JP3257030B2 - 耐非鉄金属溶損性に優れた合金工具鋼 - Google Patents
耐非鉄金属溶損性に優れた合金工具鋼Info
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】この発明は耐非鉄金属溶損性に優
れた合金工具鋼に関する。
れた合金工具鋼に関する。
【０００２】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】例えば
Ａｌ合金やＺｎ合金等の鋳造において、溶融Ａｌ合金，
Ｚｎ合金等と接触する鍛造機部材や金型等は高い耐非鉄
金属溶損性が要求される。
Ａｌ合金やＺｎ合金等の鋳造において、溶融Ａｌ合金，
Ｚｎ合金等と接触する鍛造機部材や金型等は高い耐非鉄
金属溶損性が要求される。
【０００３】炭素鋼や低合金等よりも耐非鉄金属溶損性
に優れた材料として、汎用的な熱間工具鋼であるＪＩＳ
−ＳＫＤ６１が知られている。
に優れた材料として、汎用的な熱間工具鋼であるＪＩＳ
−ＳＫＤ６１が知られている。
【０００４】また更に耐非鉄金属溶損性に優れた材料と
して0.2C−0.2Si−0.5Mn−9.5Cr−2Mo−5.5W−10Co−残
Fe（DIN 2.8888）の組成を持つ高合金工具鋼が知られ
ており、Ｚｎダイカスト機のグースネックに使用されて
いる。またこの鋼は耐アルミ溶損性にも優れており、ア
ルミダイカスト型としても使用されている。
して0.2C−0.2Si−0.5Mn−9.5Cr−2Mo−5.5W−10Co−残
Fe（DIN 2.8888）の組成を持つ高合金工具鋼が知られ
ており、Ｚｎダイカスト機のグースネックに使用されて
いる。またこの鋼は耐アルミ溶損性にも優れており、ア
ルミダイカスト型としても使用されている。
【０００５】しかしながら近時、使用条件の激化により
更に耐溶損性の優れた材料が求められている。上記高合
金鋼よりも更に耐溶損性に優れた材料としては白銑鉄，
高速度工具鋼，Ｔｉ合金，Ｗ，Ｍｏなどの高融点金属，
セラミックス等が知られているが、これらはそれぞれ以
下のような欠点を有している。
更に耐溶損性の優れた材料が求められている。上記高合
金鋼よりも更に耐溶損性に優れた材料としては白銑鉄，
高速度工具鋼，Ｔｉ合金，Ｗ，Ｍｏなどの高融点金属，
セラミックス等が知られているが、これらはそれぞれ以
下のような欠点を有している。
【０００６】即ち （イ）白銑鉄の場合には脆く、熱衝撃に弱い他、加工性
が低い （ロ）高速度工具鋼の場合は脆く、熱衝撃に弱い （ハ）Ｔｉ合金の場合は硬さが低く、また高温強度が低
い （ニ）Ｗ，Ｍｏなどの高融点金属の場合は脆く、加工性
が低い （ホ）セラミックスの場合は脆く、加工性が低く、更に
熱衝撃に弱い 等の問題があり、このため溶融合金の保温炉の部品程度
には使用できるものの、上記グースネックなどの鋳造機
部材やダイカスト金型としては使用できない。
が低い （ロ）高速度工具鋼の場合は脆く、熱衝撃に弱い （ハ）Ｔｉ合金の場合は硬さが低く、また高温強度が低
い （ニ）Ｗ，Ｍｏなどの高融点金属の場合は脆く、加工性
が低い （ホ）セラミックスの場合は脆く、加工性が低く、更に
熱衝撃に弱い 等の問題があり、このため溶融合金の保温炉の部品程度
には使用できるものの、上記グースネックなどの鋳造機
部材やダイカスト金型としては使用できない。
【０００７】
【課題を解決するための手段】本発明はこのような事情
を背景とし、耐非鉄金属溶損性に優れると共に靱性，耐
熱衝撃性に優れ、また加工性が良好であってダイカスト
金型にも使用可能な材料を提供することを目的としてな
されたものである。
を背景とし、耐非鉄金属溶損性に優れると共に靱性，耐
熱衝撃性に優れ、また加工性が良好であってダイカスト
金型にも使用可能な材料を提供することを目的としてな
されたものである。
【０００８】而して本発明の要旨は、合金組成を重量基
準でＣ：０．３０〜０．５５％，Ｓｉ：０．１〜１．０
０％，Ｍｎ：０．１〜１．００％，Ｃｒ：７〜１２％，
２×Ｍｏ＋Ｗ：１８〜３５％，Ｃｏ：８〜１５％，残部
実質的にＦｅから成る組成とすることにある。
準でＣ：０．３０〜０．５５％，Ｓｉ：０．１〜１．０
０％，Ｍｎ：０．１〜１．００％，Ｃｒ：７〜１２％，
２×Ｍｏ＋Ｗ：１８〜３５％，Ｃｏ：８〜１５％，残部
実質的にＦｅから成る組成とすることにある。
【０００９】従来、鉄鋼材料の耐非鉄金属溶損性を向上
させる方法としていくつかの方法が提案されている。そ
の１つはＣ量を高くするものであるが、この場合耐溶損
性は向上するものの、一方でＣ量増加により靱性が低下
してしまう。
させる方法としていくつかの方法が提案されている。そ
の１つはＣ量を高くするものであるが、この場合耐溶損
性は向上するものの、一方でＣ量増加により靱性が低下
してしまう。
【００１０】また材料の高温強度を高くすると耐溶損性
が向上するという提案もあるが、耐溶損性の高いＴｉ合
金はむしろ高温強度は低く、逆に高温強度の高いＮｉ
基，Ｃｏ基超合金等は耐溶損性が低く、結局のところ耐
溶損性を向上させる確かな方法は未だ明らかにされてい
ないというのが実情である。
が向上するという提案もあるが、耐溶損性の高いＴｉ合
金はむしろ高温強度は低く、逆に高温強度の高いＮｉ
基，Ｃｏ基超合金等は耐溶損性が低く、結局のところ耐
溶損性を向上させる確かな方法は未だ明らかにされてい
ないというのが実情である。
【００１１】本発明者はこのような事情の下で各種成分
の添加を試みた結果、上記成分を所定割合で添加するこ
とによって靱性，熱衝撃特性，加工性を良好に保ち且つ
耐溶損性を効果的に高め得る知見を得、本発明を完成し
た。
の添加を試みた結果、上記成分を所定割合で添加するこ
とによって靱性，熱衝撃特性，加工性を良好に保ち且つ
耐溶損性を効果的に高め得る知見を得、本発明を完成し
た。
【００１２】本発明に係る耐溶損性合金鋼は、良好な靱
性，熱衝撃特性，加工性及び耐溶損性を有するものであ
り、しかも価格が安価である。
性，熱衝撃特性，加工性及び耐溶損性を有するものであ
り、しかも価格が安価である。
【００１３】かかる本発明の合金鋼は、上記Ａｌ合金や
Ｚｎ合金等の鋳造機部材やダイカスト金型等として好適
に使用できる。
Ｚｎ合金等の鋳造機部材やダイカスト金型等として好適
に使用できる。
【００１４】次に本発明における各成分の限定理由につ
き詳述する。 Ｃ：０．３０〜０．５５％ Ｃは材料の硬さ，強度を確保し、また耐溶損性を向上さ
せる上で０．３０％以上必要である。但し０．５５％を
超えると靱性が低下し、耐熱衝撃特性も悪くなる。
き詳述する。 Ｃ：０．３０〜０．５５％ Ｃは材料の硬さ，強度を確保し、また耐溶損性を向上さ
せる上で０．３０％以上必要である。但し０．５５％を
超えると靱性が低下し、耐熱衝撃特性も悪くなる。
【００１５】Ｓｉ：０．１〜１．００％ Ｓｉは溶製時の脱酸効果，基地の強化，耐酸化性の向上
を図る上で０．１〜１．００％の範囲で含有させる必要
がある。
を図る上で０．１〜１．００％の範囲で含有させる必要
がある。
【００１６】Ｍｎ：０．１〜１．００％ Ｍｎは溶製時の脱酸効果，焼入性の向上を図る上で０．
１〜１．００％の範囲で含有させる必要がある。
１〜１．００％の範囲で含有させる必要がある。
【００１７】Ｃｒ：７〜１２％ Ｃｒは材料の焼入性を高めて硬さ，強度を確保し、また
耐溶損性を向上させる働きある。但し７％より少ないと
焼入性が不足して硬さ，強度が不足し、また耐溶損性も
低下する。逆に１２％を超えると材料がオ−ステナイト
化しにくくなり、却って硬さが不足し、また靱性も低下
してしまう。
耐溶損性を向上させる働きある。但し７％より少ないと
焼入性が不足して硬さ，強度が不足し、また耐溶損性も
低下する。逆に１２％を超えると材料がオ−ステナイト
化しにくくなり、却って硬さが不足し、また靱性も低下
してしまう。
【００１８】２Ｍｏ＋Ｗ：１８〜３５％ Ｍｏ，Ｗは炭化物の析出により高温での軟化抵抗を高
め、また耐溶損性を向上させる働きがある。但し２Ｍｏ
＋Ｗが１８％より少ないと軟化抵抗と耐溶損性が不足
し、逆に３５％を超えると靱性が低下してしまう。
め、また耐溶損性を向上させる働きがある。但し２Ｍｏ
＋Ｗが１８％より少ないと軟化抵抗と耐溶損性が不足
し、逆に３５％を超えると靱性が低下してしまう。
【００１９】Ｃｏ：８〜１５％ Ｃｏは焼入温度での金属相をオ−ステナイト化し、高温
での強度を高める。また耐非鉄金属溶損性を向上させる
働きがある。但し８％より少ないと焼入温度での金属相
にフェライトが混在して硬さ，強度が低下し、耐溶損性
も不足する。逆に１５％を超えると靱性が低下してしま
う。
での強度を高める。また耐非鉄金属溶損性を向上させる
働きがある。但し８％より少ないと焼入温度での金属相
にフェライトが混在して硬さ，強度が低下し、耐溶損性
も不足する。逆に１５％を超えると靱性が低下してしま
う。
【００２０】
【実施例】次に本発明の特徴を更に明確にすべく、以下
にその実施例を詳述する。表１に示す各種組成の鋼材に
て１０ｍｍφ（直径）×６０ｍｍ（長さ）の試験片を作
製し、そして長さ３０ｍｍの部分を溶融ＡＤＣ１２合金
中に浸漬して相対速度０．４ｍ／秒を与え、３０分間か
けて材料を溶損させた。
にその実施例を詳述する。表１に示す各種組成の鋼材に
て１０ｍｍφ（直径）×６０ｍｍ（長さ）の試験片を作
製し、そして長さ３０ｍｍの部分を溶融ＡＤＣ１２合金
中に浸漬して相対速度０．４ｍ／秒を与え、３０分間か
けて材料を溶損させた。
【００２１】その後試験片を取り出して付着したＡｌ合
金をＮａＯＨ水溶液で除去し、溶損量を測定した。
金をＮａＯＨ水溶液で除去し、溶損量を測定した。
【００２２】また併せて２ｍｍＵノッチを付けた試験片
にてシャルピー衝撃試験を行い、靱性を評価した。これ
らの結果が表１に示してある。
にてシャルピー衝撃試験を行い、靱性を評価した。これ
らの結果が表１に示してある。
【００２３】
【表１】
【００２４】この表の結果から、本発明例の場合、0.2C
−0.2Si−0.5Mn−9.5Cr−2Mo−5.5W−10Co鋼（比較例
１）よりも優れていること、また衝撃値は何れも１５Ｊ
／ｃｍ2以上と所定値を上回っていることが分かる。
−0.2Si−0.5Mn−9.5Cr−2Mo−5.5W−10Co鋼（比較例
１）よりも優れていること、また衝撃値は何れも１５Ｊ
／ｃｍ2以上と所定値を上回っていることが分かる。
【００２５】以上本発明の実施例を詳述したがこれはあ
くまで一例示であり、本発明はその主旨を逸脱しない範
囲において、当業者の知識に基づき様々な変更を加えた
態様で実施可能である。
くまで一例示であり、本発明はその主旨を逸脱しない範
囲において、当業者の知識に基づき様々な変更を加えた
態様で実施可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) C22C 38/00 302 C22C 38/30
Claims (1)
- 【請求項１】重量基準で Ｃ ：０．３０〜０．５５％ Ｓｉ：０．１〜１．００％ Ｍｎ：０．１〜１．００％ Ｃｒ：７〜１２％ ２×Ｍｏ＋Ｗ：１８〜３５％ Ｃｏ：８〜１５％ 残部実質的にＦｅから成る耐非鉄金属溶損性に優れた合
金工具鋼。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP13601892A JP3257030B2 (ja) | 1992-04-28 | 1992-04-28 | 耐非鉄金属溶損性に優れた合金工具鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP13601892A JP3257030B2 (ja) | 1992-04-28 | 1992-04-28 | 耐非鉄金属溶損性に優れた合金工具鋼 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH05306434A JPH05306434A (ja) | 1993-11-19 |
| JP3257030B2 true JP3257030B2 (ja) | 2002-02-18 |
Family
ID=15165265
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP13601892A Expired - Fee Related JP3257030B2 (ja) | 1992-04-28 | 1992-04-28 | 耐非鉄金属溶損性に優れた合金工具鋼 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3257030B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| SE2251369A1 (en) * | 2022-11-23 | 2024-05-24 | Erasteel Kloster Ab | A powder metallurgical tool steel |
-
1992
- 1992-04-28 JP JP13601892A patent/JP3257030B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH05306434A (ja) | 1993-11-19 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |