JP3509618B2 - ステンレス薄鋼板の冷間圧延方法 - Google Patents
ステンレス薄鋼板の冷間圧延方法Info
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Description
油型エマルション油を使用したステンレス薄鋼板の冷間
圧延方法に関し、より詳しくは冷間圧延後のステンレス
薄鋼板に仕上焼鈍・酸洗を行った際の脱スケール性が改
善され、生産性の向上が可能となるステンレス薄鋼板の
冷間圧延方法に関する。
光沢の高い製品が要求されること、および圧延材の変形
抵抗が高く、加工硬化が起こり易いことから、ロールバ
イト内への圧延油の導入量が少なく、高い圧延圧力が得
られる、小径ワークロールのセンジミアミルが一般に使
用されてきた。
20段と圧延機の構造が複雑で、かつロール径が50〜80 m
m と小径であるため、圧延速度が制約され、生産性が低
いという問題がある。そこで、生産性を改善するため、
ロール径が大きいタンデムミルでの高光沢冷間圧延が最
近では試みられるようになってきた。
ては、低粘度の鉱油を基油とした圧延油を、水で乳化せ
ずにそのまま供給するニート油を用いることが多かっ
た。一般にニート油は表面光沢がよい製品を与えるが、
冷却能が低いことから、高圧下高速圧延では焼付きが発
生し易い。
の原液を水と混合して、原液濃度が一般に3〜10体積%
の水中油型エマルションにしたエマルション油を、ステ
ンレス鋼板の冷間圧延に使用することも行われている。
エマルション油は、その大半が水であるため冷却能は高
いが、循環使用していくと、圧延で発生した摩耗粉が蓄
積し、こうして摩耗粉で汚れたエマルション油を使用す
ると、製品の表面光沢が極度に悪化することが知られて
いる。そのため、表面光沢が要求されるステンレス鋼板
の冷間圧延にはあまり使用されてこなかった。
れるエマルション油の摩耗粉量 (鉄分夾雑物) を一定範
囲に管理してCr系ステンレス鋼板を冷間圧延すると、夾
雑物による表面光沢の悪化 (光沢むらの発生) が防止で
き、エマルション油を用いて表面光沢のよいステンレス
薄鋼板を製造できることが開示されている。特開平10−
273688号公報には、少量の石油スルホン酸ナトリウムを
添加した細粒径エマルション油を使用して冷間圧延する
と、やはり光沢むらの発生が防止された表面光沢に良好
なステンレス薄鋼板が得られることが示されている。
圧延によりステンレス鋼板の圧延能率の向上が図られる
ようになったが、エマルション油を使用してタンデムミ
ルで冷間圧延したステンレス薄鋼板は、冷間圧延に続い
て行われる仕上焼鈍・酸洗において、冷間圧延にニート
油を使用した場合に比べて脱スケール性が悪く、仕上焼
鈍・酸洗能率が低下しがちであった。この脱スケール性
の悪化は、特に板厚0.8 mm未満のオーステナイト系ステ
ンレス薄鋼板で顕著であった。また、タンデムミルでは
なく、リバースミルで冷間圧延を行うと、脱スケール性
はさらに悪くなりがちであった。
ル性を改善する方法として、特公昭55−2476号公報、特
開平7−48700 号公報に示すように、酸洗方法および酸
液組成の変更、あるいは機械的な脱スケール法との組合
せ等が検討されているが、いずれも設備改善や新設備の
導入が必要であり、設備投資費が膨大になる。
・酸洗は、冷間圧延にニート油を使用したステンレス薄
鋼板とエマルション油を使用したステンレス薄鋼板とが
混在した状態で行うことが多い。仕上焼鈍・酸洗は鋼板
コイルの連続処理ライン内で行うことから、前工程で使
用した圧延油がニート油かエマルション油かに応じて焼
鈍・酸洗条件を変更することは煩雑であるため、不必要
に低速で処理する結果ともなり、生産性を阻害する原因
になっている。
よるステンレス薄鋼板の冷間圧延の生産性を向上させる
ため、エマルション油を使用して冷間圧延したステンレ
ス薄鋼板を、従来の連続処理ラインの設備をそのまま利
用して、ニート油を使用した冷間圧延材と同じ標準的な
仕上焼鈍・酸洗条件で処理した場合に、脱スケール性が
改善されたステンレス薄鋼板を製造することを課題とす
る。
備改善の必要な追加の処理を行わずに脱スケール性を改
善するには、その前段階である冷間圧延を工夫する必要
がある。従って、本発明のより具体的な課題は、オース
テナイト系ステンレスに代表される仕上焼鈍温度の高い
ステンレス薄鋼板の仕上焼鈍時のスケール組成・生成量
を調整し、酸洗時の脱スケール速度を高め、かつ酸洗む
らを低減して、表面品位の優れたステンレス薄鋼板を生
産性よく製造することができるように、エマルション油
を用いたタンデムミル等でのステンレス薄鋼板の冷間圧
延方法を改善することである。
め、本発明者らは、エマルション油を使用して冷間圧延
したステンレス薄鋼板の仕上焼鈍・酸洗時のスケール発
生状況および脱スケール状況を詳細に調査・検討した結
果、次のことが明らかになった。
表面状態に関して: (1) エマルション油を使用して冷間圧延したステンレス
薄鋼板は、ニート油を使用した場合に比べて、冷間圧延
時に発生したと推定される薄い酸化皮膜 (テンパーカラ
ー) の発生が多い。特に、リバース方式のタンデムミル
による圧延でのコイル板幅のエッジ20〜100 mm部分に顕
著である。
鈍時のスケール生成に影響し、テンパーカラー部は、引
き続き行われる酸洗においてスケール残りを発生し易
い。
ト油を使用した場合に比べて、圧延後の鋼板表面の付着
油量は極めて少ないが、鉄、クロム、ニッケルといった
圧延材の金属摩耗粉の付着量が多い。また、鋼板上の金
属摩耗粉の付着は、むらになっていることが多い。
板表面部分は、焼鈍時のスケール生成状況が周囲とは異
なり、スケール残りや酸洗後の光沢むらとなり易い。
に関して: (1) エマルション油中にナトリウム化合物が含まれてい
る場合は、冷間圧延後のステンレス薄鋼板に付着する金
属摩耗粉の量が少なくなる。また、金属摩耗粉の付着む
らが生じ難い。
含んでいると、仕上焼鈍時のスケール状態が変化し、酸
洗性が向上する。
に、鉄、クロム、ニッケルといった圧延材の金属摩耗粉
が付着している方が、ナトリウム化合物による酸洗性向
上効果が大きい。
ム化合物による上記効果は、カリウム化合物等の他のア
ルカリ金属化合物および/またはカルシウム化合物とい
ったアルカリ土類金属化合物でも得られる。
カリ土類金属 (以下、アルカリ金属等と総称する場合が
ある) および圧延材の金属摩耗粉も含めた金属量の最適
量に関して検討し、次の結果を得た。
よって発生する鉄、クロム、ニッケル等の圧延材の摩耗
粉が存在するが、この摩耗粉として存在する金属とアル
カリ金属等とが共存する状態で脱スケール性が向上す
る。
ション油中に30 ppm以上であると、脱スケール性が向上
する。
ニッケル等の摩耗粉を含むエマルション油中の全金属濃
度が200 ppm を超えると、酸洗後の薄鋼板表面に光沢む
らが発生する。
ョン油を使用してステンレス鋼板を冷間圧延する際に、
エマルション油中のアルカリ金属等の濃度を30 ppm以上
とし、かつ全金属濃度を200 ppm 以下とすることが、タ
ンデム圧延や、特にリバース圧延方式におけるステンレ
ス薄鋼板の仕上焼鈍・酸洗時の脱スケール性の向上に有
効であることが判明し、本発明を完成するに至った。
ョン油を使用したステンレス薄鋼板の冷間圧延におい
て、使用するエマルション油が、アルカリ金属および/
またはアルカリ土類金属を合計30 ppm以上の濃度で含有
し、かつその全金属濃度が200ppm 以下であることを特
徴とするステンレス薄鋼板の冷間圧延方法である。
薄鋼板の材質が、仕上焼鈍温度が高く、焼鈍時のスケー
ル発生が顕著なオーステナイト系ステンレス鋼である場
合に適用することが有利である。
を使用したステンレス鋼板の冷間圧延の仕上焼鈍時の脱
スケール性を改善し、生産性の向上を可能にするステン
レス薄鋼板の冷間圧延方法であり、使用するエマルショ
ン油が、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属
(即ち、アルカリ金属等) を合計30 ppm以上の濃度で含
有し、かつ摩耗粉として含有する鉄、クロム、ニッケル
等の他金属をアルカリ金属等と合わせた全金属濃度が20
0 ppm 以下であることを特徴とする。
は、上述した金属分濃度を有する点を除いて、特に制限
されず、従来のものと同様でよい。一般に水中油型エマ
ルション油は、基油、乳化剤、および必要に応じて各種
添加剤(例、油性剤、極圧剤、粘度指数向上剤、酸化防
止剤等)を含有する圧延油原液を多量の水と一緒に高速
攪拌して水中油型エマルションとしたものである。基油
は通常の鉱油でよいが、合成エステル、油脂といった他
の基油を、鉱油と併用するか、鉱油の代わりに使用する
ことも可能である。
述したように、一般には3〜10体積%の範囲であるが、
直径300 mmを超える大径ロールミルのタンデムミルで圧
延する場合には、1〜2体積%といったより低い原液濃
度のエマルション油を使用することもある。
るアルカリ金属等は、元素周期律表のIa族のアルカリ金
属およびIIa 族アルカリ土類金属から選ばれた1種また
は2種以上の金属である。具体的には、リチウム、カリ
ウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウ
ム等の金属が挙げられる。
加するのに用いる化合物は、無機化合物でも有機化合物
でもよい。また、このアルカリ金属等の化合物を添加す
る相手は、圧延油原液と、エマルション化に用いる水の
いずれでもよく、或いは圧延油原液をエマルション化し
た後に (即ち、エマルションに) 添加することも可能で
ある。使用する化合物は、添加相手である圧延油原液ま
たは水に可溶性であるものが好ましいが、均一分散が確
保できるのであれば、少なくとも一部は微粉末の形態で
分散していてもかまわない。
は、硫酸、塩酸、硝酸、燐酸、フッ酸、炭酸、珪酸等の
無機酸との塩、脂肪酸、石油スルホン酸等の有機酸との
塩、ならびに水酸化物、酸化物、アルコキシド等が挙げ
られる。化合物は工業的に生産されたものでも、工業用
水に不可避的に含まれるアルカリ金属の化合物を濃縮あ
るいは抽出したものでもよい。
いう目的を達成するには、効率よく鋼板表面に付着させ
ることが望ましい。その意味で、使用するアルカリ金属
等の化合物は、脂肪酸塩や石油スルホン酸塩といった有
機酸塩が好ましい。なお、このようなアルカリ金属等の
有機酸塩、特に石油スルホン酸塩は、圧延油原液に添加
剤(例、乳化剤)として最初から添加されている場合が
ある。また、使用する水が微量のアルカリ金属等を含有
する場合もある。その場合には、最初から圧延油原液お
よび/または水に存在しているアルカリ金属等の化合物
も含めて、エマルションとした後のエマルション油中の
アルカリ金属等の濃度が本発明の範囲を満たすようにす
る。
油中のアルカリ金属等の含有量が30ppm以上となるよう
な濃度で添加する。この濃度が30 ppm未満では、冷間圧
延後のステンレス鋼板上に付着するアルカリ金属等の量
が少なく、仕上焼鈍時に表面に生成されるスケール (酸
化皮膜) を改質し、酸洗時の脱スケール性を改善する作
用がほとんど認められない。アルカリ金属等の濃度は、
好ましくは50 ppm以上、100 ppm 以下である。
はタンクに戻されて循環使用される。圧延時に、圧延さ
れる金属 (ステンレス鋼板の圧延では、鉄、クロム、ニ
ッケル等) の摩耗粉が発生し、これが圧延油中に混入す
ることは避けられない。従って、圧延油を循環使用する
と、これらの金属摩耗粉が圧延油中に蓄積し、その含有
量が次第に増大する。
ロム、ニッケル等の) の摩耗粉は、それが一定範囲以下
であれば、エマルション油中にアルカリ金属と共存する
ことで、脱スケール性を向上させることができ、本発明
の目的にとって有益である。しかし、エマルション油中
の全金属濃度 (アルカリ金属等と圧延材金属の摩耗粉と
を含めた全金属の濃度) が200 ppm を超えると、酸洗後
の薄鋼板表面に光沢むらが発生するようになる。そのた
め、エマルション油中の全金属濃度が200 ppmとなるよ
うにエマルション油を管理する。
4−60721 号公報に記載されているようにして実施する
ことができる。即ち、循環使用によりエマルション油中
の全金属濃度が200 ppm を超えるようになったら、タン
ク内のエマルション油の金属粉濃度が相対的に高い液面
付近および底面付近の圧延油を除去したり、適当なフィ
ルターで濾過する、摩耗粉は磁石にくっつくことから磁
石を利用して除去する、といった手段で摩耗粉を除去
し、全金属濃度が200 ppm 以下になるようにする。この
全金属濃度は好ましくは180 ppm 以下、より好ましくは
150 ppm 以下とする。
度、金属摩耗粉の濃度、および全金属濃度は、エマルシ
ョン油の試料を強熱して灰化した後、生成した灰を強酸
で溶解し、溶解液を原子吸光法で分析することにより、
各金属元素別に測定することができる。得られた各金属
の含有量を、アルカリ金属等(アルカリ金属+アルカリ
土類金属)について合計したものがアルカリ金属等の含
有量であり、全て合計したものが全金属含有量である。
ス鋼板の冷間圧延それ自体は、常法に従って実施すれば
よい。圧延油の給油方式は循環給油方式が一般的である
が、これに制限されるものではない。圧延材のステンレ
ス鋼板も特に制限はないが、焼鈍温度が高いためスケー
ル生成量が多く、脱スケール性の悪い板厚0.8 mm未満の
オーステナイト系ステンレス薄鋼板を製造する冷間圧延
に適用することが有利である。圧延材は、一般的に熱間
圧延ステンレス鋼板を焼鈍・酸洗したものである。
ミアミル圧延に使用することも可能であるが、脱スケー
ル性の改善という本発明の効果を活かすには、従来の圧
延油では脱スケール性が悪化しがちなタンデムミル圧延
等の連続スタンドミルでの冷間圧延に適用することが有
利である。さらにより有利には、リバースミル圧延のよ
うに、パス毎に巻き取られ、圧延時間が比較的長く、圧
延途中でテンパーカラーが発生しやすい圧延機での圧延
に適用すると、アルカリ金属等による脱スケール性の改
善効果が一層顕著となる。
は、従来と同様に連続的に焼鈍 (仕上げ焼鈍) と酸洗を
施す。焼鈍で生成したスケールは酸洗により脱スケール
されるが、本発明に従って冷間圧延時に使用したエマル
ション油がアルカリ金属等を含有していると、この時の
脱スケールが容易となり、スケール残りがなく、光沢度
が高く、光沢むらのないステンレス薄鋼板を得ることが
できる。このアルカリ金属等による効果は、焼鈍条件
(温度、時間、雰囲気ガス) や、酸洗条件 (酸の浴組
成、温度) にかかわらず得られる。酸洗後、必要に応じ
て、調質圧延、研磨仕上げ等の仕上げ作業を施してもよ
い。
μmのワークロールと直径350 mmのバックアップロール
の4Hiリバース式圧延機を用いて、表1に示す圧延材に
対して、表2に示す圧延条件で9パスの圧延を実施し
た。
用いた。圧延油No. およびは本発明に従った水中油
型エマルション油用の圧延油原液、圧延油No. は比較
用のニート油である。圧延油No. はCaイオンを3ppm
含有する水道水を使用して、圧延油No. はアルカリ金
属等を含有しないイオン交換水を使用して、それぞれ原
液濃度が10体積%のエマルション油200 リットルを調製
して使用した。エマルション油は、大型の攪拌機 (ホモ
ミキサー) を使用してタンク内で攪拌・混合して調製し
た後、このエマルション油を循環ポンプを用いて圧延機
に30分間以上循環送給し (この間に圧延は行わない) 、
エマルション油の濃度とエマルション粒径の安定・均一
化を図った。ニート油は、水と混合せずにそのまま使用
するので、このような操作は不要である。
またはエマルション化に使用した水のいずれかに、アル
カリ金属等の供給源として、表4に示した化合物を添加
した。圧延油と添加化合物の組合せおよび添加量 (エマ
ルション油の場合はエマルション化後の濃度) は表5に
示した通りであった。
ン油またはニート油) を使用して、表1に示した圧延材
を最大10コイルまで連続して圧延した。エマルション油
は、200 リットルの量を循環使用し、圧延機への供給量
は65 L/minであった。ニート油は200 リットルの量を使
用し、65 L/minの量で圧延機に供給しながら循環使用し
た。冷間圧延で得られたステンレス薄鋼板に、表6の条
件で仕上焼鈍、酸洗および調質圧延を施した。
のアルカリ金属等の含有量と、摩耗粉を含む全金属含有
量を、前述したようにして、強熱および原子吸光分析に
よる分析結果から求めた。
テンレス薄鋼板について、仕上焼鈍と酸洗を行った後の
鋼板のスケール残りの有無を目視判定した。また、これ
を調質圧延した後の鋼板について、JIS Z8741 で規定さ
れる測定角度60°の光沢度:Gs 60 を測定すると共に、
目視観察により板幅方向の光沢むらの程度を評価した。
これらの評価基準は次の通りであった。なお、SUS 430
材とSUS 304 材では要求光沢レベルが異なるため、光沢
度については別々の基準とした。これらの評価の結果も
表5に併せて示す。
マルション油を用いてステンレス鋼の冷間圧延を行う
と、エマルション油を用いたリバースミル圧延であるに
もかかわらず、仕上焼鈍・酸洗後のスケール残りが認め
られず、調質圧延後の表面光沢が高く均一であり、ニー
ト油を用いた場合と同等またはそれ以上の優れた表面品
位を得ることができる。一方、本発明から外れる条件、
および従来の方法では、ニート油と同じ条件での焼鈍・
酸洗では、光沢むら等のため品質不適となる。
スケール残りおよび光沢むらの結果を、圧延油 (エマル
ション油) 中のアルカリ金属等の含有量と全金属含有量
に対して示した図である。この図から、本発明で規定す
る範囲内の量で圧延材の摩耗粉 (鉄、クロム、ニッケル
等の金属粉) とアルカリ金属とがエマルション中に共存
する状態で冷間圧延したステンレス鋼板が、脱スケール
性に優れていることがわかる。特にSUS 304 材を冷間圧
延する際に、アルカリ金属等の含有量が30 ppm以上、全
金属の含有量が200 ppm 以下であると、脱スケール性の
向上が確保される。
スミルにおいてエマルション油を使用して冷間圧延した
ステンレス薄鋼板を仕上焼鈍・酸洗を行った際の脱スケ
ール性が改善され、ニート油を用いた場合と同じ焼鈍・
酸洗条件で、ニート油を用いた場合に匹敵する優れた表
面品位の冷間圧延ステンレス薄鋼板を製造することが可
能となり、冷間圧延ステンレス薄鋼板の生産性が大きく
向上する。
レスに代表される仕上焼鈍温度の高い薄鋼板を上記ミル
で冷間圧延した後の仕上焼鈍時のスケール組成・生成量
を調整し、酸洗時の脱スケール速度を高め、かつ酸洗む
らを低減して、表面品位の優れたステンレス薄鋼板を高
い生産性で製造することが可能となる。
よび全金属含有量 (鉄、クロム、ニッケル等の圧延材摩
耗粉を含めた金属含有量) が脱スケール性に及ぼす影響
を示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 圧延油として水中油型エマルション油を
使用したステンレス薄鋼板の冷間圧延において、使用す
るエマルション油がアルカリ金属および/またはアルカ
リ土類金属を合計30 ppm以上の濃度で含有し、かつその
全金属濃度が200 ppm 以下であることを特徴とするステ
ンレス薄鋼板の冷間圧延方法。 - 【請求項2】 ステンレス薄鋼板の材質がオーステナイ
ト系ステンレス鋼である請求項1記載の方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP10267099A JP3509618B2 (ja) | 1999-04-09 | 1999-04-09 | ステンレス薄鋼板の冷間圧延方法 |
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