アセチル−D−グリコ
サミンで表わされる多糖類であるが、分子間の強い水素
結合により、水や他の溶剤にはほとんど溶解しない。
【0011】本発明に用いるポリカルボキシメチル−N
−アセチルグルコサミンのアルカリ金属塩は、キチンす
なわちポリ−N−アセチルグルコサミンをアルカリ溶液
中でカルボキシメチル化した後、アルカリ側で析出して
えられる化合物である。
【0012】製法の一例を示すと、ポリ−N−アセチル
グルコサミンをアルカリ溶液に溶解する場合、ポリ−N
−アセチルグルコサミンをアルカリ溶液混合物を−10
℃付近で凍結後、0〜5℃で融解を行なうことにより、
分子量の低下や、脱アセチルの副生成物を伴なわずにポ
リ−N−アセチルグルコサミンアルカリ溶液がえられ
る。本法で用いるアルカリ溶液としては、水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム及び他のアルカリ金属塩の水溶液
が一般に用いられる。
【0013】その添加量は金属塩としてポリ−N−アセ
チルグルコサミンに対し1〜10倍当量、好ましくは5
〜8倍当量である。次にカルボキシメチル化剤としてモ
ノクロル酢酸を1〜8倍当量、好ましくは3〜5倍当量
を反応させてポリカルボキシメチル−N−アセチルグル
コサミンのアルカリ金属塩溶液がえられる。
【0014】これに酸、例えば塩酸を加え等電点のpH
9以上のアルカリ側で析出すると固体のアルカリ金属塩
がえられる。このアルカリ金属塩としてはナトリウム
塩、カリウム塩、リチウム塩等が挙げられるが、特に制
限はない。本化合物のナトリウム塩の構造式を式Iに示
す。この式においてnは200〜4,000である。
【0015】
【化1】
【0016】本発明のポリカルボキシメチル−N−アセ
チルグルコサミンのアルカリ金属塩を記録用インクに配
合する重量割合は、記録用インク100重量部に対して
0.01〜1重量部の範囲である。本化合物は水に対す
る溶解度が高く、平衡水分含有量が多いため、本化合物
を配合した記録用インクは水分蒸発に伴うヘツドノズル
の目詰りを生せず、高い信頼性を与えるものと考えられ
る。さらに本化合物は適度の粘度向上特性を有している
ため、多色カラーの色重ね印字の際も画素境界でのイン
クの望ましくない混合がなく、高品位の画質を与えるも
のと考えられる。
【0017】本発明においては更に界面活性剤を含有さ
せることが望ましい。本発明に適用可能な界面活性剤と
してはアニオン系、カチオン系、ノニオン系及び両性系
の従来公知の化合物が挙げられる。
【0018】例えばポリオキシエチレンアルキルエーテ
ル系化合物、オキシエチレン含有アセチレンジオール系
化合物、ジアルキルスルホコハク酸エステル化合物、フ
ッ素系化合物、シリコーン系化合物等である。特に好ま
しい界面活性剤は下記構造式IIで表わされる化合物であ
る。
【0019】構造式II R−O−(CH2CH2O)mCH2COOM (式中R:炭素数6〜14の分岐してもよいアルキル
基、m:3〜12の整数、M:アルカリ金属イオン、第
4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、あるいはアル
カノールアミンを表わす)。
【0020】これらの界面活性剤の記録用インクへの配
合量はインク100重量部に対して0.001〜5重量
部、好ましくは0.01〜2重量部の範囲である。界面
活性剤を添加することにより、紙の厚さ方向へのインク
の浸透速度を上げ、印字画像の品質を一層向上すること
ができる。
【0021】本発明の記録用インクに使用する水溶性染
料としてはアゾ系、アントラキノン系、インジゴ系、ト
リフェニルメタン系及びフタロシアニン系等の従来公知
の酸性染料、塩基性染料、反応性染料、食用色素等が挙
げられる。
【0022】適用可能な染料の具体例としては、 C.I.ダイレクトブラック−17,−19,−22,
−32,−51,−80,−91,−151,−154
及び−168、 C.I.ダイレクトブルー−86及び−199、 C.I.ダイレクトレッド−9及び−227、 C.I.ダイレクトイエロー−86,−132及び−1
42、 C.I.アシッドブラック−2,−24,−26,−4
8,−52,−63,−172,−194及び−20
8、 C.I.アッシドブルー−9,185及び−249、 C.I.アッシドレッド−8,−35,−37,−5
2,−92,−94,−254及び−289、 C.I.アッシドイエロー−23及び−49、 C.I.リアクティブブラック−31、 C.I.リアクティブレッド−23及び−180、 C.I.リアクティブイエロー−37、 C.I.フードブラック−2等が挙げられる。
【0023】上記水溶性染料の記録用インクへの配合量
はインク100重量部に対して0.2〜12重量部、好
ましくは0.5〜10重量部の範囲である。
【0024】本発明の記録用インクに適用可能な水溶性
有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロ
パノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec
−ブタノール、tert−ブタノール、イソブタノー
ル、イソアミルアルコール等のアルキルアルコール類;
ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセト
アミド等のアミド類;ジメチルスルホオキサイド;アセ
トン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトンアル
コール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテ
ル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコ
ール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコー
ル、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオ
ール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオー
ル、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオ
ール、2,5−ヘキサンジオール、3−メチル−1,3
−ブタンジオール、2−メチルペンタン−2,4−ジオ
ール、3−メチルペンタン−1,5−ジオール、1,
2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオ
ール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、
1,2,6−ヘキサントリオール等のアルキレングリコ
ール類;グリセロール、ジグリセロール、トリグリセロ
ール等のグリセロール類;チオジエタノール;エチレン
グリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモ
ノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエ
ーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジ
エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等のグリ
コールの低級アルキルエーテル類;N−メチル−2−ピ
ロリドン;1,3−ジメチル−2−イミダリジノン;ト
リエタノールアミン;スルホラン等が挙げられる。
【0025】これらの水溶性有機溶媒の記録用インクへ
の配合量はインク100重量部に対して1〜50重量部
が好ましく、より好ましくは2〜30重量部の範囲であ
る。上記水溶性有機溶媒は単独でも、また2種類以上の
混合物としても使用できる。その他本発明の記録用イン
クにはpH調整剤、防菌防かび剤、金属封鎖剤等を必要
に応じて含有させることができる。
【0026】
【実施例】次に本発明の実施例及び比較例を具体的に説
明する。なお配合量はすべて重量%である。 実施例1 C.I.ダイレクトブラック168 3.0% ジエチレングリコール 7.5% グリセロール 2.5% ポリカルボキシメチル−N−アセチルグルコサミンNa塩 0.2% イオン交換水 86.8% ポリカルボキシメチル−N−アセチルグルコサミンNa
塩をイオン交換水に完全に溶解させた後、残りの全成分
を加えて完全に溶解させる。次いでポア径0.45μm
を有するメンブランフィルターで加圧濾過した後真空ポ
ンプを用いて脱気処理し、本実施例の記録用インクを調
製した。なお、本実施例は請求項1に該当する。
【0027】実施例2〜18 実施例1で述べた方法に従って下記第1表の記載から成
る本実施例の記録用インクを調製した。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】比較例1〜 実施例1において、ポリカルボキシメチル−N−アセチ
ルグルコサミンNa塩を用いない以外は実施例1と同じ
手順に従って下記第2表の記載より成る本比較例の記録
用インクを調製した。
【0032】
【表4】
【0033】前記調製した本発明の実施例及び比較例の
記録用インクについて、公知のインクジェットプリンタ
ー(Desk Writer C,米国ヒューレットパ
ッカード社製)を用いて、単色カラー印字、ならびにカ
ラー色重ね印字を行ない、単色カラー印字における
(A)乾燥時間及び(B)印字品質、ならびに(C)カ
ラー色重ね印字における印字品質を評価した。
【0034】(A)インク乾燥時間 リコピーType6200紙(上質紙)、冨士ゼロック
スR紙(再生紙)及びGilbert Bond紙(ボ
ンド紙)上に印字されたベタ部を濾紙に圧着し、インク
が濾紙に転写されなくなる時間を評価し、 5秒未満 ◎ 5〜15秒 ○ 16〜30秒 △ 31秒以上 × によって分類した。
【0035】(B)紙種による印字品質 上記の記録紙上に印字された各ドットについて顕微鏡観
察を行ない、ドット周辺の不均一な滲み(フェザリン
グ)および均一な滲み(ドットの輪郭のシャープさ)を
目視により評価し、 滲みなし ◎ 滲みほとんどなし ○ 滲みあり △ 滲み × によって分類した。
【0036】(C)カラー色重ね印字による印字品質 上記の記録紙上にシアン、マゼンタおよびイエローイン
クを用いてカラー色重ね印字を行ない色重ね境界部にお
けるインクの滲みおよびシャープを目視により評価し、 滲みなし ◎ 滲みほとんどなし ○ 滲みあり △ 滲み多い × によって分類した。次にインクの信頼性を以下の方法で
評価した。
【0037】(D)インクの信頼性 公知のインクジェットプリンター(HG−3000,セ
イコーエプソン社製)のカートリッジにインクを充填
し、40℃30%RHの環境下にノズルキャップのない
状態で1ヶ月放置後に印字を行ない、 すぐに印字可能 ○ インクを循環させ、クリーニングすることにより印字可能 △ 印字不可能 × によって分類した。
【0038】上記方法による本発明の実施例及び比較例
の記録用インクの評価結果を第3表〔評価(A),
(B)および(D)〕、ならびに第4表〔評価(C)〕
に示す。
【0039】
【表5】
【0040】
【表6】
【0041】
【表7】
【0042】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の記録用イ
ンクをインクジェット用あるいは筆記用に用いた場合、
記録後の乾燥性及び印字品質性に優れ、コピー紙、レ
ポート用紙、ボンド紙、フォーム紙等のいわゆる普通紙
に対して滲みのない高品位の印字画像を与えることがで
きる。
【0043】特に本発明の記録用インクを用いて多色カ
ラーインクジェット記録を行なった場合、色重ね画素境
界部でインクの望ましくない滲みのない高品位の多色カ
ラー印字画像が得られる。さらにカートリッジ内に長期
間放置しても目詰りを生じない信頼性の高い性能を有す
る。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−331272(JP,A) 特開 平3−219090(JP,A) 特開 昭63−210181(JP,A) 特開 昭63−6073(JP,A) Seiichi TOKUMURA, Norio NISHI,Akihik o TSUTSUMI,and Oyi n SOMORIN,Studies on Chitin VIII.Som e Properties of Wa ter Soluble Chitin Derivatives,Polym er Journal,日本,Vol. 15/No.6,p.485−489 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 11/00 - 13/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶性染料、水溶性有機溶媒およびポリ
    カルボキシメチル−N−アセチルグルコサミンのアルカ
    リ金属塩を含有することを特徴とする記録用インク。
  2. 【請求項2】 界面活性剤を含有することを特徴とする
    請求項1に記載の記録用インク。
  3. 【請求項3】 下記構造式で表わされる界面活性剤を含
    有することを特徴とする請求項1または2に記載の記録
    用インク。 R−O−(CH2CH2O)mCH2COOM (式中Rは炭素数6〜14の分岐してもよいアルキル
    基;mは3〜12の整数;Mはアルカリ金属イオン、第
    4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、あるいはアル
    カノールアミンを表わす)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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Seiichi TOKUMURA,Norio NISHI,Akihiko TSUTSUMI,and Oyin SOMORIN,Studies on Chitin VIII.Some Properties of Water Soluble Chitin Derivatives,Polymer Journal,日本,Vol.15/No.6,p.485−489

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