JP3254967B2 - 穴明け工具 - Google Patents

穴明け工具

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JP3254967B2
JP3254967B2 JP16657795A JP16657795A JP3254967B2 JP 3254967 B2 JP3254967 B2 JP 3254967B2 JP 16657795 A JP16657795 A JP 16657795A JP 16657795 A JP16657795 A JP 16657795A JP 3254967 B2 JP3254967 B2 JP 3254967B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ドリル等の穴明け工具
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の穴明け工具の一例とし
て、略円柱状をなす工具本体の先端面の径方向に切刃が
設けられ、この切刃のすくい面領域が切り欠かれて、工
具本体の外周部に軸線周りに螺旋状にねじれる切屑排出
溝が形成された、いわゆるツイストドリルがある。この
ようなドリルのうち、その先端切刃の外径を工具本体の
直径Dとした場合、加工する穴の深さが例えば3D以上
となるような深穴加工に用いられるドリルについて、例
えば実公平6−27285号公報、実開昭64−127
16号公報等に開示されている。
【0003】実公平6−27285号公報に記載のドリ
ルは、加工深さが3Dを越え、5D程度の深穴加工に適
するとするものであり、切屑排出溝のねじれ角を全長に
亘って一定にして、工具本体の先端から軸線方向に0.
5D〜2.5Dの位置から基端方向に、溝幅比が一定割
合だけ大きくなるように設定したものである。これによ
って、先端側では溝幅が狭いために切屑分断やカール径
等の切屑処理性を向上でき、後端側部分では溝幅が広く
なることで切屑排出性を向上できる、としている。又、
実開昭64−12716号公報に記載のドリルは、切屑
排出溝のねじれ角を後端側の中間位置で0゜迄に減少さ
せ、しかもねじれ角0゜の領域が所定の長さに亘って形
成されるようにし、又、溝幅比を先端側より後端側で大
きく設定したものである。これによって切屑流れを向上
させ、切屑排出性をよくしようとしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このようなドリルを用
いて3D以上の深穴加工を行おうとする場合、被削材が
炭素鋼、合金鋼等であって、切削抵抗や切削動力や加工
精度から見て被削性の良い被削材では、問題なく加工で
きるが、軟鋼やステンレス鋼等の穴加工においては、切
屑排出性(切削動力)や穴精度(拡大代、特に被削材の
入口での拡大代)が悪くなるという欠点がある。即ち、
軟鋼の穴加工においては切屑に展延性があり、ステンレ
ス鋼の穴加工においては、加工硬化するために削りにく
く、切屑が分断されにくいという特性を呈する。しか
も、特にステンレス鋼の加工においては、切削点の温度
を下げ、工具寿命の延長を図るために、或いは切削抵抗
を下げるために、切屑排出溝のねじれ角が大きく設定さ
れるが、前者のドリルのように、このねじれ角が切屑排
出溝の全長に亘って一定であると、切れ味は良いが、切
屑排出溝上の切屑の走行距離が長くなり、溝壁との摩擦
によって切屑流れが悪くなり、切屑排出性が低下するこ
とになる。特に、排出穴加工深さが3Dを越えるような
場合、切屑詰まりが発生するという問題が生じる。又、
後者のドリルのように、切屑排出溝のねじれ角を中途部
から漸次小さくし、基端部の領域でねじれ角0゜にする
と、工具自体の回転による切屑排出作用(エレベートア
ップ作用)が悪く、切屑詰まりが生じ、切削動力の上昇
を引き起こすという欠点がある。
【0005】本発明は、このような課題に鑑みて、炭素
鋼や合金鋼等の一般鋼や鋳鉄はもとより、軟鋼やステン
レス鋼等の比較的加工の困難な被削材の穴明け加工に際
しても、切屑排出性や工具剛性を向上させ得る穴明け工
具を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明による穴明け工具
は、略円柱状をなす工具本体の先端に切刃が設けられ、
工具本体の軸線方向にねじれを伴う切屑排出溝が形成さ
れてなる穴明け工具において、この切屑排出溝は、先端
側領域ではねじれ角が一定とされ、この先端側領域に続
く後端側領域で基端方向に向かうに従ってねじれ角が漸
次減少し且つ溝切れ上がり部で0゜より大きく設定さ
れ、前記後端側領域の基端側の芯厚が先端側領域の芯厚
より小さく設定されてなり、前記先端側領域と後端側領
域の接続部は前記工具本体の先端から軸線方向に1.0
D〜2.5D(但し、Dは工具本体の直径とする)の範
囲内に設定され、その接続部から基端方向に芯厚が小さ
くなるように形成されていることを特徴とするものであ
る。
【0007】又、切屑排出溝のねじれ角は、先端側領域
が25゜〜35゜の範囲、後端側領域の溝切れ上がり部
が5゜〜15゜の範囲とされ、芯厚は、先端側領域で
0.25D〜0.35D(但し、Dは工具外径とする)
の範囲、後端側領域で0.2D〜0.3Dの範囲に設定
され、しかも溝幅比が0.6〜1.0:1の範囲内に設
定されている。先端側領域と後端側領域の接続部は工具
本体の先端から軸線方向に1.0D〜2.5Dの範囲内
に設定され、その接続部から基端方向に芯厚が小さくな
るように形成されている。又、切屑排出溝は、先端側領
域で溝幅比が一定とされ、後端側領域の先端側で溝幅が
先端側領域より増大され、更に溝切れ上がり部で先端側
領域と同等又はそれ以上の溝幅とされていてもよい。
【0008】
【作用】切屑排出溝の先端側領域においてはねじれ角が
比較的大きいので切削時の切れ味がよく、後端側領域で
は漸次ねじれ角が小さくなるので切屑流れが良くなり切
屑詰まりを起こしにくく、しかも基端側では芯厚が小さ
くなるために切屑排出スペースを確保できると共に溝切
れ上がり部でねじれ角があるから、切屑排出性がよく、
又、基端側で芯厚が小さくなってもねじれ角が小さくな
るので工具剛性が低下しない。又、ねじれ角が減少し且
つ芯厚が小さくなる開始位置が、工具本体の先端から
1.0D〜2.5Dの範囲以降に設定されることで、先
端側領域でカールや分断性のよい適度な切屑形成ができ
ると共に、その後方での切屑と溝との摩擦抵抗を減少さ
せることができて、切屑流れをスムーズにできる。
【0009】切屑排出溝の上記ねじれ角のために、先端
側領域ではステンレス鋼切削の場合等でも切れ味がよ
く、高い穴精度が得られ、溝切れ上がり部では工具自体
の回転による切屑排出が良好であり、上記芯厚のため
に、先端側領域では工具剛性と切屑排出性が向上し、後
端側領域では切屑排出スペースを確保でき、しかも設定
された溝幅比によって切屑詰まりを防止できる。又、後
端側領域の先端側で溝幅が先端側領域より増大されるこ
とで、ねじれ角の減少に応じて切屑排出スペースを拡大
でき、しかも溝切れ上がり部では、先端側領域の溝幅と
同等以上の溝幅が確保されているから、切屑詰まりを抑
えて切屑排出性が向上する。
【0010】
【実施例】以下、本発明の好適な一実施例を図1乃至図
4により説明する。図1は、本発明の実施例によるドリ
ルの側面図、図2は図1に示すドリル先端面の正面図、
図3は図1のA−A線断面図、図4は図1のB−B線断
面図である。本実施例によるドリル1は、穴加工深さが
3Dを越えて、7D以下、例えば5Dの深穴加工に適し
たものである。図1乃至図4において、このドリル1に
おいて、略円柱状をなす工具本体2の先端面3に、その
回転軸線Oに対して対称に、それぞれ切刃4aを有する
例えば1枚のチップ4,4がろう付けされている。先端
面3において、各切刃4aの逃げ面3a上には工具本体
2の基端側から油が供給される油穴5,5がそれぞれ穿
設されている。又、各切刃4aのすくい面に続いて、工
具本体2の先端面3から外周面6を切り欠いて、先端側
から基端側(シャンク部8)に向けて、2条の切屑排出
溝7,7が同一のねじれで形成されている。この切屑排
出溝7は、軸線Oの周りに例えば工具本体2の回転方向
後方側に略螺旋状にねじられている。
【0011】この切屑排出溝7は、チップ4の先端側の
切刃4aと外周側稜線との交点を工具本体2の先端側の
始点pとして、後端部方向に1.0D〜2.5D(Dは
切刃4a,4aのp,p間距離である切刃外径であり、
これを工具本体2の直径とする)の範囲を先端側領域L
aとし、この領域Laのねじれ角が25゜〜35゜の範
囲で一定に設定されている。そして、先端側領域Laか
ら基端側方向に切屑排出溝7が切れ上がる溝切れ上がり
部7aまでの範囲(例えば、略5D)を後端側領域Lb
とし、この領域のねじれ角は、先端側領域Laに設定さ
れた大きさのねじれ角から続いて漸次減少して、溝切れ
上がり部7aの角度が5゜〜15゜の範囲に設定されて
いる。
【0012】ここで、先端側領域Laのねじれ角を25
゜〜35゜としたのは、25゜未満では、ステンレス鋼
切削時の切れ味が悪くなり、切削抵抗が大きくなってし
まい、逆に35゜を越えると、喰い付き時の切屑排出溝
7のねじれ変位が大きく、穴精度(特に被削材の入口で
の拡大代)が悪くなるためである。又、後端側領域Lb
の溝切れ上がり部のねじれ角を5゜〜15゜としたの
は、5゜未満では工具本体2自体の回転による切屑排出
作用(エレベートアップ作用)が悪く、切屑詰まり即ち
切削動力の上昇を引き起こし、15゜を越えると切屑排
出のための切屑排出溝7の長さがいっそう大きくなり、
切屑詰まりの傾向を示し、切削動力が不安定となるため
である。尚、先端側領域Laの長さを1.0D〜2.5
Dの範囲としたのは、1.0D未満では、切屑の形成が
不十分であるため、長い切屑が生成され、切屑詰まりを
発生するためであり、2.5Dを越えると、この領域の
切屑排出溝7とこの溝7を走行する切屑との間に作用す
る摩擦力が大きく、排出抵抗が大となり、切屑詰まりが
発生することになるからである。
【0013】又、ドリル1の芯厚は、先端側領域Laよ
り後端側領域Lbの方が小さい寸法とされ、先端側領域
Laでは0.25D〜0.35Dの範囲、後端側領域L
bでは0.2D〜0.3Dの範囲でそれぞれ一定に設定
されている。ここで、先端側領域Laを0.25D〜
0.35Dの範囲としたのは、0.25D未満では工具
剛性が不足して、穴加工時の被削材入口の拡大代の精度
が悪くなる欠点があり、0.35Dを越えると切削抵抗
が大きくなると共に切屑排出性が悪くなるためである。
又、後端側領域Lbを0.2D〜0.3Dの範囲とした
のは、0.2D未満では工具剛性が不足して、穴加工時
の被削材入口の拡大代の精度が悪くなる欠点があり、
0.3Dを越えると切屑詰まりが起き易いためである。
【0014】又、工具本体2の軸線Oに対する直交断面
において、溝幅比(2条の切屑排出溝7,7の溝幅の和
と工具外周長さとの比)は、切屑排出溝7の全長に亘っ
て、(0.6〜1.0):1の範囲に設定されている。
ここで、溝幅比を0.6未満とすると、切屑のカール径
が小となり処理性に優れるが、溝幅が狭いために切屑詰
まりを引き起こすことになり、1.0を越えると、切屑
のカール径が大きくなると共に切屑後端が伸び勝手とな
り、切屑詰まりが起き易く、切削動力が不安定になる欠
点がある。しかも、切屑排出溝7において、先端側領域
Laの溝幅に対して、後端側領域Lbの溝切れ上がり部
7aの溝幅は、同等又はそれ以上の値に設定されてい
る。これは、上述したように、溝切れ上がり部7aでね
じれ角が最小(5゜〜15゜)となるために、切屑排出
性が低下するが、少なくとも先端側領域Laと同一の溝
幅を確保することで、切屑詰まりを防止できるためであ
る。
【0015】切屑排出溝7における溝幅比の設定は、先
端側領域Laでの溝幅比が一定(例えば0.82:1)
であるとして、後端側領域Lbの先端側で漸次増大し
(例えば0.85:1)、そして溝切れ上がり部7a方
向に漸次減少させて、溝切れ上がり部7aで先端側領域
Laの溝幅比(例えば0.82:1)に至らせることに
なる。尚、中央部の溝幅比(上述の0.85:1)を先
端側領域より大きくするのは、ねじれ角が減少を開始す
る領域での切屑流れをよくするためと溝加工を容易にす
るためである。そのため、先端側領域Laの溝幅比が
1:1の場合、後端側領域Lbの先端側の溝幅比は、溝
7の比成分が1を越えることがある。或いは、後端側領
域Lbの基端側の溝幅比を減少させることなく、又は増
大させて溝切れ上がり部に至るように設定してもよい。
この場合、溝切れ上がり部7aで、先端側領域Laや後
端側領域Lbの先端側部分の溝幅より拡大することは、
この領域での芯厚が先端側領域Laでの芯厚より小さい
ことを考慮すれば、工具剛性が低下することになり、あ
まり好ましくはない。
【0016】本実施例によるドリル1は上述のように構
成されているから、工具本体2の先端側領域Laにおい
ては、切屑排出溝7のねじれ角が25゜〜35゜の範囲
で一定に設定されているから、一般鋼はもとより加工し
にくいステンレス鋼であっても、切刃4aのすくい角を
大きくて切れ味がよく、被削材入口の拡大代等の穴精度
が良い。更に、後端側領域ではねじれ角が漸次減少して
溝切上げ部で5゜〜15゜の範囲となるから、切屑排出
性を向上して切屑詰まりを防ぐことができ、切削動力が
安定することになる。しかもねじれ角が漸次減少する後
端側領域Lbでの芯厚を0.2D〜0.3Dの範囲に小
さくすることで、切屑排出スペースを確保でき、この領
域の切屑詰まりを抑制できると共に、この範囲のねじれ
角が減少するために工具剛性を低下させることなく、し
かも溝幅を先端側領域Laと同等とすれば、工具剛性を
高めることができる。又、溝幅比についても0.6〜
1.0:1の範囲に設定したから、切屑のカール径を適
切に制御できて、切屑詰まりを防止でき、しかも後端側
領域Lbの先端側で溝幅を広げることで、ねじれ角が減
少し始める領域での切屑流れがスムーズになる。又、溝
切れ上がり部の溝幅比を先端側領域Laの溝幅比と同等
以上としたことで、スムーズな切屑の排出が可能とな
る。又、一般にねじれ角が小さくなると溝幅は減少する
が、後端側領域Lbの基端側で少なくとも先端側領域と
同等の溝幅比とし、且つ芯厚を小さくしたので切屑排出
スペースを確保できて、ボールエンドミル等を用いたこ
のような溝7の加工が容易となる。このように、本実施
例によれば、炭素鋼や合金鋼や鋳鉄等だけでなく、切屑
に展延性のある軟鋼や、加工の比較的困難なステンレス
鋼等の穴加工においても、切屑の排出がスムーズで、安
定した穴加工が実現できる。
【0017】上述のようなドリル1の数値例を挙げれ
ば、切屑排出溝7のねじれ角については、先端側領域L
aが30゜、後端側領域Lbが30゜(先端側領域La
との接続部分)〜10゜(溝切れ上がり部7a)、ねじ
れ角が一定の部分と変化する部分の長さについては、先
端側領域Laが1.5D、後端側領域Lbが4D、芯厚
については、先端側領域Laが0.31D、後端側領域
Lbが0.28D、溝幅比については、先端側領域La
が0.82:1、後端側領域Lbが0.85(ねじれ角
30゜の部分)〜0.82(ねじれ角10゜の部分):
1である。
【0018】次にこのような本発明によるドリル(本発
明品1〜4)と従来のドリル(従来品1、2、比較品
1、2)とについて、各種被削材の切削性能に関する試
験を行った。その試験条件及び試験結果について、以下
に説明する。試験に用いたサンプルのうち、本発明品1
乃至4は第5図に示されており、本発明品1は、先端側
領域Laの長さが2.5Dに設定され、先端側領域La
のねじれ角が30゜、芯厚が0.25Dである。後端側
領域Lbのねじれ角が先端側で30゜、そして漸次減少
して溝切り上がり部7aで5゜、2.5D以降の芯厚が
0.2Dである。溝幅比は、先端から2.5Dまでは、
0.87:1、2.5D以降はその直後で0.95:1
であり、溝切れ上がり部7aで0.90:1となる。
又、本発明品2は、先端側領域Laの長さが1.5D、
先端側領域Laのねじれ角が30゜、芯厚が0.31
D、後端側領域Lbのねじれ角が先端側で30゜、そし
て溝切り上がり部7aで10゜、1.5D以降の芯厚が
0.28Dとなる。溝幅比は、先端から1.5Dまでは
0.78:1、1.5D以降はその直後で0.85:1
であり、溝切れ上がり部7aで0.82:1となる。本
発明品3は、先端側領域Laの長さが1D、先端側領域
Laのねじれ角が30゜、芯厚が0.35D、後端側領
域Lbのねじれ角が先端側で30゜、そして溝切り上が
り部7aで15゜、1D以降の芯厚が0.3Dとなる。
溝幅比は、先端から1Dまでは0.65:1、1D以降
はその直後で0.70:1であり、溝切れ上がり部7a
で0.65:1となる。本発明品4は、先端側領域La
の長さが2D、先端側領域Laのねじれ角が25゜、芯
厚が0.3D、後端側領域Lbのねじれ角が先端側で2
5゜、そして溝切り上がり部7aで10゜、2D以降の
芯厚が0.25Dとなる。溝幅比は、先端から2Dまで
は0.73:1、2D以降はその直後で0.80:1で
あり、溝切れ上がり部7aで0.75:1となる。
【0019】これに対して、図6に示す従来品1,2と
比較品1,2において、従来品1は、切屑排出溝全長に
亘って均一のねじれ角30゜、同一の芯厚0.31D、
溝幅比0.82:1となる。従来品2は、同じく全長に
亘って均一のねじれ角30゜、同一の芯厚0.31D
で、溝幅比は先端から1Dまでは0.82:1、1D以
降は溝幅が拡大されて、0.95:1となる。比較品1
は、先端から1.5Dまでは均一のねじれ角30゜、そ
れ以降が漸次減少して30゜〜0となり、基端側の1D
の長さにおいては、ねじれ角0゜で均一となる。芯厚は
先端から1.5Dまでが0.34D、それ以降が0.2
8Dで、溝幅比は全長に亘って0.85:1となる。比
較品2は、先端から1.5Dまでは均一のねじれ角30
゜、それ以降は漸次減少して溝切れ上がり部で0゜とな
り、芯厚は先端から1.5Dまでが0.31D、それ以
降が0.28Dで、溝幅比は、先端から1.5Dまでは
0.91:1、それ以降は溝幅が拡大され、1.05:
1となり、溝切れ上がり部で0.95:1となる。この
ような各種のドリルは、工具径がそれぞれ直径20mm
とされている。
【0020】切削性能試験にあたっては、被削材とし
て、S45C(230HB)、SS400(140H
B)、SUS304の3種類を用い、穴加工深さ100
mm(L/D=5)とし、切削油剤は水溶性のエマルジ
ョンタイプ(×10)を用いた。そして、各被削材毎
に、上述した各ドリルで穴加工して、切削動力評価と、
加工穴の入口、中央部、出口の3カ所での拡大代とを得
て、被削材別に図7乃至図12に表1A,1B、2A,
2B、3A,3Bとして表わした。各表中の、切削動力
評価において、縦軸に送り量f(mm/rev)、横軸に切
削速度V(m/min)をとり、又、拡大代では、○が最大
値及び最小値、●が平均値である。これらの試験結果に
よれば、被削材がS45C(炭素鋼)の場合には、図
7,8の表1A,1Bに示すように、従来品1,2を除
いて、いずれのサンプルも良好な結果が得られた。被削
材がSS400(軟鋼)の場合、図9,10の表2A,
2Bに示すように、本発明品1乃至4は、いずれも切削
動力評価及び拡大代について良好な結果が得られたが、
従来品1,2については、切削動力評価は概ね良好であ
るが、基端側の工具剛性が劣るために拡大代が悪く、特
に入口での拡大代が大きく、穴精度が悪いという結果と
なった。又、比較品1,2については、拡大代は概ね良
好であるが、切削動力評価については、切削動力の変動
が大きく、展延性の大きい軟鋼の切屑排出性が悪かっ
た。又、被削材がステンレス鋼(SUS304)の場
合、図11,12の表3A,3Bに示すように、従来品
1,2はいずれも本発明品1乃至4に対して切削動力評
価及び拡大代で劣り、比較品1は切屑排出性(切削動力
評価)が頗る悪かった。
【0021】以上のように、本発明品1乃至4は、被削
材が炭素鋼、軟鋼、ステンレス鋼のいずれであっても、
良好な切屑排出性と穴精度が得られ、従来品1,2及び
比較品1,2と比較して、各種被削材に対して切屑排出
がスムーズで精度のよい穴加工ができることが確認でき
た。
【0022】尚、上述の実施例において、溝幅比が変化
する開始点はねじれ角が変化する開始点と異ならせても
よい。又、実施例では、ろう付けドリルについて説明し
たが、これに限定されることなく、ソリッドタイプやス
ローアウェイタイプのドリル等であっても、同様に本発
明を適用できる。
【0023】
【発明の効果】上述のように、本発明に係る穴明け工具
は、切屑排出溝が、先端側領域ではねじれ角が一定とさ
れ、この先端側領域に続く後端側領域で基端方向に向か
うに従ってねじれ角が漸次減少して溝切れ上がり部で0
゜より大きく設定され、後端側領域の基端側の芯厚が先
端側領域の芯厚より小さく設定されているから、切屑排
出溝の先端側領域においてはねじれ角が比較的大きいの
で切削時の切れ味がよく、後端側領域では漸次ねじれ角
が小さくなるので切屑流れが良くなって切屑詰まりを起
こしにくく、しかも基端側では芯厚が小さくなるために
切屑排出スペースを確保できると共に溝切れ上がり部で
ねじれ角があるから、切屑排出性がよく、又、基端側で
芯厚が小さくなってもねじれ角が小さくなるので工具剛
性が低下しないという利点がある。又、切屑排出溝のね
じれ角は、先端側領域が25゜〜35゜の範囲、後端側
領域の溝切れ上がり部が5゜〜15゜の範囲とされ、芯
厚は、先端側領域で0.25D〜0.35Dの範囲、後
端側領域で0.2D〜0.3Dの範囲に設定され、又、
溝幅比が0.6〜1.0:1の範囲内に設定されている
から、切屑排出溝の上述したねじれ角のために、先端側
領域ではステンレス鋼切削の場合等でも切れ味がよく、
高い穴精度が得られ、溝切れ上がり部では工具自体の回
転による切屑排出性が良好であり、上記芯厚のために、
先端側領域では工具剛性と切屑排出性が向上し、後端側
領域では切屑排出スペースを確保でき、しかも設定され
た溝幅比によって切屑詰まりを防止でき、加工も容易で
ある。又、先端側領域と後端側領域の接続部は工具本体
の先端から軸線方向に1.0D〜2.5Dの範囲内に設
定され、その接続部から基端方向に芯厚が小さくなるよ
うに形成されているから、先端側領域で切屑のカールや
分断性のよい適切な切屑形成ができると共に、その後方
での切屑と溝との摩擦抵抗を減少させることができて、
切屑流れをスムーズにできる。又、切屑排出溝は、先端
側領域で溝幅比が一定とされ、後端側領域の先端側で溝
幅が先端側領域より増大され、更に溝切れ上がり部で先
端側領域と同等又はそれ以上の溝幅とされているから、
ねじれ角の減少に応じて切屑排出スペースを拡大でき、
しかも溝切れ上がり部では、先端側領域で形成される切
屑と同等以上の溝幅が確保されているから、切屑詰まり
を抑えて切屑排出性が向上する。又、製造時に切屑排出
溝の切削加工が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例によるドリルの側面図である。
【図2】図1に示すドリルの先端面の正面図である。
【図3】図1に示すドリルのA−A線断面図である。
【図4】図1に示すドリルのB−B線断面図である。
【図5】切削試験に用いられるドリルのうちの本発明に
よるものを示すもので、本発明品1,2,3,4の各側
面図である。
【図6】切削試験に用いられるドリルのうちの従来品
1,2と比較品1,2を示す各側面図である。
【図7】図5に示す本発明品1乃至4の各種溝形状のド
リルによる切削試験結果を示す切削性能比較表であっ
て、被削材をS45Cとした表1Aである。
【図8】図6に示す従来品1,2及び比較品1,2の各
種溝形状のドリルによる切削試験結果を示す切削性能比
較表であって、被削材をS45Cとした表1Bである。
【図9】図7と同様な本発明品1乃至4の切削性能比較
表であって、被削材をSS400とした表2Aである。
【図10】図8と同様な従来品1,2及び比較品1,2
の切削性能比較表であって、被削材をSS400とした
表2Bである。
【図11】図7と同様な本発明品1乃至4の切削性能比
較表であって、被削材をSUS304とした表3Aであ
る。
【図12】図8と同様な従来品1,2及び比較品1,2
の切削性能比較表であって、被削材をSUS304とし
た表3Bである。
【符号の説明】
1 ドリル 2 工具本体 4a 切刃 7 切屑排出溝 La 先端側領域 Lb 後端側領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石崎 光男 岐阜県安八郡神戸町大字横井字中新田 1528番地 三菱マテリアル株式会社 岐 阜製作所内 (72)発明者 北村 健司 岐阜県安八郡神戸町大字横井字中新田 1528番地 三菱マテリアル株式会社 岐 阜製作所内 (56)参考文献 実開 昭61−144905(JP,U) 実開 昭52−86884(JP,U) 実開 昭62−188313(JP,U) 実公 昭53−38953(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23B 51/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 略円柱状をなす工具本体の先端に切刃が
    設けられ、工具本体の軸線方向にねじれを伴う切屑排出
    溝が形成されてなる穴明け工具において、この切屑排出
    溝は、先端側領域ではねじれ角が一定とされ、この先端
    側領域に続く後端側領域で基端方向に向かうに従ってね
    じれ角が漸次減少して溝切れ上がり部で0゜より大きく
    設定され、前記後端側領域の基端側の芯厚が先端側領域
    の芯厚より小さく設定されてなり、 前記先端側領域と後端側領域の接続部は前記工具本体の
    先端から軸線方向に1.0D〜2.5D(但し、Dは工
    具本体の直径とする)の範囲内に設定され、その接続部
    から基端方向に芯厚が小さくなるように形成されている
    こと を特徴とする穴明け工具。
  2. 【請求項2】 前記切屑排出溝のねじれ角は、先端側領
    域が25゜〜35゜の範囲、後端側領域の溝切れ上がり
    部が5゜〜15゜の範囲とされ、芯厚は、先端側領域で
    0.25D〜0.35D(但し、Dは工具本体の直径と
    する)の範囲、後端側領域で0.2D〜0.3Dの範囲
    に設定され、又、溝幅比が0.6〜1.0:1の範囲内
    に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の穴
    明け工具。
  3. 【請求項3】 前記切屑排出溝は、先端側領域で溝幅比
    が一定とされ、後端側領域の先端側で溝幅が先端側領域
    より増大され、更に溝切れ上がり部で先端側領域と同等
    又はそれ以上の溝幅とされていることを特徴とする請求
    項2に記載の穴明け工具。
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