JP3252093B2 - 小便器のスプレッダー - Google Patents

小便器のスプレッダー

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JP3252093B2
JP3252093B2 JP35271796A JP35271796A JP3252093B2 JP 3252093 B2 JP3252093 B2 JP 3252093B2 JP 35271796 A JP35271796 A JP 35271796A JP 35271796 A JP35271796 A JP 35271796A JP 3252093 B2 JP3252093 B2 JP 3252093B2
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浩二 三輪
広志 奥田
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株式会社イナックス
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は小便器の上部に設
けられ、洗浄水を小便器内に射水して小便器を洗浄する
スプレッダーに関する。
【0002】
【従来の技術】図5に一例を示すように、一般に小便器
200にはその上部にスプレッダー202が設けられ、
給水管204を通じて供給された洗浄水がこのスプレッ
ダー202から射水され、小便器200内部が洗浄され
るようになっている。
【0003】図6はこの種従来のスプレッダー202の
内部構造を具体的に示したものである。同図(A)にお
いて、208は給水管204を通じて送られる洗浄水を
通水させるための横向きの通水路206を内側に形成す
る通水路形成部で、その先端側に大径且つ袋状のスプレ
ッダー本体210が設けられている。
【0004】このスプレッダー本体210は、大径且つ
円筒形状の周壁部212と、周壁部212の前端開口を
閉鎖する形態で形成され、通水路206からの水流を当
接させる前面閉鎖部214と、それら周壁部212及び
前面閉鎖部214で囲まれた内側の空洞部216とを有
している。
【0005】このスプレッダー本体210には、周壁部
212の略下半部にスリット状の射水孔218が形成さ
れており、空洞部216内に流れ込んだ洗浄水がこの射
水孔218より下向きに勢いよく射水されるようになっ
ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところでこのスプレッ
ダー202の場合、図6中矢印で表されているように、
通水路206から空洞部216に勢いよく流れ込んだ洗
浄水が前面閉鎖部214に当接して向きを反転させるよ
うに流れる。そしてその向きを反転させた水流が射水孔
218の開口部を横切るように流れるため、空洞部21
6内部に流れ込んだ洗浄水がスムーズに射水孔218内
に流れ込まずに図(B)中Pで示す死空間部が生成さ
れ、十分な射水量で洗浄水が射水孔218から射水され
ないといった不具合があった。
【0007】更にまた、射水孔218からスムーズに射
水されないことから、空洞部216の内圧が上がり過ぎ
て射水孔218から出る水流の流速が速くなり、この結
果射水時に小便器内で飛沫が発生したり、また「シュ
ー」といった騒音(射水音)が発生するといった不具合
があった。
【0008】
【課題を解決するための手段】本願の発明のスプレッダ
ーはこのような課題を解決するために案出されたもので
ある。而して本願の請求項1の小便器のスプレッダー
は、給水管より供給された洗浄水を通水するための通水
路を内側に形成する筒状の通水路形成部と、小便器の後
壁面上に突出する状態で該通水路形成部の先端側に形成
されたスプレッダー本体とを有し、該スプレッダー本体
は、筒状の周壁部,該周壁部の先端開口を閉鎖する形態
で形成され、前記通水路からの水流を当接させる前面閉
鎖部及びそれら周壁部と前面閉鎖部とで囲まれた内側の
空洞部を有する袋状形態をなしていて、該周壁部には射
水孔が形成され、前記通水路より空洞部に導かれた洗浄
水を該射水孔より射水して小便器内面を洗浄するように
なされた小便器のスプレッダーにおいて、前記前面閉鎖
部の内面中央部に前記空洞部内に突出する突出部を部分
的に設け、該突出部と前記通水路の先端開口との間に、
該通水路からの水流を前記周壁部に向かう放射方向に方
向変換し、散水させる、該空洞部の前後方向幅よりも幅
狭の散水部を形成したことを特徴とする。
【0009】本願の請求項2の小便器のスプレッダー
は、請求項1において、前記スプレッダー本体の周壁部
は前記通水路よりも内径が大きくされているとともに前
記突出部が該通水路の先端開口と同等以上の大きさで該
通水路と同心状に形成されていることを特徴とする。
【0010】本願の請求項3の小便器のスプレッダー
は、請求項1,2の何れかにおいて、前記突出部が中実
のブロック形態で設けられていることを特徴とする。
【0011】本願の請求項4の小便器のスプレッダー
は、請求項1,2の何れかにおいて、前記突出部が、前
記通水路の先端開口の中心周りに環状をなし、内部が中
空構造の形態で設けられていることを特徴とする。
【0012】本願の請求項5の小便器のスプレッダー
は、請求項1,2,3,4の何れかにおいて、先端に前
記突出部に対応する形状の頭部を有する筒部材を、該先
端が前記前面閉鎖部の内面に当接する位置まで前記通水
路形成部内に挿入し、以て該突出部を設けたことを特徴
とする。
【0013】
【作用及び発明の効果】上記のように請求項1のスプレ
ッダーは、スプレッダー本体における前面閉鎖部の内面
中央部に、空洞部内に突出する突出部を部分的に設け
て、通水路からの水流をスプレッダー本体における周壁
部に向かう放射方向に方向変換し、散水させる散水部を
形成するようになしたもので、このスプレッダーによれ
ば、上記突出部ないし散水部の方向変換作用で、通水路
から流れ込んだ水流を周壁部に向かう方向の水流となす
ことができる。即ち、図6に示す従来のスプレッダーの
ようにスプレッダー本体内部に流れ込んだ水の流れが射
水孔を横切る向きの流れとならず、真直ぐ射水孔に向か
う向きの水流となる。
【0014】従ってこのスプレッダーによれば、射水孔
内部に死空間部を形成することなく、射水孔の幅一杯に
洗浄水を流し込み、スムーズに射水孔から射水すること
ができる。
【0015】従ってこのスプレッダーによれば、射水時
における飛沫或いは射水音(騒音)を抑制することがで
き、また十分な水量で射水孔から射水することができ
る。
【0016】請求項2のスプレッダーは、上記スプレッ
ダー本体の周壁部の内径を通水路のそれよりも大きくす
るとともに、上記突出部を通水路の先端開口と同等以上
の大きさで通水路と同心状に形成したもので、このよう
にすることによって、通水路からスプレッダー本体内に
流れ込んだ水流を効率的に周壁部に向かう流れに変換で
きる。
【0017】尚この場合において、スプレッダー内部に
おける上記突出部の外周側の空間は、通水路からスプレ
ッダー本体内部に流れ込んだ水の一部をそこに逃がし込
むことによって、スプレッダー本体内部の圧力が上がり
過ぎるのを抑制する緩衝空間(圧力吸収空間)として機
能する。
【0018】本発明において、上記突出部は中実のブロ
ック形態で設けることができ(請求項3)、或いはまた
内部が中空構造の環状形態で設けることができる(請求
項4)。
【0019】請求項5のスプレッダーは、先端部に上記
突出部に対応した形態の頭部を有する筒部材を上記通水
路形成部の内部に且つ先端が上記前面閉鎖部の内面に当
接する状態で挿入し、以て突出部を構成したもので、請
求項5に従って突出部を構成した場合、スプレッダー本
体に突出部を一体に形成する場合に較べて、かかる突出
部を容易に構成することができる。
【0020】
【実施例】次に本発明の実施例を図面に基づいて詳しく
説明する。図1及び図2において、10は小便器の上部
且つ後側の壁部12に取り付けられたスプレッダーであ
って、円管状の通水路形成部14と、その先端側に形成
された大径且つ略袋状形態をなすスプレッダー本体16
とを有している。
【0021】通水路形成部14の外周面には雄ねじ18
が形成されていて、そこに固定ナット20が螺合され、
この固定ナット20とスプレッダー本体16とで壁部1
2を内外両側から挟み込む状態で、かかるスプレッダー
10が小便器の壁部12に取り付けられている。本例に
おいて、通水路形成部14の内側には円筒形状の筒部材
22が挿入されており、その筒部材22の内側に横向き
の通水路24が形成されている。
【0022】スプレッダー本体16は、通水路形成部1
4の先端に形成されたフランジ状の拡開部26と、拡開
部26に続く、通水路形成部14よりも大径の円筒形状
の周壁部28と、周壁部28の先端開口を閉鎖する形態
で形成され、通水路24からの水流を当接させる前面閉
鎖部30と、それらにて囲まれた空洞部32とを有して
いる。
【0023】更にまた、このスプレッダー本体16に
は、周壁部28の略下半部にスリット状の射水孔34が
形成されており、スプレッダー本体16内に流れ込んだ
洗浄水がこの射水孔34から小便器内に射水されるよう
になっている。
【0024】尚、本例において射水孔34は正面形状が
略半円形状を成している。また図1(B)及び図2
(B)に示しているように、この射水孔34は、その断
面形状が小便器の後側の壁部12に向かって斜め下向き
に角度αで傾斜する傾斜形状とされている。
【0025】図2(A)に示しているように、上記前面
閉鎖部30の内面中央部には、空洞部32内に部分的に
突出する突出部36が設けられている。この突出部36
は、通水路24と同心状に且つ通水路24の先端開口と
略同じ大きさ、厳密には筒部材22の肉厚相当分だけ大
きく形成されている。本例においては、スプレッダー本
体16における突出部36の外周側に環状の圧力緩衝空
間が確保される。
【0026】上記突出部36は、本例では中実構造のブ
ロック形状に形成されている。この突出部36は、図3
に示しているように先端にブロック状の頭部36aを有
する筒部材22を、その先端が前面閉鎖部30の内面に
当接するまで通水路形成部14の内部に挿入することで
形成されている。ここで筒部材22には、頭部36aに
隣接してアーム38の上側と下側とに正面略半円形状の
開口40が形成されている。
【0027】図2(A)に示しているように、スプレッ
ダー本体16の内部には、上記突出部36の形成によっ
て、かかる突出部36と通水路24の先端開口40との
間に、通水路24からの水流を周壁部28に向かう放射
方向に方向変換し、散水させる散水部42が形成されて
いる。
【0028】本例のスプレッダー10においては、給水
管(図示せず)からの洗浄水が通水路形成部14内の、
厳密には通水路形成部14の内部に挿入された筒部材2
2内の通水路24を通じて横向きの流れで略袋状のスプ
レッダー本体16の空洞部32に流れ込む。
【0029】そして空洞部32に流れ込んだ洗浄水は、
そのまま前面閉鎖部30の内面に形成された突出部36
に衝突し、突出部36と通水路24との間の散水部42
において水流方向が周壁部28に向かう放射方向に水流
の向きが変換される。即ち洗浄水の水流方向が射水孔3
4に向かう方向となる。
【0030】而して洗浄水はその水流方向をほぼ保った
ままで射水孔34に流れ込み(図2(B)参照)、そこ
から小便器内部に向かって、詳しくは小便器の後側の壁
部12に向かって勢いよく射水される。そして小便器内
部が洗浄水によって洗浄される。
【0031】本例のスプレッダー10では、突出部36
と通水路24の先端開口40との間の散水部42におい
て、スプレッダー本体16内部に流れ込んだ洗浄水が周
壁部28に向かう放射方向に方向変換され、真直ぐ射水
孔34に向かう流れとなる。
【0032】従って本例のスプレッダー10によれば、
射水孔34の内部に死空間部を形成することなく、スム
ーズに射水孔34の幅一杯に洗浄水を流し込み、射水孔
34から射水することができる。従って本例のスプレッ
ダー10によれば、射水時における飛沫及び射水音(騒
音)を抑制することができ、また十分な量で洗浄水を射
水孔34から射水することができる。
【0033】また本例のスプレッダー10では、通水路
形成部14の内部に筒部材22を挿入し、その筒部材2
2の頭部36aで突出部36を構成するようにしている
ため、本例によれば、スプレッダー本体16に突出部3
6を一体に形成する場合に較べて、容易に突出部36を
構成できる。
【0034】図4には本発明の別の形態の実施例、詳し
くは上記第一の実施例に対して突出部の形態の異なった
スプレッダー52の例が示されている。
【0035】この例において、(A)に示しているよう
に突出部44は第一の実施例と同様に前面閉鎖部30の
内面中央部において空洞部32内に部分的に突出してお
り、通水路24と同心状に且つ通水路24の先端開口4
0と略同じ大きさで形成されている。但しこの例の突出
部44は、内部が中空構造とされている。即ち通水路2
4の先端開口40の中心周りに環状をなす環状形態をな
している。
【0036】本例においてこの突出部44は、図4
(B)に示している筒部材50を通水路形成部14の内
部に挿入することで形成されている。即ち、環状周壁部
46a及びその先端開口を閉鎖する閉鎖部48aから成
る頭部44aを先端に有する筒部材50を、閉鎖部48
aが前面閉鎖部30の内面に当接する位置まで通水路形
成部14の内部に挿入することで、突出部44が形成さ
れている。
【0037】この例のスプレッダー52においても、横
向きの水流方向で空洞部32に流れ込んだ洗浄水が、散
水部42において周壁部28に向かう放射方向に方向変
換され、射水孔34に真直ぐに向かう流れとなる。
【0038】従って本例のスプレッダー52において
も、射水孔34の内部に死空間部を形成することなく、
射水孔34の幅一杯に洗浄水を流し込み、スムーズに射
水孔34から射水することができる。従って射水時にお
ける飛沫及び射水音(騒音)を抑制することができ、ま
た十分な量で洗浄水を射水孔34から射水することがで
きる。
【0039】以上本発明の実施例を詳述したがこれらは
あくまで一例示であり、例えば上記実施例ではスプレッ
ダー本体と通水路形成部とが一体をなしてスプレッダー
を構成しているが、これらを別々の部材とし、それらを
組み付けてスプレッダーを構成したり、或いはスプレッ
ダー本体16を別々の部材の組付けで構成したりするこ
とも可能である。また上記実施例では筒部材を通水路形
成部の内部に挿入することで突出部を形成しているが、
かかる突出部をスプレッダー本体に一体に形成すること
も可能であるなど、本発明はその主旨を逸脱しない範囲
において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるスプレッダーを小便器
に取り付けた状態で示す図である。
【図2】図1のスプレッダーの内部における洗浄水の流
れを示す図である。
【図3】図1のスプレッダーの構成を示す図である。
【図4】本発明の別の実施例であるスプレッダーを示す
図である。
【図5】本発明の背景説明のための説明図であって、ス
プレッダーを小便器への取付状態で示す図である。
【図6】従来のスプレッダーの内部構造を示す図であ
る。
【符号の説明】
10,52 スプレッダー 12 壁部 14 通水路形成部 16 スプレッダー本体 22,50 筒部材 24 通水路 28 周壁部 30 前面閉鎖部 32 空洞部 34 射水孔 36,44 突出部 36a,44a 頭部 42 散水部

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 給水管より供給された洗浄水を通水する
    ための通水路を内側に形成する筒状の通水路形成部と、
    小便器の後壁面上に突出する状態で該通水路形成部の先
    端側に形成されたスプレッダー本体とを有し、該スプレ
    ッダー本体は、筒状の周壁部,該周壁部の先端開口を閉
    鎖する形態で形成され、前記通水路からの水流を当接さ
    せる前面閉鎖部及びそれら周壁部と前面閉鎖部とで囲ま
    れた内側の空洞部を有する袋状形態をなしていて、該周
    壁部には射水孔が形成され、前記通水路より空洞部に導
    かれた洗浄水を該射水孔より射水して小便器内面を洗浄
    するようになされた小便器のスプレッダーにおいて前記
    前面閉鎖部の内面中央部に前記空洞部内に突出する突出
    部を部分的に設け、該突出部と前記通水路の先端開口と
    の間に、該通水路からの水流を前記周壁部に向かう放射
    方向に方向変換し、散水させる、該空洞部の前後方向幅
    よりも幅狭の散水部を形成したことを特徴とする小便器
    のスプレッダー。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記スプレッダー本
    体の周壁部は前記通水路よりも内径が大きくされている
    とともに前記突出部が該通水路の先端開口と同等以上の
    大きさで該通水路と同心状に形成されていることを特徴
    とする小便器のスプレッダー。
  3. 【請求項3】 請求項1,2の何れかにおいて、前記突
    出部が中実のブロック形態で設けられていることを特徴
    とする小便器のスプレッダー。
  4. 【請求項4】 請求項1,2の何れかにおいて、前記突
    出部が、前記通水路の先端開口の中心周りに環状をな
    し、内部が中空構造の形態で設けられていることを特徴
    とする小便器のスプレッダー。
  5. 【請求項5】 請求項1,2,3,4の何れかにおい
    て、先端に前記突出部に対応する形状の頭部を有する筒
    部材を、該先端が前記前面閉鎖部の内面に当接する位置
    まで前記通水路形成部内に挿入し、以て該突出部を設け
    たことを特徴とする小便器のスプレッダー。
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