JP3277549B2 - 厨房用グリスフィルター - Google Patents

厨房用グリスフィルター

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JP3277549B2
JP3277549B2 JP12809092A JP12809092A JP3277549B2 JP 3277549 B2 JP3277549 B2 JP 3277549B2 JP 12809092 A JP12809092 A JP 12809092A JP 12809092 A JP12809092 A JP 12809092A JP 3277549 B2 JP3277549 B2 JP 3277549B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は厨房の排気ダクト等に設
置され、厨房から発生する油脂のミストなどを除去して
油分を回収するために用いられる厨房用グリスフィルタ
ーに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、厨房から発生する油脂の蒸気
やミストが排気ダクトに付着し、ダクト内に堆積して排
気効率を低下させたり、付着した油脂が火災の伝播を引
き起こしたりして、厨房内の環境悪化や火災時の災害拡
大に繋がるという問題があり、これを防止するため厨房
の排気ダクトにグリスフィルターを設置し、油脂を回収
することが行われている。
【0003】この厨房用グリスフィルターには、空気中
の油脂のミストの捕集効率が高いこと、一度捕集した油
脂の回収効率が高いこと、また通気抵抗の少ないこと、
通気抵抗の経時変化が少ないことなどの特性が要求され
る。更に使用中、グリスフィルターに付着した油脂等を
除去してフィルターを再生するためアルカリ溶液等で洗
浄するので、グリスフィルターの素材はこれらの洗浄液
に対して耐性を有する必要がある。
【0004】この場合、捕集効率を表す捕捉効率と回収
性能を表す除去効率は以下の式で計算され、グリスフィ
ルターの性能としては、一般に捕捉効率が60%以上、
除去効率が80%以上であることが必要とされる(厨房
設備に付属する天蓋及び排気ダクトの検査基準:東京消
防庁通達、昭和54年)。
【0005】
【数1】
【0006】従来、このような厨房用グリスフィルター
として、図3に示すようなバッフル型が用いられてお
り、このバッフル型のグリスフィルターaは図の矢印の
ように油脂のミストを含む空気の流れ方向を2枚のバッ
フルb,cで急角度で変化させてバッフルb,cに空気
を衝突させることにより、機械的に排気中の油脂をバッ
フルb,cに付着させ、バッフルb,cに沿って油脂を
流し、下部の油分回収容器に油脂を回収するものであ
る。
【0007】しかし、このようなバッフル型のグリスフ
ィルターは、通気抵抗が大きく、吸引ブロワーに大きな
負担がかかっているという問題がある。
【0008】このため、本出願人は、先にバッフルプレ
ートの代わりに三次元網状骨格を有するセラミック多孔
体をグリスフィルターとして用いることを提案した(実
開昭63−118915号公報)。このセラミック多孔
体は、セル膜のない三次元網状骨格構造を有するポリウ
レタンフォームをセラミック材料からなる泥漿に浸漬
し、余剰泥漿を除去し、次いで焼成することにより得ら
れるものである。
【0009】このような三次元網状骨格を有するセラミ
ック多孔体を用いたグリスフィルターは、油脂のミスト
などを含んだ空気がセラミック多孔体の骨格に衝突し、
骨格に沿って油脂が流れて油脂を回収するものであり、
その構造的な特徴からバッフルプレートに比べて捕捉効
率が良好である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、グリス
フィルターとしては、上述したように捕捉効率、除去効
率ができるだけ高い上、長期間使用しても捕捉効率、除
去効率の低下がなく、安定して長期間の連続使用に耐え
得るものが望まれる。上記提案にかかるグリスフィルタ
ーは、空孔率60〜95%、見掛け比重0.25〜1.
20、セル数5〜30個/25mmのセラミック多孔体
からなるものであるが、本発明者らが更に検討を進めた
結果、かかるセラミック多孔体からなるグリスフィルタ
ーは、実際に連続使用した場合の安定性にバラツキがあ
り、捕集効率の向上、安定的維持になお改良の余地があ
ることが認められた。また、このグリスフィルターは、
特に除去効率の点で劣り、この点の改良が求められた。
更に、強度等の点でも長期間の連続使用に耐え得るも
の、使用後のアルカリ洗浄等に十分耐え得るものが望ま
れた。
【0011】従って、本発明は、捕集効率が高く、しか
も長期連続使用しても良好な捕集効率を有する上、優れ
た除去効率を有し、長期間の連続使用に耐え得ると共
に、アルカリ洗浄等にも十分耐え、安定性の高い厨房用
グリスフィルターを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者らは上
記目的を達成するため鋭意検討を行なった結果、セラミ
ックスラリーが付着したポリウレタンフォームを焼成す
ることによって得られた三次元網状骨格構造を有するセ
ラミック多孔体からなり、油脂のミストを捕集して油分
を回収する厨房用グリスフィルターにおいて、上記セラ
ミック多孔体として空孔率が70〜90%、見掛け比重
が0.3〜0.5、セル数が8〜15個/25mmのも
のを用いること、しかもセラミック多孔体のセル長径方
向の圧力損失を風速10m/秒において120〜200
mmAq/25mmとし、セル長径方向の圧力損失に対
するセル長径方向と直角方向の圧力損失の比率を2以下
とすることが、捕捉効率をより高め、しかも長期に亘り
安定した捕捉効率を与える点で重要であることを知見し
た。
【0013】即ち、ポリウレタンフォームを発泡製造す
る際、発泡セルが発泡の方向に長くなるが、このポリウ
レタンフォームからセラミック多孔体を得る場合、ポリ
ウレタンフォームとしてポリウレタンフォームの発泡程
度や速度などを調整し、ポリウレタンフォームのセルの
長径(ポリウレタンフォームの発泡方向のセルの長さ)
に比較してセルの短径(ポリウレタンフォームの発泡方
向に対して直角方向のセルの長さ)があまり小さくない
ものを選定し、これを用いてセラミック多孔体を製造す
ることによりセルの長径方向の圧力損失、セルの短径方
向と長径方向の圧力損失比を上記範囲に規制すること、
これによって高くしかも安定した捕捉効率を与えること
ができることを知見したものである。またこの場合、よ
り好ましくはポリウレタンフォームをセル長径方向がグ
リスフィルターの厚さ方向と実質的に一致するように板
状に形成することが上記目的をより有利に達成すること
を知見した。
【0014】更に、上記セラミック多孔体の骨格表面の
一部もしくは全部をアルミナ15〜30重量%を含む釉
薬で被覆することが、除去効率を増大させる点で重要で
あることを見い出した。
【0015】即ち、上述したように単にポリウレタンフ
ォームにセラミックスラリーを付着し、これを焼成する
ことにより得られたセラミック多孔体をグリスフィルタ
ーに用いた場合は除去効率が著しく低い。本発明者ら
は、この点の原因及びこの除去効率が低いという問題点
を解決するため、種々検討を重ねた。その結果、セラミ
ック多孔体は、骨格表面に微細な気孔を有すると共に、
骨格中心にポリウレタンフォームの焼失孔があるため、
セラミック多孔体に捕集されたオイルミストが骨格表面
の気孔等に進入し、凝縮し、充溝するまで外部に排出さ
れず、このため除去効率が劣ること(このことはある一
定量の油分はグリスフィルター内に保有されており、火
炎がフィルター自体に伝播した場合火災を引き起こすお
それがあることを意味する)を見い出すと共に、このよ
うなセラミック多孔体においては、グリスフィルターに
付着した油分をアルカリ洗浄する際、セラミック多孔体
の骨格が侵食され、寿命が短くなるという問題点がある
ことを見い出した。
【0016】そこで、更に検討を進めた結果、三次元網
状骨格を有するセラミック多孔体の骨格構造の一部又は
全部をアルミナを15〜30重量%含む釉薬で被覆する
ことにより、該骨格構造の表面にある気孔や骨格中心の
ポリウレタンフォーム材料焼失孔を閉塞し得て油分が吸
収されることを可及的に防止し得、油分の除去効率(回
収効率)を顕著に向上することができると共に、このよ
うに除去効率が高まったことにより、長期連続運転して
も捕捉効率が良好に維持され、また、アルミナを15〜
30重量%含有する釉薬を用いることにより、アルカリ
に長期浸漬した後の機械的強度を高めることができ、グ
リスフィルターの安定した長期連続使用が可能になるこ
とを知見したものである。なお、このようなアルミナを
15〜30重量%含有する釉薬は、一般のいわゆる釉薬
(ガラス)とは異なり、数成分以上の金属酸化物を混合
することにより各成分単独よりも低い濃度で溶融する性
質から得られるものである。一般のガラスは、高温度で
溶融した物質を冷却すると、ある温度で結晶するか、あ
るいは結晶質が析出することなしに粘性が増し、遂には
固体に凝固するものであり、通性としてアルカリ溶液に
対する耐久性が弱い。また、代表的なガラスであるホウ
ケイ酸ガラスは、加熱により分相現象を呈し、酸や水に
溶けやすいガラスに変質する。このような一般的なガラ
スはグリスフィルターに好ましいものではない。これに
対し、本発明のアルミナを含有する釉薬は、アルミナを
一定量配合することによって耐アルカリ性を高めてグリ
スフィルターに適した釉薬としたものである。
【0017】従って、本発明は、セラミックスラリーが
付着したポリウレタンフォームを焼成することによって
得られた三次元網状骨格構造を有するセラミック多孔体
からなり、油脂のミストを捕集して油分を回収する厨房
用グリスフィルターにおいて、上記セラミック多孔体と
して空孔率が70〜90%、見掛け比重が0.3〜0.
5、セル数が8〜15個/25mmであるものを用いる
と共に、セラミック多孔体の骨格表面の一部もしくは全
部をアルミナを15〜30重量%含む釉薬で被覆し、か
つセラミック多孔体のセル長径方向の圧力損失を風速1
0m/秒において120〜200mmAq/25mmと
し、セル長径方向に対し直角方向の圧力損失とセル長径
方向の圧力損失との比率を2以下としたことを特徴とす
る厨房用グリスフィルターを提供する。
【0018】以下、図1及び図2を参照して本発明を更
に詳しく説明する。本発明のグリスフィルターは、図1
に示すように板状に形成されたセラミック多孔体1(こ
のセラミック多孔体1は内部連通空間を有する三次元網
状骨格構造を有する)の骨格格子2の表面の一部又は全
部(好ましくは全部)を、図2に示すようにアルミナを
15〜30重量%含有する釉薬3で被覆したものであ
る。
【0019】ここで、特に制限されるものではないが、
図1に示す本発明の好適な実施例においては、板状のセ
ラミック多孔体1はそのセル4の長径方向Xが実質的に
グリスフィルター(セラミック多孔体1)の厚さ方向に
一致するように形成されており、このようにセル4の長
径方向Xをグリスフィルターの厚さ方向と一致させるこ
とにより、高くかつ安定したミスト捕捉効率が達成され
る。
【0020】本発明で用いるセラミック多孔体は、見掛
け比重が0.3〜0.5、より好ましくは0.35〜
0.45、空孔率が70〜90%、より好ましくは75
〜85%、セル数が8〜15個/25mm、より好まし
くは9〜13個/25mmであることが必要である。な
お、セル数は直線上25mm当りに並ぶ気泡の数を平均
的に表わしたもの(「化学装置」1983年3月号第9
8頁)である。
【0021】見掛け比重が0.3より小さいと機械的強
度が不足し、一方0.5を超えると重量が増し取扱が不
便になる。即ち、グリスフィルターとして強度は5kg
/cm2以上が必要であるが、セラミック多孔体の見掛
け比重と機械的強度との間には相関があり、見掛け比重
が小さいと強度が弱くなり、取扱中や輸送中に破損し易
くなる。このため強度を5kg/cm2以上にする必要
から見掛け比重は0.3以上とする。一方、見掛け比重
が大きいと、重量が大き過ぎ、天井等に取り付けた際に
支持強度上問題が生じる上、特にセル長径方向での圧力
損失が大きくなるので、見掛け比重を0.5以下とす
る。
【0022】また、空孔率が70%より小さいとセル長
径での圧力損失が大きくなり、グリスフィルターとして
の機能が損なわれ、一方90%を超えると機械的強度が
低下してしまうため、本発明の目的を達成し得ない。更
に、セル数が8個/25mmより少ないとセラミック多
孔体と通過する空気中の油脂ミストとの接触割合が低下
し、捕捉効率が低下し、一方、15個/25mmを超え
ると長時間使用した際、油脂等により目づまりが発生
し、圧力損失が低下してグリスフィルターとしての機能
が損なわれるので好ましくない。
【0023】上記のようなセラミック多孔体は、ポリウ
レタンフォーム、特にセル膜のない軟質ポリウレタンフ
ォームにセラミックスラリーを付着し、これを乾燥、焼
成することによって得られる。この場合、セラミック多
孔体を製造した後、これを適宜切断して所望寸法のグリ
スフィルターを得るより、予めポリウレタンフォームを
所望のグリスフィルター形状に形成し、これからセラミ
ック多孔体を得ることが製造性の点から推奨されるが、
この際に板状のポリウレタンフォームのセル発泡方向
(セル長径方向)が厚さ方向と一致するようにポリウレ
タンフォームを形成することが好ましい。
【0024】セラミック多孔体の材質は無機酸化物、無
機窒化物、無機炭化物等にて形成され、従ってセラミッ
ク多孔体はこのようなセラミック材料のスラリーを上記
ポリウレタンフォームに付着、焼成することによって得
られるもので、例えばセラミックスラリーとして、アル
ミナ、コーディライト、シリカのような酸化物セラミッ
ク粉体に水を配合してセラミックスラリーを用いること
ができる。この場合、セラミック粉体は耐薬品性、特に
アルカリ洗浄に対し腐食されないものが良く、好ましく
はアルミナが用いられる。なお、このスラリーに焼結助
剤として酸化リチウム、カルシア、酸化バリウム等のア
ルカリ金属、アルカリ土類金属の酸化物を添加しても良
い。また、スラリー特性の調節のため、ポリビニルアル
コール、CMCのような有機物を配合しても良い。
【0025】このようなセラミックスラリーにセル膜の
ない三次元網状骨格構造のポリウレタンフォームを浸漬
し、十分にセラミック泥漿を含ませた後、ロール等によ
り余剰泥漿を除去し、乾燥後、1200〜1500℃程
度で焼成してセラミック多孔体4を得ることができる。
【0026】ここで、三次元網状骨格構造を持つポリウ
レタンフォームから得られたセラミック多孔体は、図2
に示すように、通常骨格中心のポリウレタンフォームが
焼失して焼失孔5が形成されていると共に、骨格表面に
微細な気孔6を有している。この焼失孔5は、セラミッ
クスラリーをポリウレタンフォームの骨格格子表面に付
着させる際、スラリーが全格子表面を確実に覆って均一
に所定厚さで付着されないと、焼成後に焼失孔5が表面
に顕出される場合がある。かかる焼失孔5の表面顕出を
なくすため、後述する釉薬被覆を採用することは有効な
手段であるが、焼失孔5の表面顕出をより有効に防止す
る手段としては、ポリウレタンフォームをセラミックス
ラリーに浸漬し、これを引き上げ、ポリウレタンフォー
ムから余剰スラリーを除去した後、再びセラミックスラ
リーに浸漬する操作を複数回繰り返す方法が有効であ
り、これによって焼失孔5の表面顕出を確実に防止する
ことができる。このようにして得られたセラミック多孔
体は、ポリウレタンフォーム焼失による空孔はなくな
り、除去効率が向上するが、骨格表面上の微細な気孔6
は残り、このため更に除去効率を向上させるためには後
述する釉薬で被覆する必要がある。
【0027】本発明に係るグリスフィルターは、上述し
たようなセラミック多孔体の骨格格子の一部又は全部を
釉薬で被覆したものである。即ち、以上のようなセラミ
ック多孔体特性を満足したとしても除去効率は性能目標
値を下回ることがある。これは上述したように、除去効
率はフィルターからの油分の吐き出しであり、除去効率
が小さいことは多孔体骨格の焼失孔5や気孔6に油分が
吸い込まれるためであって、このように油分がセラミッ
ク多孔体に吸い込まれると吐き出しが悪くなり、その結
果除去効率が小さい値となってしまうものであり、更に
除去効率を向上させるためには釉薬を用いて骨格表面の
一部又は全部をコーティングすることにより、骨格表面
上の微細な気孔や骨格中心の焼失孔を閉塞して油分の吸
い込みを防止することが必要である。
【0028】ここで、使用する釉薬としては、酸化物成
分としてK2O,Na2O,SiO2,ZrSiO4,Ca
O,Al23等からなり、このうちアルミナの割合が1
5〜30重量%、好ましくは18〜25重量%である必
要がある。
【0029】釉薬中にアルミナを必須成分としたのは、
グリスフィルターは再生を目的に使用されるため、再生
時のアルカリ、酸洗浄による耐食性を向上させるためで
あり、アルミナの割合が15重量%未満であるとアルカ
リ洗浄後の酸による中和処理で釉薬が溶出してしまい、
一方アルミナの割合が30重量%を超えると耐食性は問
題ないが、釉薬としての機能がなくなってしまう。
【0030】また、釉薬の使用量は、セラミック多孔体
にもよるが、一般にセラミック多孔体100重量部に対
し5〜15重量部程度とすることが好ましい。この釉薬
コーティングによりポリウレタンフォーム骨格表面の微
細な気孔6をなくすことが可能となり、また上述したセ
ラミックスラリーの浸漬によるポリウレタンフォーム焼
失孔除去の処理が不十分であっても、釉薬コーティング
で焼失孔5を完全に除くことができる。
【0031】釉薬をセラミック多孔体にコーティングす
る方法としては、釉薬の泥漿にセラミック多孔体を浸漬
し、遠心分離機などを用いて余剰泥漿を除去し、焼成す
る方法、あるいはスプレー等でセラミック多孔体に釉薬
泥漿を吹きつけた後、焼成するなどの方法が採用され
る。この場合、このようにセラミック多孔体に釉薬コー
ティングを施す代わりに、上述したセラミックスラリー
を付着したポリウレタンフォームに浸漬、スプレー等の
方法で釉薬泥漿をコーティングし、セラミックスラリ
ー、釉薬泥漿を同時に焼成するようにしてもよい。
【0032】なお、釉薬をコーティングする際、セラミ
ック多孔体の骨格先端部には、焼成中に釉薬が融解して
流れるため、コーティング層が薄かったり、被覆できな
い場合もある。これらの現象を防ぎ、更に骨格先端部を
より厚く被覆するため、スプレー等で再度コーティング
して骨格先端部を釉薬が球状に覆うようにすることが良
い。また、焼成段階で釉薬が流れないように厚くコーテ
ィングし、施釉後において骨格表面が多数の半球状凸部
を有する珊瑚礁状に覆われていることが好ましい。この
ような釉薬コーティングを行うことにより、骨格先端は
丸くなり、ポリウレタンフォーム焼失孔5や気孔6を確
実に閉塞することができる。また、取扱の面でも補強さ
れたことになり、ダクト取り付け時あるいは輸送時のセ
ラミック多孔体の骨格の欠損もなくなり、寿命の点でも
好ましい。
【0033】更に、本発明のグリスフィルターは、セラ
ミック多孔体のセル長径方向(図1においてX方向)の
圧力損失が風速10m/秒で120〜200mmAq/
25mmであり、かつ、セラミック多孔体のセル短径方
向(図1においてY方向)の圧力損失とセル長径方向の
圧力損失の比率が2以下であることが必要である。セル
長径方向での圧力損失が120mmAqより低いと、骨
格が細くなり、実用上十分な機械的強度が得られない場
合があると共に、油脂ミストは骨格との衝突割合が低下
し、グリスフィルターから通り抜け易くなり、捕捉効率
が低下してしまう場合がある。一方、200mmAqを
超えるとオイルミストとの接触割合が増し、セラミック
多孔体の骨格表面上の気孔等に吸収される割合も増し、
捕捉効率は大きくなるものの除去効率は向上せず、この
両者を満足させることができなくなる。また、セルの短
径方向と長径方向との圧力損失が2.0を超えると厚み
方向に目詰まりが発生していることになり、これも捕集
された油分が目詰まり部分に付着し易く、除去効率に対
し悪影響を及ぼすため、本発明の目的を達成し得ない。
【0034】本発明のグリスフィルターは、厨房の排気
ダクト等に配設されて使用されるが、配設、使用方法と
しては、特に制限されず、例えば実開昭63−1189
15号公報記載の配設、使用態様を採用し得る。
【0035】
【実施例】以下、実施例と比較例を示し、本発明を更に
具体的に示すが、本発明は下記の実施例に制限されるも
のではない。なお、以下の例において部は重量部を示
す。
【0036】〔実施例1〕アルミナ80部、シリカ5
部、カルシア5部、木節粘土10部、カルボキシメチル
セルロース1部、水25部からなるセラミックスラリー
にセル数9個/25mmで495×245×25mmの
セル膜のない三次元網状骨格構造を有するポリウレタン
フォーム2枚を浸漬し、余剰スラリーをロールで除去
し、乾燥後ZrO4とSiO2とを主成分とし、更にアル
ミナを20重量%含む釉薬をスプレーによりポリウレタ
ンフォームの厚さ方向の両面から吹きつけた。なお、釉
薬の添加量は焼成後のセラミックの重量の5重量%であ
る。更にダクトに設置したとき上流側になる面に同じ釉
薬で多数の半球状凸部が形成された珊瑚礁状となるよう
にスプレーで吹きつけた。この場合の釉薬の添加量は前
回の量の5割である。次いで、1300℃で焼成して骨
格が釉薬で被覆されたセラミック多孔体よりなるグリス
フィルターを得た。また、グリスフィルターは、圧力損
失測定用にも同時に作成した。
【0037】次に、得られたグリスフィルターの圧力損
失を測定した。
【0038】圧力損失は、図4に示す装置を用い、図5
に示すようにグリスフィルターから切り取った50×5
0×25mmの大きさの試験片(なお、セルの短径方向
の圧力損失測定用サンプルは50×25×25mmのも
のを2個使用)について測定した。ここで、図4におい
て、7はサンプル収容部8の下端に空気流通管9を一体
に連接した圧力損失測定装置本体で、上記空気流通管の
直径39mmの末端にブロワー10が接続され、このブ
ロワー10の作動により上記サンプル収容部8に収容さ
れたグリスフィルターサンプル11にその上方から空気
が流入、通過した後、流通管9内を流れるものである。
なお、この流通管9にはそれぞれ熱線風速計12、マノ
メーター13が接続され、これらはX−Y14レコーダ
ーに接続されている。また、ブロワー10にはコントロ
ーラ15が付設されている。圧力損失の測定に際して
は、ブロワー10の吸引量は周波数で制御し、圧力損失
と風速をX−Yレコーダー14に記録し、10m/sの
圧力損失を読んだ。また図5において、Aで示す試験片
はセル長径方向の圧力損失を測定する場合、Bで示す試
験片はセル短径方向の圧力損失を測定する場合に用いた
ものである。
【0039】この結果、グリスフィルターの圧力損失は
セル長径方向で150mmAq、セル短径方向で180
mmAq、短径方向/長径方向の圧力損失比は1.2で
あった。
【0040】次いで、図6及び図7のオイルミスト発生
装置16によりグリスフィルターとしての性能テストを
行なった。このオイルミスト発生装置16は、内部に水
を満たしたタンク17及び天ぷら油を満たしたタンク1
8がそれぞれ設置されていると共に、ヒーター19上に
200×200×150mmの鉄製のオイルパン20が
置かれ、このオイルパン20に定量ポンプ(チューブポ
ンプ)により水タンク17から水を8g/分、天ぷら油
タンク18から天ぷら油を2.5g/分の速度で供給
し、ヒーター19で370℃に加熱されたオイルパン2
0よりこれら水と天ぷら油のミストを発生させた。ま
た、このミストの流路21に500×500mmの枠体
22に上記2個のグリスフィルター23,23を並べて
収容したものを該流路21を閉塞するように上方に45
°傾斜させて設置した。なお、上記枠体22の底部に
は、回収油分が速やかに流れるように数個の穴が形成さ
れており、これらの穴から回収油分が樋25に流れ、更
に管26を通って回収容器26に溜められるようになっ
ている。また。グリスフィルター23,23の背面(図
において、グリスフィルター23,23の上方)はブロ
ワー24によりグリスフィルター23,23の前面が
1.1m/秒の風速となるように吸引されている。テス
トは12時間行い、上述した式(I)により捕捉効率、
式(II)により除去効率、及び12時間後の油分保持
量を測定した。
【0041】次いで、10%NaOH溶液に60℃で1
20時間グリスフィルターを浸漬後、曲げ強度を測定
し、NaOHに対する耐性を評価した。
【0042】〔実施例2〕セラミックスラリーの付着割
合を多くし、見掛け比重を大きくした以外は、実施例1
と同様にしてグリスフィルターを製造し、試験を行っ
た。
【0043】〔実施例3〕ポリウレタンフォームのセル
数を13個/25mmにした以外は実施例1と同様にし
てグリスフィルターを製造し、試験を行なった。
【0044】〔実施例4〕釉薬を浸漬により10重量%
付着させた以外は実施例1と同様にしてグリスフィルタ
ーを製造し、試験を行なった。
【0045】〔実施例5〕スラリー浸漬後、余剰スラリ
ーを実施例1より1.5倍多く絞り、乾燥後同じスラリ
ーに水を加えて濃度を薄くしたスラリーに浸漬し、余剰
スラリーを取り除いた。次いで釉薬を実施例1と同様に
付着させ、その後実施例1と同様にしてグリスフィルタ
ーを製造し、試験を行なった。
【0046】〔比較例1〕釉薬を付着させない以外は実
施例1と同様にしてグリスフィルターを製造し、試験を
行なった。
【0047】〔比較例2〕アルミナ含量が8重量%の釉
薬を用いた以外は、実施例1と同様にしてグリスフィル
ターを製造し、試験を行なった。
【0048】〔比較例3〕実施例1のスラリー組成にお
いて、水を27部とし、カルボキシメチルセルロースを
加えなかった以外は、実施例1と同様にしてグリスフィ
ルターを製造し、試験を行なった。
【0049】結果を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【発明の効果】本発明の厨房用グリスフィルターは、油
脂の蒸気やミストの捕捉効率が優れており、長期間連続
使用しても安定して良好な捕捉効果を示す。また、圧力
損失が低く、ブロワーに負担がかからず、吸引が良いの
で厨房内に熱がこもることがない。更に、本発明のグリ
スフィルターは、特定の釉薬で骨格表面を被覆したこと
により、捕集した油脂が骨格格子内に吸収されることを
防止でき、油脂の回収効率に優れる。その上、メンテナ
ンスの際に付着した油脂などを除去する場合、アルカ
リ、酸等で洗浄するが、本発明のグリスフィルターはこ
れらの薬品に対して耐性を有し、骨格格子が侵食される
ことがないので寿命が長く、長期間の連続使用に十分耐
え得る安定性、実用性を有しているものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のグリスフィルターの一実施例を示す側
面図である。
【図2】同例の格子の拡大断面図である。
【図3】従来のグリスフィルターの概略断面図である。
【図4】圧力損失測定装置の概略断面図である。
【図5】圧力損失測定用サンプルの切出し態様を説明す
る説明図である。
【図6】オイルミスト発生装置の正面図である。
【図7】オイルミスト発生装置の概略側面断面図であ
る。
【符号の説明】
1 セラミック多孔体 2 セラミック多孔体の骨格格子 3 釉薬 4 セラミック多孔体のセル 5 焼失孔 6 気孔

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックスラリーが付着したポリウレ
    タンフォームを焼成することによって得られた三次元網
    状骨格構造を有するセラミック多孔体からなり、油脂の
    ミストを捕集して油分を回収する厨房用グリスフィルタ
    ーにおいて、上記セラミック多孔体として空孔率が70
    〜90%、見掛け比重が0.3〜0.5、セル数が8〜
    15個/25mmであるものを用いると共に、セラミッ
    ク多孔体の骨格表面の一部もしくは全部をアルミナを1
    5〜30重量%含む釉薬で被覆し、かつセラミック多孔
    体のセル長径方向の圧力損失を風速10m/秒において
    120〜200mmAq/25mmとし、セル長径方向
    に対し直角方向の圧力損失とセル長径方向の圧力損失と
    の比率を2以下としたことを特徴とする厨房用グリスフ
    ィルター。
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FR3111568A1 (fr) * 2020-06-17 2021-12-24 Saint-Gobain Centre De Recherches Et D'etudes Europeen Utilisation d’une pièce céramique poreuse frittée pour le traitement de l’air

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