JP3354766B2 - 圧力制御弁付貯血槽、貯血槽用圧力制御弁および圧力制御弁付貯血槽を備えた人工肺装置 - Google Patents

圧力制御弁付貯血槽、貯血槽用圧力制御弁および圧力制御弁付貯血槽を備えた人工肺装置

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JP3354766B2
JP3354766B2 JP29613695A JP29613695A JP3354766B2 JP 3354766 B2 JP3354766 B2 JP 3354766B2 JP 29613695 A JP29613695 A JP 29613695A JP 29613695 A JP29613695 A JP 29613695A JP 3354766 B2 JP3354766 B2 JP 3354766B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、心臓手術時に用い
られる体外循環回路に組み込まれて使用される貯血槽、
特に、圧力制御弁付貯血槽および貯血槽用圧力制御弁さ
らに圧力制御弁付貯血槽を備えた人工肺装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】近年、開心術の際に、生体肺に代わり血
液中の二酸化炭素を除去し、血液に酸素を添加するため
の体外血液循環回路が用いらる。この体外循環回路で
は、患者の静脈より脱血し、人工肺によりガス交換を行
った後、この血液を再び患者の動脈に戻す。この体外循
環回路には、人工心肺装置が用いられ、人工心肺装置
は、人工肺、ポンプ、貯血槽などを通常備える。さら
に、体外循環回路には、術野から血液を吸引し異物を除
去するカーディオトミー貯血槽、およびカーディオトミ
ー貯血槽のための吸引装置、さらに、脱血チューブ、送
血チューブなどが設けられる。このカーディオトミー貯
血槽への血液流入は、上記の吸引装置により行われる。
最近では、カーディオトミー貯血槽と通常の貯血槽を一
体にしたものも提案され、この貯血槽に吸引装置を接続
し、患者からの脱血の補助を行う方法も提案されてい
る。そして、術野から血液を吸引するための心内血吸引
用チューブは、通常2〜3本用いられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そして、術野から血液
を吸引するための心内血吸引用チューブは、通常2〜3
本用いられる。そして、これらの心内血吸引用チューブ
には、それぞれ別個に血液と空気の混合流体が断続的に
流れるため、吸引装置により一定の圧力で吸引しても、
貯血槽内部に圧力が一定とならない。例えば、2本の心
内血吸引用チューブを用いているとき、1本の心内血吸
引用チューブ内を大量の血液が流れると、このチューブ
からの空気流入量が減少するため、貯血槽内の内圧が下
がり、この下がった内圧(強くなった陰圧)は、他の心
内血吸引用チューブにかかる。このため、急にチューブ
先端での吸引力が強くなり、術野、例えば、心臓壁自体
を吸着して、血液吸引に支障を生じることも予想され
る。
【0004】そこで、本発明の目的は、接続された吸引
装置を作動させて、貯血槽の内部を陰圧状態とし、血液
吸引を行ったときに、心内血吸引用チューブによる血液
吸引の状況などに作用されることなく、貯血槽内部の圧
力(陰圧状態)をほぼ一定に保持することができる圧力
制御弁付貯血槽、この貯血槽に使用される貯血槽圧力制
御弁、および圧力制御弁付貯血槽を備えた人工肺装置を
提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するもの
は、複数の心内血吸引用チューブを接続可能な貯血槽
と、圧力制御弁とを備える圧力制御弁付貯血槽であり、
前記圧力制御弁は、前記貯血槽の内部の上部と連通する
内部空間を備えるハウジングと、該ハウジングの内部空
を2つの空間に区分するように設けられた圧力感受性
弁機構と、吸引手段を接続するための吸引手段接続用ポ
ートと、定陰圧装置を接続するための定陰圧装置接続用
ポートとを備え、前記吸引手段接続用ポートおよび前記
貯血槽内部は、前記圧力感受性弁機構により前記ハウジ
ングが2つの空間に区分された一方の空間と連通し、前
記定陰圧装置接続用ポートは、前記圧力感受性弁機構に
より区分された他方空間と連通し、前記弁機構は、前記
吸引手段の作動時において、前記ハウジング内の前記一
方の空間の圧力値前記定陰圧装置が発生する圧力値
下であれば、前記ハウジング内圧と前記定陰圧装置が発
生する圧力値との差圧により作動し、前記ハウジング内
圧を上昇させるように機能する弁部材を有する圧力制御
弁付貯血槽である。
【0006】
【0007】
【0008】また、上記課題を解決するものは、複数の
心内血吸引用チューブを接続可能な貯血槽に取り付けて
使用される貯血槽用圧力制御弁であって、該貯血槽用圧
力制御弁は、ハウジングと、該ハウジングを2つの空間
に区分する圧力感受性可動膜と、該可動膜に固定され、
可動膜の変形に対応して動く弁体と、前記可動膜により
区分された一方の空間と連通する貯血槽接続用ポートお
よび吸引手段接続用ポートと、前記可動膜により区分さ
れた他方の空間と連通する定陰圧装置接続用ポートとを
備え、前記可動膜は、吸引手段接続用ポートに接続され
る吸引手段の作動時において、前記貯血槽接続用ポート
および吸引手段接続用ポートと連通する前記一方の空間
の圧力が、前記定陰圧装置接続用ポートに接続される定
陰圧装置が発生する圧力値となる前記他方の空間の圧力
値以下であれば、変形するものであり、前記弁体は、前
記可動膜の変形により動き、前記貯血槽接続用ポートと
吸引手段接続用ポート間の流路を閉塞もしくは狭小させ
るものである貯血槽用圧力制御弁である。
【0009】また、上記課題を解決するものは、血液流
入口と、血液流出口と、ガス流入口と、ガス流出口と、
人工肺内を血液流通室とガス流通室に区分するガス交換
膜とを有する人工肺と、該人工肺に取り付けられ、複数
の心内血吸引用チューブを接続可能な貯血槽と、該貯血
槽に取り付けられ、該貯血槽の内部上部と連通する内部
空間と、吸引手段を接続するための吸引手段接続用ポー
と、定陰圧装置を接続するための定陰圧装置接続用ポ
ートとを有する圧力制御弁とを備える貯血槽付人工肺で
あり、前記圧力制御弁は、前記貯血槽の内部の上部と連
通する内部空間を備えるハウジングと、該ハウジングの
内部空間を2つの空間に区分するように設けられた圧力
感受性弁機構とを備え、 前記吸引手段接続用ポートお
よび前記貯血槽内部は、前記圧力感受性弁機構により前
記ハウジングが2つの空間に区分された一方の空間と連
通し、前記定陰圧装置接続用ポートは、前記圧力感受性
弁機構により区分された他方空間と連通し、前記弁機構
は、前記吸引手段の作動時において、前記ハウジング内
前記一方の空間の圧力値前記定陰圧装置が発生する
圧力値以下であれば、前記ハウジング内圧と前記定陰圧
装置が発生する圧力値との差圧により作動し、前記ハウ
ジング内圧を上昇させるように機能する弁部材を有し、
さらに、前記人工肺のガス流出口もしくはガス流通室と
前記貯血槽の前記貯血部の上部とを連通する連通部を備
える圧力制御弁付貯血槽を備えた人工肺装置である。
【0010】
【発明の実施の形態】そこで、本発明の圧力制御弁付貯
血槽および貯血槽用圧力制御弁ならびに圧力制御弁付貯
血槽を備えた人工肺装置を図面に示す実施例を用いて詳
細に説明する。図1は、本発明の圧力制御弁付貯血槽を
備えた人工肺装置の一実施例の正面図である。図2は、
本発明の圧力制御弁付貯血槽に使用される圧力制御弁の
一実施例の正面図である。図3は、図2に示した圧力制
御弁の平面図である。図4は、図3のA−A線断面図で
ある。図5は、図2のB−B線断面図である。図6は、
図1に示した人工肺装置の貯血槽および熱交換機付人工
肺部分の断面図である。本発明の圧力制御弁付貯血槽
は、貯血槽10と、吸引手段を接続するための吸引手段
接続用ポート43aと貯血槽10の内部の上部と連通す
る内部空間(下部空間)44を有する圧力制御弁4とを
備える。圧力制御弁4は、貯血槽10の内部と連通する
内部空間(下部空間)44を備えるハウジング55,5
6と、ハウジング55,56の内部空間(下部空間)4
4に接触するように設けられた圧力感受性弁機構57を
備える。弁機構57は、吸引手段6の作動時において、
ハウジング55,56(下部空間44)内の圧力が所定
圧力値以上であれば安定し、ハウジング55,56内
(下部空間44)の圧力が所定圧力値以下であれば、ハ
ウジング内圧(下部空間の圧力)と所定圧力値との差圧
により作動し、ハウジング内圧(下部空間の圧力)を上
昇させるように機能する弁部材である可動膜58,弁体
59を有する。
【0011】図1に示すものは、圧力制御弁付貯血槽を
備えた人工肺装置1であり、この人工心肺装置1は、貯
血槽10、貯血槽にチューブ41により接続された圧力
制御弁4、圧力制御弁とチューブ61を介して接続さ
れ、貯血槽の内部を陰圧にするための吸引手段6、熱交
換器付人工肺3および送血ポンプ2を備える。
【0012】圧力制御弁4について、具体的に説明す
る。圧力制御弁4は、図1ないし図5に示すように、貯
血槽10の第1の圧力制御弁接続用ポート13aに接続
するための貯血槽接続用ポート42と、吸引手段との
接続のための吸引手段接続用ポート43,43bと、
定陰圧装置との接続のための定陰圧装置接続用ポート
45を備える。
【0013】圧力制御弁4は、上部ハウジング55と下
部ハウジング56とを有する。上部ハウジングは、中央
部に固定された定陰圧装置接続用ポート45と、下方に
突出する可動膜保持用リブ55a,55bを有する。下
部ハウジング56は、側面底部付近に固定された貯血槽
接続用ポート42と、側面中央付近の向かい合う位置に
固定された2つの吸引手段接続用ポート43a,43b
を有する。
【0014】そして、ハウジング55,56により形成
されるハウジング内部には、圧力感受性弁機構57を備
える。この実施例では、圧力感受性弁機構57は、圧力
感受性可動膜58とこの可動膜58に固定され、可動膜
の動きによって上下に動く弁体59により構成される弁
部材を備える。具体的には、圧力感受性可動膜58は、
周縁が上部ハウジング55と下部ハウジング56に挟持
されており、かつ、上部ハウジング55と下部ハウジン
グ56さらにはこの可動膜58の周縁は、ネジ部材65
により、固定されている。この可動膜58により、圧力
制御弁4内(ハウジング内)は2つの空間に区分されて
いる。下部空間(第1の空間)44は、貯血槽接続用ポ
ート内と連通し、よって貯血槽内部と連通する空間であ
る。また、上部空間(第2の空間)46は、定陰圧装置
接続用ポートと連通する空間である。よって、可動膜5
8の下面は、貯血槽内部と連通する下部空間(第1の空
間)44に接触し、可動膜58の上面は、定陰圧装置に
よる影響を受ける空間46と接触する。また、下部空間
(第1の空間)44は、吸引手段接続用ポート43a,
43b内部とも連通しているため、吸引手段による影響
を受ける。第1の空間44は、貯血槽接続用ポート側よ
り、水平方向に延びる第1通路44aと、第1通路44
aより3つに分岐する第2通路44c,第3通路44d
および吸引手段接続用ポート43a,43b内に延びる
第4通路44eと、第2通路44cおよび第3通路44
dと連通する環状空間44bを備える。
【0015】可動膜58に固定された弁体59は、ほぼ
円柱状に形成されており、図5に示すように、第4通路
44e内を上下に移動可能であり、かつ、移動の抵抗
(通路44eの側面との摩擦抵抗)は極めて少ないよう
に形成されている。また、弁体59は、可動膜58の下
面に設けられた固定板59bおよび可動膜58およびこ
の固定板59bを貫通するネジ部材59aにより、可動
膜58に固定されている。そして、可動膜58は、弾性
材料(例えば、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、ラテ
ックスゴム、ウレタンゴムなどのゴム、SBS、SEB
Sなどのスチレン系エラストマー、ポリエステルエラス
トマー、ポリプロピレンエラストマー、ポリエチレンエ
ラストマーなどのポリオレフィンエラストマーなど)に
より形成されるとともに、固定されていない周縁部(ハ
ウジングの内部空間内に位置する周縁部)には、固定さ
れた周縁部より下方に窪む第1の環状湾曲部と、この第
1の環状湾曲部より上方に延び上部ハウジング55の内
面に当接もしくは内面に近接し再び下方に延びる(固定
された可動膜の周縁部からみれば、上方に突出する)第
2の環状湾曲部を備え、この第2の環状湾曲部より内側
は平らな円盤状となっている。この円盤状部分の高さ
は、所定距離固定された可動膜の周縁部より高くなって
いる。
【0016】周縁部より、この円盤状部分までの距離
は、0〜10mm程度が好適であり、2〜8mmがより
好適である。また、円盤状部分の大きさは、半径5〜2
0mm程度が好適であり、7〜15mmがより好適であ
る。そして、この円盤状部分の下面中央に上述した弁体
59が固定板を介して固定されている。このように、可
動膜58は、弁体を取り囲む環状部分の下面全体という
広い面積にて、貯血槽内部と連通する下方空間44と接
触する。このため、下方空間44(環状空間44b)の
圧力をより敏感に感受することができ、弁体59の応答
性を良好なものとしている。
【0017】弁機構57は、可動膜58の上方への押圧
力と弁体59の重力とがほぼ拮抗し、もしくは、若干可
動膜58が保持部材55a,55bを押圧している状態
で、図5のように安定している。この実施例の圧力制御
弁4では、可動膜58の上方空間46は、定陰圧装置に
より、例えば−10〜−60mmHgの陰圧状態(設定
圧力値)とされる。また、可動膜58の下方空間44
は、吸引手段により貯血槽内部とともに、陰圧状態とさ
れる。そして、下方空間44(特に環状空間44b)に
おける圧力は、可動膜58にかかるため、可動膜58に
は、その上下面に2つの別個の圧力がかかることにな
る。
【0018】この実施例では、下方空間44の圧力値
は、貯血槽内部空間の圧力値を反映しており、下方空間
44の圧力が、設定圧力値以上であれば、図4および図
5に示す状態を維持し、貯血槽内部は、吸引手段による
吸引が持続される。もし、下方空間44の圧力値が、設
定圧力値より低くなると、つまり、貯血槽内部が過剰吸
引状態となると、可動膜58の上方空間46と下方空間
44との間に、圧力差(差圧)が生じ、この圧力差によ
る力が可動膜58の変形必要最低力に勝れば、可動膜5
8の第1の湾曲部と第2の湾曲部間に変形が生じ、弁体
59が第4の通路44e内を下降し、第1の通路44a
と第4の通路44eとの連通部の面積を減少させる。言
い換えれば、図5に示すように、吸引手段と連通する第
4の通路44eは、弁体59の下降により、弁体59の
下方の通路が狭くなるか通路を閉塞し、弁体59により
圧力損失が生じる。
【0019】このため、弁体59により、吸引手段によ
る吸引効率が落ちるため、貯血槽内側(正確には、下方
空間44側)の圧力が上昇する。そして、この圧力上昇
により、可動膜58の上方空間46と下方空間44との
間の、圧力差(差圧)が減少し、弁体59は、図5に示
す状態に復帰もしくは、ある程度下方に下がった状態で
両者の圧力が釣り合う位置にて安定する。なお、この実
施例では、吸引手段と連通する2つのポート43a,4
3bが設けられており、弁体59は、下降したとき、左
右より吸引されるため、いずれかの通路44eの開口端
に密着することがなく、良好な動作を行うことができ
る。なお、このような構成に限られるものではなく、吸
引手段との接続用ポートは1つでもよい。この場合、弁
体59が下降したときに、通路44eの開口端に密着し
て吸引されることを防止するために、弁体の外面に下方
に延びる溝もしくは弁体を貫通する貫通孔を設け、通路
44eと通路44aとの連通を確保してもよい。さら
に、通路44eの上端には、図4および図5に示すよう
に、突起(環状突起)が形成されている。この環状突起
を有することにより、可動膜58変形したときに、通
路44d,44cの開口に密着することを阻止し、通路
44c,44dと環状空間44bとの連通を確実なもの
としている。なお、突起は、環状に点在して設けてもよ
い。さらに、突起の形成位置は、通路44eの開口付近
に限定されるものではなく、環状空間44bを形成する
下部ハウジングの表面(可動膜58に向かい合う面)に
点在するように、複数の突起を設けてもよい。
【0020】なお、可動膜58の変形、言い換えれば、
弁体59の下降のために必要な上方空間46と下方空間
44間の圧力差[差圧(P)=上方空間圧力(−Amm
Hg、所定圧力値もしくは設定圧力値)−下方空間圧力
(−BmmHg)>3.0mmHg]程度であることが
好ましく、より好ましくは、(P)=上方空間圧力(−
AmmHg)−下方空間圧力(−BmmHg)>1.0
mmHgであり、理想的には、差圧(P)=上方空間圧
力(−AmmHg)−下方空間圧力(−BmmHg)>
0である。
【0021】なお、この実施例の圧力制御弁では、可動
膜58の上方空間は、定陰圧装置による圧力影響を受け
るものとしているので、定陰圧装置として、陰圧度を任
意に設定できるものを用いれば、使用時における貯血槽
内部の設定圧力値を任意に変更できる。なお、このよう
な、任意変更が行えることは好ましいが、必ずしも必要
な訳ではなく、使用時における貯血槽内部の所定圧力値
(設定圧力値)を固定のものとしてもよい。この場合に
は、定陰圧装置との接続用ポート45は不要であり、所
定圧力値(設定圧力値)をX(例えば−40mmHg)
とした場合、弁体59の下降のために必要な下方空間4
4の圧力(P1)は、−XmmHg(例えば−40mm
Hg)−下方空間圧力(−BmmHg)>3.0mmH
g程度であることが好ましく、より好ましくは、(P
1)=−XmmHg−下方空間圧力(−BmmHg)>
1.0mmHgであり、理想的には、P1=−XmmH
g−下方空間圧力(−BmmHg)>0である。この設
定圧力値(XmmHg)は、仮想上方空間圧力値という
こともできる。このような圧力制御弁は、例えば、可動
膜として上記の圧力差が生じたときに変形するものを用
いること、また、可動膜の上部空間を密閉空間としかつ
所定圧力値(設定圧力値)分減圧することにより作成で
きる。
【0022】また、貯血槽接続用ポート42には、大気
開放ポート48およびこのポート48の開口部に充填さ
れた通気性かつ菌不透過性フィルター49が設けられて
いる。このような大気開放ポート48は通常設ける必要
ないが、安全のため設けることが好ましい。後述する
貯血槽内部の貯血量が急激に低下すると、貯血槽内部が
急激に陰圧となり、この圧力制御弁により制御する陰圧
レベルより貯血槽内が低圧となることもありうる。そし
て、貯血槽内部がこのようなレベルで陰圧になると、送
血ポンプに対する負荷となり、送血ポンプによる良好な
血液の流れを確保できない場合さらには血液の逆流が生
じることも考えられる。しかし、大気開放ポート48を
設けられば、血槽内部が急激に陰圧になったとき、この
ポートより空気が流入するため、急激に生じた陰圧レベ
ルが維持されず、ある程度の陰圧レベルに自然に復帰す
る。
【0023】また、圧力制御弁は、図7に示すようなも
のであってもよい。この圧力制御弁80の基本構成は、
図2ないし図5に示したものと同じである。相違は、定
陰圧装置との接続用ポートのわりに、可動膜58の高
さ調整用機構である回動キャップ82,筒状ポート83
および可動膜を吊下する弾性部材81を備える点であ
る。この圧力制御弁80では、可動膜58は、弾性部材
であるバネ部材81により、弾性的に保持されており、
その動きがある程度規制されている。そして、バネ部材
81は、回動キャップ82に固定され、回動キャップ8
2は、筒状ポート83に形成されたネジに螺合するネジ
を備える。このため、回動キャップ82を回転させる
ことにより、キャップはポート83に対して、上下に移
動し、これにつられて、バネ部材81およびバネ部材と
固定部材59aを介して固定された可動膜58の平板部
も上下に移動する。
【0024】この圧力制御弁80では、回動キャップ8
2が所定位置にある場合(バネ部材が設けられている空
間は大気圧)の弁体59の下降のために必要な下方空間
44の圧力(P1)は、所定圧力値(設定圧力値:例え
ば−40mmHg)となっている。つまり、可動膜58
を介してその上下に−40mmHg以上の圧力差が生じ
たときに発生する力より弱い引っ張り力のバネが用いら
れている。このため、可動膜58を介してその上下に−
40mmHg以上の圧力差が生じたとき、弁体59は下
降し、上述したような圧力制御作用を発揮する。そし
て、所定圧力値(設定圧力値)を変更したい場合、例え
ば−40mmHgより大きくしたい場合には、回動キャ
ップ82を回転させて、バネ81を上方に移動させ、可
動膜58の平板部の位置を上昇させる。これにより、所
定圧力値(設定圧力値)が高くなる。逆に、所定圧力値
(設定圧力値)を低くした場合には、回動キャップ82
を回転させて、バネ81を下方に移動させ、可動膜58
の平板部の位置を下降させる。
【0025】貯血槽10は、図1ないし図6に示すよう
に、内部に形成された貯血空間である貯血部17と、こ
の貯血部17の上部と連通する血液流入口11、貯血部
17の下部と連通する血液流出口12、貯血部17の上
部と連通する圧力制御弁接続用ポート13、貯血部17
の上部と連通する心内血吸引用チューブ接続用ポート1
5と、貯血部17の上部と連通する人工肺ガス流出口接
続用ポート14を備える。この実施例では、圧力制御弁
接続用ポート13は、主に接続用ポート15より流入す
る心内血を吸引するための第1の接続用ポート13a
と、血液流入口11より流入する静脈血を吸引するため
の第2の接続用ポート13bを備えている。なお、接続
用ポート13は、いずれかひとつでもよい。血液流入口
11には、脱血チューブが、また、心内血吸引用チュー
ブ接続用ポート15には、心内血吸引用チューブが接続
される。圧力制御弁接続用ポート13aは、接続チュー
ブ41により吸引手段6に圧力制御弁4およびチューブ
61を介して接続されている。この吸引手段6を作動さ
せることにより、圧力制御弁4内および貯血部17内は
陰圧状態となり、心内血吸引用チューブを介して血液を
貯血部内に導入し、また、脱血チューブからの貯血部へ
の血液流入を補助する。貯血槽10としては、硬質材料
より形成されたものが好適である。また、内部に、血
液フィルターを設けてもよい。
【0026】送血ポンプ2は、遠心ポンプ部23とポン
プ駆動部24からなるいわゆる遠心ポンプが用いられて
いる。ポンプ2の血液流入口21は、貯血槽10の血液
流出口12に送血チューブ16により接続されており、
この実施例では、貯血槽10のすぐ下流にポンプが設け
られている。なお、送血ポンプとしては、定圧ポンプ、
ローラーポンプ、ペリスタルリックポンプ、ベローズポ
ンプなどが使用される。定圧ポンプは、一定の圧力で流
体を送液する。定圧ポンプ手段は、定圧ポンプとこの定
圧ポンプを駆動させるためのモータからなり、定圧ポン
プとしては、遠心ポンプ、タービンポンプ、スクリュー
ポンプなどが使用できる。特に、遠心ポンプが、血液損
傷を与えることが少ないなどの理由により好適である。
【0027】人工肺3としては、この実施例では、熱交
換器付人工肺が用いられている。熱交換器付人工肺3
は、熱交換器部3bと人工肺部3aからなる。人工肺3
は、血液流入口31と血液流出口32とガス流入口33
とガス流出口34を備える。血液流入口31は、送血ポ
ンプの血液流出口22と送血チューブ25を介して接続
されており、人工肺の血液流入口は貯血槽の血液流出口
チューブおよびポンプを介して接続されている。血液
流出口32には、送血チューブが接続される。さらに、
ガス流出口34と上述した貯血槽10のガス流出口連通
ポート14とは、連通部(接続部)8により接続されて
いる。また、使用時には、ガス流入口33には、酸素ガ
ス供給装置(図示せず)が接続される。このため、ガス
流出口34より流出するガスは、貯血槽10内に流入
し、吸引手段により吸引される。通常、ガス流出口より
流出するガス流量より吸引手段による吸引量が十分に大
きいため、このようにガス流出口を貯血槽内と連通させ
ても、貯血槽内が陽圧状態となることはない。また、ガ
ス流出口より流出するガスも十分な量の酸素を含有して
いるため、このようなガスの貯血槽内への導入は、貯血
槽内での血液の酸素加を行うことにもなり、人工肺によ
る酸素加の補助にもなる。
【0028】この人工肺3では、上流側に熱交換器部3
bがあり、熱交換器3bは熱交換媒体(温水もしくは冷
水)流入口37および流出口(図示せず)を備えてい
る。人工肺3の血液流入口31より流入した血液は、こ
の熱交換器部により温度調整がされた後、人工肺部3a
に流入し、血液への酸素付加および二酸化炭素除去が行
われ、ガス交換(酸素付加)された血液は血液流出口3
2より送血チューブに送られ、患者に返還される。人工
肺としては、多孔質膜型のものが好適である。多孔質膜
型人工肺としては、中空糸膜型もしくは平膜型が好適で
あり、ガス交換能が優れていることより、中空糸膜型が
特に好ましい。
【0029】貯血槽10は、図6に示すように、硬質樹
脂により形成された貯血槽ハウジング本体53aと蓋体
53bとで構成されるハウジングを有している。蓋体5
3bは、図1および図6に示すように、ハウジング本体
53aの上部開口を覆うように、ハウジング本体53a
の上端に嵌合されている。蓋体53bは、図1および図
6に示すように、脱血チューブが接続される血液流入口
11、圧力制御弁接続用ポート13a,13b、心内血
吸引用チューブ接続用ポート15、人工肺のガス流出口
との接続用ポート14を有している。接続用ポート14
には、通気性かつ血液不透過性部材72が設けられてい
る。圧力制御弁接続用ポート13aは、心内血吸引用チ
ューブ接続用ポート15より流入する心内血の吸引と貯
血槽内部を陰圧にするために用いられる。圧力制御弁接
続用ポート13bは、血液流入口11より流入する静脈
血の吸引と貯血槽内部を陰圧にするために用いられる。
【0030】血液不透過性部材72としては、メンブラ
ンフィルター、焼結フィルターなどが使用でき、圧力損
失の少ないものが好適である。心内血吸引用チューブ接
続用ポート15には、術野からの血液を送血するカーデ
ィオトミーラインチューブが接続される。血液流入口1
1には、患者の心臓上下行静脈に挿入された脱血カニュ
ーレからの血液を送血する脱血ラインチューブが接続さ
れる。ハウジング本体53a内には、血液流入口15よ
り流入した血液を濾過するための心内血濾過フィルター
74と、血液流入口11より流入した血液を濾過する静
脈血フィルター54が設けられている。
【0031】貯血槽の上方には、人工肺のガス流出口と
の接続用ポート14が設けられており、この接続用ポー
ト14と後述する人工肺のガス流出口34とは、連通部
8により連通されており、これにより、人工肺のガス流
通室は、貯血部(貯血槽内部空間)と連通する。このた
め、貯血槽内部が吸引され陰圧状態となると同時にガス
流通室内部も陰圧状態となる。そして、送血ポンプが停
止して、人工肺の血液流通室の血液が吸引される状態
(血液流通室が陰圧状態)となっても、ガス流通室も陰
圧状態となっているので、両者の圧力バランスが崩れ
ず、血液流通室側にガス交換膜を通過して気泡が流入す
ることがない。また、送血ポンプ作動中には、ガス流通
室の陰圧よりもはるかに高い力により、送血ポンプによ
り血液流通室に陽圧もしくは陰圧が付加されるため、ガ
ス流通室の若干の陰圧が送血の支障になることもなく、
また、ガス交換膜が血液を透過しないので、血液流出も
生じない。
【0032】人工肺のガス流出口との貯血槽における接
続部位、言い換えれば、ガス流出口との接続用ポート1
4の位置は、貯血槽内の血液との接触の可能性が少ない
部位であればいずれでもよい。図6の接続用ポート14
は、貯血槽内部のほぼ上端に設けられているが、これに
限られるものではない。例えば、蓋体に設けてもよく、
蓋体としては、血液流入口11の近傍などが考えられ
る。連通部8としては、硬質または軟質のチューブが使
用される。また、ハウジング本体53aは、下方に突出
した突出部53cと、突出部53cの下部(下端)に設
けられた血液流出口12を有している。ハウジング53
を構成する部材としては、例えば、ポリカーボネート、
アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニ
ル、アクリル−スチレン共重合体、アクリル−ブタジエ
ン−スチレン共重合体等が好適に使用できる。特に、ポ
リカーボネート、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリ塩
化ビニルが好ましい。
【0033】そして、貯血槽ハウジング内部には、図6
に示すように、血液を一時的に貯留しておくための貯血
部17が形成されている。この貯血部17の容積は、特
に限定されないが、通常、成人用では、3000〜50
00ml程度であり、小児用では、1000〜2500
mlである。また、ハウジングは、貯血量や内部に貯留
している血液の状態を容易に確認できるように、実質的
に透明または半透明であることが好ましい。突出部53
cは、言い換えれば、断面積狭小部であり、貯血量低下
時における貯血量または貯血量の変化を正確かつ容易に
把握できるようにするためのものである。そして、図6
に示すように、突出部は、先端に向かってより断面積が
小さくなっている。人工肺3は、熱交換器付中空糸膜型
人工肺であり、人工肺部3aと熱交換器部3bを備え、
熱交換器部が上流側で人工肺が下流側となっている。
【0034】この実施例の熱交換器部3bは、血液流入
ポート31と、血液導出ポート52と、熱媒体流入ポー
ト37と、熱媒体流出ポートとを有する熱交換器ハウジ
ング75と、熱交換器ハウジング75内に収納された複
数の熱交換用管体78と、熱交換用管体78の両端部を
熱交換器ハウジング75の内面に液密に固着する熱交換
器内隔壁77a,77bとを備える。そして、熱交換器
ハウジング75内には、血液流入ポート31および血液
導出ポート52と連通し、管体78の外面と熱交換器ハ
ウジング75の内面と熱交換器内隔壁77a,77b
内側面により形成された血液流通室と、熱媒体流入ポー
ト37および熱媒体流出ポート(図示せず)と連通し、
管体78内部により形成された熱媒体流通室とを有して
いる。熱交換器の血液導出ポート52は人工肺の血液導
入ポート62と接続チューブ70により接続されてい
る。
【0035】熱交換用管体78としては、熱伝導率の高
い金属管(例えば、ステンレス管、アルミ管、銅管)あ
るいは樹脂管が好適に使用できる。管体78の内径は、
0.1〜10mm、好ましくは0.5〜5mmであり、
このような管体78が、約100本〜2000本の束に
形成され、熱交換器ハウジング75内(この実施例で
は、内筒部内)に収納されている。管体78相互の距離
としては、管体78の外径、内筒部の内径などにより異
なるが、0.1mm〜10mm、好ましくは0.5mm
〜5mm程度である。熱交換用管体78の両端部は、端
面を閉塞しない状態で熱交換器内隔壁77a,77b
より、熱交換器ハウジング75の内面に液密に固着され
ている。
【0036】なお、熱交換器としては、このような熱交
換用管体の内部に血液が流れるタイプ(血液内部灌流
型)のものに限定されず、熱交換器用管体の外側に血液
が流れるタイプ(血液外部灌流型)のものであってもよ
い。また、熱交換器付人工肺としては、上記のように熱
交換器を血液が通過した後、人工肺に流入するタイプの
ものに限られず、人工肺を血液が通過した後に、熱交換
器を通過するものであってもよい。
【0037】人工肺部3aは、血液導入ポート62と血
液流出口32を有する人工肺ハウジング60と、人工肺
ハウジング60内に挿入された多数のガス交換用中空糸
膜からなる中空糸膜束66と、中空糸膜束66の両端部
を人工肺ハウジング60の両端部に液密に固定する隔壁
64a,64bと、中空糸内部と連通し、かつ一方の隔
壁64aの外側に形成されたガス流入部59aと、中空
糸内部と連通し、かつ他方の隔壁64bの外側に形成さ
れたガス流出部59bを備える。人工肺ハウジング60
の形成材料としては、ポリカーボネート、アクリル樹
脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル樹脂、アク
リル−スチレン共重合体、アクリル−ブチレン−スチレ
ン共重合体など種々のものが使用できる。特に好ましく
は、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリス
チレン、ポリ塩化ビニル樹脂である。
【0038】人工肺ハウジング60の内部に収納された
中空糸膜束66は、多数の中空糸膜からなり、中空糸膜
は中空糸膜壁を貫通する多数の微細孔を有している。中
空糸膜はこの微細孔を介してO添加およびCO除去
を行うことができ、いわゆるガス交換膜として機能す
る。中空糸膜としては、肉厚が5〜80μm、好ましく
は10〜60μm、空孔率20〜80%、好ましくは3
0〜60%、微細の孔径が0.01〜5μm、好ましく
は0.01〜1μm程度、内径が100〜1000μ
m、好ましくは100〜300μmのものが好適に使用
される。中空糸膜を形成する材質としては、ポリプロピ
レン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポ
リスルホン、ポリアクリロニトリル、セルロースアセテ
ート等の疎水性高分子が使用できる。特に好ましくは、
ポリオレフィン系樹脂であり、より好ましくは、ポリプ
ロピレンである。具体的には、遠心法または固液相分離
法などにより微細孔を形成させたポリプロピレン製中空
糸膜が望ましい。
【0039】中空糸膜は、人工肺ハウジング60内部を
全体に広がって、10,000〜80,000本収納さ
れている。中空糸膜の両端部は、それぞれ端面開口が閉
塞されない状態で隔壁64a,64bにより人工肺ハウ
ジング60の端部に液密に固着されている。隔壁64
a,64bは、中空糸膜束66を液密に固着すると共
に、人工肺ハウジング60内を、中空糸膜の外面と人工
肺ハウジング60の内面と隔壁64a,64bの内側面
とにより形成される血液流通室と、中空糸膜の内部に形
成されるガス流通室とに区画している。隔壁64a,6
4bを形成する材料としては、高分子ポッティング剤
(例えば、ポリウレタン、シリコーンゴム)などが好適
に使用できる。人工肺ハウジング60の上下端付近に
は、ガス流通室と連通するガス流入口33、ガス流出口
34がそれぞれ設けられている。ガス流入口33から導
入された酸素ガスは、ガス流通室(中空糸膜の内部空
間)を経てガス導出部に流入し、ガス流出口34より排
出され、排出されたガスは、連通部8を通り、貯血槽1
0に誘導される。
【0040】なお、人工肺としては、このように、中空
糸の外部に血液が流れ、内部にガスが流れるタイプ(血
液外部灌流型)のものに限定されず、中空糸膜の内部に
血液が流れるタイプ(血液内部灌流型)のものであって
もよい。さらに、人工肺は、多孔質中空糸膜を用いたも
のに限られず、例えば、多孔質平膜を用いたものでもよ
い。さらに、この実施例の装置では、人工肺のガス流出
口と前記貯血槽の貯血部とが連通しているが、これに限
られるものではなく、人工肺のガス流通室と貯血槽の貯
血部とを連通させたものでもよい。この場合、人工肺と
して中空糸膜の内部に血液が、外部にガスが流れるタイ
プ(血液内部灌流型)のものを用いることが好ましい。
このタイプの人工肺では、中空糸膜の外面とハウジング
の内面間にガス流通室が形成されるので、ハウジングの
側面にポートを形成することにより、容易に、貯血槽の
貯血部との連通用ポートを作成することができる。
【0041】
【発明の効果】本発明の圧力制御弁付貯血槽は、貯血槽
と、吸引手段を接続するための吸引手段接続用ポートと
前記貯血槽の内部の上部と連通する内部空間を有する圧
力制御弁とを備える圧力制御弁付貯血槽であり、前記圧
力制御弁は、前記貯血槽の内部空間と連通する内部空間
を備えるハウジングと、該ハウジングの内部空間に接触
するように設けられた圧力感受性弁機構を備え、該弁機
構は、前記吸引手段の作動時において、前記ハウジング
内の圧力が所定圧力値以下であれば、前記ハウジング内
圧と所定圧力値との差圧により作動し、前記ハウジング
内圧を上昇させるように機能する弁部材を有する。
【0042】このため、接続された吸引装置を作動させ
て、貯血槽の内部を陰圧状態とし、かつ、複数の心内血
吸引用チューブを用いて血液吸引を行っても、他の心内
血吸引用チューブの状況に作用されることなく、貯血槽
内部の圧力(陰圧状態)をほぼ一定に保持することがで
きるので、貯血槽内部が過剰減圧されことなく、過剰減
圧に起因するチューブ先端での吸引力の急増による心臓
壁自体の吸着といったことがなく、血液吸引の作業が容
易に行える。
【0043】また、本発明の貯血槽用圧力制御弁は、ハ
ウジングと、該ハウジングを2つの空間に区分する圧力
感受性可動膜と、該可動膜に固定され、可動膜の変形に
対応して動く弁体と、前記可動膜により区分された一方
の空間と連通する貯血槽接続用ポートおよび吸引手段接
続用ポートとを備え、前記可動膜は、吸引手段接続用ポ
ートに接続される吸引手段の作動時において、前記一方
の空間の圧力が所定圧力値以下であれば、変形するもの
であり、前記弁体は、前記可動膜の変形により動き、前
記貯血槽接続用ポートと吸引手段接続用ポート間の流路
を閉塞もしくは狭小させるものである。
【0044】また、本発明の貯血槽用圧力制御弁は、ハ
ウジングと、該ハウジングを2つの空間に区分する圧力
感受性可動膜と、該可動膜に固定され、可動膜の変形に
対応して動く弁体と、前記可動膜により区分された一方
の空間と連通する貯血槽接続用ポートおよび吸引手段接
続用ポートと、前記可動膜により区分された他方の空間
と連通する定陰圧装置接続用ポートとを備え、前記可動
膜は、吸引手段接続用ポートに接続される吸引手段の作
動時において、前記一方の空間の圧力が前記他方の空間
の圧力値以下であれば、変形するものであり、前記弁体
は、前記可動膜の変形により動き、前記貯血槽接続用ポ
ートと吸引手段接続用ポート間の流路を閉塞もしくは狭
小させるものである。
【0045】これらの圧力制御弁を貯血槽に用いれば、
接続された吸引装置を作動させて、貯血槽の内部を陰圧
状態とし、かつ、複数の心内血吸引用チューブを用いて
血液吸引を行っても、他の心内血吸引用チューブの状況
に作用されることなく、貯血槽内部の圧力(陰圧状態)
をほぼ一定に保持することができるので、貯血槽内部が
過剰減圧されことなく、過剰減圧に起因するチューブ先
端での吸引力の急増による心臓壁自体の吸着といったこ
とがなく、血液吸引の作業が容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の圧力制御弁付貯血槽を備えた
人工肺装置の一実施例の正面図である。
【図2】図2は、本発明の圧力制御弁付貯血槽に使用さ
れる圧力制御弁の一実施例の正面図である。
【図3】図3は、図2に示した圧力制御弁の平面図であ
る。
【図4】図4は、図3のA−A線断面図である。
【図5】図5は、図2のB−B線断面図である。
【図6】図6は、図1に示した人工肺装置の貯血槽およ
び熱交換機付人工肺部分の断面図である。
【図7】図7は、本発明の圧力制御弁付貯血槽に使用さ
れる圧力制御弁の他の実施例の断面図である。
【符号の説明】
1 人工心肺装置 2 送血ポンプ 3 人工肺 4 圧力制御弁 5 心内血チューブ 6 吸引手段 7 定陰圧装置 8 連通部 10 貯血槽 17 貯血部 33 ガス流入口 34 ガス流出口
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61M 1/14 - 1/36

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の心内血吸引用チューブを接続可能
    貯血槽と、圧力制御弁とを備える圧力制御弁付貯血槽
    であり、前記圧力制御弁は、前記貯血槽の内部の上部と
    連通する内部空間を備えるハウジングと、該ハウジング
    の内部空間を2つの空間に区分するように設けられた圧
    力感受性弁機構と、吸引手段を接続するための吸引手段
    接続用ポートと、定陰圧装置を接続するための定陰圧装
    置接続用ポートとを備え、前記吸引手段接続用ポートお
    よび前記貯血槽内部は、前記圧力感受性弁機構により前
    記ハウジングが2つの空間に区分された一方の空間と連
    通し、前記定陰圧装置接続用ポートは、前記圧力感受性
    弁機構により区分された他方空間と連通し、前記弁機構
    は、前記吸引手段の作動時において、前記ハウジング内
    前記一方の空間の圧力値前記定陰圧装置が発生する
    圧力値以下であれば、前記ハウジング内圧と前記定陰圧
    装置が発生する圧力値との差圧により作動し、前記ハウ
    ジング内圧を上昇させるように機能する弁部材を有する
    ことを特徴とする圧力制御弁付貯血槽。
  2. 【請求項2】 前記圧力制御弁付貯血槽は、前記貯血槽
    の血液流出口に送血チューブにより接続された定圧ポン
    プを備えている請求項1に記載の圧力制御弁付貯血槽。
  3. 【請求項3】 複数の心内血吸引用チューブを接続可能
    な貯血槽に取り付けて使用される貯血槽用圧力制御弁で
    あって、該貯血槽用圧力制御弁は、ハウジングと、該ハ
    ウジングを2つの空間に区分する圧力感受性可動膜と、
    該可動膜に固定され、可動膜の変形に対応して動く弁体
    と、前記可動膜により区分された一方の空間と連通する
    貯血槽接続用ポートおよび吸引手段接続用ポートと、前
    記可動膜により区分された他方の空間と連通する定陰圧
    装置接続用ポートとを備え、前記可動膜は、吸引手段接
    続用ポートに接続される吸引手段の作動時において、
    記貯血槽接続用ポートおよび吸引手段接続用ポートと連
    通する前記一方の空間の圧力が、前記定陰圧装置接続用
    ポートに接続される定陰圧装置が発生する圧力値となる
    前記他方の空間の圧力値以下であれば、変形するもので
    あり、前記弁体は、前記可動膜の変形により動き、前記
    貯血槽接続用ポートと吸引手段接続用ポート間の流路を
    閉塞もしくは狭小させるものであることを特徴とする貯
    血槽用圧力制御弁。
  4. 【請求項4】 血液流入口と、血液流出口と、ガス流入
    口と、ガス流出口と、人工肺内を血液流通室とガス流通
    室に区分するガス交換膜とを有する人工肺と、該人工肺
    に取り付けられ、複数の心内血吸引用チューブを接続可
    能な貯血槽と、該貯血槽に取り付けられ、該貯血槽の内
    部上部と連通する内部空間と、吸引手段を接続するため
    の吸引手段接続用ポートと、定陰圧装置を接続するため
    の定陰圧装置接続用ポートとを有する圧力制御弁とを備
    える貯血槽付人工肺であり、前記圧力制御弁は、前記貯
    血槽の内部の上部と連通する内部空間を備えるハウジン
    グと、該ハウジングの内部空間を2つの空間に区分する
    ように設けられた圧力感受性弁機構とを備え、前記吸引
    手段接続用ポートおよび前記貯血槽内部は、前記圧力感
    受性弁機構により前記ハウジングが2つの空間に区分さ
    れた一方の空間と連通し、前記定陰圧装置接続用ポート
    は、前記圧力感受性弁機構により区分された他方空間と
    連通し、前記弁機構は、前記吸引手段の作動時におい
    て、前記ハウジング内の前記一方の空間の圧力値前記
    定陰圧装置が発生する圧力値以下であれば、前記ハウジ
    ング内圧と前記定陰圧装置が発生する圧力値との差圧に
    より作動し、前記ハウジング内圧を上昇させるように機
    能する弁部材を有し、さらに、前記人工肺のガス流出口
    もしくはガス流通室と前記貯血槽の前記貯血部の上部と
    を連通する連通部を備えることを特徴とする圧力制御弁
    付貯血槽を備えた人工肺装置。
  5. 【請求項5】 前記圧力制御弁付貯血槽を備えた人工肺
    装置は、前記貯血槽の血液流出口に送血チューブにより
    接続された定圧ポンプを備えている請求項4に記載の圧
    力制御弁付貯血槽を備えた人工肺装置。
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