JP3277704B2 - 耐摩耗性の良好なポリエステル繊維とその製造方法 - Google Patents
耐摩耗性の良好なポリエステル繊維とその製造方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐摩耗性の良好なポリ
エステル繊維に関する。さらに詳しくは、織物とした時
の風合いが良好で、かつ高次工程での摩耗による白粉な
どの糸削れを起こさない耐摩耗性の良好なポリエステル
繊維に関する。
エステル繊維に関する。さらに詳しくは、織物とした時
の風合いが良好で、かつ高次工程での摩耗による白粉な
どの糸削れを起こさない耐摩耗性の良好なポリエステル
繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、紡糸速度5500m/分以上の高
速紡糸プロセスが、ポリエステルなどの溶融紡糸の生産
プロセスとして広まりつつある。これはプロセスそのも
のが大きなコストダウン効果をもつだけでなく、この繊
維からなる織物が従来の紡糸/延伸の二工程法により得
られる繊維からなる織物と比較して、ソフト風合い、染
色性などで優れた特性を示すからである。このソフトで
良好な風合いは、特殊な繊維構造形成の過程を経るため
に、繊維内の非晶部分子鎖の配向が低くなり基質自体が
柔らかくなることに起因する。しかし一方では、紡糸速
度5500m/分以上の高速紡糸で得られる繊維は、整
経、製織、編立てなどの高次工程において、従来の紡糸
/延伸の二工程法により得られる繊維に比して削れ物が
発生しやすい。これらの問題を解決するためには、紡糸
油剤の付与量を増加する手段が採られているが、削れ物
の量は減少するものの、油剤に起因するスカム汚れが激
しくなり必ずしも有効な手段ではない。
速紡糸プロセスが、ポリエステルなどの溶融紡糸の生産
プロセスとして広まりつつある。これはプロセスそのも
のが大きなコストダウン効果をもつだけでなく、この繊
維からなる織物が従来の紡糸/延伸の二工程法により得
られる繊維からなる織物と比較して、ソフト風合い、染
色性などで優れた特性を示すからである。このソフトで
良好な風合いは、特殊な繊維構造形成の過程を経るため
に、繊維内の非晶部分子鎖の配向が低くなり基質自体が
柔らかくなることに起因する。しかし一方では、紡糸速
度5500m/分以上の高速紡糸で得られる繊維は、整
経、製織、編立てなどの高次工程において、従来の紡糸
/延伸の二工程法により得られる繊維に比して削れ物が
発生しやすい。これらの問題を解決するためには、紡糸
油剤の付与量を増加する手段が採られているが、削れ物
の量は減少するものの、油剤に起因するスカム汚れが激
しくなり必ずしも有効な手段ではない。
【0003】この削れ物が発生する理由としては、紡糸
速度5500m/分以上の高速紡糸で得られる繊維は極
めて高温の状態で構造が形成されるため、分子鎖の緩和
と結晶化の促進が同時に起こり、その構造の特徴として
非晶部の配向度が低くミクロボイドを有するため、基質
が柔らかく、擦過に対してポリマ基質自体が削れやす
く、フィブリル状の削れ物を生じやすいものと考えてい
る。
速度5500m/分以上の高速紡糸で得られる繊維は極
めて高温の状態で構造が形成されるため、分子鎖の緩和
と結晶化の促進が同時に起こり、その構造の特徴として
非晶部の配向度が低くミクロボイドを有するため、基質
が柔らかく、擦過に対してポリマ基質自体が削れやす
く、フィブリル状の削れ物を生じやすいものと考えてい
る。
【0004】この削れ物を減少させるため、原料ポリエ
ステル中に酸化チタンや酸化ケイ素などの粒子を添加し
ているが、この場合にも削れ物は発生し、添加された粒
子が削れ物の大部分を占めている。この削れ物が発生す
る理由としては、以下に示すA、Bの二つの要因が考え
られている。 A.従来の酸化チタン、およびジメチルジクロロシラン
で表面処理した酸化ケイ素(特公平3−35403号公
報)などの粒子を含むポリエステル高速紡糸繊維は、そ
の繊維の表面を観察したところ、二工程法で得られた繊
維に比較して高い突起が数多く見られた。これは、高速
紡糸プロセスは構造形成の過程が極めて短く、半流動状
態から一気に結晶化を起こし、密度が急増するので、こ
の時にポリエステル中の粒子が繊維表面に押し出され、
高次工程のガイドなどとの擦過に対して粒子が脱落しや
すくなるものと考えられる。 B.構造形成時の極めて高い応力の影響で、添加粒子と
ポリマ基質が剥離し、粒子周囲に比較的大きなボイドを
生成するため、粒子が脱落しやすいものと考えられる。 以上のことから、ポリエステルとの親和性が高く、分散
性が良好な粒子を含有すれば、得られた繊維の高次工程
での削れ物は激減すると考えた。
ステル中に酸化チタンや酸化ケイ素などの粒子を添加し
ているが、この場合にも削れ物は発生し、添加された粒
子が削れ物の大部分を占めている。この削れ物が発生す
る理由としては、以下に示すA、Bの二つの要因が考え
られている。 A.従来の酸化チタン、およびジメチルジクロロシラン
で表面処理した酸化ケイ素(特公平3−35403号公
報)などの粒子を含むポリエステル高速紡糸繊維は、そ
の繊維の表面を観察したところ、二工程法で得られた繊
維に比較して高い突起が数多く見られた。これは、高速
紡糸プロセスは構造形成の過程が極めて短く、半流動状
態から一気に結晶化を起こし、密度が急増するので、こ
の時にポリエステル中の粒子が繊維表面に押し出され、
高次工程のガイドなどとの擦過に対して粒子が脱落しや
すくなるものと考えられる。 B.構造形成時の極めて高い応力の影響で、添加粒子と
ポリマ基質が剥離し、粒子周囲に比較的大きなボイドを
生成するため、粒子が脱落しやすいものと考えられる。 以上のことから、ポリエステルとの親和性が高く、分散
性が良好な粒子を含有すれば、得られた繊維の高次工程
での削れ物は激減すると考えた。
【0005】そこで、我々は特殊なアルミナを使用する
ことを提案した(特開平1−285283号公報)。と
ころが、この粒子を含有したポリエステルは、上記課題
である高次工程における削れ物の減少は解決できたもの
の、ポリエステル中での分散性が不十分であるため、紡
糸パック内のフィルター濾過における濾圧上昇が大き
く、安定して生産できないことがわかった。
ことを提案した(特開平1−285283号公報)。と
ころが、この粒子を含有したポリエステルは、上記課題
である高次工程における削れ物の減少は解決できたもの
の、ポリエステル中での分散性が不十分であるため、紡
糸パック内のフィルター濾過における濾圧上昇が大き
く、安定して生産できないことがわかった。
【0006】また、ジメチルジクロロシランで表面処理
した酸化ケイ素を使用することを提案した(特公平3−
35403号公報)。該公報の糸は白粉が発生しやすい
問題があることがわかった。これは酸化ケイ素は特公昭
43−23960号公報に記載されているようにポリエ
ステル中での粒子分散性は不良であり、この表面処理酸
化ケイ素はその分散性を改良したものではあるが、それ
でもポリエステル中での粒子の凝集が避けられず、粒子
分散性が不十分であったが、紡糸パック内のフィルター
濾過を強化すれば、濾圧上昇の大きい問題があるもの
の、上記課題である高次工程における削れ物の発生の問
題は解決できることがわかった。
した酸化ケイ素を使用することを提案した(特公平3−
35403号公報)。該公報の糸は白粉が発生しやすい
問題があることがわかった。これは酸化ケイ素は特公昭
43−23960号公報に記載されているようにポリエ
ステル中での粒子分散性は不良であり、この表面処理酸
化ケイ素はその分散性を改良したものではあるが、それ
でもポリエステル中での粒子の凝集が避けられず、粒子
分散性が不十分であったが、紡糸パック内のフィルター
濾過を強化すれば、濾圧上昇の大きい問題があるもの
の、上記課題である高次工程における削れ物の発生の問
題は解決できることがわかった。
【0007】そこで、5500m/分以上の高速紡糸に
おいて、ポリエステルとの親和性が高く、ポリエステル
への分散性が良好な酸化ケイ素粒子の探索にポイントを
絞り、鋭意に検討した結果、本発明に至ったのである。
おいて、ポリエステルとの親和性が高く、ポリエステル
への分散性が良好な酸化ケイ素粒子の探索にポイントを
絞り、鋭意に検討した結果、本発明に至ったのである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
欠点のないポリエステル繊維、すなわち高速紡糸特有の
ソフトな風合いの織物となり、かつ高次工程での白粉な
どの糸削れを起こさない耐摩耗性の良好なポリエステル
繊維とその製造方法を提供することにある。
欠点のないポリエステル繊維、すなわち高速紡糸特有の
ソフトな風合いの織物となり、かつ高次工程での白粉な
どの糸削れを起こさない耐摩耗性の良好なポリエステル
繊維とその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、本目的を
達成するため鋭意検討を重ねた結果、ある特有の酸化ケ
イ素粒子を使用することにより、上記課題を解決できる
ことを見出し、本発明を完成するに至ったのである。す
なわち、本発明は乾式法で合成した、又は湿式法で合成
し更に焼成した酸化ケイ素粒子を直鎖状のシリコーンオ
イルで0.1〜10重量%被覆した、平均一次粒子径5
〜45mμの実質的に乾式法で合成した酸化ケイ素粒子
を0.02〜2.0重量%含有し、tanδのピーク温
度Tmaxが125℃以下、密度が1.370g/cm
3 以上、複屈折率が0.085以上である耐摩耗性の良
好なポリエステル繊維を提供することである。
達成するため鋭意検討を重ねた結果、ある特有の酸化ケ
イ素粒子を使用することにより、上記課題を解決できる
ことを見出し、本発明を完成するに至ったのである。す
なわち、本発明は乾式法で合成した、又は湿式法で合成
し更に焼成した酸化ケイ素粒子を直鎖状のシリコーンオ
イルで0.1〜10重量%被覆した、平均一次粒子径5
〜45mμの実質的に乾式法で合成した酸化ケイ素粒子
を0.02〜2.0重量%含有し、tanδのピーク温
度Tmaxが125℃以下、密度が1.370g/cm
3 以上、複屈折率が0.085以上である耐摩耗性の良
好なポリエステル繊維を提供することである。
【0010】本発明における酸化ケイ素粒子は、直鎖状
のシリコーンオイルを被覆し、該シリコーンオイルを
0.1〜10重量%含有していることが必要である。好
ましくは0.2〜8重量%である。ここで被覆とは酸化
ケイ素粒子の表面に該シリコーンオイルが物理的に吸着
及び/又は化学結合していることである。なお、粒子の
シリコーンオイル含有量は、元素分析法、灰分測定法か
らの演算、赤外吸収スペクトルの強度比などの種々の方
法で定量できる。このシリコーンオイル含有量が粒子の
0.1重量%未満であると、ポリエステル中で粒子が凝
集し、紡糸パック内のフィルター濾過における濾圧上昇
が大きく、また高次工程において粒子が脱落しやすいと
いう問題を生じる。10重量%をこえるとシリコーンオ
イルの酸化ケイ素粒子表面への被覆が頭打ちとなる。ま
た、過剰のシリコーンオイルがポリエステル中に混合し
糸強度が低下したりブリードアウトしてくる。
のシリコーンオイルを被覆し、該シリコーンオイルを
0.1〜10重量%含有していることが必要である。好
ましくは0.2〜8重量%である。ここで被覆とは酸化
ケイ素粒子の表面に該シリコーンオイルが物理的に吸着
及び/又は化学結合していることである。なお、粒子の
シリコーンオイル含有量は、元素分析法、灰分測定法か
らの演算、赤外吸収スペクトルの強度比などの種々の方
法で定量できる。このシリコーンオイル含有量が粒子の
0.1重量%未満であると、ポリエステル中で粒子が凝
集し、紡糸パック内のフィルター濾過における濾圧上昇
が大きく、また高次工程において粒子が脱落しやすいと
いう問題を生じる。10重量%をこえるとシリコーンオ
イルの酸化ケイ素粒子表面への被覆が頭打ちとなる。ま
た、過剰のシリコーンオイルがポリエステル中に混合し
糸強度が低下したりブリードアウトしてくる。
【0011】本発明の直鎖状のシリコーンオイルは、一
般に下記式で表されたものが好ましい。
般に下記式で表されたものが好ましい。
【化1】 すなわち、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポ
リシロキサンなどジ置換ポリシロキサンを基本とする構
造であり、Aは例えばハイドロキシ基、アミン基、エポ
キシ基、水酸基、カルボキシル基、メルカプタン基、ア
ルコキシシリル基などの粒子表面のシラノール基と反応
が可能な官能基が含まれていても良い。シリコーンオイ
ルは酸化ケイ素粒子表面のシラノール基と反応する官能
基を有すれば化学結合して安定するが官能基を有しなく
ても粒子表面のシラノール基が活性なため吸着力が強く
粒子表面に安定して存在するので官能基の有無にかかわ
らず好ましく使用できる。
リシロキサンなどジ置換ポリシロキサンを基本とする構
造であり、Aは例えばハイドロキシ基、アミン基、エポ
キシ基、水酸基、カルボキシル基、メルカプタン基、ア
ルコキシシリル基などの粒子表面のシラノール基と反応
が可能な官能基が含まれていても良い。シリコーンオイ
ルは酸化ケイ素粒子表面のシラノール基と反応する官能
基を有すれば化学結合して安定するが官能基を有しなく
ても粒子表面のシラノール基が活性なため吸着力が強く
粒子表面に安定して存在するので官能基の有無にかかわ
らず好ましく使用できる。
【0012】具体的には以下のような官能基が例示され
る。
る。
【化2】 また、このシリコーンオイルは実質的に直鎖状であるこ
とが必要である。特開平2−173157号公報で示す
ように、球状の架橋したシリコーンオイルは、ポリエス
テルへの分散性は良好ではあるが、粒子とポリエステル
との親和性が低くボイドが発生しやすい、また紡糸速度
5500m/分以上で糸切れが激しく安定して紡糸でき
ない。なお、本発明の目的を逸脱しない範囲ならば三官
能であるSi−O3 結合あるいは四官能であるSi−O
4 結合で三次元架橋しても良い。
とが必要である。特開平2−173157号公報で示す
ように、球状の架橋したシリコーンオイルは、ポリエス
テルへの分散性は良好ではあるが、粒子とポリエステル
との親和性が低くボイドが発生しやすい、また紡糸速度
5500m/分以上で糸切れが激しく安定して紡糸でき
ない。なお、本発明の目的を逸脱しない範囲ならば三官
能であるSi−O3 結合あるいは四官能であるSi−O
4 結合で三次元架橋しても良い。
【0013】なお、本発明におけるシリコーンオイルを
被覆した酸化ケイ素粒子は、後述する合成法で得られた
酸化ケイ素粒子をそのまま使用しても、あるいは一旦ジ
メチルジクロロシラン、トリクロロメチルシラン、トリ
クロロオクチルシラン、または反応基を複数有するシラ
ンカップリング剤などで表面処理してあっても良い。す
なわち、酸化ケイ素の最表面をシリコーンオイルで被覆
していれば、ポリエステルとの親和性が高く粒子分散性
が良好となるのである。
被覆した酸化ケイ素粒子は、後述する合成法で得られた
酸化ケイ素粒子をそのまま使用しても、あるいは一旦ジ
メチルジクロロシラン、トリクロロメチルシラン、トリ
クロロオクチルシラン、または反応基を複数有するシラ
ンカップリング剤などで表面処理してあっても良い。す
なわち、酸化ケイ素の最表面をシリコーンオイルで被覆
していれば、ポリエステルとの親和性が高く粒子分散性
が良好となるのである。
【0014】また、本発明における酸化ケイ素粒子は、
乾式法で合成されているか、又は湿式法で合成し更に焼
成して、乾式法と同様な表面状態に変性されていること
が必要である。乾式法の場合には、四塩化ケイ素と水素
混合物を空気中で加熱して加水分解する燃焼法、珪砂と
コークスをアーク炉で加熱還元し空気中の酸素で酸化す
る加熱法などがある。この乾式法で合成された酸化ケイ
素粒子は、内部表面を持たないため、表面シラノール基
濃度が通常3個/nm2 以下と少ないが、さらに本発明
におけるシリコーンオイルを被覆していることにより、
表面シラノール基濃度はさらに低濃度となり、粒子同士
の親和性が低下するため、ポリエステルへの分散性が向
上すると考えられる。
乾式法で合成されているか、又は湿式法で合成し更に焼
成して、乾式法と同様な表面状態に変性されていること
が必要である。乾式法の場合には、四塩化ケイ素と水素
混合物を空気中で加熱して加水分解する燃焼法、珪砂と
コークスをアーク炉で加熱還元し空気中の酸素で酸化す
る加熱法などがある。この乾式法で合成された酸化ケイ
素粒子は、内部表面を持たないため、表面シラノール基
濃度が通常3個/nm2 以下と少ないが、さらに本発明
におけるシリコーンオイルを被覆していることにより、
表面シラノール基濃度はさらに低濃度となり、粒子同士
の親和性が低下するため、ポリエステルへの分散性が向
上すると考えられる。
【0015】一方、珪酸曹達と酸などを原料とする湿式
法で合成した酸化ケイ素粒子は、乾式法で合成したもの
と異なり内部表面を持つため、表面シラノール基濃度が
通常6〜30個/nm2 以下と非常に高濃度であり、本
発明におけるシリコーンオイルを被覆しても、吸着/化
学結合できないシラノール基が数多く残って粒子同士の
親和性が高いため凝集をしてポリエステルへの分散性が
不十分となる。なお、湿式法で合成した酸化ケイ素粒子
でも、それを焼成して内部表面をなくし、表面シラノー
ル基濃度を低くして、乾式法と同様な粒子表面状態に変
性すれば、表面シラノール基濃度が通常3個/nm2 以
下となって乾式法で合成した酸化ケイ素粒子と同様に使
用できる。
法で合成した酸化ケイ素粒子は、乾式法で合成したもの
と異なり内部表面を持つため、表面シラノール基濃度が
通常6〜30個/nm2 以下と非常に高濃度であり、本
発明におけるシリコーンオイルを被覆しても、吸着/化
学結合できないシラノール基が数多く残って粒子同士の
親和性が高いため凝集をしてポリエステルへの分散性が
不十分となる。なお、湿式法で合成した酸化ケイ素粒子
でも、それを焼成して内部表面をなくし、表面シラノー
ル基濃度を低くして、乾式法と同様な粒子表面状態に変
性すれば、表面シラノール基濃度が通常3個/nm2 以
下となって乾式法で合成した酸化ケイ素粒子と同様に使
用できる。
【0016】酸化ケイ素粒子にシリコーンオイルを被覆
する方法は乾式法が好ましく挙げられる。乾式法とは、
酸化ケイ素とシリコーンオイルを所定量混合し、ヘンシ
ェルミキサー、V型ミキサー、ボールミル、振動ミル、
ジェントルミルなどに添加して被覆し、場合によっては
乾燥する方法である。また他の方法で行なっても構わな
い。
する方法は乾式法が好ましく挙げられる。乾式法とは、
酸化ケイ素とシリコーンオイルを所定量混合し、ヘンシ
ェルミキサー、V型ミキサー、ボールミル、振動ミル、
ジェントルミルなどに添加して被覆し、場合によっては
乾燥する方法である。また他の方法で行なっても構わな
い。
【0017】本発明における酸化ケイ素粒子は、その平
均一次粒子径は5〜45mμ、好ましくは7〜40mμ
であることが必要である。この平均一次粒子径は5mμ
より小さいと粒子の比表面積が大きくなるため、ポリエ
ステル中で粒子が凝集しやすく、一方、45mμより大
きいと凝結した粗大粒子が多く、その粒子はポリエステ
ル中で分散しないため、いずれも粒子分散性が低下して
繊維表面突起が高くなり擦過時に表面突起が脱落し易く
なる。
均一次粒子径は5〜45mμ、好ましくは7〜40mμ
であることが必要である。この平均一次粒子径は5mμ
より小さいと粒子の比表面積が大きくなるため、ポリエ
ステル中で粒子が凝集しやすく、一方、45mμより大
きいと凝結した粗大粒子が多く、その粒子はポリエステ
ル中で分散しないため、いずれも粒子分散性が低下して
繊維表面突起が高くなり擦過時に表面突起が脱落し易く
なる。
【0018】本発明におけるシリコーンオイルを被覆し
た酸化ケイ素粒子は、ポリエステル繊維中に0.02〜
2.0重量%含有する必要がある。0.02重量%未満
では糸削れを防止する効果が不十分であり、2.0重量
%を越えると高次工程における削れ物が多くなる。
た酸化ケイ素粒子は、ポリエステル繊維中に0.02〜
2.0重量%含有する必要がある。0.02重量%未満
では糸削れを防止する効果が不十分であり、2.0重量
%を越えると高次工程における削れ物が多くなる。
【0019】本発明におけるポリエステルは、ポリエチ
レンテレフタレート、あるいはそれを主成分とした線状
なものであり、ジカルボン酸またはそのエステル形成性
誘導体と、グリコールまたはそのエステル形成性誘導体
とを主たる出発原料としてエステル化またはエステル交
換などの反応により低重合体を合成した後、さらにその
低重合体を高温・減圧下で重縮合反応させることにより
製造できる。 本発明におけるポリエステルには、共重
合成分として、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピ
ン酸、セバシン酸、テトラデカン二酸、エイコサン二
酸、ダイマー酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸
などのジカルボン酸成分、1,4−ブタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノールAまたはそ
のエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールSまたは
そのエチレンオキサイド付加物、1,4−シクロヘキサ
ンジメタノール、ジエチレングリコール、ポリエチレン
グリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレン
グリコールなどのジオール成分、パラオキシ安息香酸、
ε−カプロラクトンなどのオキシカルボン酸成分などの
2官能性成分を15モル%以下共重合していても良く、
トリメリット酸、ペンタエリスリトールなどの多官能性
成分なども得られるポリエステルが実質的に線状である
量ならば共重合していても良い。更に、制電剤、紫外線
吸収剤、赤外線吸収剤、難燃剤、蛍光増白剤、抗菌剤な
どの添加剤を共重合、混合などの方法により、本発明の
目的を逸脱しない範囲で含有しても良い。
レンテレフタレート、あるいはそれを主成分とした線状
なものであり、ジカルボン酸またはそのエステル形成性
誘導体と、グリコールまたはそのエステル形成性誘導体
とを主たる出発原料としてエステル化またはエステル交
換などの反応により低重合体を合成した後、さらにその
低重合体を高温・減圧下で重縮合反応させることにより
製造できる。 本発明におけるポリエステルには、共重
合成分として、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピ
ン酸、セバシン酸、テトラデカン二酸、エイコサン二
酸、ダイマー酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸
などのジカルボン酸成分、1,4−ブタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノールAまたはそ
のエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールSまたは
そのエチレンオキサイド付加物、1,4−シクロヘキサ
ンジメタノール、ジエチレングリコール、ポリエチレン
グリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレン
グリコールなどのジオール成分、パラオキシ安息香酸、
ε−カプロラクトンなどのオキシカルボン酸成分などの
2官能性成分を15モル%以下共重合していても良く、
トリメリット酸、ペンタエリスリトールなどの多官能性
成分なども得られるポリエステルが実質的に線状である
量ならば共重合していても良い。更に、制電剤、紫外線
吸収剤、赤外線吸収剤、難燃剤、蛍光増白剤、抗菌剤な
どの添加剤を共重合、混合などの方法により、本発明の
目的を逸脱しない範囲で含有しても良い。
【0020】次に、この粒子を含有したポリエステル繊
維の特性について述べる。本発明におけるポリエステル
繊維は、tanδのピーク温度Tmaxが125℃以
下、密度が1.370g/cm3 以上、複屈折率が0.
085以上である必要がある。
維の特性について述べる。本発明におけるポリエステル
繊維は、tanδのピーク温度Tmaxが125℃以
下、密度が1.370g/cm3 以上、複屈折率が0.
085以上である必要がある。
【0021】tanδのピーク温度Tmaxは、繊維の
非晶部分子鎖の動き易さを示す値であり、これは125
℃以下を越えると、非晶部分子鎖は動きにくく、繊維の
基質自体が堅く織物としたときの風合いは粗硬である。
また、密度は1.370g/cm3 未満であると、熱に
対する寸法安定性が劣り、精錬、中間セット、染色など
での織編物の風合いが硬くなりソフト風合いとならな
い。
非晶部分子鎖の動き易さを示す値であり、これは125
℃以下を越えると、非晶部分子鎖は動きにくく、繊維の
基質自体が堅く織物としたときの風合いは粗硬である。
また、密度は1.370g/cm3 未満であると、熱に
対する寸法安定性が劣り、精錬、中間セット、染色など
での織編物の風合いが硬くなりソフト風合いとならな
い。
【0022】複屈折率は0.085以上とする必要があ
る。複屈折率が0.085未満であると、分子鎖の配向
が低く機械的性質が低くなるため高次加工の各工程で糸
の削れや糸切れなどのトラブルが発生し、本発明の酸化
ケイ素粒子を含有していたとしても、これらを防止する
ことは極めて困難である。
る。複屈折率が0.085未満であると、分子鎖の配向
が低く機械的性質が低くなるため高次加工の各工程で糸
の削れや糸切れなどのトラブルが発生し、本発明の酸化
ケイ素粒子を含有していたとしても、これらを防止する
ことは極めて困難である。
【0023】次に、本発明の耐摩耗性の良好なポリエス
テル繊維の製造方法を示す。本発明者らの検討によれ
ば、特定の極限粘度のポリエステルに特殊な酸化ケイ素
粒子を直接粉末のまま添加、混合することで、ポリエス
テルへの分散性が著しく向上することを見出したのであ
る。
テル繊維の製造方法を示す。本発明者らの検討によれ
ば、特定の極限粘度のポリエステルに特殊な酸化ケイ素
粒子を直接粉末のまま添加、混合することで、ポリエス
テルへの分散性が著しく向上することを見出したのであ
る。
【0024】本発明において酸化ケイ素粒子を添加する
ポリエステルの極限粘度は0.50dl/g以上、好ま
しくは0.55dl/g以上とする必要がある。極限粘
度が0.50dl/g未満のポリエステルを用いると、
粒子分散性が劣るばかりか、得られた糸の機械特性が損
なわれ、強度、伸度が劣るものとなってしまう。
ポリエステルの極限粘度は0.50dl/g以上、好ま
しくは0.55dl/g以上とする必要がある。極限粘
度が0.50dl/g未満のポリエステルを用いると、
粒子分散性が劣るばかりか、得られた糸の機械特性が損
なわれ、強度、伸度が劣るものとなってしまう。
【0025】また、本発明における特殊な酸化ケイ素粒
子粉末を直接添加、混合することが必要である。酸化ケ
イ素粒子は、水に分散しないため水スラリーとしての添
加が難しく、また分散が可能な有機溶媒のスラリーで添
加しても、ポリエステルへの粒子分散性が劣り、紡糸パ
ック内のフィルター濾過における濾圧上昇が大きいばか
りでなく、紡糸速度5500m/分以上で糸切れが激し
く、安定して溶融紡糸できないのである。
子粉末を直接添加、混合することが必要である。酸化ケ
イ素粒子は、水に分散しないため水スラリーとしての添
加が難しく、また分散が可能な有機溶媒のスラリーで添
加しても、ポリエステルへの粒子分散性が劣り、紡糸パ
ック内のフィルター濾過における濾圧上昇が大きいばか
りでなく、紡糸速度5500m/分以上で糸切れが激し
く、安定して溶融紡糸できないのである。
【0026】本発明における粒子粉末の直接添加、混合
は、一旦チップ化した後再溶融したポリエステルに添
加、混合させることも、連続重合したポリエステルに直
接定量的に供給することもできる。また、ベースポリエ
ステルから枝分岐して粒子を混合して得たマスタ−のポ
リエステルを再度ベースポリエステルと最適量混合して
紡糸しても良く、マスタ−のポリエステルのままチップ
状、または溶融計量後にベースポリエステルと混合して
紡糸する方法も採用することもできる。
は、一旦チップ化した後再溶融したポリエステルに添
加、混合させることも、連続重合したポリエステルに直
接定量的に供給することもできる。また、ベースポリエ
ステルから枝分岐して粒子を混合して得たマスタ−のポ
リエステルを再度ベースポリエステルと最適量混合して
紡糸しても良く、マスタ−のポリエステルのままチップ
状、または溶融計量後にベースポリエステルと混合して
紡糸する方法も採用することもできる。
【0027】粒子粉末のポリエステルへの混合は剪断力
が大きい混合機にて実施することが好ましい。剪断力が
大きい混合機としては、単軸押出機、二軸押出機、多段
押出機、混練機などが好ましく使用でき、二軸以上の押
出機は同方向回転、異方向回転でも、非かみ合い型、か
み合い型いずれでも構わない。重合槽の攪拌など剪断力
が小さい混合機では酸化ケイ素粒子は十分には分散しな
いため好ましくない。
が大きい混合機にて実施することが好ましい。剪断力が
大きい混合機としては、単軸押出機、二軸押出機、多段
押出機、混練機などが好ましく使用でき、二軸以上の押
出機は同方向回転、異方向回転でも、非かみ合い型、か
み合い型いずれでも構わない。重合槽の攪拌など剪断力
が小さい混合機では酸化ケイ素粒子は十分には分散しな
いため好ましくない。
【0028】本発明の耐摩耗性の良好なポリエステル繊
維を得るには、紡糸速度5500m/分以上で溶融紡糸
する際、製糸性を高めるためには、紡糸温度を300℃
以上とし、口金下保温ゾーンの長さを20cm以上と
し、冷却ゾーン直後に油剤を付与して紡糸することが好
ましい。
維を得るには、紡糸速度5500m/分以上で溶融紡糸
する際、製糸性を高めるためには、紡糸温度を300℃
以上とし、口金下保温ゾーンの長さを20cm以上と
し、冷却ゾーン直後に油剤を付与して紡糸することが好
ましい。
【0029】本発明の繊維およびその製造方法によれ
ば、酸化ケイ素粒子がポリエステル繊維、特に表層部に
均一に分散するので周囲のポリマを硬くすることがで
き、これに起因する繊維表面の突起を脱落しにくくして
いるものと考える。また本発明の特殊な酸化ケイ素粒子
はポリエステルとの親和性が高いことから、他の粒子に
見られるような粒子周辺のボイドの生成が見られず、粒
子の脱落が抑制されるものと考える。
ば、酸化ケイ素粒子がポリエステル繊維、特に表層部に
均一に分散するので周囲のポリマを硬くすることがで
き、これに起因する繊維表面の突起を脱落しにくくして
いるものと考える。また本発明の特殊な酸化ケイ素粒子
はポリエステルとの親和性が高いことから、他の粒子に
見られるような粒子周辺のボイドの生成が見られず、粒
子の脱落が抑制されるものと考える。
【0030】
【実施例】以下の実施例によって本発明をさらに具体的
に説明する。本発明における粒子の特性および分散性、
糸物性などの測定法を以下、述べる。
に説明する。本発明における粒子の特性および分散性、
糸物性などの測定法を以下、述べる。
【0031】A.粒子の平均一次粒子径 粒子を10万倍に拡大した電子顕微鏡写真から、各一次
粒子の最長径を測定し、1000個の平均として求め
た。なお、この平均一次粒子径は糸中に粒子が分散して
も変わらない。
粒子の最長径を測定し、1000個の平均として求め
た。なお、この平均一次粒子径は糸中に粒子が分散して
も変わらない。
【0032】B.ポリエステルの極限粘度 o−クロロフェノールに溶解し、25℃で測定した。
【0033】C.紡糸パック内圧上昇 実施例で示す紡糸時の紡糸パック内圧を1時間あたりの
上昇量に換算して示した。内圧上昇が低いものほど、ポ
リエステルへの粒子分散性が良好であることを示す。
上昇量に換算して示した。内圧上昇が低いものほど、ポ
リエステルへの粒子分散性が良好であることを示す。
【0034】D.tanδのピーク温度Tmax 東洋ボールドウィン社製バイブロンDDV−II型を用
い、振動数110Hz、昇温速度3℃/分でtanδ−
温度曲線を求め、tanδのピークに対応する温度を読
み取った。
い、振動数110Hz、昇温速度3℃/分でtanδ−
温度曲線を求め、tanδのピークに対応する温度を読
み取った。
【0035】E.密度 25℃に設定された恒温水槽中にn−ヘプタンと四塩化
炭素よりなる密度勾配管を作成して、常法により測定し
た。
炭素よりなる密度勾配管を作成して、常法により測定し
た。
【0036】F.複屈折率 ベレックコンペンセータを装着した偏光顕微鏡を用い、
常法により求めた。
常法により求めた。
【0037】G.白粉状態 ウォータージェットルームにタテ糸として供給し、筬に
おける白粉発生の状況を洗浄した筬を用い、製織スター
トして24時間後に観察した。
おける白粉発生の状況を洗浄した筬を用い、製織スター
トして24時間後に観察した。
【0038】H.織物の風合い 縦糸に30デニール12フィラメントのポリエステル繊
維を用い、サンプルを横糸として、36.5本/cmの
密度で製織し、常法により精練、染色して染色布帛を得
た。得られた布帛を官能評価により、ソフト風合いのも
のを○、硬いものを×、硬目のものを△とした。
維を用い、サンプルを横糸として、36.5本/cmの
密度で製織し、常法により精練、染色して染色布帛を得
た。得られた布帛を官能評価により、ソフト風合いのも
のを○、硬いものを×、硬目のものを△とした。
【0039】実施例1 四塩化ケイ素と水素混合物を空気中で加熱し加水分解し
て得られた平均一次粒子径12mμの酸化ケイ素92部
を、粘度が約3000センチポイズのジメチルポリシロ
キサン8部とヘンシェルミキサーで混合することによ
り、該シリコーンを被覆した酸化ケイ素粒子を得た。な
お、該粒子のシリコーンオイル含有量(灰分測定法)は
8.0重量%であった。
て得られた平均一次粒子径12mμの酸化ケイ素92部
を、粘度が約3000センチポイズのジメチルポリシロ
キサン8部とヘンシェルミキサーで混合することによ
り、該シリコーンを被覆した酸化ケイ素粒子を得た。な
お、該粒子のシリコーンオイル含有量(灰分測定法)は
8.0重量%であった。
【0040】260℃に設定した東芝機械社製二軸混練
機において、常法により得た極限粘度が0.68dl/
gのポリエチレンテレフタレートのチップを溶融した状
態で、上記酸化ケイ素を含有量3%となるように添加、
混合し脱気しながら押出して極限粘度が0.66dl/
gのチップを得た。
機において、常法により得た極限粘度が0.68dl/
gのポリエチレンテレフタレートのチップを溶融した状
態で、上記酸化ケイ素を含有量3%となるように添加、
混合し脱気しながら押出して極限粘度が0.66dl/
gのチップを得た。
【0041】これを、上記0.68dl/gのポリエチ
レンテレフタレートとブレンドして酸化ケイ素粒子の含
有量が0.25重量%となるように仕込み、孔径0.1
7mmの18ホール口金、100メッシュサンドおよび
絶対濾過径が10μmのステンレス製不織布フィルター
を使用して、紡糸温度302℃、35cmの保温ゾー
ン、50cmの冷却ゾーンを通過させ、冷却ゾーン直後
に油剤を付与して、50デニール18フィラメントの糸
条を交絡を付与しつつ、紡糸速度7000m/分で引取
り、紙管に巻取った。なお、パック内圧上昇量は0.0
4kg/cm2 /hrと少なく、ポリエステルへの粒子
分散性は良好であった。
レンテレフタレートとブレンドして酸化ケイ素粒子の含
有量が0.25重量%となるように仕込み、孔径0.1
7mmの18ホール口金、100メッシュサンドおよび
絶対濾過径が10μmのステンレス製不織布フィルター
を使用して、紡糸温度302℃、35cmの保温ゾー
ン、50cmの冷却ゾーンを通過させ、冷却ゾーン直後
に油剤を付与して、50デニール18フィラメントの糸
条を交絡を付与しつつ、紡糸速度7000m/分で引取
り、紙管に巻取った。なお、パック内圧上昇量は0.0
4kg/cm2 /hrと少なく、ポリエステルへの粒子
分散性は良好であった。
【0042】得られた繊維のtanδのピーク温度Tm
ax、密度、複屈折率、および製織時の白粉観察結果
を、表1に示す。いずれも本発明の範囲であった。
ax、密度、複屈折率、および製織時の白粉観察結果
を、表1に示す。いずれも本発明の範囲であった。
【0043】実施例2、3、4、比較例1、2 それぞれ表1に示すようなシリコーンオイル含有量の酸
化ケイ素粒子を用いた以外は実施例1と同様にして、ポ
リエステルチップ、糸を得た。結果を表1に示すが、シ
リコーンオイル含有量が少なくなるに従いポリエステル
への粒子分散性が低下してパック内圧上昇量が大きくな
るともに安定して紡糸できなくなり、シリコーン含有量
が0.1重量%未満では製織時に白粉が発生した。
化ケイ素粒子を用いた以外は実施例1と同様にして、ポ
リエステルチップ、糸を得た。結果を表1に示すが、シ
リコーンオイル含有量が少なくなるに従いポリエステル
への粒子分散性が低下してパック内圧上昇量が大きくな
るともに安定して紡糸できなくなり、シリコーン含有量
が0.1重量%未満では製織時に白粉が発生した。
【0044】
【表1】 実施例5〜8、比較例3、4 それぞれ表2および表3に示すようなシリコーンオイル
を用い、実施例2と同じ被覆率となるような粒子を用い
た以外は、実施例2と同様にして、ポリエステルチッ
プ、糸を得た。なお、実施例8では、比較例4で使用し
た表面処理酸化ケイ素粒子をさらにジメチルポリシロキ
サンで表面処理して用いた。球状の架橋したシリコーン
オイルを被覆した酸化ケイ素を用いると、ポリエステル
への粒子分散性は良好であったが、紡糸速度7000m
/分では糸切れが多発した。また、ジメチルジクロロシ
ランで表面処理した酸化ケイ素はポリエステルへの粒子
分散性が悪く、紡糸速度7000m/分では糸切れが多
発して巻き取れなかった。
を用い、実施例2と同じ被覆率となるような粒子を用い
た以外は、実施例2と同様にして、ポリエステルチッ
プ、糸を得た。なお、実施例8では、比較例4で使用し
た表面処理酸化ケイ素粒子をさらにジメチルポリシロキ
サンで表面処理して用いた。球状の架橋したシリコーン
オイルを被覆した酸化ケイ素を用いると、ポリエステル
への粒子分散性は良好であったが、紡糸速度7000m
/分では糸切れが多発した。また、ジメチルジクロロシ
ランで表面処理した酸化ケイ素はポリエステルへの粒子
分散性が悪く、紡糸速度7000m/分では糸切れが多
発して巻き取れなかった。
【0045】比較例5〜7 それぞれ表3に示すような粒子のエチレングリコールス
ラリーを、実施例1で示したベースポリエステルと同様
にして重合時に粒子濃度が0.25重量%となるように
添加して重合を完結した以外は、実施例1と同様にし
て、ポリエステルチップ、糸を得た。いずれもパック内
圧上昇量がやや大きくポリエステルへの粒子分散性が劣
り、糸切れが発生して安定して巻き取れなかったり、製
織時に白粉が発生した。
ラリーを、実施例1で示したベースポリエステルと同様
にして重合時に粒子濃度が0.25重量%となるように
添加して重合を完結した以外は、実施例1と同様にし
て、ポリエステルチップ、糸を得た。いずれもパック内
圧上昇量がやや大きくポリエステルへの粒子分散性が劣
り、糸切れが発生して安定して巻き取れなかったり、製
織時に白粉が発生した。
【0046】比較例8 実施例1で示した極限粘度が0.68dl/gのポリエ
チレンテレフタレートのチップをそのまま用いて糸を得
た。結果を表3に示すが、製織時に白粉が発生した。
チレンテレフタレートのチップをそのまま用いて糸を得
た。結果を表3に示すが、製織時に白粉が発生した。
【0047】
【表2】
【表3】 実施例9〜11、比較例9、10 それぞれ表4に示すような平均一次粒子径の酸化ケイ素
粒子を用いてシリコーンオイルを被覆した以外は実施例
7と同様にして、ポリエステルチップ、糸を得た。平均
一次粒子径が5〜45mμを外れるとポリエステルへの
粒子分散性が低下してパック内圧上昇量が大きくなると
ともに、製織時に白粉が発生した。
粒子を用いてシリコーンオイルを被覆した以外は実施例
7と同様にして、ポリエステルチップ、糸を得た。平均
一次粒子径が5〜45mμを外れるとポリエステルへの
粒子分散性が低下してパック内圧上昇量が大きくなると
ともに、製織時に白粉が発生した。
【0048】
【表4】 実施例12、13、比較例11、12 それぞれ表5に示すようにチップブレンド比を変えて紡
糸した以外は実施例10と同様にして糸を得た。粒子含
有量が0.02〜2.0重量%を外れると、製織時に白
粉が発生した。
糸した以外は実施例10と同様にして糸を得た。粒子含
有量が0.02〜2.0重量%を外れると、製織時に白
粉が発生した。
【0049】
【表5】 実施例14、15、比較例13 それぞれ表6に示すような紡糸速度で紡糸した以外は実
施例10と同様にして糸を得た。紡糸速度が5500m
/分未満であると、糸の密度、複屈折率が低く、製織時
に白粉が発生した。
施例10と同様にして糸を得た。紡糸速度が5500m
/分未満であると、糸の密度、複屈折率が低く、製織時
に白粉が発生した。
【0050】比較例14 紡糸速度3000m/分で一旦巻き取った後、延伸倍率
1.7倍で延伸した以外は実施例10と同様にして糸を
得た。結果を表6に示すが、Tmaxが高く、糸の密度
が低く、製織布帛の風合いが硬かった。
1.7倍で延伸した以外は実施例10と同様にして糸を
得た。結果を表6に示すが、Tmaxが高く、糸の密度
が低く、製織布帛の風合いが硬かった。
【0051】
【表6】 比較例15 湿式法、すなわち珪酸曹達と硫酸を反応させて濾過・水
洗・乾燥して得た平均一次粒子径28mμの酸化ケイ素
を使用してシリコーンオイルを被覆した以外は実施例5
と同様にして、ポリエステルチップ、糸を得た。結果を
表7に示すが、ポリエステルへの粒子分散性が劣り、製
織時に白粉が発生した。
洗・乾燥して得た平均一次粒子径28mμの酸化ケイ素
を使用してシリコーンオイルを被覆した以外は実施例5
と同様にして、ポリエステルチップ、糸を得た。結果を
表7に示すが、ポリエステルへの粒子分散性が劣り、製
織時に白粉が発生した。
【0052】実施例16 シリコーンオイルを被覆する前に焼成して乾式法酸化ケ
イ素に匹敵する表面物性を付与させた以外は比較例15
と同様にして、ポリエステルチップ、糸を得た。結果を
表7に示すが、本発明の範囲であり、製織時に白粉のな
い良好な糸が得られた。
イ素に匹敵する表面物性を付与させた以外は比較例15
と同様にして、ポリエステルチップ、糸を得た。結果を
表7に示すが、本発明の範囲であり、製織時に白粉のな
い良好な糸が得られた。
【0053】
【表7】 実施例17 連続重合し、最終の重合装置から吐出された溶融ポリエ
チレンテレフタレート(極限粘度0.67dl/g)を
連続的に二軸混練機へ直接フィ−ドした以外は、実施例
6と同様にして混練チップ、糸を得た。結果を表8に示
すが、実施例6と同じく製織時に白粉のない良好な糸が
得られた。
チレンテレフタレート(極限粘度0.67dl/g)を
連続的に二軸混練機へ直接フィ−ドした以外は、実施例
6と同様にして混練チップ、糸を得た。結果を表8に示
すが、実施例6と同じく製織時に白粉のない良好な糸が
得られた。
【0054】実施例18 二軸混練機へ粒子含有量0.5重量%となるように添
加、混合し脱気しながら押出したチップをそのまま紡糸
した以外は、実施例6と同様にして混練チップ、糸を得
た。結果を表8に示すが、実施例6と同じく製織時に白
粉のない良好な糸が得られた。
加、混合し脱気しながら押出したチップをそのまま紡糸
した以外は、実施例6と同様にして混練チップ、糸を得
た。結果を表8に示すが、実施例6と同じく製織時に白
粉のない良好な糸が得られた。
【0055】比較例16 最終の重合装置の前(溶融ポリエチレンテレフタレート
の極限粘度0.43dl/g)に、シリコーンオイルを
被覆した酸化ケイ素粒子を添加して重合装置から吐出さ
せた以外は、実施例17と同様にして混練チップを得
た。結果を表8に示すが、ポリエステルへの粒子分散性
が悪く、紡糸速度7000m/分では糸切れが多発して
巻き取れなかった。
の極限粘度0.43dl/g)に、シリコーンオイルを
被覆した酸化ケイ素粒子を添加して重合装置から吐出さ
せた以外は、実施例17と同様にして混練チップを得
た。結果を表8に示すが、ポリエステルへの粒子分散性
が悪く、紡糸速度7000m/分では糸切れが多発して
巻き取れなかった。
【0056】
【表8】
【0057】
【発明の効果】本発明のポリエステル繊維は、酸化ケイ
素粒子のポリエステルとの親和性が高く、表層部に均一
に分散するので周囲のポリマを硬くするため、高次工程
での白粉やスカム汚れを防止しつつ、良好な風合いの布
帛の得られる繊維を供給することができるようになっ
た。また、高次工程以外にも、例えば製糸工程での糸道
ガイドでの擦過による白粉や、白粉に起因する最終製品
の点状の染色欠点を防止することができる。粒子分散性
が極めて良好であるので、パック内圧上昇が小さく、ま
た糸切れも少ないなど安定して操業することが可能であ
る。
素粒子のポリエステルとの親和性が高く、表層部に均一
に分散するので周囲のポリマを硬くするため、高次工程
での白粉やスカム汚れを防止しつつ、良好な風合いの布
帛の得られる繊維を供給することができるようになっ
た。また、高次工程以外にも、例えば製糸工程での糸道
ガイドでの擦過による白粉や、白粉に起因する最終製品
の点状の染色欠点を防止することができる。粒子分散性
が極めて良好であるので、パック内圧上昇が小さく、ま
た糸切れも少ないなど安定して操業することが可能であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−149321(JP,A) 特開 昭58−149323(JP,A) 特開 昭60−151374(JP,A) 特開 平4−65519(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D01F 6/92 301 - 309 D01F 6/62 301 - 308
Claims (4)
- 【請求項1】乾式法で合成した酸化ケイ素粒子を直鎖状
のシリコーンオイルで0.1〜10重量%被覆した、平
均一次粒子径が5〜45mμの酸化ケイ素粒子を0.0
2〜2.0重量%含有し、tanδのピーク温度Tma
xが125℃以下、密度が1.370g/cm3 以上、
複屈折率が0.085以上である耐摩耗性の良好なポリ
エステル繊維。 - 【請求項2】湿式法で合成し、更に焼成した酸化ケイ素
粒子を直鎖状のシリコーンオイルで0.1〜10重量%
被覆した、平均一次粒子径が5〜45mμの酸化ケイ素
粒子を0.02〜2.0重量%含有し、tanδのピー
ク温度Tmaxが125℃以下、密度が1.370g/
cm 3 以上、複屈折率が0.085以上である耐摩耗性
の良好なポリエステル繊維。 - 【請求項3】紡糸速度5500m/分以上でポリエステ
ルを溶融紡糸する際に乾式法で合成した酸化ケイ素粒子
を直鎖状のシリコーンオイルで0.1〜10重量%被覆
した、平均一次粒子径が5〜45mμの酸化ケイ素粒子
粉末を、極限粘度が0.50dl/g以上のポリエステ
ルに直接添加、混合し、ポリエステル繊維中に0.02
〜2.0重量%含有することを特徴とする耐摩耗性の良
好なポリエステル繊維の製造方法。 - 【請求項4】紡糸速度5500m/分以上でポリエステ
ルを溶融紡糸する際に湿式法で合成し、更に焼成した酸
化ケイ素粒子を直鎖状のシリコーンオイルで0.1〜1
0重量%被覆した、平均一次粒子径が5〜45mμの酸
化ケイ素粒子粉末を、極限粘度が0.50dl/g以上
のポリエステルに直接添加、混合し、ポリエステル繊維
中に0.02〜2.0重量%含有することを特徴とする
耐摩耗性の良好なポリエステル繊維の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16936394A JP3277704B2 (ja) | 1994-07-21 | 1994-07-21 | 耐摩耗性の良好なポリエステル繊維とその製造方法 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0835119A JPH0835119A (ja) | 1996-02-06 |
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ID=15885198
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---|---|---|---|
JP16936394A Expired - Fee Related JP3277704B2 (ja) | 1994-07-21 | 1994-07-21 | 耐摩耗性の良好なポリエステル繊維とその製造方法 |
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---|---|
JP (1) | JP3277704B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008179931A (ja) * | 2006-12-28 | 2008-08-07 | Daiwabo Co Ltd | 炭含有繊維およびその製造方法 |
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---|---|---|---|---|
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RS57590B1 (sr) * | 2014-04-07 | 2018-11-30 | Trevira Gmbh | Polimerno vlakno poboljšane disperzibilnosti |
CN112958049B (zh) * | 2021-01-26 | 2023-01-24 | 陕西鸿鑫耐斯环保科技有限公司 | 一种非晶二氧化硅陶瓷包覆聚酯纤维吸油材料的制备方法 |
-
1994
- 1994-07-21 JP JP16936394A patent/JP3277704B2/ja not_active Expired - Fee Related
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---|---|---|---|---|
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