JP3272571B2 - 鉄高含有酵母 - Google Patents
鉄高含有酵母Info
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Description
濃度に含有する食用酵母及びその製造方法に関するもの
である。
ルのひとつであることはよく知られている。しかし、近
年、食生活が豊かになり大幅に改善されたとは言え、鉄
が不足気味なのは、発展途上国にとどまらず、先進国に
おいても広く認められているところである。
欠乏性貧血症状の改善には、従来、硫酸第一鉄等の鉄剤
が使用されてきた。しかし、これらの鉄剤は、貯蔵中あ
るいは消化管中で酸化されて、吸収性にすぐれている二
価の鉄から吸収されづらい三価の鉄化合物になりやすい
という欠点を有している。
技術の現状に鑑み、鉄、特に吸収性にすぐれた二価の鉄
を高濃度に含有する経口投与可能な製剤ないし飲食品タ
イプの組成物を開発する目的でなされたものである。
成するためになされたものであって、従来のように鉄化
合物を直接投与するのではなく、食用微生物に鉄分を多
量に摂取蓄積せしめ、この鉄高含有微生物を利用するこ
とにより、いわば間接的に鉄を摂取するシステムに着目
した。
る酵母に着目して鉄塩含有培地で酵母を培養したけれど
も、鉄塩の添加量を高くすると、従来からの技術常識ど
おり、酵母の増殖阻害がひき起こされ、鉄を高濃度に含
有する酵母を得ることはできなかった。
術常識に敢えて挑戦し、鉄を従来なし得なかった程度の
高濃度に含有する新規酵母を創製するという新規課題を
敢えて設定した。そこで各方面から検討の結果、酵母を
栄養培地で培養するのではなく、鉄高濃度含有液中で非
増殖的に酵母を懸濁状態でゆっくり攪拌したところ、全
く予期せざることに、酵母菌体中に大量に鉄が取り込ま
れるという新知見を得た。しかも、従来の技術常識に反
して、鉄濃度を高めても酵母が死滅することはなく、溶
液中の鉄濃度に応じて酵母菌体中の鉄含量も増加し、乾
燥菌体当たり15,000ppm以上にも達することを
確認した。このように高濃度に鉄を含有した酵母は従来
全く創製し得ないとされていたものである。
し、更に研究の結果、完成されたものであって、その詳
細は以下に述べるとおりである。
量に含有する高濃度鉄含有液中で酵母を懸濁せしめ、非
増殖的にゆっくりと酵母が沈降しない程度に攪拌及び/
又は振とうすることが必要である。本発明においては、
酵母を培養するための培地を使用するものではなく、非
増殖的に処理するものである。つまり、菌体の増殖に必
要な物質が実質的に存在しない条件下で、酵母を処理す
るのである。
度な水溶性を有し、且つ酵母を死滅させるものではな
く、酵母菌体内に効率的に取り込まれるものであれば、
有機、無機を問わずすべての鉄化合物が1種又はそれ以
上使用可能である。その非限定例としては次のものが挙
げられる:硫酸第一鉄、塩化第一鉄、クエン酸第一鉄、
フマル酸第一鉄、グルコン酸第一鉄、酪酸第一鉄、酒石
酸第一鉄、乳酸第一鉄。
高濃度とし、2,000ppm以上とするのが好適であ
る。2,000ppmもの高濃度の鉄で酵母を処理すれ
ば、酵母は死滅したり、あるいは死滅しないまでも重大
な悪影響が充分に懸念されるところではあるが、このよ
うな技術常識を本発明は大幅に超越したものであり、全
く予期せざることに、このような高濃度の鉄によっても
酵母が死滅しないどころか、それを大量に菌体内に取り
込ませるのにはじめて成功したものである。しかも更に
10,000ppmもの高濃度の鉄での処理も可能であ
ることも確認している。
pm以上の鉄を酵母菌体内に取り込ませることに遂に成
功したのである。10,000ppm以上もの鉄を含有
する酵母は、従来存在せず、また、既述したように創製
しようとしても創製できなかった新規有用酵母である。
更に驚異的なことに、本発明によれば、10,000p
pmの鉄溶液を使用することにより、30,000pp
m以上ものきわめて大量の鉄を酵母菌体内に取り込ませ
ることすら可能である。
条件としては、鉄溶液中に酵母を懸濁して、4〜40
℃、好ましくは20〜35℃の温度、0.5〜72時
間、好ましくは1〜36時間、pH4〜7、好ましくは
pH4.5〜6.5とするが、使用する酵母、鉄塩の種
類や濃度に応じて適宜定め、場合によっては上記範囲外
であってもよい。
が接触するだけのゆっくりした速度で行う必要があり、
鉄溶液の粘度や酵母の含有量にもよるが、500rpm
以下、好ましくは200rpm以下のゆるやかな攪拌、
ないしは、振幅12cmの場合、200rpm以下、好
ましくは150rpm以下程度の振とうとするのが良
い。
を含めいかなる酵母も使用することができる。その非限
定例としては、次の各属に属する酵母が挙げられる:サ
ッカロミセス(Saccharomyces)属、トルロプシス(Tor
ulopsis)属、ミコトルラ(Mycotorula)属、トルラス
ポラ(Torulaspora)属、キャンディダ(Candida)属、
ロードトルラ(Rhodotorula)属、ピキア(Pichia)属
その他。
同uvarum、同rouxii IFO 0439; Torulopsis utilis、同
candida IFO 0856; Mycotorula japonica、同lipolytic
a; Torulaspora delbrueckii、同fermentati; Candida
sake、同tropicalis、同utilis ATCC 16321; Hansenula
anomala IFO 0140、同suaveolens; Saccharomycopsis
fibligera IFO 1665、同lipolytica ATCC 20182; Rhodo
torula rubra IFO 0870; Pichia farinosa IFO 0607、
その他の酵母が例示される。
して、ヒトの飲食、動物の飼料、魚類の餌料に多用され
る酵母としては、Saccharomyces cerevisiae、同uvaru
m、同rouxii、Saccharomycopsis fibligeraその他に属
する、パン酵母、ビール酵母、ブドウ酒酵母、清酒酵
母、アルコール酵母、甘酒酵母、味噌醤油酵母、飼料酵
母、餌料酵母等が挙げられる。
るのが通常である。水は、蒸留水や脱イオン水でもよい
が、水道水で充分である。酵母菌体濃度は、例えば圧搾
酵母として10〜40%、好ましくは10〜20%であ
るが、効率よく鉄を取り込むよう適宜選択する。そし
て、菌体は、鉄分及び/又は酵母菌体が沈殿しない程度
にゆっくりと攪拌及び/又は振とうする。
心分離、濾過等によって集菌した後、洗浄して目的の菌
体を得、必要があれば凍結乾燥その他常法にしたがって
乾燥菌体とし、各種の用途に使用する。また、希望する
のであれば、菌体を破砕ないし菌体を溶菌して内容物を
取り出し、これを利用することも可能である。
あらかじめ多量に含有せしめておいた酵母を、上記した
通常の酵母の場合と同様に、鉄を2,000ppm以上
含有する溶液中で通気状態にすることなく懸濁状態でゆ
っくりと攪拌及び/又は振とうすることにより、各種の
ミネラルに更に鉄を高濃度に含有する新規なマルチミネ
ラル高含有酵母を創製することができる。
・鉄高含有酵母、マグネシウム・鉄高含有酵母、マグネ
シウム・亜鉛・鉄高含有酵母等が例示される。
ておいた亜鉛高含有酵母を原料酵母とし、本発明に係る
上記した鉄高含有酵母製造条件で鉄を酵母に取り込ませ
る処理により製造することができる。
件、つまり、亜鉛を50ppm以上含有する溶液中で、
酵母を懸濁状態で非増殖的に攪拌及び/又は振とうする
ことにより製造することができる。
多量に含有する高濃度亜鉛含有液中で酵母を懸濁せし
め、非増殖的に攪拌及び/又は振とうすることが必要で
ある。本方法においては、酵母を培養するための培地を
使用するものではなく、非増殖的に処理するものであ
る。つまり、菌体の増殖に必要な物質が実質的に存在し
ない条件下で、酵母を処理するのである。
有し、且つ酵母を死滅させるものではなく、酵母菌体内
に効率的に取り込まれるものであれば、有機、無機を問
わずすべての亜鉛化合物が1種又はそれ以上使用可能で
ある。その非限定例としては次のものが挙げられる;硫
酸亜鉛、塩化亜鉛、クエン酸亜鉛、酢酸亜鉛、酒石酸亜
鉛、乳酸亜鉛。
果が得られるがそれよりも高濃度、2,000ppm以
上、特に好ましくは3,000〜6,000ppmとす
るのが好適である。従来の技術常識からすれば、高濃度
の亜鉛で酵母を処理すれば、酵母は死滅したり、あるい
は死滅しないまでも重大な悪影響が充分に懸念されると
ころではあるが、このような技術常識を本発明は大幅に
超越したものであって、全く予期せざることに、このよ
うな高濃度の亜鉛によっても酵母が死滅しないどころ
か、それを大量に菌体内に取り込ませるのにはじめて成
功したものである。しかも更に10,000ppm以上
の高濃度の亜鉛での処理も可能であることも確認してい
る。
000ppm以上の亜鉛を酵母菌体内に取り込ませるこ
とがはじめて可能となった。更に驚異的なことに、本発
明によれば、10,000ppmの亜鉛溶液を使用する
ことにより、乾燥菌体当たり30,000ppm以上も
のきわめて大量の亜鉛を酵母菌体内に取り込ませること
すら可能である。
理条件としては、亜鉛溶液中に酵母を懸濁して、4〜4
0℃、好ましくは20〜35℃の温度、1〜120時
間、好ましくは40〜100時間、pH4〜7、好まし
くはpH4.5〜6.5とするが、使用する酵母、亜鉛
塩の種類や濃度に応じて適宜定め、場合によっては上記
範囲外であってもよい。
酵母の含有量等にもよるが、500〜1,000rpm
程度の攪拌、ないしは、振幅12cmの場合、100〜
200rpmの振とうとするのがよい。そして更に通気
を行う等、好気的な条件にて行うと良好な結果が得られ
る。通気は0.5〜5vvm程度で行うが、必要ある場
合にはこの範囲を逸脱しても差し支えない。
創製することができる。その結果、乾燥菌体当たり亜鉛
を10,000ppm、鉄を15,000ppmあるい
はそれ以上含有する新規マルチミネラル食用酵母を得る
ことができる。
め製造しておいたマグネシウム高含有酵母を原料酵母と
し、本発明に係る上記した鉄高含有酵母製造条件で鉄を
酵母に取り込ませる処理により製造することができる。
高含有酵母製造条件、つまり、マグネシウムを高濃度に
含有する溶液中で、酵母を懸濁状態で非増殖的に攪拌及
び/又は振とうすることにより製造することができる。
溶性塩を多量に含有する高濃度マグネシウム含有溶液中
で酵母を懸濁せしめ、好気的に攪拌及び/又は振とうす
ることが必要である。本方法においては、最終的に創製
される酵母菌体内のマグネシウム濃度は、酵母を培養す
るための培地組成の如何にかかわらず、酵母を懸濁せし
めた溶液中のマグネシウム濃度に依存している。つま
り、菌体の増殖に必要な物質が存在する条件下であって
も、また実質的に存在しない条件下であっても酵母にマ
グネシウムを取り込ませることは可能である。
しては、適度な水溶性を有し、且つ酵母を死滅させるも
のではなく、酵母菌体内に効率的に取り込まれるもので
あれば、有機、無機を問わずすべてのマグネシウム化合
物が1種又はそれ以上使用可能である。その非限定例と
しては次のものが挙げられる:硫酸マグネシウム、塩化
マグネシウム、クエン酸マグネシウム、酢酸マグネシウ
ム、酒石酸第一マグネシウム、乳酸第一マグネシウム。
シウム濃度が50ppm以上となるように設定するのが
好適である。このように高濃度のマグネシウムで酵母を
処理すれば、酵母は死滅したり、あるいは死滅しないま
でも、活性低下等の重大な悪影響が充分に懸念されると
ころではあるが、このような技術常識を本発明は大幅に
超越したものであり、全く予期せざることに、このよう
な高濃度のマグネシウムによっても酵母が死滅しないど
ころか、極めて高濃度のマグネシウムを菌体内に蓄積す
ることができるとともに、酵母の生理活性はほとんど低
下しないという有用な新知見を得た。
m以上のマグネシウムを酵母菌体内に取り込ませること
に遂に成功したのである。更に驚異的なことに、本方法
によれば20,000ppmのマグネシウムイオン含有
溶液を使用することにより、乾燥菌体当たり20,00
0ppm以上もの極めて大量のマグネシウムを酵母菌体
内に取り込ませることすら可能である。
体内に多量に含有せしめるには、マグネシウム溶液中に
湿菌体として5〜30%、好ましくは10〜20%の酵
母を懸濁して、15〜40℃、好ましくは25〜35
℃、更に好ましくは28〜33℃の温度、1〜120時
間、好ましくは36〜96時間の処理時間、pH4〜
7、好ましくはpH4.5〜6.0、通気は0〜5vv
m、好ましくは1〜3vvm、攪拌は使用する設備の規
模によっても異なるが50〜1,000rpm、振とう
する場合は振幅12cmの設備では100〜200rp
m、好ましくは100〜150rpmとするが、使用す
る酵母、マグネシウム塩の種類やその濃度に応じて適宜
選択することができ、必要によっては上記の範囲を逸脱
する場合もある。
有酵母を製造することができる。その結果、乾燥菌体当
たりマグネシウムを2,000ppm、鉄を15,00
0ppmあるいはそれ以上含有する新規マルチミネラル
食用酵母を得ることができる。
らかじめ製造しておいたマグネシウム・亜鉛高含有酵母
を原料酵母とし、本発明に係る上記した鉄高含有酵母製
造条件で鉄を酵母に取り込ませる処理により製造するこ
とができる。
シウム・亜鉛高含有酵母製造条件、つまり、先に記した
マグネシウム高含有酵母製造条件で得られたマグネシウ
ム高含有酵母を原料酵母として、亜鉛を高濃度に含有す
る溶液中で、酵母を懸濁状態で非増殖的に攪拌及び/又
は振とうすることにより製造することができる。
高含有酵母を創製することができる。その結果、乾燥菌
体当たりマグネシウムを2,000ppm、亜鉛を1
0,000ppm、鉄を15,000ppmあるいはそ
れ以上含有する新規マルチミネラル食用酵母を得ること
ができる。
鉄イオンが溶液中に100〜10,000ppmとなる
ように、溶液を調製し(下記表1)、各濃度の鉄溶液1
00mlにパン酵母(オリエンタル酵母工業(株)製レ
ギュラーイースト)20g(2×109個/ml)を懸
濁し、500ml容坂口フラスコにて、30℃で24時
間振とう(振幅12cm、110rpm)した。
g、5分)により集菌し、イオン交換水(Milli
Q)で2回洗浄した後、菌体を湿式灰化し、原子吸光分
光光度計により鉄を定量した。また、菌体集菌後の上澄
液及び洗浄液を合わせた液中の残存鉄量は、オルトフェ
ナントリン法により比色定量した。得られた結果を下記
表1に示す。
鉄イオンが溶液中に5,000ppmとなるように、溶
液を調製し、この鉄溶液1.5Lにパン酵母(オリエン
タル酵母工業(株)製レギュラーイースト)300g
(2×109個/ml)を懸濁し、3L容ジャーファー
メンターにて、30℃で24時間、酵母が沈降しない程
度の200rpmでゆるやかに攪拌した。
(3,000×g、5分)により集菌し、イオン交換水
(MilliQ)で2回洗浄した後、菌体を湿式灰化
し、原子吸光分光光度計により鉄を定量した。また、菌
体集菌後の上澄液及び洗浄液を合わせた液中の残存鉄量
は、オルトフェナントリン法により比色定量した。得ら
れた結果を図1に示す。
亜鉛イオンが溶液中に5,000ppmとなるように、
溶液を調製し、この亜鉛溶液1.5Lにパン酵母(オリ
エンタル酵母工業(株)製レギュラーイースト)300
g(2×109個/ml)を懸濁し、3L容ジャーファ
ーメンターにて、通気2.0vvm、650rpmで攪
拌し、30℃で72時間、非増殖条件下で処理を行っ
た。
離(3,000×g、5分)により集菌し、イオン交換
水(MilliQ)で2回洗浄した後、菌体を湿式灰化
し、原子吸光分光光度計により、亜鉛を定量した結果、
乾燥菌体当たり14,500ppmの亜鉛が含有されて
いた。
原料酵母として、硫酸第一鉄(FeSO4)を用い、二
価の鉄イオンが溶液中に5,000ppmとなるよう
に、溶液を調製し、この溶液1.5Lにあらかじめ調製
した亜鉛を高濃度に含有した原料酵母300g(2×1
09個/ml)を懸濁し、3L容ジャーファーメンター
にて、30℃で24時間、酵母が沈降しない程度の20
0rpmでゆるやかに攪拌した。
(3,000×g、5分)により集菌し、イオン交換水
(MilliQ)で2回洗浄した後、菌体を湿式灰化
し、原子吸光分光光度計により鉄及び亜鉛を定量した。
得られた結果を表2に示す。
を用い、マグネシウムイオンが溶液中に15,000p
pmとなるように、溶液を調製し、このマグネシウム溶
液1.5Lにパン酵母(オリエンタル酵母工業(株)製
レギュラーイースト)300g(2×109個/ml)
を懸濁し、3L容ジャーファーメンターにて、通気2.
0vvm、650rpmで攪拌し、30℃で72時間の
条件で処理を行った。
離(3,000×g、5分)により集菌し、イオン交換
水(MilliQ)で2回洗浄した後、菌体を湿式灰化
し、原子吸光分光光度計により、マグネシウムを定量し
た結果、乾燥菌体当たり7,830ppmのマグネシウ
ムが含有されていた。
有酵母を原料酵母として、硫酸第一鉄(FeSO4)を
用い、二価の鉄イオンが溶液中に5,000ppmとな
るように、溶液を調製し、この鉄溶液1.5Lにあらか
じめ調製したマグネシウムを高濃度に含有した原料酵母
300g(2×109個/ml)を懸濁し、3L容ジャ
ーファーメンターにて、30℃で24時間、酵母が沈降
しない程度の200rpmでゆるやかに攪拌した。
(3,000×g、5分)により集菌し、イオン交換水
(MilliQ)で2回洗浄した後、菌体を湿式灰化
し、原子吸光分光光度計により鉄及びマグネシウムを定
量した。得られた結果を表3に示す。
亜鉛イオンが溶液中に5,000ppmとなるように、
溶液を調製し、この亜鉛溶液1.5Lに、実施例4に記
載した条件にしたがって製造したマグネシウム高含有酵
母300g(2×109個/ml)を懸濁し、3L容ジ
ャーファーメンターにて、通気2.0vvm、650r
pmで攪拌し、30℃で72時間、非増殖条件下で処理
を行った。
離(3,000×g、5分)により集菌し、イオン交換
水(MilliQ)で2回洗浄した後、菌体を湿式灰化
し、原子吸光分光光度計によりマグネシウム及び亜鉛を
定量したところ、乾燥菌体当たりマグネシウム6,57
0ppm、亜鉛11,300ppmを同時に含有する酵
母菌体が得られた。
鉛高含有酵母を原料酵母として、硫酸第一鉄(FeSO
4)を用い、二価の鉄イオンが溶液中に5,000pp
mとなるように、溶液を調製し、この鉄溶液1.5Lに
あらかじめ調製したマグネシウム及び亜鉛を高濃度に含
有した原料酵母300g(2×109個/ml)を懸濁
し、3L容ジャーファーメンターにて、30℃で24時
間、酵母が沈降しない程度の200rpmでゆるやかに
攪拌した。
(3,000×g、5分)により集菌し、イオン交換水
(MilliQ)で2回洗浄した後、菌体を湿式灰化
し、原子吸光分光光度計によりマグネシウム、亜鉛及び
鉄を定量した。得られた結果を表4に示す。
24時間処理した酵母を集菌し、洗浄した後、鉄高含有
酵母を得た。この鉄高含有酵母を用いて、下記の表5の
食パン配合にて製パン試験を行った。対照区として、鉄
高含有酵母の原料酵母としたパン酵母(オリエンタル酵
母工業(株)製レギュラーイースト)を用いた。また、
できた食パンを湿式灰化し、原子吸光分光光度計により
鉄を定量した。得られた結果を表6に示す。
000ppm以上という大量の鉄を酵母に含有せしめる
ことがはじめて可能となった。このように大量の鉄を含
有した酵母は、従来得ることができず、全く新規な酵母
である。
は、各種の用途に広く利用することができ、鉄分を大量
に含有したパン、ビスケット、味噌等各種の食品を得る
ことができる。また、酵母の細胞壁を破壊し、内容物を
取り出し、これを用いてジュース、アイスクリーム、ク
ラッカー等各種の飲食品の製造にも利用することができ
るし、鉄分を多量に含む飼料や餌料も製造することがで
きる。
いう従来のシステムを採用せず、鉄塩の高濃度水溶液中
で酵母を攪拌するという全く新しいシステムを採用して
いる。そのため、培地を必要としないことにより、コス
トの低減化が図られるのみでなく、単に鉄塩の水溶液で
あるために酵母菌体の集菌後の洗浄も極めて簡単です
み、菌体の分離、精製も極めて容易に実施することがで
きる。
のミネラルも大量に酵母に含有せしめることが可能とな
ったので、鉄分のほかに更に例えば亜鉛及び/又はマグ
ネシウムといったミネラルを高濃度に含有した新規酵母
(マルチミネラル高含有酵母)も創製可能となり、各種
の用途に使用することができる。
す。
Claims (3)
- 【請求項1】 鉄を、2,000ppm以上含有する溶
液中で、パン酵母を、pH4〜7で、懸濁状態でゆっく
りと攪拌及び/又は振とうすることを特徴とする鉄を高
濃度に含有するパン酵母の製造法。 - 【請求項2】 鉄を、2,000ppm以上含有する溶
液が、鉄を、2,000〜10,000ppm含有する
溶液であることを特徴とする請求項1に記載の鉄を高濃
度に含有するパン酵母の製造法。 - 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載の製造法で
使用するパン酵母が、すでに亜鉛及び/又はマグネシウ
ムを含有せしめてなるパン酵母であることを特徴とする
請求項1又は請求項2に記載の製造法。
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