JP3251481B2 - 血液リザーバーおよび送血用器具 - Google Patents

血液リザーバーおよび送血用器具

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JP3251481B2
JP3251481B2 JP29037695A JP29037695A JP3251481B2 JP 3251481 B2 JP3251481 B2 JP 3251481B2 JP 29037695 A JP29037695 A JP 29037695A JP 29037695 A JP29037695 A JP 29037695A JP 3251481 B2 JP3251481 B2 JP 3251481B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人工肺などに用い
られる体外血液循環回路中において血液を一時的に貯留
しかつ貯留した血液を送血するための送血機能を備える
血液リザーバーおよび貯血槽より下流側に設けられる送
血用器具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、開心術の際に、生体肺に代わり血
液中の二酸化炭素を除去し、血液に酸素を添加するため
に、人工肺を組み込んだ体外循環回路が用いられてい
る。この体外循環回路では、患者の静脈より脱血し、人
工肺によりガス交換を行った後、この血液を再び患者の
動脈に戻す体外血液循環が行われる。さらに、体外循環
回路には、術野から血液を吸引し、異物を除去した後、
返血するカーディオトミーラインが設けられる。そし
て、このような人工肺体外血液循環回路には、脱血した
血液を一時的に貯留しておくための貯血槽や、術野から
吸引された血液を濾過し、一時的に貯留しておくための
カーディオトミーリザーバーが設置され、回路内の血液
量を調整し、返血量を一定に保つための緩衝機能を果し
ている。そして、このカーディオトミーリザーバーへの
血液流入および患者からの脱血をリザーバーに接続した
吸引装置(陰圧付加装置)により行う方法がとられるこ
とがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】体外血液循環時に、貯
血槽内の血液がゼロになると、送血ポンプにより空気が
体外循環血液回路に送り込まれることになるので、貯血
槽に液面センサを設けて、貯血槽内の貯血量の管理を行
っている。そして、液面センサにより貯血量が所定値以
下であることが検知された場合、送血ポンプによる送血
を一時中断し、貯血量の回復を待つといったことが行わ
れる。しかし、一時的な送血中断は、人工肺を含む回路
内全体での血液停滞となり好ましいものではない。
【0004】そこで、本発明の課題は、貯血槽内部に貯
血量が少なくとも所定値以下になった場合に、貯血量に
対応して送血量を変動させることができ、さらに、この
作用をリザーバーに吸引装置が付加され、リザーバー内
が陰圧状態となっても有効に発現できるポンプ付血液リ
ザーバーおよび送血用器具を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するもの
は、貯血槽と、該貯血槽の血液流出口と連通する貯血部
材と、該貯血部材内の血液を送血する際に駆動する送血
用駆動部と、前記貯血部材および前記送血用駆動部を気
密状態にて収納する収納部とを備え、前記貯血部材は、
前記貯血槽内の貯血量が少なくとも所定値以下となった
ときに、前記貯血槽の貯血量に比例した量の血液を保留
するものであり、前記送血用駆動部は、該貯血部材内の
血液を間欠的に流出させるものであり、さらに、前記収
納部内部は前記貯血槽内部の上部と連通している血液リ
ザーバーである。
【0006】また、上記課題を解決するものは、貯血槽
と、該貯血槽の血液流出口と連通する貯血部材と、該貯
血部材内の血液を送血する際に駆動する送血用駆動部
と、前記貯血部材および前記送血用駆動部を気密状態に
て収納する収納部とを備え、前記貯血部材は、前記貯血
槽内の貯血量が少なくとも所定値以下となったときに、
前記貯血槽の貯血量に比例した量の血液を保留するもの
であり、前記送血用駆動部は、該貯血部材内の血液を間
欠的に流出させるものであり、さらに、前記収納部は、
前記貯血槽内部の上部もしくは吸引装置との接続のため
の接続ポートを備える血液リザーバーである。
【0007】また、上記課題を解決するものは、貯血槽
と、前記貯血槽の血液流出口と連通し、かつ前記貯血槽
の貯血量が少なくとも所定値以下となったときに、貯血
槽内の貯血量に比例した量の血液を保留する貯血部材
と、該貯血槽と前記貯血部材間に位置し、貯血槽側への
血液の流通を抑制する第1の逆止弁と、前記貯血部材へ
の下流側からの血液の流通を抑制する第2の逆止弁と、
前記貯血部材内の血液を送血する際に駆動する送血用駆
動部と、前記貯血部材および前記送血用駆動部を気密状
態にて収納する収納部と、該収納部内部と前記貯血槽内
部上部とを連通する連通部を備える血液リザーバーであ
る。
【0008】また、上記課題を解決するものは、貯血槽
と、前記貯血槽の血液流出口と連通し、かつ前記貯血槽
の貯血量が少なくとも所定値以下となったときに、貯血
槽内の貯血量に比例した量の血液を保留する貯血部材
と、該貯血槽と前記貯血部材間に位置し、貯血槽側への
血液の流通を抑制する第1の逆止弁と、前記貯血部材へ
の下流側からの血液の流通を抑制する第2の逆止弁と、
前記貯血部材内の血液を送血する際に駆動する送血用駆
動部と、前記貯血部材および前記送血用駆動部を気密状
態にて収納する収納部とを備え、該収納部は、前記貯血
槽内部の上部もしくは吸引装置との接続のための接続ポ
ートを有する血液リザーバーである。
【0009】そして、前記貯血部材は、可撓性材料によ
り形成された変形可能部を有し、前記送血駆動部は、送
血の際に前記貯血部材を押圧し前記変形可能部を変形さ
せて、該貯血部材内の血液を押し出すものであることが
好ましい。また、前記貯血部材は、前記貯血槽内の貯血
量が前記所定値以上であれば所定量の血液を保留するも
のであり、前記貯血槽内の貯血量が所定値以下となった
ときに、貯血槽の貯血量に比例して保留する血液量が変
化するものであることが好ましい。さらに、前記貯血部
材は、可撓性貯血部材であり、前記送血用駆動部は、該
貯血部材と接触し、かつ内部に流体の流入および排出が
可能な軟質容器であり、該軟質容器内への流体の注入に
よる軟質容器の膨張により前記貯血部材を押圧し、貯血
部材内の血液を吐出させるものであることが好ましい。
【0010】また、上記課題を解決するものは、貯血槽
と、前記貯血槽の血液流出口と連通する送血用部材を備
える血液リザーバーであって、該送血用部材は、気密性
ハウジングと、該ハウジング内を前記貯血槽と連通する
第1室および貯血槽と連通しない第2室に区分する可撓
性材料製の可動膜とを備え、前記第1室は、前記貯血槽
内の貯血量が少なくとも所定値以下となったときに、前
記貯血槽の貯血量に比例した量の血液を保留する血液保
留部を構成し、前記第2室は、流体の流入により前記可
動膜を変形させ前記血液保留部内の血液を排出させる送
血用駆動部を構成し、該送血用駆動部は、貯血槽もしく
は吸引装置との接続ポートおよび送血用流体ポート、も
しくは前記接続ポートと前記流体ポートを兼用する兼用
ポートを備える血液リザーバーである。
【0011】そして、上記血液リザーバーは、前記送血
用駆動部を駆動させるための送血用流体の流入および排
出を行う送血用流体供給機を備えていてもよい。また、
前記送血用駆動部は、流路制御部を介して前記吸引装置
および送血用流体供給機と接続されていてもよい。さら
に、前記貯血部材および前記送血用駆動部は、少なくと
も2組設けられていることが好ましい。
【0012】また、上記目的を達成するものは、貯血槽
と、前記貯血槽の血液流出口と連通し、かつ前記貯血槽
の貯血量が少なくとも所定値以下となったときに、貯血
槽内の貯血量に比例した量の血液を保留する貯血部材
と、該貯血部材を気密状態にて収納する貯血部材収納部
とを備える血液リザーバーと、前記貯血槽に接続される
吸引手段と、前記貯血部材収納部内への送血用流体の流
入および排出を行う送血用流体供給機と、前記貯血部材
収納部内と前記吸引手段もしくは貯血槽内部上部との接
続部と、該接続部に設けられた流路制御部とを備える送
血装置を備えた血液リザーバー。
【0013】また、上記目的を達成するものは、貯血槽
と、前記貯血槽の血液流出口と連通し、かつ前記貯血槽
の貯血量が少なくとも所定値以下となったときに、貯血
槽内の貯血量に比例した量の血液を保留する貯血部材
と、該貯血部材を気密状態にて収納する貯血部材収納部
と、該貯血部材収納部内と連通するポートとを備える血
液リザーバーと、前記貯血槽に接続される吸引手段と、
前記貯血部材収納部内への送血用流体の流入および排出
を行う送血用流体供給機と、前記ポートと前記送血用流
体供給機および前記吸引手段もしくは前記貯血槽内部上
部とを接続するための接続部と、該接続部に設けられ、
前記ポートと前記吸引手段もしくは前記貯血槽内部上部
との連通を制御する流路制御部とを備えることを特徴と
する送血装置を備えた血液リザーバー。そして、前記貯
血部材収納部および前記貯血部材は、少なくとも2組設
けられていることが好ましい。
【0014】また、上記課題を解決するものは、貯血槽
を備える体外血液循環回路に用いられる送血用器具であ
って、貯血槽への接続部と、前記貯血槽の貯血量が少な
くとも所定値以下となったときに、貯血槽内の貯血量に
比例した量の血液を保留する貯血部材と、該貯血部材内
の血液を送血する際に駆動する送血用駆動部と、前記貯
血部材および前記送血用駆動部を気密状態にて収納する
収納部とを備え、前記貯血部材は、前記貯血槽内の貯血
量が少なくとも所定値以下となったときに、前記貯血槽
の貯血量に比例した量の血液を保留するものであり、前
記送血用駆動部は、該貯血部材内の血液を間欠的に流出
させるものであり、さらに、前記収納部は、前記貯血槽
内部の上部もしくは吸引装置との接続のための接続ポー
トを備える送血用器具である。
【0015】また、上記課題を解決するものは、貯血槽
を備える体外血液循環回路に用いられる送血用器具であ
って、貯血槽への接続部と、前記貯血槽の貯血量が少な
くとも所定値以下となったときに、貯血槽内の貯血量に
比例した量の血液を保留する貯血部材と、該貯血槽と前
記貯血部材間に位置し、貯血槽側への血液の流通を抑制
する第1の逆止弁と、前記貯血部材への下流側からの血
液の流通を抑制する第2の逆止弁と、前記貯血部材内の
血液を送血する際に駆動する送血用駆動部と、前記貯血
部材および前記送血用駆動部を気密状態にて収納する収
納部と、該収納部に設けられ、該収納部内部と前記貯血
槽内部の上部もしくは吸引装置との接続のための接続ポ
ートを備える送血用器具である。
【0016】
【発明の実施の形態】そこで、本発明の血液リザーバー
および送血装置を図面に示す実施例を用いて詳細に説明
する。図1は、本発明の血液リザーバーと送血用流体供
給機を備えた送血装置の外観図であり、図2は、本発明
の血液リザーバーの正面図、図3は、図2に示した血液
リザーバーの左側面図、図4は、図2に示した血液リザ
ーバーの平面図、図5は、図2に示した血液リザーバー
の右側面図、図6は、図5のA−A線断面図、図7は、
図2のB−B線断面図、図8は、図2のC−C線断面
図、図9は、本発明の血液リザーバーの作用を説明する
ための説明図である。
【0017】本発明の送血装置1は、血液リザーバー1
0、送血用流体供給機5、吸引装置8とを備える。血液
リザーバー10は、貯血槽2と、貯血槽2の血液流出口
26と連通する貯血部材3と、貯血部材3の内部の血液
を送血する際に駆動する送血用駆動部4と、貯血部材3
および送血用駆動部4を気密状態にて収納する収納部1
5を備える。貯血部材3は、貯血槽内の貯血量が少なく
とも所定値以下となったときに、貯血槽の貯血量に比例
した量の血液を保留する。収納部15の内部は貯血槽内
部の上部とは連通部9により連通している。送血用駆動
部4は、貯血部材内の血液を間欠的に流出させるために
駆動し、送血用流体供給機5により制御される。
【0018】このように貯血部材3は、貯血槽内の貯血
量が少なくとも所定値以下となったときに、貯血槽の貯
血量に比例した量の血液を保留し、送血用駆動部4は、
貯血部材内の血液を間欠的に流出させるので、貯血槽内
の貯血残量が少なくなればそれに比例した少ない量の送
血が行われ、貯血残量が少量となっても微量な送血が維
持される。このため貯血残量の低下により送血を中断す
る必要がなく、体外循環回路中での血液停滞を回避でき
る。また、血液リザーバー10に吸引装置8が接続さ
れ、リザーバー10内が陰圧状態となっても、連通部9
によりリザーバー内と少なくとも貯血部材を収納する収
納部15は連通しているので、収納部15内も陰圧状態
となり、同一気圧条件となる。このため、吸引装置を作
動させても、貯血部材3は、貯血槽の貯血量に比例した
量の血液を保留する。
【0019】血液リザーバー10は、貯血槽2と送血用
器具6を備えている。送血用器具6は、貯血部材3、送
血用駆動部4およびこれらを気密状態にて収納する収納
部15を備えている。貯血槽2は、図6に示すように、
硬質樹脂により形成された貯血槽ハウジング本体23a
と蓋体23bとで構成されるハウジングを有し、蓋体2
3bは、図2および図6に示すように、ハウジング本体
23aの上部開口を覆うように、ハウジング本体23a
の上端に嵌合されている。蓋体23bは、図4に示すよ
うに、血液流入口16、21、22、エア排出口28、
吸引装置接続用ポート82、収納部との接続用ポート1
1を有している。接続用ポート11には、通気性かつ血
液不透過性部材12が設けられている。血液不透過性部
材12としては、メンブランフィルター、焼結フィルタ
ーなどが使用でき、圧力損失の少ないものが好適であ
る。血液流入口16、22は、術野からの血液を送血す
るカーディオトミーラインに接続される。血液流入口2
1は、患者の心臓上下行静脈に挿入された脱血カニュー
レからの血液を送血する脱血ラインと接続される。ハウ
ジング本体23a内には、血液流入口16より流入した
血液を濾過するための第1のカーディオトミー血液フィ
ルター27と、血液流入口22およびフィルター27を
通過した血液を濾過するためのカーディオトミー血液フ
ィルター25と、血液流入口21より流入した血液を濾
過する静脈血フィルター24が設けられている。
【0020】ハウジング本体23aは、下方に突出した
突出部23cと、突出部23cの下部(下端)に設けら
れた血液流出口26を有している。ハウジング23を構
成する部材としては、例えば、ポリカーボネート、アク
リル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、
アクリル−スチレン共重合体、アクリル−ブタジエン−
スチレン共重合体等が好適に使用できる。特に、ポリカ
ーボネート、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビ
ニルが好ましい。
【0021】貯血槽ハウジング内部には、図6に示すよ
うに、血液を一時的に貯留しておくための貯血部29が
形成されている。この貯血部29の容積は、特に限定さ
れないが、通常、成人用では、200〜2000ml程
度であり、小児用では、100〜1500mlである。
また、ハウジングは、貯血量や内部に貯留している血液
の状態を容易に確認できるように、実質的に透明または
半透明であることが好ましい。突出部23cは、言い換
えれば、断面積狭小部であり、貯血量低下時における貯
血量または貯血量の変化を正確かつ容易に把握できるよ
うにするためのものである。そして、図3に示すよう
に、突出部は、先端に向かってより断面積が小さくなっ
ている。また、正面または側面には、目盛りが付されて
いる。
【0022】貯血槽2の下方には、送血用器具6が取り
付けられている。送血用器具6は、送血器具用ハウジン
グ6aを備え、このハウジング6aは、貯血槽ハウジン
本体23aに固定されている。送血器具用ハウジング
6aと貯血槽ハウジング本体23a間には、気密状態の
収納部15が形成され、この収納部15内に貯血部材3
と送血用駆動部4が収納されている。
【0023】貯血槽ハウジング本体23aと貯血部材3
との間には、最大量の血液を収納した状態の貯血部材3
の一方の側面形状にほぼ合致した貯血部材保持部32が
設けられている。送血用器具6は下方に血液流通部35
を備え、この血液流通部を介して貯血槽2の内部29と
貯血部材3が連通している。また、貯血槽の血液流出口
26付近には、第1の逆止弁33が設けられ、貯血槽側
から血液流通部35側(言い換えれば、貯血部材3側)
への血液の流通を許容し、その逆方向の血液の流通を規
制している。この第1の逆止弁33は、後述する送血駆
動部4の作動中における貯血槽と貯血部材間の連通を遮
断する流路制御部材として機能する。また、送血用器具
6には、血液流通部35と連通する血液排出口7が設け
られており、この血液排出口7付近には、第2の逆止弁
34が設けられており、血液流通部35側(言い換えれ
ば、貯血部材3側)より下流側への血液流通を許容し、
その逆方向の血液流通を規制している。この第2の逆止
弁34は、後述する送血駆動部4の非作動時における下
流側からの血液の貯血部材側(血液流通部側)への流入
を遮断する流路制御部材として機能する。逆止弁33、
34は、円盤状の可動弁体33a、34aとこの弁体3
3a、34aを収納し、血液流通用の開口部を備える枠
部材33b、34bにより形成されている。可動弁体3
3a、34aは、ほぼ血液の比重と等しいか若干軽いも
のが好ましく、このようなものであれば、良好な動作性
を備える。弁体としては、例えば、発泡ポリエチレンが
好適であり、厚さは、1〜10mm程度が好ましい。特
に好ましくは、3〜8mmである。
【0024】また、貯血部材3は、貯血部材3の下方
(下端)であり、ほぼ貯血槽の貯血部29の下端と垂直
方向における同じ高さの位置に形成された血液流通口3
1を介して血液流通部35と連通する。そして、貯血部
材3は、貯血槽2の突出部23cとほぼ平行かつほぼ垂
直の上方に伸びるように形成されている。この貯血部材
3は、軟質樹脂にて袋状に形成されており、かつ、上述
のように貯血槽2の突出部に平行して上方に伸びるよう
に設けられているため、もし、貯血部材3の内部空間の
最上端より貯血槽内の血液面が下方であれば、貯血部
材3内には、この血液面に比例した量の血液が流入す
る。逆に、貯血部材3は、最大保留量は不変であるの
で、貯血部材3の内部空間の最上端より貯血槽内の血
液面が上方であれば、この最大保留量の血液がこの内部
に流入する。
【0025】つまり、この貯血部材3には、貯血槽
の貯血量に比例した圧力が加えられており、圧力(前負
荷)感受性容器となっている。貯血槽の貯血量が所定量
以上(この例では、貯血部材3の内部空間の最上端より
貯血槽内の血液面が上方)であれば、貯血量による圧
力よりも貯血部材3の最大保留量が優先され、貯血部材
3は最大保留量の血液を保留する。貯血槽の貯血量が所
定量以下(この例では、貯血部材3の内部空間の最上端
より貯血槽内の血液面が下方)であれば、貯血部材3
の圧力感受性が機能し、貯血槽内の貯血量(貯血槽内
の血液面高さ)に比例した量の血液を保留する。つま
り、この貯血部材3は、貯血槽の貯血量が少なくとも所
定値以下となったときに、貯血槽内の貯血量に比例した
量の血液を自動的に保留する機能を備えている。
【0026】貯血部材3が保留する血液は、後述する送
血用駆動部により押し出され、押し出された血液は血液
流通部35内に流入し、血液排出口7より流出する。こ
のため、本発明の血液リザーバー10では、貯血槽内の
貯血量が所定値より少なくなった場合、貯血残量に比例
した量の血液が送られることになり、貯血残量が低下す
ればするほど送血量も自動的に低下し限りなく0には近
づくが0になることがなく、ごく微量でも送血を維持す
る。このため、送血停止が生じないため、体外血液循環
回路におけるこの血液リザーバーより下流側での血液滞
留を生じることがない。
【0027】そして、貯血部材3は、自己的に血液を吸
引しないもの、言い換えれば、形状自己復元性を持たな
いことが好ましい。貯血部材3が、予め形成された内部
容積を持つような形状に形成されていると、内部収納し
た血液が駆動部材により押し出され、駆動部材による負
荷が解除されたとき、予め形成されている形状に復元す
ると、その復元力によって生じる吸引力により、貯血槽
側から血液を吸引してしまう。このため、貯血部材は、
最低血液保有量を持つことになり、この最低血液保有量
以下では、上記のような、圧力感受性を発揮しなくな
る。なお、この自己復元力に起因する最低血液保有量
は、0であることが好ましいが、少量であればあっても
よい。好適な貯血部材の形態としては、下方に血液流通
口31を形成するチューブが挟まれた2枚のシートを、
チューブ付近を除き、ほぼ密着させた状態で周縁を熱な
どで融着した軟質バッグ状のものが好ましい。つまり、
成形時の内部容積が実質的に0であるもの、いいかえれ
ば、内部容積が実質的に0となる状態に外部より負荷を
かけ、次いで除荷したときに、その状態がほぼ保たれる
ものが好ましい。貯血部材3の最大血液保留量(最大収
納量、容積)としては、使用する貯血槽の最大貯血量な
どにより相違するが、50〜500ml程度が好まし
く、特に、好ましくは、80〜300mlである。ま
た、血液流通部35の容積より、この貯血部材3の最大
血液保有量は大きいことが好ましく、このようであれ
ば、貯血部材3内の血液は排出されることにより、血液
流通部35内に貯留していた血液全量が押し出されるの
で、血液流通部での血液の滞留が少ない。
【0028】この実施例の貯血部材は、全体が可撓性材
料により形成され、全体が変形可能部であり、送血用駆
動部の膨張時に押圧され変形する。また、貯血部材3が
軟質な袋状のものであれば、血液の流入抵抗が極めて少
ないため、圧力変動に敏感であり、貯血槽の貯血残量に
良好に対応した量の血液を保留する。さらに、この貯血
部材3は、貯血槽内の貯血量が前記所定値以上であれば
所定量の血液を保留するものであり、前記貯血槽内の貯
血量が所定値以下となったときに、貯血槽の貯血量に比
例して保留血液量が変化するものであるので、最大収納
量が決まっており、貯血槽の貯血残量が所定値以上の場
合、この最大収納量を収納するものとすれば、送血用駆
動部による貯血部材の所定時間内での押圧回数(拍出
数)により、通常状態での送血量の制御も容易であり、
1回の拍出による血液量のバラツキもほとんどなく、良
好な拍動流の形成も容易である。しかし、このようなも
のに限られず、貯血部材3の一部(例えば、送血用駆動
部4との接触部)のみが可撓性材料により形成された変
形可能部であってもよい。この実施例の貯血部材は、全
体が可撓性材料により形成され、全体が変形可能部であ
り、送血用駆動部の膨張時に押圧され変形する。しか
し、このようなものに限られず、貯血部材の一部(例え
ば、送血用駆動部4との接触部のみ)が可撓性材料によ
り形成された変形可能部であってもよい。
【0029】軟質樹脂(可撓性合成樹脂)としては、ポ
リ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化
ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデ
ン共重合体、ポリ塩化ビニル−ウレタン共重合体、ポリ
塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−
メタクリル酸メチル共重合体、および上記ポリマーと可
塑剤とからなる軟質ポリ塩化ビニル変性体、ポリウレタ
ンなどが使用できる。
【0030】特に、熱可塑性ポリウレタンが好適であ
る。熱可塑性ポリウレタンとしては、熱可塑性ポリエー
テルポリウレタン、熱可塑性ポリエステルポリウレタン
のいずれでもよいが、より好ましくは熱可塑性ポリエー
テルポリウレタンである。特に、好ましくは、ソフトセ
グメント部分とハードセグメント部分を有するセグメン
ト化熱可塑性ポリエーテルポリウレタンである。ソフト
セグメントの主成分としては、ポリテトラメチレンエー
テルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピ
レングリコールなどが好ましく、ハードセグメントの主
成分としては、1,4−ブタンジオールなどが好まし
い。また、ジイソシアネートとしては、4,4−ジフェ
ニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネー
ト、1,6−ヘキサメチレンジイソシネートなどが好適
である。特に好ましいポリウレタン材料としては、ソフ
トセグメントの主成分として、ポリテトラメチレンエー
テルグリコールを、ハードセグメントの主成分として
は、1,4−ブタンジオールを、ジイソシアネートとし
ては、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートを使
用して形成される熱可塑性セグメント化ポリウレタンで
あり、このポリウレタンは、商品名ペレセン2363と
して、ダウケミカル日本株式会社により販売されてい
る。
【0031】さらに、貯血部材の血液接触面は、抗血栓
性表面となっている事が好ましい。抗血栓性表面は、例
えば、オゾン処理により生成された基材表面の酸化物中
に含まれる官能基と、ヘパリンのアミノ基とが、直接、
または少なくとも一種のカップリング剤を介して共有結
合することにより形成する事が好ましい。この方法であ
れば、溶剤を使用することなく、血液接触面にヘパリン
が固定されるので、血液接触面を形成する基材の物性の
変化、具体的には、可撓性、弾性、強度などの低下が少
ない。オゾン処理によって基材表面に形成される酸化物
中には、種々の官能基、例えば、アルデヒド、ケトン、
エポキシなど反応性の高い官能基が生成される。そし
て、これらの官能基に直接官能基を結合させることも可
能であるが、立体障害等の問題も有り、これらの官能基
にスペーサー(カップリング剤)を導入し、ヘパリンを
固定する方法が、容易で、しかも表面のヘパリン活性発
現の点からも有用である。カップリング剤としては、1
種または2種以上のものを用いてもよく、また2つ以上
のアルデヒド基や、エポキシ基を有する化合物が好適に
用いられる。
【0032】また、複数種のカップリング剤を用いる場
合は、基材上に導入された上記官能基にアミノ基等の官
能基を2つ以上有する化合物からなるカップリング剤
(スペーサ用カップリング剤)を予め結合させて基材に
アミノ酸等を導入した後、ヘパリンを2つ以上のアルデ
ヒド基やエポキシ基を有する化合物からなるカップリン
グ剤(ヘパリン固定用カップリング剤)を用いて基材に
結合させる事が好ましい。さらにはヘパリンを結合する
際に、カップリング剤をヘパリンと同時、あるいはヘパ
リン投入以降に反応系内に投入することが好ましい。特
に、スペーサ用カップリング剤を用いて、アミノ基を導
入すれば、ヘパリンのアミノ基と反応系内でほぼ同様な
反応性を示すので、より効果的に後者のヘパリン固定用
カップリング剤によるヘパリンの基材への固定を行わせ
ることができる。
【0033】また、ヘパリンと直接結合するカップリン
グ剤の官能基または基材に導入された官能基がアルデヒ
ド基である場合は、ヘパリンとして、ヘパリンのN−硫
酸基の一部を脱硫化して第1級アミノ化したものを用い
ることが好ましい。スペーサ用カップリング剤として
は、基材上のオゾン処理により得た官能基と結合(共有
結合)し、かつ2つ以上の第1級アミノ基を有するもの
が好ましい。アミノ基を2つ以上有するスペーサ用カッ
プリング剤としては、ポリエチレンイミン(PEI)、
ポリエチレングリコールジアミン、エチレンジアミン、
テトラメチレンジアミン等が挙げられる。ヘパリンを基
材に固定するために使用されるカップリング剤として
は、アルデヒド化合物、エポキシ化合物が好適に使用で
きる。アルデヒド化合物としては、グルタルアルデヒ
ド、グリオキサール、スクシンジアルデヒド、エポキシ
化合物としては、ポリエチレングリコールジグリシジル
エーテル、1,4−ブタンジオール−ジグリシジルエー
テル、ソルビトールジグリシジルエーテル、グリセロー
ルジグリシジルエーテルなどが好適に使用される。
【0034】具体的には、エポキシ化合物がソルビトー
ルジグリシジルエーテルであるデナコール EX−42
1、521、611、612、614、614B、ジエ
ポキシ化合物がグリセロールジグリシジルエーテルであ
るデナコール EX−313、ジエポキシ化合物がポリ
エチレングリコールグリジジルエーテルであるEX−8
10、811、851、821、830、832、84
1、861(ナガセ化成社製)等が挙げられる。 さら
にエポキシの反応性の違いから、デナコールEX−31
3、421、512、521、810、811、82
1、851等が更に好ましい。そして、上記のヘパリン
固定では、基材に固定されたポリエチレンイミンとグル
タールアルデヒドの結合、グルタールアルデヒドとヘパ
リンの結合はすべて共有結合であり、ヘパリンの離脱が
少ない。
【0035】貯血部材3と送血器具用ハウジング6a
側面部との間には、送血用駆動部4が設けられている。
送血用駆動部4は、上述のような貯血部材形成用の軟質
樹脂により形成され、内部に流通空間4aを備える軟質
バッグ状のものが好適である。この送血用駆動部4は、
ハウジング6aに設けられた送血用流体流通口41と連
通している。使用時には、この流通口41には、図1に
示すように送血用流体供給機が接続され、送血用流体供
給機が備えるコンプレッサーによる送液(もしくは送
気)および排出(もしくは排気)により、膨張および収
縮といった駆動を繰り返す。送血用駆動部4は、非膨張
時(収縮時)には、図6に示すように、貯血部材3に接
触しない状態となっており、膨張時には、図9に示すよ
うに膨らみ、貯血部材3を貯血部材保持部32と共同し
て押圧し、貯血部材3内の血液を排出させる。このよう
に、送血用駆動部4は、流体により膨張収縮を行う軟質
バック状のものであるので、貯血部材の押圧時に貯血部
材に損傷を与えることが少ない。そして、貯血部材3
は、可撓性材料により形成された変形可能部を有し、送
血用駆動部4は、送血の際にこの変形可能部を変形させ
て、貯血部材内の血液を押し出すものであるので、貯血
槽の貯血量に比例した量の血液を間欠的に流出する。
【0036】送血器具用ハウジング6aの上方には、貯
血槽との接続用ポート91が設けられている。この接続
用ポート91と上述した貯血槽の収納部接続用ポート1
1とは、連通部9により連通されており、これにより、
収納部内部空間は貯血槽内部空間と連通する。このた
め、貯血槽内部が吸引され陰圧状態となると同時に収納
部内部も陰圧状態となり、貯血部材の上述した貯血槽の
貯血量(液面高さ)に対応した前負荷感受性を有効に発
現する。なお、接続用ポート91の位置は、収納部内部
と連通するものであればどこでもよい。また、貯血槽の
接続用ポート11の位置も、血液との接触の可能性が少
ない部位であればいずれでもよい。図6の接続用ポート
11は、貯血槽内部の上端に設けられているが、これ
に限られるものではない。例えば、貯血槽のハウジング
23の上部、血液流入口21の近傍の蓋体の上面などで
もよい。連通部9としては、硬質または軟質のチューブ
が使用される。
【0037】そして、図5に示すように、この実施例の
血液リザーバー10では、貯血部材3および送血用駆動
部4は、2組設けられている。そして、収納部15内も
実質的に2つに区分されており、これらは、連通孔93
を介して連通している。なお、収納部15を完全に区分
し、それぞれに接続用ポート91を設けてもよい。貯血
部材3および送血用駆動部4を2組設けたため、図7お
よび図8に示すように、血液流通部35も2つの血液流
通部35a,35bに区分されており、両者は連通して
ない。このように2組以上設けることにより、個々の
貯血部材3、送血用駆動部4の容量は小さくなり、血液
流入および排出リスポンスは良好となる。さらに、この
ように2組以上設け、それぞれの送血用駆動部4の膨張
タイミングをずらせばより良好な血液流を形成すること
ができる。そして、このように送血用駆動部4の膨張タ
イミングをずらしても、この実施例では血液流通部35
a,35bは連通しておらず、個々の貯血部材は独立し
た血液流通部35a,35bを備えるため、一方の貯血
部材より他方の貯血部材に血液が流れることもない。な
お、この実施例に限られるものではなく、貯血部材3お
よび送血用駆動部4は、1組でもよく、さらに、3組以
上でもよい。なお、送血用駆動部4としては、流体によ
り膨張収縮を繰り返すタイプのものを用いているが、こ
れに限られるものではなく、例えば、後述する図14の
送血装置80にて用いられているような、押圧板を機械
的に駆動し貯血部材を押圧するようなタイプのものであ
ってもよい。
【0038】次に、図1に示した送血用流体供給機5に
ついて説明する。送血用流体供給機5は、送血用駆動部
4と連通する接続ポート41に接続された接続部材57
により、血液リザーバー10に接続されている。送血用
流体供給機5は、内部に流体ポンプを備え、液体(例え
ば、水、生理食塩水)または気体(例えば、空気)の送
血用駆動部4への流入および排出を行い、間欠的に流体
の導入と排出を繰り返す。送血用流体供給機5は、正面
に設けられたスイッチパネル52に、所定時間内の送血
流量(例えば、1分間あたりの送血流量)入力スイッチ
または所定時間内の拍出数(例えば、1分間あたりの拍
出数)入力スイッチもしくはこの両者を備えている。表
示部54は、入力される送血流量および拍出数の表示を
行う。供給機5は、演算機能を備えており、送血流量が
入力された場合には、貯血部材3の最大容量(貯血残量
が所定値以上の場合に貯血部材が保留する貯血量)を考
慮して所定時間あたりの拍出数が演算され、この値が表
示部に表示される。なお、この実施例の血液リザーバー
では、貯血部材および送血用駆動部が2セット設けられ
ているので、1つの貯血部材による所定時間当たりの拍
出数は、演算された拍出数の1/2となる。また、逆
に、所定時間内の拍出数(例えば、1分間あたりの拍出
数)が入力された場合には、貯血部材3の最大容量を考
慮して所定時間あたりの送血流量が表示部に表示され
る。
【0039】また、血液リザーバー10に取り付けられ
た液面センサ51は、送血用流体供給機に接続されてい
る。液面センサは、貯血部材3の内部の上端もしくは若
干それより上方となる位置に取り付けられている。そし
て、この液面センサ51により液面がセンサより下方に
なったことが検知されると、ランプ56が点滅し、送血
量制御モードに入ったことを知らせる。これと同時に、
送血量表示部54の表示が消える。
【0040】次に、図10に示す実施例の血液リザーバ
ー50について説明する。この血液リザーバー50の基
本構成は上述した血液リザーバー10と同じであり、相
違は、収納部15と貯血槽2との連通形態である。血液
リザーバー50では、突出部23cの上端もしくはその
付近であり、収納部15を形成する貯血槽ハウジング
23aに接続用ポート91が形成されており、この接
続用ポート91には、貯血槽の内部空間上方に向かって
延びる連通部9が固定されている。連通部9の先端は貯
血槽内部の上部にて開口しており、この開口部には通気
性かつ血液不透過性部材12が取り付けられている。そ
して、この部材12が蓋体の内面に形成された取付部1
4内に挿入され、固定されている。このため、収納部1
5は、部材12および連通部9を介して貯血槽2の内部
空間上部と連通し、かつ、連通部9は固定されているの
で血液により連通部が動くことを防止でき、血液不透過
性部材を介して収納部を貯血槽と連通すれば、収納部へ
の血液流入を防止できるので好ましい。しかし、このよ
うなものに限定されるものではなく、例えば、連通部9
の先端を開口した自由端としたものでもよい。
【0041】次に、図11に示す実施例の血液リザーバ
ー60について説明する。この血液リザーバー60の基
本構成は上述した血液リザーバー10と同じであり、相
違は、収納部15が貯血槽2と連通せず、吸引装置8と
の接続用ポート91を備える点である。このため、貯血
槽2には、収納部15との接続用ポートは不要である。
吸引装置接続用ポート91には、接続用チューブ17が
取り付けられ、収納部15は吸引装置8に接続される。
また、吸引装置8は、貯血槽2の接続用ポート82に取
り付けられたチューブ81により貯血槽にも接続されて
いる。なお、接続用チューブ17をチューブ81に接続
し、チューブ81を介して収納部15が吸引装置と連通
するものであってもよい。このリザーバー60におい
て、吸引装置8を作動させると、貯血槽2の内部ととも
に収納部15内も吸引され、両者内部に気圧条件は同じ
になるので、上述した貯血槽内部の貯血量(血液面高
さ)に対応した貯血部材の前負荷(圧力)感受性は有効
に発現する。
【0042】次に、図12に示す実施例の血液リザーバ
ー65について説明する。この血液リザーバー65は、
上述した血液リザーバー10と貯血槽2、送血用器具の
血液流通部などについては同じであり、送血用器具の送
血機構およびこれに関連する部分が相違している。血液
リザーバー65の送血用器具66は、貯血槽2と、貯血
槽2の血液流出口と連通する送血用部材を備える。送血
用部材は、気密性ハウジング61と、ハウジング61内
を貯血槽と連通する第1室63および貯血槽と連通しな
い第2室64に区分する可撓性材料製の可動膜62を備
える。第1室63は、貯血槽内の貯血量が少なくとも所
定値以下となったときに、貯血槽の貯血量に比例した量
の血液を保留する血液保留部を構成する。第2室64
は、流体の流入により可動膜を変形させ前記血液保留部
内の血液を排出させる送血用駆動部を構成する。
【0043】送血用器具66は、吸引装置および送血用
流体供給機と送血用駆動部を接続するための兼用接続ポ
ート41を備える。血液保留部63は、上述した貯血部
材と同様に、最大保留量が規制されており、かつ、貯血
槽内部の貯血量(血液面高さ)に対応した貯血部材の前
負荷(圧力)感受性を備えるので、貯血槽内の貯血量が
少なくとも所定値以下となったときに、貯血槽の貯血量
に比例した量の血液を保留する。
【0044】兼用接続ポート41は、接続部材57によ
り送血用流体供給機5と接続されている。接続部材57
には、その途中に、流路制御部58が設けられている。
流路制御部58には、接続チューブ17が取り付けら
れ、流路制御部58と吸引装置とを接続している。よっ
て、接続ポート41は、チューブ17、流路制御部58
および接続部材57を介して吸引装置8と連通してい
る。流路制御部58は、送血用駆動部4(接続ポート4
1)と供給機5(言い換えれば、陽圧手段)または送血
用駆動部4(接続ポート41)と吸引装置(言い換え
れば、陰圧手段)との選択的接続を行うために、流路を
切り替えるものである。
【0045】流路制御部58としては、ソレノイドバル
ブなどが使用され、この制御部58は、送血用流体供給
機5に電気的に接続され、制御される。具体的には、上
述した送血用流体供給機5の演算機能により算出された
拍出回数(例えば、1分間内、送血部材が2組あれば、
演算拍出数の1/2とする)を所定時間(例えば、1分
間)内に均等に振り分けて行う。そして、1回の流体の
注入および排出のための時間(拍出時間)は、拍出数/
所定時間より十分に短いため、例えば、15(拍出数)
/60(秒)=4(秒、拍出タイミング時間)におい
て、拍出時間が、例えば1秒であるので、3秒間の供給
停止時間がある。流路制御部58は、拍出開始直前に供
給機5と送血用駆動部(第2室)64とを連通し、拍出
終了直後に供給機5と送血用駆動部64との連通を遮断
し、送血用駆動部64を吸引装置8と接続させる。これ
により、供給機による流体の供給停止中の送血用駆動部
64は、吸引装置8により貯血槽内部と同じ陰圧状態と
なるので、吸引装置を作動させても、血液保留部63
(第1室)において、上述した前負荷(圧力)感受性は
有効に発現する。
【0046】なお、この実施例では、接続ポート41
は、吸引装置に直接接続されているが、これに限られる
ものではない。例えば、接続ポート41は、貯血槽2と
吸引装置8とを接続する接続チューブ81に接続しても
よく、また、貯血槽2の内部上部と連通するように貯血
槽と接続してもよい。
【0047】次に、図16に示す実施例の血液リザーバ
ーについて説明する。この血液リザーバー120の基本
構成は、図12に示したものと同じであり、送血機構が
相違しているのみである。この血液リザーバー120で
は、貯血槽2と、貯血槽2の血液流出口と連通し、貯血
槽2の貯血量が少なくとも所定値以下となったときに、
貯血槽2内の貯血量に比例した量の血液を保留する貯血
部材3と、貯血部材3を気密状態にて収納する貯血部材
収納部15とを備える血液リザーバーが用いられてい
る。さらに、貯血槽2に接続された吸引手段8と、貯血
部材収納部15内への送血用流体の流入および排出を行
う送血用流体供給機5と、貯血部材収納部15内と吸引
手段8もしくは貯血槽内部上部との接続部57,17
と、接続部57,17に設けられた流路制御部58とを
備える。
【0048】具体的には、血液リザーバー120は、貯
血部材収納部15は内と連通するポート41とを備え、
ポート41と送血用流体供給機5および吸引手段8は接
続部57,17により接続されている。そして、接続部
57,17は、ポート41(貯血部材収納部15内)と
吸引手段8との連通を制御する流路制御部58を備えて
いる。より具体的には、ポート41は、送血用流体供給
機5と吸引手段8との接続のための兼用接続ポートとな
っている。このポート41は、接続部材57により送血
用流体供給機5と接続されている。接続部材57の途中
に、流路制御部58が設けられている。流路制御部58
には、接続チューブ17が取り付けられ、流路制御部5
8と吸引装置とを接続している。よって、接続ポート4
1は、チューブ17、流路制御部58および接続部材5
7を介して吸引装置8と連通している。流路制御部58
は、送血用駆動部4(接続ポート41)と供給機5(言
い換えれば、陽圧手段)または送血用駆動部4(接続ポ
ート41)と吸引装置(言い換えれば、陰圧手段)との
選択的接続を行うために、流路を切り替えるものであ
る。流路制御部およびその制御方法としては、上述した
ものおよび方法が用いられる。
【0049】吸引手段などの装置およびそれらとの接続
部を除いた、いわゆる血液リザーバーの基本部分の構造
を図18に示す。この血液リザーバー125では、図6
に示した血液リザーバーが備えている送血用駆動部4、
ポート91,11,接続部9、連通口93を備えていな
い。このため、血液リザーバー単体では、貯血部材収納
部15は、貯血槽の上部との連通機構は備えていない。
また、図5、図6のリザーバーが備える連通口93を、
このリザーバー125では、図19に示すように、備え
ないため、収納部15が完全に2つに気密に区分されて
いる。このため収納部15の一方を加圧したとき、他方
が加圧されることがない。この実施例のリザーバー12
5では、送血用流体供給機が備えるコンプレッサーによ
る送液(もしくは送気)および排出(もしくは排気)に
より、直接貯血部材3が膨張および復元といった駆動を
繰り返すことになる。
【0050】また、この実施例のリザーバー125で
は、接続ポート41は、吸引装置に直接接続されている
が、これに限られるものではない。図17に示す実施例
の血液リザーバー130のように、貯血槽2の内部上部
と連通するように貯血槽と接続してもよい。また、接続
ポート41は、貯血槽2と吸引装置8とを接続する接続
チューブ81に接続してもよい。
【0051】次に、図13に示す本発明の送血用器具7
0について説明する。この送血用器具70は、貯血槽を
備える体外血液循環回路に用いられるものであり、貯血
槽の血液流出口と連通する貯血部材3と、貯血部材3内
の血液を送血する際に駆動する送血用駆動部4と、貯血
部材3および送血用駆動部4を気密状態にて収納する収
納部71を備える。貯血部材3は、上述したものと同様
に貯血槽内の貯血量が少なくとも所定値以下となったと
きに、貯血槽の貯血量に比例した量の血液を保留するも
のであり、送血用駆動部4は、貯血部材内の血液を間欠
的に押し出すものである。収納部71は、貯血槽内部の
上部もしくは吸引装置とこの収納部内部とを連通するた
めの接続ポート78を備える。
【0052】送血用器具70は、内部に血液流通部35
を備える血液通路形成用ハウジング73と、貯血部材3
と送血用駆動部4を気密状態にて収納し、内部に収納部
71を形成する収納部形成用ハウジング79を備える。
血液流路形成用ハウジング73は、一端に貯血槽の血液
流出口に接続される血液流入ポート76を、他端に血液
流出ポート77を備える。送血部材用ハウジング79
は、下部に血液通路ハウジング73の取付部を備え、内
部は、貯血部材3と送血用駆動部4を収納する。貯血部
材3および送血用駆動部4としては、上述したものが好
適に使用できる。収納部形成用ハウジング79の側面に
は、送血用流体ポート41が突出している。また、ハウ
ジング79の上端に接続ポート78が形成されている。
接続ポートの位置は、収納部内部と連通するものであれ
ば限定されるものではない。
【0053】貯血部材3は、血液流通口31を介して、
ハウジング73内に形成された血液流通部35と連通し
ており、ハウジング73の血液流入ポート76付近に
は、第1の逆止弁33が設けられており、貯血槽側から
血液流通部35側(言い換えれば、貯血部材3側)への
血液の流通を許容し、その逆方向の血液の流通を規制し
ている。ハウジング73の血液流出ポート77付近に
は、第2の逆止弁34が設けられている。逆止弁として
は、ボール弁が用いられている。送血用駆動部4の内部
は、送血用流体流通口41と連通している。なお、この
実施例では、送血用駆動部4は、貯血部材3の両面に接
触するような形状となっている。具体的には、2つに折
り畳まれた送血用駆動部内に、貯血部材3が挟まれるよ
うになっている。また。送血用駆動部4をドーナツ状に
形成し、内部に貯血部材3を配置したものでもよい。こ
のように、送血用駆動部4が貯血部材3のほぼ全面に接
触するものであれば、貯血部材3内の血液の押し出しを
より確実に行うことができる。
【0054】次に、図14に示す本発明の送血用器具に
ついて説明する。図14には、送血用器具81を組み込
んだ送血装置80を図示している。この送血用器具81
も上述した送血用器具70と同様に、貯血槽を備える体
外血液循環回路に用いられるものであり、貯血槽の血液
流出口と連通する貯血部材83と、貯血部材83内の血
液を送血する際に駆動する送血用駆動部(押圧板)87
と、貯血部材83および送血用駆動部87を気密状態に
て収納する収納部100を備える。収納部100は、貯
血槽内部の上部もしくは吸引装置との連通のための接続
ポート101を備え、この実施例では、連通部9によ
り、貯血部2に接続されている。なお、吸引装置に接続
してもよい。貯血部材83は、血液流通部を備え、一端
に貯血槽の血液流出口に接続される血液流入ポート76
を、他端に血液流出ポート77を備える血液流路形成部
材に取り付けられている。貯血部材83は、血液流通部
と連通し、上下方向に伸縮可能な形状となっており、つ
まりベローズタイプに形成されている。この蛇腹状側面
を有する貯血部材83は、貯血槽2の貯血量が少なくと
も所定値以下となったときに、貯血槽内の貯血量に比例
した量の血液を保留する。つまり、貯血槽内の血液面が
所定値以下であると、貯血部材83の上端は貯血槽内の
血液面に対応して上下する、いわゆる前負荷感受性を備
える。貯血部材83の上端は平面状になっている。収納
部100は、貯血槽内部の上部と連通部9により接続さ
れている。なお、使用時には、貯血槽2に吸引装置(図
示せず)が接続される。この吸引装置を作動させると、
貯血槽内部は陰圧状態となるが、収納部100内も同時
に陰圧状態となり、収納部内部は貯血槽内部と同一気圧
条件となり、貯血部材の前負荷感受性は、吸引によって
も低下しない。
【0055】送血用駆動部は、貯血部材83の上端平面
を押圧するための貯血部材押圧板87を備え、この押圧
板87はシリンダー89aのピストンロッド89bに固
定されている。シリンダー89aは、空圧または油圧発
生装置92に接続されており、装置92の作動により、
上下に移動する。下方への移動時に、押圧板87は、貯
血部材83を下方に押し下げ、貯血部材はこの押圧板8
7と収納部100の底面間に挟まれ、内部容積が減少
し、内部の血液を排出し、排出された血液は、人工肺
側に流れる。血液流入ポート76付近には、第1の逆
止弁33が設けられており、貯血槽側から血液流通部側
(言い換えれば、貯血部材3側)への血液の流通を許容
し、その逆方向の血液の流通を規制している。血液流出
ポート77付近には、第2の逆止弁34が設けられてい
る。逆止弁としては、ボール弁が用いられている。
【0056】次に、図15に示す本発明の送血用器具に
ついて説明する。図15には、送血用器具105を組み
込んだ送血装置110を図示している。この送血用器具
105の基本構成は、上述した送血用器具81と同じで
あり、相違点は、逆止弁の代わりに流路制御手段を用い
ている点である。貯血部材83の上端は平面状になって
おり、その上には押圧板87が設けられている。押圧板
87はシリンダー89aのピストンロッド89bに固定
されている。シリンダー89aは、空圧または油圧発生
装置92に接続されており、装置92の作動により、上
下に移動する。下方への移動時に、押圧板87は、貯血
部材83を下方に押し下げ、貯血部材はこの押圧板87
と収納部100の底面間に挟まれ、内部の血液を排出
し、排出された血液は、人工肺94側に流れる。血液流
入ポート付近には、第1の流路制御手段(例えば、電磁
弁が取り付けられたクランプ)96が設けられている。
血液流出ポート付近には、第2の流路制御手段97が設
けられている。この流路制御手段96、97および空圧
または油圧発生装置92は、制御装置95に接続されて
おり、制御装置95は、ピストンロッドの下降時(押圧
板の下降時)には、第1の流路制御手段96により流路
を遮断し、貯血部材と貯血槽間を遮断し、ピストンロッ
ドの上昇時(押圧板の上昇時)には、第の流路制御手
段97により流路を遮断し、貯血部材への下流側からの
血液流入を阻止する。
【0057】
【発明の効果】本発明の血液リザーバーは、貯血槽と、
該貯血槽の血液流出口と連通する貯血部材と、該貯血部
材内の血液を送血する際に駆動する送血用駆動部と、前
記貯血部材および前記送血用駆動部を気密状態にて収納
する収納部とを備え、前記貯血部材は、前記貯血槽内の
貯血量が少なくとも所定値以下となったときに、前記貯
血槽の貯血量に比例した量の血液を保留するものであ
り、前記送血用駆動部は、該貯血部材内の血液を間欠的
に流出させるものであり、さらに、前記収納部は、前記
貯血槽内部の上部と連通していか、または、前記貯血
槽内部の上部もしくは吸引装置との接続のための接続ポ
ートを備えている。
【0058】このため、貯血槽内の貯血量が所定値より
少なくなった場合、貯血残量に比例した量の血液が送ら
れることになり、貯血残量が低下すればするほど送血量
も低下し限りなく0には近づくが0になることがなく、
ごく微量でも送血を維持する。よって、送血停止が生じ
ないため、体外血液循環回路におけるこの血液リザーバ
ーより下流側での血液滞留を生じることがない。さら
に、貯血槽に吸引装置が取り付けられ貯血槽内が陰圧状
態になっても、貯血部材を収納する収納部は、貯血槽も
しくは吸引装置に連通しているので陰圧状態となり、同
一気圧条件となる。このため、吸引装置を作動させて
も、貯血部材の上記作用を確実に発現できる。
【0059】また、本発明の血液リザーバーは、貯血槽
と、前記貯血槽の血液流出口と連通し、かつ前記貯血槽
の貯血量が少なくとも所定値以下となったときに、貯血
槽内の貯血量に比例した量の血液を保留する貯血部材
と、該貯血槽と前記貯血部材間に位置し、貯血槽側への
血液の流通を抑制する第1の逆止弁と、前記貯血部材へ
の下流側からの血液の流通を抑制する第2の逆止弁と、
前記貯血部材内の血液を送血する際に駆動する送血用駆
動部と、前記貯血部材および前記送血用駆動部を気密状
態にて収納する収納部と、該収納部内部と前記貯血槽内
部上部とを連通する連通部もしくは前記貯血槽内部の上
部もしくは吸引装置との接続のための接続ポートを備え
る血液リザーバーである。このため、上述の効果に加
え、2つの逆止弁を備えるので、良好な血液の流れを形
成でき、かつ、貯血部材の機能をより有効に発揮でき
る。
【0060】また、本発明の送血装置を備えた血液リザ
ーバーは、貯血槽と、前記貯血槽の血液流出口と連通
し、かつ前記貯血槽の貯血量が少なくとも所定値以下と
なったときに、貯血槽内の貯血量に比例した量の血液を
保留する貯血部材と、該貯血部材を気密状態にて収納す
る貯血部材収納部とを備える血液リザーバーと、前記貯
血槽に接続される吸引手段と、前記貯血部材収納部内へ
の送血用流体の流入および排出を行う送血用流体供給機
と、前記貯血部材収納部内と前記吸引手段もしくは貯血
槽内部上部との接続部と、該接続部に設けられた流路制
御部とを備えるものである。
【0061】このため、貯血槽内の貯血量が所定値より
少なくなった場合、貯血残量に比例した量の血液が送ら
れることになり、貯血残量が低下すればするほど送血量
も低下し限りなく0には近づくが0になることがなく、
ごく微量でも送血を維持する。よって、送血停止が生じ
ないため、体外血液循環回路におけるこの血液リザーバ
ーより下流側での血液滞留を生じることがない。さら
に、貯血槽に接続された吸引装置により貯血槽内が陰圧
状態になっても、貯血部材を収納する収納部も陰圧状態
となり、同一気圧条件となる。このため、吸引装置を作
動させても、貯血部材の上記作用を確実に発現できる。
また、送血用流体供給機による貯血部材収納部の加圧時
には、前記貯血部材収納部内と前記吸引手段もしくは貯
血槽内部上部との接続部に設けられた流路制御部を用い
て、制御部を閉塞することにより、供給機により貯血槽
内部を加圧することもしくは吸引手段に負荷をかけるこ
とがない。
【0062】また、本発明の送血用器具は、貯血槽を備
える体外血液循環回路に用いられる送血用器具であっ
て、貯血槽への接続部と、前記貯血槽の貯血量が少なく
とも所定値以下となったときに、貯血槽内の貯血量に比
例した量の血液を保留する貯血部材と、貯血部材と、該
貯血部材内の血液を送血する際に駆動する送血用駆動部
と、前記貯血部材および前記送血用駆動部を気密状態に
て収納する収納部とを備え、前記貯血部材は、前記貯血
槽内の貯血量が少なくとも所定値以下となったときに、
前記貯血槽の貯血量に比例した量の血液を保留するもの
であり、前記送血用駆動部は、該貯血部材内の血液を間
欠的に流出させるものであり、さらに、前記収納部は、
前記貯血槽内部の上部もしくは吸引装置との接続のため
の接続ポートを備えている。
【0063】このため、貯血槽内の貯血量が所定値より
少なくなった場合、貯血残量に比例した量の血液が送ら
れることになり、貯血残量が低下すればするほど送血量
も低下し限りなく0には近づくが0になることがなく、
ごく微量でも送血を維持する。よって、送血停止が生じ
ないため、体外血液循環回路におけるこの送血用器具よ
り下流側での血液滞留を生じることがない。さらに、貯
血槽に吸引装置が取り付けられ貯血槽内が陰圧状態にな
っても、貯血部材を収納する収納部は、貯血槽もしくは
吸引装置に連通しているので陰圧状態となり、同一気圧
条件となる。このため、吸引装置を作動させても、貯血
部材の上記作用を確実に発現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の血液リザーバーと送血用流体
供給機および吸引手段を備えた送血装置を備えた血液リ
ザーバーの外観図である。
【図2】図2は、本発明の血液リザーバーの正面図であ
る。
【図3】図3は、図2に示した血液リザーバーの左側面
図である。
【図4】図4は、図2に示した血液リザーバーの平面図
である。
【図5】図5は、図2に示した血液リザーバーの右側面
図である。
【図6】図6は、図5のA−A線断面図である。
【図7】図7は、図2のB−B線断面図である。
【図8】図8は、図2のC−C線断面図である。
【図9】図9は、本発明の血液リザーバーの作用を説明
するための説明図である。
【図10】図10は、本発明の他の実施例の血液リザー
バーの断面図である。
【図11】図11は、本発明の他の実施例の血液リザー
バーと送血用流体供給機および吸引手段を備えた送血装
置を備えた血液リザーバーの外観図である。
【図12】図12は、本発明の他の実施例の血液リザー
バーと送血用流体供給機および吸引手段を備えた送血装
置を備えた血液リザーバーの外観図である。
【図13】図13は、本発明の送血用器具の一実施例の
断面図である。
【図14】図14は、本発明の実施例の送血用器具を組
み込んだ送血装置の模式図である。
【図15】図15は、本発明の他の実施例の送血用器具
を組み込んだ送血装置の模式図である。
【図16】図16は、血液リザーバーと送血用流体供給
機および吸引手段を備えた本発明の実施例の送血装置を
備えた血液リザーバーの外観図である。
【図17】図17は、血液リザーバーと送血用流体供給
機および吸引手段を備えた本発明の他の実施例の送血装
置を備えた血液リザーバーの外観図である。
【図18】図16に示した送血装置を備えた血液リザー
バーに用いられる血液リザーバーの一例を示す断面図で
ある。
【図19】図16に示した送血装置を備えた血液リザー
バーに用いられる血液リザーバーの一例を示す側面図で
ある。
【符号の説明】
1 送血装置 2 貯血槽 3 貯血部材 4 送血用駆動部 5 送血用流体供給機 6 送血用器具 6a 送血器具用ハウジング 7 血液排出口 10 血液リザーバー 21 血液流入口 22 血液流入口 23 貯血槽ハウジング 26 貯血槽の血液流出口 31 血液流通口 32 貯血部材保持部 33 第1の逆止弁 34 第2の逆止弁 35 血液流通部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−154935(JP,A) 特開 平5−345019(JP,A) 実開 平3−49852(JP,U) 特公 平6−102088(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61M 1/10 - 1/36

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 貯血槽と、該貯血槽の血液流出口と連通
    する貯血部材と、該貯血部材内の血液を送血する際に駆
    動する送血用駆動部と、前記貯血部材および前記送血用
    駆動部を気密状態にて収納する収納部とを備え、前記貯
    血部材は、前記貯血槽内の貯血量が少なくとも所定値以
    下となったときに、前記貯血槽の貯血量に比例した量の
    血液を保留するものであり、前記送血用駆動部は、該貯
    血部材内の血液を間欠的に流出させるものであり、さら
    に、前記収納部内部は前記貯血槽内部の上部と連通して
    いることを特徴とする血液リザーバー。
  2. 【請求項2】 貯血槽と、該貯血槽の血液流出口と連通
    する貯血部材と、該貯血部材内の血液を送血する際に駆
    動する送血用駆動部と、前記貯血部材および前記送血用
    駆動部を気密状態にて収納する収納部とを備え、前記貯
    血部材は、前記貯血槽内の貯血量が少なくとも所定値以
    下となったときに、前記貯血槽の貯血量に比例した量の
    血液を保留するものであり、前記送血用駆動部は、該貯
    血部材内の血液を間欠的に流出させるものであり、さら
    に、前記収納部は、前記貯血槽内部の上部もしくは吸引
    装置との接続のための接続ポートを備えることを特徴と
    する血液リザーバー。
  3. 【請求項3】 貯血槽と、前記貯血槽の血液流出口と連
    通し、かつ前記貯血槽の貯血量が少なくとも所定値以下
    となったときに、貯血槽内の貯血量に比例した量の血液
    を保留する貯血部材と、該貯血槽と前記貯血部材間に位
    置し、貯血槽側への血液の流通を抑制する第1の逆止弁
    と、前記貯血部材への下流側からの血液の流通を抑制す
    る第2の逆止弁と、前記貯血部材内の血液を送血する際
    に駆動する送血用駆動部と、前記貯血部材および前記送
    血用駆動部を気密状態にて収納する収納部と、該収納部
    内部と前記貯血槽内部上部とを連通する連通部を備える
    ことを特徴とする血液リザーバー。
  4. 【請求項4】 貯血槽と、前記貯血槽の血液流出口と連
    通し、かつ前記貯血槽の貯血量が少なくとも所定値以下
    となったときに、貯血槽内の貯血量に比例した量の血液
    を保留する貯血部材と、該貯血槽と前記貯血部材間に位
    置し、貯血槽側への血液の流通を抑制する第1の逆止弁
    と、前記貯血部材への下流側からの血液の流通を抑制す
    る第2の逆止弁と、前記貯血部材内の血液を送血する際
    に駆動する送血用駆動部と、前記貯血部材および前記送
    血用駆動部を気密状態にて収納する収納部とを備え、該
    収納部は、前記貯血槽内部の上部もしくは吸引装置との
    接続のための接続ポートを有することを特徴とする血液
    リザーバー。
  5. 【請求項5】 前記貯血部材は、可撓性材料により形成
    された変形可能部を有し、前記送血駆動部は、送血の際
    に前記貯血部材を押圧し前記変形可能部を変形させて、
    該貯血部材内の血液を押し出すものである請求項1ない
    し4のいずれかに記載の血液リザーバー。
  6. 【請求項6】 前記貯血部材は、可撓性貯血部材であ
    り、前記送血用駆動部は、該貯血部材と接触し、かつ内
    部に流体の流入および排出が可能な軟質容器であり、該
    軟質容器内への流体の注入による軟質容器の膨張により
    前記貯血部材を押圧し、貯血部材内の血液を吐出させる
    ものである請求項1ないしのいずれかに記載の血液リ
    ザーバー。
  7. 【請求項7】 貯血槽と、前記貯血槽の血液流出口と連
    通する送血用部材を備える血液リザーバーであって、該
    送血用部材は、気密性ハウジングと、該ハウジング内を
    前記貯血槽と連通する第1室および貯血槽と連通しない
    第2室に区分する可撓性材料製の可動膜とを備え、前記
    第1室は、前記貯血槽内の貯血量が少なくとも所定値以
    下となったときに、前記貯血槽の貯血量に比例した量の
    血液を保留する血液保留部を構成し、前記第2室は、流
    体の流入により前記可動膜を変形させ前記血液保留部内
    の血液を排出させる送血用駆動部を構成し、該送血用駆
    動部は、貯血槽もしくは吸引装置との接続ポートおよび
    送血用流体ポート、もしくは前記接続ポートと前記流体
    ポートを兼用する兼用ポートを備えることを特徴とする
    血液リザーバー。
  8. 【請求項8】 前記貯血部材および前記送血用駆動部
    は、少なくとも2組設けられている請求項1ないし
    いずれかに記載の血液リザーバー。
  9. 【請求項9】 貯血槽と、前記貯血槽の血液流出口と連
    通し、かつ前記貯血槽の貯血量が少なくとも所定値以下
    となったときに、貯血槽内の貯血量に比例した量の血液
    を保留する貯血部材と、該貯血部材を気密状態にて収納
    する貯血部材収納部とを備える血液リザーバーと、前記
    貯血槽に接続される吸引手段と、前記貯血部材収納部内
    への送血用流体の流入および排出を行う送血用流体供給
    機と、前記貯血部材収納部内と前記吸引手段もしくは貯
    血槽内部上部との接続部と、該接続部に設けられた流路
    制御部とを備えることを特徴とする送血装置を備えた血
    液リザーバー。
  10. 【請求項10】 貯血槽と、前記貯血槽の血液流出口と
    連通し、かつ前記貯血槽の貯血量が少なくとも所定値以
    下となったときに、貯血槽内の貯血量に比例した量の血
    液を保留する貯血部材と、該貯血部材を気密状態にて収
    納する貯血部材収納部と、該貯血部材収納部内と連通す
    るポートとを備える血液リザーバーと、前記貯血槽に接
    続される吸引手段と、前記貯血部材収納部内への送血用
    流体の流入および排出を行う送血用流体供給機と、前記
    ポートと前記送血用流体供給機および前記吸引手段もし
    くは前記貯血槽内部上部とを接続するための接続部と、
    該接続部に設けられ、前記ポートと前記吸引手段もしく
    は前記貯血槽内部上部との連通を制御する流路制御部と
    を備えることを特徴とする送血装置を備えた血液リザー
    バー。
  11. 【請求項11】 貯血槽を備える体外血液循環回路に用
    いられる送血用器具であって、貯血槽への接続部と、前
    記貯血槽の貯血量が少なくとも所定値以下となったとき
    に、貯血槽内の貯血量に比例した量の血液を保留する貯
    血部材と、該貯血部材内の血液を送血する際に駆動する
    送血用駆動部と、前記貯血部材および前記送血用駆動部
    を気密状態にて収納する収納部とを備え、前記送血用駆
    動部は、該貯血部材内の血液を間欠的に流出させるもの
    であり、さらに、前記収納部は、前記貯血槽内部の上部
    もしくは吸引装置との接続のための接続ポートを備える
    ことを特徴とする送血用器具。
  12. 【請求項12】 貯血槽を備える体外血液循環回路に用
    いられる送血用器具であって、貯血槽への接続部と、前
    記貯血槽の貯血量が少なくとも所定値以下となったとき
    に、貯血槽内の貯血量に比例した量の血液を保留する貯
    血部材と、前記貯血槽と該貯血部材間に位置し、貯血槽
    側への血液の流通を抑制する第1の逆止弁と、前記貯血
    部材への下流側からの血液の流通を抑制する第2の逆止
    弁と、前記貯血部材内の血液を送血する際に駆動する送
    血用駆動部と、前記貯血部材および前記送血用駆動部を
    気密状態にて収納する収納部と、該収納部に設けられ、
    該収納部内部と前記貯血槽内部の上部もしくは吸引装置
    との接続のための接続ポートを備えることを特徴とする
    送血用器具。
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