JP3254591B2 - 穀類選別機における残粒排出装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、被選別穀類中に混在し
ている屑粒を排出する回転選別網筒と、この回転選別網
筒の内面に沿わせて被選別穀類を揚上移動させる回転螺
旋体とで構成された選別部を備えてなる穀類選別機にお
いて、選別作業終了後、選別部に残留した穀類を選別部
外に排出する残粒排出装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】縦型の選別網筒の内部に回転螺旋体を設
けて、被選別穀類を回転螺旋体で揚上移動させながら選
別網筒により屑粒を選別排出する穀類選別機は、例え
ば、特開昭６０−２０２７７１号公報に記載されている
ように、種々のものが知られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】この種の穀類選別機に
おいては、選別作業の終了にあたって、回転螺旋体の回
転を停止すると、選別部に穀類が残留する。そして、選
別部に穀類が残留したまま放置すると、次期選別時にそ
れが選別穀類に混入してその品位が損なわれる虞があ
る。また、選別部に穀類を残留したまま季節を越えて長
期間放置すると、その穀類が変質して固化し、回転螺旋
体に付着したり選別網筒が目詰まりを起こすなどの不都
合が生じる。このため、選別部における残留穀類は、作
業の終了時にその都度排出することが肝要である。

【０００４】本発明は、この課題に応えようとするもの
であって、選別作業の終了時において、残粒排出操作部
により残粒排出機能を選択することにより、回転螺旋体
を高速回転させて、選別部に残留した穀類を確実に排出
することができるとともに、回転螺旋体を一定時間を限
って残粒排出に要する時間だけ高速回転させた後選別時
の回転状態に戻して保持することにより、高速回転に伴
って生じ易い回転螺旋体の回転構造部分や回転螺旋体に
対する封止構造などの損耗、破損を無くし、もって、耐
用期間の大幅な延長を図ることができるとともに、残粒
排出後は次期選別作業にそのまま移行することができる
穀類選別機における残粒排出装置を提供することを目的
とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するための技術的手段として、次のように構成したも
のである。すなわち、第１の構成は、被選別穀類中に混
在している屑粒を排出する回転選別網筒と、この回転選
別網筒の内面に沿わせて被選別穀類を揚上移動させる回
転螺旋体とで構成された選別部を備えてなる穀類選別機
において、回転螺旋体を高速回転させて選別部に残留し
た穀類を排出する残粒排出手段と、残粒排出手段による
残粒排出機能を選択する残粒排出操作部と、残粒排出操
作部による残粒排出機能の選択時より一定時間を限って
回転螺旋体を高速回転状態とした後、選別時の回転状態
に戻して保持する回転螺旋体の回転制御手段を設けたも
のである。

【０００６】また、第１の構成において、回転螺旋体を
回転駆動する電動機の回転数を増減するインバータ制御
手段を設け、インバータ制御手段によって残粒排出操作
部による残粒排出機能の選択時より一定時間を限って電
動機を高速回転状態とする構成としたものであり、さら
に、回転螺旋体を回転駆動する電動機の極数を選別時よ
り減らす極数可変手段により回転螺旋体を高速回転させ
る残粒排出手段を構成したものである。そして、インバ
ータ制御手段によるものでは、残粒排出機能の選択時よ
り徐々に加速回転させて高速回転状態へ移行させるよう
に制御する構成とすることができる。

【０００７】

【作用】本発明に係る装置によれば、残粒排出操作部に
よる残粒排出機能を選択すると、その選択時より一定時
間を限って回転螺旋体が高速回転し、選別部に残留した
穀類は排除される。一定時間が経過すると、回転螺旋体
の回転制御手段により選別時の回転状態に戻して保持さ
れる。回転螺旋体を回転駆動する電動機の回転数を増減
するインバータ制御手段を設けたものでは、残粒排出機
能の選択時より高速回転に移行する時間およびその間の
加速度、ならびに高速回転時の回転数を任意に設定でき
るので、残留排出機能が一段と向上する。また、回転螺
旋体を回転駆動する電動機の極数を選別時より減らす極
数可変手段を設けたものでは、残粒排出操作部による残
粒排出機能の選択によって、単に電動機の極数を減らす
切替え変更のみで、残粒排出の高速回転状態とし、電動
機の極数をもとに戻す切替変更により選別時の通常回転
状態とすることができる。

【０００８】

【実施例】本発明の実施例を図面について説明する。図
１および図２において、１は選別部であって、この選別
部１は、外装体２内に回転選別網筒３を設け、回転選別
網筒３に回転螺旋体４を内装して構成されており、回転
螺旋体４は下部の減速機構５を介して電動機６に連動さ
れ、電動機６によって回転駆動されるものである。上記
回転選別網筒３は、減速機構７を介して電動機６に連動
され、回転螺旋体４より低速でかつ逆方向に回転駆動さ
れるようになっている。

【０００９】上記回転選別網筒３の下部位置には被選別
穀類の供給筒８が外装体２に固定して設けられており、
この供給筒８には供給ホッパ９が接続されている。供給
筒８内には、回転選別網筒３と係合して一体に回転する
供給筒体１０が位置しており、供給筒体１０の下部外周
と供給筒８との間にはフェルトパッキン１１が介在させ
てある。供給筒体１０の下部には被選別穀類の導入口１
２が設けられている。また、供給筒体１０の外周には誘
導翼１３が形成されており、この回転する供給筒体１０
と誘導翼１３によって、供給ホッパ９から供給される被
選別穀類を押し下げて導入口１２から内部に誘導案内す
る。１４は糠などの微粉排出溝、１５はその排出羽根で
あり、フェルトパッキン１１によるシール部から漏出す
る微粉は、供給筒体１０と一体に回転する排出羽根１５
により掻き出され、微粉排出口１６から排出する構成と
なっている。なお、外装体２内の下部には糠受け皿が置
かれている（図示せず）。１７は上部穀類排出羽根、１
８は屑粒受部、１９は屑粒排出羽根である。回転選別網
筒３と一体に回転する屑粒排出羽根１９により掻き出さ
れた屑粒は屑粒排出ダクト２０から排出する。２１は供
給筒体１０の残粒排出ダクトである。２２は選別穀類の
精粒を一時貯留するタンク、２３はその送出口であり、
送出口２３には自動開閉シャッタ２４が備えられてい
る。

【００１０】２５は重量計であって、この重量計２５に
は重量を電気信号に変換するロードセルが内蔵されてい
る。重量計２５はタンク２の送出口２３の下方に配置し
て使用されるものである。２６は穀類の収納袋である。
選別された精粒は、タンク２２の送出口２３から収納袋
２６に充填され、予め設定された重量が重量計２５によ
り検出されると、自動シャッタ２４が自動的に閉じるよ
うに自動計量制御がなされる。なお、穀類選別機の本体
には、計量する重量値の設定、重量計２５で設定重量値
を計量した際に穀類送出口２３の自動シャッタ２４を閉
じる等、自動計量のための制御装置２７が備えられてい
る。

【００１１】本発明に係る穀類選別機には、選別作業の
終了時に、選別部３に残留した穀類を排出するための残
粒排出手段が備えられている。この残粒排出手段は、図
３に示すように、電動機６の極数を減らして高速回転さ
せる極数切替回路２８からなる極数可変手段と、残粒排
出スイッチ２９からなる残粒排出操作部と、残粒排出操
作部による残粒排出機能の選択時より一定時間を限って
電動機６を高速回転状態とするタイマー３０を備えた回
転制御手段によって構成されている。上記電動機６は４
つの電極を有し、選別時は４極電動機とし、残粒排出時
は２極電動機とするものである。すなわち、極数切替回
路２８は、残粒排出スイッチ２９を入れた時に電動機６
の電極数を４極から２極に切り替え、タイマー３０に予
め設定されている一定時間の経過時に電源を断って電動
機６を停止させる。また、この際に極数切替回路２８に
より電動機６の電極数を４極に切り替えたうえ停止させ
る。３１は電動機６の電源である。なお、図３に示した
構成において、電源は５０Ｈｚ（または６０Ｈｚ）の交
流電源であり、電動機６は４極のときは１５００ｒ．
ｐ．ｍ（または１８００ｒ．ｐ．ｍ）であり、２極のと
きは３０００ｒ．ｐ．ｍ（または３６００ｒ．ｐ．ｍ）
である。

【００１２】図４には、図３に示したものの他例が示さ
れている。図４に示すものは、回転螺旋体４を回転駆動
する電動機６の回転数を増減するインバータ制御手段３
２を設けて残粒排出手段とし、インバータ制御手段３２
によって残粒排出スイッチ２９を入れた時からタイマー
３０に予め設定された一定時間を限って電動機６を高速
回転状態とする構成としたものである。残粒排出時の高
速回転状態への移行は、インバータ制御手段３２により
徐々に加速回転させるように制御し、高速回転に移行す
る過程における回転衝撃を抑制することもできる。な
お、この実施例では、選別時において重量計２５による
重量の計量信号を受けて電動機６の回転数を制御するた
めのインバータ制御部３３が備えられている。その他の
構成は、図３に示したものと同様である。

【００１３】以上のように構成された本発明に係る装置
によれば、残粒排出スイッチ２９を入れて残粒排出機能
を選択すると、その選択時よりタイマー３０に設定され
た一定時間を限って回転螺旋体４が高速回転し、選別部
３に残留した穀類が排出される。そして、タイマー３０
に設定した一定時間が経過すると、回転螺旋体４を選別
時の回転状態とするように戻してその動作状態が保持さ
れる。回転螺旋体４を回転駆動する電動機６の電極数を
選別時より減らす極数可変手段２８を設けたものでは、
残粒排出スイッチ２９による残粒排出機能の選択によっ
て、単に電動機６の極数を減らす切替え変更のみで、残
粒排出の高速回転状態とし、電動機６の極数をもとに戻
す切替変更により選別時の通常回転状態とすることがで
きる。また、回転螺旋体４を回転駆動する電動機６の回
転数を増減するインバータ制御手段３２を設けたもので
は、残粒排出機能の選択時より高速回転に移行する時間
およびその間の加速度、ならびに高速回転時の回転数を
任意に設定できるので、残留排出機能が一段と向上す
る。

【００１４】図５および図６には、回転螺旋体４とし
て、それぞれ米用と麦用の好適なものが例示されてい
る。図４に示す米用の回転螺旋体４は、その直径に対す
る選別有効長が略１：３であり、螺旋のピッチが狭い構
造のものである。この米用の回転螺旋体４において、３
０００ｒ．ｐ．ｍ（または３６００ｒ．ｐ．ｍ）で残粒
排出の所要時間は約２０秒である。図５に示す麦用の回
転螺旋体４は、その直径に対する選別有効長が略１：３
であり、各螺旋には揚送する麦の一部を下方に落とす切
欠部３４を有する構造のものである。この麦用の回転螺
旋体４において、３０００ｒ．ｐ．ｍ（または３６００
ｒ．ｐ．ｍ）で残粒排出の所要時間は約３０秒である。
残粒排出に要する時間は、螺旋のピッチが小さいほど長
い時間を要し、回転螺旋体４を高速回転させるほど短い
時間で済むが、回転螺旋体４は重量大なるものであるか
ら、軸受などの耐久度などの制約から、通常３０００
ｒ．ｐ．ｍ（または３６００ｒ．ｐ．ｍ）が高速回転の
上限とされる。このため、高速回転の制約から、残粒の
排出には回転螺旋体４の直径と長さの比がその所要時間
にかかわりを有し、その比が小さいほど残留排出時間が
長くなる。なお、麦用の残粒排出所要時間が米用のそれ
より長いのは、麦の表面が米の表面より摩擦抵抗が大で
あることと、切欠部３４から落下する量が多いことなど
に起因する。

【００１５】

【発明の効果】本発明によれば、選別作業の終了時にお
いて、残粒排出操作部により残粒排出機能を選択するこ
とにより、回転螺旋体を高速回転させて、選別部に残留
した穀類を確実に排出することができるとともに、回転
螺旋体を一定時間を限って残粒排出に要する時間だけ高
速回転させた後選別時の回転状態に戻して保持すること
により、高速回転に伴って生じ易い回転螺旋体の回転構
造部分や回転螺旋体に対する封止構造などの損耗、破損
を無くし、もって、耐用期間の大幅な延長を図ることが
できるとともに、残粒排出後は次期選別作業にそのまま
移行することができる効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る穀類選別機の断面図である。

【図２】本発明に係る穀類選別機の全体斜視図である。

【図３】残粒排出装置の構成を示すブロック図である。

【図４】残粒排出装置の構成の他例を示すブロック図で
ある。

【図５】米用の回転螺旋体を例示する斜視図である。

【図６】麦用の回転螺旋体を例示する斜視図である。

【符号の説明】

１ 選別部 ３ 回転選別網筒 ４ 回転螺旋体 ６ 電動機 ８ 選別穀類の供給室 ９ 供給ホッパ １０ 供給筒体 １１ フェルトパッキン ２２ タンク ２５ 重量計 ２８ 極数切替回路 ２９ 残粒排出スイッチ ３０ タイマー ３２ インバータ制御手段

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 被選別穀類中に混在している屑粒を排出
   する回転選別網筒と、この回転選別網筒の内面に沿わせ
   て被選別穀類を揚上移動させる回転螺旋体とで構成され
   た選別部を備えてなる穀類選別機において、 回転螺旋体を高速回転させて選別部に残留した穀類を排
   出する残粒排出手段と、残粒排出手段による残粒排出機
   能を選択する残粒排出操作部と、残粒排出操作部による
   残粒排出機能の選択時より一定時間を限って回転螺旋体
   を高速回転状態とした後、選別時の回転状態に戻して保
   持する回転螺旋体の回転制御手段を設けたことを特徴と
   する穀類選別機における残粒排出装置。
2. 【請求項２】 回転螺旋体を回転駆動する電動機の回転
   数を増減するインバータ制御手段を設け、インバータ制
   御手段によって残粒排出操作部による残粒排出機能の選
   択時より一定時間を限って電動機を高速回転状態とする
   構成としたことを特徴とする請求項１記載の穀類選別機
   における残粒排出装置。
3. 【請求項３】 回転螺旋体を回転駆動する電動機の極数
   を選別時より減らす極数可変手段により回転螺旋体を高
   速回転させる残粒排出手段を構成したことを特徴とする
   請求項１記載の穀類選別機における残粒排出装置。
4. 【請求項４】 インバータ制御手段は、残粒排出機能の
   選択時より徐々に加速回転させて高速回転状態へ移行さ
   せるように制御する構成であることを特徴とする請求項
   ２記載の穀類選別機における残粒排出装置。