JP3267191B2 - 芳香族ポリカルボン酸の精製方法 - Google Patents
芳香族ポリカルボン酸の精製方法Info
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Description
酸の製造方法に関し、とりわけパラキシレンの酸化反応
によって得られる粗テレフタル酸の水溶液を第VIII
族金属触媒の存在下、水素を用いて精製し、高純度のテ
レフタル酸を得るテレフタル酸の精製方法に関するもの
である。
テレフタル酸中には4−CBA、p−トルイル酸等の不
純物が多量に含有されており、従来これらを精製した
後、ポリエステルの原料として用いている。
圧下にて粗テレフタル酸の水溶液をPd、Pt等の第V
III族金属触媒の存在下に水素を用いて還元処理し、
処理された水溶液からテレフタル酸の結晶を回収する方
法が知れている(特公昭41−16860号公報)。
とにより精製する具体的な反応器構造については、充填
触媒層の上部からテレフタル酸水溶液を散布するパーコ
レーション法(英特許第1152575号公報)や、充
填型反応器の上部入り口にオーバーフロー壁により仕切
られて形成された滞留ゾーンを設け、滞留ゾーンに粗テ
レフタル酸水溶液を供給し、オーバーフロー壁にオーバ
ーフローさせた後、該滞留ゾーンの下部に位置する触媒
充填層に通液する構造(特開平6−128191号公
報)が知られている。
テレフタル酸中の4−CBAは、第VIII族金属触媒
の存在下で、水素を用いて、ほぼ全量p−トルイル酸に
還元される。p−トルイル酸は、晶析系において外部分
が除去され、製品として有害な4−CBAをほとんど含
まない精製テレフタル酸として回収される。ただし、粗
テレフタル酸中の4−CBAを水素還元するに当たり、
副反応として脱カルボニル反応により一部一酸化炭素を
生成することもよく知られた事実であり、反応器内に蓄
積される一酸化炭素をパージする目的ならびに反応器内
の液面レベルを制御する目的で反応器内の気相部より、
水素を含むガスをパージする必要があるという問題点が
あった。
り効率のよい高純度テレフタル酸を製造する方法を提供
するものである。
発明ではテレフタル酸に代表される粗芳香族ポリカルボ
ン酸を高温・高圧下で水性溶媒中に溶解せしめ、適正な
触媒存在下で水素と反応させて精製する方法において、
溶解槽を設置して溶解をより完全なものとした後、固定
床触媒層を設けた反応器に流通せしめて水素と反応さ
せ、かつ前述の溶解槽内にガス相からなる空間部を設
け、アップフロー型反応器と組み合わせたものとする。
p−キシレンを液相酸化して得られた粗テレフタル酸を
水溶液中に完全溶解させ、該水溶液を第VIII族金属
触媒の存在下で、ポリエステル製品の着色原因となり、
また、p−トルイル酸と比較して、テレフタル酸の結晶
に共晶しやすい性質を有するため、上記反応で、4−C
BAのほぼ全量がp−トルイル酸に転化される必要があ
る。水添反応後の該水溶液は晶析系に送られる。晶析系
は直列に接続された複数段の晶析槽より構成されてお
り、フラッシュ蒸発を利用して、高純度のテレフタル酸
結晶を得る。本発明は、この粗テレフタル酸中に含まれ
る不純物を水素添加により還元する反応器について、水
素の損失を低減し、従ってより効率の良い、かつ操作性
に優れた精製方法を提供するものである。
をダウンフロー型とすると、反応器上部に一酸化炭素が
蓄積される。水素を用いた水添反応は極めて速い反応で
あり、反応の大部分が表層の上部に近い部分で行われる
ためこの傾向は一層助長され、触媒が新しく活性の高い
場合には著しくなる。さらに、反応器内部に気液界面を
有する場合には、液面を触媒充填層に対して適正なレベ
ルに維持するため気相部ガスのパージあるいは補給を必
要とし、これらの操作により損失となる水素の量は大幅
に増加する。
を採用し、テレフタル酸水溶液を反応器下部より供給
し、触媒が充填されている反応器内部をテレフタル酸水
溶液で満たし、反応後のテレフタル酸水溶液を副生成す
る一酸化炭素ごと反応器上部より抜き出し、晶析工程に
導入することにより前述のパージによる水素の損失は事
実上ゼロとすることができ、大幅な効率向上が得られ
る。テレフタル酸水溶液に含まれる避けることのできな
い副生一酸化炭素は、晶析工程においてフラッシュする
ことにより容易に除去可能である。
酸水溶液で満たされ、いわゆる満液状態となる。粗テレ
フタル酸の水に対する溶解度は、温度依存性が極めて強
く、テレフタル酸を完全溶解させるために、水溶液温度
を維持することは極めて重要である。この温度制御は一
般的には水の飽和蒸気圧を維持する圧力制御を用いるこ
とにより行われるが、系内が液相のみで満たされている
場合には液体積の圧力依存性が極めて小さいためかなり
の困難を伴う。本発明ではこの困難性に対処するためテ
レフタル酸の溶解を完全にするため反応器直前に設置さ
れる溶解槽上部に気相部を設け、この気相部の圧力を制
御することにより解決した。この気相部は圧力を維持す
るためだけの目的であり一酸化炭素の生成はないのでパ
ージする必要は全くない。気相部圧力を維持するために
供給されるガスとしては窒素等のイナートガスでも良い
が、一部は圧力により水溶液中に溶解して失われていく
ので、望ましくは反応に寄与する水素ガスを含むものが
よく、より理想的には実質上純粋な水素が望ましい。
めに、以下に実施例により説明するが、本発明はその要
旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものでは
ない。
を示した。原料として用いた粗テレフタル酸(CTA)
中の不純物(4−CBA)は約2,500ppm−wt
である。このCTAはCTA混合相1において純粋と混
合され25%の濃度のスラリーとなる。混合されたテレ
フタル酸水スラリーはCTAスラリー加熱器2で約28
5oCまで加熱される。この加熱器は一群の熱交換器よ
り構成され、加熱媒体の一部に後段の晶析槽5〜8で発
生する蒸気を利用した。(図示せず)加熱されたCTA
スラリーはCTA溶解槽3に底部より供給され、一時的
に滞留され溶解の完全化が確保される。完全に溶解した
CTA水溶液はCTA溶解槽3の中間部より抜き出され
る。抜き出し部より上部に気相部が作られ加熱水素を供
給することにより約90kg/cm3Gの圧力を維持し
た。CTA溶解槽3の滞留時間は数分から20ないし3
0分の間から選択されるが、本実施例では5分間とし
た。CTA溶解槽3から抜き出されたCTA水溶液は水
添反応槽4の底部に供給される。CTA溶解槽3から水
添反応槽4に至る配管の途中でスチームでCTA水溶液
温度以上に加熱・希釈された水素を供給した。
反応槽の頂部より抜き出され、5段の晶析槽5〜9を経
て結晶化され、固液分離・乾燥工程を経て製品精製テレ
フタル酸(PTA)を得る。
ppm以下、p−トルイル酸含有量150ppm以下の
純度を持ち、ポリエステル原料として十分な純度を有す
るものである。
る。
TA溶解槽、4…水添反応槽、5…1段目晶析槽、6…
2段目晶析槽、7…3段目晶析槽、8…4段目晶析槽、
9…5段目晶析槽。
Claims (4)
- 【請求項1】芳香族ポリカルボン酸を高温・高圧下で水
性溶媒中に溶解せしめ、適正な触媒存在下で水素と反応
させて精製する方法において、溶解槽を設置して溶解を
より完全なものとした後、固定床触媒層を設けた反応器
に流通せしめて水素と反応させ、かつ前述の溶解槽内に
ガス相からなる空間部を設け反応器はアップフロー型で
あることを特徴とする芳香族ポリカルボン酸の精製方
法。 - 【請求項2】請求項1記載の上記溶解槽内のガス相が水
素を含有するガスであることを特徴とする芳香族ポリカ
ルボン酸精製方法。 - 【請求項3】請求項1又は2記載の上記芳香族ポリカル
ボン酸はテレフタル酸であることを特徴とする芳香族ポ
リカルボン酸の精製方法。 - 【請求項4】請求項1又は2記載の上記芳香族ポリカル
ボン酸はイソフタル酸であることを特徴とする芳香族ポ
リカルボン酸の精製方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12930697A JP3267191B2 (ja) | 1997-05-20 | 1997-05-20 | 芳香族ポリカルボン酸の精製方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12930697A JP3267191B2 (ja) | 1997-05-20 | 1997-05-20 | 芳香族ポリカルボン酸の精製方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10316613A JPH10316613A (ja) | 1998-12-02 |
JP3267191B2 true JP3267191B2 (ja) | 2002-03-18 |
Family
ID=15006311
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP12930697A Expired - Fee Related JP3267191B2 (ja) | 1997-05-20 | 1997-05-20 | 芳香族ポリカルボン酸の精製方法 |
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Country | Link |
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Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US20030120109A1 (en) * | 2001-12-20 | 2003-06-26 | Rosen Bruce I. | Purification of a crude acid mixture |
AU2003289298A1 (en) * | 2002-12-09 | 2004-07-29 | Mitsubishi Chemical Corporation | Method of feeding solution of crude terephthalic acid to reactor |
-
1997
- 1997-05-20 JP JP12930697A patent/JP3267191B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
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JPH10316613A (ja) | 1998-12-02 |
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