JP3257158B2 - ポリエステル系繊維構造物の染色方法 - Google Patents

ポリエステル系繊維構造物の染色方法

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JP3257158B2 JP17818693A JP17818693A JP3257158B2 JP 3257158 B2 JP3257158 B2 JP 3257158B2 JP 17818693 A JP17818693 A JP 17818693A JP 17818693 A JP17818693 A JP 17818693A JP 3257158 B2 JP3257158 B2 JP 3257158B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、濃色染めならびにその
発色性を改善するポリエステル系繊維構造物の染色方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル系繊維は合成繊維の中でも
屈折率が高く、同一染料濃度でもアセテートに比較する
と著しく発色性が劣る。また極細繊維は一定重量当たり
の表面積が増大し、繊維表面での乱反射(白色光)が増
加するため、同量染料でも普通糸に比較して染色物の色
濃度がでないとされている。濃色品を得ようとすると普
通糸の2倍〜6倍の染料濃度を用いる、いわゆる高濃度
染色が必要になる。
【0003】高濃度染色の問題点としては (A)多量の染料を要し、しかも染料の利用効率が低下
し、コスト高になる。 (B)染色や染色機の洗浄に長時間を要する。
【0004】(C)極細繊維染色物の堅牢度が低下す
る。
【0005】すなわち、発色性、品質面、作業性、コス
ト面で多くの問題が生じ、これらの改善が強く要望され
ている。
【0006】ポリエステル系繊維の染色性に関し、熱水
ならびに溶剤前処理の検討が桑原等繊維学会誌、Vo
l.34、No.9)にまた、水溶性の高沸点極性媒体
を用いる方法として、片山等(染色工業、Vol.2
4、No.7)に提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、桑原等が提案
する熱水ならびに溶剤前処理は処理温度が106℃〜1
35℃の範囲であり、また、染色温度も105℃と低
く、濃色への改善効果はあまり達成できなかった。ま
た、片山等が提案する水溶性の高沸点極性媒体に染料を
添加せしめ、高温下で染色する方法は、染料の昇華性お
よび染色堅牢度の点で問題が残された。
【0008】本発明者らはすでに特願平5−1187に
水溶性で非膨潤性媒体中で前処理する方法を提案してい
る。この方法は発色性は向上するが、高温下で処理する
ため工業的に問題があることがわかった。すなわち、
媒体が酸化され着色し、処理物に付着し、そのため継続
浴の使用が困難でありコスト高になる。媒体が蒸発し
作業環境が悪く、そのために工業化に際して、特別の装
置が必要になりコスト高になる。従って、直接高温下で
処理することは相当困難であり、さらに改善が必要であ
る。
【0009】現状ではポリエステル系繊維の染色におい
て、染料の利用効率を高め、コスト低下を図り、工業化
が容易であり、さらに堅牢度の優れた染色物を提供し得
る技術は、現在のところ存在しないのが実状である。
【0010】本発明は、かかる従来技術の欠点に鑑み、
染料利用効率の低下を防ぎ、コストが安いにも拘らず優
れた濃色の繊維染色物を提供することができる染色方法
を提供せんとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる目的を
達成するため次の構成を有する。
【0012】すなわち、ポリエステル系繊維構造物に
子量が800以下である水溶性グリコール系媒体を付
与し、次いで前記水溶性グリコール系媒体を付与したポ
リエステル系繊維構造物を150℃以上の温度で熱処理
した後、染色することを特徴とするポリエステル系繊維
構造物の染色方法であり、本染色方法は、ポリエステル
系繊維構造物の染色前に行なう処理(以下、「前処理」
ということがある。)が水溶性グリコール系媒体の付与
と熱処理の2段階からなる処理であることを特徴とす
る。
【0013】一般にポリエステル系繊維構造物の染色
は、発色性が劣るため、その対策として、染料濃度を増
大する方向で検討されてきた。しかし、かかる方法では
どうしても染料の利用効率を向上させることはできず、
コスト面だけでなく排水でもおおきな支障をきたしてい
るのが実状である。
【0014】本発明は、染料濃度に着目するだけでな
く、グリコール系媒体の付与方法と熱処理の関係を入念
に検討した結果、特定な条件によるポリエステル系繊維
構造物の前処理であれば非膨潤性であるグリコール系の
媒体を用いても、繊維内部に媒体を拡散でき、その結果
繊維構造を変えることができることを究明し、さらにか
かる現象を利用すれば繊維内部に高濃度の染料を固着さ
せることができる事実を究明したものである。
【0015】すなわち本発明は、染色する前に、特定の
グリコール系媒体をポリエステル系繊維構造物に付与せ
しめ、次いで前記媒体を付与したポリエステル系繊維構
造物を150℃以上の温度で熱処理することで、最も染
料を吸収しやすい繊維構造を形成し、次の染色工程に入
ることを特徴とする。
【0016】また、本発明はグリコール系媒体の付与方
法が実質的に常温であり、安全性が極めて高く、工業的
に有利であるといえる。
【0017】本発明によれば高濃度染色においてさえ
も、染料利用効率を向上させることができ、しかも従来
法より染料の使用量が少なくでき、染色堅牢度において
も優れた染色物を提供することができるという利点があ
る。
【0018】このようにグリコール系媒体が繊維内にあ
まり残存しない状態で高温染色することにより、染料を
高固着化、高利用化で染着せしめ、高発色でも、十分な
堅牢度を有する着色維構造物を提供することができる。
特に極細繊維は普通の太さの糸(例えば2〜3デニー
ル。以下「普通糸」ということがある。)に比べ同一染
料濃度でも発色性が極めて低いため、普通糸に比べ2〜
6倍の染料を用いて染色するため、本発明が最適な染色
方法といえる。
【0019】本発明でいうポリエステル系繊維とは、ポ
リエステル成分としてポリエチレンテレフタレート、ポ
リブチレンテレフタレートおよびそれらの各種改質ポリ
マーが含まれるが、特に限定されるものでないが、好ま
しくは耐熱性の大きいジカルボン酸とジオールから合成
される反復単位の少なくとも90%以上がポリエチレン
テレフタレートがよい。
【0020】また本発明で好ましく用いられる極細繊維
とは1デニール以下のものであり、好ましくは0.5デ
ニール以下、さらに好ましくは0.1デニール以下の繊
維である。
【0021】かかる極細繊維は、一般に海島型複合繊維
から製造されたものや直接紡糸法によって製造されたも
の、さらに分割型複合繊維から製造されたものなど、如
何なる方法で製造されたものであってもよい。
【0022】繊維構造物としては糸、綿、布帛、不織
布、シートなどがあり特に限定されるものでない。また
ポリエステル系繊維と他の繊維との混用品でもよい。た
だし、熱処理が150℃以上を必要とするため、耐熱性
の優れた繊維との混用品が特に好ましい。
【0023】本発明の前処理で用いる媒体(水溶性グリ
コール系媒体)は、水溶性であり、ポリエステル繊維に
対して非膨潤性であり、分子量が800以下のものであ
ることが重要である。また本発明で用いる水溶性グリコ
ール系媒体は、高温下でポリエステル系繊維に拡散可能
な水溶性媒体である。
【0024】本発明でいう水溶性とは、常温で水に10
%以上の溶解性を示すものをいう。また、本発明でいう
非膨潤性とは、ポリエステル系繊維を常温では膨潤させ
る能力が殆どないものをいう。
【0025】そして本発明で用いる水溶性グリコール系
媒体の分子量は800以下のものであることが重要であ
るが、あまり小さすぎると繊維内部に入りやすいが、逆
に沸点が低く蒸発しやすくなる傾向がある。好ましく
は、前処理において繊維構造物の温度が上昇する際に蒸
発するものでなく、沸点が熱処理温度以上であることが
好ましい。具体的には沸点が170℃〜200℃である
ものが好ましい。高沸点媒体を用いることにより、常圧
下で処理できる特徴があり、装置面や安全面ならびに生
産性やコスト面で有利である。
【0026】かかるグリコール系媒体の代表的なものと
しては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、
トリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリ
ン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、
ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、
ポリプロピレングリコール、ブタンジオール、チオジグ
リコール、ヘキシレングリコール、ネオペンチルグリコ
ール、トリメチロープロパン、ネオペンチルグリコー
ル、ジオール系のものは1,3ブタンジオール1,4ブ
タンジオール、1,3プロパンジオール等、グリコール
エーテル系のものとしてエチルジグリコール、ブチルジ
グリコール等が挙げられ、単独あるいは2種以上配合し
て用いてもよい。好ましい媒体としはヘキシレングリ
コール、ポリプロピレングリコール(分子量が400以
下)ポリエチレングリコール(分子量が400以下)で
ある。すなわち、低分子量でしかも高沸点の媒体が優れ
ている。 一般的には高温を得るため、水溶性グリコー
ル系媒体100%系が好ましく用いられる。
【0027】水溶性のグリコール系媒体の付与方法は浸
漬法、パッド法、プリント法、グラビヤ法およびコーテ
ィング法いずれの方法でも良く、目的に応じ選択すれば
よい。特に普通糸と極細糸から成り表と裏が異なるリバ
ーシブル組織の場合、プリント法、グラビヤ法およびコ
ーティング法は片面付与が可能であり、発色性の低い極
細糸のみを選択的に付与出来る特徴がある。リバーシブ
ル組織の場合、普通の染色条件(130℃染色)では、
普通糸が用いられている裏面が濃染化されるため、一般
的には表裏の同色性を得るため、120℃染色が採用さ
れている。120℃染色の問題点は同色性は非常に良好
であるが、120℃染色のため極濃色がでにくく、また
染色堅牢度が十分でない。しかし、この片面付与方法を
用いると極細糸のみを選択的に付与出来るためたとえ1
30℃染色を採用しても発色性と同色性の両者が向上
し、しかも極濃色が簡単に得られるという特徴がある。
【0028】水溶性のグリコール系媒体が付与された後
は該媒体が含有された状態で熱処理に入る。熱処理は該
媒体を繊維内部に拡散する事が目的であり、そのために
は熱処理中に該媒体が蒸発しない状態が望ましい。
【0029】本発明の熱処理は150℃以上であること
が重要である。好ましくは150℃〜220℃さらに好
ましくは170℃〜190℃の範囲である。220℃以
上では強度低下や風合硬化が生じ好ましくない。処理時
間は10分以下、好ましくは2〜5分であり、約10分
で飽和に達し、それ以上の時間で処理を行なっても効果
に大差はない。熱処理は乾熱、湿熱、過熱水蒸気いずれ
の方法でも良いが、蒸発抑制の点で湿熱が好ましく、さ
らに過熱水蒸気が最も好ましい。
【0030】また、水溶性グリコール系媒体の蒸発を抑
制するため、シールするのが好ましい。特に極細繊維は
表面積が大きく、そのため蒸発が大きくシールすること
により効果が大きい。シールの方法は物理的と化学的な
方法があり、物理的方法としては一般に耐熱フィルムで
覆い処理するが、工業的にはバッチアップ後全体を耐熱
フィルムで覆うと良い。また、化学的な方法としては低
分子量の媒体と高分子量(分子量が800を越えるも
の)の媒体と混合する事により、ある程度蒸発を抑制す
ることができる。この場合、繊維内部に拡散するのは低
分子量の媒体であり、高分子量の媒体は蒸発を抑制のた
めの補助的な役目を担う。
【0031】シール無しの場合、発色性の改善効果は低
下するが、熱処理で少し蒸発するため、次工程の脱媒体
処理を省略できる場合もある。
【0032】また過熱水蒸気中でマイクロ波照射して
も、低温でマイクロ波照射し繊維構造物の温度を上昇せ
しめても良い。
【0033】熱処理後は水溶性グリコール系媒体の脱媒
体処理に入るが必須工程ではない。すなわち、残存によ
り染色工程に悪影響があれば、脱媒体処理が必要にな
る。
【0034】水溶性グリコール系媒体で熱処理された繊
維は、繊維構造物が弛緩されており、最も染料を吸収し
やすい繊維構造が形成されているものと推定される。し
かし、この繊維構造も熱処理(高温熱処理)により簡単
に破壊され、元の状態に戻り易く染色性は低下する傾向
にある。
【0035】本発明は、染色する前に、特定のグリコー
ル系媒体をポリエステル系繊維構造物に付与せしめ、次
いで前記媒体を付与したポリエステル系繊維構造物を1
50℃以上の温度で熱処理した後、染色する。ポリエス
テルに対して膨潤性を示さないグリコール系媒体を用い
ているためポリエステル繊維内に溶媒が残存し難いの
で、後に繊維に対して前記媒体が悪影響を及ぼすことも
少ないが、脱媒体処理を行なうことも好ましく適用でき
る。
【0036】本発明の特徴は最も染料を吸収しやすい繊
維構造を前処理によって形成し、次の染色工程に入る点
にあるので、脱媒体処理する場合は媒体を比較的低温下
で除去することが好ましい。すなわち、脱媒体処理は、
水や溶剤での洗浄、または乾熱処理により行われるが、
その後の乾燥においても、いずれも160℃低下、好ま
しくは130℃低下の温度で処理することが高染色性を
得る上で好ましい。
【0037】染色工程では、染料としてはポリエステル
系繊維に一般的に用いられる分散染料が使用される。染
色方法としては連染、プリント(インクジェットを含
む)、スプレーおよび吸尽染色いずれの方法でもよい
が、吸尽染色法が最も好ましく用いられる。吸尽染色法
では120℃〜140℃,好ましくは125℃〜135
℃の範囲の高温で染色を行なう。
【0038】本発明によれば、濃色系の染色品であるほ
ど、その真価が発揮される。たとえば、染料濃度が(市
販染料は100%を標準として)布帛に対し好ましくは
2重量%以上さらに好ましくは3重量%以上という濃色
染色を再現性よく安定して供給することができる。
【0039】染色後は必要に応じて、通常のソーピング
工程を組み入れてもよい。
【0040】
【実施例】以下、実施例により本発明さらに詳細に説明
する。
【0041】なお、実施例中の特性値は下記の方法によ
り求めたものである。
【0042】[tanδmax 、Tmax ]実施例3,7,
11,比較例1,2については、バイブロン(DDV-II-E
P オリエンテック社製)、昇温速度3℃/min で力学的
損失正接tanδ−温度T曲線を測定し求めた。普通糸
は150デニールの糸を測定し、極細糸は布帛から分解
した糸を集めて150デニールにして測定した。
【0043】[D100 ]実施例3,7,11,比較例
1,2については、下記の条件により染料吸尽率(D
100 )を求めた。
【0044】Resolin Blue FBL(C.I.Disperse Blue 56)
(バイエル社製、分散染料)3%owf、浴比1:5
0、100℃で60分染色。
【0045】FBL 吸尽率は、残液を採取し、アセトン/
水(1:1)の溶液で溶解させ、残液比色法で染料吸尽
率(D100 )を求めた。
【0046】[D130 ]実施例3,4,7,8,11,
12,比較例1,2については、下記の条件により染料
吸尽率(D130 )を求めた。
【0047】Samaron Blue GSL-400(C.I.Disperse Blue
165) (ヘキスト社製、分散染料)5%owf、浴比
1:20、130℃で60分染色し、次いでソーピング
処理を行った。GSL 吸尽率は染色布をフェノール/四塩
化エタン(6:4)の溶液で溶解させ溶解比色法で検量
線をもとめ、そのグラフから染料吸尽率(D130 )を求
めた。
【0048】[染色堅牢度]実施例3,4,7,8,1
1,12,比較例1,2については、染色布について、
JIS L0844(洗濯堅牢度)、JIS L084
9(摩擦堅牢度)より染色堅牢度を評価し、その結果を
表1に併記した。
【0049】[発色性]また、発色性を評価するため、
多光源分光測色計(スガ試験機社製)でL*値を求め
た。その結果を表1に併記した。L*値は値が小さいほ
ど発色性が高いことを示す。
【0050】実施例1〜12,比較例1〜4 普通糸としてタテ糸は75d−24f,ヨコ糸は50d
−18fからなる織物(平組織:マット)を精練、セッ
トしたものを用いた(実施例1、3、5、7、9、1
1)。また、極細糸としては海成分として5−ナトリウ
ムスルホイソフタル酸を4モル%共重合した共重合ポリ
エチレンテレフタレート、島成分としてポリエチレンテ
レフタレートの50d−9f(1f−70島)、海島比
率10:90,から成る織物(組織:タフタ)をアルカ
リで脱海分割処理し、0.07dの極細繊維から成る布
帛を用いた(実施例2、4、6、8、10、12)。
【0051】これらの布帛を表1に示す水溶性グリコー
ル系媒体をパッド法(絞り率:80%)で付与し、直ち
に過熱水蒸気中(190℃)で3分間処理した。
【0052】過熱水蒸気の条件として、シール有、シー
ル無の2通りを行なった。シール有は耐熱性フィルムで
シールし、蒸発を抑制し熱処理したものである。一方、
シール無はパッド後直ちに過熱水蒸気中で熱処理した。
処理機はアポロペット(市金工業社製)を使用した。
【0053】次いで、十分に水洗、80℃で湯洗し、1
00℃で3分間乾燥した。
【0054】上記の前処理を行った後、下記条件にて染
色を行い、次いで通常の還元洗浄(80℃)を行ない、
水洗、60℃で湯洗いし、100℃で3分間乾燥した。
【0055】得られた布帛について、動的粘弾性特性
(tanδmax 、Tmax )、染料吸尽率(D100 、D
130 )、染色堅牢度、発色性を求め、その結果を表1に
併記した。
【0056】一方、比較例として前処理を行なわなかっ
た場合(比較例1、2)および高分子量のポリエチレン
グリコール(分子量1000)で処理し(比較例3、
4)、各特性評価結果を表1に示した。
【0057】
【表1】 表1から明らかなように、比較例1〜2の未処理、比較
例3〜4に比較し、本発明の実施例はいずれもL*値が
小さく発色性の改善効果が認められる。効果的な媒体と
してはポリプロピレングリコール(分子量200)およ
びヘキシレングリコール(分子量118)である。
【0058】シールの有無についてはいずれも蒸発を抑
制した方が普通糸、極細糸とも発色性は向上しており、
シールの効果が認められた。
【0059】またポリエチレングリコールやポリプロピ
レングリコールでの分子量の影響は分子量が小さい方が
好ましい。比較例3〜4のポリエチレングリコール(分
子量1000)は比較例1および比較例2より発色性が
低下しており、全く効果が認められない。この理由は分
子量が大きくなると繊維内部に拡散できず、繊維構造変
化が極めて小さいためと推定している。すなわち、単に
熱処理を受けただけの状態と思われる。
【0060】また本発明に係わる布帛は低温染色での染
料吸尽率(D100 )は低く、高温染色での染料吸尽率
(D130 )が高く、しかも染色染色堅牢が高く、発色性
も向上している。
【0061】また、水溶性グリコール系媒体の付与が常
温であり、極めて安全性に高い方法である。
【0062】実施例13〜16 試料は実施例1、2と同様な普通糸、極細糸を用い、水
溶性グリコール系媒体としてポリプロピレングリコール
(分子量200)およびヘキシレングリコール(分子量
118)を用いた以外は実施例1と同様な方法で付与し
た。また熱処理はパッド後ただちに、実施例1と同様な
方法でシールし、190℃の過熱水蒸気中で3分間処理
した。処理方法はマイクロ波照射有無の2通りの方法を
行なった。以後の工程は実施例1と同様である。
【0063】
【表2】 表2から明らかなように、マイクロ波照射有無では若干
マイクロ波照射有りの方が発色性は優れている。マイク
ロ波照射した方が速く所定温度に到達するものと推定さ
れる。
【0064】実施例17〜18,比較例5〜8 試料としてタテ糸は普通糸50d−24f(ブレリア加
工糸)、ヨコ糸は極細糸であり、海成分として5−ナト
リウムスルホイソフタル酸を4モル%共重合した共重合
ポリエチレンテレフタレートからなり、アルカリで脱海
分割処理し、0.13dの極細繊維を得た。表は極細
糸、裏は普通糸のリバーシブルの組織である。その布帛
を用い、下記の方法で前処理および染色した。
【0065】水溶性グリコール系媒体付与はポリエチレ
ングリコール(分子量200)を用い、グラビアロール
で表面(極細糸)のみ付与後(絞り率40%)、マング
ルでニップした。ニップ後ただちに熱処理として、19
0℃の過熱水蒸気中(HT)で3分間処理した。シール
は耐熱性のフィルムを用いほぼ完全に蒸発を抑制した。
【0066】脱媒体処理は実施例1と同様に行なった。
【0067】染色条件は次の通りである。
【0068】染料:Samaron Blue GSL
−400 5%(OWF)(ヘキスト社製、分散染料) 温度:130℃で0分、30分 120℃で30分、60分(比較例7〜8)間染色し
た。
【0069】いずれも1℃/分で昇温し、浴比:1:2
0である。
【0070】比較例5〜8は未処理であり同様に染色、
それ以外は実施例1と同じようにした。発色性(L*
値)と同色性(肉眼判定で表裏の同色性を判定)を求
め、表3に示した。
【0071】
【表3】 表3に示したように、実施例17〜18は比較例に比較
し、表面(極細糸)の発色性が著しく高く、しかも表裏
の同色性がよい。
【0072】普通糸と極細糸からなるリバーシブル組織
の染色は、従来の方法では表裏の同色性を重視するため
120℃染色が採用されている。従来の120℃染色で
は同色性は得られるが、発色性が低く(比較例5〜
8)、同色性と高発色性の両者を満足することはできな
いが、本発明の方法である実施例17〜18では両者を
満足することができる。
【0073】
【発明の効果】本発明によれば、染料吸尽率が向上し、
染料の利用効率を高めるだけでなく、特に、極細繊維に
おいては従来法では得られなかった普通糸と同等の色相
範囲の濃度のものが得られる。しかも、濃色においても
染色堅牢度が著しく優れており、汎用性に富む繊維構造
物の染色方法が提供できる。
【0074】そして、本発明の方法は、前処理において
グリコール系媒体の付与が常温で行なうことができ、安
全性が高く、工業的に優れた染色方法である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭50−14817(JP,A) 特開 平5−279917(JP,A) 特開 昭50−64371(JP,A) 特開 昭48−85882(JP,A) 特開 昭48−85879(JP,A) 特公 昭47−29066(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D06P 5/00 D06M 15/53 D06P 3/52

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエステル系繊維構造物に分子量が8
    00以下である水溶性グリコール系媒体を付与し、次い
    で前記水溶性グリコール系媒体を付与したポリエステル
    系繊維構造物を150℃以上の温度で熱処理した後、染
    色することを特徴とするポリエステル系繊維構造物の染
    色方法。
  2. 【請求項2】水溶性グリコール系媒体の沸点が熱処理温
    度以上であることを特徴とする請求項1記載のポリエス
    テル系繊維構造物の染色方法。
  3. 【請求項3】熱処理が過熱水蒸気による熱処理であるこ
    とを特徴とする請求項1項記載のポリエステル系繊維構
    造物の染色方法。
  4. 【請求項4】水溶性グリコール系媒体を付与したポリエ
    ステル系繊維構造物をシールした状態で熱処理すること
    を特徴とする請求項1または3記載のポリエステル系繊
    維構造物の染色方法。
  5. 【請求項5】熱処理が過熱水蒸気中のマイクロ波照射に
    よる熱処理であることを特徴とする請求項1または4記
    載のポリエステル系繊維構造物の染色方法。
  6. 【請求項6】ポリエステル系繊維構造物が1デニール以
    下の極細繊維を10重量%以上含むことを特徴とする請
    求項1記載のポリエステル系繊維構造物の染色方法。
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