JP3263227B2 - ステンレス鋼板の表面疵の防止方法 - Google Patents

ステンレス鋼板の表面疵の防止方法

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ステンレス鋼板の熱間
圧延における表面疵の防止方法に関し、特にステンレス
鋼板の製造過程中の熱間圧延工程で発生が懸念されるス
ケール疵の有効な防止方法を提案しようとするものであ
る。
【0002】
【従来の技術】一般にステンレス鋼板は、その特性とさ
れる外観の美麗さや耐蝕性等を満足させるため、表面性
状が他の炭素鋼や低合金鋼に比べてより一層優れている
ことが要求される。ところで、ステンレス鋼は変形抵抗
が大きいため、熱間圧延で疵が発生すると、その後の冷
間圧延においても疵は容易に消えず、微小な疵が残存し
てしまう。このため、熱間圧延においては、疵が発生し
ないように厳しく管理する必要がある。
【0003】熱延時にこのような表面疵が発した場合に
は、酸洗等による黒皮スケール除去後、冷延に先立ちグ
ラインダー等による研削手入れを行う。この研削手入れ
は作業能率が低いことに加え、手入れ作業の結果生じる
製品歩留りの低下による製造コストの上昇を招き製造工
程の大きな障害になっている。このため、特にステンレ
ス鋼板の製造にあっては、上記の如き表面疵の発生をど
のようにして防止するかと言うことが製造現場における
重大関心事の一つとなっており、これに費やす労力は極
めて大きいものがある。
【0004】次に、上記表面疵について、従来考えられ
ていた生成原因とその防止のために講じられた対応策に
ついて説明する。従来は、表面に付着したスケールが圧
下によって鋼板内に押し込まれるために疵が発生すると
考え、この防止対策としてデスケーリング装置による脱
スケールの強化、更にはロールの表面が肌荒れして、凸
凹が大きくなると発生傾向が強くなることから、同一ロ
ールによる圧延本数の制限並びに圧延荷重の上限規制等
の措置をとっている。
【0005】また、特開昭57−109514号公報の
ように、デスケーリング及び圧延ロールの冷却に用いる
水中のCl- イオン及びCO3 2- イオン濃度を規制する
方法が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような、従来の表
面疵防止対策は、いずれも生産性の低下と製造作業の煩
雑さをもたらすものであり、製造工程における総合的不
利益は極めて大きい。さらに重大な問題はこのような表
面疵防止対策を講じても表面疵の発生を完全に防止でき
ない点にある。
【0007】この原因は表面疵の生成原因についての究
明が不十分であり、従ってその防止対策についても経験
的な対策にとどまり、根本的な解決法が見出せないとこ
ろに起因していると考えられる。本発明の目的は上記従
来技術の問題点を解消し、表面疵の生成機構の解明に基
づいて、ステンレス鋼板の根本的な表面疵の防止方法を
提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、熱間圧延
工程において発生するスケール疵の生成機構について研
究を行い、次の如く解明した。スケール疵は圧延材表面
が荒れた所に発生していることが分かった。このスケー
ル疵が発生した部位について材料内のメタルフローとの
関係を見ると、剪断変形の大きな所と対応した。このこ
とは圧延により圧下を受けた際、ロールと圧延材最表面
の接触界面で強剪断が作用し、その時、極表層にスベリ
線が発生するとともに、新生な金属面が生じ、その部位
が酸化雰囲気にさらされるので急速に酸化してスケール
化するのである。
【0009】このようにしてできたスケールの深さ方向
の厚さは通常の2次スケールより数倍深く、これが熱延
後まで残留するためスケール疵となる。そこで、本発明
者等は強剪断変形を少なくし、新生な金属面の発生を防
止するための手段として潤滑剤に注目し、スケール疵の
発生との関係に付き、詳細に検討した。
【0010】その結果、上記の表面疵の発生率は油中に
ガラス組成物の水溶液を分散してなる潤滑剤をロール表
面に噴射しながら圧延し、ロールと圧延材の接触界面で
の摩擦を軽減させることにより、熱延中の表面疵の発生
を確実に防止できるとの知見を得た。すなわち、本発明
はステンレス鋼板の熱間圧延に際し、油中にガラス組成
物の水溶液を含有させた潤滑剤をロール表面に噴射しな
がら熱間圧延することを特徴とするステンレス鋼板の表
面疵の防止方法である。ここで油とは鉱油、植物油等圧
延に用いる圧延油をいう。またここでガラス組成物とは
燐酸及びその塩、硼酸及びその塩及びアルカリ金属の炭
酸塩、硝酸塩、硫酸塩、燐酸塩、硼酸塩及び水酸化物等
を言い、水溶性のものが好ましい。また上記ステンレス
鋼板の表面疵の防止方法において、ガラス組成物がP2
540〜55モル%、M2O(Mはアルカリ金属)36
〜54モル%及びB236〜9モル%からなるものとす
ると好適である。上記以外の範囲では潤滑剤として重要
な数百〜数千ポアズという適度な粘性を示さなくなり、
潤滑性能を低下させるため不都合である。この発明の目
的を達成するための好適例として、油に鉱油を使用し、
鉱油にガラス組成物を含有させた潤滑剤中のガラス組成
物含有量は、下限値が3重量%、上限値は70重量%を
越えない範囲とし、好適な含有量としては3〜60重量
%、最も好ましくは10〜60重量%である。
【0011】
【作用】以下本発明を完成するに至った実験結果につい
て具体的に説明する。実験1では各種潤滑剤の効果を明
らかにするため、各種潤滑剤を用い、表面疵の発生に及
ぼす影響について実験室的な圧延実験により検討した。
実験条件は下記の通りである。
【0012】実験条件 圧延材の材質:SUS430鋼 圧延材の寸法:25t×50w×500L(mm) 圧延温度 :950℃ 圧下率 :60% 圧延速度 :40m/min 潤滑供給方法:インジェクションノズルからロール面に
噴射 潤滑剤 : (1)Li石鹸系グリースに固体潤滑剤としてCaCO
3 を分散させた潤滑剤。
【0013】(2)鉱物油と合成エステルからなる潤滑
剤。これは現在熱間板圧延の分野では一般的に用いられ
ている。 (3)ガラス組成物の水溶液潤滑剤。 (4)油中にガラス組成物を含有させた潤滑剤。 (5)無潤滑。
【0014】
【表1】
【0015】表1から明らかなように、熱間圧延後の表
面の疵の発生率は(5)の無潤滑の場合には50%と最
も高い。潤滑剤を用いると発生率は低下し(1)、
(2)、(3)の場合で15〜20%に、(4)の鉱油
中にガラス組成物の水溶液を含有させた潤滑剤では5%
であった。このように同一のガラス組成物を含有する潤
滑剤を用いても効果に格段の差が認められた。この理由
はガラス組成物の水溶液のみの場合では、回転中のロー
ル表面に噴射した時の付着性が劣り、十分な効果が得ら
れないことによる。このようなことから、ガラス組成物
の効果を十分に発揮させるためには鉱油中に含有させる
ことが重要なポイントである。この潤滑剤が優れる理由
は次のように考える。回転中のロール表面に鉱油中にガ
ラス組成物を含有する潤滑剤を吹き付けると、鉱油を含
んでいるために、ロール表面への付着性が増す。そのた
め、ガラス組成物を高温圧延材とロール間に有効に介在
させることが可能となり、ガラス組成物の特性である数
百〜数千ポアズ(poise)の粘性をもった溶融皮膜
が形成される。これにより、圧延材とロール間の金属接
触が確実に防止され、接触界面での摩擦が軽減されると
共に、溶融皮膜により新生金属面の急速な酸化が防止さ
れたためと考える。
【0016】このように油中にガラス組成物を含有させ
た潤滑剤がよいことが分かったので、さらに改善を図る
ために、適正なガラス組成物の含有量について実験2で
検討した。実験条件は下記の通りである。 実験条件 圧延材の材質:SUS430鋼 圧延材の寸法:25t×50w×500L(mm) 圧延温度 :950℃ 圧下率 :60% 圧延速度 :40m/min 潤滑剤 :鉱油中にガラス組成物を含有させた潤滑
剤 ガラス組成物含有量:1、3、10、30、45、60
(重量%) 実験結果を表2に示す。
【0017】
【表2】
【0018】同表から明らかなように、熱間圧延後の疵
発生率を0%にするためにはガラス組成物の含有量を1
0%以上必要であることが分かるが、3%の含有量でも
表1にも併記したが5%に低下し、従来の潤滑剤を用い
た時の約1/3に低減可能である。従って、ガラス組成
物含有量の下限値として、3%とする。また、上限値は
70%を越えるとエマルションとしての安定性に欠ける
ため、操業上使用が不可能となる。このことから、ガラ
ス組成物の含有量は30〜70%とするが、さらに、好
適な含有量としては3〜60重量%、最も好ましくは1
0〜60重量%である。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。こ
こで用いた潤滑剤の組成は以下の通りである。 ガラス組成物 10重量% マシンオイル ISOVG68 55重量% ソルビタンモノオレエート 6重量% ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル 9重量% 水 20重量% この発明を、4段式熱間粗圧延機R4スタンドにより、
45mm厚みのSUS304鋼と430鋼を、圧下率3
5〜55%の間で適宜変えて圧延する時に適用した。圧
延温度は1050℃程度である。
【0020】潤滑剤の供給方法はウォーターインジェク
ション方式とし、ロール表面1リットル/min・ノズ
ル噴射した。その後、7スタンドからなる連続熱間圧延
機で3.0mm厚みに圧延して、表面の疵発生率を調査
した。その結果、表3を得た。
【0021】
【表3】
【0022】表3から明らかなように、本発明法による
と2つの鋼種共に、目標とする圧下率45%程度で、表
面疵の発生率が0%となり、疵の研削手入れが不必要に
なり好結果を示した。
【0023】
【発明の効果】上記の実施例からも明らかな如く、本発
明は表面疵の発生機構の解明に基づき粗圧延機の入側に
おいて、油中にガラス組成物を含有してなる潤滑剤をロ
ール表面に噴射しながら圧延することにより、ステンレ
ス鋼板製品の最大問題である熱間圧延における表面疵の
防止を有利に達成することができた。
【0024】なお、本発明は主として板の熱間粗圧延に
おけるステンレス鋼板の圧延について説明したが、板の
仕上圧延や条鋼、型鋼、鋼管等の圧延に広く適用される
と共に他の高級鋼種にも同様な効果が得られることは言
うまでもない。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // C10N 30:00 C10N 30:00 Z 40:24 40:24 Z (56)参考文献 特開 平6−154836(JP,A) 特開 平4−331292(JP,A) 特開 平5−148493(JP,A) 特開 平5−271684(JP,A) 特開 平3−12498(JP,A) 特開 平4−130195(JP,A) 特開 昭63−254195(JP,A) 特開 平7−41781(JP,A) 特開 平4−277596(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21B 27/10 B21B 45/02 310

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ステンレス鋼板の熱間圧延に際し、油中
    にガラス組成物の水溶液を含有させた潤滑剤を、ロール
    表面に噴射しながら熱間圧延することを特徴とするステ
    ンレス鋼板の表面疵の防止方法。
  2. 【請求項2】 ガラス組成物がP2540〜55モル
    %、M2O(Mはアルカリ金属)36〜54モル%及び
    236〜9モル%からなることを特徴とする請求項1
    記載のステンレス鋼板の表面疵の防止方法。
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