JP3259630B2 - 化粧シートの施工方法及び剥離方法 - Google Patents

化粧シートの施工方法及び剥離方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は内装用化粧シートで
あって、特に壁、天井等に貼って壁紙として使用する化
粧シートの施工方法及び剥離方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、難燃裏打紙等の基材上にPV
C樹脂層を設け、適宜な絵柄層やエンボス加工を施した
化粧シートで、施工の際にはでんぷん糊等の接着剤を基
材裏面側に塗布して壁や天井に貼り付ける化粧シート
が、一般に塩ビ壁紙として知られている。この壁紙を模
様替え等で貼り替える場合には、基材である裏打紙が紙
間で剥がれ、その約半分が壁や天井構造物の表面に残る
ために、新しい壁紙を貼る前に下地の処理が必要となる
ばかりでなく、構造物本来の防火性能を低下させること
があった。
【0003】この問題を解決するため、壁紙の裏面に予
め感熱粘着剤層を設けておき、剥がすときには、簡単な
加熱によりこの粘着剤層を軟化させて剥がすことができ
る壁紙も既に提案されている。しかしこの場合、PVC
層に含まれるDOP等の可塑剤が徐々に移行して感熱型
粘着剤層に進入したり、また、壁紙を保管等のために巻
取りにした場合、PVC層表面から感熱型粘着剤層表面
に進入して感熱型粘着剤層を可塑化する結果、巻取りさ
れた壁紙がブロッキング現象を引き起こすという問題が
あった。また、この壁紙を用いて施工した場合、長期間
の経時と共に感熱型粘着剤層が軟化して壁紙が粘着剤層
から剥がれるという問題が起きたりした。さらにこの現
象が進行すると、逆に粘着剤層から固体可塑剤が移行し
て熱をかけても可塑化せず剥がれなくなる問題も起こる
ことがあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な問題点を解決するためになされたもので、その目的と
するところは、市場の大半を占めるPVC層を有する壁
紙用化粧シートにおいて、施工した後、貼り替えの際に
熱をかけることにより簡単に剥離できる化粧シートの施
工方法及び剥離方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、まず請求項1においては、難燃裏打紙等の基材表面
にポリ塩化ビニル樹脂組成物層(以下、PVC層)を
け、該PVC層表面に可塑剤移行防止機能を有する表面
処理剤層と適宜な絵柄印刷層を設け、前記基材裏面側に
可塑剤移行防止層を設け、さらに高分子材料、粘着付与
剤、固体可塑剤からなる感熱型粘着剤層を設けてなる化
粧シートの、該感熱型粘着剤層面にでんぷん糊を塗布し
て、壁、天井等に貼付して施工することを特徴とする化
粧シートの施工方法である。
【0006】また、請求項2においては、前記化粧シー
トにおける前記基材の表裏面に可塑剤移行防止層を設け
てなることを特徴とする請求項1に記載の化粧シートの
施工方法である。
【0007】さらに、請求項3においては、請求項1又
は2に記載の化粧シートの施工方法に従って施工された
化粧シートを表面から加熱し、感熱型粘着剤層の固体可
塑剤を活性化させて化粧シートを剥離することを特徴と
する化粧シートの剥離方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態に基づ
き説明する。本発明の化粧シートは、通常壁紙等に用い
られる難燃裏打紙等の基材1の表面に可塑剤移行防止層
2、PVC層3、表面処理層4、絵柄印刷層5とを順次
設けて、前記基材1の裏面に可塑剤移行防止層6、さら
に、この可塑剤移行防止層の表面に感熱型粘着剤層7を
設けたものである。ここで表面処理層4と絵柄層5は入
れ替わってもかまわない。また基材表裏面に設ける可塑
剤移行防止層2,6は、これに限定されるものではな
く、何方かの一方だけでも良いが、基材両面に可塑剤移
行防止層を設けることが好ましい。
【0009】ここで印刷絵柄層5には、任意の絵柄や凹
凸模様を設けることができる。この凹凸模様はエンボス
版による凹凸模様でもよいし、或いは合成樹脂層中に炭
化水素を内包したカプセル発泡剤を分散させた、発泡イ
ンキの盛り上げによる凹凸模様でもよい。
【0010】本発明の化粧シートは、可塑剤移行防止層
6の裏面側に感熱型粘着剤を塗布乾燥させて製膜したも
ので、この感熱型粘着剤層7に、一般の壁紙同様にでん
ぷん糊を塗布して、壁、天井などに施工する。
【0011】本発明に係わる感熱型粘着剤は、主に高分
子材料、粘着付与剤、固体可塑剤からなる。この感熱型
粘着剤は、常温では粘着性はないが加熱によって粘着性
が生じて、再び室温で30分程放置すると粘着力は消え
る。従って、通常においてはこの粘着剤の乾燥塗膜には
粘着性は無く、製造工程において問題はない。
【0012】ここで高分子材料は、接着力を与える成分
で、例えば、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリ塩
化ビニル樹脂、天然ゴム、合成ゴム、ポリエステル樹
脂、ポリウレタン樹脂等の高分子化合物類を適宜選択し
て使用することができる。
【0013】粘着付与剤は、加熱により活性化された際
に粘着性を増強するための成分で、例えば、ロジン誘導
体、テルペン樹脂、石油樹脂、フェノール樹脂、キシレ
ン樹脂などの樹脂類である。
【0014】また固体可塑剤は、常温では固体であっ
て、その融点以上に加熱されると溶解し、前記高分子材
料や粘着付与剤を膨潤・溶解して、粘着性を発現させる
ものである。そして溶解後、室温において30分程放置
することで粘着性は完全に消える。固体可塑剤として
は、例えば、フタル酸ジフェニル、フタル酸ジヘキシ
ル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ジヒドロアビ
エチル、安息香酸スクロース、クエン酸トリシクロヘキ
シル、N−シクロヘキシル−P−トルエンスルホンアミ
ド等の常温で固体の有機化合物である。
【0015】上記の材料の配合比は、高分子材料100
に対して、粘着付与剤0〜100部、また固体可塑剤は
50〜100部で感熱型粘着剤を調製する。この組成物
を化粧シートの裏面側に塗布、乾燥させて感熱型粘着剤
層7を形成する。通常この粘着剤層の塗布量は10〜3
0g/m2 である。また、この感熱型粘着剤の塗布方法
は、グラビアコーティング、ナイフコーティング、リッ
プコーティング、ロールコーティング等、公知のコーテ
ィング装置で塗布することができる。
【0016】この感熱型粘着剤層7を設けた壁紙等は、
貼り替えの際に壁紙表面からアイロンやジェットドライ
ヤー等の加熱器具を用いて壁紙全体を加熱することによ
り、感熱型粘着剤層の固体可塑剤を活性化させると、こ
の粘着剤層が接着剤として作用する。すなわち、接着剤
とは固形化した際には2つの物体を接着するが、完全に
固形化する以前、すなわち、液体系では2つの物を剥が
すことも可能である。従って、難燃裏打紙を破壊するこ
となく壁面から壁紙を綺麗に粘着剤層から剥がすことが
可能となる。
【0017】また、表面処理剤としてはウレタン樹脂、
フッ素系樹脂等を用いる。表面処理剤を使用した理由
は、耐汚染性、チョーキング等化粧紙表面を保護するこ
とは勿論だが、表面処理剤がない場合、製品を巻取りに
したときに、PVC層表面のDOP等の可塑剤と感熱型
粘着剤層表面の固体可塑剤が相溶し、ブロッキングを引
き起こすために設けるものである。また、その場合可塑
剤同士の移動が容易に行え、PVC層の可塑剤が感熱型
粘着剤層に移動し、これを可塑化し常温で剥離するとい
う現象を引き起こす。さらにこの現象が進と粘着剤層か
ら固体可塑剤も移動し熱をかけても可塑化しないという
現象も起こるからである。
【0018】さらに、可塑剤移行防止層としては、アク
リル樹脂等の水性エマルジョンに水酸化アルミ等の無機
質粉体を分散させたものが、好適に使用可能である。可
塑剤移行防止層を設けた理由は、壁紙施工後の経時によ
り、PVC層中のDOP等の可塑剤が感熱型粘着剤層に
移行したり、逆に感熱型粘着剤層中の固体可塑剤がPV
C層に移行したりするのを防ぐためである。
【0019】一般的に使用されている壁紙の場合、壁面
等から剥離する層が裏打紙の紙間であるため、基材にピ
ーラブル性が要求されるが、本発明の化粧シートの場合
は、剥離する層が粘着剤層のため基材のピーラブル性を
必要としない。従って、裏打紙の紙間で剥離せずに、し
かも剥離後も粘着剤によるべと付きがないので、リホー
ム等の貼り替えの際に、石膏ボード等の壁面の下地処理
が簡単である。
【0020】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明する。坪量
120g/m2 の難燃裏打紙(特種製紙(株)社製、T
T−120TW、裏打紙両面にアクリル樹脂を主体とし
た可塑剤移行防止層が形成されている)にPVCペース
トをコンマコータを用いて塗布し、厚さ70g/m
2 (dry)のPVC樹脂層とした。このPVCペース
トの配合を以下に示す。 〔PVCペースト〕 PVC樹脂 100重量部 可塑剤(DOP) 35重量部 可塑剤(D−160) 20重量部 2次可塑剤 10重量部 安定剤 4重量部 充填材(CaCO3 ) 100重量部 発泡剤 13重量部 着色剤 15重量部 希釈剤 適量 このPVC樹脂層上に、ウレタン樹脂を15g/m2
ーティングし、印刷による絵柄層を設け、次いで加熱
し、PVC層中のカプセル発泡剤を発泡させて凹凸模様
を形成して壁紙を作製した。その後、基材の裏面側に感
熱型粘着剤を15g/m2 塗布し乾燥させた。以下に感
熱型粘着剤の配合を示す。 〔感熱型粘着剤の配合〕 エチレン酢酸ビニル共重合樹脂 100重量部 ロジンエステル 10 フタル酸ジクロヘキシル 100 溶剤 適量
【0021】その後、この壁紙にでんぷん糊と水とを
1:1に混合した糊を、塗布量150g/m2 (we
t)に塗布し石膏ボードに貼り付けた。それを常温及び
40℃、90%RHの条件で1ヵ月間保存した後、工業
用ドライヤーを用いて表面より加熱した。この加熱によ
り感熱型粘着剤が活性化され、その層間で剥がれ、石膏
ボード表面には粘着剤が残っていなかった。また、これ
に従う粘着によるべと付きも30分以内に無くなり、次
の施工への支障はなかった。
【0022】
【発明の効果】本発明は以上の構成であるから、下記に
示す如き効果がある。 本発明の化粧シートにおける基材はピーラブル性を必
要としない。すなわち、一般的な壁紙の場合、剥離する
層が裏打紙の紙間であるため基材にピーラブル性が要求
されるが、本発明の化粧シートは、剥離する層が粘着剤
層のため基材のピーラブル性を必要としない。 貼り替えが容易である。すなわち、裏打紙の紙間で剥
離せず、剥離後も粘着剤によるべと付きがないので、従
って、リホーム等による貼り替えの際に、石膏ボード等
の壁面の下地処理が簡単である。 安価なPVC壁紙に応用することができるため、技術
的な効果が大きい。 壁を構成する基材の防火性能を低下させない。 壁紙の再利用が可能である。すなわち、壁面から、比
較的大きな面積で綺麗に剥離させることができるので、
再利用の際に有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における化粧シートを断面で
表した説明図である。
【図2】本発明の他の実施例における化粧シートを断面
で表した説明図である。
【符号の説明】
1 …基材(難燃裏打紙) 2 …可塑剤移行防止層 3 …PVC層 4 …表面処理層 5 …印刷層 6 …可塑剤移行防止層 7 …感熱型粘着剤層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−90959(JP,A) 特開 平8−90741(JP,A) 特開 平8−52846(JP,A) 特開 昭63−137841(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 C09J 7/00 - 7/04

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】難燃裏打紙等の基材表面にポリ塩化ビニル
    樹脂組成物層(以下、PVC層)を設け、該PVC層表
    面に可塑剤移行防止機能を有する表面処理剤層と適宜な
    絵柄印刷層を設け、前記基材裏面側に可塑剤移行防止層
    を設け、さらに高分子材料、粘着付与剤、固体可塑剤か
    らなる感熱型粘着剤層を設けてなる化粧シートの、該感
    熱型粘着剤層面にでんぷん糊を塗布して、壁、天井等に
    貼付して施工することを特徴とする化粧シートの施工方
  2. 【請求項2】前記化粧シートにおける前記基材の表裏面
    に可塑剤移行防止層を設けてなることを特徴とする請求
    項1に記載の化粧シートの施工方法
  3. 【請求項3】請求項1又は2に記載の化粧シートの施工
    方法に従って施工された化粧シートを表面から加熱し、
    感熱型粘着剤層の固体可塑剤を活性化させて化粧シート
    を剥離することを特徴とする化粧シートの剥離方法
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