JPH0790780A - プリント媒体、該プリント媒体の製造方法、ならびに前記プリント媒体を用いるインクジェットプリント装置および方法 - Google Patents

プリント媒体、該プリント媒体の製造方法、ならびに前記プリント媒体を用いるインクジェットプリント装置および方法

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JPH0790780A
JPH0790780A JP5230369A JP23036993A JPH0790780A JP H0790780 A JPH0790780 A JP H0790780A JP 5230369 A JP5230369 A JP 5230369A JP 23036993 A JP23036993 A JP 23036993A JP H0790780 A JPH0790780 A JP H0790780A
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Nobuyuki Kuwabara
伸行 桑原
Yuji Akiyama
勇治 秋山
Hiromitsu Hirabayashi
弘光 平林
Miyuki Matsubara
美由紀 松原
Masahiro Haruta
昌宏 春田
Shoji Koike
祥司 小池
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Original Assignee
Canon Inc
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    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J3/00Typewriters or selective printing or marking mechanisms characterised by the purpose for which they are constructed
    • B41J3/407Typewriters or selective printing or marking mechanisms characterised by the purpose for which they are constructed for marking on special material
    • B41J3/4078Printing on textile

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  • Textile Engineering (AREA)
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  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
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  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 布帛に対するインクジェットプリントを、工
業用のみならず家庭用ないし個人用の小型プリンタによ
っても簡便に行えるようにする。 【構成】 布帛に糊剤等(12)を用いて剛直化処理
(11)を施し、布帛のこしを強くして捺染時における
搬送性を高める。また、当該処理に起因して生じうる布
帛の波打ちないし凹凸を平坦化すべく、熱圧ローラ16
を用いて圧延および加熱を行い、捺染時にはインクジェ
ットヘッドに対して安定した平坦なプリント面が形成さ
れるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主として、インク,固
体インクを溶解状態としたインク、粉体を溶解したトナ
ー等の記録剤を担持できるプリント媒体(被搬送部材)
に関し、これを用いるインクジェットプリント方法、さ
らにはインクジェットプリント装置として複写機,ファ
クシミリ等の記録機器,通信機器,事務機器,複合機
器,プリンタ等に適用可能な装置に関する。特に本発明
は、インクジェットプリント手段を用いて布帛にインク
ジェットプリント(捺染)を行う際に用いるプリント媒
体および方法等に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】近年インクジェット技術を用いた捺染装
置が実用化され高精彩なプリント生地が簡略な工程で生
産されるようになってきたが、いずれも工業的な捺染装
置であり、ユーザが手軽に思いのままのプリントを高精
彩に行うことは実質上難しい状況である。
【0003】そうしたインクジェット捺染方法に関する
発明として、吉田等は特開昭61−55277号におい
て、布帛素材に染着させる染料に対して実質的に非染着
性である化合物を、該布帛素材に対して0.1〜50重
量%含有させたインクジェット染色用布帛及びそれを用
いたインクジェット染色法を開示し、インクジェット捺
染におけるにじみ防止を可能としているが、同号公報の
明細書に記載されたいずれの実施例においても汎用のイ
ンクジェットプリンタでの初期搬送性に対する考慮がな
されておらず、その応用はほぼ工業的な捺染分野に限定
されている。
【0004】また、本発明と同一出願人による発明とし
て、小池等は特開昭62−53492号にて、インクジ
ェット方式によって水溶性染料を含む記録液を布帛類に
付与し、次いで必要に応じ染着処理する捺染方法におい
て、上記布帛類に、25℃における粘度が1000cP
以上の記録液受容層を形成した捺染方法を開示すること
で流動性を有する記録液受容層にインクを受容させるこ
とでにじみを防止して高品位なインクジェット捺染布を
得ることを可能とした発明を開示している。同号公報の
明細書に記載された実施例中では、綿100%のブロー
ド生地を2200cPの記録液受容層液に浸漬した後、
軽く絞って過剰の受容層液を除き、これを市販のレポー
ト用紙と重ね合わせてプリンタに装着しやすい状態とし
た後、直ちにインクジェットプリンタに取り付け、布帛
綿上にプリントし、次に、プリンタから取りはずしてア
イロンをかけて定着を行い、その後中性洗剤にて受容層
液を除去してインクジェットプリンタによる布帛のプリ
ント物を得ている。また、別の実施例では15000c
Pの記録液受容層剤を50%水溶液にして綿65%麻3
5%のワイシャツ生地にバーコーターにて塗布し、80
℃で1時間の熱風乾燥をしてプリント用生地を得、これ
をインクジェットプリンタを用いてプリントを行い、ア
イロンによる染着処理と中性洗剤による洗浄を行いイン
クジェット捺染布を得ている。上記実施例により作成し
たインクジェット捺染布は1.5mm間隔の直線の解像
度を十分に満たした上、ボヤケや滲みもなくさらに十分
な濃度が得られ、また、上記発明のひとつの利点とし
て、工業的な捺染方法のみならず、一般家庭での趣味的
なプリント捺染にも応用可能としている。即ち、記録液
受容層液と布帛とインクジェットプリンタとドライヤー
ないしは市販の普通紙とアイロンと市販の洗剤さえあれ
ば、非工業的なインクジェット捺染が可能となる。その
うち、記録液および布帛に適した記録液受容液について
は広く市販されているものではないので、インクジェッ
トプリンタメーカーなどで適宜販売されるものを購入す
れば良い。
【0005】また、インクジェット記録以外の方法、た
とえば、簡易印刷機として広く普及しているプリントゴ
ッコ(理想科学工業社製)を用いてカラープリントを行
った後アイロンで加熱処理するなどの方法が開示されて
いる。そうした簡易印刷機を用いた布プリントでは、基
布のサイズや形状自体に関する制約は少ないが、印刷圧
の均一化の点から一度の印刷で行える領域が小さく、広
い領域でのプリントは複数回に分けて行っているのが実
情で印刷ごとのレジスト合わせが難しく、微妙な色調変
化や高精彩な表現は難しいという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の主たる目的
は、非工業的な分野においても応用可能な簡易捺染方法
を提供することであり、上述従来の簡易捺染方法では認
識されていなかった、ロール状布の自動搬送を確実なも
のにして捺染記録を可能にすることや、カットシート状
搬送用基布媒体自体の特性を改良して自動給送を可能に
し、記録条件を乱すことのない搬送用基布媒体を提供す
ることにある。
【0007】この背景としては、上述従来の簡易捺染方
法の中でもっとも有望なものとしてインクジェットプリ
ンタを用いたインクジェット捺染方法があり、近年のイ
ンクジェット技術の急速な進歩により、インクジェット
技術を用いて紙などのカットシート状の記録媒体にホス
ト装置などから転送されたカラー画像データを高精彩に
記録できる、いわゆる、インクジェット記録装置の分野
で、小型化・低価格のカラーインクジェット記録装置が
普及してきているからである。しかしながら上述の特開
昭61−55277号公報に開示された構成では近年の
進化したインクジェットプリンタにそのまま応用するこ
とは難しくなって来ている。即ち、前記公報における第
1の実施例では高粘度ではあるが流動性の記録液受容層
液によるインクジェットプリンタの搬送手段への汚染や
プリント生地の装着性および搬送性の改善を市販のレポ
ート用紙を重ねて装着することで改善しているが、ま
た、第2の実施例ではさらに高粘度の記録液受容層液を
記録面側から塗布・乾燥して下紙なしでインクジェット
プリンタに装着するようにしているが、近年のより高解
像度化・高精彩化したインクジェットプリンタを生かし
て高精細なプリントを自動搬送で行うには十分な搬送性
を得ることは難しい。また、上記実施例中で用いたイン
クジェットプリンタは、主搬送手段である円筒状のプラ
テンに手動で記録媒体を装着するものであり、前述のよ
うに下紙を重ねただけの生地や、生地そのものであって
も装着できたが、近年のインクジェットプリンタでは搬
送手段への装着は自動的に行える様に構成されているも
のが主流であり、そうしたインクジェットプリンタの搬
送手段への装着はそのままでは難しい。
【0008】一方、インクジェットプリンタの解像度は
より高密度なものに進歩しており、その密度は今や30
0dpi、360dpi、400dpiへと進みつつあ
る。解像度が向上するほど各吐出口から噴射されるイン
ク滴は小さくなっていくが、これにともない、インク滴
の飛翔距離の変動、すなわちインクジェット記録ヘッド
のインク吐出口と記録媒体との間隔の変動は記録画像の
品位に大きく影響を与える。つまりインクジェット記録
ヘッドのインク吐出口と記録媒体との間隔(ヘッドギャ
ップ)が所定の距離に対し広くなったり、また狭くなっ
たりすることによりばらつくと、飛翔したインク滴の飛
行方向が何らかの影響でわずかにそれた場合において、
記録媒体上に着弾した際、そのインク滴ごとの着弾位置
精度のばらつきが上記の間隔に応じてあらわれやすくな
り、記録画像の乱れが生じる。従って高密度なものとな
るほどインクジェット記録ヘッドのインク吐出口と記録
媒体との間隔を一定に保つことは重要となる。しかしな
がら、布帛の場合には剛直剤の塗布、または含浸によっ
てある程度インクジェットプリンタの搬送手段への装着
を可能にしても、その工程において溶媒除去のための乾
燥工程が必要であり、その際に布帛に凹凸ができたりし
やすい。さらに布帛自身の一般的なしわの性質からも、
インクジェットプリンタ上の搬送で記録画像の劣化を招
くおそれがある。とくに羊毛等、表面がけば立ちやすい
ものを用いた場合には布帛自体が平らであっても表面の
けばだちでインクジェット記録ヘッドのインク吐出口と
記録媒体との間隔にばらつきが出やすい。これらのばら
つきが甚だしい場合には布帛の表面とインクジェット記
録ヘッドの表面とが接触してしまうような事態なども発
生し、このような時には地汚れやインクジェット記録ヘ
ッドの吐出口内への異物混入による不吐出、さらにはイ
ンクジェット記録ヘッドの破壊などを招くこともある。
【0009】また、布帛を構成している繊維は、その種
類により差はあるが、周囲の湿度に応じて、ある程度の
吸湿性を持っている。この吸湿の度合いは一般に周囲の
湿度の増加と共に高くなる。布をインクジェット記録装
置で搬送していくつか印刷する場合、この布帛はロール
状布を用いるか、あるいはカットシートを複数枚重ねて
自動給紙装置にセットすることが一般的である。このよ
うな場合、布どうしが重なっているため、その重なり部
において静電気を発生しやすい。この静電気は布が乾燥
して吸湿量の少ないときほど多い。特に媒体が合成繊維
であって、しかも低湿環境であった場合には、布の吸湿
度合いが著しく低いため、この問題は大きくなる。
【0010】従って、本発明の目的は、詳しくは、イン
クジェット技術にも応用できるプリント媒体、その製造
方法、ならびにインクジェットプリント装置および方法
を提供することであり、より詳しくはプリント媒体であ
る布帛の搬送性を高めて、連続して複数枚のプリントを
行う場合でも安定し、かつ高精細の画像を得ることがで
きるようにすることにある。
【0011】本発明の他の目的は、インクジェット技術
を応用したインクジェット簡易捺染方法による高精彩な
色表現を、工業用のみならず広く一般家庭の趣味的な分
野でも可能とし、従来紙に記録していた場合と同様の感
覚で行うことを可能とすることである。
【0012】
【課題を解決するための手段】そのために、本発明プリ
ント媒体は、剛直化剤が付与されて10以上400以下
のクラーク剛度を有するプリント媒体素材に対し、平坦
化処理を施してなることを特徴とする。
【0013】ここで、前記プリント媒体素材が布帛であ
る。
【0014】また、インク吐出口を有したインクジェッ
トヘッドを用いてプリントを行うインクジェットプリン
ト装置に適用可能で、表面の凹凸の高さが、前記インク
吐出口から前記プリント時にプリント媒体が支持される
面までの距離の1/2以下となるような前記平坦化処理
を施してなるものとすることができ、前記平坦化処理
は、前記プリント媒体素材を展延もしくはこれと同時に
加熱を行う処理とすることができる。
【0015】さらに、プリント媒体はカチオン化処理が
施されてなるものとすることができ、また前記剛直化剤
は、水溶性かつ非染着性の化合物を主成分としてなるも
のとすることができる。
【0016】また、本発明はインク吐出口を有したイン
クジェットヘッドを用いてプリントを行うインクジェッ
トプリント装置に適用可能なプリント媒体であって、水
溶性かつ非染着性の化合物を含むとともに、表面の凹凸
の高さが、前記インク吐出口から前記プリント時にプリ
ント媒体が支持される面までの距離の1/2以下である
ことを特徴とする。
【0017】ここで、前記プリント媒体が布帛である。
【0018】また、カチオン物質がさらに含まれている
ものとすることができる。
【0019】さらに、本発明プリント媒体の製造方法
は、プリント媒体素材に対し剛直化剤を付与して10以
上400以下のクラーク剛度を有するように剛直化処理
工程と、該剛直化処理されたプリント媒体素材を平坦化
する平坦化処理工程とを具えたことを特徴とする。
【0020】ここで、前記プリント媒体素材が布帛であ
る。
【0021】また、インク吐出口を有したインクジェッ
トヘッドを用いてプリントを行うインクジェットプリン
ト装置に適用可能とするために、前記平坦化処理として
表面の凹凸の高さが、前記インク吐出口から前記プリン
ト時にプリント媒体が支持される面までの距離の1/2
以下となるようにする処理を採用でき、前記平坦化処理
は、前記プリント媒体素材を展延もしくはこれと同時に
加熱を行う処理とすることができる。
【0022】さらに、前記方法は前記プリント媒体素材
にカチオン化処理を行う工程をさらに具えたものとする
ことができる。
【0023】また、前記剛直化剤は、水溶性かつ非染着
性の化合物を主成分としてなるものとすることができ
る。
【0024】また、本発明インクジェットプリント装置
は、プリント用媒体に対しインクを吐出するための吐出
口を有したプリントヘッドを用いてプリントを行うイン
クジェットプリント装置であって、プリント媒体とし
て、請求項1ないし9のいずれかに記載のプリント媒体
を用いることを特徴とする。
【0025】ここで、該装置は、個人的使用に供される
ものである。
【0026】また、本発明インクジェットプリント方法
は、インクを吐出するための吐出口を有したプリントヘ
ッドを用い、上述のプリント媒体に対してインクを付与
してプリントを行うことを特徴とする。
【0027】これらにおいて、前記プリントヘッドは、
インクを吐出するために利用されるエネルギとして熱エ
ネルギを発生する素子を有するものとすることができ
る。
【0028】さらに、前記プリント媒体へインクを付与
してプリントを行った後に、インクを前記プリント媒体
に定着させる工程をさらに具え、また、前記インクを定
着させる工程の後に、プリントが行われたインクジェッ
トプリント用媒体を洗浄処理する工程をさらに具えるこ
とができる。
【0029】また、本発明は、上述のインクジェットプ
リント方法によりプリントされたプリント物である。そ
して、そのプリント物をさらに加工して得られた加工品
である。その加工品は、前記プリント物を所望の大きさ
に切り離し、切り離された片に対して最終的な加工品を
得るための工程を施して得られたものとすること、前記
最終的な加工品を得るための工程を縫製とすることがで
きる。
【0030】
【作用】本発明によれば、布帛等のプリント媒体に糊剤
等を用いて剛直化処理を施した後に、さらに平坦化の処
理を施すようにしたことで、その布帛のこしを強くして
搬送性を高めると共に、布帛とインクジェット記録ヘッ
ドのインク吐出口までの距離も常に一定であり、安定し
たが像品位を保つことができる。さらにこの剛直化処理
によって布帛の吸湿性を補助することも可能となって摩
擦帯電に対しても防止することが可能となる。そして、
これによりインクジェット技術を応用したインクジェッ
ト簡易捺染方法による高精彩な色表現を簡単な操作で行
えるようにしたので、工業用のみならず広く一般家庭の
趣味的な分野への応用を可能とすることが可能となる。
【0031】
【実施例】以下、図面を参照して本発明を詳細に説明す
る。
【0032】図1は本発明で採用される捺染処理手順の
一例を示すもので、概してプリント媒体の作製、インク
ジェット捺染および後処理の各手順等からなっている。
【0033】まず、本実施例のプリント媒体は次のよう
な手順にて作製される。
【0034】基本布接着制御処理 まず、本発明で用いられるプリント媒体素材としての布
帛についてであるが、これは本発明を実施するに当たり
特殊なものを用いる必要はなく、日常各種用途で用いら
れている布帛を利用することができる。しかし、インク
ジェットプリントに用いられるインクの成分の中で、色
材としての染料や顔料は一般的にアニオン性のものが多
い。したがって布帛としても、プリント画像の染着性を
より強固なものとするためにカチオン性であることはよ
り好ましい。このためカチオン化された布帛を使用する
ことは、本発明を適用する上で好ましい形態である。カ
チオン化処理が実施できる布帛としては、綿、羊毛、絹
などの天然繊維、ナイロン、レ−ヨンなどの合成繊維が
挙げられる。
【0035】カチオン化処理とは、プリント用媒体とし
て紙を用いる場合に採用されるインクを布に対して採用
しても、インク染料の発色効率を向上させて良好な染着
が行われるようにする処理であって、具体例としては特
公昭39−5985号、特公昭46−40510号、特
開昭60−134080号などの各公報に記載されてい
る。
【0036】カチオン性物質を含有させる方法は、以下
のような3つの方法がある。
【0037】1.反応性第四級アミン化合物を繊維に反
応付加させる 2.カチオン性無機微粒子とバインダーを塗布する(架
橋剤の併用) 3.アニオン可染高分子を塗布する(架橋剤の併用) 反応性第四級アミン化合物の具体例としては、以下の化
合物が挙げられる。
【0038】具体例
【0039】
【化1】
【0040】
【化2】
【0041】
【化3】
【0042】
【化4】
【0043】
【化5】
【0044】
【化6】
【0045】
【化7】
【0046】
【化8】
【0047】
【化9】
【0048】
【化10】
【0049】
【化11】
【0050】
【化12】
【0051】
【化13】
【0052】(Xは何れも、Cl、Br等のハロゲンを
示す。) カチオン性無機微粒子としては、アルミナゾール(粒
径:5mμ〜200mμ)などがあり具体例としては日
産化学社製のアルミナゾール100、アルミナゾール2
00、アルミナゾール520等が挙げられる。
【0053】またこれからカチオン性無機微粒子と併用
される樹脂バインダーの例としては、アラビアゴム、カ
ゼイン、ニカワ、ダイズ蛋白、尿素樹脂、メラミン樹
脂、ポリアリルアミド、ポリアミド、ポリエチレンイミ
ン、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコー
ル、ゼラチン、デンプン、アルギン酸ナトリウム、ポリ
ビニルピロリドン、ケラチン、カルボキシメチルセルロ
ース、メチルセルロース、スチレン・ブダジエンラテッ
クス、スチレン・無水マレイン酸共重合体等が挙げられ
る。
【0054】アニオン可染高分子物質としては、アラビ
アゴム、カゼイン、ニカワ、ダイズ蛋白、尿素樹脂、メ
ラミン樹脂、ポリアクリルアミド、ポリアミド、ポリウ
レタン、ポリエチレンイミン、四級アミノ基含有ポリマ
ー等が挙げられる。 架橋剤としては、二官能エポキシ
化合物、ビスアクリルアミド、ジメチロールエチレン尿
素、ジメチロールプロピレン尿素、ジメチロールジヒド
ロキシエチレン尿素、メチル化ジメチロールジメトキシ
エチレン尿素等が挙げられる。
【0055】これらの化合物が含まれている溶液を布帛
に塗布する、または、溶液に布帛を含浸し、次いで加熱
キュア後水洗・乾燥することにより、カチオン性物質が
布帛へ含有される。これらの物質の布帛への付与量は処
理方法、付与した化合物の種類によって異なるが一般的
には布帛重量に対して、0.01〜30重量%程度が好
ましい。
【0056】剛直化処理 次に、本発明で適用する剛直化処理に関してであるが、
これはインクジェットプリントの際に、インクジェット
プリンタの搬送手段の中では高い剛性を布帛にもたせ、
インクを噴射した後には、剛直化処理部分は非染着性
(実質的に染着しない性質)をもち、布帛自身の染着性
は高く維持することが好ましい。このため、一般に糊剤
として利用されている高分子化合物を剛直化処理の材料
として応用できる。この糊剤として用いることのできる
材料としては、カルボキシメチルセルロース、ポリビニ
ルアルコール、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸
ナトリウム、ポリアクリル酸エステル、デンプン、デキ
ストリン、トラガカントゴム、ローカストビーンゴム、
等が挙げられる。さらに剛直化処理の簡便性や安全性等
を考慮すると、これらの中で水溶性のものは好適であ
る。これらの材料を溶液状にし、従来から知られている
塗布方法、たとえばバーコーターやロールコーター、ア
プリケーター等、またはスクリーン印刷等で塗布する方
法によって布帛に処理し、その後乾燥することで達成で
きる。また糊剤で形成されたフィルムを接着または圧着
等で積層する方法を用いることも可能である。また糊剤
は吸湿性が高いため、プリント面にこの糊剤が存在して
いてもインクは浸透しやすく、布帛自身に十分浸透させ
ることは可能である。従って、糊剤は布帛に対して積
層、あるいは含浸のいずれの形態でもよい。ほかに布帛
の種類や剛直度合い、布帛の表面状態の調整などのため
に、前述の剛直処理溶液の中にこれらの糊剤の他、油
類、ワックス、高分子化合物や無機化合物の塩類、充填
剤、防腐剤などを使用する布帛の種類、またはインクの
種類等によって適宜混合してもよい。
【0057】また、繊維の吸湿性は、その周囲の湿度に
影響を受け、比例関係ではないが、相対湿度が低いほ
ど、その時の吸水率も低い。さらに天然繊維と合成繊維
との間でも吸水率に差はあり、合成繊維の方が吸水率は
低い傾向を持っている。この吸水率が低くなれば、布帛
どうしの接触による摩擦も多くなり帯電しやすくなる。
従って、低湿環境ほど帯電量も多くなってくることは容
易に考えられる。このような状態になったプリント媒体
をインクジェットプリント装置内に搬送させるというこ
とは、プリント媒体の搬送不良、または重送、さらには
プリント媒体中にたまっている電荷による画像劣化等を
招く。
【0058】このプリント媒体の帯電に対し、従来は除
電ブラシを設ける等の対策が講じられたが、そのような
構成では装置の構造が複雑になり、またコストアップに
もつながる。前出の糊剤は、それ単独で吸水性を示すた
め、布帛に糊剤からなる剛直化処理を施すことにより、
布帛の吸湿性を補助してより搬送の信頼性を向上させる
こともできる。
【0059】剛直化処理の際の布帛に対する糊剤の量
は、重量比で0.01wt%から20wt%の範囲であ
れば十分であり、また処理時においてその溶液の粘度は
1cPから10万cPで可能である。
【0060】平坦化処理、裁断処理 布帛単独では、剛直化処理によってインクジェットプリ
ンタの搬送手段に装着は可能となるが、この処理を行う
場合は、布帛に溶液状の剛直処理剤を目的とする布帛に
塗布または含浸させ、その後この布帛から剛直処理液中
の溶媒を除去するため乾燥工程を経る。この際に、単に
乾燥を終えたのみでは、布帛内での剛直処理液の存在確
率あるいは乾燥工程における温度分布状態、さらには布
帛の厚さのばらつきなどによって、溶媒の蒸発速度が布
帛内である程度の差が生じてしまい、この結果、剛直処
理後の布帛が厚さ方向に対して波打ってしまう。これに
よりインクジェットプリンタの搬送手段に剛直処理布帛
を装着した場合、布帛表面からインクジェットプリント
ヘッドのインク吐出口までの距離にばらつきが生じ、噴
射したインク滴の個々の着弾精度を劣化させることを本
発明者らは見出した。
【0061】これを解決するために、上記剛直処理を終
えた後に、布帛に対して平坦化処理を施す。ただし、こ
こでいう平坦化処理は複雑で実施に困難な作業を伴うも
のではなく、他の分野ではよく知られている手法を適用
できる。たとえば、布帛を2つのローラーが接触しなが
ら回転しているなかに差し込んで圧延する方法、2つの
平板の間に布帛をはさみ込んで圧接する方法、またはこ
れらの圧延や圧接による展延と同時に熱を加える等、各
種挙げられる。これらの方法に関し、図面を用いて更に
具体的に述べると次のとおりである。
【0062】まず図6に示すように、ロール上に巻いて
ある基布(プリント媒体素材)601を、ロールから引
き出し、容器11中に入っている剛直化処理液12中に
浸す。次いでロールコーター13にて、剛直化処理液1
2が含浸された布帛に対し、その含浸量を調節し、その
後ドクターブレード14にて布帛表面に余分に付着して
いる剛直処理液をかきとる。さらにその後乾燥炉15で
剛直処理液中の溶媒を蒸発させる。この状態では布帛に
しわやゆがみが残っているため、その後に熱源を持った
熱圧ローラ16で布帛の平坦化を行い、順次巻き取って
いく。この場合は連続した布帛では適切である。
【0063】一方、布帛がカットシート状であった場合
は図7に示すように行うことができる。すなわち、剛
直、乾燥の処理を終えたカットシート状の布帛707
を、順次圧接板21,22の間に設置し、F,F′の力
で一定時間両面からはさみ込むことで平坦化を図るもの
である。あるいは、平坦化処理をさらに簡略化するた
め、家庭用アイロンを利用することもできる。
【0064】これら平坦化において、使用する布帛の種
類や厚さ、剛直処理剤の種類、または乾燥後の波打ち具
合に応じて適切な方法および条件を定めれば良い。ただ
し完全な平坦化が困難な場合でも、その凹凸の程度が軽
ければ実用状はさしつかえない。本発明者らの研究の結
果、この凹凸の程度は、布帛をインクジェットプリンタ
に装着した際に、布帛の厚さ方向の凹凸の距離が、イン
クジェットプリントヘッドのインク吐出口から布帛支持
面までの距離の1/2以下であればプリント後の画像に
対して支障がないことが判明した。
【0065】なお、以上の平坦化処理を経た後には、提
供する形態に合わせて、適宜の裁断処理を行うことがで
きる。
【0066】そして、以上の如く得たプリント媒体は、
カットシート状のものであれ、ロール状等連続紙形態を
採るものであれ、運搬ないし流通、保管等に際しては適
宜の工夫を行うことができるのは勿論である。例えば、
カットシート状プリント用媒体では、流通、保管時のプ
リント特性(染着特性)の変化を抑制するために、チャ
ック付きアルミ蒸着袋に入れた上で紙製の箱に詰めて提
供することもできるし、目的・用途によっては防湿紙な
どによる簡易包装を施しても良い。
【0067】後処理 次に、図1においてインクジェット捺染後に行われる後
処理手順について述べるに、該手順はさらに次のごとき
手順を含む。すなわち、加熱上記処理手順と、洗浄その
他の所定の後処理とである。
【0068】例えば、家庭用アイロン等によって加熱処
理を行ってプリント画像の定着性をより高め、次いで洗
浄することによりプリントされた布帛から糊剤を除去
し、元の風合いを持つ布帛に戻す等の処理である。ここ
でアイロン等による加熱処理は必ずしも必要ではなく、
プリントされた布帛に十分な染着性が得られていれば省
略しても構わないが、そのような処理を行えばより一層
の高い画像信頼性が得られる。
【0069】次に、図1のインクジェット捺染処理を含
め、プリント媒体,プリント装置のより具体的な実施例
を説明する。
【0070】実施例1 図2は本実施例のインクジェット捺染(プリント)装置
における、カットシート状プリント媒体の搬送手段、イ
ンクジェットプリント手段およびカットシート状布帛プ
リント媒体の主要構成を示す。本実施例のインクジェッ
ト捺染方法を図1および図2を用いて簡略に説明する
と、予めインクジェット用インクおよび布帛に適した前
処理(インク染着制御処理)を施した基布に、本発明に
よってなる剛直化,平坦化,裁断の処理を施したカット
シート状布帛プリント媒体707を、インクジェット捺
染装置におけるプリント媒体の搬送手段である搬送ロー
ラ対(搬送駆動ローラ703及搬送従動ローラ704)
の搬送方向上流側にセットする。インクジェット捺染
(プリント)の準備(インクジェットヘッドの回復処理
および画像データの設定など)が行われて、捺染工程を
開始すると、まず、搬送駆動ローラ703およびそれに
従動する搬送従動ローラ704が回転を始め、搬送駆動
ローラ703に先端部がつき当たっているカットシート
状布帛プリント媒体707が回転している搬送ローラ対
の圧接部に引き込まれることによって、カットシート状
布帛プリント媒体707が搬送手段に自動的に装着され
る。このとき、カットシート状布帛プリント媒体707
は、剛直化および平坦化の処理によって布帛自身のこし
を強くしているので、搬送駆動ローラ703、および搬
送従動ロ−ラ704に接するカットシート状布帛プリン
ト媒体707の面は、インクジェットプリント(捺染)
装置に通常頻繁に用いられる普通紙と同様に扱うことが
でき、安定した搬送を行うことができる。次いでカット
シート状布帛プリント媒体の搬送に同期をとって、搬送
路上に設けられたインクジェットプリント部が動作し
て、カットシート状布帛プリント媒体上に画像データに
応じたプリント(捺染)が行われる。プリントが終了し
て搬送手段によってインクジェットプリント(捺染)装
置から排出された捺染済みのカットシート状布帛プリン
ト媒体を自然乾燥した後は、蒸気を伴った加熱による固
着処理を施した後に洗浄処理を行い、再び自然乾燥し
て、カットシート状の捺染布を得る。
【0071】以下本実施例の構成についてより具体的か
つ詳細に述べる。
【0072】(カットシート状布帛プリント媒体)本実
施例における基布601は綿100%の生地である。本
実施例では綿100%の生地をカットシート状に裁断・
加工する際に搬送従動ローラと接する際の搬送性のより
安定化、および、捺染後の布目管理(横地・縦地の判
別)の容易化、さらには、原反からの取り枚数の経済性
の向上などを目的として、布目とカットシートの4辺と
をほぼ合致させた長方形にしている。
【0073】まず基布の染着制御処理は、基布601お
よびインクジェットインク(インク処方B)に合わせて
調整した処理液A(尿素100重量部、炭酸水素ナトリ
ウム30重量部、メタニトロベンゼンスルフォン酸ナト
リウム10重量部、水860重量部)を用いて、チンマ
ータイプの捺染機にて100メッシュ、ベタ柄のスクリ
ーンを使用して、基布を処理し、100℃で2分間乾燥
させた。インク処方Bとしては、(C.I.リアクティ
ブ ブルー49 10重量部、ジエチレングリコール2
5重量部、水65重量部)の混合液を2時間撹拌後、濾
過したものを使用した。
【0074】次に処理液Cを用いてこの基布に剛直化処
理を行う。この剛直化処理は糊剤の水溶液を用いて行
う。処理液Cとしては、カルボキシメチルセルロ−ス
(日華化学製、ニッカガムM−47)の2%水溶液(2
5℃における粘度10000cP)に調製し、メヤバ−
を用いて上述した基布の一方の面に塗布する。この状態
では布帛は液体をかなり含んだ状態であるので、その後
50℃で1時間乾燥させて溶媒である水を蒸発させる。
【0075】こうしてでき上がった布帛は、その表面か
らの水の蒸発が完全に均一ではないため、表面にしわや
凹凸が生じている。このしわや凹凸を除去し、インクジ
ェットプリンタの搬送手段に通しやすく、しかもインク
ジェットプリントヘッドのインク吐出口先端部から布帛
までの距離を常に一定に保つため、この布帛の平坦化が
必要となる。この乾燥させた布帛に対して直接アイロン
がけを行い、平坦化された布帛を得る。でき上がった布
帛は、図3に示すように片面にカルボキシメチルセルロ
−スにより剛直化のための糊剤層602を有するものに
でき上がった。ついで、スリットカッターを用いて、布
目の方向に合わせて裁断する。ただし、布目の方向とカ
ットシート状に裁断する際の角度が一定で判別できるよ
うにすれば、基布の材質・用途に依っては布目に対して
所定の角度、たとえば45度傾けても良い。
【0076】この処理を行ったカットシ−ト状の布帛プ
リント媒体を用いて搬送テストを行ったところ斜行や搬
送シワが発生することはなく、非常に良好な搬送性が得
られた。さらに5℃、5%RH環境下においてこのカッ
トシート状の布帛プリント媒体を十分にその環境にさら
し、その後に50枚連続で搬送テストを行った。この場
合にもプリント媒体の重送や、搬送駆動ローラ・搬送従
動ローラ等へのプリント媒体の張り付きなどもまったく
発生しなかった。
【0077】インクジェットプリント後の洗浄は、前述
したように加熱固着処理を行って、洗浄に移る。洗浄は
市販の中性洗剤を用いた水洗いでも良いが、より染着性
を向上させるために処理剤Dを用いても良く、錠剤・シ
ート状等の形態で、カットシート状布プリント媒体に同
梱するなどして提供しても良い。処理剤Dとしては、フ
ィックス剤等であり、湿潤堅牢度の向上が主目的であ
る。
【0078】(インクジェット捺染・プリント装置)図
2において、キャリッジ706には、ブラック、シア
ン、マゼンタ、イエローの4色のインクがそれぞれ詰め
込まれた4個のインクタンク701と、4色のインクを
吐出するための4個のプリントヘッド174を一体化し
た一体プリントヘッドカートリッジ702が搭載されて
いる。
【0079】図2に本実施例における、カットシート状
布帛プリント媒体の搬送ローラ対への自動装着の様子を
示すものである。従来のインクジェットプリント装置で
は円筒状のプラテンローラにプリント媒体を押しつける
部材をいったん解除してプリント媒体を手動で装着した
後押しつけ部材を再び押しつけ、プラテンローラとプリ
ント媒体とを密着させて装着する方式のものが多く、そ
うしたプリント装置ではプリント媒体の剛直度などの制
約は少なく、剛直度の低い布でも搬送・プリントするこ
とができたが、手動で布をセットするので斜行などによ
り布目と搬送方向を合わせたり、また、しわなく巻きつ
け・搬送することが難しく、高精細なインクジェット捺
染を行うことが難しかった。さらに解除機構の繰り返し
使用による押しつけ力の劣化などで搬送性を安定させる
ことが難しく、また、装着動作そのものが操作性に劣る
ことなどから、本実施例の様に自動装着できるものが好
ましい。
【0080】図2で、本実施例では自動装着を安定して
行うために傾斜した給送トレイ705を設け、給送トレ
イに沿ってカットシート状布プリント媒体707を挿入
しておくだけで、その先端部が搬送駆動ローラ703に
正しくつき当たる構成としている。この状態で搬送駆動
ローラ703を回転駆動することにより、カットシート
状布プリント媒体707の先端部は正しく搬送ローラ対
の圧接部に導かれ、斜行やしわを生じないで搬送手段で
ある搬送ローラ対に自動装着される。本実施例では、前
述のごとくカットシート状布帛プリント媒体の布目に合
わせて裁断してあるので所定の布目の方向に対して安定
した画像を捺染(プリント)でき、捺染布を切り出して
パッチワークなどに用いる場合に捺染の柄と布目が揃え
ることが可能となるので、歪みのない高品位な創作が行
える。給送トレイがない場合には搬送駆動ローラと搬送
従動ローラの圧接部にカットシート状布帛プリント媒体
の先端部を合わせておいて搬送駆動ローラを回転駆動さ
せるようにすれば良い。本発明におけるカットシート状
布帛プリント媒体は前述のごとく普通紙と同等の搬送特
性を有するものであり、その他公知の紙送りレジスト調
整機構などの適用も可能である。
【0081】703は搬送駆動ローラで704の搬送従
動ローラとともに自動装着されたカットシート状プリン
ト媒体707を抑えながら回転し、プリント媒体707
を随時送っていく。キャリッジ706はプリントを行っ
ていないとき、あるいはマルチヘッドの回復作業などを
行うときにはホームポジション(不図示)に待機するよ
うになっている。
【0082】プリント開始前、図の位置(ホームポジシ
ョン)にあるキャリッジ706は、プリント開始命令が
くると、キャリッジガイド軸708に沿って移動しなが
ら、リニアエンコーダの読み取り信号に基づいてタイミ
ングを取ってプリントヘッド174上のマルチノズルよ
りプリント信号に応じて4色のインクを吐出することに
より、紙面上にプリント幅dだけのプリントを行う。こ
のプリント走査により紙面上には、ブラックインク、シ
アンインク、マゼンタインク、イエローインクの順でイ
ンクが着弾してドットが形成される。紙面端部までデー
タのプリントが終了するとキャリッジは元のホームポジ
ションに戻り、再び次の行のプリントを行う。この最初
のプリントが終了してから2回目のプリントが始まる前
までに、搬送駆動ローラ703が回転することによりプ
リント幅dだけの紙送りを行う。この様にしてキャリッ
ジ1スキャンごとにプリントヘッドのプリント幅dだけ
のプリントと紙送りを行う繰り返しにより、一紙面上の
データプリントが完成する。プリントが終了した時点で
搬送手段による排出を行うと同時に、プリント時に平坦
なプリント面を形成していたプラテン709が排出方向
に傾斜して、後端部の排出を補助する構成としている。
排出の補助、およびカットシートプリント媒体のプリン
ト部での安定した押さえを行うために、プリント部の下
流側に拍車ローラなどの手段を設けても良い。
【0083】図4はインクを吐出するプリントヘッド1
74の構成についての説明図である。配線基板80の一
端は、ヒーターボード81の配線部分と相互に接続さ
れ、さらに配線基板80の他端部には、本体装置からの
電気信号を受け入れるための各電気・熱エネルギー変換
体に対応した複数個のパッドが設けられている。このこ
とにより本体装置からの電気信号は、それぞれの電気・
熱エネルギー変換体に供給されるようになる。配線基板
80の裏面を平面で支持する金属製の支持体82は、イ
ンクジェットユニットの底板となる。押さえバネ83は
溝つき天板84のインク吐出口近傍の領域を線上に弾性
的に押し圧を作用するために断面略U字形状に折り曲げ
形成した部分とベースプレートに設けた逃げ穴を利用し
て引っかける爪と、バネに作用する力をベースプレート
で受ける一対の後脚を有している。このバネ力により、
配線基板80の取り付けは、溝つき天板84とを圧接し
ている。支持体に対する配線基板80の取り付けは、接
着剤などによる貼り付けで行われる。
【0084】インク供給管85の端部にはフィルター8
6が設けられている。インク供給部材87は、モールド
成型で作られ、溝つき天板84もオリフィスプレート部
880と各インク供給口へと導く流路が一体的に形成さ
れている。インク供給部材87の支持体82に対する固
定は、インク供給部材87の裏面側の2本のピン(不図
示)を支持体82の2つの穴88にそれぞれ貫通突出さ
せ、これを熱融着することにより簡単に行われる。この
際、オリフィスプレート部880とインク供給部材87
との隙間を封止し、さらに支持基板82に設けられた溝
89を通り、オリフィスプレート部と支持基板82前端
部との隙間を完全に封止する。
【0085】図5はK,C,M,Yの4色のインクをそ
れぞれ吐出可能な上記4つのヘッド174をフレーム枠
170で一体的に組み立てた4ヘッド一体インクジェッ
トカートリッジ702の構造を示している。4つのプリ
ントヘッドはフレーム170内に所定の間隔で取りつけ
られ、しかもノズル列方向のレジストも調整された状態
で固定される。本実施例ではヘッドの機械的な基準面を
用いて調整して色間の相互着弾位置精度を向上させてい
るが、フレーム枠にプリントヘッドを仮止めした上で実
際に吐出させて着弾位置を測定したデータを基にして直
接的に色間の相互着弾位置を調整してさらに精度を高め
ても良い。171はフレームのカバーであり、173は
4つのプリントヘッドの配線基板80に設けられたパッ
ドとプリント装置本体からの電気信号をつなぐためのコ
ネクタである。4ヘッドを一体的に組み立てることは取
り扱い上の優位性に加えて、前述のごとくヘッド間の相
互着弾位置精度を向上させる点で有効であるが、プリン
ト装置本体との信号線接続数を少なくできる点でも大き
な効果がある。たとえば、GNDラインなど4ヘッド共
通の信号線はコネクタ基板172上で共通化して線数を
そのまま減らすことができ、また、一体化回路基板を設
けてヘッドごとに時分割駆動を行うようにすればプリン
ト信号線の共通化も可能となる。こうした電気的接続数
の減少はカラー機や多ノズル高速機のように信号線数の
多い装置で有効である。
【0086】実施例2 幅210mm、長さ20mに裁断した基布に、アルギン
酸ナトリウム(君津化学製、アルギテックスF5LL)
を2.5重量部、水97.5重量部でつくった水溶液
(25℃における粘度2000cP)を処理液Eとして
調製し、この処理液Eを満たした容器中に上記基布を2
0分間浸漬し、基布全体に処理液Eをしみ込ませ、その
後にロールコーターにて圧延、均一化し、さらに120
℃で10分間の乾燥を施し、剛直化された布帛を得る。
この乾燥終了後は、乾燥時に生じた布帛自体の凹凸があ
るため、さらに80℃に加温された2つの接触している
熱圧ローラー間にこの布帛を通して平坦化を行う。この
ようにしてできあがった布帛を順次巻き取っていき、平
坦化された剛直布となる。
【0087】次いでこの一端を図1の搬送駆動ローラー
にセットし、布を使い切るまで連続でインクジェットプ
リントを行った。この間、搬送しわや斜行などはまった
く発生せず、すべて正常な搬送を行うことができ、また
プリント画像も濃度むら等起こらずに常に鮮明なものが
得られた。このプリントが終了した後、さらに画像の染
着性を上げるために100℃の蒸気中に5分間さらし、
その後水洗い、乾燥、アイロンがけを行った。プリント
布はもともとの布帛自身の質感に戻り、プリント画像も
色あせることなく鮮明であった。
【0088】実施例3 実施例1と同じ大きさに裁断された布帛に染着制御処理
を施した後、カルボキシメチルセルロース(第一工業製
薬製、ファインガムHE−L)を3重量部、水97重量
部でつくった水溶液(25℃における粘度5000c
P)を処理液Fとし、実施例1と同様にバーコーターに
て塗布を行った。その後に120℃にて10分間乾燥し
て剛直処理布を得る。次いでこの布帛と同じ面積をもつ
2枚の銅板の間にこの剛直処理布をはさみ、その外側か
ら100kgの荷重をかけ5分間静置することで平坦化
が得られた。
【0089】この処理布を図2の搬送駆動ローラにセッ
トし、連続でインクジェットプリントを行った。この
間、搬送しわや斜行などまったく発生せず、すべて正常
な搬送を行うことができ、プリント画像も濃度むら等起
こらずに常に鮮明なものが得られた。この処理の場合、
実施例1で使用した処理液Cに比べて粘度が低いため、
基布の塗布された面において完全に糊剤の層は形成され
ておらず、両者の界面において布の中に一部処理液Fが
浸透しているが、これにより搬送に支障を与えることは
ない。
【0090】以上述べた実施例において、糊剤による処
理を一方の面のみから行った場合、あるいは両面から行
った場合で、それぞれ搬送、およびインクジェットプリ
ント、いずれにおいても特に面の方向性はない。
【0091】また、これまで述べた実施例では、プリン
ト後にさらに染着処理をする場合、プリント装置とは異
なる部分で行うように述べているが、インクジェットプ
リント部の下流側に加熱手段を設け、必要に応じてカッ
トシート状布プリント媒体を加熱処理を行える構成とし
てもよい。この加熱手段は基本的にはプリンタ・複写機
などの分野で従来公知の加熱機構のいずれもが適用可能
であるが、本実施例の目的とする染着率の向上に十分な
効果が得られるように構成されていれば良い。また、カ
ットシート状布帛プリント媒体の構成・基布の材質およ
び厚み等に応じて加熱条件を適宜調整・選択できるよう
な構成をすることもより好ましい。
【0092】加熱についてはとくに方向性は限定され
ず、プリントの裏面側からの加熱を行うように構成して
も良いし、加熱手段の構成・加熱条件によってはプリン
ト面側からの直接加熱や、両面からの加熱を行うように
しても良く、また、加熱板などを用いた接触加熱方式で
も良い。
【0093】本実施例で示したカットシート状布帛プリ
ント媒体が搬送可能なインクジェットプリント装置で
は、布厚さ・材質に応じてインク打ち込み量を調節・選
択できるようにしている。普通紙を用いてプリントを行
う場合には、解像性の低下、色間の滲み出し、裏抜けお
よび定着時間増大などの点でインクの最大打込量は制限
されるので、通常はインクの最大打ち込み量は水系イン
クの場合には16〜28nl/mm2 程度に収めるよう
に設計するのが一般的である。しかしながら、本発明の
様に布プリント媒体にプリント(捺染)する場合には、
基布の材質・厚み、さらには前処理条件にもよるが、さ
らに多くのインクを受容できる場合がある。そこで本実
施例では、プリント周波数に対応するプリント速度より
も小さいプリント速度で高密度プリント、たとえば1/
2のプリント速度で倍密度プリントしたり、同一のプリ
ント領域を複数回のプリント走査で重ねプリントした
り、インクの吐出量を増加させるためのインクジェット
ヘッド駆動制御、たとえば、熱インクジェットヘッドで
は保温温度を高めたり、マルチパルス駆動を行うことに
よって、必要に応じてインクの打込量を増加させること
を可能としている。
【0094】このように、給送機構・加熱機構・打込量
増加機構を備えたインクジェットプリント装置を用いて
カットシート状布プリント媒体に捺染するようにするこ
とで、操作性・染着性・色の深味が一段と優れた簡易イ
ンクジェット捺染が行えるようになる。
【0095】(その他)なお、本発明は、プリント媒体
は種々方式のプリント装置にも適用できるが、インクジ
ェットプリント方式に適用する場合には、その中でも、
インク吐出を行わせるために利用されるエネルギとして
熱エネルギを発生する手段を備え、前記熱エネルギによ
りインクの状態変化を生起させる方式、すなわちキヤノ
ン株式会社が提唱するバブルジェット方式のプリントヘ
ッド、プリント装置を用いることで優れた効果をもたら
すものである。かかる方式によればプリントの高密度
化,高精細化が達成できるからである。
【0096】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書,同第4740
796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型,
コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特
に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持
されているシートや液路に対応して配置されている電気
熱変換体に、プリント情報に対応していて核沸騰を越え
る急速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を
印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギを発
生せしめ、プリントヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさ
せて、結果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体
(インク)内の気泡を形成できるので有効である。この
気泡の成長,収縮により吐出用開口を介して液体(イン
ク)を吐出させて、少なくとも1つの滴を形成する。こ
の駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成
長収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体(イン
ク)の吐出が達成でき、より好ましい。このパルス形状
の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細
書,同第4345262号明細書に記載されているよう
なものが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率
に関する発明の米国特許第4313124号明細書に記
載されている条件を採用すると、さらに優れたプリント
を行うことができる。
【0097】プリントヘッドの構成としては、上述の各
明細書に開示されているような吐出口,液路,電気熱変
換体の組合せ構成(直線状液流路または直角液流路)の
他に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開
示する米国特許第4558333号明細書,米国特許第
4459600号明細書を用いた構成も本発明に含まれ
るものである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、
共通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を
開示する特開昭59−123670号公報や熱エネルギ
の圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開
示する特開昭59−138461号公報に基いた構成と
しても本発明の効果は有効である。すなわち、プリント
ヘッドの形態がどのようなものであっても、本発明によ
ればプリントを確実に効率よく行うことができるように
なるからである。
【0098】加えて、プリントヘッドは、プリント装置
の形態に対応して構成できるのは勿論であり、所謂ライ
ンプリンタ形態のものに対してはプリント媒体の幅に対
応した範囲にわたって吐出口を配列したものとすればよ
い。また、上例のようなシリアルタイプのプリントヘッ
ドとしては、装置本体に固定されたプリントヘッド、あ
るいは装置本体に装着されることで装置本体との電気的
な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換
自在のチップタイプのプリントヘッド、あるいはプリン
トヘッド自体に一体的にインクタンクが設けられたカー
トリッジタイプのプリントヘッドを用いた場合にも本発
明は有効である。
【0099】また、本発明のプリント装置の構成とし
て、プリントヘッドの吐出回復手段、予備的な補助手段
等を付加することは本発明の効果を一層安定できるの
で、好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、
プリントヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニ
ング手段、加圧或は吸引手段、電気熱変換体或はこれと
は別の加熱素子或はこれらの組み合わせを用いて加熱を
行う予備加熱手段、プリントとは別の吐出を行なう予備
吐出手段を挙げることができる。
【0100】さらに加えて、以上説明した本発明実施例
においては、インクを液体として説明しているが、室温
やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化もし
くは液化するものを用いてもよく、あるいはインクジェ
ット方式ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲
内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあ
るように温度制御するものが一般的であるから、使用プ
リント信号付与時にインクが液状をなすものを用いても
よい。加えて、熱エネルギによる昇温を、インクの固形
状態から液体状態への状態変化のエネルギとして使用せ
しめることで積極的に防止するため、またはインクの蒸
発を防止するため、放置状態で固化し加熱によって液化
するインクを用いてもよい。いずれにしても熱エネルギ
のプリント信号に応じた付与によってインクが液化し、
液状インクが吐出されるものや、プリント用媒体に到達
する時点ではすでに固化し始めるもの等のような、熱エ
ネルギの付与によって初めて液化する性質のインクを使
用する場合も本発明は適用可能である。このような場合
のインクは、特開昭54−56847号公報あるいは特
開昭60−71260号公報に記載されるような、多孔
質シート凹部または貫通孔に液状又は固形物として保持
された状態で、電気熱変換体に対して対向するような形
態としてもよい。本発明においては、上述した各インク
に対して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行
するものである。
【0101】さらに加えて、本発明の形態としては、コ
ンピュータ等の情報処理機器の画像出力端末として用い
られるものの他、リーダ等と組合せた複写装置の形態を
採るもの等であってもよい。
【0102】次に、インクジェット捺染用布帛として
は、(1)インクを十分な濃度に発色させ得ること、
(2)インクの染着率が高いこと、(3)インクが布帛
上で速やかに乾燥すること、(4)布帛上での不規則な
インクの滲みの発生が少ないこと、(5)装置内での搬
送性に優れていること、等の性能が要求される。これら
の要求性能を満足させるために、本発明において、必要
に応じて布帛に対し、あらかじめ前処理を施しておくこ
とができる。例えば、特開昭62−53492号公報に
おいてはインク受容層を有する布帛類が開示され、ま
た、特公平3−46589号公報においては還元防止剤
やアルカリ性物質を含有させた布帛の提案がなされてい
る。このような前処理の例としては、布帛に、アルカリ
性物質、水溶性高分子、合成高分子、水溶性金属塩、尿
素およびチオ尿素から選ばれる物質を含有させる処理を
挙げることができる。
【0103】アルカリ性物質としては、例えば、水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属、
モノ,ジ,トリエタノールアミン等のアミン類、炭酸ナ
トリウム,炭酸カリウム,重炭酸ナトリウム等の炭酸も
しくは重炭酸アルカリ金属塩等が挙げられる。さらに酢
酸カルシウム、酢酸バリウム等の有機酸金属塩やアンモ
ニアおよびアンモニア化合物等がある。また、スチーミ
ングおよび乾熱下でアルカリ物質となるトリクロロ酢酸
ナトリウム等も用い得る。特に好ましいアルカリ性物質
としては、反応性染料の染色に用いられる炭酸ナトリウ
ムおよび重炭酸ナトリウムがある。
【0104】水溶性高分子としては、トウモロコシ,小
麦等のデンプン物質、カルボキシメチルセルロース,メ
チルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース等のセル
ロース系物質、アルギン酸ナトリウム,アラビアゴム,
ローカスイトビーンガム,トラガントガム,グアガム,
タマリンド種子等の多糖類、ゼラチン,カゼイン等の蛋
白質物質、タンニン系物質,リグニン系物質等の天然水
溶性高分子が挙げられる。
【0105】また、合成高分子としては、例えば、ポリ
ビニルアルコール系化合物,ポリエチレンオキサイド系
化合物,アクリル酸系水溶性高分子,無水マレイン酸系
水溶性高分子等が挙げられる。これらの中でも多糖類系
高分子やセルロース系高分子が好ましい。
【0106】水溶性金属塩としては、例えば、アルカリ
金属、アルカリ土類金属のハロゲン化物のように、典型
的なイオン結晶を作るものであって、pH4〜10であ
る化合物が挙げられる。かかる化合物の代表的な例とし
ては、例えば、アルカリ金属では、NaCl,Na2
4 ,KClおよびCH3 COONa等が挙げられ、ま
た、アルカリ土類金属としては、CaCl2 およびMg
Cl2 等が挙げられる。中でもNa,KおよびCaの塩
類が好ましい。
【0107】前処理において上記物質等を布帛に含有さ
せる方法は、特に制限されないが、通常行われる浸漬
法、パッド法、コーティング法、スプレー法などを挙げ
ることができる。
【0108】さらに、インクジェット捺染用布帛に付与
される捺染インクは、布帛上に付与した状態では単に付
着しているに過ぎないので、引き続き繊維への染料等イ
ンク中の色素の定着工程を施すのが好ましい。このよう
な定着工程は、従来公知の方法でよく、例えば、スチー
ミング法、HTスチーミング法、サーモフィックス法、
あらかじめアルカリ処理した布帛を用いない場合は、ア
ルカリパッドスチーム法、アルカリブロッチスチーム
法、アルカリショック法、アルカリコールドフィックス
法等が挙げられる。また、定着工程は、染料によって反
応過程を含むものと含まないものとがあり、後者の例と
しては繊維に含浸させて物理的に離脱しないようなもの
がある。また、インクとしては所要の色素を有するもの
であれば適宜のものを用いることができ、染料に限られ
ず顔料を含むものでもよい。
【0109】さらに未反応の染料の除去および前処理に
用いた物質の除去は、上記反応定着工程の後に従来公知
の方法に準じ、洗浄により行うことができる。なお、こ
の洗浄の際に従来のフィックス処理を併用することが好
ましい。
【0110】以上述べた後処理工程が施されたプリント
物は、その後所望の大きさに切り離され、切り離された
片は、縫着,接着,溶着等、最終的な加工品を得るため
の工程が施され、ワンピース,ドレス,ネクタイ,水着
等の衣類や布団カバー,ソファカバー,ハンカチ,カー
テン等が得られる。布帛を縫製等により加工して衣類や
その他の日用品とする方法は、例えば「最新ニット縫製
マニュアル」(センイジャーナル社発行)や月刊誌「装
苑」(文化出版局発行)等、公知の書籍に多数記載され
ている。
【0111】なお、プリント用媒体としては、布帛,壁
布,刺しゅうに用いられる糸、壁紙、紙、OHP用フィ
ルム等が挙げられ、布帛とは、素材,織り方,編み方を
問わず、あらゆる織物,不織布およびその他の布地を含
む。
【0112】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
布帛等のプリント媒体に糊剤等を用いて剛直化処理を施
した後に、さらに平坦化の処理を施すようにしたこと
で、その布帛のこしを強くして搬送性を高めると共に、
布帛とインクジェットプリントヘッドのインク吐出口ま
での距離も常に一定であり、安定したが像品位を保つこ
とができる。さらにこの剛直化処理によって布帛の吸湿
性を補助することも可能となって摩擦帯電に対しても防
止することが可能となる。そして、これによりインクジ
ェット技術を応用したインクジェット簡易捺染方法によ
る高精彩な色表現を簡単な操作で行えるようにしたの
で、工業用のみならず広く一般家庭の趣味的な分野への
応用を可能とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるインク簡易捺染方法の一例を示
すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施例におけるインクジェットプ
リント装置の主要構成例を示す模式的側面図である。
【図3】本発明の第1実施例におけるカットシート状布
プリント媒体の構成例を示す斜視図である。
【図4】図2の装置に適用できるインクジェットプリン
トヘッドの構成例を示す分解斜視図である。
【図5】図2の装置に適用できるカラーインクジェット
プリントヘッドの構成例を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る平坦化処理の一例を示す模式図で
ある。
【図7】本発明に係る平坦化処理の他の例を示す模式図
である。
【符号の説明】
11 容器 12 剛直化処理液 16 熱圧ローラ 21,22 圧接板 601 基布 602 糊剤層 701 インクタンク 702 プリントヘッド 703 搬送駆動ローラ 704 搬送従動ローラ 707 カットシート状布プリント媒体
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D06P 7/00 (72)発明者 松原 美由紀 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 春田 昌宏 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 小池 祥司 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 剛直化剤が付与されて10以上400以
    下のクラーク剛度を有するプリント媒体素材に対し、平
    坦化処理を施してなることを特徴とするプリント媒体。
  2. 【請求項2】 前記プリント媒体素材が布帛であること
    を特徴とする請求項1に記載のプリント媒体。
  3. 【請求項3】 インク吐出口を有したインクジェットヘ
    ッドを用いてプリントを行うインクジェットプリント装
    置に適用可能で、表面の凹凸の高さが、前記インク吐出
    口から前記プリント時にプリント媒体が支持される面ま
    での距離の1/2以下となるような前記平坦化処理を施
    してなることを特徴とする請求項1または2に記載のプ
    リント媒体。
  4. 【請求項4】 前記平坦化処理は、前記プリント媒体素
    材を展延もしくはこれと同時に加熱を行う処理であるこ
    とを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のプ
    リント媒体。
  5. 【請求項5】 カチオン化処理が施されてなることを特
    徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のプリント
    媒体。
  6. 【請求項6】 前記剛直化剤は、水溶性かつ非染着性の
    化合物を主成分としてなるものであることを特徴とする
    請求項1ないし5のいずれかに記載のプリント媒体。
  7. 【請求項7】 インク吐出口を有したインクジェットヘ
    ッドを用いてプリントを行うインクジェットプリント装
    置に適用可能なプリント媒体であって、水溶性かつ非染
    着性の化合物を含むとともに、表面の凹凸の高さが、前
    記インク吐出口から前記プリント時にプリント媒体が支
    持される面までの距離の1/2以下であることを特徴と
    するプリント媒体。
  8. 【請求項8】 前記プリント媒体が布帛であることを特
    徴とする請求項6に記載のプリント媒体。
  9. 【請求項9】 カチオン物質がさらに含まれていること
    を特徴とする請求項7または8に記載のプリント媒体。
  10. 【請求項10】 プリント媒体素材に対し剛直化剤を付
    与して10以上400以下のクラーク剛度を有するよう
    に剛直化処理工程と、 該剛直化処理されたプリント媒体素材を平坦化する平坦
    化処理工程とを具えたことを特徴とするプリント媒体の
    製造方法。
  11. 【請求項11】 前記プリント媒体素材が布帛であるこ
    とを特徴とする請求項10に記載のプリント媒体の製造
    方法。
  12. 【請求項12】 インク吐出口を有したインクジェット
    ヘッドを用いてプリントを行うインクジェットプリント
    装置に適用可能とするために、前記平坦化処理として表
    面の凹凸の高さが、前記インク吐出口から前記プリント
    時にプリント媒体が支持される面までの距離の1/2以
    下となるようにすることを特徴とする請求項10または
    11に記載のプリント媒体の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記平坦化処理は、前記プリント媒体
    素材を展延もしくはこれと同時に加熱を行う処理である
    ことを特徴とする請求項10ないし12のいずれかに記
    載のプリント媒体の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記プリント媒体素材にカチオン化処
    理を行う工程をさらに具えたことを特徴とする請求項1
    0ないし13のいずれかに記載のプリント媒体の製造方
    法。
  15. 【請求項15】 前記剛直化剤は、水溶性かつ非染着性
    の化合物を主成分としてなるものであることを特徴とす
    る請求項10ないし14のいずれかに記載のプリント媒
    体の製造方法。
  16. 【請求項16】 プリント用媒体に対しインクを吐出す
    るための吐出口を有したプリントヘッドを用いてプリン
    トを行うインクジェットプリント装置であって、プリン
    ト媒体として、請求項1ないし9のいずれかに記載のプ
    リント媒体を用いることを特徴とするインクジェットプ
    リント装置。
  17. 【請求項17】 個人的使用に供されるものであること
    を特徴とする請求項16に記載のインクジェットプリン
    ト装置。
  18. 【請求項18】 前記プリントヘッドは、インクを吐出
    するために利用されるエネルギとして熱エネルギを発生
    する素子を有することを特徴とする請求項16または1
    7に記載のインクジェットプリント装置。
  19. 【請求項19】 インクを吐出するための吐出口を有し
    たプリントヘッドを用い、請求項1ないし9のいずれか
    に記載のプリント媒体に対してインクを付与してプリン
    トを行うことを特徴とするインクジェットプリント方
    法。
  20. 【請求項20】 前記プリントヘッドは、インクを吐出
    するために利用されるエネルギとして熱エネルギを発生
    する素子を有することを特徴とする請求項19に記載の
    インクジェットプリント方法。
  21. 【請求項21】 前記プリント媒体へインクを付与して
    プリントを行った後に、インクを前記プリント媒体に定
    着させる工程をさらに具えたことを特徴とする請求項1
    9または20に記載のインクジェットプリント方法。
  22. 【請求項22】 前記インクを定着させる工程の後に、
    プリントが行われたインクジェットプリント用媒体を洗
    浄処理する工程をさらに具えたことを特徴とする請求項
    21に記載のインクジェットプリント方法。
  23. 【請求項23】 請求項19ないし22のいずれかに記
    載のインクジェットプリント方法によりプリントされた
    プリント物。
  24. 【請求項24】 請求項23に記載のプリント物をさら
    に加工して得られたことを特徴とする加工品。
  25. 【請求項25】 前記加工品は、前記プリント物を所望
    の大きさに切り離し、切り離された片に対して最終的な
    加工品を得るための工程を施して得られたものであるこ
    とを特徴とする請求項24に記載の加工品。
  26. 【請求項26】 前記最終的な加工品を得るための工程
    は縫製であることを特徴とする請求項25に記載の加工
    品。
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AT94303270T ATE213289T1 (de) 1993-05-10 1994-05-06 Druckstoff, verfahren zur herstellung, textildruckverfahren und tintenstrahldruckapparat
CN94107594A CN1099497C (zh) 1993-05-10 1994-05-10 印刷媒体及其生产方法以及采用该媒体的织物印花方法和喷墨印刷设备
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6705717B1 (en) 1993-09-30 2004-03-16 Canon Kabushiki Kaisha Ink-jet printer and printing system capable of printing on clothes and papers, ink to be used in the system and production method for producing article with employing the system
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