JP3255719B2 - 自動車のエアバッグ配設構造 - Google Patents

自動車のエアバッグ配設構造

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車のエアバッグ配
設構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、自動車の衝突時における乗員
の安全保護のために、エアバッグ装置を設けることは知
られている。エアバッグ装置は、一般にエアバッグ、ガ
ス発生器等を備えたエアバッグユニットよりなり、自動
車の衝突時に、ガス発生器が作動してエアバッグを車室
内に向けて膨張展開させ、これにより、衝突時に前方に
移動しようとする乗員の頭部及び胸部を拘束して保護す
るものである。
【0003】そのようなエアバッグ装置としては、具体
的には、例えば実開平4−13451号公報に記載され
るように、ステアリング装置に配設され運転席乗員を保
護するエアバッグ装置や、実開平3−129547号公
報に記載されるように、助手席乗員の車室内前面部のイ
ンストルメントパネル等に配設され助手席乗員を保護す
るエアバッグ装置が知られている。
【0004】ところで、自動車において、運転席と助手
席との間に中央席を設け、前席に三人掛けできるように
することが考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そのように3人掛けで
きるようにする場合、中央席はフロアパネルが上方に突
出するように湾曲してなるいわゆるトンネル部に対応す
る位置に配置されることとなるので、中央席に着座する
中央席乗員はトンネル部上に脚を載せる可能性が高い。
そのため、上述した実開平3−129547号公報に記
載の技術と同様にエアバッグ装置を、保護すべき中央席
乗員の前面部のインストルメントパネルに設けるように
すると、エアバッグの膨張展開時に中央席乗員の脚が邪
魔となり、膨張展開したエアバッグによる中央席乗員の
保護が十分でない。
【0006】本発明は、前席が3人掛け可能なシートの
場合に、中央席乗員のために特別にエアバッグユニット
を設けることなく、衝突時に、運転席乗員及び助手席乗
員と同様に、中央席乗員の保護を確実に図ることができ
る自動車のエアバッグ配設構造を提供することを目的と
するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、車室内前部
に、運転席、助手席及び該両席の間に位置する中央席を
有する3人掛け可能なシートを配設し、ステアリング装
置及び助手席前方のインストルメントパネル内に運転席
乗員及び助手席乗員を保護する第1及び第2エアバッグ
ユニットを配設した自動車のエアバッグ配設構造を前提
とする。
【0008】そして、上記第1エアバッグユニットは、
エアバッグに形成され自動車の衝突時に中央席側に張出
して中央席乗員を保護する拡張部を有し、該第1エアバ
ッグ ユニットのエアバッグの拡張部には、中央席乗員よ
りの荷重を受けた際、上記インストルメントパネル側に
膨張展開して該インストルメントパネルの拡張部対応位
置に当接し且つ該拡張部と該インストルメントパネルと
の間の空間を埋めることにより該拡張部の前側部分を支
持して該拡張部の前方向への移動を規制する支持部が形
成されている構成とする。
【0009】
【作用】発明によれば、自動車の衝突時に、第1エア
バッグユニットのエアバッグは、運転席乗員側に膨張展
開して運転席乗員を保護すると共に、それの拡張部が、
中央席側に張出して中央席乗員も保護する。また、自動
車の衝突時にエアバッグが中央席乗員よりの荷重を受け
た際、第1エアバッグユニットのエアバッグの支持部が
インストルメントパネル側に膨張展開してインストルメ
ントパネルの拡張部位置に当接すると共に拡張部とイン
ストルメントパネルとの間の空間を埋め、それによって
拡張部の前側部分がしっかりと支持され、拡張部の前方
向への移動が規制される。
【0010】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に沿って詳細に
説明する。
【0011】自動車の車室内前部の概略構成を示す図1
において、1は3人掛け可能なシートで、運転席1A、
助手席1B及び該両席1A,1Bの間に位置する中央席
1Cを有し、車室内前部に配設されている。
【0012】そして、ステアリングホイール2の略中央
部及び助手席1Bの前方のインストルメントパネル3内
に、運転席1A及び助手席1Bに対向して第1及び第2
エアバッグユニット4,5が配設されている。
【0013】そして、第1エアバッグユニット4は、自
動車の衝突時に、図2に示すように、運転席乗員Aだけ
でなく、中央席乗員Cに向かってもエアバッグ4aが膨
張展開するように構成されている。即ち、第1エアバッ
グユニット4のエアバッグ4aは、運転席乗員Aを拘束
する第1部分4bと、側方即ち車体中央部側へ膨張展開
して中央席乗員Cを拘束する第2部分4c(拡張部)
と、第2部分4cより前方に延び中央席乗員よりの荷重
を受けた際、第1エアバッグユニット4のエアバッグ4
aの前側部分を支持して前方向への移動を規制する第3
部分4d(支持部)とを有する。そして、第3部分4d
によって、自動車の衝突時に、第1エアバッグユニット
4のエアバッグ4aが前側方向に移動するのが確実に規
制されるようになっている。
【0014】また、第2エアバッグユニット5は、自動
車の衝突時に助手席乗員Bに向かってエアバッグ5aが
膨張展開するように構成されている。
【0015】従って、第1エアバッグユニット4のエア
バッグ4aによって運転席乗員A及び中央席乗員Cが、
第2エアバッグユニット5のエアバッグ5aによって助
手席乗員Bがそれぞれ拘束されて保護されるようになっ
ている。
【0016】第1エアバッグユニット4は、図3及び図
4に示すように、折り畳まれたエアバッグ4aと、該エ
アバッグ4a内にガスを供給して膨張させるインフレー
タ4b(ガス発生器)と、該インフレータ4b内のガス
発生剤を反応せしめるイグナイタ4c(発火装置)と、
エアバッグ4aの乗員側を展開可能に覆うバッグカバー
4fとを備えており、ステアリングホイ−ル2の略中央
部に配設されている。これらエアバッグ4a、インフレ
ータ4b及びイグナイタ4c等、エアバッグ装置の主要
構成部品をベースプレート4eに対して固定すると共
に、その乗員側をバックプレート4fで覆うことによっ
て1つの組立ユニットを構成している。尚、エアバッグ
ユニット4は、従来より周知のものであり、その内部構
造及び作動についての詳細な説明を省略する。また、エ
アバッグ4aの膨張展開方向は、周知の如く、エアバッ
グ4aそのものの形状、インフレータ4bのガスの吹出
方向等を工夫することによって決定されている。
【0017】上記ステアリングホイール2は、操舵中立
状態における左右両側及び下側中央に配置された3本の
ステアリングスポーク11でホイールリング12を支持
するようにした3本スポークタイプのものであり、環状
のホイールリング12と略平板状のホイールハブ13と
を備え、ホイールハブ13は、その背面側を覆うロアカ
バー14を挿通して延びるステアリングシャフト15の
頭部に締結固定されている。
【0018】そして、自動車の衝突時に、エアバッグユ
ニット4が作動してエアバッグ4a内にガスが供給され
ると、エアバッグ4aの膨張によりバッグカバー4f
は、その裏面側に設けられた溝部4gに沿って破断しな
がら開かれ、エアバッグ4aの第1部分4b及び第2部
分4cが正面の運転席1A側と車体内方の中央席1C側
に向かって、車体左右方向に一定の拡がりをもって膨張
展開する。よって、エアバッグ4aの第1部分4bが運
転席乗員Aを、第2部分4cが中央席乗員Cをそれぞれ
拘束して、自動車の衝突時における運転席乗員A及び中
央席乗員Cの保護が図られる。また、そのとき、第3部
分4dがインストルメントパネル3側に膨張展開して当
接し、インストルメントパネル3との間の空間を埋め、
それによって第2部分4cが、衝突時における中央席乗
員Cからの反力によって前方に移動しないようにしっか
支持する。
【0019】第2エアバッグユニット5は、図5に示す
ように、エアバッグ5aと、該エアバッグ5aを折り畳
んで収納するハウジング5bと、自動車の衝突時にハウ
ジング5b内にガスを発生させてエアバッグ5aを膨張
展開させるガス発生器5cと、ハウジング5bのエアバ
ッグ展開口5dから展開するエアバッグ5aが当接する
ことにより脆弱部5eにおいて上下に分割するリッド5
fとを備えており、ハウジング5bが、ブラケット21
を介して車体左右方向に延びるパイプ状のステアリング
支持メンバ22に固定されている。
【0020】23はグローブボックス、24は棚状張出
部、25は空調ユニット、26はフロントウインドであ
る。
【0021】そして、自動車の衝突時に、エアバッグ装
置が作動してエアバッグ5a内にガスが供給されると、
エアバッグ5aの膨張によりリッド5fは、脆弱部5e
において上下に分割され、エアバッグ5aが助手席B側
に向かって膨張展開する。よって、前方へ移動してきた
助手席乗員を拘束して保護することができる。
【0022】上記のように構成すれば、自動車の衝突時
において、図2に示すように、第1エアバッグユニット
4のエアバッグ4aの第1部分4b及び第2部分4cが
運転席乗員A及び中央席乗員Cに向かって、第2エアバ
ッグユニット5のエアバッグ5aが助手席乗員Bに向か
ってそれぞれ膨張展開することとなり、各エアバッグ4
a,5aが乗員A,C,Bを拘束して保護する。
【0023】特に、中央席乗員Cは、正面からでなく、
側方から膨張展開してくるエアバッグ4aの第2部分4
cによって拘束されることとなるので、トンネル部の上
側に脚部を載せていても、その影響を受けることなく、
中央席乗員Cがエアバッグ4a(第2部分4c)に拘束
されて確実に保護される。また、第3部分4dがインス
トルメントパネル3の第3部分対応位置に当接すると共
に第3部分4dとインストルメントパネル3との間の空
間を満たし、それによって第3部分4dの前側部分がし
っかりと支持されるようになっているので、中央席乗員
C等からの反力(荷重)を受けても第2部分4c前方
へ移動しないように規制され、第1エアバッグユニット
4のエアバッグ4a(第2部分4c)による中央席乗員
Cの拘束が確実に行われる。
【0024】このように、運転席乗員Aを保護するため
の第1エアバッグユニット4を利用して、運転席乗員A
だけでなく、中央席乗員Cも拘束して保護できるように
したから、3人掛け可能なシートの場合に、中央席乗員
Cのためのエアバッグユニットを特別に設ける必要がな
く、運転席乗員A及び助手席乗員Bの保護と同様に、中
央席乗員Cの保護を図ることができる。
【0025】
【発明の効果】発明は、上記のように、第1エアバッ
グユニットが、エアバッグに形成され自動車の衝突時に
中央席側に張出して中央席乗員を保護する拡張部を有す
るので、中央席乗員のためのエアバッグユニットを特別
に設けることなく、運転席乗員及び助手席乗員と同様
に、中央席乗員を保護することが可能となる。また、自
動車の衝突時にエアバッグが中央席乗員よりの反力(荷
重)を受けた際、第1エアバッグユニットのエアバッグ
の支持部がインストルメントパネル側に膨張展開してイ
ンストルメントパネルの拡張部位置に当接すると共に拡
張部とインストルメントパネルとの間の空間を埋め、そ
れによって拡張部の前側部分がしっかりと支持されるの
で、拡張部の前方向への移動を規制することができ、
央席乗員の保護を確実に図ることができる。しかも、支
持部は第1エアバッグユニットのエアバッグの一部を利
用しているので、簡単な構造で、中央席乗員の保護の確
実化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動車の車室内前部の斜視図である。
【図2】各エアバッグの展開状態の説明図である。
【図3】第1エアバッグユニットの概略構成図である。
【図4】第1エアバッグユニットのエアバッグの展開状
態の説明図である。
【図5】第2エアバッグユニットの説明図である。
【符号の説明】
1 シート 1A 運転席 1B 助手席 1C 中央席 2 ステアリングホイール(ステアリング装置) 3 インストルメントパネル 4 第1エアバッグユニット 4a エアバッグ 4b 第1部分 4c 第2部分(拡張部) 4d 第3部分(支持部) 5 第2エアバッグユニット 5a エアバッグ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 平5−58512(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60R 21/20

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車室内前部に、運転席、助手席及び該両
    席の間に位置する中央席を有する3人掛け可能なシート
    を配設し、ステアリング装置及び助手席前方のインスト
    ルメントパネル内に運転席乗員及び助手席乗員を保護す
    る第1及び第2エアバッグユニットを配設した自動車の
    エアバッグ配設構造において、 上記第1エアバッグユニットは、エアバッグに形成され
    自動車の衝突時に中央席側に張出して中央席乗員を保護
    する拡張部を有し、上記第1エアバッグユニットのエアバッグの拡張部に
    は、中央席乗員よりの荷重を受けた際、上記インストル
    メントパネル側に膨張展開して上記インストルメントパ
    ネルの拡張部対応位置に当接し且つ該拡張部と該インス
    トルメントパネルとの間の空間を埋めることにより該拡
    張部の前側部分を支持して該拡張部の前方向への移動を
    規制する支持部が形成されている ことを特徴とする自動
    車のエアバッグ配設構造。
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