JP3263986B2 - クロマトグラフィー用吸着担体 - Google Patents

クロマトグラフィー用吸着担体

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  • Treatment Of Liquids With Adsorbents In General (AREA)
  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なクロマトグラフ
ィー用吸着担体に関し、特に光学異性体等の難分離性の
物質認識能を有するクロマトグラフィー用吸着担体に関
する。
【0002】
【従来の技術】カリックスアレーンは、フェノールとホ
ルムアルデヒドとの反応により得られる環状化合物であ
り、4〜8核体が知られている(シンセシス・オブ・マ
クロサイクルズ(Synthesis of Macr
ocycles)、Chap.3、1987、C.D.
Gutsche著、Wiley、New York参
照)。
【0003】また、カリックスアレーンはフェノール性
水酸基で構成される内部空孔とベンゼン環で構成される
疎水性の内部空孔とをあわせもつ化合物であり、カリウ
ムイオンやナトリウムイオンなどのアルカリ金属イオン
や、ベンゼンやクロロホルムなどの有機化合物等、種々
の物質を包接するホスト化合物として知られている(ケ
ミストリーレターズ(Chem.Lett.)198
8、P615;ブリテイン・ケミカル・ソサイアティー
・オブ・ジャパン(Bull.Chem.Soc.Jp
n.)、1989、[62]、P1674等参照)。
【0004】このような包接能を持つホスト化合物とし
てはカリックスアレーンの他に、デンプンを酵素によっ
て分解生成して得られるシクロデキストリンが知られて
おり、近年、これらのホスト化合物の包接能を、人工酵
素や人工レセプター、あるいは嫌気成分の除去などに応
用する研究が盛んに行われている(ブリテイン・ケミカ
ル・ソサイアティー・オブ・ジャパン(Bull.Ch
em.Soc.Jpn.)、1978、[47]、P1
238;アカウンツ・オブ・ケミカル・リサーチ(Ac
c.Chem.Res.)、1982、[15]、P6
6等参照)。
【0005】このうち特にカリックスアレーンは、人工
的な有機合成のみでつくられる完全人工型のホスト化合
物であり、物質を認識する疎水性空間の構造変換を化学
合成的に容易に行うことができることや、物質認識能を
高めるための機能性の付与が容易に出来る等の多様性を
持つため注目を集めている化合物である。
【0006】近年、これらの化合物の有する物質認識能
を利用して、分離対象物質を分離する際の操作性がよく
なることを目的として、カリックスアレーンやシクロデ
キストリン等を、支持体に固定化することを特徴とした
吸着担体が報告されている(特開昭63−277240
号、特開昭61−129566号、特開昭64−531
52号等公報参照)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、シクロ
デキストリンは、シリカゲルに固定化するなどして液体
クロマトグラフィー用の吸着担体として既に用いられ、
一部の光学異性体を分離しているが、シクロデキストリ
ンが酵素によって分解生成して得られるホスト化合物で
ある為、物質を認識する疎水性空間の構造変換を自由に
行うことが難しく、さらに広範な光学異性体を分離する
ことは困難である。また、シクロデキストリンは有機化
合物に対する会合定数が小さいことや支持体に多量に結
合させることに成功していない等、物質を効率的に分離
する吸着担体としては様々な問題点を有する。
【0008】一方、カリックスアレーンを用いた吸着担
体については、ウラニルイオンの選択吸着など無機イオ
ンの分離剤としては優れているが、カリックスアレーン
そのものには光学異性体識別能がない為、光学異性体分
離用の吸着担体として知られていないだけでなく、カリ
ックスアレーンの有機化合物に対する包接作用や化学修
飾による高機能化の可能性などについては不明確な部分
がほとんどであり、しかも有機化合物を認識する吸着担
体としても知られていない。
【0009】本発明の目的は、これらの問題点を克服し
た、特に光学異性体の物質認識能に優れたクロマトグラ
フィー用吸着担体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するためになされたものであって、光学活性な化合物
で修飾されたカリックスアレーン誘導体が水に不溶性の
支持体に固定化していることを特徴とするクロマトグラ
フィー用吸着担体に関する。以後、本発明のクロマトグ
ラフィー用吸着担体を本発明の吸着担体と称する。以下
に本発明の吸着担体について説明する。
【0011】本発明におけるカリックスアレーンとは、
フェノールとホルムアルデヒドとの付加縮合によって得
られる環状化合物で、下記一般式Iで示されるようなカ
リックス〔n〕アレーン(但しnは4〜8までの整数で
ある)および、その誘導体からなる群、具体的にはカリ
ックスアレーンを構成するフェノールのパラ位がスルホ
ン基、あるいはアミノ基で置換されているもの、または
フェノールのメタ位が低級アルキル基あるいは芳香族炭
化水素で置換されているもの、またはフェノールの水素
が炭素数1〜20程度のアルキル基、炭素数1〜20程
度のアルキル鎖を有するアルコール、チオール、アミ
ン、カルボン酸、カルボン酸の低級アルキルエステル、
炭素数1〜20程度の不飽和アルキル基、あるいは芳香
族炭化水素からなる群より選ばれる置換基で置換されて
いるものであり、かつ、アミノ基、カルボキシル基、ス
ルホン酸基および水酸基など、支持体あるいは後述の光
学活性な化合物に結合する際に必要な置換基を、一つ以
上有するものを含めていう。
【化1】
【0012】これらを得るに際しては、テトラヘドロン
レターズ(TetrahydronLett.)、19
84、[25]、P5315等に示されているような公
知の方法で容易に行うことができる。具体的には、例え
ば、市販のカリックスアレーンに硫酸を加え、還流下で
数時間反応させるとp−スルホン化カリックスアレーン
が得られる。
【0013】本発明におけるカリックスアレーン誘導体
とは前述のカリックスアレーンに光学活性な化合物が修
飾したものをいい、例えば下記の化学式で示される様な
化合物が一例として挙げられる。
【化2】
【0014】本発明における光学活性な化合物とは、ア
ミノ酸類およびその誘導体、オキシ酸類、アミン類等が
例示される。アミノ酸類およびその誘導体としては、例
えばアラニン、バリンおよびロイシンなどのような脂肪
族系アミノ酸類、フェニルアラニンおよびチロシンなど
のような芳香族系アミノ酸類、ヒスチジンおよびトリプ
トファンなどのような複素環式系アミノ酸類、リジン、
アルギニン、アスパラギン酸およびグルタミン酸のよう
な塩基性、酸性系アミノ酸類、およびセリン、スレオニ
ン、システイン、プロリンなどのアミノ酸類および前記
アミノ酸類のN端の水素がベンジルオキシカルボニル
基、t−ブチルオキシカルボニル基のような保護基で置
換されたもの、あるいは、C端の水素が炭素数1〜4の
低級アルキル基、フェニル基、ベンジル基のような保護
基で置換されたもの等が挙げられる。また、オキシ酸類
としては、例えばマンデル酸等のような芳香族オキシ酸
類や酒石酸などのような脂肪族オキシ酸などが挙げら
れ、アミン類としては例えばナフチルエチルアミンなど
のような芳香族アミン類やシクロヘキサンジアミン等の
ような脂肪族アミン類等が挙げられる。
【0015】光学活性化合物がカリックスアレーンを修
飾するに際しては、光学活性化合物がカリックスアレー
ンを構成するフェノールのパラ位の水素を置換すること
が望ましく、置換度は1以上であれば良い。また、光学
活性化合物とカリックスアレーンとの間の長さとしては
特に制限はないが、原子数0〜10が望ましい。
【0016】本発明における、水に不溶性の支持体と
は、カリックスアレーンあるいはカリックスアレーンに
導入される光学活性な化合物と結合可能な官能基、例え
ばカルボキシル基、エポキシ基、ヒドラジノ基、ホルミ
ル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子またはアミノ基のよ
うな官能基を有するもの、または導入可能なものであれ
ば特に制限はなく、例えばアガロース、デキストラン、
セルロース等の多糖体およびポリアクリルアミドのよう
な所謂ソフトビーズ、ポリスチレン、ポリメタクリレー
ト、ポリビニルアルコールおよびこれらの共重合物のよ
うな硬質の合成高分子ビーズ、またはシリカゲル、アル
ミナのような無機の硬質ビーズ等を例示することができ
る。
【0017】ビーズの粒径、形状および孔径は特に制限
はないが、通常1〜5000μm、好ましくは3〜30
0μmが適当であり、ビーズの形状は多孔性球状が好ま
しい。
【0018】上記の官能基を支持体へ導入するに際して
は、公知の方法で適当な溶媒の存在下で容易に行うこと
ができる。具体的には、例えばエポキシ基を有する結合
基としてはエピクロロヒドリンのようなエピハロヒドリ
ン類、1,4ーブタンジオールジグリシジルエーテルの
ようなジグリシジルエーテル類、1,7ーオクタジエン
ジエポキシドのようなジエポキシド類が挙げられるが、
これらは支持体上のヒドロキシ基とアルカリ条件下で速
やかに反応しエポキシ変性支持体を与える。
【0019】また、得られたエポキシ変性支持体は、ア
ンモニア、ヒドラジン、あるいはプロパンジアミンのよ
うなジアミノアルカン類、ポリアスパラギン、ポリグル
タミンのような塩基性ポリアミノ酸、ポリビニルアミ
ン、ポリエチレンイミンのようなポリアミン類等と反応
させることによりアミノ基を有するアミノ変性支持体
を、またアミノ酪酸のようなアミノカルボン酸類、ある
いはポリグルタミン酸のような酸性ポリアミノ酸などと
反応させることでカルボキシル変性支持体を、また、エ
ポキシ基を加水分解し、過ヨウ素酸酸化を行うことでホ
ルミル変性支持体を与える。
【0020】また、アミノ変性支持体は無水コハク酸の
ような酸無水物、あるいは無水マレイン酸とそれと重合
し得るビニルモノマーから成る無水マレイン酸共重合体
と反応させることによりカルボキシル変性支持体とする
こともできる。本共重合体にエチレンジアミンなどのジ
アミン類を反応させることで上記のアミノ変性支持体を
得ることもできる。
【0021】これらの官能基を有する変性支持体に、光
学活性な化合物で修飾されたカリックスアレーン誘導体
を固定化することにより本発明の吸着担体が得られる。
【0022】本発明のカリックスアレーン誘導体を支持
体に固定化するに際して結合部位について特に制限はな
く、支持体の前記官能基部分とカリックスアレーン誘導
体のカリックスアレーン部分または光学活性な化合物部
分とを結合する。支持体とカリックスアレーン誘導体と
の間の長さとしては、特に制限はないが、原子数0〜1
00が望ましい。
【0023】本発明は、水に不溶性の支持体に光学活性
な化合物で修飾されたカリックスアレーン誘導体が固定
化しているクロマトグラフィー用吸着担体にあるので、
これらの結合方法については特に限定されるものではな
いが、カリックスアレーンおよび光学活性な化合物が有
する官能基に応じて必要であれば、適宜触媒や反応試薬
などを用いて適当な溶媒下で行うことができる。
【0024】例えば触媒としては、塩酸や炭酸ナトリウ
ムまたは炭酸水素ナトリウムなどの酸、アルカリが主と
して用いられ、また、例えば反応試薬としては、N−ヒ
ドロキシコハク酸イミド、ジシクロヘキシルカルボジイ
ミド、1−エチル 3−(3−ジメチルアミノプロピ
ル)カルボジイミドまたはカルボニルジイミダゾールの
ような縮合剤が官能基がカルボキシル基またはアミノ基
の場合に、また水素化シアノホウ素ナトリウムのような
還元剤が官能基がホルミル基に場合に用いられる等々を
例示することができる。
【0025】また溶媒としては通常ジオキサン、ジメチ
ルホルムアミド、ジメチルスルホキシドまたはピリジン
のような有機溶媒や、水あるいはそのリン酸や酢酸緩衝
液が用いられる。
【0026】このようにして得られた本発明の吸着担体
は、光学活性な化合物で誘導体化されたカリックスアレ
ーンを含有するため、カリックスアレーンの持つ疎水性
空孔による包接能に光学異性体認識能が加えられた高機
能化吸着担体となり、疎水性部分を有する光学異性体の
分離が可能となる。
【0027】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明をさらに詳細に
説明する。但し、これらは本発明の吸着担体の一例であ
って、本発明はこれらに何等制限されるものではない。
【0028】実施例1 L−バリン修飾カリックス〔6〕アレーン固定化担体の
製造 グリシジルメタクリレートとグリセリンジメタクリレー
トから得られたエポキシ基含有ゲル状共重合体中のエポ
キシ基を水により開環変性し、真空下で5時間乾燥し
た。この支持体10gに、1,4−ブタンジオールジグ
リシジルエーテル(以下1,4−BGEと略記する)1
0gを加え、さらに1Mの水酸化ナトリウム水溶液20
mlを加えて30℃で5時間振盪後、沈殿を濾取し水、
1Mの塩化ナトリウムおよびアセトンで洗浄した。この
1,4−BGE固定化支持体(1,4−BGE基;乾燥
担体1g当り250μmol)約10gに、25%アン
モニア水20mlを加え50℃で1時間振盪後、濾取
し、水およびメタノールで洗浄して末端にアミノ基をも
つアミノ変性支持体(アミノ基;乾燥担体1g当り25
0μmol)とした。
【0029】こうして得られたアミノ変性支持体10g
にクロロホルム100mlを加え、さらにt−ブトキシ
カルボニル−L−バリン6gとトリエチルアミン2ml
およびジシクロヘキシルカルボジイミド7gを加え0℃
で2時間、20℃で12時間振盪後、変性支持体を濾取
しクロロホルムおよびメタノールでよく洗浄した。この
変性支持体10gに、4規定塩酸の1,4−ジオキサン
溶液20mlを加え20℃で1時間振盪後、沈殿を濾取
し1,4−ジオキサンおよびメタノールでよく洗浄し、
L−バリンが固定化した支持体を得た(L−バリン固定
化量;乾燥担体1g当り200μmol)。
【0030】このL−バリン固定化支持体10gに、水
50mlを加え、さらに公知の方法によって得られるp
−ヘキサクロロスルホニルカリックス〔6〕アレーン5
gを加え、50℃で8時間振盪後、沈殿を濾取し水およ
びメタノールでよく洗浄した。こうして得られたL−バ
リン修飾カリックス〔6〕アレーン固定化担体は、イオ
ン交換基を測定することにより、カリックス〔6〕アレ
ーンを乾燥担体1g当り20μmol固定化しているこ
とが確かめられた。
【0031】実施例2 L−フェニルアラニン修飾カリックス〔6〕アレーン固
定化担体の製造 L−フェニルアラニン1gに1,4−ジオキサン80m
lと水160mlを加え溶解させた。次いでこの溶液に
炭酸カリウム14gを加え0℃に冷却した後、実施例1
で用いたp−ヘキサクロロスルホニルカリックス〔6〕
アレーン5gの1,4−ジオキサン20ml溶液を2時
間かけて滴下した。さらに20℃で18時間攪拌した
後、この反応液中の溶媒をエバポレーターにて留去し
た。
【0032】こうして得られたp−L−フェニルアラニ
ン修飾カリックス〔6〕アレーン1gに実施例1で用い
たアミノ変性支持体2gを加え、さらに水20mlを加
えよく分散させた。この反応液に0.1規定の水酸化ナ
トリウム水溶液をpH6〜7になるまで加え、さらに1
−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボ
ジイミドを3g加え20℃で12時間振盪後、担体を濾
取し水およびメタノールでよく洗浄した。こうして得ら
れたL−フェニルアラニン修飾カリックス〔6〕アレー
ン固定化担体は、イオン交換基を測定することにより、
カリックス〔6〕アレーンを乾燥担体1g当り20μm
ol固定化していることが確かめられた。
【0033】実施例3 S−ナフチルエチルアミン修飾カリックス〔6〕アレー
ン固定化担体の製造 実施例1で用いた1,4−BGE固定化担体のエポキシ
基を水により開環変性した担体10gに、乾燥1,4−
ジオキサン80mlを加え、次いで塩化カルシウムを入
れた乾燥管を付し、N,N’−カルボニルジイミダゾー
ル5gを加え50℃で3時間振盪後、沈殿を濾取し乾燥
1,4−ジオキサンで洗浄した。こうして末端にカルボ
ニルイミダゾール基をもつN−カルボニルイミダゾール
変性支持体が得られた。
【0034】このN−カルボニルイミダゾール変性支持
体(カルボニルイミダゾール基を乾燥担体1g当り1.
2mmol含む)約10gに、乾燥N,N’−ジメチル
ホルムアミド75mlを加え、さらに塩化カルシウムを
入れた乾燥管を付し、公知の方法によって得られたp−
ヘキサアミノカリックス〔6〕アレーンを1g加え70
℃で30時間振盪後、担体を濾取し、N,N’−ジメチ
ルホルムアミドおよび水でよく洗浄した。
【0035】こうして得られたS−ナフチルエチルアミ
ン修飾カリックス〔6〕アレーン固定化担体は、イオン
交換基を測定することにより、カリックス〔6〕アレー
ンを乾燥担体1g当り20μmol固定化していること
が確かめられた。さらにこの担体10gに、酢酸エチル
20mlを加え、さらにS−ナフチエチルイソシアネー
ト1gを加え0℃で2時間振盪後、担体を濾取し、酢酸
エチルおよび水でよく洗浄した。こうして得られた担体
は、イオン交換基を測定することにより、p−ヘキサア
ミノカリックス〔6〕アレーンのアミノ基にS−ナフチ
エチルイソシアネートが2〜3個修飾していることが確
かめられた。
【0036】応用例1 実施例1より得られたカリックスアレーン固定化担体
を、内径4.6mm、長さ150mmのステンレス製ク
ロマト管にスラリー法で充填し、高速液体クロマトグラ
フ装置を用いて1,1’−ビ−2−ナフトールを分析し
た。図1にその結果のクロマトグラムを示す。図中、ピ
ーク1は1,1’−ビ−2−ナフトールのR体を、ピー
ク2はS体を示すが、ここで示されるように光学異性体
は十分な分離幅をもって良好に分離された。
【0037】分析条件は次の通りである。 溶離液 ;ヘキサン:ジクロロメタン(5:5) 溶離速度;0.5ml/分 検出器 ;紫外分光光度計(254nm) カラム温度;10℃
【0038】なお、実施例1より得られた吸着担体を用
い、同様な条件で種々の異性体を分析した結果を表1に
示す。表中、k’はキャパシティー比(k’=(保持容
量−空隙容量)/空隙容量)を示し、αは2つの異性体
間における分離係数(α=(目的試料のk’)/(最も
早く溶出される試料のk’))を示す。また、1,1’
−ビ−2−ナフトール以外のサンプルは、上記分析条件
の溶離液に0.5%の酢酸を加えたものを用いた。ここ
で示されるように各光学異性体は良好に分離された。
【0039】
【表1】
【0040】応用例2 実施例3より得られた吸着担体を用い、応用例1と同様
な操作で3,5−ジニトロベンゾイル−メチルベンジル
アミン(以下、3,5−ジニトロベンゾイルをDNBと
略記する)を分析した。図2にそのクロマトグラムを示
す。図中、ピーク3はDNB−メチルベンジルアミンの
R体を、ピーク4はS体を示すが、ここで示されるよう
に光学異性体は十分な分離幅をもって良好に分離され
た。
【0041】分析条件は次の通りである。 溶離液 ;アセトニトリル:水:酢酸(30:70:
2) 溶離速度;0.5ml/分 検出器 ;紫外分光光度計(254nm) カラム温度;10℃
【0042】なお、実施例3より得られた吸着担体を用
い、同様な条件で種々の異性体を分析した結果を表2に
示す。表中、k’はキャパシティー比(k’=(保持容
量−空隙容量)/空隙容量)を示し、αは2つの異性体
間における分離係数(α=(目的試料のk’)/(最も
早く溶出される試料のk’))を示す。また、表2にお
いてDNB−メチルベンジルアミン、DNB−ロイシン
以外の試料は、上記分析条件の溶離液をジクロロメタ
ン:ヘキサン(100:1)にして分析した。ここで示
されるように各光学異性体は良好に分離された。
【0043】
【表2】
【0044】
【発明の効果】本発明のクロマトグラフィー用吸着担体
は、光学異性体に対して高い物質認識能を示すものであ
り、物質の分析あるいは分離精製の際に有用である。ま
た、カリックスアレーンに光学活性な化合物を導入し、
さらにそれを支持体に固定化し、光学異性体認識能を発
現させることに成功したため、この担体に含有されるカ
リックスアレーンに別の様々な化学修飾をすることによ
り、更に幅広い分野への応用を図ることができるなど、
極めて有用な担体として期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】応用例1の結果を示すクロマトグラムである。
【図2】応用例2の結果を示すクロマトグラムである。
【符号の説明】
1 R−1,1’−ビ−2−ナフトールのピーク 2 S−1,1’−ビ−2−ナフトールのピーク 3 DNB−R−メチルベンジルアミンのピーク 4 DNB−S−メチルベンジルアミンのピーク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 30/48

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学活性な化合物で修飾されたカリッ
    クスアレーン誘導体が水に不溶性の支持体に固定化して
    いることを特徴とするクロマトグラフィー用吸着担体。
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CN100393411C (zh) * 2000-10-13 2008-06-11 大赛璐化学工业株式会社 旋光异构体分离用填充剂及使用该剂的旋光异构体分离法

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