JP3250679B2 - (ハロアルキル)ジベンゾテルロフェニウム塩、その製造中間体、及びそれらの製造方法 - Google Patents

(ハロアルキル)ジベンゾテルロフェニウム塩、その製造中間体、及びそれらの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機合成の試剤とし
て、或いは有機新材料として有用な新規な(ハロアルキ
ル)ジベンゾテルロフェニウム塩、その製造中間体、及
びそれらの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】有機テルル化合物は、有機合成化学にお
ける試剤として、或いは新しい有機材料として最近注目
されてきている。
【0003】従来公知の試剤としての有機テルル化合物
については、例えばN. Petragnani,J. V. Comasseto, S
ynthesis, 1991, 793-817,及び1991, 897-919 で報告さ
れている。また、有機材料としての性質については、N.
S. Dance, C. H. W. Johes,Can. J. Chem.,56, 1746-1
751 (1978)等で報告されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、有機合成の
新試剤として、又、有機新材料として有用な新規な有機
テルル化合物である(ハロアルキル)ジベンゾテルロフ
ェニウム塩、その製造中間体、及びそれらの製造方法を
提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、 一般式(I):
【化18】 で表される(ハロアルキル)ジベンゾテルロフェニウム
塩、及びその製造中間体である、 一般式(II):
【化19】 (この一般式中、Rfは炭素数1〜10個のハロアルキル
基である。)で表される(ハロアルキル)テルロビフェ
ニルに係るものである。
【0006】本発明によれば更に、ビス(2−ビフェニ
ル)ジテルリドと還元剤とハロゲン化ハロアルキルとを
反応させて、上記の製造中間体である一般式(II)の
(ハロアルキル)テルロビフェニルを得、次いで、これ
をハロゲン及びブレンステッド酸あるいはルイス酸と反
応させることにより、また、必要により、次いでニトロ
化等を行うことにより、上記の(ハロアルキル)ジベン
ゾテルロフェニウム塩を製造する方法が提供される。
【0007】また、別法として、上記の2−(ハロアル
キルテルロ)ビフェニルに、スルホキシドとスルホン酸
誘導体を反応させることにより上記の(ハロアルキル)
ジベンゾテルロフェニウムスルホナートを製造する方法
が提供される。
【0008】更に、上記の(ハロアルキル)ジベンゾテ
ルロフェニウム塩にブレンステッド酸塩を作用させるこ
とにより、他の(ハロアルキル)ジベンゾテルロフェニ
ウム塩を製造する方法が提供される。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
よる一般式(I)の(ハロアルキル)ジベンゾテルロフ
ェニウム塩においては、電子吸引基であるハロアルキル
基(Rf)がジベンゾテルロフェニウム骨格のテルル原
子に結合した新規な有機テルル構造を有している。本構
造によれば、RとRを水素原子からニトロ基又はハ
ロアルキル基(Rf)からなる電子吸引基へ変換させる
ことにより、テルル原子の電子密度を一層低下させるこ
とができるため、有機合成の新規試剤として、又、有機
新材料として有用なものとなる。
【0010】上記一般式(I)をはじめ本発明による化
合物において、Rf は、例えば、トリフルオロメチル、
ペルフルオロエチル、ペルフルオロ−n−プロピル、ペ
ルフルオロイソプロピル、ペルフルオロ−n−ブチル、
ペルフルオロイソブチル、ペルフルオロ−t−ブチル、
ペルフルオロペンチル、ペルフルオロヘキシル、ペルフ
ルオロヘプチル、ペルフルオロオクチル、ペルフルオロ
ノニル、ペルフルオロデシル、ジフルオロメチル、フル
オロメチル、テトラフルオロエチル、トリフルオロエチ
ル、ヘキサフルオロプロピル、オクタフルオロブチル、
デカフルオロペンチル、ドデカフルオロヘキシル、テト
ラデカフルオロヘプチル、ヘキサデカフルオロオクチ
ル、オクタデカフルオロノニル、イコサフルオロデシ
ル、トリクロロメチル、トリフルオロジクロロエチル、
ブロモテトラフルオロエチル、ヨードテトラフルオロエ
チル、ヨードペルフルオロブチル、ヨードペルフルオロ
オクチルの如く、炭素数1〜10個からなる直鎖又は分枝
状のハロアルキル基であってよい。
【0011】
【化20】 例えば、HF、HCl 、HBr 、HIからなるハロゲン化水素の
共役塩基;メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ブタ
ンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ニトロベンゼンス
ルホン酸、ジニトロベンゼンスルホン酸、トルエンスル
ホン酸、トリクロロメタンスルホン酸、トリフルオロメ
タンスルホン酸、ジフルオロメタンスルホン酸、トリフ
ルオロエタンスルホン酸、テトラフルオロエタンスルホ
ン酸、ペルフルオロブタンスルホン酸、ペルフルオロオ
クタンスルホン酸、10−カンファスルホン酸、3−ブロ
ムカンファ−8−スルホン酸、硫酸、クロロスルホン
酸、フルオロスルホン酸等のスルホン酸の共役塩基;ギ
酸、酢酸、プロピオン酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、
トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、クロロ
安息香酸、ニトロ安息香酸、ジニトロ安息香酸等のカル
ボン酸の共役塩基;HBF4、HBCl4 、HBF3Cl、HSbF6 、HS
bCl5F 、HSbCl6、HAsF4 、HAsF6 、HAlCl4、HAlCl3F 、
HPF4、HPF6 等のルイス酸とハロゲン化水素とからなる
酸の共役塩基;HBPh4
【化21】 等のホウ素からなる酸の共役塩基;硝酸の共役塩基;過
塩素酸、過臭素酸、過沃素酸、次亜塩素酸等のハロゲン
酸の共役塩基等を例示することができる。
【0012】更に、本発明は、新規な製造中間体である
上記一般式(II)の(ハロアルキル)テルロビフェニル
において、Rf としては、前記一般式(I)に含まれる
Rfと同一であり、上述したものと同じものを例示する
ことができる。
【0013】前記一般式(I)で示される(ハロアルキ
ル)ジベンゾテルロフェニウム塩は次の反応式iに従い
製造することができる。
【0014】反応式i
【化22】
【0015】[i−1工程]本工程は、前記のビス(2
−ビフェニル)ジテルリドと還元剤と前記式 (VII)で表
されるハロゲン化ハロアルキルとを反応させて、前記式
(II)で表される(ハロアルキル)テルロビフェニルを
製造するものである。
【0016】本製造工程の手順として、ビス(2−ビフ
ェニル)ジテルリドと還元剤とを反応させ、続いて、式
(VII)の化合物と反応させてもよいし、又、式 (VII)の
化合物の存在下に還元剤とビス(2−ビフェニル)ジテ
ルリドとを反応させてもよい。
【0017】本工程で用いられるビス(2−ビフェニ
ル)ジテルリドは既知化合物であり、既知の方法により
容易に製造することができる〔Can.J.Chem.,56, 1746〜
1751(1978)及びSynthesis,1986, 1〜30参照〕。
【0018】また、前記式 (VII)のハロゲン化ハロアル
キルは、工業的に入手可能な化合物であり、例えば、臭
化トリフルオロメチル、ヨウ化トリフルオロメチル、臭
化ペルフルオロエチル、ヨウ化ペルフルオロエチル、臭
化ペルフルオロプロピル、ヨウ化ペルフルオロプロピ
ル、臭化ペルフルオロブチル、ヨウ化ペルフルオロブチ
ル、臭化ペルフルオロペンチル、ヨウ化ペルフルオロペ
ンチル、臭化ペルフルオロヘキシル、ヨウ化ペルフルオ
ロヘキシル、臭化ペルフルオロオクチル、ヨウ化ペルフ
ルオロオクチル、臭化ペルフルオロノニル、ヨウ化ペル
フルオロノニル、臭化ペルフルオロデシル、ヨウ化ペル
フルオロデシル、臭化ジフルオロメチル、ヨウ化ジフル
オロメチル、臭化フルオロメチル、ヨウ化フルオロメチ
ル、臭化トリクロロメチル、ヨウ化トリクロロメチル、
臭化トリフルオロジクロロエチル、ヨウ化トリフルオロ
ジクロロエチル、臭化テトラフルオロエチル、ヨウ化テ
トラフルオロエチル、臭化トリフルオロエチル、ヨウ化
トリフルオロエチル、臭化ヘキサフルオロプロピル、ヨ
ウ化ヘキサフルオロプロピル、臭化オクタフルオロブチ
ル、ヨウ化オクタフルオロブチル、臭化ドデカフルオロ
ヘキシル、ヨウ化ドデカフルオロヘキシル、臭化ヘキサ
デカフルオロオクチル、ヨウ化ヘキサデカフルオロオク
チル、臭化イコサフルオロデシル、ヨウ化イコサフルオ
ロデシル、ジブロムテトラフルオロエタン、ジヨードテ
トラフルオロエタン、ジヨードペルフルオロブタン、ジ
ヨードペルフルオロオクタン等の直鎖状又は分岐状の臭
化ハロアルキル又はヨウ化ハロアルキルが挙げられる。
【0019】一方、還元剤としては、通常、有機反応に
用いられる還元剤の中から選ぶことができるが、例え
ば、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金
属、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、
NaBH3(OCH3) 、NaBH2(OCH3)2、NaBH(OCH3)3 、NaBH3(OE
t)、NaBH3[OCH(CH3)2]、水素化アルミニウム、水素化リ
チウムアルミニウム、LiAlH3(OCH3)、LiAlH2(OCH3)2
LiAlH(OCH3)3、LiAlH3(OEt) 、LiAlH3[OC(CH3)3]等の水
素化アルミニウム化合物等を例示することができる。
【0020】又、本工程は通常、溶媒中で反応を行うこ
とが好ましく、使用しうる溶媒としては、例えばジメチ
ルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、ジ
メチルスルホキシド、ジメチルスルホン、テトラメチレ
ンスルホン、ジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、
液体アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、ジエチ
ルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、アセ
トン、アセトニトリル、メタノール、エタノール、プロ
ピルアルコール、ブチルアルコール、ジグライム等の溶
媒、または、これらの混合溶媒が好ましい。
【0021】反応温度は一般に約−80℃〜+約 150℃の
範囲内から選ぶことができるが、収率よく反応を進行さ
せるためには、−60℃〜+40℃で行うのが好ましい。
【0022】式 (VII)のハロゲン化ハロアルキルの使用
量は、ビス(2−ビフェニル)ジテルリド1モルに対し
て通常、 0.9〜3モル、特に1〜2モルの範囲で用いる
のが適当である。また、本工程で用いられる還元剤は、
還元剤の種類により異なるが、収率よく反応を進行させ
るためにはビス(2−ビフェニル)ジテルリド1モルに
対して通常、少なくとも 0.5モルであり、ビス(2−ビ
フェニル)ジテルリドが消費されるのに必要な量を適宜
選択する。
【0023】〔i−2工程〕本工程は、式(II)の(ハ
ロアルキル)テルロビフェニルに、ハロゲン及びブレン
ステッド酸(HX)、又は、ルイス酸(X′)を反応さ
せることにより、式(I−1)で表される(ハロアルキ
ル)ジベンゾテルロフェニウム塩を製造するものであ
る。
【0024】本製造工程では、式(II)の化合物にハロ
ゲンを反応させ、続いて、ブレンステッド酸(HX)又
はルイス酸(X′)を反応させてもよいし、又、式(I
I)の化合物にブレンステッド酸(HX)又はルイス酸
(X′)を加えた後、続いて、ハロゲンと反応させるこ
ともできる。
【0025】本工程で用いるハロゲンとしては、フッ素
(F2) 、塩素(Cl2)、臭素(Br2)、沃素(I2) を例示す
ることができる。なお、本工程で用いるフッ素は、通常
その激しい反応を抑制するために、不活性ガスを用い
て、不活性ガスの容量が99%〜50%の範囲内となるよう
に希釈したフッ素ガスを使用するのが好ましい。希釈に
用いる不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、アルゴン
等を例示することができる。
【0026】ハロゲンの使用量は、式(II)の(ハロア
ルキル)テルロビフェニルに対し等モル量ないしはそれ
以上であるが、経済性及び副反応の抑制のためにはほぼ
等モルが好ましい。
【0027】本工程で用いられるブレンステッド酸(H
X)としては、例えばHF、HCl 、HBr 、HIのハロゲン化
水素;メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ブタンス
ルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ニトロベンゼンスルホ
ン酸、ジニトロベンゼンスルホン酸、クロロベンゼンス
ルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンス
ルホン酸、トリクロロメタンスルホン酸、ジフルオロメ
タンスルホン酸、トリフルオロエタンスルホン酸、テト
ラフルオロエタンスルホン酸、ペルフルオロブタンスル
ホン酸、ペルフルオロオクタンスルホン酸、10−カンフ
ァスルホン酸、3−ブロムカンファ−8−スルホン酸、
硫酸、フルオロスルホン酸、クロロスルホン酸等のスル
ホン酸;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、クロロ酢酸、ジク
ロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、安息香
酸、クロロ安息香酸、ニトロ安息香酸、ジニトロ安息香
酸等のカルボン酸;HBF4、HBCl4 、HBF3Cl、HAlCl4、HA
lCl3F 、HPF4、HPF6、HAsF4 、HAsF6 、HSbF6 、HSbCl5
F 、HSbCl6等のルイス酸とハロゲン化水素とからなる
酸;HBPh4
【化23】 等のホウ素から成る酸;硝酸;過塩素酸、過臭素酸、過
沃素酸、次亜塩素酸等のハロゲン酸等が挙げられる。
【0028】又、本工程で用いられるルイス酸(X′)
としては、例えば、三フッ化ホウ素(BF3)、五フッ化ア
ンチモン(SbF5)、五塩化アンチモン(SbCl5)、五フッ
化ヒ素(AsF5)、三塩化ホウ素(BCl3)、塩化アルミニ
ウム(AlCl3)、五フッ化リン(PF5)等のルイス酸を挙げ
ることができる。
【0029】上記のブレンステッド酸又はルイス酸の使
用量は、本反応を収率よく進行させるためには前記式
(II)で表される(ハロアルキル)テルロビフェニルに
対し、少なくとも等モル以上であるが、経済性から、ほ
ぼ等モル量を用いることが好ましい。
【0030】本反応は、用いるブレンステッド酸又はル
イス酸が液体の場合は、過剰量用いて溶媒を兼ねてもよ
いが、経済性と後処理の容易さから、通常、ハロゲン系
の有機溶剤を用いるのが好ましく、例えば、トリクロロ
フルオロメタン、トリクロロトリフルオロメタン、ジク
ロロトリフルオロメタン、塩化メチレン、四塩化炭素、
クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テ
トラクロロエタン、トリフルオロ酢酸無水物等の溶媒が
好ましい。
【0031】反応温度は、約−100 ℃〜約+200 ℃の範
囲内で選ぶことができ、−85℃〜+150℃の範囲内が収
率及び選択性を良好にする点で好ましい。
【0032】かくして得られる式(II)の(ハロアルキ
ル)テルロビフェニル及び式(I−1)の(ハロアルキ
ル)ジベンゾテルロフェニウム塩は、それ自体既知の方
法、例えば結晶化あるいはクロマトグラフィー等の方法
により単離・精製することができる。
【0033】前記一般式(I−1)において、X=OS
2 5 である場合には、次の反応式iiに従っても製造
することができる。
【0034】反応式ii
【化24】 [上記式中、Rf は前記したものと同じであり、R3
びR4 はそれぞれアルキル基又はアリール基であり、R
5 はハロゲン置換又は無置換のアルキル基又はアリール
基であり、R6 はR7 CO−又はR7 SO2 −(R7
ハロゲン置換又は無置換のアルキル基又はアリール基で
ある。)で表される基である。]
【0035】〔ii工程〕本工程は、前記式(II)の(ハ
ロアルキル)テルロビフェニルに前記式 (III)のスルホ
キシドと前記式(IV)のスルホン酸誘導体とを反応さ
せ、前記式(I−2)の(ハロアルキル)ジベンゾテル
ロフェニウムスルホナートを製造するものである。
【0036】前記式 (III)のスルホキシドは、工業的に
入手容易な化合物であり、例えば、ジメチルスルホキシ
ド、ジエチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシ
ド、ジフェニルスルホキシド、フェニルメチルスルホキ
シド、ジ(クロロフェニル)スルホキシド等を例示する
ことができる。
【0037】前記式(IV)のスルホン酸誘導体は、工業
的に入手容易な化合物であり、例えば、メタンスルホン
酸無水物、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、トリ
クロロメタンスルホン酸無水物、ノナフルオロブタンス
ルホン酸無水物、ベンゼンスルホン酸無水物、トルエン
スルホン酸無水物、ニトロベンゼンスルホン酸無水物、
ジニトロベンゼンスルホン酸無水物、アセチルトリフル
オロメタンスルホナート、トリフルオロアセチルトリフ
ルオロメタンスルホナート、トリフルオロアセチルノナ
フルオロブタンスルホナート等を例示することができ
る。
【0038】式 (III)のスルホキシドと式(IV)のスル
ホン酸誘導体の使用量は、本反応を収率よく進行させる
ためには、式(II)の化合物に対し、それぞれ、少なく
とも等モル以上であるが、経済的観点からはそれぞれほ
ぼ等モル量を用いるのが好ましい。
【0039】本反応は、通常、溶媒中で行うことが好ま
しく、用いる溶媒としては、塩化メチレン、クロロホル
ム、四塩化炭素、トリクロロトリフルオロエタン等を例
示することができる。
【0040】反応温度は、通常、約−80℃〜約+ 150℃
の範囲内で選択することができるが、収率よく反応を進
行させるためには、−50℃〜+ 100℃の範囲内の温度が
好ましい。
【0041】前記一般式(I)で表される化合物におい
て、R1 とR2 のどちらか一方、又は両方がニトロ基の
場合は、次の反応式ivに従って製造することができる。
【0042】反応式iii
【化25】
【0043】[iii工程]本工程は、前記i−2工程又はi
i工程で得られる式(I−1)の(ハロアルキル)ジベ
ンゾテルロフェニウム塩をニトロ化することにより、式
(I−3)で表されるニトロ化された(ハロアルキル)
ジベンゾテルロフェニウム塩を製造するものである。
【0044】本工程のニトロ化反応を行うに当たって
は、必ずしも溶媒を用いる必要はないが、効率よく反応
を進行させるためには、一般に、例えばニトロメタン、
テトラメチレンスルホン、トリフルオロメタンスルホン
酸、トリフルオロ酢酸等の溶媒中で反応を行うことが好
ましい。
【0045】ニトロ化反応に使われる試薬としては、例
えば、ニトロニウムトリフルオロメタンスルホナート、
ニトロニウムテトラフルオロボラート、ニトロニウムヘ
キサフルオロホスファート、硝酸−硫酸混合物、硝酸−
トリフルオロメタンスルホン酸混合物等を挙げることが
できる。
【0046】特に、一般式(V):
【化26】
【0047】上記したニトロ化反応に用いる試薬の使用
量は導入すべきニトロ基の個数に応じて変わり、例えば
1個のニトロ基を導入する場合には、実質のニトロ化試
薬を式(I−1)の化合物1モルに対して1〜1.5 当量
の範囲内で用いるのが好ましく、また、2個のニトロ基
を導入する場合には、式(I−1)の化合物1モルに対
して2〜4当量の範囲内で用いるのが好ましい。
【0048】上記ニトロ化反応の温度は、使われる試薬
と原料の前記式(I−1)の化合物の両方の反応性等に
依存するが、一般的には約−20℃〜+ 100℃の範囲内の
温度が適当である。
【0049】上記工程で得られる式(I−3)のニトロ
化された(ハロアルキル)ジベンゾテルロフェニウム
は、それ自体既知の方法、例えば結晶化等の方法により
単離・精製することができる。
【0050】また、前記一般式(I)で表される(ハロ
アルキル)ジベンゾテルロフェニウム塩は、次の反応式
ivに従って、他の(ハロアルキル)ジベンゾテルロフェ
ニウム塩からも製造することができる。
【0051】反応式iV
【化27】
【0052】〔iv工程〕本工程は、前記i−2工程、ii
工程又は iii工程で得られる式(I−1)、(I−2)
又は(I−3)の(ハロアルキル)ジベンゾテルロフェ
ニウム塩を用いるものである。本工程ではこれを式(I
−4)で表される(ハロアルキル)ジベンゾテルロフェ
ニウム塩として前記式(VI)で表されるブレンステッド
酸塩と反応させて塩交換反応を起こさせることにより、
式(I)で表される(ハロアルキル)ジベンゾテルロフ
ェニウム塩を製造するものである。
【0053】本工程で用いるブレンステッド酸塩として
は、ブレンステッド酸の金属塩、アンモニウム塩、ホス
ホニウム塩等があげられる。
【0054】ここで、ブレンステッド酸としては、先に
述べたブレンステッド酸(HX)をあげることができる
が、その金属塩の金属原子の具体例としてはリチウム、
ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、水
銀、銀等をあげることができる。また、アンモニウム塩
のアンモニウム基の具体例としては、アンモニウム、モ
ノメチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメ
チルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラ
エチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ベン
ジルトリメチルアンモニウム、ピリジニウム、N−メチ
ルピリジニウム、キノリニウム等をあげることができ
る。また、ホスホニウム塩のホスホニウム基の具体例と
しては、テトラメチルホスホニウム、テトラブチルホス
ホニウム、テトラフェニルホスホニウム等を例示するこ
とができる。
【0055】
【化28】 本反応を収率よく進行させるためには、式(I−4)の
化合物に対し等モル以上であるが、経済的観点からは、
ほぼ等モル量から5倍モルを用いるのが好ましい。
【0056】本反応は、通常、溶媒を用いるのが好まし
く、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ジエ
チルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムア
ミド、ジメチルスルホキシド、メタノール、エタノー
ル、プロパノール、水等、又はこれらの混合溶媒等を例
示することができる。
【0057】反応温度は、−20℃〜+150 ℃の範囲内で
選択することができるが、収率よく反応を進行させるた
めには、室温から 100℃の範囲内の温度が好ましい。
【0058】
【実施例】以下、実施例及び参考例によって本発明を更
に具体的に説明する。
【0059】実施例1
【化29】
【0060】アルゴン雰囲気下、ビス(2−ビフェニ
ル)ジテルリド3.36g(6mmol)のテトラヒドロフラン
(THF)45ml溶液に水素化ホウ素ナトリウム 476mg
(12.6mmol)を加えた後、攪拌しながら、メタノール1.
02ml(25.2mmol)を水素がゆるやかに発生する程度の速
度で滴下した。室温で30分間攪拌した後、反応液を−78
℃に冷却して、約20mmolのヨウ化トリフルオロメチルを
凝縮させて加えた。
【0061】反応液を3時間かけて室温まで昇温し、更
に12時間攪拌した。反応液に水を加えた後、ジエチルエ
ーテルで抽出し、有機層を水、続いて飽和食塩水で洗浄
した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ
去後、ろ過液を減圧下で溶媒留去した。
【0062】得られた4.59gの茶色油状体をシリカゲル
のカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル−
ヘキサン)によって精製し、油状体の2−[(トリフル
オロメチル)テルロ]ビフェニル3.52g(収率84%)を
得た。この生成物の物性値及びスペクトルデータは次に
示す。
【0063】bp138.5 ℃ (6mmHg)19 F−NMR (内部標準CFCl3)(CDCl3中) :26.2ppm (s,
CF3)
【0064】1H−NMR (CDCl3中) :7.18〜7.64ppm (8H,
m) 8.25ppm (1H,d,J =8Hz,3-H) IR(neat):3058, 1460, 1082, 1006, 707, 702cm-1
【0065】Mass(m/e) :352, 350, 348, 347, 346
(M+ ) 元素分析: 実測値:C,44.56 ;H,2.48% 計算値:C,44.64 ;H,2.59%
【0066】実施例2
【化30】
【0067】ヨウ化トリフルオロメチルのかわりに臭化
トリフルオロメチルを用い、室温での反応時間を2日間
に延長した他は、実施例1と同様の手法により、ビス
(2−ビフェニル)ジテルリド3.36g (6mmol)より、2
−[(トリフルオロメチル)テルロ]ビフェニル2.93g
(収率70%)を得た。生成物の物性値及びスペクトルデ
ータは実施例1で示したものと同じであった。
【0068】実施例3
【化31】
【0069】アルゴン雰囲気下、2−〔(トリフルオロ
メチル)テルロ]ビフェニル 700mg(2mmol) の1,1,
2−トリクロロエタン4ml溶液に臭素 103μl(2mmol)を
滴下し、室温で40分間攪拌した。その後、トリフルオロ
メタンスルホン酸 177μl(2mmol)を加えた後、室温で15
分間攪拌、続いて12時間、加熱還流した。
【0070】放冷後、反応液にアセトニトリルを加えた
後、不溶物をろ去し、ろ過液を減圧下濃縮し、残渣をジ
エチルエーテルで十分洗浄することにより、Te−(トリ
フルオロメチル)ジベンゾテルロフェニウムトリフルオ
ロメタンスルホナート 630mg(収率63%)を結晶として
得た。アセトニトリル−ジエチルエーテルを用いて再結
晶することによって精製を行った。この生成物の物性値
及びスペクトルデータは次に示す。
【0071】分解点212 ℃19 F−NMR (内部標準CFCl3)(CD3CN中) :41.0ppm (3F,
s,TeCF3) 78.0ppm (3F,s,CF3)
【0072】1H−NMR (CD3CN中) :7.75ppm (2H, t.d,
J =7.6, 1.3Hz, 2,8 又は3,7-H) 7.86ppm (2H, t.d, J =7.6, 1.3Hz, 2,8 又は3,7-H) 8.23〜8.10ppm (4H, m, 1,4,6,9-H) IR(KBr) :1442, 1252, 1123, 1080, 1034, 751, 650cm
-1
【0073】Mass(FAB法):351, 349, 347, 346
(M+ −OSO2CF3) 元素分析: 実測値:C,33.72 ;H,1.52% 計算値:C,33.77 ;H,1.62%
【0074】実施例4
【化32】
【0075】アルゴン雰囲気下、2−[(トリフルオロ
メチル)テルロ]ビフェニル10.5g(30mmol) の塩化メチ
レン30mlの溶液に、ジメチルスルホキシド 2.1ml(30mmo
l)を加えた後、氷冷し、攪拌しながらトリフルオロメタ
ンスルホン酸無水物 5.5ml(33mmol)をゆっくり滴下し
た。
【0076】室温で1時間攪拌後、反応液にジエチルエ
ーテルを加えて結晶を完全に析出させた。結晶をろ取
し、ジエチルエーテルで十分に洗浄した。得られた結晶
をアセトニトリル−ジエチルエーテルを用いて再結晶精
製することにより、Te−(トリフルオロメチル)ジベン
ゾテルロフェニウムトリフルオロメタンスルホナート1
2.6g(収率84%)を得た。生成物の物性値及びスペク
トルデータは実施例3に示したものと同じであった。
【0077】実施例5
【化33】
【0078】アルゴン雰囲気下、反応容器に発煙硝酸
(d=1.50) 252μl(6mmol) と、トリフルオロメタン
スルホン酸無水物1.22ml(7.3mmol) を加え、室温で40分
間攪拌して、ニトロニウムトリフルオロメタンスルホナ
ートを調製した。これに、粉状にすりつぶしたTe−(ト
リフルオロメチル)ジベンゾテルロフェニウムトリフル
オロメタンスルホナート 1.0g(2mmol) を加え、更に1
時間攪拌した。
【0079】氷冷下、この反応液中にジエチルエーテル
を発泡、発熱に注意しながらゆっくり加えることによ
り、結晶を析出させ、これをろ取、ジエチルエーテルで
十分洗浄後、乾燥し、3,7−ジニトロ−Te−(トリフ
ルオロメチル)ジベンゾテルロフェニウムトリフルオロ
メタンスルホナート 900mg(収率76%)を得た。精製は
アセトニトリル−ジエチルエーテルにより再結晶するこ
とによって行った。生成物の物性値及びスペクトルデー
タは次に示した。
【0080】分解点 275〜280 ℃19 F−NMR (内部標準CFCl3)(CD3CN中):39.3ppm (3F,
s, TeCF3) 78.0ppm (3F, s, CF3
【0081】1H−NMR (CD3CN中):8.50ppm (2H, d, J
=8.7Hz, 1,9-H) 8.68ppm (2H, d.d, J =8.7, 2.2Hz, 2,8-H) 9.50ppm (2H, d, J=2.2Hz, 4,6-H) IR(KBr) :1595, 1527, 1344, 1256, 1170, 1067, 102
3, 862,738, 636cm-1
【0082】Mass(FAB法):441, 439, 437 (M+
−OSO2CF3) 元素分析: 実測値:C,28.65 ;H,1.05;N,4.54% 計算値:C,28.60 ;H,1.03;N,4.77%
【0083】実施例6
【化34】
【0084】アルゴン雰囲気下、Te−(トリフルオロメ
チル)ジベンゾテルロフェニウムトリフルオロメタンス
ルホナート498mg(1mmol)のアセトニトリル4ml溶液に、
テトラブチルアンモニウムブロミド332mg(1mmol)のアセ
トニトリル1ml溶液を室温でゆっくり滴下し、 3.5時間
攪拌した。
【0085】生成した白色結晶をろ取し、アセトニトリ
ル、ひきつづきジエチルエーテルで十分洗浄後、乾燥す
ることにより、Te−(トリフルオロメチル)ジベンゾテ
ルロフェニウムブロミド 350mg(収率82%)を得た。精
製は、メタノール−ヘキサンより再結晶することによっ
て行った。生成物の物性値及びスペクトルデータは次に
示した。
【0086】分解点 245℃19 F−NMR (内部標準CFCl3)(CD3CN+DMSO−d6(8:2)
中):45.0ppm (s, CF3)
【0087】1H−NMR (CD3CN+DMSO−d6(8:2)
中):7.58ppm (2H, t.d, J =7.6, 1.3Hz, 2,8 又は3,
7-H) 7.73ppm (2H, t.d, J =7.6, 1.3Hz, 2,8 又は3,7-H)8.
11ppm (2H, d.d, J =7.6, 1.3Hz, 1,9-H) 8.34ppm (2H, d.d, J =7.6, 1.3Hz, 4,6-H ) IR(KBr) : 1442, 1124, 1079, 750cm-1
【0088】Mass(FAB法):351, 349, 347 (M+
−Br) 元素分析: 実測値:C,36.68 ;H,1.72% 計算値:C,36.42 ;H,1.88%
【0089】実施例7
【化35】
【0090】Te−(トリフルオロメチル)ジベンゾテル
ロフェニウムブロミド200mg(0.467mmol)、銀テトラフル
オロボラート91mg(0.467mmol) 、及び無水アセトニトリ
ル2mlの混合液を25.5時間還流した。不溶物をろ別した
後、溶媒を留去した。
【0091】得られた結晶性固体を塩化メチレンでよく
洗浄することによって、 180mgのTe−(トリフルオロメ
チル)ジベンゾテルロフェニウムテトラフルオロボラー
トを得た(収率89%)。精製は、アセトニトリル−ジエ
チルエーテルから再結晶することによって行った。物性
値及びスペクトルデータは次に示す。
【0092】分解点 219〜220 ℃19 F−NMR (内部標準CFCl3)(CD3CN中):40.4ppm (3F,
s, TeCF3) 149.4ppm (4H, s, BF4
【0093】1H−NMR (CD3CN中):7.72ppm (2H, t.d,
J=7.6, 1.4Hz, 2,8 又は3,7-H)7.89ppm (2H, t.d, J
=7.6, 1.3Hz, 2,8 又は3,7-H) 8.17〜8.23ppm (4H, m, 1,4,6,9-H) IR(KBr) :3058, 1443, 1167, 1060, 1024, 754, 519,
472cm -1
【0094】Mass(FAB法):351, 349, 347 (M+
−BF4) 元素分析: 実測値:C,35.75 ;H,1.67% 計算値:C,35.84 ;H,1.85%
【0095】次に、本発明による化合物をトリフルオロ
メチル化剤として使用した参考例を述べる。参考例1
【化36】
【0096】アルゴン雰囲気下、2−メチルシクロペン
タ−1,3−ジオン74mg(0.65mmol)のDMF 1.5ml溶液
に、氷冷下、攪拌しながら水素化ナトリウム(60%in o
il)26mg(0.65mmol)を加えた後、室温で15分間攪拌し
た。再び氷冷し、これに、3,7−ジニトロ−Te−(ト
リフルオロメチル)ジベンゾテルロフェニウムトリフル
オロメタンスルホナート 294mg(0.5mmol) を加え、氷冷
下、 0.5時間、更に室温で1時間攪拌した。
【0097】この反応液を 19F−NMR で定量することに
より、2−トリフルオロメチル−2−メチルシクロペン
タ−1,3−ジオンが55%の収率で生成していることが
わかった。そして、反応液を常法通り後処理することに
よって、生成物の2−トリフルオロメチル−2−メチル
シクロペンタ−1,3−ジオンを揮発性油状体として得
た。生成物の物性値及びスペクトルデータは次に示す。
【0098】19F−NMR (内部標準CFCl3)(CDCl3中):6
9.8ppm(s, CF3)1 H−NMR (CDCl3中):1.38ppm(3H, s, CH3) 2.68〜3.15ppm(4H, m, (CH2)2)
【0099】IR(neat):1740cm-1 (CO)Mass (m/e): 180(M+ ) 元素分析: 実測値:C,46.86 ;H,3.89% 計算値:C,46.68 ;H,3.92%
【0100】参考例2
【化37】
【0101】反応容器に3,7−ジニトロ−Te−(トリ
フルオロメチル)ジベンゾテルロフェニウムトリフルオ
ロメタンスルホナート 147mg(0.25mmol)のDMF 0.6ml
溶液を入れ、アニリン46μl(0.5mmol)を加えた後、80℃
の油浴で18時間加熱した。反応溶液を 19F−NMR スペク
トルで定量したところ、0.11mmolのo−(トリフルオロ
メチル)アニリン(収率44%)と0.053mmol のp−(ト
リフルオロメチル)アニリン(収率21%)が生成してい
た。生成物の構造確認は標準サンプルとのスペクトルの
比較によって行った。
【0102】実施例8
【化38】
【0103】アルゴン雰囲気下、ビス(2−ビフェニ
ル)ジテルリド 2.8g(5mmol)のTHF35ml溶液に、
水素化ホウ素ナトリウム 420mg(10mmol)を加えた後、
氷冷下攪拌しながらメタノール 810μl(20mmol)をゆ
っくりと滴下した。室温で30分間攪拌した後、反応液を
−78℃に冷却して、ヨウ化n−ヘプタフルオロプロピル
4.3ml(30mmol)を加えて攪拌しながら、2時間ほどかけ
て室温まで昇温させ、さらに室温で1晩攪拌した。
【0104】反応液に水を加えた後、ジエチルエーテル
で抽出し、有機層を水、続いて飽和食塩水で洗浄後、無
水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ去後、ろ過
液の溶媒を減圧下で留去した。
【0105】得られた 5.4gの茶色油状体をシリカゲル
のカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;n−ヘキサ
ン)によって精製し、2−〔(n−ヘプタフルオロプロ
ピル)テルロ〕ビフェニル 4.2g(92%)を得た。この
生成物の物性値及びスペクトルデータは次に示した。
【0106】融点:36〜37℃19 F−NMR (内部標準CFCl3)(CDCl3中):79.6ppm(3F,
t, J=9Hz, CF3), 86.3(2F, m, TeCF3),120.1(2F, t, J
=4Hz, CF2)
【0107】1H−NMR (CDCl3中):7.18〜7.49ppm(8H,
m),8.11(1H, d, J=8Hz, 3-H) IR(KBr) :1686, 1459, 1327, 1222, 1187,1106, 812,
754, 728cm-1
【0108】Mass (m/e)(FAB法): 452, 450, 448, 44
7,446, 445, 443(M+ ) 元素分析: 実測値:C,39.93 ;H,1.83% 計算値:C,40.05 ;H,2.02%
【0109】実施例9
【化39】
【0110】ヨウ化n−ヘプタフルオロプロピルの代わ
りに、ヨウ化n−ヘプタデカフルオロオクチル13.6g
(25mmol)を用いた以外は、実施例8に示す量の溶媒と
試薬、並びに反応条件と操作で、反応と後処理を行っ
て、 4.4g(63%)の2−〔(n−ヘプタデカフルオロ
オクチル)テルロ〕ビフェニルを結晶として得た。この
生成物の物性値及びスペクトルデータは次に示す。
【0111】融点:51℃19 F−NMR (内部標準CFCl3)(CDCl3中):81.1ppm(3F,
t, J=10Hz, CF3), 85.0(2F, m, CF2),115.5(2F, m, CF
2), 121.5(2F, m, CF2), 122.1(4F, m, 2xCF2),122.9(2
F, m, CF2), 126.3(2F, m, CF2)
【0112】1H−NMR (CDCl3中):7.19〜7.50ppm(8H,
m),8.12(1H, d, J=8Hz, 3-H) IR(KBr) :1370, 1244, 1204, 1147, 1083,919, 761, 6
99, 645, 556cm-1
【0113】Mass (m/e)(FAB法): 702, 700, 698, 69
7,696, 695, 694(M+ ) 元素分析:実測値:C,33.98 ;H,1.23% 計算値:C,34.32 ;H,1.30%
【0114】実施例10
【化40】
【0115】2−〔(n−ヘプタフルオロプロピル)テ
ルロ〕ビフェニル 450mg(1mmol)とジメチルスルホキ
シド71μl(1mmol)のTHF4ml溶液に、氷冷下、ト
リフルオロメタンスルホン酸無水物 185μl(1.1mmol)
をゆっくり滴下した。氷冷下に1時間、さらに約7℃で
2時間攪拌した。
【0116】その後、反応液にジエチルエーテルを加え
て、析出した白色結晶をろ取した。得られた結晶をアセ
トニトリル−ジエチルエーテルから再結晶することによ
って、 444mg(74%)のTe−(n−ヘプタフルオロプロ
ピル)ジベンゾテルロフェニウムトリフルオロメタンス
ルホナートを白色結晶として得た。この生成物の物性値
及びスペクトルデータは次に示す。
【0117】分解点: 162℃19 F−NMR (内部標準CFCl3)(CD3CN中):77.9ppm(3F,
s, SO2CF3), 79.1(3F, t, J=9Hz, CF3),96.0(2F, q, J=
9Hz, CF2), 119.1(2F, s, CF2)
【0118】1H−NMR (CD3CN中):7.73ppm(2H, t.d, J
=12 ,2Hz), 7.90(2H, t.d, J=12 , 2Hz),8.17(2H, d.
m, J=12Hz), 8.22(2H, d.d, J=12 , 2Hz) IR(KBr) :1444, 1278, 1223, 1129, 1025,750cm -1
【0119】Mass (m/e)(FAB法): 451, 449, 447, 44
6,445, 444, 443(M+ -OSO2CF3) 元素分析: 実測値:C,32.22 ;H,1.28% 計算値:C,32.14 ;H,1.35%
【0120】実施例11
【化41】
【0121】2−〔(n−ヘプタフルオロプロピル)テ
ルロ〕ビフェニル 450mg(1mmol)のTHF4ml溶液に
ジフェニルスルホキシド 202mg(1mmol)を加えた。室
温で攪拌しながら、そこにトリフルオロメタンスルホン
酸無水物 185μl(1.1mmol)をゆっくり加えた後、2時
間攪拌した。
【0122】反応液にジエチルエーテルを加えて析出し
た結晶をろ取して、 454mg(76%)のTe−(n−ヘプタ
フルオロプロピル)ジベンゾテルロフェニウムトリフル
オロメタンスルホナートを得た。さらに、精製のため
に、アセトニトリル−ジエチルエーテルから再結晶を行
った。得られた結晶の物性値及びスペクトルデータは実
施例10で得られたものと一致した。
【0123】実施例12
【化42】
【0124】2−〔(n−ヘプタフルオロプロピル)テ
ルロ〕ビフェニルの代わりに、2−〔(n−ヘプタデカ
フルオロオクチル)テルロ〕ビフェニルを 700mg(1mm
ol)用いた以外は、実施例10に示す量の溶媒と試薬、並
びに反応条件と操作で、反応と後処理を行って、 559mg
(66%)のTe−(n−ヘプタデカフルオロオクチル)ジ
ベンゾテルロフェニウムトリフルオロメタンスルホナー
トを白色結晶として得た。この生成物の物性値とスペク
トルデータは次に示す。
【0125】融点: 172〜173 ℃(分解を伴う)19 F−NMR (内部標準CFCl3)(CD3CN中):78ppm(3F, s,
SO2CF3), 80(3F, t, J=10Hz, CF3),95(2F, m, CF2), 11
4(2F, m, CF2), 121(6F, m, 3xCF2) 122(2F, m, CF2), 125(2F, m, CF2)
【0126】1H−NMR (CD3CN中):7.74ppm(2H, t.d, J
=7.8, 1.3Hz), 7.91(2H, t.d, J=7.8, 1.3Hz),8.15(2H,
d.m, J=7.8Hz), 8.23(2H, d.d, J=7.8, 1.3Hz) IR(KBr) :1444, 1281, 1240, 1221, 1151,1023, 752,
634cm-1
【0127】Mass (m/e)(FAB法): 701, 699, 697, 69
6,695, 694, 693(M+ -OSO2CF3) 元素分析: 実測値:C,29.42 ;H,0.79% 計算値:C,29.75 ;H,0.95%
【0128】
【発明の作用効果】本発明によれば、上述した一般式
(I)の(ハロアルキル)ジベンゾテルロフェニウム塩
は、電子吸引基であるハロアルキル基がジベンゾテルロ
フェニウム骨格のテルル原子に結合した新規な有機テル
ル構造を有しているため、テルル原子の電子密度は低下
し、なおかつ、六員環上のR1 とR2 を水素原子からニ
トロ基等の電子吸引基へ変換させることにより、テルル
原子の電子密度を一層低下させることができる。よっ
て、本発明の特徴ある新規構造をもつ(ハロアルキル)
ジベンゾテルロフェニウム塩は、有機合成の新規試剤と
して、又、有機新材料として有用なものとなる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 345/00 C07C 395/00 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I): 【化1】 で表される(ハロアルキル)ジベンゾテルロフェニウム
    塩。
  2. 【請求項2】一般式(II): 【化2】 (この一般式中、Rf は炭素数1〜10個のハロアルキル
    基である。)で表される(ハロアルキル)テルロビフェ
    ニルからなる製造中間体。
  3. 【請求項3】一般式(II): 【化3】 (この一般式中、Rf は炭素数1〜10個のハロアルキル
    基である。)で表される(ハロアルキル)テルロビフェ
    ニルと、ハロゲン及びブレンステッド酸(HX)又はル
    イス酸(X′)とを反応させることを特徴とする、一般
    式(I−1): 【化4】 で表される(ハロアルキル)ジベンゾテルロフェニウム
    塩の製造方法。
  4. 【請求項4】一般式(II): 【化5】 (この一般式中、Rf は炭素数1〜10個のハロアルキル
    基である。)で表される(ハロアルキル)テルロビフェ
    ニルと、一般式(III) : 【化6】 (この一般式中、R3 及びR4 はそれぞれアルキル基又
    はアリール基である。)で表されるスルホキシドと、一
    般式(IV): 【化7】R5 SO2 OR6 〔この一般式中、R5 はハロゲン置換又は無置換のアル
    キル基又はアリール基であり、R6 はR7 CO−又はR
    7 SO2 −(R7 はハロゲン置換又は無置換のアルキル
    基又はアリール基である。)で表される基である。〕で
    表されるスルホン酸誘導体とを反応させることを特徴と
    する、一般式(I−2): 【化8】 (この一般式中、Rf 及びR5 は前記したものと同じで
    ある。)で表される(ハロアルキル)ジベンゾテルロフ
    ェニウムスルホナートの製造方法。
  5. 【請求項5】一般式(I): 【化9】 で表される(ハロアルキル)ジベンゾテルロフェニウム
    塩と、一般式(V): 【化10】XNO2 (この一般式中、Xは前記ブレンステッド酸の共役塩基
    と同じ基である。)で表されるニトロニウム塩とを反応
    させることを特徴とする、一般式(I−3): 【化11】 で表されるニトロ化(ハロアルキル)ジベンゾテルロフ
    ェニウム塩の製造方法。
  6. 【請求項6】一般式(I−4): 【化12】 で表される(ハロアルキル)ジベンゾテルロフェニウム
    塩と、 一般式(VI): 【化13】 で表されるブレンステッド酸塩とを反応させることを特
    徴とする、 一般式(I): 【化14】 で表される(ハロアルキル)ジベンゾテルロフェニウム
    塩の製造方法。
  7. 【請求項7】構造式(I): 【化15】 で表されるビス(2−ビフェニル)ジテルリドと、還元
    剤と、一般式 (VII): 【化16】Rf −Y (この一般式中、Rf は炭素数1〜10個のハロアルキル
    基であり、Yはハロゲン原子である。)で表されるハロ
    ゲン化ハロアルキルとを反応させることを特徴とする、
    一般式(II): 【化17】 (この一般式中、Rf は前記したものと同じである。)
    で表される(ハロアルキル)テルロビフェニルの製造方
    法。
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