JPH11128341A - 送血用血液保留部材付貯血槽および体外血液循環回路用送血器具 - Google Patents

送血用血液保留部材付貯血槽および体外血液循環回路用送血器具

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JPH11128341A
JPH11128341A JP9315954A JP31595497A JPH11128341A JP H11128341 A JPH11128341 A JP H11128341A JP 9315954 A JP9315954 A JP 9315954A JP 31595497 A JP31595497 A JP 31595497A JP H11128341 A JPH11128341 A JP H11128341A
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JP9315954A
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Inventor
Shinji Maruyama
信治 丸山
Yukitoshi Kato
幸俊 加藤
Mitsuaki Ogiwara
光明 荻原
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Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 貯血部内の貯血量が少なくとも所定値以下に
なった場合に、貯血量に対応して送血量を変動させるこ
とができる送血用血液保留部材付貯血槽および貯血槽よ
り下流側に設けられる体外血液循環回路用送血器具を提
供する。 【解決手段】 送血用血液保留部材付貯血槽1は、貯血
部10と、貯血部と連通し貯血部の貯血量が所定値以下
となったときに、貯血部内の貯血量に比例した量の血液
を保留し、外方より押圧されることにより血液を流出可
能な血液保留部材3a,3bと、貯血部と血液保留部材
間に位置し、貯血部側への血液の流通を抑制する第1の
逆止弁33a,33bと、血液保留部材への下流側から
の血液の流通を抑制する第2の逆止弁34a,34bと
を備える。第1の逆止弁と第2の逆止弁と血液保留部材
間にて形成される血液通路35a,35bの容積が、1
50mL以下であり、血液通路の最小断面積が、1.0
cm2以上となっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人工肺などに用い
られる体外血液循環回路中において血液を一時的に貯留
しかつ貯留した血液を送血するための送血機構を備える
送血用血液保留部材付貯血槽および貯血槽より下流側に
設けられる体外血液循環回路用送血器具に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】近年、開心術の際に、生体肺に代わり血
液中の二酸化炭素を除去し、血液に酸素を添加するため
に、人工肺を組み込んだ体外循環回路が用いられてい
る。この体外循環回路では、患者の静脈より脱血し、人
工肺によりガス交換を行った後、この血液を再び患者の
動脈に戻す体外血液循環が行われる。さらに、体外循環
回路には、術野から血液を吸引し、異物を除去した後、
返血するカーディオトミーラインが設けられる。そし
て、このような人工肺体外血液循環回路には、脱血した
血液を一時的に貯留しておくための貯血槽や、術野から
吸引された血液を濾過し、一時的に貯留しておくための
カーディオトミーリザーバーが設置され、回路内の血液
量を調整し、返血量を一定に保つための緩衝機能を果し
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】体外血液循環時に貯血
槽内の血液がゼロになると、送血ポンプにより空気が体
外循環血液回路に空気が送り込まれることになるので、
貯血槽に液面センサを設けて、貯血槽内の貯血量の管理
を行っている。そして、液面センサにより貯血量が所定
値以下であることが検知された場合、送血ポンプによる
送血を一時中断し、貯血量の回復を待つといったことが
行われる。しかし、一時的な送血中断は、人工肺を含む
回路内全体での血液停滞となり好ましいものではない。
【0004】そこで、本発明の課題は、貯血槽内部に貯
血量が少なくとも所定値以下になった場合に、貯血量に
対応して送血量を変動させることができる送血用血液保
留部材付貯血槽および貯血槽より下流側に設けられる体
外血液循環回路用送血器具を提供するものである。特
に、貯血槽内部に貯血量が少なくとも所定値以下になっ
た場合における貯血量を感度よく対応した血液量を保留
することができる送血用血液保留部材付貯血槽および体
外血液循環回路用送血器具を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するもの
は、貯血部と、該貯血部と連通し、かつ該貯血部の貯血
量が所定値以下となったときに、貯血部内の貯血量に比
例した量の血液を保留し、かつ、外方より押圧されるこ
とにより内部の血液を流出可能な血液保留部を備える血
液保留部材と、前記貯血部と前記血液保留部材間に位置
し、前記貯血部側への血液の流通を抑制する第1の逆止
弁と、前記血液保留部材への下流側からの血液の流通を
抑制する第2の逆止弁とを備える送血用血液保留部材付
貯血槽であって、前記第1の逆止弁と前記第2の逆止弁
と前記血液保留部材の前記血液保留部の血液流入口間に
て形成される血液通路の容積が、150mL以下であ
り、かつ、前記血液通路の最小断面積が、1.0cm2
以上である送血用血液保留部材付貯血槽である。
【0006】また、上記目的を達成するものは、体外血
液循環回路に用いられる送血器具であって、該送血器具
は、体外血液循環回路への接続部を備え、外方より押圧
されることにより内部の血液を流出可能な血液保留部を
備える送血用血液保留部材を有し、該血液保留部材は、
前記体外血液循環回路中に設けられる貯血槽内もしくは
該送血用血液保留部材より上流側の前記送血器具内の貯
血量が少なくとも所定値以下となったときに、前記貯血
槽内もしくは前記送血器具内の液面高さに応じた量の血
液を保留するものであり、さらに、送血器具は、前記体
外血液循環回路への接続部と前記血液保留部材間に位置
し、該体外血液循環回路への接続部側への血液の流通を
抑制する第1の逆止弁と、前記血液保留部材への下流側
からの血液の流通を抑制する第2の逆止弁とを備え、さ
らに、前記第1の逆止弁と前記第2の逆止弁と前記血液
保留部材の血液保留部の血液流入口間に形成される血液
通路の容積が、150mL以下であり、かつ、前記血液
通路の最小断面積が、1.0cm2以上である体外血液
循環回路用送血器具である。
【0007】そして、前記血液通路の長さは、15cm
以下であることが好ましい。また、前記第1の逆止弁ま
たは第1の逆止弁と第2の逆止弁の両者の完全開口時の
弁の開口面積は、前記血液通路の最小断面積と同等もし
くはそれより大きいものであることが好ましい。さら
に、前記送血用血液保留部材付貯血槽は、前記血液保留
部材内の血液を送血する際に作動する血液保留部材押圧
部を有するものであってもよい。また、前記血液保留部
材は、例えば、前記血液保留部の一部を形成する可撓性
材料により形成された変形可能部を有し、前記送血用血
液保留部材付貯血槽は、送血の際に前記変形可能部を変
形させて、該血液保留部材内の血液を押し出すための血
液保留部材押圧部を備えるものである。また、前記血液
保留部材は、例えば、硬質材料により形成された血液保
留部材本体部と、該血液保留部材本体部に周縁が固定さ
れた可撓性ダイアフラムを有し、該ダイアフラムは、変
形に対する自己復元力を実質的に持たないものである。
そして、前記血液通路は、前記硬質材料により形成され
た血液保留部材本体部と一体に形成されているものであ
ってもよい。さらに、前記ダイアフラムは、変形に必要
とする圧力が100mmH2O以下であることが好まし
い。そして、前記血液保留部材は、2組以上設けられて
いることが好ましい。さらには、前記血液保留部材と前
記血液保留部材押圧部は、2組以上設けられていること
が好ましい。
【0008】そして、前記体外血液循環回路への接続部
は、例えば、上端に設けられた血液流入ポートと、該流
入ポートより下方にのびる所定量の血液を貯留可能な血
液貯留部を有し、前記血液保留部材は、前記血液貯留部
内の貯血量が少なくとも所定値以下となったときに、前
記血液貯留部内の血液面高さに応じた量の血液を保留す
るものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の送血用血液保留部材付貯
血槽および送血装置を図面に示す実施例を用いて詳細に
説明する。図1は、人工肺を取り付けた状態の本発明の
送血用血液保留部材付貯血槽の一実施例の正面図であ
る。図2は、人工肺を取り付けた状態の本発明の送血用
血液保留部材付貯血槽の側面図である。図3は、図1に
おける送血用血液保留部材付近を破断した部分断面図で
ある。図4は、図1の送血用血液保留部材付貯血槽の送
血用血液保留部材付近の拡大断面図である。図5は、図
4の送血用血液保留部材の血液通路付近の拡大断面図で
ある。
【0010】本発明の送血用血液保留部材付貯血槽1
は、貯血部10と、貯血部10と連通し、かつ貯血部1
0の貯血量が所定値以下となったときに、貯血部10内
の貯血量に比例した量の血液を保留し、かつ、外方より
押圧されることにより内部の血液を流出可能な血液保留
部30a,30bを備える血液保留部材3a,3bと、
貯血部10と血液保留部材間に位置し、貯血部10側へ
の血液の流通を抑制する第1の逆止弁33a,33b
と、血液保留部材への下流側からの血液の流通を抑制す
る第2の逆止弁34a,34bとを備える。そして、第
1の逆止弁33a,33bと第2の逆止弁34a,34
bと血液保留部材の血液保留部30a,30bの血液流
入口間にて形成される血液通路35a,35bの容積
が、各々150mL以下であり、かつ、血液通路35
a,35bの最小断面積が、1.0cm2以上となって
いる。
【0011】このような送血用血液保留部材付貯血槽1
によれば、貯血部10内の血液面高さに応じた貯血部1
0から送血部材への血液流入量の感度がより向上する。
貯血部10内の血液面高さに対する血液保留部材への流
入量の感度は送血管の圧損に影響される。血液保留部材
の貯血量が貯血部10内の血液面高さに応じて変動を開
始するときの貯血部10内の血液面高さは、圧損がゼロ
の理想型の場合血液保留部材の最上部と等しくなる。し
かし圧損があるとその分だけ血液面高さは上方へシフト
する。すなわち貯血部10内の血液量は増加し、その増
加分はデッドボリュームとなる。そこで検討したとこ
ろ、上記のような血液通路を上記の容積以下とすること
により、圧損を極力抑えることができた。
【0012】また、この実施例の送血用血液保留部材付
貯血槽1は、貯血槽部2と、貯血槽部2の血液流出口と
連通し、外方より押圧されることにより内部の血液を流
出可能な送血用血液保留部材3a,3bを有する送血器
具3とを備える。送血用血液保留部材3a,3bは、貯
血部10内の貯血量が少なくとも所定値以下となったと
きに、貯血槽部2内の液面高さに応じた量の血液を保留
する。送血用血液保留部材3a,3bは、硬質材料によ
り形成された血液保留部材本体部41a,41bと、血
液保留部材本体部41a,41bに周縁が固定された変
形可能部を構成する可撓性ダイアフラム42a,42b
を有し、ダイアフラム42a,42bは、変形に対する
自己復元力を実質的に持たないものとなっている。
【0013】貯血部10は、貯血槽2の血液貯留部29
と送血器具3の血液貯留部28からなる空間である。こ
の実施例では、ダイアフラム42a,42bの上端と水
平の高さの位置は、貯血槽2と送血器具3の接続部分で
あるため、貯血部10における貯血槽2の血液貯留部2
9の下端付近より血液面が低下したときに、送血用血液
保留部材3a,3bは、貯血部10内の貯血量が少なく
とも所定値以下となったときに、貯血部10の貯血量に
比例した量の血液を保留する。そして、送血用血液保留
部材3a,3bのダイアフラム42a,42b側を外部
より押圧することにより、送血用血液保留部材3a,3
b内の血液を間欠的に流出させることができる。このた
め、貯血部10内の貯血残量が少なくなればそれに比例
した少ない量の送血が行われ、貯血残量が少量となって
も微量な送血が維持される。このため貯血残量が低下し
ても送血を中断する必要がなく、体外循環回路中での血
液停滞を回避できる。さらに、ダイアフラム42a,4
2bは、変形に対する自己復元力を実質的に持たないた
め、貯血部10の貯血量に敏感反応し、貯血部10の貯
血量に比例した量の血液の保留がより確実となる。
【0014】送血用血液保留部材付貯血槽1は、貯血槽
部2と、2つの送血用血液保留部材3a,3bと、貯血
槽部2とそれぞれの送血用血液保留部材3a,3bとを
連通する血液通路35a,35bを備え、さらに、熱交
換器付人工肺5が、貯血槽部2の底面に吊り下げられる
ように取り付けられている。また、熱交換器付人工肺5
の血液流入口は、送血用血液保留部材付貯血槽1の血液
排出口7とチューブ51により接続されている。なお、
図1および図3においては、このチューブ51が取り外
された状態となっている。また、ダイアフラム42a,
42bの外側には、使用時にダイアフラム42a,42
b側を押圧する送血用駆動部4a,4bが設けられてい
る。
【0015】貯血槽部2は、図1ないし図3に示すよう
に、硬質樹脂により形成された貯血槽部ハウジング本体
23aと蓋体23bとで構成されるハウジングを有し、
蓋体23bは、貯血槽部ハウジング本体23aの上部開
口を覆うように、ハウジング本体23aの上端に嵌合さ
れている。蓋体23bは、図1および図2に示すよう
に、血液流入口21、22、エア排出口27を有してい
る。血液流入口22は、術野からの血液を送血するカー
ディオトミーラインに接続される。血液流入口21は、
患者の心臓上下行静脈に挿入された脱血カニューレから
の血液を送血する脱血ラインと接続される。ハウジング
23a内には、血液流入口22より流入した血液を濾過
するためのカーディオトミー血液フィルター(図示せ
ず)と、血流入口21より流入した血液を濾過する静脈
血フィルター(図示せず)が設けられている。
【0016】貯血槽部ハウジング本体23aは、下方に
突出した突出部23cと、突出部23cの下部(下端)
に設けられた2つの血液流出口26a,26bを有して
いる。貯血槽部ハウジング本体23aおよび蓋体23b
を構成する部材としては、例えば、ポリカーボネート、
アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニ
ル、アクリル−スチレン共重合体、アクリル−ブタジエ
ン−スチレン共重合体等が好適に使用できる。特に、ポ
リカーボネート、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリ塩
化ビニルが好ましい。
【0017】そして、貯血槽1の内部には、図3および
図4に示すように、血液を一時的に貯留しておくための
血液貯留部10が形成されている。この血液貯留部10
の容積は、特に限定されないが、通常、成人用では、3
000〜5000ml程度であり、小児用では、100
0〜2500mlである。また、貯血槽部ハウジング本
体23aは、貯血量や内部に貯留している血液の状態を
容易に確認できるように、実質的に透明または半透明で
あることが好ましい。突出部23cは、言い換えれば、
断面積狭小部であり、貯血量低下時における貯血量また
は貯血量の変化を正確かつ容易に把握できるようにする
ためのものである。なお、貯血槽部2としては、軟質樹
脂により形成された軟質貯血槽部であってもよい。この
場合、貯血槽部は密閉型貯血槽部となる。
【0018】貯血槽部2の下方には、送血器具3が接続
固定されている。そして、送血器具3は、2つの送血用
血液保留部材3a,3bを備え、これを貯血槽部2と連
通させるための血液通路35a,35bと、血液排出口
7を備えている。血液通路35aは、第1の送血用血液
保留部材3aとのみ連通し、他方の血液通路35bは、
他方の血液保留部材3bとのみ連通している。また、貯
血部10と血液通路35a,35bの境界部位には、第
1の逆止弁33a,33bが設けられ、貯血部10側か
ら血液通路35側(言い換えれば、血液保留部材3側)
への血液の流通を許容し、その逆方向の血液の流通を規
制(阻止)している。この第1の逆止弁33a,33b
は、後述する送血駆動部4の作動中における貯血槽部2
と血液保留部材間の連通を遮断する流路制御部材として
機能する。また、送血器具3には、血液通路35a,3
5bと連通する血液排出口7が設けられており、この血
液排出口7付近には、第2の逆止弁34a,34bが設
けられおり、血液通路35a,35b側(言い換えれ
ば、血液保留部材3側)より下流側への血液流通を許容
し、その逆方向の血液流通を規制している。この第2の
逆止弁34a,34bは、後述する送血駆動部4の非作
動時における下流側からの血液の血液保留部材側(血液
流通部側)への流入を遮断する流路制御部材として機能
する。
【0019】逆止弁33、34は、円盤状の可動弁体の
一部をハウジングに固定することにより形成されてい
る。可動弁体は、血液より比重が若干軽いものが好まし
く、ショアA硬度で3〜7程度のものが好適である。こ
のような弁体としては、例えば、スチレン系エラストマ
ーオイル系ゲル、シリコーンゲルなど好適であり、厚さ
は、0.5〜5mm程度が好ましい。
【0020】血液保留部材3a,3bは、硬質材料によ
り形成された血液保留部材本体部41a,41bと、血
液保留部材本体部41a,41bに周縁が固定された可
撓性ダイアフラム42a,42bとを有し、血液保留部
材本体部41a,41bと可撓性ダイアフラム42a,
42b間により形成された血液保留部30a,30bを
有する。血液保留部材本体部41a,41bは、内面形
状が湾曲面となっており、具体的には略半球状に形成さ
れている。ダイアフラム42a,42bは、この血液保
留部材本体部41a,41bの内面形状に対応した形状
に形成されている。
【0021】そして、ダイアフラム42a,42bは、
変形に必要とする圧力が100mmH2O以下であるこ
とが好ましい。このようにすれば、貯血部10の貯血量
に敏感反応し、貯血部10の貯血量に比例した量の血液
の保留がより確実となる。ダイアフラム42a,42b
は、変形に必要とする圧力が、50mmH2O以下であ
ることがより好ましい。
【0022】送血用血液保留部材3a,3bは、内部に
血液保留部30a,30bを備え、さらに、それぞれの
血液保留部材の下方(下端)に位置し血液保留部30
a,30bと連通する血液流入通口31a,31bを備
えており、送血用血液保留部材3a,3bは、この血液
流入通口31a,31bを介して血液通路35a,35
bと連通している。送血用血液保留部材3a,3bは、
貯血部10と血液通路35a,35bの境界部位を形成
する第1の逆止弁33a,33bより上方に位置してい
る。そして、送血用血液保留部材3a,3bは、ほぼ垂
直上方に伸びるように形成されている。もし、送血用血
液保留部材3a,3bの血液保留部30a,30b(内
部空間)の最上端より貯血部10内の血液面が下方であ
れば、送血用血液保留部材3a,3b内には、この血液
面に比例した量の血液が流入する。逆に、送血用血液保
留部材3a,3bの血液保留部30a,30bの最大保
留量は不変であるので、送血用血液保留部材3a,3b
の血液保留部30a,30b(内部空間)の最上端より
貯血部10内の血液面が上方であれば、この最大保留量
の血液がこの内部に流入する。
【0023】つまり、この送血用血液保留部材3a,3
bには、貯血部10内の貯血量に比例した圧力が負荷さ
れており、圧力感受性容器となっている。貯血部10の
液面高さ(貯血量)が所定量以上(この例では、送血用
血液保留部材3a,3bの内部空間の最上端より貯血部
10内の血液面が上方)であれば、貯血量による圧力よ
りも送血用血液保留部材3a,3bの最大保留量が優先
され、送血用血液保留部材3a,3bは最大保留量の血
液を保留する。貯血部10の貯血量が所定量以下(この
例では、送血用血液保留部材3a,3bの内部空間の最
上端より貯血槽部2内の血液面が下方)であれば、送血
用血液保留部材3a,3bの圧力感受性が機能し、貯血
部10内の貯血量(言い換えれば、貯血槽部2内の血液
面高さ)に比例した量の血液を保留する。つまり、この
送血用血液保留部材3a,3bは、貯血部10の貯血量
が少なくとも所定値以下となったときに、貯血部10内
の貯血量に比例した量の血液を自動的に保留する機能を
備えている。
【0024】そして、送血用血液保留部材3a,3b
は、自己的に血液を吸引しないもの、言い換えれば、形
状自己復元性を実質的に持たない。送血用血液保留部材
3a,3bが、予め形成された内部容積を持つような形
状に形成されていると、内部に収納した血液が駆動部材
により押し出され、駆動部材による負荷が解除されたと
き、予め形成されている形状に復元し、その復元力によ
って生じる吸引力により、貯血槽部2側から血液を吸引
してしまう。このため、血液保留部材は、最低血液保有
量を持つことになり、この最低血液保有量以下では、上
記のような、圧力感受性を発揮しなくなる。
【0025】送血用血液保留部材3a,3bの最大血液
保留量(血液量流部の最大収納量、容積)としては、使
用する貯血槽部2の最大貯血量などにより相違するが、
20〜500ml程度が好ましく、特に50〜500m
l程度が好ましい。より好ましくは、50〜300ml
であり、特に、80〜300mlである。
【0026】そして、送血器具3の血液通路35a,3
5b(言い換えれば、第1の逆止弁33a,33bと第
2の逆止弁34a,34bと血液保留部材の血液保留部
30a,30bの血液流入口間にて形成される一つの血
液通路)の容積は、各々150mL以下となっている。
なお、送血器具3の血液通路35a,35bは、送血用
血液保留部材3a,3bのダイアフラム42a,42b
が閉じた状態にいて、第1の逆止弁33a,33bと第
2の逆止弁34a,34bと血液保留部材3a,3bの
血液保留部30a,30bの血液流入口(ダイアフラム
42a,42bの内側面)間にて形成される一つの血液
通路を示すものであり、図5における無数の点が付され
た空間をいうものである。さらに、血液通路35a,3
5bの最小断面積は、1.0cm2以上となっている。
このようなものであれば、血液保留部材の圧力感受性を
阻害することがなく、送血用血液保留部材3a,3bの
圧力感受性は十分に機能し、貯血部10内の貯血量(言
い換えれば、貯血槽部2内の血液面高さ)に比例した量
の血液を保留する。そして、血液通路血液通路35a,
35bの圧力損失(一つの血液通路の圧力損失)は、よ
り低いことが好ましいが、本発明では、130mmH2
O以下であることが好ましく、特に、110mmH2
以下、より好ましくは、100mmH2O以下であるこ
とが好ましく、このようなものであれば、十分に圧力感
受性を発揮でき、かつ、良好に使用できる。特に、血液
通路35a,35bの容積は、各々150mL以下とす
ることが好ましい。さらに、血液通路35a,35bの
最小断面積は、1.5cm2以上であることが好まし
い。このようなものであれば、血液保留部材の圧力感受
性をより確実に発揮させることができる。
【0027】血液流路の最小断面積が小さいほど血液通
路の容積は少なくなるが、逆に圧損が大きくなるため、
圧力損失が打ち勝って流量を出すために貯血部内の血液
面高さが大すなわち貯血部内の血液量が多量となる。通
常貯血槽の大きさは、高さが30〜35cmで容量は4
000〜5000mLであるので、血液保留部材最上部
と貯血部内の血液面との差が35cm以上となることは
ない。血液流路の最小断面積が、0.5cm2以下では
最大流量8L/min時の圧損が540mmH2Oとな
り、必要以上に大きな貯血槽が必要となり現実的でな
い。最小断面積1.0cm2、8L/min時の圧損
(すなわち8L/minを出すために必要な貯血部内の
血液面高さ)は13cmであるので、手術中の循環血液
量の増減にも対応が可能である。また、貯血槽内の液面
高さは、17cm程度で、貯血量1000mL程度とな
り、この程度が使い勝手の面で上限と考えられる。これ
以上では、輸血もしくは補液などにより循環血液量を増
さざるを得ない場合が生じる。貯血槽内の液面高さは、
望ましくは11cm程度で、この時の貯血量は、400
mL程度となる。
【0028】また、最小断面積1cm2で圧損を130
mmH2O以下、特に、110mmH2O以下、に抑える
ために、血液通路の長さは、15cm以下であることが
好ましい。特に、10cm以下であることが好ましい。
このようなものであれば、血液保留部材の圧力感受性を
より確実に発揮させることができる。さらに、第1の逆
止弁33a,33bは、完全開口時の弁の開口面積が、
血液通路の最小断面積と同等もしくはそれより大きいも
のであることが好ましい。このようにすれば、第1の逆
止弁33a,33bに起因する圧力損失は、血液流路に
起因するものより低いものとなり、第1の逆止弁33
a,33bに起因する圧力損失の発生を防止できる。特
に、血液通路35a,35bの最小断面積を1.0cm
2以上とし、かつ、第1の逆止弁33a,33bは、完
全開口時の弁の開口面積を血液通路の最小断面積と同等
もしくはそれより大きいものとすることが好ましい。こ
のようにすることにより、より確実に圧力感受性を発揮
させることができる。さらに、第2の逆止弁34a,3
4bも完全開口時の弁の開口面積を血液通路の最小断面
積と同等もしくはそれより大きいものとすることが好ま
しい。このようにすれば、送血時(血液拍出時)におけ
る第2の逆止弁34a,34bに起因する圧力損失は、
血液流路に起因するものより低いものとなり、第2の逆
止弁34a,34bに起因する圧力損失の発生を防止で
きる。
【0029】また、血液通路35a,35bの容積は、
送血用血液保留部材3a,3bの最大血液保留量(血液
量流部の最大収納量)より少ないことが好ましく、この
ようであれば、送血用血液保留部材3a,3b内の血液
の排出により血液通路35a,35b内に貯留していた
血液全量が押し出されるので、血液通路35a,35b
血液流通部での血液の滞留が少ない。
【0030】血液保留部材本体部41a,41bの形成
材料としては、例えば、ポリカーボネート、アクリル樹
脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、アクリル
−スチレン共重合体、アクリル−ブタジエン−スチレン
共重合体等が好適に使用できる。特に、ポリカーボネー
ト、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルが好
ましい。なお、この実施例では、血液保留部材本体部4
1aと血液通路35aは一体に形成されている。同様
に、血液保留部材本体部41bと血液通路35bも一体
に形成されている。なお、これに限らず、別個に形成し
たものを接続してもよい。
【0031】ダイアフラム42a,42bの形成材料と
しては、例えばポリウレタン、シリコン、ポリ塩化ビニ
ル等が好適に使用できる。特に血液に接触する部材とし
て現在広く用いられているポリウレタン、シリコンが好
ましい。
【0032】ダイアフラム42a,42bは、十分に柔
軟であることが望ましく、柔軟性の指標としては、例え
ば、コンプライアンスがある。送血用血液保留部材3
a,3bとしては、貯血槽1の貯血部10内の血液面
が、送血用血液保留部材3a,3bの内部の最上部より
低いとき、言い換えれば、送血用血液保留部材3a,3
bの圧力感受性(液面感受性)が機能するときに、コン
プライアンスが、2ml/sec・mmHg以上である
ことが好ましく、5〜30ml/sec・mmHgであ
るものが好ましい。さらに、貯血槽1の貯血部10内の
血液面が、送血用血液保留部材3a,3bの内部の最上
部より高いときには、送血用血液保留部材3a,3b
は、コンプライアンスが、上記値より低いものとなるも
のがより好適である。また、送血用血液保留部材3a,
3bへの血液の流入抵抗は、送血用血液保留部材3a,
3bへの血液の流入速度により、表すことができ、送血
用血液保留部材3a,3bとしては、血液流入速度が、
20〜600ml/secであることが好ましい。
【0033】さらに、送血用血液保留部材付貯血槽1の
血液接触面は、抗血栓性表面となっている事が好まし
い。特に、送血用血液保留部材3a,3bの血液接触
面、血液通路35a,35b、第1の逆止弁33a,3
3b、第2の逆止弁34a,34bは、抗血栓性表面と
なっている事が好ましい。
【0034】抗血栓性表面は、抗血栓性材料を表面に被
覆、さらには固定することにより形成できる。抗血栓性
材料としては、ヘパリン、ウロキナーゼ、HEMA−S
t−HEMAコポリマー、ポリHEMAなどが使用でき
る。
【0035】抗血栓性表面は、例えば、オゾン処理によ
り生成された基材表面の酸化物中に含まれる官能基と、
ヘパリンのアミノ基とが、直接、または少なくとも一種
のカップリング剤を介して共有結合することにより形成
する事が好ましい。この方法であれば、溶剤を使用する
ことなく、血液接触面にヘパリンが固定されるので、血
液接触面を形成する基材の物性の変化、具体的には、可
撓性、弾性、強度などの低下が少ない。オゾン処理によ
って基材表面に形成される酸化物中には、種々の官能
基、例えば、アルデヒド、ケトン、エポキシなど反応性
の高い官能基が生成される。
【0036】そして、これらの官能基に直接官能基を結
合させることも可能であるが、立体障害等の問題も有
り、これらの官能基にスペーサー(カップリング剤)を
導入し、ヘパリンを固定する方法が、容易で、しかも表
面のヘパリン活性発現の点からも有用である。カップリ
ング剤としては、1種または2種以上のものを用いても
よく、また2つ以上のアルデヒド基や、エポキシ基を有
する化合物が好適に用いられる。
【0037】また、複数種のカップリング剤を用いる場
合は、基材上に導入された上記官能基にアミノ基等の官
能基を2つ以上有する化合物からなるカップリング剤
(スペーサ用カップリング剤)を予め結合させて基材に
アミノ酸等を導入した後、ヘパリンを2つ以上のアルデ
ヒド基やエポキシ基を有する化合物からなるカップリン
グ剤(ヘパリン固定用カップリング剤)を用いて基材に
結合させる事が好ましい。さらにはヘパリンを結合する
際に、カップリング剤をヘパリンと同時、あるいはヘパ
リン投入以降に反応系内に投入することが好ましい。
【0038】特に、スペーサ用カップリング剤を用い
て、アミノ基を導入すれば、ヘパリンのアミノ基と反応
系内でほぼ同様な反応性を示すので、より効果的に後者
のヘパリン固定用カップリング剤によるヘパリンの基材
への固定を行わせることができる。
【0039】また、ヘパリンと直接結合するカップリン
グ剤の官能基または基材に導入された官能基がアルデヒ
ド基である場合は、ヘパリンとして、ヘパリンのN−硫
酸基の一部を脱硫化して第1級アミノ化したものを用い
ることが好ましい。
【0040】スペーサ用カップリング剤としては、基材
上のオゾン処理により得た官能基と結合(共有結合)
し、かつ2つ以上の第1級アミノ基を有するものが好ま
しい。アミノ基を2つ以上有するスペーサ用カップリン
グ剤としては、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリエ
チレングリコールジアミン、エチレンジアミン、テトラ
メチレンジアミン等が挙げられる。
【0041】ヘパリンを基材に固定するために使用され
るカップリング剤としては、アルデヒド化合物、エポキ
シ化合物が好適に使用できる。アルデヒド化合物として
は、グルタルアルデヒド、グリオキサール、スクシンジ
アルデヒド、エポキシ化合物としては、ポリエチレング
リコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオー
ル−ジグリシジルエーテル、ソルビトールジグリシジル
エーテル、グリセロールジグリシジルエーテルなどが好
適に使用される。
【0042】具体的には、エポキシ化合物がソルビトー
ルジグリシジルエーテルであるデナコール EX−42
1、521、611、612、614、614B、ジエ
ポキシ化合物がグリセロールジグリシジルエーテルであ
るデナコール EX−313、ジエポキシ化合物がポリ
エチレングリコールグリジジルエーテルであるEX−8
10、811、851、821、830、832、84
1、861(ナガセ化成社製)等が挙げられる。 さら
にエポキシの反応性の違いから、デナコールEX−31
3、421、512、521、810、811、82
1、851等が更に好ましい。そして、上記のヘパリン
固定では、基材に固定されたポリエチレンイミンとグル
タールアルデヒドの結合、グルタールアルデヒドとヘパ
リンの結合はすべて共有結合であり、ヘパリンの離脱が
少ない。
【0043】送血用血液保留部材3a,3bの外側に
は、送血用駆動部4a,4bが設けられている。送血用
駆動部4a,4bは、伸縮可能なシート材により形成さ
れた血液保留部材内の血液を送血する際に作動する血液
保留部材押圧部43a,43bを備える。具体的には、
送血用駆動部4a,4bは、中央部に外方に斜めに下方
に突出する送血用流体流通ポート44a,44bを備え
るヘッダー45a,45bと、このヘッダー45a,4
5bを送血器具の血液保留部材本体部41a,41b固
定するための固定リング46a,46bを備えている。
そして、血液保留部材押圧部43a,43bは、周縁に
形成された膨出部47a,47bおよびこの膨出部46
a,46bより若干内側の環状部分が、ヘッダー45
a,45bと血液保留部材本体部41a,41bの周縁
部間に押圧され、それらによりほぼ機密に保持されてい
る。なお、送血用駆動部4a,4bの血液保留部材押圧
部43a,43bは、流体により膨張収縮を行う伸縮可
能なシート材であるので、血液保留部材の押圧時にダイ
アフラムに損傷を与えることが少ない。
【0044】そして、使用時には、送血用流体流通ポー
ト44a,44bには、送血用流体供給機(図示せず)
が接続され、送血用流体供給機が備えるコンプレッサー
による送液(もしくは送気)および排出(もしくは排
気)により、血液保留部材押圧部43a,43bは、膨
張および収縮といった駆動を繰り返す。送血用駆動部4
a,4bの血液保留部材押圧部43a,43bは、非膨
張時(収縮時)には、図4に示すように、送血用血液保
留部材3a,3bのダイアフラム42a,42bに接触
しない状態となっており、膨張時には膨らみ、送血用血
液保留部材3a,3bのダイアフラム42a,42bを
血液保留部材本体部41a,41bと共同して押圧し、
送血用血液保留部材3a,3b内(血液保留部30a,
30b内)の血液を排出させる。
【0045】そして、血液保留部材3a,3bと血液保
留部材押圧部43a,43b間の空間52a,52b
は、外部と連通しており、いわゆる密閉空間とはなって
いない。具体的には、血液保留部材3a,3bと血液保
留部材押圧部43a,43b間の空間は、血液保留部材
本体部41a,41bに形成された開口48a,48b
および固定リング46a,46bに形成された開口49
a,49bにより、外部と連通している。このように空
間52a,52bをいわゆる密閉空間としないことによ
り、血液保留部材押圧部43a,43bが膨張状態より
収縮する時に、この空間内が減圧空間となることを防止
している。送血用駆動部4a,4bは、送血の際にこの
ダイアフラムを変形させて、血液保留部材内の血液を押
し出すものであるので、貯血槽の貯血量に比例した量の
血液を間欠的に吐出する。
【0046】血液保留部材押圧部43a,43bの形成
に使用される弾性材料としては、ウレタンゴム、シリコ
ーンゴム、ブタジエンゴムなどの合成ゴム、ラテックス
ゴムなどの天然ゴム、オレフィン系エラストマー、アミ
ド系エラストマー、スチレン系エラストマー(例えば、
スチレン−ブタジエン−スチレンコポリマー、スチレン
−イソプレン−スチレンコポリマー、スチレン−エチレ
ンブチレン−スチレンコポリマー)、ポリウレタンエラ
ストマーなどのエラストマーが好適である。
【0047】また、送血用駆動部は、内部に流入される
流体の量もしくは圧力を調整することにより、血液保留
部材より流出する血液量を調整することもできる。つま
り、送血量は、所定時間あたりの送血用駆動部材の駆動
回数を固定し、送血用駆動部内部に流入される流体の量
もしくは圧力を調整することにより、容易に変更でき
る。
【0048】この実施例の送血用血液保留部材付貯血槽
1は、上述したように、送血用血液保留部材3および送
血用駆動部4をそれぞれ2組備えている。また、図5に
示すように、血液通路35も2つの血液通路35a,3
5bに区分されており、両者は連通してない。このよう
に2組以上設けることにより、個々の送血用血液保留部
材3a,3b、送血用駆動部4a,4bの容量は小さく
なり、血液流入および排出リスポンスは良好となる。さ
らに、このように2組以上設け、それぞれの送血用駆動
部4a,4bの膨張タイミングをずらせばより良好な血
液流を形成することができる。このように送血用駆動部
4a,4bの膨張タイミングをずらしても、この実施例
では血液通路35a,35bは連通しておらず、個々の
血液保留部材は独立した血液通路35a,35bを備え
るため、一方の血液保留部材より他方の血液保留部材に
血液が流れることもない。なお、この実施例に限られる
ものではなく、送血用血液保留部材3および送血用駆動
部4は、1組、さらには、3組以上備えるものであって
もよい。なお、送血用駆動部4としては、流体により膨
張収縮を繰り返すタイプのものを用いているが、これに
限られるものではなく、例えば、押圧板を機械的に駆動
し血液保留部材を押圧するようなタイプのものであって
もよい。
【0049】また、この実施例の送血用血液保留部材付
貯血槽1のように送血用血液保留部材および送血用駆動
部を2組設け、送血用流体供給器が、送血用駆動部を個
々に駆動できる制御機能を備えるものとすれば、送血さ
れる血流形態を選択することができ、患者の状態、使用
される人工肺などを考慮し、拍動流もしくは定常流を選
択することができ、さらには、使用時に血流形態を変更
することもできる。具体的には、個々の送血用血液保留
部材3a,3bより流出する血液流の位相がほぼ180
度ずれるようにすること、言い換えれば、送血用駆動に
流出入する流体の位相がほぼ180度ずれるようにする
ことにより血液流はほぼ定常流とすることができる。ま
た、逆に、個々の送血部材より流出する血液流の位相を
ほぼ同じもしくは±30度とすること、言い換えれば、
送血用駆動に流出入する流体の位相をほぼ同じもしくは
±30度とすることにより、良好な拍動流が形成され
る。なお、血液保留部材および送血用駆動部を3組以上
とした場合には、360度を組数で除した角度ごと、個
々の送血部材より流出する血液流の位相をずらすことに
より、血流形態はほぼ定常流となる。
【0050】また、この実施例の送血用血液保留部材付
貯血槽1では、血液保留部材のダイアフラム42a,4
2bは、ダイアフラム42a,42bおよびヘッダー4
5a,45bにより囲まれており、外部に露出していな
い。これらが、いわゆる保護カバーとして機能してい
る。
【0051】次に、本発明の体外血液循環回路用送血器
具について説明する。図6は、本発明の体外血液循環回
路用送血器具の一実施例の断面図である。この体外血液
循環回路用送血器具80は、体外血液循環回路に用いら
れる送血器具であって、送血器具は、体外血液循環回路
への接続部81(血液流入ポート)を備え、外方より押
圧されることにより内部の血液を流出可能な送血用血液
保留部材3a,3bを有し、血液保留部材3a,3b
は、体外血液循環回路中に設けられる貯血槽内もしくは
送血用血液保留部材より上流側の送血器具内の貯血量が
少なくとも所定値以下となったときに、貯血槽内もしく
は送血器具内の液面高さに応じた量の血液を保留するも
のである。
【0052】体外血液循環回路用送血器具80は、体外
血液循環回路への接続部と血液保留部材間に位置し、体
外血液循環回路への接続部側への血液の流通を抑制する
第1の逆止弁33a,33bと、血液保留部材への下流
側からの血液の流通を抑制する第2の逆止弁34a,3
4bとを備え、さらに、第1の逆止弁33a,33bと
第2の逆止弁34a,34bと血液保留部材の血液保留
部30a,30bの血液流入口間に形成される血液通路
の容積が、各々150mL以下であり、かつ、前記血液
通路の最小断面積が、1.0cm2以上となっている。
このため、上述した貯血槽1と同様の効果を得ることが
できる。
【0053】そして、送血器具80の送血用血液保留部
材3a,3bは、硬質材料により形成された血液保留部
材本体部41a,41bと、血液保留部材本体部41
a,41bに周縁が固定された可撓性ダイアフラム42
a,42bを有し、ダイアフラム42a,42bは、変
形に対する自己復元力を実質的に持たないものである。
また、ダイアフラム42a,42bの外側には、使用時
にダイアフラム42a,42b側を押圧する送血用駆動
部4a,4bが設けられている。
【0054】貯血槽への接続部81は、例えば、短いチ
ューブにより、貯血槽の血液流出ポートと接続されるた
めのものである。体外血液循環回路用送血器具80は、
貯血槽への接続部81と、2つの送血用血液保留部材3
a,3bと、接続部81とそれぞれの送血用血液保留部
材3a,3bとを連通する血液通路35a,35bを備
える。また、送血用血液保留部材3a,3bの外部に
は、使用時には、ダイアフラム42a,42b側を押圧
する駆動部材4が設けられている。送血用血液保留部材
3a,3bの構成については、上述した送血用血液保留
部材付貯血槽1における送血用血液保留部材3a,3b
と同じであり、同様に、送血用駆動部4a,4bの構成
も上述した送血用駆動部4a,4bと同じである。相違
は、貯血槽部2を直接備えず、その代わりに貯血槽への
接続部81となっている点のみである。
【0055】貯血槽への接続部81は、上端に上述した
血液流入ポート8を備え、下方にのびる所定量(例え
ば、5〜100ml)の血液を貯留する血液貯留部83
と、この血液貯留部83の下部(下端)に設けられた2
つの血液流通口26a,26bを有している。
【0056】血液貯留部83の下方には、図6に示すよ
うに、送血用血液保留部30a,30bを備える2つの
送血血液保留部材3a,3bと血液貯留部83と連通さ
せるための血液通路35a,35bが形成されている。
血液流通部は2つに区分されており、一方の血液通路3
5aは、一方の血液保留部材3aとのみ連通し、他方の
血液通路35bは、他方の血液保留部材3bとのみ連通
している。また、血液貯留部83の血液流通口26a,
26b付近には、言い換えれば、貯血部と血液通路35
a,35bの境界部位には、第1の逆止弁33a,33
bが設けられ、血液貯留部83側から血液通路35側
(言い換えれば、血液保留部材3側)への血液の流通を
許容し、その逆方向の血液の流通を規制(阻止)してい
る。この第1の逆止弁33a,33bは、後述する送血
駆動部4の作動中における血液貯留部83と血液保留部
材間の連通を遮断する流路制御部材として機能する。ま
た、送血器具80には、血液通路35a,35bと連通
する血液排出口87が設けられており、この血液排出口
87付近には、第2の逆止弁34a,34bが設けられ
おり、血液通路35a,35b側(言い換えれば、血液
保留部材3側)より下流側への血液流通を許容し、その
逆方向の血液流通を規制している。この第2の逆止弁3
4a,34bは、後述する送血駆動部4の非作動時にお
ける下流側からの血液の血液保留部材側(血液流通部
側)への流入を遮断する流路制御部材として機能する。
【0057】逆止弁33、34は、円盤状の可動弁体の
一部をハウジングに固定したものによって形成されてい
る。可動弁体は、血液より比重が若干軽いものが好まし
く、ショアA硬度で3〜7程度のものが好適である。こ
のような弁体としては、例えば、スチレン系エラストマ
ーオイル系ゲル、シリコーンゲルなど好適であり、厚さ
は、0.5〜5mm程度が好ましい。
【0058】血液保留部材3a,3bは、硬質材料によ
り形成された血液保留部材本体部41a,41bと、血
液保留部材本体部41a,41bに周縁が固定された可
撓性ダイアフラム42a,42bを有する。血液保留部
材本体部41a,41bは、内面形状が湾曲面となって
おり、具体的には略半球状に形成されている。ダイアフ
ラム42a,42bは、この血液保留部材本体部41
a,41bの内面形状に対応した形状に形成されてい
る。そして、ダイアフラム42a,42bは、変形に対
する自己復元力を実質的に持たないものが用いられてい
る。
【0059】そして、ダイアフラム42a,42bは、
変形に必要とする圧力が100mmH2O以下であるこ
とが好ましい。このようにすれば、血液貯留部83の貯
血量に敏感反応し、血液貯留部83の貯血量に比例した
量の血液の保留がより確実となる。ダイアフラム42
a,42bは、変形に必要とする圧力が、50mmH2
O以下であることがより好ましい。
【0060】送血用血液保留部材3a,3bは、内部に
血液保留部30a,30bを備え、さらに、それぞれの
血液保留部材の下方(下端)に位置し血液保留部30
a,30bと連通する血液流入通口31a,31bを備
えており、送血用血液保留部材3a,3bは、この血液
流入通口31a,31bを介して血液通路35a,35
bと連通している。送血用血液保留部材3a,3bは、
血液貯留部83と血液通路35a,35bの境界部位を
形成する第1の逆止弁33a,33bより上方に位置し
ている。そして、送血用血液保留部材3a,3bは、ほ
ぼ垂直上方に伸びるように形成されている。もし、送血
用血液保留部材3a,3bの血液保留部30a,30b
(内部空間)の最上端より血液貯留部83内の血液面が
下方であれば、送血用血液保留部材3a,3b内には、
この血液面に比例した量の血液が流入する。逆に、送血
用血液保留部材3a,3bの血液保留部30a,30b
の最大保留量は不変であるので、送血用血液保留部材3
a,3bの血液保留部30a,30b(内部空間)の最
上端より血液貯留部83内の血液面が上方であれば、こ
の最大保留量の血液がこの内部に流入する。
【0061】つまり、この送血用血液保留部材3a,3
bには、血液貯留部83内の貯血量に比例した圧力が負
荷されており、圧力感受性容器となっている。血液貯留
部83の液面高さ(貯血量)が所定量以上(この例で
は、送血用血液保留部材3a,3bの内部空間の最上端
より血液貯留部83内の血液面が上方)であれば、貯血
量による圧力よりも送血用血液保留部材3a,3bの最
大保留量が優先され、送血用血液保留部材3a,3bは
最大保留量の血液を保留する。血液貯留部83の貯血量
が所定量以下(この例では、送血用血液保留部材3a,
3bの内部空間の最上端より血液貯留部83内の血液面
が下方)であれば、送血用血液保留部材3a,3bの圧
力感受性が機能し、血液貯留部83内の貯血量(言い換
えれば、貯血槽部2内の血液面高さ)に比例した量の血
液を保留する。つまり、この送血用血液保留部材3a,
3bは、血液貯留部83の貯血量が少なくとも所定値以
下となったときに、血液貯留部83内の貯血量に比例し
た量の血液を自動的に保留する機能を備えている。
【0062】そして、送血用血液保留部材3a,3b
は、自己的に血液を吸引しないもの、言い換えれば、形
状自己復元性を実質的に持たない。送血用血液保留部材
3a,3bが、予め形成された内部容積を持つような形
状に形成されていると、内部に収納した血液が駆動部材
により押し出され、駆動部材による負荷が解除されたと
き、予め形成されている形状に復元し、その復元力によ
って生じる吸引力により、貯血槽部2側から血液を吸引
してしまう。このため、血液保留部材は、最低血液保有
量を持つことになり、この最低血液保有量以下では、上
記のような、圧力感受性を発揮しなくなる。
【0063】送血用血液保留部材3a,3bの最大血液
保留量(最大収納量、容積)としては、使用する血液貯
留部83の最大貯血量などにより相違するが、20〜5
00ml程度が好ましく、特に50〜500ml程度が
好ましい。より好ましくは、50〜300mlであり、
特に、80〜300mlである。そして、送血器具3の
血液通路35a,35b(言い換えれば、第1の逆止弁
33a,33bと第2の逆止弁34a,34bと血液保
留部材の血液保留部30a,30bの血液流入口間にて
形成される一つの血液通路)の容積は、各々150mL
以下となっている。なお、送血器具3の血液通路35
a,35bは、送血用血液保留部材3a,3bのダイア
フラム42a,42bが閉じた状態にいて、第1の逆止
弁33a,33bと第2の逆止弁34a,34bと血液
保留部材3a,3bの血液保留部30a,30bの血液
流入口(ダイアフラム42a,42bの内側面)間にて
形成される一つの血液通路を示すものであり、図6にお
ける無数の点が付された空間をいうものである。さら
に、血液通路35a,35bの最小断面積は、1.0c
2以上となっている。このようなものであれば、血液
保留部材の圧力感受性を阻害することがなく、送血用血
液保留部材3a,3bの圧力感受性は十分に機能し、貯
血部10内の貯血量(言い換えれば、貯血槽部2内の血
液面高さ)に比例した量の血液を保留する。そして、血
液通路血液通路35a,35bの圧力損失(一つの血液
通路の圧力損失)は、より低いことが好ましいが、本発
明では、130mmH2O以下であることが好ましく、
特に、110mmH2O以下、より好ましくは、100
mmH2O以下であることが好ましく、このようなもの
であれば、十分に圧力感受性を発揮でき、かつ、良好に
使用できる。特に、血液通路35a,35bの容積は、
各々100mL以下とすることが好ましい。さらに、血
液通路35a,35bの最小断面積は、1.5cm2
上であることが好ましい。このようなものであれば、血
液保留部材の圧力感受性をより確実に発揮させることが
できる。
【0064】血液流路の最小断面積が小さいほど血液通
路の容積は少なくなるが、逆に圧損が大きくなるため、
圧力損失に打ち勝って流量を出すために貯血部内の血液
面高さが大、すなわち貯血部内の血液量が多量となる。
通常貯血槽の大きさは、高さが30〜35cmで容量は
4000〜5000mLであるので、血液保留部材最上
部と貯血部内の血液面との差が35cm以上となること
はない。血液流路の最小断面積が、0.5cm2以下で
は最大流量8L/min時の圧損が54cmH2Oとな
り、必要以上に大きな貯血槽が必要となり現実的でな
い。最小断面積1.0cm2、8L/min時の圧損
(すなわち8L/minを出すために必要な貯血部内の
血液面高さ)は13cmであるので、手術中の循環血液
量の増減にも対応が可能である。また、貯血槽内の液面
高さは、17cm程度で、貯血量1000mL程度とな
り、この程度が使い勝手の面で上限と考えられる。これ
以上では、輸血もしくは補液などにより循環血液量を増
さざるを得ない場合が生じる。貯血槽内の液面高さは、
望ましくは11cm程度で、この時の貯血量は400m
L程度となる。
【0065】血液通路の長さは、15cm以下であるこ
とが好ましい。特に、10cm以下であることが好まし
い。このようなものであれば、血液保留部材の圧力感受
性をより確実に発揮させることができる。さらに、第1
の逆止弁33a,33bは、完全開口時の弁の開口面積
が、血液通路の最小断面積と同等もしくはそれより大き
いものであることが好ましい。このようにすれば、第1
の逆止弁33a,33bに起因する圧力損失は、血液流
路に起因するものより低いものとなり、第1の逆止弁3
3a,33bに起因する圧力損失の発生を防止できる。
特に、血液通路35a,35bの最小断面積を1.0c
2以上とし、かつ、第1の逆止弁33a,33bは、
完全開口時の弁の開口面積を血液通路の最小断面積と同
等もしくはそれより大きいものとすることが好ましい。
このようにすることにより、より確実に圧力感受性を発
揮させることができる。さらに、第2の逆止弁34a,
34bも完全開口時の弁の開口面積を血液通路の最小断
面積と同等もしくはそれより大きいものとすることが好
ましい。このようにすれば、送血時(血液拍出時)にお
ける第2の逆止弁34a,34bに起因する圧力損失
は、血液流路に起因するものより低いものとなり、第2
の逆止弁34a,34bに起因する圧力損失の発生を防
止できる。
【0066】また、血液通路35a,35bの容積は、
送血用血液保留部材3a,3bの最大血液保留量(血液
量流部の最大収納量)より少ないことが好ましく、この
ようであれば、送血用血液保留部材3a,3b内の血液
の排出により血液通路35a,35b内に貯留していた
血液全量が押し出されるので、血液通路35a,35b
血液流通部での血液の滞留が少ない。
【0067】送血用血液保留部材3a,3bが保留する
血液は、後述する送血用駆動部4a,4bにより押し出
され、押し出された血液は血液通路35a,35b内に
流入し、血液排出口87より流出する。このため、本発
明の体外血液循環回路用送血器具80では、血液貯留部
83内の貯血量が所定値より少なくなった場合、貯血残
量に比例した量の血液が送られることになり、貯血残量
が低下すればするほど送血量も自動的に低下し限りなく
0には近づくが0になることがなく、ごく微量でも送血
を維持する。このため、送血停止が生じないため、体外
血液循環回路におけるこの送血器具80より下流側での
血液滞留を生じることがない。
【0068】血液保留部材本体部41a,41b、ダイ
アフラム、補強体の形成材料としては、上述したものが
好適に使用できる。ダイアフラムは、十分に柔軟である
ことが望ましく、柔軟性の指標としては、例えば、コン
プライアンスがある。送血用血液保留部材3a,3bと
しては、血液貯留部83の貯血部内の血液面が、送血用
血液保留部材3a,3bの内部の最上部より低いとき、
言い換えれば、送血用血液保留部材3a,3bの圧力感
受性(液面感受性)が機能するときに、コンプライアン
スが、2ml/sec・mmHg以上であることが好ま
しく、5〜30ml/sec・mmHgであるものが好
ましい。さらに、血液貯留部83の貯血部内の血液面
が、送血用血液保留部材3a,3bの内部の最上部より
高いときには、送血用血液保留部材3a,3bは、コン
プライアンスが、上記値より低いものとなるものがより
好適である。また、送血用血液保留部材3a,3bへの
血液の流入抵抗は、送血用血液保留部材3a,3bへの
血液の流入速度により、表すことができ、送血用血液保
留部材3a,3bとしては、血液流入速度が、20〜6
00ml/secであることが好ましい。
【0069】さらに、体外血液循環回路用送血器具80
の血液接触面は、抗血栓性表面となっている事が好まし
い。特に、送血用血液保留部材3a,3b、血液通路3
5a,35bの血液接触面は、抗血栓性表面となってい
る事が好ましい。抗血栓性表面の形成方法は、上述した
方法が好適に利用できる。
【0070】血液保留部材3a,3bの外方、言い換え
れば、ダイアフラムの外方には、送血用駆動部4a,4
bが設けられている。送血用駆動部4a,4bは、ダイ
アフラム側を押圧し、ダイアフラムを血液保留部材本体
部41a,41bに密着可能な押圧部を備えている。こ
の実施例では、送血用駆動部4a,4bの作動により、
血液保留部材3a,3bに貯留された血液は間欠的に排
出される。なお、送血用駆動部4a,4bの構成は上述
したものと同じである。
【0071】
【実施例】図4および図5に示すような構造を備え、か
つ送血器具3の血液通路35a,35bの容積、血液通
路35a,35bの最小断面積、血液通路35a,35
bの長さを変化させた送血用血液保留部材付貯血槽を作
製した。そして、送血駆動部を作動させて最大吐出量8
L/minを吐出したときの圧力損失を測定した。結果
は、表1、表2、表3,表4,表5に示す通りであっ
た。実施例の送血用血液保留部材付貯血槽では、血液通
路血液通路の圧力損失(一つの血液通路の圧力損失)
は、130mmH2O以下であり、十分に圧力損失は低
いものであったが、比較例の送血用血液保留部材付貯血
槽では、すべて圧力損失は、140mmH2O以上であ
った。よって、実施例の送血用血液保留部材付貯血槽の
ほうが比較例のものに比べて血液保留部材の圧力感受性
を確実に発揮させることができるものであった。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
【表3】
【0075】
【表4】
【0076】
【表5】
【0077】
【発明の効果】本発明の送血用血液保留部材付貯血槽
は、貯血部と、該貯血部と連通し、かつ該貯血部の貯血
量が所定値以下となったときに、貯血部内の貯血量に比
例した量の血液を保留し、かつ、外方より押圧されるこ
とにより内部の血液を流出可能な血液保留部を備える血
液保留部材と、前記貯血部と前記血液保留部材間に位置
し、前記貯血部側への血液の流通を抑制する第1の逆止
弁と、前記血液保留部材への下流側からの血液の流通を
抑制する第2の逆止弁とを備える送血用血液保留部材付
貯血槽であって、前記第1の逆止弁と前記第2の逆止弁
と前記血液保留部材の前記血液保留部の血液流入口間に
て形成される血液通路の容積が、150mL以下であ
り、かつ、前記血液通路の最小断面積が、1.0cm2
以上となっている。
【0078】このため、血液保留部材は、貯血部内の貯
血量が少なくとも所定値以下となったときに、貯血部の
貯血量に比例した量の血液を保留し、血液保留部材を外
部より押圧することにより、血液保留部材内の血液を間
欠的に流出させることができる。よって、血液保留部材
は、貯血部内の貯血量が少なくとも所定値以下となった
ときに、貯血部内の貯血残量が少なくなればそれに比例
した少ない量の送血が行われ、貯血残量が少量となって
も微量な送血が維持される。このため貯血残量の低下に
より送血を中断する必要がなく、体外循環回路中での血
液停滞を回避できる。さらに、血液保留部材は、貯血部
の貯血量に敏感反応し、貯血部の貯血量に比例した量の
血液の保留がより確実となる。
【0079】また、本発明の体外血液循環回路用送血器
具は、体外血液循環回路に用いられる送血器具であっ
て、該送血器具は、体外血液循環回路への接続部を備
え、外方より押圧されることにより内部の血液を流出可
能な血液保留部を備える送血用血液保留部材を有し、該
血液保留部材は、前記体外血液循環回路中に設けられる
貯血槽内もしくは該送血用血液保留部材より上流側の前
記送血器具内の貯血量が少なくとも所定値以下となった
ときに、前記貯血槽内もしくは前記送血器具内の液面高
さに応じた量の血液を保留するものであり、さらに、送
血器具は、前記体外血液循環回路への接続部と前記血液
保留部材間に位置し、該体外血液循環回路への接続部側
への血液の流通を抑制する第1の逆止弁と、前記血液保
留部材への下流側からの血液の流通を抑制する第2の逆
止弁とを備え、さらに、前記第1の逆止弁と前記第2の
逆止弁と前記血液保留部材の血液保留部の血液流入口間
に形成される血液通路の容積が、150mL以下であ
り、かつ、前記血液通路の最小断面積が、1.0cm2
以上となっている。
【0080】このため、血液保留部材は、血液貯留部内
の貯血量が少なくとも所定値以下となったときに、血液
貯留部の貯血量に比例した量の血液を保留し、血液保留
部材を外部より押圧することにより、血液保留部材内の
血液を間欠的に流出させることができる。よって、血液
保留部材は、血液貯留部内の貯血量が少なくとも所定値
以下となったときに、血液貯留部内の貯血残量が少なく
なればそれに比例した少ない量の送血が行われ、貯血残
量が少量となっても微量な送血が維持される。このため
貯血残量の低下により送血を中断する必要がなく、体外
循環回路中での血液停滞を回避できる。さらに、血液保
留部材は、血液貯留部の貯血量に敏感反応し、血液貯留
部の貯血量に比例した量の血液の保留がより確実とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、人工肺を取り付けた状態の本発明の送
血用血液保留部材付貯血槽の一実施例の正面図である。
【図2】図2は、人工肺を取り付けた状態の本発明の送
血用血液保留部材付貯血槽の側面図である。
【図3】図3は、図1における送血用血液保留部材付近
を破断した部分断面図である。
【図4】図4は、図1の送血用血液保留部材付貯血槽の
送血用血液保留部材付近の拡大断面図である。
【図5】図5は、図4の送血用血液保留部材の血液通路
付近の拡大断面図である。
【図6】図6は、本発明の体外血液循環回路用送血器具
の一実施例の断面図である。
【符号の説明】
1 送血用血液保留部材付貯血槽 2 貯血槽部 3a,3b 送血用血液保留部材 4a,4b 送血用駆動部 5 熱交換器付人工肺 7 血液排出口 10 貯血部 30a,30b 血液保留部 33a,33b 第1の逆止弁 34a,34b 第2の逆止弁 35a,35b 血液通路 41a,41b 血液保留部材本体部 42a,42b ダイアフラム 43a,43b 血液保留部材押圧部 80 体外血液循環回路用送血器具

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 貯血部と、該貯血部と連通し、かつ該貯
    血部の貯血量が所定値以下となったときに、貯血部内の
    貯血量に比例した量の血液を保留し、かつ、外方より押
    圧されることにより内部の血液を流出可能な血液保留部
    を備える血液保留部材と、前記貯血部と前記血液保留部
    材間に位置し、前記貯血部側への血液の流通を抑制する
    第1の逆止弁と、前記血液保留部材への下流側からの血
    液の流通を抑制する第2の逆止弁とを備える送血用血液
    保留部材付貯血槽であって、前記第1の逆止弁と前記第
    2の逆止弁と前記血液保留部材の前記血液保留部の血液
    流入口間にて形成される血液通路の容積が、150mL
    以下であり、かつ、前記血液通路の最小断面積が、1.
    0cm2以上であることを特徴とする送血用血液保留部
    材付貯血槽。
  2. 【請求項2】 前記血液通路の長さは、15cm以下で
    ある請求項1に記載の送血用血液保留部材付貯血槽。
  3. 【請求項3】 前記第1の逆止弁または第1の逆止弁と
    第2の逆止弁の両者の完全開口時の弁の開口面積は、前
    記血液通路の最小断面積と同等もしくはそれより大きい
    ものである請求項1または2に記載の送血用血液保留部
    材付貯血槽。
  4. 【請求項4】 前記送血用血液保留部材付貯血槽は、前
    記血液保留部材内の血液を送血する際に作動する血液保
    留部材押圧部を有する請求項1ないし3のいずれかに記
    載の送血用血液保留部材付貯血槽。
  5. 【請求項5】 前記血液保留部材は、前記血液保留部の
    一部を形成する可撓性材料により形成された変形可能部
    を有し、前記送血用血液保留部材付貯血槽は、送血の際
    に前記変形可能部を変形させて、該血液保留部材内の血
    液を押し出すための血液保留部材押圧部を備えるもので
    ある請求項1ないし4のいずれかに記載の送血用血液保
    留部材付貯血槽。
  6. 【請求項6】 前記血液保留部材は、硬質材料により形
    成された血液保留部材本体部と、該血液保留部材本体部
    に周縁が固定された可撓性ダイアフラムを有し、該ダイ
    アフラムは、変形に対する自己復元力を実質的に持たな
    いものである請求項1ないし4のいずれかに記載の送血
    用血液保留部材付貯血槽。
  7. 【請求項7】 前記ダイアフラムは、変形に必要とする
    圧力が100mmH2O以下である請求項6に記載の送
    血用血液保留部材付貯血槽。
  8. 【請求項8】 前記血液通路は、前記硬質材料により形
    成された血液保留部材本体部と一体に形成されている請
    求項1ないし7のいずれかに記載の送血用血液保留部材
    付貯血槽。
  9. 【請求項9】 前記血液保留部材は、2組以上設けられ
    ている請求項1ないし8のいずれかに記載の送血用血液
    保留部材付貯血槽。
  10. 【請求項10】 前記血液保留部材と前記血液保留部材
    押圧部は、2組以上設けられている請求項1ないし9の
    いずれかに記載の送血用血液保留部材付貯血槽。
  11. 【請求項11】 体外血液循環回路に用いられる送血器
    具であって、該送血器具は、体外血液循環回路への接続
    部を備え、外方より押圧されることにより内部の血液を
    流出可能な血液保留部を備える送血用血液保留部材を有
    し、該血液保留部材は、前記体外血液循環回路中に設け
    られる貯血槽内もしくは該送血用血液保留部材より上流
    側の前記送血器具内の貯血量が少なくとも所定値以下と
    なったときに、前記貯血槽内もしくは前記送血器具内の
    液面高さに応じた量の血液を保留するものであり、さら
    に、送血器具は、前記体外血液循環回路への接続部と前
    記血液保留部材間に位置し、該体外血液循環回路への接
    続部側への血液の流通を抑制する第1の逆止弁と、前記
    血液保留部材への下流側からの血液の流通を抑制する第
    2の逆止弁とを備え、さらに、前記第1の逆止弁と前記
    第2の逆止弁と前記血液保留部材の血液保留部の血液流
    入口間に形成される血液通路の容積が、150mL以下
    であり、かつ、前記血液通路の最小断面積が、1.0c
    2以上であることを特徴とする体外血液循環回路用送
    血器具。
  12. 【請求項12】 前記体外血液循環回路への接続部は、
    上端に設けられた血液流入ポートと、該流入ポートより
    下方にのびる所定量の血液を貯留可能な血液貯留部を有
    し、前記血液保留部材は、前記血液貯留部内の貯血量が
    少なくとも所定値以下となったときに、前記血液貯留部
    内の血液面高さに応じた量の血液を保留するものである
    請求項11に記載の体外血液循環回路用送血器具。
  13. 【請求項13】 前記送血用血液保留部材付貯血槽は、
    前記血液保留部材内の血液を送血する際に作動する血液
    保留部材押圧部を有する請求項11または12に記載の
    体外血液循環回路用送血器具。
  14. 【請求項14】 前記血液保留部材は、前記血液保留部
    の一部を形成する可撓性材料により形成された変形可能
    部を有し、前記送血用血液保留部材付貯血槽は、送血の
    際に前記変形可能部を変形させて、該血液保留部材内の
    血液を押し出すための血液保留部材押圧部を備えるもの
    である請求項11ないし13のいずれかに記載の体外血
    液循環回路用送血器具。
  15. 【請求項15】 前記血液保留部材は、硬質材料により
    形成された血液保留部材本体部と、該血液保留部材本体
    部に周縁が固定された可撓性ダイアフラムを有し、該ダ
    イアフラムは、変形に対する自己復元力を実質的に持た
    ないものである請求項11ないし14のいずれかに記載
    の体外血液循環回路用送血器具。
  16. 【請求項16】 前記血液通路は、前記硬質材料により
    形成された血液保留部材本体部と一体に形成されている
    請求項11ないし15のいずれかに記載体外血液循環回
    路用送血器具。
  17. 【請求項17】 前記血液保留部材と前記血液保留部材
    押圧部は、2組以上設けられている請求項11ないし1
    6のいずれかに記載の体外血液循環回路用送血器具。
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