JP3274678B1 - 圧延機および圧延方法 - Google Patents

圧延機および圧延方法

Info

Publication number
JP3274678B1
JP3274678B1 JP2001007650A JP2001007650A JP3274678B1 JP 3274678 B1 JP3274678 B1 JP 3274678B1 JP 2001007650 A JP2001007650 A JP 2001007650A JP 2001007650 A JP2001007650 A JP 2001007650A JP 3274678 B1 JP3274678 B1 JP 3274678B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
roll
rolling
change
crown
thickness
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2001007650A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002210506A (ja
Inventor
種浩 吉川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kawasaki Motors Ltd
Original Assignee
Kawasaki Jukogyo KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kawasaki Jukogyo KK filed Critical Kawasaki Jukogyo KK
Priority to JP2001007650A priority Critical patent/JP3274678B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3274678B1 publication Critical patent/JP3274678B1/ja
Publication of JP2002210506A publication Critical patent/JP2002210506A/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Control Of Metal Rolling (AREA)

Abstract

【要約】 【課題】 構造が簡単でありながらもクラウン等の修正
を適切に行える圧延機、および、そのような圧延機を使
用してクラウンと板厚との双方を適切に修正できる圧延
方法を提供する。 【解決手段】 板材Xをはさむ一方の側には、たわみや
すい第一ロール11とその背面に接触する胴長の短い第
二ロール12とを配置し、第一ロール11・第二ロール
12のそれぞれに圧下手段17・18を設ける。板材X
をはさむ他方の側には、たわみにくい圧延ロール21を
事前の高さ設定が可能なように配置する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】請求項に係る発明は、板厚や
クラウンの変化を適切に修正しながら金属板材を圧延す
ることのできる圧延機および圧延方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】鋼板等の金属板材を圧延する場合、板厚
やクラウンをいかに制御するかが大きな課題である。圧
延機の剛性は無限大ではないから、材料(板材)の性状
や寸法(入側の板厚)等の変化に起因して圧延荷重が変
化すると、ロールギャップに時間的な変化が生じたり位
置的分布が生じたりするからである。ロールギャップが
変動してたとえば広くなれば板厚が増大し、ロールギャ
ップの分布が変動してたとえばロールの両端付近よりも
中央付近で広くなるなら、板材のクラウンが著しくな
る。なお、板材の圧延における「クラウン」とは、板幅
の中央付近での板厚hcと両端付近での板厚heとが一致
していない状態をいい、「クラウン量」とはその差 hc
−he をいう。
【0003】クラウン修正装置を有する圧延機は、特開
昭61−95704号公報や特開昭61−33705号
公報に記載がある。各公報に記載の圧延機はそれぞれ概
ね図8および図9に示す構成のもので、板材に近い内側
のロール(図8の例では91a・91b・92a・92
b、図9の例では95a・95b)よりも胴長の短い支
持ロール(図8の例では93a・93b、図9の例では
96a・96b)を、板材から上下に離れた位置に備え
ている。短胴のその支持ロール(93a・93bまたは
96a・96b)に加える圧下力の強さを調整すること
によって、内側のロール(92a・92bまたは95a
・95b)に適切なたわみを与え、それによって板材の
クラウンを修正するのである。なお、いずれの圧延機で
もロールの配置は上下に対称で、短い支持ロール(93
a・93bおよび96a・96b)も上下の双方に配置
されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記各公報の記載内容
(図8および図9を参照)は、圧延技術として下記の点
で十分なものとはいえない。すなわち、イ ) 図8の例では、ロール本数が6本と多いうえ短胴の
支持ロール(93a・93b)も上下双方にあることか
ら、圧延機の構造が複雑である。クラウンを修正するに
は短胴ロール(93a・93b)の圧下力を中間ロール
(92a・92b)の圧下力との関係で調整する必要が
あるが、上下の各ロールについてそのような調整を行う
とすると、クラウン修正のための制御も簡単ではなくな
る。
【0005】ロ) 図9の例では、短胴ロール(96a・
96b)を圧下するためのシリンダ(97a・97b)
が、左右のハウジング本体(ハウジングウィンドウ9
8)にではなくそれらをつなぐビーム(99)に設けら
れているため、クラウン修正のための十分な圧下力が発
揮されにくい。ビーム(99)は、左右のハウジング本
体(98)をつなぐ長いものであり、上下方向への力を
受けるとたわみやすいことから、短胴ロール(96a・
96b)に圧下力を作用させるときの当該シリンダ(9
7a・97b)をしっかりと保持することができないの
である。
【0006】ハ) 短胴ロール(93a・93bまたは9
6a・96b)等を用いて板材のクラウン修正を行うこ
とに関し、その原理は各公報中に示してあるものの、実
際にクラウンの変動が生じたとき具体的にどのような制
御を行ってそれを修正するのか、いずれの公報によって
も明らかでない。
【0007】ニ) クラウンが変動する場合には板厚の変
動がともなうことも多いが、板厚を修正する手段につい
てはいずれの公報にも記載がない。したがってそれら公
報によっては、クラウンと板厚との双方を適切に修正す
ることはできない。
【0008】本願請求項の発明は、上記の課題を解決す
るために、構造が簡単でありながらもクラウン等の修正
を適切に行える圧延機、および、そのような圧延機を使
用してクラウンと板厚との双方を適切に修正できる圧延
方法を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載した圧延
機は、 ・ 板材をはさむ一方の側(つまりパスラインの上側ま
たは下側)には、たわみやすい第一ロール(剛性が低い
ためにそれのみでは下記の圧延ロールよりも圧延中にた
わみやすく、下記第二ロールによってそのたわみ量をコ
ントロールされ得るもの。板材に接触するロールである
か否かは問わない)と、第一ロールの背面(板材と反対
の側にある面)に接触する胴長の短い第二ロール(つま
り第一ロールよりも短いもの)とが配置され、第一ロー
ル・第二ロールのそれぞれに圧下手段が設けられてい
て、 ・ 板材をはさむ他方の側には、たわみにくい圧延ロー
ル(剛性が高いため圧延中のたわみ量が上記第一ロール
の1/10程度以下と小さいもの。板材に接触するロー
ルであるか否かは問わない)が、事前の高さ設定が可能
なように配置されている(したがってその圧延ロールに
は圧下手段が設けられていない)−ことを特徴とす
る。
【0010】この圧延機は、たわみやすい第一ロールの
背面に接触するように胴長の短い第二ロールが配置され
ていて、第一ロール・第二ロールのそれぞれに圧下手段
が設けられていることから、図8および図9に示した圧
延機と同様の原理により、板材に生じるクラウンの変化
の修正(設定した初期値に戻すための修正。以下「クラ
ウン修正」という)をなすことができる。第一ロールと
第二ロールとのそれぞれに加える圧下力を調整すること
によって内側の第一ロールに適切なたわみを与え、もっ
て板材のクラウン修正を行うのである。
【0011】しかしこの圧延機には、構造がシンプルで
あるという特徴もある。短胴の第二ロールも、第一ロー
ル・第二ロールのそれぞれのための圧下手段も、板材を
はさむ一方の側にのみ配置されているからである。板材
をはさむ他方の側には、たわみにくい圧延ロールが、事
前の高さ設定が可能なように設けられるにすぎないの
で、全体としての構造は従来のもの(図8・図9の例)
よりも簡単である。
【0012】第一ロールに十分なたわみを与え得るよう
にしておけば、板材をはさむ他方の側のロールを全くた
わませなくても、上記のようにして十分に広い範囲(制
御レンジ)で板材のクラウンを修正することができる。
すなわち、上記のような第一ロール・第二ロール等は板
材をはさむ一方の側にのみ配置し、他方の側には、それ
らを配置しないで上記したたわみにくい圧延ロールを高
さ設定可能なように配置するのみによっても、クラウン
修正に関する制御レンジは十分に広く確保することがで
きる。
【0013】圧下力についての制御が必要な第一ロール
・第二ロールを一方の側にのみ配置するので、上記のと
おり構造が簡単になるだけでなく、クラウン修正のため
の制御を容易にすることもできる。仮に、板材をはさむ
上下両側に第一ロール・第二ロール等があってそれらの
両側からの圧下力を調整するとしたら、片側の第一ロー
ル・第二ロール間の圧下力調整のほかに上下間の圧下力
調整も必要になって制御が複雑化する。操作対象が多い
ためにクラウンを一定値に収束させることが困難になる
可能性もあると予想される。その点この発明の圧延機
は、第一ロール・第二ロールが一方の側にのみ配置さ
れ、他方の側には、たわみにくい圧延ロールが、事前の
高さ設定が可能なように(すなわち、圧延開始前にパス
ラインの設定ができるように)配置されているにすぎな
いので、圧下力調整等の制御を簡単かつ安定的に行うこ
とができる。
【0014】なお、たわみにくい圧延ロールについて高
さを設定したうえ、一方の側の第一ロール・第二ロール
を等しい量だけ圧下するようにすれば、クラウンを変化
させることなくロールギャップを修正することが可能で
ある。したがってこの発明の圧延機では、クラウン修正
とともに(またはクラウン修正とは独立に)適切に板厚
変化の修正(設定した初期値に戻すための修正。以下
「板厚修正」という)を行うことが可能である。
【0015】請求項2に記載の圧延機はとくに、上記第
二ロールの胴長が第一ロールの胴長の6割以上・9割以
下であり、第一ロールおよび第二ロール用の各圧下手段
が、圧延機ハウジングのうちハウジングウィンドウ(板
材通過範囲の側方にあって第一ロール・第二ロールの端
部を囲むフレーム部分)に取り付けられていることを特
徴とする。
【0016】この圧延機では、各圧下手段が、第一ロー
ル・第二ロールのそれぞれに対して十分な圧下力を作用
させることができる。図9の例のように左右のハウジン
グウィンドウをつなぐビームにではなく、剛性の高いハ
ウジングウィンドウそのものに各圧下手段が設けられる
からである。第一ロール・第二ロールのそれぞれに対し
て十分な圧下力を作用させることができるなら、上記し
たクラウン修正と板厚修正とを広い範囲(制御レンジ)
において行うことが可能である。
【0017】なお、第一ロールおよび第二ロール用の各
圧下手段をともにハウジングウィンドウに取り付けるこ
とができるのは、第二ロールの胴長が第一ロールの胴長
の6割以上・9割以下だからである。すなわち、第二ロ
ールの胴長が第一ロールの胴長よりも多少短いからこ
そ、図9の例とは違って、第二ロール用の圧下手段を第
一ロール用の圧下手段に隣接するすぐ内側(板材の通過
部分寄り)に配置でき、したがって双方をハウジングウ
ィンドウに取り付け得るのである。
【0018】請求項3に記載の圧延機は、とくに、 ・ 第一ロールの圧下手段と第二ロールの圧下手段とに
おける各圧延荷重を知るための荷重検出手段、 ・ 板材のクラウン修正をなすべく、荷重検出手段にて
検出される圧延荷重の変化に基づいて第一ロール・第二
ロールの圧下位置に関する各必要変化量を求めるクラウ
ン修正用演算手段、 ・ 板厚修正をなすべく、荷重検出手段にて検出される
圧延荷重の変化に基づいて、第一ロール・第二ロールの
圧下位置に関する同時かつ同量の(第一ロール・第二ロ
ールについて量が等しい)必要変化量を求める板厚修正
用演算手段、 ・ 第一ロールおよび第二ロールについて、各圧下位置
を必要変化量だけ変化させることのできる圧下位置変更
手段−を備えることを特徴とする。
【0019】この圧延機によると、板材のクラウン修正
と板厚修正とをともに行うことができる。つぎのような
制御が行えるからである。
【0020】1) 圧延機の出側における板厚およびクラ
ウンが特定の値(初期値)になるように第一ロール・第
二ロールの圧下位置が設定された状態(初期状態)か
ら、入側の板厚や板材の温度・変形抵抗・摩擦係数・張
力等のうちいずれかが変化すると、第一ロール・第二ロ
ールの各圧下手段において圧延荷重が変化し、それが荷
重検出手段によって検知される。たとえば入側の板厚が
増すと、各圧下手段において圧延荷重が増大する。
【0021】2) 圧延荷重が変化すると、ロールのたわ
み量が変化して圧延機の出側での板材のクラウンも変化
することから、上記のクラウン修正用演算手段が、圧延
荷重の変化に基づいて、クラウン修正に必要な第一ロー
ル・第二ロールの圧下位置に関する各変化量を求める。
たとえば、入側の板厚が増すなどして圧延荷重が増大し
た場合には、板材の中央付近(幅の中ほど)がふくらむ
ようにクラウンが変化するので、それを修正すべく、第
一ロールの圧下量よりも第二ロールの圧下量を多く増す
など各ロール位置の必要変化量を求める。
【0022】3) 圧延荷重が変化するとロールギャップ
の変化にともなって一般に板厚も変化することから、上
記の板厚修正用演算手段が、圧延荷重の変化に基づいて
第一ロール・第二ロールの圧下位置に関する同時かつ同
量の必要変化量を求める。たとえば、入側の板厚が増し
て圧延荷重が増大した場合には、ロールギャップを狭く
する向きへの両ロールの位置の必要変化量を求めること
になる。その変化量は両ロールの位置を同時に同量だけ
変化させるものであるから、それにしたがって各圧下位
置を変化させると、クラウン修正に影響を及ぼさずに板
厚修正のみを行うことができる。
【0023】4) 第一ロールと第二ロールの各圧下位置
を、2)および3)で求めた必要変化量だけ上記の圧下位置
変更手段にて変化(移動)させることにより、圧延機の
出側での板材のクラウンおよび板厚を初期状態に戻す。
このとき第一ロールと第二ロールは、3)で求めた同量の
位置変化量と2)で求めた各変化量とを加算した量だけそ
れぞれ移動させることになる。なお、1)〜4)による制御
は、後述する請求項8の発明のように少しずつの制御を
繰り返すことにより行ってもよいが、検知した圧延荷重
の変化等から必要な操作量を予測し、繰り返しの少ない
制御として行うのもよい。
【0024】請求項4に記載の圧延機は、圧下手段を有
しない一本もしくは一対の作業ロールが、直接に板材に
接触するよう内側に配置されていることを特徴とする。
【0025】板材に直接接触するロールは、板材の表面
性状等に及ぼす影響が大きいため、板材に要求される品
質等によってはその材質や径などを適宜に変更すること
が望まれる。その点、この圧延機では、板材に直接接触
するロールを交換することが容易であり、そのために、
要求品質に応じた板材を効率的に生産することがさらに
可能である。この圧延機において板材に直接接触するロ
ールを交換しやすいのは、そのロールとして、圧下手段
を有しない一本もしくは一対の作業ロールを配置してい
るからである。圧下手段を有しない作業ロールは一般的
には細い(したがって製造コストの低い)もので足りる
うえ、構造上も圧下手段に連結されていない分だけその
交換が容易であるため、必要な交換を低コストで簡便に
行えるのである。クラウン修正と板厚修正とをともに行
えるうえにこうした品質要求をも満たすことから、この
圧延機は、製品品質に関するユーザーの要望にかなり高
いレベルで応え得るものだといえる。
【0026】請求項5に記載の圧延機はさらに、板材に
接触する一対のロールにベンディング手段が設けられて
いることを特徴とする。「板材に接触する一対のロー
ル」としては、一本もしくは一対の作業ロールを使用す
ることもあるが、上記した第一ロールや圧延ロールを当
てはめることもある。
【0027】第一ロール・第二ロールおよびそれらの各
圧下手段を有する圧延機では、前述のように、第二ロー
ル等を使用して第一ロールのたわみ量を調整することに
より板材のクラウンを適切に修正することができる。し
かし、上記のとおりベンディング手段をも有するこの圧
延機では、板材に対してさらに幅広い形状修正が可能で
ある。第二ロール等の作用で第一ロールをたわませると
ともに、上記ベンディング手段によってロールをベンデ
ィングさせるなら、たわみ曲線の設定について自由度が
増し、板材に複合的な形状等を付与することも可能だか
らである。
【0028】請求項6に記載の圧延機はさらに、上記し
た作業ロールに、軸方向へのシフトのための移動手段が
設けられていることを特徴とする。
【0029】この圧延機では、板材に接触する作業ロー
ルを軸方向にシフトさせ得ることから、その作業ロール
に発生する摩耗やコーティングマークを広く分散させる
ことができる。たとえば、板材のエッジ(幅方向の縁
部)が当該作業ロール上の特定の箇所のみに位置してい
ると、作業ロール上のその箇所に摩耗が集中し、その後
に幅の広い板材を圧延するには当該ロールを研磨せねば
ならないことがある。上記のように作業ロールを軸方向
にシフトさせれば、摩耗等を分散させることによってそ
のような不都合を解消でき、研磨回数を少なく抑えなが
ら同一の作業ロールを長期間使用することができる。
【0030】請求項7に記載した圧延方法は、 ・ たわみやすい第一ロール(剛性が低いためにそれの
みでは下記の圧延ロールよりも圧延中にたわみやすく、
下記第二ロールによってそのたわみ量をコントロールさ
れ得るもの。板材に接触するロールであるか否かは問わ
ない)と第一ロールの背面に接触する胴長の短い第二ロ
ール(つまり第一ロールよりも短いもの)とが、板材を
はさむ少なくとも一方の側(つまりパスラインの上側ま
たは下側)に配置され、第一ロール・第二ロールのそれ
ぞれに圧下手段が設けられた圧延機を使用して、 ・ 板材のクラウン変化を修正すべく第一ロールの圧下
位置と第二ロールの圧下位置とをそれぞれ変位させると
ともに、 ・ 板厚変化を修正すべく第一ロール・第二ロールの圧
下位置を同時に同量だけ変位させる−ことを特徴とす
る。第一ロール・第二ロールの各ロールには、クラウン
変化の修正のための圧下位置変位と、板厚変化の修正の
ための圧下位置変位とが加算された変位が付与されるこ
とになる。
【0031】この圧延方法によると、板材のクラウン修
正と板厚修正とをともに行うことができる。つぎのよう
な制御が行えるからである。
【0032】1) 圧延機の出側における板厚およびクラ
ウンが特定の値(初期値)になるように第一ロール・第
二ロールの圧下位置が設定された状態(初期状態)か
ら、入側の板厚や板材の温度・変形抵抗・摩擦係数・張
力等のいずれかが変化すると、圧延荷重とともにロール
ギャップやロールのたわみ量が変化し、板材のクラウン
や板厚(いずれも圧延機の出側でのもの)も変化する。
【0033】2) それぞれに圧下手段を有する第一ロー
ルと第二ロールとについて圧下位置をそれぞれ変化させ
ることにより、上記のように変化した板材のクラウンを
初期値に戻すよう修正を行う。たとえば、圧延荷重が増
大して第一ロールのたわみが増し、板材中央付近(幅の
中ほど)がふくらむようにクラウンが変化した場合に
は、第一ロールの圧下量よりも第二ロールの圧下量を多
く増すべく第一ロール・第二ロールの各圧下位置を変化
させること等によってそれを修正する。
【0034】3) 第一ロールと第二ロールの各圧下位置
を同時に同量だけ変化させることにより、板厚を初期状
態に戻すよう修正する。たとえば、入側の板厚が増して
ロールギャップが増大するのにともない出側の板厚が増
大した場合には、ロールギャップを狭くするよう、第一
ロールと第二ロールの各圧下位置を同時に同量だけ変化
させて板厚変化を修正する。上記双方のロールの圧下位
置を同時に同量だけ変化させるので、クラウン修正に影
響を及ぼすことなく板厚修正を行うことができる。
【0035】請求項8に記載した圧延方法は、請求項7
に記載の圧延方法を、下記a)〜c)を繰り返す(短時間内
に繰り返す)ことによって行うことを特徴とする。すな
わち、 a) 第一ロールおよび第二ロールに設けられた圧下手段
における圧延荷重の変化を検出する、 b) クラウン変化を修正すべく、検出される圧延荷重の
変化に基づいて、クラウンを初期値に近づけるための第
一ロール・第二ロールの圧下位置に関する各必要変化量
(1回の変化で初期値に一致させるための変化量ではな
く、上記のように初期値に「近づける」ための(つまり
比較的小さな)必要変化量)を演算するとともに、上記
板厚変化を修正すべく、検出される上記圧延荷重の変化
に基づいて、板厚を初期値に近づけるための第一ロール
・第二ロールの圧下位置に関する同時かつ同量の必要変
化量(上記と同様、初期値に「近づける」ための必要変
化量)を演算する、 c) 第一ロールおよび第二ロールの各圧下位置を、上記
で演算した必要変化量(の合計値)だけそれぞれ変更す
る。
【0036】この圧延方法によると、請求項7について
記載した上記1)〜3)の制御を、とくにつぎのようにして
実施することができる。すなわち、 入側の板厚等の変化に起因して変化する第一ロール
・第二ロールの各圧下手段における圧延荷重の変化を、
上記a)のとおり、それら各ロールに設けられた荷重検出
手段によって検知する、 検出される圧延荷重の変化に応じて、クラウンを初
期値に近づけるとともに板厚を初期値に近づけるための
第一ロール・第二ロールの圧下位置に関する必要変化量
を上記b)のように演算し、その演算した必要変化量だけ
第一ロールおよび第二ロールの各圧下位置を上記c)のよ
うに変更する、 各圧下位置を変更したことによって変化した圧延荷
重をa)のとおり荷重検出手段によって検知し、その荷重
に基づいて、さらにクラウンおよび板厚を初期値に近づ
けるための第一ロール・第二ロールの圧下位置に関する
必要変化量をb)のとおり演算し、演算した必要変化量だ
け第一ロールおよび第二ロールの各圧下位置をc)のとお
り変更する、 板厚およびクラウンが初期値に一致するまで上記
を繰り返す。
【0037】上記の演算手段と圧下手段、圧延荷重の検
出手段などとして適切なものを使用すれば上記の繰り
返しを短時間のうちに行うことができるので、この圧延
方法によって実用的な板厚修正およびクラウン修正が可
能である。板厚とクラウンとについて、つねに初期値を
基準にし、初期値に近づけるように少量ずつ修正のため
の制御を行うため、板厚およびクラウンが安定的に平衡
点に収束し、制御系が発散することがない。
【0038】なお、検出される圧延荷重の変化ΔP
i(第一ロール・第二ロールの合計圧延荷重の変化。i
=1、2、…)に応じて板厚を初期値に近づけるための
ロールの圧下位置に関する必要変化量ΔSi(上記の
・等で演算するもの。i=1、2、…)の演算は、圧
延機の剛性(ミル剛性)Kを用いた ΔSi=−ΔPi/K または、制御を安定させるために定数α(0<α<1.
0)をさらに用いた ΔSi=−α・ΔPi/K によって行うのが好ましい(図2を参照)。それらによ
れば、各ロールの圧下位置は、板厚が初期値に戻るよう
に自動的に収束し平衡する。
【0039】請求項9に記載の圧延方法は、請求項8の
方法において、クラウン変化の修正のための第一ロール
・第二ロールの圧下位置の各必要変化量を、第一ロール
・第二ロールの合計圧延荷重の変化ΔPiと、第一ロー
ルの胴長L、板の幅(ロールの胴長方向の寸法)b、圧
延機の剛性に関する係数および制御上の定数に基づいて
演算することを特徴とする。
【0040】クラウン変化の修正のためにこのようにし
て第一ロール・第二ロールの圧下位置の各必要変化量を
求めるなら、各ロールのたわみ量やたわみ曲線を測定ま
たは検出することなく、低コストで簡単にクラウン修正
を行うことができる。なお、このようにして圧下位置の
各必要変化量を求めれば足りるのは、下記の理由によ
る。すなわち、板幅bにおけるクラウン変化量は、圧延
荷重変化量に比例し圧延機の横剛性に反比例するほか、
第一ロールのたわみが2次曲線で近似されることに関連
してb2/L2に比例する形に表される。したがってそれ
を修正するために各ロールに加える圧延荷重と、最終的
にその荷重を加えてクラウン修正を行うためのロールの
圧下位置に関する必要変化量とについても、b2/L2
ロールの合計圧延荷重の変化ΔPi、および各ロール系
のミル剛性、さらには適宜に採用する制御上の定数とに
基づいて求められるのである。具体的には、各繰り返し
における圧下位置の各必要変化量を、たとえば後述する
式(24)および式(23)のΔSWiおよびΔSBiとし
て求めるとよい。
【0041】請求項10に記載の圧延方法はとくに、板
材をはさむ一方の側にのみ上記の第一ロール・第二ロー
ルと各圧下手段とが設けられ、板材をはさむ他方の側に
は、板材に接触するたわみにくい圧延ロール(剛性が高
いため圧延中のたわみ量が上記第一ロールの1/10程
度以下と小さいもの。板材に接触するロールであるか否
かは問わない)が事前の高さ設定が可能なように配置さ
れている(その圧延ロールには圧下手段は設けられてい
ない)、といった圧延機を使用し、一方の側にある上記
第一ロールと第二ロールとについてのみ圧下位置を変化
させることを特徴とする。
【0042】この圧延方法の場合、圧延機として構造の
簡単なものを使用できるほか、その圧延機の構造が簡単
であるがためにクラウン修正のための制御を容易に行う
ことができる。圧延機の構造が簡単になるのは、板材を
はさむ一方の側にのみ上記の第一ロール・第二ロールと
各圧下手段とを設ければ足りるからである。また、クラ
ウン修正の制御が容易になるのは、たわみにくい圧延ロ
ールを配置した側については事前の高さ設定以外の操作
を行わず、板材をはさむ片側において第一ロール・第二
ロール間の圧下力調整を行えばよいからである。操作対
象が少なくて制御がシンプルであるため、クラウンを一
定値に収束させることを容易かつ安定的に行えるという
特徴もある。なお、第一ロール・第二ロールと各圧下手
段とが片側のみの設けられるのであっても、第一ロール
を十分にたわみやすくしておけば制御レンジを広くとる
ことができ、十分に実用的な制御が行える。
【0043】
【発明の実施の形態】図1〜図5に、発明の実施につい
ての一形態を紹介する。図1は、金属板材(鋼板)X用
の圧延機1について全体を示す正面図である。図2は、
図1の圧延機1における板厚修正に関して板厚およびロ
ールギャップ(横軸)と圧延荷重(縦軸)との関係を示
す線図であり、図3は、同じく図1の圧延機1における
クラウン修正に関して板厚および設定クラウン量(横
軸)と圧延荷重(縦軸)との関係を示す線図である。図
4は、図1の圧延機1における第一ロール11および第
二ロール12の荷重状態を示す模式図。そして図5は、
第一ロール11がたわみ、かつ板厚修正およびクラウン
修正をされるときのロールギャップの変化を示す模式図
である。
【0044】圧延機1は、加工する板材Xをはさむ片側
(上側)に第一ロール11と第二ロール12とを配置
し、もう片側(下側)に大径の圧延ロール21を配置し
た3段圧延機である。圧延機1の用途や規模等に応じ
て、3本のロール11・12・21のうちいずれかが適
宜に駆動ロール(駆動用のモータ等に接続されたもの)
となる。第一ロール11は板材Xに直接接触する作業ロ
ールでもあるが、両端付近の軸受部13に圧下手段15
が連結された支持ロールでもある。第二ロール12は、
その胴長(L’、図4参照)を第一ロール11の胴長
(L)の約65%と短くした短胴型の支持ロールであ
り、両端付近の軸受部14に圧下手段16を連結してい
る。各圧下手段15・16の構造はここでは述べない
が、図7(後述)に示すのと同様の液圧式のものを使用
できる。一方、下側の圧延ロール21は、板材Xに直接
接触する作業ロールであるが、その直径を第一ロール1
1の倍近くにしているので剛性が高く、同じ荷重を受け
た場合のたわみやすさは第一ロール11の10分の1以
下である。圧延ロール21の両端付近には、軸受部22
を介して高さ設定手段23を設けている。高さ設定手段
23は、ウェッジ部材23a・23bを相対位置の変更
が可能なように組み合わせて各軸受部22の下に配置し
たもので、圧延ロール21を交換した場合などに圧延開
始に先だってパスライン高さを調整することができる。
なお、第一ロール11の軸受部13と圧延ロール21の
軸受部22との間には、上側のロール11・12の自重
を支えるためのバランスシリンダ3を配置している。
【0045】第一ロール11と第二ロール12の圧下手
段15・16は、各ロール11・12の軸長方向に隣接
させて配置し、各基部を、圧延機ハウジング2のうちハ
ウジングウインドウ2a・2bの上部下面に取り付けて
いる。ハウジングウインドウ2a・2bは、板材Xの通
過範囲の左右側方にあって第一ロール11・第二ロール
12の端部付近を囲むフレーム部分である。左右のハウ
ジングウインドウ2a・2bの間はビーム2cによって
連結しているが、そのビーム2cではなく、ハウジング
ウインドウ2a・2bそのものに対して圧下手段15・
16を取り付けたのである。ハウジングウインドウ2a
・2bの剛性は(ビーム2cに比べて)極めて高いの
で、こうすることにより圧下手段15・16による圧延
反力がしっかりと受け止められ、望ましい圧延が可能に
なる。圧下手段15・16をともにハウジングウインド
ウ2a・2bに取り付けることができたのは、それら圧
下手段15・16を各ロール11・12の軸長方向に隣
接させて配置できたからであり、そのような隣接配置が
可能になったのは、第二ロール12の胴長を上記のとお
り第一ロール11の胴長よりも適当に短いものにしたか
らである。
【0046】圧延機1の剛性が無限大ではないことか
ら、圧延中に圧延機1の入側において板材Xの板厚変動
等があれば、ハウジング2が伸びたり第一ロール11が
たわんだりしてロールギャップ(板材Xが接する第一ロ
ール11と圧延ロール21との間の隙間)が変化する。
この圧延機1では、第一ロール11と第二ロール12と
について圧下量を適切にコントロールすることにより上
記のようなロールギャップの変化を修正し、圧延機1の
出側における板材Xの板厚およびクラウン量を初期状態
(ロックオン時)で設定した初期値にまで戻す制御(つ
まり板厚修正とクラウン修正)を行うことができる。
【0047】圧延機1における板厚修正は、図2に基づ
いて下記のように行う。すなわち、 i) まず図2は、つぎのような関係を表すものである。
ロールギャップをS0に設定した初期状態においては、
入側における板材Xの板厚がH0であれば、出側におい
てその板厚は初期値h0になり圧延荷重はP0である(つ
まり点Aで平衡する)。その状態から入側の板厚がΔH
だけ増してH1になると、ロールギャップが元のS0のま
までは出側での板厚がΔhだけ増してh1になる(つま
り平衡点が点Bに移る)。しかし、第一ロール11の圧
下量を増すことによりロールギャップをΔSだけ小さく
してSnにすれば、圧延荷重がΔPだけ増大してPnにな
るとともに、出側の板厚をΔhだけ下げて元のh0に戻
す(つまり平衡点を点Zに移す)ことができる。図中、
ロールギャップS0やSnを通る線の傾きKは圧延機1の
剛性(ミル剛性)に相当し、入側の板厚H0やH1を通る
線の傾きmは板材Xの材料塑性定数に相当する。ロール
ギャップの変化量ΔSと圧延荷重ΔPとの関係は、 ΔS=−ΔP/K …(1) となる。上のような関係にしたがう板厚の修正方法は、
一般に「ゲージメータAGC」などと呼ばれている。
【0048】ii) 板厚修正のためには、第一ロール1
1をたわませることなく圧延ロール21に近づけ、ロー
ルギャップを全長にわたって均一に変更する必要があ
る。そこでこの圧延機1では、板厚修正のためにロール
ギャップを変更するにあたっては、第一ロール11と第
二ロール12とを同時に同量だけ圧下位置変更させるこ
とにしている。ただし、この圧延機1では、板材Xをは
さむ相手側の圧延ロール21を極めてたわみにくいもの
にし、その高さも圧延中に変化させないことにしている
ので、このii)および後述のiii)にしたがうロールギャ
ップの変更に係る制御は相当にシンプルなものとなって
いる。
【0049】iii) 入側の板厚が変化したとき、出側の
板厚を初期値h0に戻すだけのロールギャップ変化ΔS
(第一ロール11と第二ロール12の同量の圧下位置変
化(必要変化量)に相当)を適切に決定できるように、
この圧延機1ではつぎの方法をとっている。すなわち、
圧延荷重を検出しながら、その圧延荷重の変化分からみ
て出側の板厚を初期値に近づけると見込まれる微少量だ
けロールギャップを変化させ、それによる圧延荷重の変
化を逐次検出し、それに基づいて同様に微少量だけロー
ルギャップを変化させる、といった手順を繰り返す。
【0050】上記iii)は、図2を用いて具体的に説明す
るとつぎのようになる。つまり、 入側板厚がH0からΔHだけ変化したことによって
出側板厚がh0からΔhだけ変化し圧延荷重がP0からΔ
1だけ変化した(つまり平衡点が点Aから点Bに移っ
た)とき、まずその変化量ΔP1を、図1の荷重検出手
段17・18によって検出する(合計4つの荷重検出手
段17・18による検出値の合計がΔP1に相当す
る)。
【0051】 検出した圧延荷重の変化量ΔP1に基
づき、出側の板厚を初期値h0に近づけると見込まれる
微少量、すなわち、 ΔS1=−α・ΔP1/K …(2) (ただしαは制御ゲインで、制御の安定化のためには0
<α<1.0とするのがよい)だけ、ロールギャップを
変更する(つまりii)にしたがって第一ロール11と第
二ロール12との圧下位置を変更する)。
【0052】 上記によるロールギャップ変化によ
って圧延荷重はさらにΔP2だけ変化する(つまり平衡
点が点Cに移る)が、その変化量ΔP2を、上記と同
様に図1の荷重検出手段17・18によって検出する。
【0053】 検出した圧延荷重の変化量ΔP2に基
づき、出側の板厚を初期値h0に近づけると見込まれる
微少量、すなわち、 ΔS2=−α・ΔP2/K …(3) だけロールギャップを変化させる。
【0054】 上記〜と同様に、圧延荷重の変化
ΔPiを検出しては、 ΔSi=−α・ΔPi/K …(4) なるΔSiだけロールギャップを変化させる(ΔSiが負
の値ならロールギャップを狭める)、という手順を繰り
返す。
【0055】 上記の手順を繰り返すと、圧延荷重が
徐々に変化して平衡点が点Cから点D等へ移動し、最終
的には点Zに達して平衡する。制御周波数を10〜20
Hz等に定めて上記の手順を極めて短時間に繰り返すこ
とは困難でないので、新たな適切な平衡点への移行はほ
とんど一瞬のうちに行える。平衡点Zでは、平衡点Aに
おける条件と比べてロールギャップがΔSだけ変化し圧
延荷重がΔPだけ変化したことになるものの、出側での
板厚は初期値に等しいh0である。なお、ここでは外乱
として入側の板厚が変化した場合を説明したが、板厚で
はなく材料の温度や変形抵抗、摩擦係数、張力等が変化
するという外乱があった場合にも、この圧延機では上記
と同様に、圧延荷重の変化に基づいて板厚修正の制御を
行うことができる。
【0056】一方、クラウン修正は、図3に基づいてつ
ぎのように行う。すなわち、 i) まず図3は、図2におけるのと同様、板厚および設
定クラウン量(横軸)と圧延荷重(縦軸)との関係を示
す線図である。設定クラウン量をSC0に設定した初期状
態においては、入側における板材Xのクラウン量がCE0
であれば出側にてクラウン量は初期値CD0になり、圧延
荷重はP0である(つまり点Aで平衡する)。その状態
から入側のクラウン量がΔCEだけ変化してCE1になる
と、設定クラウン量が元のSC0のままでは出側でのクラ
ウン量がΔCDだけ変化してCD1になる(つまり平衡点
が点Bに移る)。しかし、設定クラウン量をΔSCだけ
変更してSCnにすれば、圧延荷重がΔPだけ変化してP
nになるとともに、出側のクラウン量をΔCDだけ変更し
て元のCD0に戻す(つまり平衡点を点Zに移す)ことが
できる。図中、設定クラウン量SC0やSCnを通る線の傾
きKCは圧延機1の横剛性に相当し、入側のクラウン量
E0やCE1を通る線の傾きMCは板材Xの材料定数に相
当する。
【0057】ii) 板厚修正に関する図2とクラウン修
正に関する図3とは、図中の各線の示す内容が異なると
はいえ、外乱があったときに圧延条件(ロールギャップ
または設定クラウン量)を変更することにより、圧延機
の剛性と材料の特性との関係を利用して出側の状態(板
厚またはクラウン量)を修正するという原理において相
違がない。そこでこの圧延機1では、入側でクラウン量
がΔCEだけ変化するなど外乱があった場合(クラウン
量の変化のほか、材料の温度や変形抵抗、摩擦係数、張
力等の変化があった場合をも含む)には、板厚修正につ
いて前述したのと同様につぎのようにしてクラウン修正
を行う。すなわち、圧延荷重を検出しながら、その圧延
荷重の変化分からみて出側のクラウン量を初期値に近づ
けると見込まれる微少量だけ設定クラウン量を変化さ
せ、それによる圧延荷重の変化を逐次検出し、それに基
づいて同様に微少量だけ設定クラウン量を逐次変化させ
る、といった手順を繰り返すことにより平衡点を点Zに
移して、出側のクラウン量を初期値に戻すのである(具
体的には板厚修正に関する前記〜に準じる)。前記
した板厚修正の場合と同じく、新たな適切な平衡点への
移行はほとんど一瞬のうちにも行えるため、クラウン修
正を極めて迅速に行うことができる。
【0058】iii) 上記のii)において、圧延荷重の変
化分からそれに対応する適切な設定クラウン量(出側の
クラウン量を初期値に近づけると見込まれる量)を算出
することは、つぎのようにして行う。
【0059】 第一ロール11・第二ロール12が図
4のような荷重条件で板材Xを圧下している場合、第一
ロール11が2次曲線に沿ってたわみ、板材Xをはさむ
他方の側のたわみにくい圧延ロールのたわみは十分無視
できると考えると、板幅bにおける設定クラウン量SC
は、 SC=(PW/KWb)×(b2/L2) …(11) で表わされる。PWは図4のとおり第一ロール11の圧
延荷重(両側でのPW/2の合計値)、PBは第二ロール
12の圧延荷重(両側でのPB/2の合計値)、Lは第
一ロール11の胴長、またKWbは、第一ロール11の半
径方向へのたわみばね係数である。これに基づき、初期
状態(ロックオン時すなわち平衡点A)での設定クラウ
ン量SC0は、 SC0=(PW0/KWb)×(b2/L2) …(12) であり、平衡点Zでの設定クラウン量SCnは、 SCn=(PWn/KWb)×(b2/L2) …(13) である。
【0060】 図3において、設定クラウン量SC0
通る線および設定クラウン量SCnを通る線をそれぞれ斜
辺に含む三角形を考えると、 CD0=(P0/Kc)+SC0≡(Pn/Kc)+SCn …(14) この式(14)に、第一ロール11および第二ロール1
2の圧延荷重の合計値(和加重)Pのうち平衡点A・Z
での値P0およびPnに関するP0=PW0+PB0n=PWn
+PBnならびに式(12)・式(13)を代入すると、 {(1/Kc)+(1/KWb)(b2/L2))}(PW0
−PWn)=(1/Kc)(PBn−PB0) であるから、ΔPW=PW0−PWnについて、 ΔPW=−ΔPB/{1+(Kc/KWb)(b2/L2)} …(15) が得られる。一方、 ΔP=ΔPB+ΔPW …(16) であるから、これを式(15)に用いると、 ΔPB={1+(KWb/Kc)(L2/b2)}ΔP …(17) ΔPW=−(KWb/Kc)(L2/b2)ΔP …(18) が得られる。
【0061】 第一ロール11・第二ロール12にお
いて圧下位置の変化と圧延荷重の変化との間には ΔSB=−ΔPB/KB …(19) ΔSW=−ΔPW/KW …(20) なる関係がある。KBは第二ロール12系のミル剛性、
Wは第一ロール11系のミル剛性である。これらと上
記の式(17)・式(18)とによれば、圧延荷重の変
化分ΔPに対応させて適切な設定クラウン量をもたらす
ためには、第一ロール11・第二ロール12の各圧下位
置を、つぎの変化量ΔSBおよびΔSWだけ変化させれば
よいことが分かる。すなわち、 ΔSB=(−1/KB){1+(KWb/Kc)(L2/b2)}ΔP …(21) ΔSW=(1/KW)(KWb/Kc)(L2/b2)ΔP …(22) である。ΔPが正、つまり圧延荷重が増すような外乱が
あった場合には、第一ロール11・第二ロール12の各
圧下位置にそれぞれ負および正の変化量ΔSBおよびΔ
Wを付与することになる。つまり、第一ロール11の
圧下量を減らすとともに第二ロール12の圧下量を増す
という制御をなす。
【0062】 以上より、先のii)のように圧延荷重
の逐次の変化分ΔPiに対応づけて設定クラウン量を逐
次適切に変化させるための第一ロール11・第二ロール
12の圧下位置変化量ΔSBiおよびΔSWiとしては、 ΔSBi=(−βB/KB){1+(KWb/Kc)(L2/b2)}ΔPi …(23) ΔSWi=(βW/KW)(KWb/Kc)(L2/b2)ΔPi …(24) を採用するのが好ましい。なお、βBは第二ロール12
系の制御ゲイン(スケールファクター)、βWは第一ロ
ール11系の制御ゲイン(スケールファクター)であっ
て、クラウン修正の制御を安定させるべく、いずれも0
より大きく1.0より小さい値にする。この圧延機1で
は、板材Xをはさむ相手側の圧延ロール21を極めてた
わみにくいものにして板材Xの下半分ではクラウンがほ
とんど生じないようにしているため、上記したβB・βW
の導入と合わせて、クラウン修正は簡単かつ安定的に行
われる。
【0063】図5には、圧延機1において板厚修正およ
びクラウン修正が実施されるときの第一ロール11の変
位、すなわちロールギャップの変化を模式的に例示す
る。初期状態において第一ロール11の周面(ロールギ
ャップの上端縁)が実線A−Aにあったして、入側板厚
の変化などに起因する圧延荷重の変化によって破線B−
Bに移ったとする。このような場合、上述のようなクラ
ウン修正にしたがって第一ロール11・第二ロール12
にそれぞれΔSWおよびΔSBの圧下位置変化を与えるこ
とによって、破線B−Bを一点鎖線C−Cに変える。ま
た、前述のような板厚修正にしたがって第一ロール11
・第二ロール12の双方に同時・同量の圧下位置変位を
与えることにより、破線C−Cにある第一ロール11の
周面を初期状態であるA−Aの位置に戻す。
【0064】なお、圧延機1において上記の板厚修正お
よびクラウン修正を行うための具体的な手段について
は、図示を省略したが、後述する図6の圧延機42にお
けるもの(制御装置71)と同様の制御手段を使用す
る。
【0065】つづいて図6および図7に発明の実施に関
する他の形態を紹介する。図6は、図1等に示したもの
とは別の圧延機41に関する図で、本体の正面図ととも
に、板厚修正およびクラウン修正のための制御装置71
を模式的に示す図である。そして図7は、図6の圧延機
41(および図1の圧延機1)において使用した圧下手
段55を示す縦断面図である。
【0066】図6の圧延機41は、板材Xをはさむ片側
(上側)に第一ロール51と第二ロール52とを配置
し、もう片側(下側)には圧延ロール61と圧延ロール
62とを配置した4段の圧延機である。やはり圧延機4
1の用途や規模等に応じていずれかのロールを駆動ロー
ルとする。第一ロール51は、板材Xに直接接触すると
ともに両端付近に圧下手段55を連結したもの、第二ロ
ール52は、その胴長を第一ロール51の胴長の約70
%と短くした短胴ロールであり、両端付近に圧下手段5
6を連結したものである。一方、板材Xの下側には、板
材Xと直接接触する作業ロールとして機能し第一ロール
51とほぼ同じ直径を有する圧延ロール61と、それを
バックアップするロールであって第一ロール51の倍近
い直径を有していて剛性が高く、同じ荷重に対するたわ
みやすさが第一ロール51の10分の1以下である圧延
ロール62とが配置されている。圧延ロール62の両端
付近には高さ設定手段63を設けていて、圧延開始に先
だってこれによりパスラインの調整が行える。第一ロー
ル51の両端の軸受部と圧延ロール61の両端の軸受部
との間には、上側のロール51・52の自重を支えるた
めのバランスシリンダを配置している。
【0067】第一ロール51・第二ロール52にそれぞ
れ接続した圧下手段55および56はつぎのように構成
している。圧下手段55について説明すると(圧下手段
56も同様の構成である)、図7に示すように、まずシ
リンダー55aを、本体55bとエンドプレート55c
とを一体にすることによって形成することとし、その内
側にピストン55dを配置してピストンロッド55eに
連結する。圧液(たとえば油圧作動油)の供給手段とし
てポンプ78およびサーボ弁77を含むものを用意し、
それを図のようにシリンダー55aに接続する。サーボ
弁77を切り換えて、シリンダー55a内のうちピスト
ン55dの上にある空間に圧液を供給すると、圧下手段
55がピストン55dとロッド55eを下へ移動して第
一ロール51(図6)を圧下する。サーボ弁77を逆に
切り換えてシリンダー55a内のピストン55dの下部
に圧液を供給すると、圧下手段55がピストン55dと
押出し部材55eを上へ移動する。
【0068】ピストン55dの移動量、すなわち第一ロ
ール51の圧下位置を検出する手段として、その圧下手
段55の内部にたとえば差動変圧器型のセンサー55f
を組み込んでいる。すなわち図7のように、まず、シリ
ンダー55aの中心部において、シリンダー55aのう
ち反ロッド側からピストン55d寄りに突出部を形成
し、その突出部内に円筒コイル55hを装着する。一
方、ピストン55dの中心部には、シリンダー55aの
上記突出部が入る凹部を形成するとともに、そこに鉄心
55gを取り付ける。そして、ピストン55dの移動と
ともに鉄心55gが円筒コイル55h内で変位するよう
に配置する。鉄心55gとコイル55hとの相対的変位
量に応じて出力されるコイル55hの誘起電圧によっ
て、ピストン55dの移動量すなわち第一ロール51の
圧下位置が検出されることになる。第二ロール52の圧
下位置を検出する手段として圧下手段56内に組み込ん
だセンサー56f(図6)も、図7のセンサー55fと
同様に構成している。
【0069】図6の圧延機41においても、第二ロール
52の胴長を第一ロール51に比べて適当に短くしたこ
とから、それらの圧下手段55・56を各ロール51・
52の軸長方向に隣接させて配置でき、もって各圧下手
段55・56の基部をハウジングウインドウ42a・4
2bの上部下面に取り付けることができた。ハウジング
ウインドウ42a・42bには高い剛性が備わっている
ため、このような取付け形態により、圧下手段55・5
6に高い圧下力を発揮させ、第一ロール51および第二
ロール52に十分な圧延荷重を付加することが可能にな
る。なお、各圧下手段55および56による圧延荷重
は、それらの基部とハウジングウインドウ42aまたは
42bとの間に設けた荷重検出手段(たとえばロードセ
ル)57・58によってそれぞれ検出させる。
【0070】入側において板材Xの板厚が変動するなど
外乱があったときは、この圧延機41でも、板材Xの板
厚およびクラウン量を修正して初期状態(ロックオン
時)に戻すべく、第一ロール51と第二ロール52とに
ついて、図1(〜図5)に示した圧延機1と同様に圧下
量の制御を行っている。すなわち、板材Xの板厚変化を
修正するためには、圧延荷重の逐次の変化に基づくとと
もに式(4)にしたがって、第一ロール・第二ロールの
圧下位置を同時に同量だけ逐次変化させる。その一方、
クラウン量を修正するためには、第一ロールの圧下位置
と第二ロールの圧下位置とを、圧延荷重の逐次の変化に
基づきそれぞれ式(23)・(24)に準じて少しずつ
変化させる。
【0071】そのような制御を行うための手段として、
図6の左方に示す制御装置71を使用している。すなわ
ち、 a) 上述した圧延荷重検出手段57および58(図6の
左方と右方とに同一物を図示)を、板厚修正用の演算手
段72に接続している。同演算手段72は、図のように
ロックオン回路と一つの演算器とを含むものである。前
者のロックオン回路は、外乱がないために出側の板厚に
変化がないといういわゆる初期状態を定めるための回路
である。また後者の演算器は、初期状態からの全圧延荷
重の変化ΔPiに基づいて前記の式(4)により第一ロ
ール51と第二ロール52との同量の圧下位置変化量Δ
iを逐次算出するための手段である。
【0072】b) 圧延荷重検出手段57および58は、
クラウン修正用演算手段73にも接続している。同演算
手段73は、図のようにロックオン回路と四つの演算器
とを含むものである。前者のロックオン回路は、外乱が
なくて出側のクラウン量に変化がないいわゆる初期状態
を定めるための回路である。演算器のうち、第二ロール
52の圧下手段56につながる(図中の上の)二つは、
初期状態からの圧延荷重の変化ΔPiに基づいて前記の
式(23)により第二ロール52の圧下位置変化量ΔS
Biを逐次算出する手段。演算器のうち、第一ロール51
の圧下手段55につながる(図中の下の)二つは、初期
状態からの全圧延荷重の変化ΔPiに基づいて前記の式
(24)により第一ロール51の圧下位置変化量ΔSWi
を逐次算出する手段である。
【0073】c) 第一ロール51および第二ロール52
のための合計4基の圧下手段55・56にそれぞれ対応
づけて加算器74を設け、各加算器74に上記の板厚修
正用演算手段72とクラウン修正用演算手段73とを接
続している。この接続は、a)で算出したΔSiとb)で算
出したΔSWiとが第一ロール51の圧下手段55用に加
算されるとともに、a)で算出したΔSiとb)で算出した
ΔSBiとが第二ロール52の圧下手段56のために加算
されるよう制御線を配して行う。
【0074】d) 各加算器74には、各圧下手段55・
56ごとに設けた圧下位置変更手段75を接続してい
る。同変更手段75は、上記で算出した圧下位置変化量
に応じて圧下手段55・56を操作するための機器であ
り、加算器74のほか、圧下位置の変化量を知るための
前記のセンサー55f・56f、上記各加算器74の出
力とセンサー55f・56fのフィードバック出力とを
加減算する比較演算器、PI制御器、補償回路、サーボ
アンプ76、ならびに前述のサーボ弁77を含む。この
変更手段75を介して圧下手段55・56を動作させる
ことにより、第一ロール51および第二ロール52の各
圧下位置を、変化量を検出しながら適当量だけ変化させ
る。
【0075】e) 圧延機41の出側(圧延機41から下
流に数メートル離れた位置)には、板材Xの厚さとクラ
ウン量とを確認的に計測すべく板厚計79Aとクラウン
計79Bとを配置している。ただし、これらはあくまで
も確認のためのものであり、上記a)〜d)の制御装置71
にはこれらによる計測信号を利用させない。もし仮にこ
のような板厚計79Aやクラウン計79Bからのフィー
ドバック信号を受けて圧下手段55・56を操作すると
したら、板材Xが圧延機41を出たのち相当の時間をお
いて第一ロール51・第二ロール52の圧下位置が変化
することになり、板材Xのうちに板厚修正やクラウン修
正のされていない長い部分が発生してしまう。つまり、
圧延機41(および先に述べた圧延機1)が圧延荷重の
変化に基づいて板厚修正・クラウン修正を行うことは、
制御の迅速化をはかって圧延歩留まりを向上させること
に通じる。
【0076】この圧延機41においても、板材Xをはさ
む片側にはたわみにくい圧延ロール62を配置している
ため、ワークロールとして板材Xに直接接する圧延ロー
ル61にはほとんどたわみが生じない。そのため、板厚
修正およびクラウン修正のためのロールの圧下位置に関
する制御は、板材Xの片側(上側)にある第一ロール5
1および第二ロール52についてのみ行う。ただし、第
二ロール52の作用で第一ロール51に大きなたわみを
もたせ得ることから、そのような片側のみの制御によっ
ても、板厚修正およびクラウン修正を行ううえでの制御
レンジは十分に広く確保される。板材Xの片側のみにつ
いて行う制御は、両側において行うものよりもシンプル
であるため、必要な制御を低コストで短時間のうちに、
しかも正確に行い得ることになる。
【0077】なお、以上に紹介した圧延機1および圧延
機41は、その構成の一部を改変することによっても好
ましい作用をなす。たとえば、イ ) 板材に直接接する一対のロールにベンディング手段
を付設するのもよい。板材に直接接触する一対のロール
とは、図1の圧延機1では第一ロール11と圧延ロール
21との対をさし、図6の圧延機41では第一ロール5
1と圧延ロール61との対をさす。下記ロ)のように別に
作業ロールを設ける場合には、それら作業ロールの対を
さす。上記のように第一ロール・第二ロールによる制御
を行いながらこのベンディング手段を機能させれば、二
次曲線以外の複合形状を板材に付与することができ、さ
らに幅広い形状修正が可能になる。
【0078】ロ) 板材に直接接触する内側の位置に、圧
下手段を有しない一対の作業ロールを配置するのも好ま
しい。そのような作業ロールについて材質や径などを適
宜変更すれば、要求品質に応じた板材を効率的に生産す
ることが可能になる。圧下手段を有しない作業ロール
は、重量および構造の面から一般にその交換が容易であ
るため、ロールの変更を行いやすい意味でも有利であ
る。
【0079】ハ) 上記のように板材に直接接触する一対
の作業ロールを、軸方向に移動(シフト)させ得るよう
にするのもよい。板材に接触するロールをシフトさせる
と、ロールの摩耗やコーティングマーク、ヒートクラウ
ンなどを分散させることができるからである。
【0080】ニ) 中央部の膨らんだ左右対称形のクラウ
ンを第一ロールまたは第二ロールに設けておくのもよ
い。そのクラウン量を適切に設定しておけば、初期状態
において板材に生じるクラウン量をゼロにしておくこと
が容易になり、板材のクラウン修正がとくに行いやすく
なる。
【0081】
【発明の効果】請求項1に記載した圧延機にはつぎのよ
うな効果がある。すなわち、 ・ クラウン修正を行うに必要な第一ロールと第二ロー
ルおよびそれらの圧下手段が板材の一方の側にのみ配置
されているため、圧延機の構造がシンプルで、設備コス
トやメンテナンス費用、取扱いやすさ、およびクラウン
修正のための制御の容易性・安定性などの点で従来のも
のよりも有利である。
【0082】・ クラウン修正とともに、またはクラウ
ン修正とは独立に、板厚修正を行うことも可能である。
【0083】請求項2に記載の圧延機によればさらに、 ・ 第一ロール・第二ロールのそれぞれに十分な圧下力
を作用させることができ、そのために、クラウン修正と
板厚修正とを広い制御レンジにわたって行うことができ
る。
【0084】請求項3に記載の圧延機によると、とく
に、 ・ 何らかの外乱があって圧延荷重が初期状態から変化
すると、それを荷重検出手段が検知する、検知情報
に基づいてクラウン修正用演算手段および板厚修正用演
算手段が、クラウン修正および板厚修正に必要な第一ロ
ール・第二ロールの圧下位置に関する変化量を求める、
求めた必要変化量だけ、圧下位置変更手段が第一ロー
ルと第二ロールの各圧下位置を変化させる−といった
迅速かつ正確なプロセスにより、板材のクラウンおよび
板厚をほぼ同等の応答性にて初期状態に戻すことができ
る。
【0085】請求項4に記載の圧延機ならさらに、 ・ 圧下手段を有しない一本もしくは一対の作業ロール
を板材に接触する位置に設けているため、その材質や径
などを適宜に変更することにより、板材に要求される表
面品質等を高いレベルで満たすことができる。
【0086】請求項5に記載の圧延機ならさらに、 ・ 板材に接触する一対のロールにベンディング手段を
付設しているため、板材に複合形状を付与するなど、一
層に幅広い形状修正を行うことができる。
【0087】請求項6に記載の圧延機ならさらに、 ・ 板材に接触する一対の作業ロールを軸方向にシフト
させ得るため、作業ロールに発生する摩耗やコーティン
グマークを広く分散させて、研磨回数を少なく抑えなが
ら同一の作業ロールを長期間使用することができる。
【0088】請求項7に記載した圧延方法によると、 ・ クラウンが変化した場合には第一ロール・第二ロー
ルの圧下位置をそれぞれに適宜変化させ、板厚が変化し
た場合には第一ロールと第二ロールの圧下位置を同時に
同量だけ適宜変化させることにより、板材のクラウン修
正と板厚修正とをともに行うことができる。双方の修正
が互いに影響し合うことがないので、制御が複雑でな
く、したがって迅速かつ正確なクラウン修正および板厚
修正を行える。
【0089】請求項8に記載した圧延方法によると、と
くに、 ・ 板厚とクラウンとについて、つねに初期値に近づけ
るように少量ずつ修正のための制御を行うため、板厚お
よびクラウンが安定的に平衡点に収束し、確実な制御を
行える。
【0090】・ 演算手段や圧下手段、圧延荷重の検出
手段などとして適切なものを使用すれば、迅速な板厚修
正およびクラウン修正を行うことができる。
【0091】請求項9に記載の圧延方法なら、とくに、 ・ 第一ロール・第二ロール等のたわみ量やたわみ曲線
を測定または検出することなく、低コストで簡単かつ迅
速にクラウン修正を行うことができる。
【0092】請求項10に記載の圧延方法なら、さら
に、 ・ 板材をはさむ一方の側にのみ第一ロール・第二ロー
ルと各圧下手段とを有するという、構造の簡単な圧延機
を使用できる。そのため、設備的に必要なコストが少な
い。
【0093】・ 上記のとおり構造の簡単な圧延機を使
用し、板材をはさむ片側においてのみ第一ロール・第二
ロール間の圧下力調整を行えばよいので、クラウン修正
のための制御がシンプルなもので足りる。またそのため
に、クラウンを一定値に収束させることを容易に、かつ
安定的に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施についての一形態として板材X用の
圧延機1を全体的に示す正面図である
【図2】図1の圧延機1における板厚修正に関し、板厚
およびロールギャップ(横軸)と圧延荷重(縦軸)との
関係を示す線図である。
【図3】図1の圧延機1におけるクラウン修正に関し、
板厚および設定クラウン量(横軸)と圧延荷重(縦軸)
との関係を示す線図である。
【図4】図1の圧延機1における第一ロール11および
第二ロール12の荷重状態を示す模式図である。
【図5】図1の圧延機1において、第一ロール11がた
わみ、かつ板厚修正およびクラウン修正をされるときの
ロールギャップの変化を示す模式図である。
【図6】別の圧延機41に関する図であって、本体の正
面図とともに、板厚修正およびクラウン修正のための制
御装置71を併せて模式的に示すものである。
【図7】図6の圧延機41において使用する圧下手段5
5を示す縦断面図である。
【図8】クラウン修正装置を有する従来の圧延機を示す
正面図である。
【図9】クラウン修正装置を有する従来の圧延機(図8
のものとは別のもの)を示す正面図である。
【符号の説明】 1・41 圧延機 2・42 ハウジング 2a・2b・42a・42b ハウジングウィンドウ 11・51 第一ロール 12・52 第二ロール 15・16・55・56 圧下手段 17・18・57・58 荷重検出手段 21・62 (たわみにくい)圧延ロール 23・63 高さ設定手段 72 板厚修正用演算手段 73 クラウン修正用演算手段 75 圧下位置変更手段 X 板材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B21B 37/18 B21B 37/00 117B 37/38 37/12 BBH 111A 111F (56)参考文献 特開 昭61−95704(JP,A) 特開 昭61−33705(JP,A) 特開 平4−100611(JP,A) 特開 昭60−250812(JP,A) 特開 昭54−56963(JP,A) 実開 平4−94102(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21B 13/14 B21B 29/00 B21B 31/32 B21B 37/00 B21B 37/18 B21B 37/38

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 板材をはさむ一方の側には、下記の圧延
    ロールに比べてたわみやすい第一ロールとその背面に接
    触する、上記第一ロールよりも胴長の短い第二ロールと
    が配置され、第一ロール・第二ロールのそれぞれに圧下
    手段が設けられていて、 板材をはさむ他方の側には、上記第一ロールに比べて
    わみにくい圧延ロールが、事前の高さ設定が可能なよう
    に配置されていることを特徴とする圧延機。
  2. 【請求項2】 上記第二ロールの胴長が第一ロールの胴
    長の6割以上・9割以下であり、第一ロールおよび第二
    ロール用の各圧下手段が、圧延機ハウジングのうちハウ
    ジングウィンドウに取り付けられていることを特徴とす
    る請求項1に記載の圧延機。
  3. 【請求項3】 第一ロールの圧下手段と第二ロールの圧
    下手段とにおける各圧延荷重を知るための荷重検出手段
    と、 板材のクラウン変化を修正すべく、荷重検出手段にて検
    出される圧延荷重の変化に基づいて第一ロール・第二ロ
    ールの圧下位置に関する各必要変化量を求めるクラウン
    修正用演算手段と、 板厚変化を修正すべく、荷重検出手段にて検出される圧
    延荷重の変化に基づいて、第一ロール・第二ロールの圧
    下位置に関する同時かつ同量の必要変化量を求める板厚
    修正用演算手段と、 第一ロールおよび第二ロールについて、各圧下位置を必
    要変化量だけ変化させることのできる圧下位置変更手段
    とを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の
    圧延機。
  4. 【請求項4】 圧下手段を有しない一本もしくは一対の
    作業ロールが、直接に板材に接触するよう内側に配置さ
    れていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記
    載の圧延機。
  5. 【請求項5】 板材に接触する一対のロールにベンディ
    ング手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜
    4のいずれかに記載の圧延機。
  6. 【請求項6】 上記した作業ロールに、軸方向へのシフ
    トのための移動手段が設けられていることを特徴とする
    請求項4又は5に記載の圧延機。
  7. 【請求項7】 圧延ロールに比べてたわみやすい第一ロ
    ールと第一ロールの背面に接触する、上記第一ロールよ
    りも胴長の短い第二ロールとが、板材をはさむ少なくと
    も一方の側に配置され、第一ロール・第二ロールのそれ
    ぞれに圧下手段が設けられた圧延機を使用して、 板材のクラウン変化を修正すべく第一ロールの圧下位置
    と第二ロールの圧下位置とをそれぞれ変化させるととも
    に、板厚変化を修正すべく第一ロール・第二ロールの圧
    下位置を同時に同量だけ変化させることを特徴とする圧
    延方法。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の圧延方法を、下記a)〜
    c)を繰り返すことによって行うことを特徴とする圧延方
    法。 a) 第一ロールおよび第二ロールに設けられた圧下手段
    における圧延荷重の変化を検出する。 b) クラウン変化を修正すべく、検出される圧延荷重の
    変化に基づいて、クラウンを初期値に近づけるための第
    一ロール・第二ロールの圧下位置に関する各必要変化量
    を演算するとともに、板厚変化を修正すべく、検出され
    る上記圧延荷重の変化に基づいて、板厚を初期値に近づ
    けるための第一ロール・第二ロールの圧下位置に関する
    同時かつ同量の必要変化量を演算する。 c) 第一ロールおよび第二ロールの各圧下位置を、上記
    で演算した必要変化量だけ変更する。
  9. 【請求項9】 クラウン変化の修正のための第一ロール
    ・第二ロールの圧下位置の各必要変化量を、第一ロール
    ・第二ロールの合計圧延荷重の変化と、第一ロールの胴
    長、板の幅、圧延機の剛性に関する係数および制御上の
    定数に基づいて演算することを特徴とする請求項8に記
    載の圧延方法。
  10. 【請求項10】 板材をはさむ一方の側にのみ上記の第
    一ロール・第二ロールと各圧下手段とが設けられ、板材
    をはさむ他方の側には、板材に接触する、上記第一ロー
    ルに比べてたわみにくい圧延ロールが事前の高さ設定が
    可能なように配置されている圧延機を使用し、 一方の側にある上記第一ロールと第二ロールとについて
    のみ圧下位置を変化させることを特徴とする請求項7〜
    9のいずれかに記載の圧延方法。
JP2001007650A 2001-01-16 2001-01-16 圧延機および圧延方法 Expired - Fee Related JP3274678B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001007650A JP3274678B1 (ja) 2001-01-16 2001-01-16 圧延機および圧延方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001007650A JP3274678B1 (ja) 2001-01-16 2001-01-16 圧延機および圧延方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP3274678B1 true JP3274678B1 (ja) 2002-04-15
JP2002210506A JP2002210506A (ja) 2002-07-30

Family

ID=18875373

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001007650A Expired - Fee Related JP3274678B1 (ja) 2001-01-16 2001-01-16 圧延機および圧延方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3274678B1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114786832A (zh) * 2019-12-11 2022-07-22 Sms集团有限公司 用于热轧机和用于制造金属扁平产品的热轧机架、热轧机以及用于运行热轧机的方法

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101683073B1 (ko) * 2015-03-16 2016-12-07 (주)피엔티 가압 롤러 장치
CN111318578A (zh) * 2020-03-27 2020-06-23 中冶赛迪技术研究中心有限公司 板型控制辊组及板带轧机

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114786832A (zh) * 2019-12-11 2022-07-22 Sms集团有限公司 用于热轧机和用于制造金属扁平产品的热轧机架、热轧机以及用于运行热轧机的方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2002210506A (ja) 2002-07-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0534602B1 (en) Rolling mill and rolling method
JP3690971B2 (ja) 形状検出装置を有する圧延設備
US20070055393A1 (en) Method of increasing the control precision of the path of a product in a levelling machine with interlocking rollers, and levelling installation used to implement same
JP3274678B1 (ja) 圧延機および圧延方法
CN104551838A (zh) 一种组合式弹簧变形补偿装置
US3877270A (en) Rolling mill including means for compensating for roll bending
US4186579A (en) Rolling mill gauge and flatness calibration system
JP3317995B2 (ja) 折曲げ加工機の加工制御装置
US4483165A (en) Gauge control method and apparatus for multi-roll rolling mill
JP2524303B2 (ja) 薄金属板の圧延厚さ微調整方法及び装置
US3526114A (en) Rolling of strip
EP0500324B1 (en) Method of and apparatus for controlling hydraulic rolling reduction in a rolling mill
JP2001137925A (ja) 多段圧延機における形状制御方法
CN100398226C (zh) 金属板材的轧制方法以及轧制装置
JP4813014B2 (ja) 冷間タンデム圧延機の形状制御方法
JP3140161B2 (ja) ロール間ギャッププロフィル制御方法及び圧延機並びに圧延方法及び圧延装置
JPH05177224A (ja) 圧延方法
JPH0698366B2 (ja) 板材の形状制御方法
SE466687B (sv) Valsverk, speciellt kallvalsverk
JP3109398B2 (ja) 板圧延方法
JPS595362B2 (ja) 板圧延における板厚制御方法
WO2020152868A1 (en) Rolling equipment and rolling method
JPH0839123A (ja) 熱間圧延における絞り込み防止方法
JPS58218326A (ja) 圧延機の圧延荷重検出方法
JPH10225701A (ja) 形鋼のユニバーサル圧延における自動寸法制御方法

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080201

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090201

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090201

Year of fee payment: 7

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100201

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110201

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120201

Year of fee payment: 10

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees