JP3262442B2 - インクジェット捺染用の布帛とそれを用いるインクジェット捺染方法及び染色物 - Google Patents

インクジェット捺染用の布帛とそれを用いるインクジェット捺染方法及び染色物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主として、液状イン
ク、固体インクを溶解状態としたインク、粉体を溶解し
たトナを担持して画像を形成するプリント媒体に関し、
これを用いるインク捺染方法、更にはインク記録装置と
して複写機、ファクシミリ等の記録機器、通信機器、事
務機器、複合機器、プリンタ等に適用可能な装置発明に
関する。特に本発明は、インクジェット記録手段を用い
て直接加色する際のプリント媒体およびその染色方法、
さらにはしおりや小物入れ等の染色物品に関する。
【0002】
【従来の技術】近年インクジェット技術を用いた捺染装
置が実用化され高精彩なプリント生地が簡略な工程で生
産されるようになってきたが、いずれも工業的な捺染装
置であり、ユーザが手軽に思いのままのプリントを高精
彩に行うことは実質上難しい状況である。
【0003】そうしたインクジェット捺染方法に関する
発明として、吉田等は特開昭61−55277号公報に
布帛素材に染着させる染料に対して実質的に非染着性で
ある化合物を、該布帛素材に対して0.1〜50重量%
含有させたインクジェット染色用布帛及びそれを用いた
インクジェット染色法を開示することでインクジェット
捺染におけるにじみ防止を可能としているが、いずれの
実施例においても汎用のインクジェットプリンタでの初
期搬送性に対する考慮がなされておらず、その応用はほ
ぼ工業的な捺染分野に限定されている。
【0004】また、本発明と同一出願人による発明とし
て、小池等は特開昭62−53492号公報にインクジ
ェット方式によって水溶性染料を含む記録液を布帛類に
付与し、次いで必要に応じ染着処理する捺染方法におい
て、上記布帛類に、25℃における粘度が1000cP
以上の記録液受容層を形成した捺染方法を開示すること
で流動性を有する記録液受容層にインクを受容させるこ
とでにじみを防止して高品位なインクジェット捺染布を
得ることを可能としている。その実施例中では綿100
%のブロード生地を2200cPの記録液受容層液に浸
漬した後、軽く絞って過剰の受容層液を除き、これを市
販のレポート用紙と重ね合わせてプリンタに装着しやす
い状態とした後、直ちにインクジェットプリンタに取り
付け、布帛綿上にプリントし、次に、プリンタから取り
はずしてアイロンをかけて定着を行い、その後中性洗剤
にて受容層液を除去してインクジェットプリンタによる
布帛のプリント物を得ている。また、別の実施例では1
5000cPの記録液受容層剤を50%水溶液にして綿
65%麻35%のワイシャツ生地にバーコーターにて塗
布し、80℃で1時間の熱風乾燥をしてプリント用生地
を得、これをインクジェットプリンタを用いてプリント
を行い、アイロンによる染着処理と中性洗剤による洗浄
を行いインクジェット捺染布を得ている。上記実施例に
より作成したインクジェット捺染布は1.5mm間隔の
直線の解像度を十分に満たした上、ボヤケや滲みもなく
さらに十分な濃度が得られ、また、上記発明のひとつの
利点として、工業的な捺染方法のみならず、一般家庭で
の趣味的なプリント捺染にも応用可能としている。即
ち、記録液受容層液と布帛とインクジェットプリンタと
ドライヤーないしは市販の普通紙とアイロンと市販の洗
剤さえあれば、非工業的なインクジェット捺染が可能と
なる。そのうち、記録液および布帛に適した記録液受容
液については広く市販されているものではないので、イ
ンクジェットプリンタメーカーなどで適宜販売されるも
のを購入すれば良い。
【0005】また、インクジェット記録以外の方法、た
とえば、簡易印刷機として広く普及しているプリントゴ
ッコ(理想科学工業社製)を用いてカラープリントを行
った後アイロンで加熱処理するなどの方法が開示されて
いる。そうした簡易印刷機を用いた布プリントでは、基
布のサイズや形状自体に関する制約は少ないが、印刷圧
の均一化の点から一度の印刷で行える領域が小さく、広
い領域でのプリントは複数回に分けて行っているのが実
情で印刷ごとのレジスト合わせが難しく、微妙な色調変
化や高精彩な表現は難しいという問題があった。
【0006】
【背景技術】本発明の背景のひとつとしては、上述従来
の簡易捺染方法の中でもっとも有望なものとしてインク
ジェットプリンタを用いたインクジェット捺染方法があ
り、近年のインクジェット技術の急速な進歩により、イ
ンクジェット技術を用いて紙などのカットシート状の記
録媒体にホスト装置などから転送されたカラー画像デー
タを高精彩に記録できる、いわゆる、インクジェット記
録装置の分野で、小型化・低価格のカラーインクジェッ
ト記録装置が普及してきているからである。しかしなが
ら上述の特開昭62−53492号公報に開示された構
成では近年の進化したインクジェットプリンタにそのま
ま応用することは難しくなってきている。即ち、前記公
報における第1の実施例では高粘度ではあるが流動性の
記録液受容層液によるインクジェットプリンタの搬送手
段への汚染やプリント生地の装着性および搬送性の改善
を市販のレポート用紙を重ねて装着することで改善して
いるが、また、第2の実施例ではさらに高粘度の記録液
受容層液を記録面側から塗布・乾燥して下紙なしでイン
クジェットプリンタに装着するようにしているが、近年
のより高解像度化・高精彩化したインクジェットプリン
タを生かして高精細なプリントを自動搬送で行うには十
分な搬送性を得ることは難しい。また、上記実施例中で
用いたインクジェットプリンタは、主搬送手段である円
筒状のプラテンに手動で記録媒体を装着するものであり
前述のように下紙を重ねただけの生地や、生地そのもの
であっても装着できたが、近年のインクジェットプリン
タでは搬送手段への装着は自動的に行える様に構成され
ているものが主流であり、そうしたインクジェットプリ
ンタの搬送手段への装着はそのままでは難しい。
【0007】これらの問題に対し、本出願人により、非
染着性の剛直化剤を付与してインクジェットプリンタに
搬送可能な状態とした布帛(以下、単に『剛直布』とい
う)を提案している。この剛直布はインクジェット捺染
が終了した後で洗浄を行い、剛直剤を洗い流し、元の布
帛の質感に戻すものである。
【0008】また従来の捺染においては、布帛に印捺を
終えた後、スチーミングと呼ばれる高温蒸気に印捺され
た布帛をさらす処理で染料分子と布帛中の繊維の構成分
子との間での結合をより促進させ、次いで水洗により未
反応の染料分子を洗い流し、染色物としている。この最
後に洗い流される染料は、一般に印捺時に使用される染
料の20%から50%程度である。したがって染色物と
して十分な色濃度を維持するためには、この洗い流され
る染料の分をあらかじめ印捺時に多く用意しておかなけ
ればならない。このために、捺染においては普通は多量
の染料を必要としている。
【0009】一方、近年のインクジェットプリンタで
は、一般に紙等の記録媒体を主体として構成されている
こと、およびインクジェットヘッドの微細なノズルから
の吐出効率の低下や主にノズル先端におけるインク乾燥
から生ずる吐出不良を防止するため、染料は記録液中に
数%程度含有されているものが一般的である。このよう
な構成のインクジェットプリンタを簡易的な捺染に利用
した場合、印捺時に布帛に多量の染料を付着させること
は非常に困難である。したがって汎用のインクジェット
プリンタで捺染を実施する場合には印捺時に付着させた
染料は、その後の水洗時にはほとんど流れ出ていかない
ように処理できることが望ましい。そしてこのことは、
印捺時における染料消費からくるランニングコストの増
大や、一般家庭における汚染排水等の問題をも回避する
ことが可能であり、より必要な点であるとも言える。さ
らに一般家庭においては、前述したスチーミング処理は
実現することがほとんどできないため、このスチーミン
グ処理も不要とすることも大きな課題となるものであ
る。
【0010】いずれにしても、インクジェット技術等の
染色方法で染色される媒体を用いた簡易捺染方法および
装置においては、搬送用媒体としての布帛等の媒体の搬
送性を高めて、連続して複数枚の記録を行う場合でも安
定し、かつ高精細の画像を得ることができ、そして記録
を終えた後でも特別な複雑処理を施さずとも鮮明な染色
画像を維持しておけるプリント媒体を提供することは重
要な課題である。
【0011】
【本発明の概要】本発明の主たる目的は、非工業的な分
野においても応用可能な簡易捺染方法を提供することで
あり、上述従来の簡易捺染方法では認識されていなかっ
た、ロール状布帛の自動搬送を確実なものにして捺染記
録を可能にすることやカットシート状搬送用布帛媒体自
体の特性を改良して自動給送を可能にするプリント媒体
を提供することにある。これに加え、布帛上に記録を行
った後で、洗濯等を行っても色あせることのない染色物
をも提供するものである。
【0012】本発明の他の目的は、インクジェット技術
を応用したインクジェット簡易捺染方法による高精彩な
色表現を工業用のみならず広く一般家庭の趣味的な分野
への応用を、従来紙に記録していた場合と同様の感覚で
行うことを可能とすることである。
【0013】従って本発明は、詳しくは、インクジェッ
ト技術を応用した簡易捺染方法および装置を提供するこ
とであり、より詳しくは記録媒体である布帛の搬送性を
高めて、連続して複数枚の記録を行う場合でも安定し、
かつ高精細の画像を得ることができ、そして記録を終え
た後でも特別な処理を施さずとも鮮明な染色画像を維持
しておけるプリント媒体、それを用いたインクジェット
捺染方法並びに染色物を提供するものである。
【0014】本発明の代表的な発明の主たる特徴は、イ
オン性をもつ染料を含有する染色液で行う染色に使用す
るプリント媒体において、少なくとも該染料と同一のイ
オン性でない剛直化剤および前記染料と反対のイオン性
を持つ染料固着剤を付与してなることであり、好ましく
は、剛直化剤が非アニオン性で、かつ染料固着剤がカチ
オン性であることを特徴とし、さらに好ましくは、非ア
ニオン性の剛直化剤のイオン性がノニオン性であること
を特徴とするものである。そしてプリント媒体としては
布帛を用いることが可能となり、染色はインクジェット
方式やプリント装置を利用して行うことを最適とするも
のである。本発明にかかるプリント媒体の、より具体的
な一実施態様としては、イオン性を有する染料を含有す
るインクを用いるインクジェット捺染に使用する布帛で
あって、該染料と同一のイオン性でない剛直化剤と、該
染料と反対のイオン性を有する染料固着剤とが、該布帛
の互いに異なる面から付与されてなり、且つクラーク剛
度が10以上400以下である布帛が挙げられる。また
本発明にかかるプリント媒体の、より具板的な他の実施
態様としては、イオン性を有する染料を含有するインク
を用いるインクジェット捺染に使用する布帛であって、
該染料と反対のイオン性を有する染料固着剤と、該染料
と同一のイオン性でない剛直化剤とが、この順番で付与
されてなり、且つクラーク剛度が10以上400以下で
ある布帛が挙げられる。また本発明にかかるプリント媒
体の、より具体的な、更に他の実施態様としては、カチ
オン性を有する染料を含有するインクを用いたインクジ
ェット捺染に使用する布帛であって、ノニオン性の剛直
化剤とアニオン性の染料固着剤とを含み、クラーク剛度
が10以上400以下の範囲内にある布帛が挙げられ
る。 また本発明にかかるインクジェット捺染方法の、よ
り具体的な一実施態様としては、例えば上記の布帛の何
れかに対して、インクをインクジェット法により付与し
て染色する工程と、染色後に、該剛直化剤を洗浄除去す
る工程と、を有し、該インクは、該布帛中の染料固着剤
が有するイオン性とは反対のイオン性を有する染料を含
んでいるものであることを特徴とするインクジェット捺
染方法が挙げられる。 また本発明にかかる染色物の、よ
り具体的な一実施態様としては、例えば上記に記載の布
帛の何れかに対して、該布帛中の染料固着剤が有するイ
オン性とは反対のイオン性を有する染料を含んでいるイ
ンクをインクジェット法で付与し、その後剛直化剤を洗
浄除去し、乾燥してなる染色物が挙げられる。
【0015】本発明で、プリント媒体に対して、剛直化
剤および染料固着剤を付与しているが、ここでいう剛直
化剤はインクジェットプリンタの搬送手段に装着可能に
するようにプリント媒体に剛度を与えるものであり、ま
た染料固着剤はプリント媒体に染色を行った際に、その
染色画像を形成する部分の染料分子とプリント媒体を構
成する分子とを強固に結びつけるものである。さらに剛
直化剤は染色が終了した後は洗浄によって除去するが、
このときに染料固着剤は染料を洗浄液中に流し出さない
ようにする効果がある。
【0016】また染料についてはイオン性もつものと定
義しているが、一般によく利用される染料はアニオン性
のものが多く、特殊なものではない。このアニオン性の
染料はインクジェット記録の記録液の色材としてもよく
利用されているもので、布帛を着色する際には、イオン
結合によって染料および布帛の繊維のそれぞれの分子ど
うしが結びつくものである。この染料のイオン性を考慮
すると、プリント媒体である布帛に剛直化剤および染料
固着剤を付与する際に、これらにもイオン性が重要であ
ることを見いだし、本発明に至ったものである。
【0017】つまり、剛直化剤としては、プリント媒体
たる布帛にこしをもたせてインクジェットプリンタの搬
送装置上で十分な搬送性を確保することが第一の目的で
あるため一般の染色において糊剤として利用されている
高分子化合物を利用することが可能であるが、それと共
に記録時において染料と反応しないこと、すなわち非染
着性が求められるため、染料との間でイオン結合を起こ
さない性質でなければならない。したがって少なくとも
染料と同一のイオン性でない性質、すなわちアニオン
性、もしくはノニオン性に近いものであることが重要で
ある。
【0018】これに対し、染料固着剤は染料との間でイ
オン結合で強固に結びつくと共に、プリント媒体たる布
帛に十分に付与されていることが重要な条件となる。し
たがって染料のイオン性と反対のものであることが重要
であるため、カチオン性が求められる。
【0019】しかしながら、この剛直化剤と染料固着剤
を同一プリント媒体中に存在させる際、剛直化剤がアニ
オン性である場合には、カチオン性である染料固着剤と
イオン反応を起こしてしまい、その結果、塩が生成さ
れ、染料固着の機能が疎外される。したがって、剛直化
剤は非アニオン性物質でなければならない。この場合、
剛直化剤のイオン性が染料のイオン性と反対になる場合
があるが、この剛直化剤のイオン性がカチオン側に強く
なると非染着性の機能が疎外されてしまうので、この場
合には弱カチオン性かあるいはノニオン性である必要が
ある。つまり、イオン性をもつ染料を含有する染色液で
行う染色に使用するプリント媒体において、少なくとも
該染料と同一のイオン性でない剛直化剤および前記染料
と反対のイオン性を持つ染料固着剤を付与することが重
要な構成要件となる。
【0020】更に好ましくは、本発明者らの研究によれ
ば、pHが4.5から8の間であれば実用上さしつかえ
なかった。以降本発明の実施例で言う非アニオンとは、
pHが4.5から8の間であるものを指す。
【0021】続いて本発明の好ましい次の特徴として
は、これら剛直化剤と染料固着剤のプリント媒体への付
与の形態にあり、すなわちプリント媒体に対し、剛直化
剤および染料固着剤が混合状態で含浸されてなるもの、
染料固着剤および剛直化剤の順に付与されてなるもの、
または染料固着剤および前記剛直化剤が互いに異なる面
に付与されてなるものである。これらの剛直化剤および
染料固着剤の付与の際の状態については、取り扱いの容
易性から、ともに水溶性物質を用い、布帛に含浸させる
ことが好ましいが、水溶性以外のものであっても、布帛
を侵さない溶媒であれば処理は可能である。
【0022】また剛直化剤および染料固着剤による処理
の順番であるが、これに関しては上記イオン特性が満た
されていれば基本的にはどのような方法でもよいわけで
あるが、上述の各種付与形態にはそれぞれ以下のような
特徴がある。
【0023】まず、それぞれの溶液を混合して同時に処
理を行う場合であるが、剛直化剤がノニオン性である材
料を使用する際には、剛直化剤と染料固着剤との間でイ
オン反応は起こらないので工程が簡略であるという点で
有効である。
【0024】次に、染料固着剤および剛直化剤の順に付
与する場合について述べる。処理を施す布帛の厚さが薄
い際には剛直化剤を大量に使用しないと十分な剛度が得
られにくいが、このように剛直化剤を大量に使用すると
染色液のプリント媒体への浸透を損なう可能性がでてく
る。これを避けるため、染料固着剤による処理から剛直
化剤による処理の順に行うことが有効であることを本発
明者らは見いだした。つまりこの形態では、剛直化剤が
布帛の表面近くで密になりやすく、布帛の見みかけ上の
剛直性を大きくしやすく、比較的少量の剛直化剤でも十
分な剛度が出せるものである。これにより、インクジェ
ット記録によってプリント媒体上に記録液を噴射して
も、その記録液はプリント媒体内部に十分浸透させるこ
とができ、染料と染料固着剤との接触を剛直化剤が疎外
することはない。
【0025】続いて染料固着剤および前記剛直化剤を互
いに異なる面より付与する場合について述べる。これ
は、剛直化剤および染料固着剤のそれぞれの機能をより
効果的に発現させるようにするものであって、インクジ
ェット記録を行う面には染料固着剤の存在確率を高める
ために、記録面の反対側から剛直化剤の処理を行い、記
録面側からは染料固着剤の処理を行う。ただし、どちら
の面の処理を優先するかは特に限定するものではない
が、染料固着剤の効果をより有効にするため、記録面に
対する染料固着剤の処理を先に行うことが好ましい。
【0026】これらいずれの処理方法であっても、溶液
形態にして布帛に処理を施す関係上、含浸の後には乾燥
工程が必要であり、上にあげたそれぞれの処理方法によ
って工程数も変化するので、使用する布帛の種類や剛直
化剤および染料固着剤の材料や溶媒の種類等に応じて、
適切な形態を選択する。また乾燥と共に布帛自身を平坦
に処理することは、インクジェットプリンタで搬送させ
るという点で必要であることは言うまでもない。
【0027】本発明のプリント媒体単独としては、媒体
の剛直処理剤に対する技術的な想定を一新したものとな
り、これ自体従来から予想できるものではない。具体的
には非アニオン性剛直化剤およびカチオン性染料固着剤
を付与してなるもの、およびそれを用いた方法、装置、
プリント物等であり、好ましくは、その非アニオン性剛
直化剤のイオン性がノニオン性であることを特徴として
なるものである。
【0028】本発明のより具体的な発明は、非アニオン
性剛直化剤およびカチオン性染料固着剤を付与してなる
プリント媒体に、アニオン性染料を含有するインクでイ
ンクジェット方式により印捺し、該印捺後、前記剛直化
剤を洗浄除去することを特徴とするインクジェット染色
方法である。更に好ましくは、上記したプリント媒体が
布帛、特にカチオン化処理された布帛に施されたもの
で、これにインクジェット記録によって染色を行うこと
を特徴とし、さらには、前記非アニオン性剛直化剤およ
び前記カチオン性染料固着剤の少なくとも一方が水溶性
であり、かつ少なくともこの非アニオン性剛直化剤が非
染着性の化合物を主成分としてなることを特徴としたイ
ンクジェット捺染用布帛であって、より好ましくはこの
プリント媒体のとしてのインクジェット捺染用布帛は、
クラーク剛度10以上400以下に剛直化されているこ
とを特徴とする。
【0029】また本発明の総合的な発明は、上記したプ
リント媒体に、インクジェット方式により印捺し、その
印捺後、プリント媒体中の非アニオン性剛直化剤を洗浄
除去することを特徴とするインクジェット染色方法であ
り、さらにこの染色方法によって作製される染色物であ
る。
【0030】続いて本発明で用いられる布帛、剛直化剤
および染料固着剤の具体的な材料の例について説明す
る。まず、布帛についてであるが、これは本発明を実施
するに当たり特殊なものを用いる必要はなく、日常各種
用途で用いられている布帛を利用することができる。ま
た先にも述べたようにカチオン化された布帛の利用も好
ましい。使用できる布帛としては、綿、羊毛、絹などの
天然繊維、ナイロン、レーヨンなどの合成繊維が挙げら
れる。
【0031】次に剛直化剤に関してであるが、これは一
般に糊剤として利用されている高分子化合物を剛直化処
理の材料として応用できる。この糊剤として用いること
のできる材料としては、カルボキシメチルセルロース、
ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、ポリア
クリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸エステル、デンプ
ン、デキストリン、トラガカントゴム、ローカストビー
ンゴム、等が挙げられる。これらの中で前述のpHに従
った非アニオン性であるもの、あるいは前述のpHに従
うように分子中の末端基の一部を調整したものを選択し
て使用する。これらの材料を溶液状にし、従来から知ら
れている塗布方法、たとえばバーコーターやロールコー
ター、アプリケーター等、またはスクリーン印刷等で塗
布する方法によって布帛に処理し、その後乾燥したり、
また布帛全体をその溶液中に浸漬させた後にマングルで
しぼる等で達成できる。また糊剤で形成されたフィルム
を接着または圧着等で積層する方法を用いることも可能
である。また糊剤は吸湿性が高いため、記録面にこの糊
剤が存在していてもインクは浸透しやすく、布帛自身に
十分浸透させることは可能である。従って、糊剤は布帛
に対して積層、あるいは含浸のいずれの形態でもよい。
ほかに布帛の種類や剛直度合い、布帛の表面状態の調整
などのために、前述の剛直処理溶液の中にこれらの糊剤
の他、油類、ワックス、高分子化合物や無機化合物の塩
類、充填剤、防腐剤などを使用する布帛の種類、または
インクの種類等によって適宜混合してもよい。
【0032】また、繊維の吸湿性は、その周囲の湿度に
影響を受け、比例関係ではないが、相対湿度が低いほ
ど、その時の吸水率も低い。さらに天然繊維と合成繊維
との間でも吸水率に差はあり、合成繊維の方が吸水率は
低い傾向を持っている。この吸水率が低くなれば、布帛
どうしの接触による摩擦も多くなり帯電しやすくなる。
従って、低湿環境ほど帯電量も多くなってくることは容
易に考えられる。このような状態になった記録媒体をイ
ンクジェット記録装置内に搬送させるということは、記
録媒体の搬送不良、または重送、さらには記録媒体中に
たまっている電荷による画像劣化等を招く。
【0033】この記録媒体の帯電に対し、従来は除電ブ
ラシを設ける等の対策が講じられたが、そのような構成
では装置の構造が複雑になり、またコストアップにもつ
ながる。前出の糊剤は、それ単独で吸水性を示すため、
布帛に糊剤からなる剛直化処理を施すことにより、布帛
の吸湿性を補助してより搬送の信頼性を向上させること
もできる。
【0034】剛直化処理の際の布帛に対する糊剤の量
は、重量比で0.01重量%から20重量%の範囲であ
れば十分であり、また処理時におけるその溶液の粘度は
1cPから10万cPで可能である。
【0035】染料固着剤に関しては、先にも述べたとお
り、染料との間でイオン結合をし、それによって染料を
固着させることが必要である。このような性質を持つ材
料としては、例えばポリアリルアミン塩、ポリアリルス
ルホン、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド等の
水溶性カチオン性高分子等が使用可能であり、これらを
水溶液の状態にして前述の剛直化剤による処理と同じよ
うに行えばよい。すなわち布帛に含浸、塗布、噴霧によ
って浸透または積層させる。この染料固着剤の量に関し
ても、重量比で0.01重量%から20重量%の範囲で
あれば十分である。
【0036】以上のように構成されたプリント媒体に、
インクジェットプリンタで記録を行い、自然乾燥させた
後は、染料固着剤の効果によって染料は完全にプリント
媒体上で染着されているので、洗浄をすることで剛直化
剤のみを洗い流すことができる。これによって布帛の元
の風合いに戻り、鮮明に染色された捺染布ができ上が
る。
【0037】ここでインクジェットプリンタによる記録
後に、プリント媒体に対する記録液の定着をより促進さ
せるために、記録直後に温風をプリント媒体にかけた
り、加熱定着器の上を通過させたり、または家庭用アイ
ロン等によって加熱処理を行ったりすることも有効であ
る。また洗浄を行う際においてもその洗浄の仕方は特に
限定されるものではなく、家庭用の洗濯機、あるいは手
によるもみ洗い等、いずれでも構わないし、その際の水
の温度や洗剤の有無等、限定されるものはない。なお、
水の温度は高い方が、染め上がりを向上させる点でより
よい。
【0038】いずれにしても、本発明は、新規な観点に
技術課題を見出し、搬送用布帛媒体の安定した搬送、特
にカットシートでは安定した全体搬送を実現でき、さら
に完全な色止め効果を発現するため、インクジェット技
術を応用した簡易捺染方法及び装置及びそれに用いるカ
ットシート状布プリント媒体を提供でき、しかもそのプ
リント媒体に染色された染料は、その後の洗浄に対して
も全く色あせることが無く、必要最小限の染料で鮮明な
捺染物を提供できるものである。このことはインクジェ
ット技術を応用したインクジェット簡易捺染方法による
高精彩な色表現を工業用のみならず広く一般家庭の趣味
的な分野への応用を可能とした。本発明の更なる概要は
以下の参考例並びに実施例から理解できよう。
【0039】
【実施例】(参考例1) 図1に本参考例におけるインクジェット捺染方法のブロ
ック図、また図2に本参考例のインクジェット捺染(記
録)装置における、布帛からなるカットシート状プリン
ト媒体の搬送手段、インクジェット記録手段の主要構成
を示す。本参考例のカットシート状プリント媒体の詳細
について説明する前に、図1及び図2を用いてインクジ
ェット捺染方法を簡略に説明する。
【0040】図1に示すように、剛直化処理剤としての
カルボキシメチルセルロースの3%水溶液とポリアリル
アミン塩酸塩の5%水溶液の混合液を処理液として、基
布としてのカットシート状プリント媒体である基布を浸
漬し、マングルを用いた絞り工程を経て、乾燥し、カッ
トシートとしての平坦化処理を経てカットシート状プリ
ント媒体707を裁断によって得る。
【0041】その後、図2に示すように、図1の工程図
のように、カットシート状プリント媒体707を、イン
クジェット捺染装置における記録媒体の搬送手段である
搬送ローラ対(搬送駆動ローラ703及び搬送従動ロー
ラ704)の搬送方向上流側にセットする。インクジェ
ット記録(捺染)の準備(インクジェットヘッドの回復
処理及び画像データの設定など)が行われて、捺染工程
を開始すると、まず、搬送駆動ローラ703及びそれに
従動する搬送従動ローラ704が回転を始め、搬送駆動
ローラ703に先端部がつき当たっているカットシート
状プリント媒体707が回転している搬送ローラ対の圧
接部に引き込まれることによって、カットシート状プリ
ント媒体707が搬送手段に自動的に装着される。この
とき、カットシート状プリント媒体707は、剛直化の
処理によって布帛自身のこしを強くしているので、搬送
駆動ローラ703、および搬送従動ロ−ラ704に接す
るカットシート状プリント媒体707の面は、インクジ
ェット捺染(記録)装置に通常頻繁に用いられる普通紙
と同様に扱うことができ、安定した搬送を行うことがで
きる。次いでカットシート状プリント媒体の搬送に同期
をとって、搬送路上に設けられたインクジェット記録部
が動作して、カットシート状プリント媒体上に画像デー
タに応じた記録(捺染)が行われる。記録が終了して搬
送手段によってインクジェット記録(捺染)装置から排
出された捺染済みのカットシート状プリント媒体を自然
乾燥した後は、そのままで水の中に入れ、約2分間手で
十分にもみ洗いをし、剛直化剤をカットシート状プリン
ト媒体から流し出す。この後に再び自然乾燥して、家庭
用アイロンにてしわを伸ばし、カットシート状の捺染布
を得る。
【0042】以下本参考例の構成について詳細に述べ
る。
【0043】 (カットシート状布帛プリント媒体) 図3に本参考例におけるカットシート状プリント媒体の
処理工程を示す。本参考例における基布は綿100%の
生地である。本参考例では綿100%の生地をカットシ
ート状に裁断・加工する際に搬送従動ローラと接する際
の搬送性のより安定化、及び、捺染後の布目管理(横地
・縦地の判別)の容易化、さらには、原反からの取り枚
数の経済性の向上などを目的として、布目とカットシー
トの4辺とをほぼ合致させた長方形にしている。
【0044】基布処理に当たり、はじめに処理液を調整
する。ここでは、まず剛直化処理液としてカルボキシメ
チルセルロースの3%水溶液、染料固着処理液としてポ
リアリルアミン塩酸塩の5%水溶液をそれぞれ調製す
る。これらの処理液のpHは、それぞれ7.1と4.3
であった。次いでこの二種類の水溶液を等量ずつ混合
し、基布処理液とする。この基布処理液に室温下で1分
間基布を浸漬させた後にマングルにて基布を絞り、50
℃で5分間乾燥させる。乾燥後アイロンにて基布を平坦
にならし、スリットカッターを用いて、布目の方向に合
わせて裁断する。ただし、布目の方向とカットシート状
に裁断する際の角度が一定で判別できる様にすれば、基
布の材質・用途に依っては布目に対して所定の角度、た
とえば45度傾けても良い。
【0045】この処理を行ったカットシ−ト状の布帛記
録媒体を用いて搬送テストを行ったところ斜行や搬送シ
ワが発生することはなく、非常に良好な搬送性が得られ
た。さらに5℃、5%RH環境下においてこのカットシ−
ト状の布帛記録媒体を十分にその環境にさらし、その後
に50枚連続で搬送テストを行った。この場合にも記録
媒体の重送や、搬送駆動ロ−ラ・搬送従動ロ−ラ等への
記録媒体の張り付きなどもまったく発生しないものであ
った。
【0046】 (インクジェット捺染・記録装置) 図2は本参考例のインクジェット捺染(記録)装置の構
成例の主要部を示したものである。この図において、キ
ャリッジ706には、ブラック、シアン、マゼンタ、イ
エローの4色のインクがそれぞれ詰め込まれた4個のイ
ンクタンク701と、4色のインクを吐出するための4
個の記録ヘッド174を一体化した一体記録ヘッドカー
トリッジ702が搭載されている。
【0047】図1に本参考例における、カットシート状
布帛記録媒体の搬送ローラ対への自動装着の様子を示す
ものである。従来のインクジェット記録装置では円筒状
のプラテンローラに記録媒体を押しつける部材をいった
ん解除して記録媒体を手動で装着した後押しつけ部材を
再び押しつけ、プラテンローラと記録媒体とを密着させ
て装着する方式のものが多く、そうした記録装置では記
録媒体の剛直度などの制約は少なく、剛直度の低い布で
も搬送・記録することができたが、手動で布をセットす
るので斜行などにより布目と搬送方向を合わせたり、ま
た、しわなく巻きつけ・搬送することが難しく、高精細
なインクジェット捺染を行うことが難しかった。さらに
解除機構の繰り返し使用による押しつけ力の劣化などで
搬送性を安定させることが難しく、また、装着動作その
ものが操作性に劣ることなどから、本参考例のように自
動装着できるものが好ましい。
【0048】図2で、本参考例では自動装着を安定して
行うために傾斜した給送トレイ705を設け、給送トレ
イに沿ってカットシート状プリント媒体707を挿入し
ておくだけで、その先端部が搬送駆動ローラ703に正
しくつき当たる構成としている。この状態で搬送駆動ロ
ーラ703を回転駆動することにより、カットシート状
プリント媒体707の先端部は正しく搬送ローラ対の圧
接部に導かれ、斜行やしわを生じないで搬送手段である
搬送ローラ対に自動装着される。本参考例では、前述の
ごとくカットシート状プリント媒体の布目に合わせて裁
断してあるので所定の布目の方向に対して安定した画像
を捺染(記録)でき、捺染布を切り出してパッチワーク
などに用いる場合に捺染の柄と布目を揃えることが可能
となるので、歪みのない高品位な創作が行える。給送ト
レイがない場合には搬送駆動ローラと搬送従動ローラの
圧接部にカットシート状プリント媒体の先端部を合わせ
ておいて搬送駆動ローラを回転駆動させる様にすれば良
い。本発明におけるカットシート状プリント媒体は前述
のごとく普通紙と同等の搬送特性を有するものであり、
その他公知の紙送りレジスト調整機構などの適用も可能
である。
【0049】703は搬送駆動ローラで704の搬送従
動ローラとともに自動装着されたカットシート状プリン
ト媒体707をおさえながら図の矢印Aの方向に回転
し、記録媒体707を随時送っていく。キャリッジ70
6は印字を行っていないとき、あるいはマルチヘッドの
回復作業などを行うときにはホームポジション(不図
示)に待機するようになっている。
【0050】印字開始前、図の位置(ホームポジショ
ン)にあるキャリッジ706は、印字開始命令がくる
と、キャリッジガイド軸708に沿って移動しながら、
リニアエンコーダの読み取り信号に基づいてタイミング
を取って記録ヘッド174上のマルチノズルより記録信
号に応じて4色のインクを吐出することにより、媒体の
記録面上に記録幅dだけの記録を行う。この記録走査に
より媒体の記録面上には、ブラックインク、シアンイン
ク、マゼンタインク、イエローインクの順でインクが着
弾してドットが形成される。媒体の記録面端部までデー
タの記録が終了するとキャリッジは元のホームポジショ
ンに戻り、再び次の行の記録を行う。この最初の記録が
終了してから2回目の記録が始まる前までに、搬送駆動
ローラ703が回転することにより記録幅dだけの媒体
の送りを行う。この様にしてキャリッジ1スキャンごと
に記録ヘッドの記録幅dだけの記録と媒体の送りを行う
繰り返しにより、一つの媒体の記録面上のデータ記録が
完成する。記録が終了した時点で搬送手段による排出を
行うと同時に、記録時に平坦な記録面を形成していたプ
ラテン709が排出方向に傾斜して、後端部の排出を補
助する構成としている。排出の補助、及びカットシート
プリント媒体の記録部での安定した押さえを行うため
に、記録部の下流側に拍車ローラなどの手段を設けても
良い。
【0051】図3はインクを吐出する記録ヘッド174
の構成についての説明図である。配線基板80の一端
は、ヒーターボード81の配線部分と相互に接続され、
さらに配線基板80の他端部には、本体装置からの電気
信号を受け入れるための各電気・熱エネルギー変換体に
対応した複数個のパッドが設けられている。このことに
より本体装置からの電気信号は、それぞれの電気・熱エ
ネルギー変換体に供給されるようになる。配線基板80
の裏面を平面で支持する金属製の支持体82は、インク
ジェットユニットの底板となる。押さえバネ83は溝つ
き天板84のインク吐出口近傍の領域を線上に弾性的に
押し圧を作用するために断面略U字形状に折り曲げ形成
した部分と金属製の支持体に設けた逃げ穴を利用して引
っかける爪と、バネに作用する力を金属製の支持体で受
ける一対の後脚を有している。このバネ力により、配線
基板80の取り付けは、溝つき天板84とを圧接してい
る。支持体に対する配線基板80の取り付けは、接着剤
などによる貼り付けで行われる。
【0052】インク供給管85の端部にはフィルター8
6が設けられている。インク供給部材87は、モールド
成型で作られ、溝つき天板84もオリフィスプレート部
880と各インク供給口へと導く流路が一体的に形成さ
れている。インク供給部材87の支持体82に対する固
定は、インク供給部材87の裏面側の2本のピン(不図
示)を支持体82の2つの穴88および89にそれぞれ
貫通突出させ、これを熱融着することにより簡単に行わ
れる。この際、オリフィスプレート部880とインク供
給部材87との隙間を封止し、さらに支持基板82に設
けられた溝90を通り、オリフィスプレート部と支持基
板82前端部との隙間を完全に封止する。
【0053】図4はブラック、シアン、マゼンタ、イエ
ローの4色のインクをそれぞれ吐出可能な上記4つのヘ
ッド174をフレーム枠170で一体的に組み立てた4
ヘッド一体インクジェットカートリッジ702の構造を
示している。4つの記録ヘッドはフレーム170内に所
定の間隔で取りつけられ、しかもノズル列方向のレジス
トも調整された状態で固定される。本参考例ではヘッド
の機械的な基準面を用いて調整して色間の相互着弾位置
精度を向上させているが、フレーム枠に記録ヘッドを仮
止めした上で実際に吐出させて着弾位置を測定したデー
タを基にして直接的に色間の相互着弾位置を調整してさ
らに精度を高めても良い。171はフレームのカバーで
あり、173は4つの記録ヘッドの配線基板80に設け
られたパッドと記録装置本体からの電気信号をつなぐた
めのコネクタである。4ヘッドを一体的に組み立てるこ
とは取り扱い上の優位性に加えて、前述のごとくヘッド
間の相互着弾位置精度を向上させる点で有効であるが、
記録装置本体との信号線接続数を少なくできる点でも大
きな効果がある。たとえば、GNDラインなど4ヘッド
共通の信号線はコネクタ基板172上で共通化して線数
をそのまま減らすことができ、また、一体化回路基板を
設けてヘッドごとに時分割駆動を行うようにすれば記録
信号線の共通化も可能となる。こうした電気的接続数の
減少はカラー機や多ノズル高速機のように信号線数の多
い装置で有効である。
【0054】(実施例) 剛直化処理液としてポリビニルアルコ−ルの5%水溶
液、染料固着処理液としてポリアリルアミン塩酸塩の3
%水溶液をそれぞれ調製する。これらの処理液のpH
は、それぞれ6.9と4.8であった。そして幅210
mm、長さ20mに裁断した基布全体に、まず染料固着
処理液を含浸させ、順次巻き取りながら45℃の乾燥炉
で10分間乾燥させる。この後に同様の方法で剛直化処
理液を含浸させ、80℃で10分間順次巻き取りながら
乾燥させる。このようにして剛直化されたロール状の布
帛を得る。
【0055】次いでこのロール状布帛の一端を図1の搬
送駆動ロ−ラ−にセットし、最後まで記録を続けた。な
おこの際、記録時における布帛上の記録液の定着を促進
させるために排出部に35℃の温風を送りながらインク
ジェット記録を行った。
【0056】その後、この布帛を家庭用洗濯機にて40
℃の温水で10分間洗濯処理を行って剛直化剤を取り去
り、さらに脱水機に2分間かけた。洗濯終了時、洗濯水
のにごりは全くなく、布帛上には鮮明な染色画像が残っ
ていた。
【0057】次いで100℃に加熱されている熱プレス
板にてロール状の布帛の端部から順次熱乾燥させていっ
た。これにより長さ20mの捺染布の反物に仕上がっ
た。
【0058】(実施例) 剛直化処理液としてトラガカントゴムの2%水溶液、染
料固着処理液としてポリアリルスルホンの5%水溶液を
それぞれ調製する。これらの処理液のpHは、それぞれ
7.0と4.0であった。そして実施例1と同じ大きさ
に裁断された布帛の一方の面より上記染料固着処理液を
メヤバーにて塗布し、50℃の温風にて乾燥させる。こ
の後に、今の塗布面とは反対の面より上記剛直化処理液
をメヤバーにて塗布し、再び50℃の温風にて乾燥させ
る。これらの処理によって搬送用のカットシートプリン
ト媒体を得る。
【0059】これを参考例1で述べた方法と同一の装置
を用いてインクジェット記録を行った。
【0060】その後、この布帛を家庭用洗濯機にて通常
の水で7分間洗濯処理を行って剛直化剤を取り去り、さ
らに脱水機に1分間かけた。洗濯終了時、洗濯水のにご
りは全くなく、布帛上には鮮明な染色画像が残ってい
た。
【0061】次いで家庭用アイロンにて布帛の全面に十
分熱を当ててしわを伸ばし、染色物を得た。
【0062】以上述べた実施例において、基布の処理で
各種の形態をとっているが、いずれの形態であっても水
洗後は常に鮮明な画像で残り、まったく色落ちすること
は起こらない。
【0063】本実施例で示したカットシート状布帛記録
媒体が搬送可能なインクジェット記録装置では、布厚さ
・材質に応じてインク打ち込み量を調節・選択できる様
にしている。普通紙を用いて記録を行う場合には、解像
性の低下、色間の滲み出し、裏抜け及び定着時間増大な
どの点でインクの最大打込量は制限されるので、通常は
インクの最大打ち込み量は水系インクの場合には16〜
28nl/mm2 程度に収める様に設計するのが一般的
である。しかしながら、本発明の様に布記録媒体に記録
(捺染)する場合には、基布の材質・厚み、さらには前
処理条件にもよるが、さらに多くのインクを受容できる
場合がある。そこで本実施例では、記録周波数に対応す
る印字速度よりも小さい印字速度で高密度記録、たとえ
ば1/2の印字速度で倍密度記録したり、同一の記録領
域を複数回の記録走査で重ね印字したり、インクの吐出
量を増加させるためのインクジェットヘッド駆動制御、
たとえば、熱インクジェットヘッドでは保温温度を高め
たり、マルチパルス駆動を行うことによって、必要に応
じてインクの打込量を増加させることを可能としてい
る。
【0064】このように、給送機構・加熱機構・打込量
増加機構を備えたインクジェット記録装置を用いてカッ
トシート状布記録媒体に捺染する様にすることで、操作
性・染着性・色の深味が一段と優れた簡易インクジェッ
ト捺染が行える様になる。
【0065】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
プリント媒体、主に布帛に非アニオン性材料による剛直
化処理、およびカチオン性材料による染料固着処理を施
すように少なくともイオン性染料と同一のイオン性でな
い剛直化剤および前記染料と反対のイオン性を持つ染料
固着剤を付与することで、プリント媒体としての布帛の
こしを強くして搬送性を高めると共に、インクジェット
記録のような染色を行った後でそのままで洗浄してもま
ったく色落ちのない染色画像を得ることができた。これ
によりインクジェット技術を応用したインクジェット簡
易捺染方法による高精彩な色表現を簡単な操作で行える
ようにしたので、工業用のみならず広く一般家庭の趣味
的な分野への応用を可能とすることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明第1実施例におけるインク簡易捺染方法
のブロック図。
【図2】本発明の第1実施例におけるインクジェット記
録装置の主要構成図。
【図3】本発明に適用できるインクジェット記録ヘッド
の構成図。
【図4】本発明に適用できるカラーインクジェット記録
ヘッドの構成図。
【符号の説明】
703 搬送駆動ローラ 704 搬送従動ローラ 707 カットシート状布記録媒体
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−106989(JP,A) 特開 昭61−58788(JP,A) 特開 平6−207383(JP,A) 特開 平7−119047(JP,A) 特開 平6−316147(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D06P 5/00 111 D06P 5/00 112 B41M 5/00 D06P 5/22

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イオン性を有する染料を含有するインク
    を用いるインクジェット捺染に使用する布帛であって、
    該染料と同一のイオン性でない剛直化剤と、該染料と反
    対のイオン性を有する染料固着剤とが、該布帛の互いに
    異なる面から付与されてなり、且つクラーク剛度が10
    以上400以下であることを特徴とする布帛
  2. 【請求項2】 イオン性を有する染料を含有するインク
    を用いるインクジェット捺染に使用する布帛であって、
    該染料と反対のイオン性を有する染料固着剤と、該染料
    と同一のイオン性でない剛直化剤とが、この順番で付与
    されてなり、且つクラーク剛度が10以上400以下で
    あることを特徴とする布帛。
  3. 【請求項3】 該剛直化剤が非アニオン性であり、且つ
    染料固着剤がカチオン性である請求項1または2に記載
    布帛
  4. 【請求項4】 該剛直化剤がノニオン性である請求項
    に記載の布帛
  5. 【請求項5】 染料固着剤と剛直化剤の少なくとも一方
    が水溶性であり、剛直化剤が非染着性の化合物を主成分
    としてなる請求項1または2に記載の布帛。
  6. 【請求項6】 カチオン性を有する染料を含有するイン
    クを用いるインクジェット捺染に使用する布帛であっ
    て、ノニオン性の剛直化剤とアニオン性の染料固着剤と
    を含み、クラーク剛度が10以上400以下であること
    を特徴とする布帛。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至請求項6の何れかに記載の
    布帛対してインクをインクジェット法により付与し
    て染色する工程と、染色後に、該剛直化剤を洗浄除去す
    る工程と、を有し、該インクは、該布帛中の染料固着剤
    が有するイオン性とは反対のイオン性を有する染料を含
    んでいるものであることを特徴とするインクジェット
    方法。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至請求項6の何れかに記載の
    布帛対して該布帛中の染料固着剤が有するイオン性
    とは反対のイオン性を有する染料を含んでいるインクを
    インクジェット法で付与し、その後剛直化剤を洗浄除去
    し、乾燥してなることを特徴とする染色物。
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