JP3250577B2 - 適応信号処理装置 - Google Patents

適応信号処理装置

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JP3250577B2
JP3250577B2 JP35431592A JP35431592A JP3250577B2 JP 3250577 B2 JP3250577 B2 JP 3250577B2 JP 35431592 A JP35431592 A JP 35431592A JP 35431592 A JP35431592 A JP 35431592A JP 3250577 B2 JP3250577 B2 JP 3250577B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、主要入力信号中から
低減対象信号のみを適応的に低減するようにする適応信
号処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から雑音等の低減対象信号のみを適
応的に低減する適応信号処理装置として、図4に示すよ
うな適応型雑音低減装置が知られている。図4におい
て、1は主要入力端子、2は参照入力端子であって、主
要入力端子1を通じて入力された信号は遅延回路3を介
して合成回路4に供給される。また、参照入力端子2を
通じて入力された信号は、適応フィルタ回路5を介して
合成回路4に供給され、遅延回路3からの信号から減算
される。この合成回路4の出力は、適応フィルタ回路5
にフィードバックされると共に、出力端子6に導出され
る。
【0003】この雑音低減装置においては、主要入力端
子1には、希望信号sと、これと無相関の雑音信号(低
減対象信号)n0 との混合信号が入力される。一方、参
照入力端子2には、希望信号とは無相関であるが、低減
対象の雑音信号n0 とは相関がある雑音信号n1 が入力
される。
【0004】適応フィルタ回路5は、参照入力雑音信号
n1 をフィルタリングして、雑音信号n0 に近似する信
号yを出力する。この適応フィルタ回路5の出力信号y
として、雑音信号n0 と逆相、等振幅の信号を得るよう
にすることもできる。遅延回路3は、適応フィルタ回路
5での処理時間を考慮して、減算処理する信号の時間合
わせをするためのものである。
【0005】適応フィルタ回路5における適応のアルゴ
リズムは、合成回路4の出力である減算出力(残差出
力)eを最小にするように働く。すなわち、今、s,n
0 ,n1 ,yが統計的に定常であり、平均値が0である
と仮定すると残差出力eは、 e=s+n0 −y となる。これを二乗したものの期待値は、sがn0 と、
また、yと無相関であるから、 E[e2 ]=E[s2 ]+E[(n0 −y)2 ]+2E[s(n0 −y)] =E[s2 ]+E[(n0 −y)2 ] となる。適応フィルタ回路5が収束するものとすれば、
適応フィルタ回路5は、E[e2 ]が最小になるように
調整されるものである。このとき、E[s2 ]は影響を
受けないので、 Emin [e2 ]=E[s2 ]+Emin [(n0 −y)2 ] となる。つまり、E[e2 ]が最小化されることによっ
てE[(n0 −y)2 ]が最小化され、適応フィルタ回
路5の出力yは、雑音信号n0 の推定量になる。そし
て、合成回路4からの出力の期待値は、希望信号sのみ
となる。すなわち、適応フィルタ回路5を調整して全出
力パワーを最小化することは、減算出力eが、希望音声
信号sの最小二乗推定値になることに等しい。
【0006】なお、適応フィルタ回路5はアナログ信号
処理回路で実現する場合とデジタル信号処理回路で実現
する場合の、いずれでも可能である。適応フィルタ回路
5を、デジタルフィルタを用いて実現した場合の例を図
5に示す。この例は、適応のアルゴリズムとして、いわ
ゆるLMS(最小平均自乗)法を使用する。
【0007】図5に示すように、この例では、FIRフ
ィルタ型の適応線形結合器300を使用する。これは、
それぞれ単位サンプリング時間の遅延時間Z-1を有する
複数個の遅延回路DL1,DL2,……DLm(mは正
の整数)と、入力雑音n1 及び各遅延回路DL1,DL
2,……DLmの出力信号と加重係数との掛け算を行う
加重回路MX0,MX1,MX2,……MXmと、加重
回路MX0〜MXmの出力を加算する加算回路310を
備える。加算回路310の出力はyである。
【0008】加重回路MX0〜MXmに供給する加重係
数は、例えばマイクロコンピュータからなるLMS演算
回路320で、合成回路4からの残差信号eに基づいて
形成される。このLMS演算回路320で実行されるア
ルゴリズムは、次のようになる。
【0009】今、時刻k における入力ベクトルXk を、
図5にも示すように、 Xk =[x0k1k2k ・・・xmkT とし、出力をyk 、加重係数をwjk(j=0,1,2,…m )と
すると、入出力の関係は、次の数1に示すように、
【0010】
【数1】 となる。
【0011】そして、時刻k における加重ベクトルWk
を、 Wk =[w0k1k2k ・・・wmkT と定義すれば、入出力関係は、 yk =Xk T ・Wk で与えられる。ここで、希望の応答をdk とすれば、残
差ek は次のように表される。 ek =dk −yk =dk −Xk T ・Wk LMS法では、加重ベクトルの更新を、 Wk+1 =Wk +2μ・ek ・Xk … (a) なる式(a)により順次行っていく。ここで、μは適応
の速度と安定性を決める利得因子(ステップゲイン)で
ある。
【0012】合成回路4が音響合成手段となる場合もあ
る。すなわち、適応フィルタ回路5で、雑音と逆相、等
振幅の雑音打ち消し音声信号−y形成し、これをスピ
ーカなどに供給して、主要音声に音響的に加算して雑音
低減する構成とする。この場合の残差eは、残差検出用
マイクロホンで収音することなる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この種の適
応アルゴリズムを使用した適応型雑音低減装置は、低減
対象信号として、白色雑音のように、定常的な信号であ
って、周波数によってレベルが異なるような周波数特性
を持たない信号を取り扱う場合には、比較的、その低減
効果は大きい。
【0014】しかしながら、対象信号が、人の声などの
非定常で、レベル的に周波数特性を有する信号の場合に
は、図4のシステム構成では、白色雑音の場合のような
良好な低減効果は得にくい。発明者等は、この種の適応
アルゴリズムを使用した適応型雑音低減装置において、
雑音信号に含まれる複数の周波数成分のスペクトラムレ
ベルに差があると、各周波数成分毎に雑音低減量が異な
り、スペクトラムレベルの低い周波数成分ほど低減効果
が低い現象を確認した。
【0015】すなわち、発明者等は、雑音信号として例
えば130Hz、140Hzの等レベルの正弦波に、僅
かなレベルの例えば270Hzの正弦波を加えたものを
使用し、これを主要入力と参照入力に加えて適応雑音低
減の実験を行ったところ、前2音は十分に低減された
が、270Hzの正弦波はほとんど残ってしまう結果を
得た。
【0016】この現象の原因は、適応雑音低減装置にお
いては、残差出力パワーが最小になるように適応アルゴ
リズムが働くもので、一般的に、参照入力信号の主要な
スペクトルを主体に雑音低減する性質があることによる
と考えられる。
【0017】すなわち、例えばLMS適応アルゴリズム
は、前述した式(a)にしたがってFIRデジタルフィ
ルタの係数ベクトルWk を更新している。ある時点での
係数ベクトルWk を修正するベクトルが、式(a)の右
辺の第2項であるが、ステップゲインμと瞬時誤差ek
とはスカラー値で、ともに修正値を直接左右する。同じ
く参照入力ベクトルXk も積の形で働くので、これも修
正値を左右する。平均的な収束の時定数τa は、 τa =(m+1)/4μ・trE〔Xi j T 〕 で表される。ここで、mはベクトルの次数(FIRフィ
ルタのタップ数でその次数が規定される参照入力ベクト
ルの次数)、trE〔Xi j T 〕は参照入力の平均パワ
ーである。つまり、FIRフィルタのタップ数が大きい
ほど収束速度は遅くなり、ステップゲインμや参照入力
の平均パワーが大きいほど収束速度が速くなる。
【0018】以上のことから、雑音信号があるスペクト
ル分布をしている場合、つまり、白色雑音のように一様
な分布をしていない場合、その平均パワーが大きい周波
数成分ほど収束速度が速く、結果的にキャンセル量が大
きくなると考えられる。
【0019】定常的な信号の場合、収束速度が速いと最
終的な残留雑音レベルが大きく、逆に収束が緩慢である
と最終的な雑音レベルが小さくなる。しかし、対象とす
る信号が音声のように変動する場合には、収束しきる前
にその性質が変化してしまうため、ある程度収束速度が
速い方がキャンセル量が大きくなる。
【0020】このように、低減対象信号に含まれる各周
波数成分のスペクトラムレベルに差があると、スペクト
ラムレベルが大きいものから順に低減され、音声などの
非定常の信号の場合には、スペクトラムレベルの小さい
ものは、収束しきる前に信号の変化があるため、残留し
てしまうと考えられ、これが低減量の低下となる。
【0021】この発明は、以上のような欠点を改善する
ことができる適応信号処理装置を提供することを目的と
する。
【0022】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、この出願の請求項1の発明による適応信号処理装置
においては、後述の実施例の参照符号を対応させると、
主要入力信号をオーバサンプリング方式によりデジタル
信号に変換する第1のA/Dコンバータ20Mと、主要
入力信号中の低減対象信号と相関が強い参照入力信号を
オーバサンプリング方式によりデジタル信号に変換する
第2のA/Dコンバータ20Rと、前記第2のA/Dコ
ンバータ20Rの出力デジタル信号が供給され、前記主
要入力信号中の低減対象信号に近似する信号を得る適応
フィルタ回路40と、前記第1のA/Dコンバータ20
Mの出力デジタル信号から、前記適応フィルタ回路40
の出力信号を減算する合成回路30とを備え、前記合成
回路30の減算出力信号が前記適応フィルタ回路40に
フィードバックされて、前記合成回路の出力信号のパワ
ーが最小になるように前記適応フィルタ回路40で適応
処理が行われるようにする。
【0023】また、この出願の請求項2の発明による適
応信号処理装置においては、後述の実施例の参照符号を
対応させると、主要入力信号を複数の周波数帯域に帯域
分割する第1の帯域分割手段10M1〜10Mnと、参
照入力信号を、前記主要入力信号の複数の周波数帯域と
等しく、複数の周波数帯域に帯域分割する第2の帯域分
割手段10R1〜10Rnと、前記第1の帯域分割手段
の各周波数帯域の信号をオーバサンプリング方式により
デジタル信号に変換する複数個の第1のA/Dコンバー
タ20M1〜20Mnと、前記第2の帯域分割手段の各
周波数帯域の信号をオーバサンプリング方式によりデジ
タル信号に変換する複数個の第2のA/Dコンバータ2
0R1〜20Rnと、前記第2のA/Dコンバータの出
力デジタル信号から、前記第1のA/Dコンバータから
得られる同じ周波数帯域の前記主要入力信号の各周波数
帯域の信号中に含まれる低域対象信号に近似する信号を
得る各周波数帯域用の複数の適応フィルタ回路41〜4
nと、前記第1のA/Dコンバータからの各周波数帯域
の信号から、対応する周波数帯域用の適応フィルタ回路
の出力信号を減算する各周波数帯域用の複数の合成回路
31〜3nと、前記複数の合成回路の出力信号を加算す
る加算回路60とを備え、前記各周波数帯域用の合成回
路31〜3nの減算出力信号が、対応する各周波数帯域
用の前記適応フィルタ回路41〜4nにフィードバック
されて、前記各周波数帯域用の合成回路31〜3nの出
力信号のパワーが最小になるように前記各周波数帯域用
の適応フィルタ回路41〜4nで適応処理が行われるよ
うにしたことを特徴とする。
【0024】
【作用】上記の構成の請求項1の発明においては、主要
入力信号及び参照入力信号は、共にオーバサンプリング
方式のA/Dコンバータでデジタル信号に変換される。
したがって、デジタル信号の単位時間当たりのサンプル
数は多く、適応フィルタ回路では、そのデジタルフィル
タのタップ数が少ないものであれば、ほぼ定常的な信号
として取り扱うことが可能である。
【0025】前述したように、低減対象信号が定常信号
として扱うことができれば、白色雑音と同様に扱うこと
が可能で、十分な低減量を得ることができる。
【0026】また、上記の構成の請求項2の発明におい
ては、主要入力信号及び参照入力信号は、複数の周波数
帯域に分割され、各周波数帯域ごとに、適応信号処理が
行われる。各分割周波数帯域について見ると、レベルの
周波数的変化は少なくなる。したがって、各分割周波数
帯域ごとでは、その周波数範囲内の各周波数成分を、ほ
ぼ等レベルとして取り扱うことができ、低減対象信号の
低減量を大きくすることができる。
【0027】
【実施例】以下、この発明による適応信号処理装置のい
くつかの実施例を、図を参照しながら説明する。
【0028】図1は、この発明による適応信号処理装置
をオーディオ信号の処理に適用した場合の一実施例のブ
ロック図である。この例においては、入力端子11を通
じて入力される主要入力信号としてのオーディオ信号
は、オーバサンプリング方式のA/Dコンバータ20M
により、最終的に必要な信号周波数より十分高いサンプ
リング周波数、例えばオーディオ帯域の最高周波数の5
倍のサンプリング周波数でサンプリングされ、その各サ
ンプリング値がデジタル信号に変換される。このA/D
コンバータ20Mの出力デジタル信号は、デジタル遅延
回路13を介して減算回路30に供給される。
【0029】また、主要入力としてのオーディオ信号に
含まれ、希望信号とは相関が少ない低減対象信号と非常
に相関の強い参照入力としてのオーディオ信号は、入力
端子12を通じて入力される。この参照入力オーディオ
信号も、また、オーバサンプリング方式のA/Dコンバ
ータ20Rにより、最終的に必要な信号周波数より十分
高いサンプリング周波数であって、A/Dコンバータ2
0Mでのサンプリング周波数と等しいサンプリング周波
数でサンプリングされ、その各サンプリング値がデジタ
ル信号に変換される。そして、このA/Dコンバータ2
0Rの出力デジタル信号は、適応フィルタ回路40に供
給される。
【0030】この例では、この適応フィルタ回路40
は、前述した図5に示すような、FIRデジタルフィル
タで構成される適応線形結合器300と、この線形結合
器300を適応制御するLMS演算回路(マイクロコン
ピュータ)320から構成され、A/Dコンバータ20
Rからのデジタル信号は、演算回路320に供給される
と共に、線形結合器300を介して減算回路30に供給
され、A/Dコンバータ20Mからの主要入力信号から
減算される。
【0031】減算回路30出力信号(残差信号)は、
適応フィルタ回路40のLMS演算回路320にフィー
ドバックされると共に、オーバサンプリング方式のD/
Aコンバータ50に供給されてアナログ信号に戻され、
出力端子16に導出される。この例においては、主要入
力信号及び参照入力信号は、オーバサンプリング方式の
A/Dコンバータ20M及び20Rにより、最終的に必
要な信号周波数より十分高いサンプリング周波数でサン
プリングされてデジタル信号に変換されて、適応処理さ
れる。オーバサンプリングであるので、主要入力信号及
び参照入力信号は、細かく標本化される。
【0032】適応フィルタ回路40の適応線形結合器3
00は、所定タップ数のFIRデジタルフィルタである
ので、このデジタルフィルタで1回に取り扱うサンプル
数は、そのタップ数に等しい。したがって、その入力デ
ジタル信号の単位時間当たりのサンプル数が多い場合に
は、デジタルフィルタで取り扱う時間幅が小さくなる。
取り扱う時間幅が短ければ、信号変化は少ないので、非
定常の信号も、ほぼ定常の信号として取り扱うことも可
能である。
【0033】したがって、上記の例の場合には、低減対
象信号が非定常信号であるオーディオ信号をほぼ定常信
号として取り扱うことができ、低減対象信号に対して十
分な低減量を得ることができる。
【0034】図2は、この発明による適応信号処理装置
の他の実施例で、この例も処理対象信号はオーディオ信
号で、かつ、この例では、オーディオ信号を帯域分割し
て、各周波数帯域ごとに、独立に適応処理を行うように
する。しかも、この例では、各分割帯域のサンプリング
周波数を、その帯域ごとにそれぞれ設定するようにす
る。
【0035】すなわち、図2に示すように、入力端子1
1を通じて入力された主要入力オーディオ信号は、第1
の帯域分割手段としての複数個のバンドパスフィルタ1
0M1〜10Mn(nは2以上の整数)に供給されて、
n個の周波数帯域に帯域分割される。この例では例えば
1オクターブ単位で周波数分割され、例えばn=7とさ
れる。図2の例では、バンドパスフィルタ10M1が最
も低い周波数帯域で、順次、図2でその下方のバンドパ
スフィルタ10M2,10M3,…になるにしたがって
1オクターブ分づつ周波数帯域が高くなる。
【0036】そして、各バンドパスフィルタ10M1〜
10Mnの出力信号は、それぞれA/Dコンバータ20
M1〜20Mnに供給され、デジタル信号に変換され
る。この場合、A/Dコンバータ20M1〜20Mnの
それぞれのサンプリング周波数は、各周波数帯域ごとに
異なる周波数sf1〜sfnに設定されるもので、この
サンプリング周波数sf1〜sfnは、各周波数帯域の
最高周波数の2倍以上の周波数、例えば5倍の周波数
(この例の場合、sf1>sf2>……>sfn)とさ
れる。つまり、これらA/Dコンバータ20M1〜20
Mnは、オーバサンプリング方式のA/Dコンバータで
あってもよい。
【0037】これらA/Dコンバータ20M1〜20M
nからの主要入力信号のデジタル信号は、それぞれ各周
波数帯域用の減算回路31〜3nに供給される。
【0038】一方、入力端子12を通じて入力された参
照入力オーディオ信号は、第2の帯域分割手段としての
複数個のバンドパスフィルタ10R1〜10Rnに供給
されて、主要入力信号と全く同様にしてn個の周波数帯
域に帯域分割される。
【0039】そして、各バンドパスフィルタ10R1〜
10Rnの出力信号は、それぞれA/Dコンバータ20
R1〜20Rnに供給され、デジタル信号に変換され
る。この場合、A/Dコンバータ20R1〜20Rnの
それぞれのサンプリング周波数は、主要入力信号と全く
同様に、各周波数帯域ごとに異なる上述の周波数sf1
〜sfnに設定される。これらA/Dコンバータ20R
1〜20Rnは、オーバサンプリング方式のA/Dコン
バータであってもよい。
【0040】これらA/Dコンバータ20R1〜20R
nからの参照入力信号のデジタル信号は、前述の図5の
例のようなFIRデジタルフィルタで構成される線形結
合器300と、演算回路320を有して構成される各周
波数帯域用の適応フィルタ回路41〜4nに供給され
て、主要入力信号中の低減対象信号に近似する信号が形
成される。
【0041】これら各周波数帯域用の適応フィルタ回路
41〜4nの出力信号は、各周波数帯域用の減算回路3
1〜3nに供給されて、それぞれA/Dコンバータ20
M1〜20Mnの出力信号から減算される。そして、こ
れら各周波数帯域用の減算回路31〜3nの出力信号
(残差信号)は、それぞれの周波数帯域用の適応フィル
タ回路41〜4nにフィードバックされる。また、各周
波数帯域用の減算回路31〜3nの出力信号は加算回路
60に供給されて、すべての帯域の成分が加算され、そ
の加算出力信号が出力端子16に導出される。
【0042】前述もしたように、低減対象信号と相関の
ある参照入力が音声信号のように有色の信号である場合
には、各周波数のパワースペクトルの大きさにばらつき
があり、ある参照入力信号の自己相関行列の固有値は大
きくばらつく。そのため、適応動作の収束速度が遅くな
り、結果的にはその低減量が小さくなってしまう。
【0043】これに対して、図2の構成の場合には、信
号は、複数の周波数帯域に帯域分割され、各帯域ごとに
独立に適応処理が行われるので、実質的に固有値のばら
つきが小さくなるので、大きな低減量が得られる。
【0044】しかも、その各帯域の最高周波数の2倍以
上の周波数のサンプリング周波数で、サンプリングされ
てデジタル化され、適応処理されるので、サンプリング
周波数が高い場合には、前述のしたように、1サンプル
ごとの変化が小さくなるため、定常信号として扱うこと
が可能であり、低減量がさらに大きくなる。
【0045】また、サンプリング周波数が高く、1サン
プルごとの変化が小さいために定常信号として扱うこと
ができるのであれば、適応フィルタ回路41〜4nのデ
ジタルフィルタのタップ数を少なくしても、希望する十
分な低減量を得ることができる。このデジタルフィルタ
のタップ数は、装置の規模及びコストに直接的に関わる
問題で、このように少ないタップ数で、頭書の目的を達
成することができるため、この例によれば、小型で、安
価に適応信号処理を装置を構成することができるメリッ
トがある。
【0046】さらに、図2の実施例においては、各帯域
ごとにサンプリング周波数を、その帯域の最高周波数の
2倍以上の適切な周波数に設定することができるので、
帯域ごとの低減効果を同じにして、元のオーディオ信号
の周波数特性が変化してしまうのを防止することができ
る。
【0047】なお、各帯域ごとのサンプリング周波数
は、その周波数帯域内における信号のレベル変動を考慮
して、どの程度の周波数にするかを適切に決定すること
ができる。
【0048】また、特に低減したい周波数帯域のA/D
コンバータのサンプリング周波数を、他に比べて高くし
たり、低減したくない周波数帯域のA/Dコンバータの
サンプリング周波数を低くしたりしてもよく、各帯域ご
とのA/Dコンバータのサンプリング周波数を適宜所望
のものに設定することにより、逆に所望の周波数特性を
出力信号に付与するようにすることもできる。つまり、
等価的に周波数ごとの低減処理能力に自由に重み付けを
できるようにして、目的に合わせた信号処理が可能にな
る。
【0049】次に、図3は、さらに他の例のブロック図
である。この例においては、入力端子11を通じた主要
入力オーディオ信号及び入力端子12を通じた参照入力
オーディオ信号は、図2の例と同様に、バンドパスフィ
ルタ10M1〜10Mn及びバンドパスフィルタ10R
1〜10Rnにより、n個の周波数帯域に分割される
が、各周波数帯域の信号は、それぞれA/Dコンバータ
21M1〜21Mn及び21R1〜21Rnに供給され
て、共通のサンプリング周波数fsでサンプリングされ
て、デジタル信号に変換される。共通のサンプリング周
波数fsは、例えば48kHzとされる。
【0050】そして、A/Dコンバータ21M1〜21
Mnの出力デジタル信号は、減算回路31〜3nに供給
されると共に、A/Dコンバータ21R1〜21Rnの
出力デジタル信号は、適応フィルタ回路71〜7nに供
給される。適応フィルタ回路71〜7nは、前述と同様
に図5に示したような構成のもので、FIRデジタルフ
ィルタを備えるものであるが、この例においては、図3
に示すように、デジタルフィルタのタップ数は、各周波
数帯域ごとに異なるものとされる。
【0051】この例の場合、周波数が低い帯域ではタッ
プ数は少なく、周波数が高い帯域ほぼ、タップ数が多い
構成とされる。これは、周波数が高いほど、時間軸方向
の変化が早いので、タップ数が少ないとその変化に追従
できないおそれがあるので、タップ数を多くして、その
多数のタップの出力を合成することにより、平均化し
て、変化の速度を見掛上、遅くするためである。
【0052】もっとも、処理対象信号によっては、レベ
ル変化が著しい帯域が、最も高い周波数ではない、中間
的な帯域である場合もあるが、そのような場合には、そ
の変化の大きい帯域の適応フィルタ回路のデジタルフィ
ルタのタップ数を多く設定しておくものである。
【0053】各周波数帯域用の適応フィルタ回路71〜
7nの出力信号は、各周波数帯域用の減算回路31〜3
nに供給されて、それぞれA/Dコンバータ21M1〜
21Mnからの主要入力信号から減算される。そして、
各周波数帯域用の減算回路31〜3nの減算出力が、各
周波数帯域用の適応フィルタ回路71〜7nにフィード
バックされると共に、各周波数帯域用のD/Aコンバー
タ81〜8nに供給されて、アナログ信号に変換され
る。このD/Aコンバータ81〜8nは、サンプリング
周波数がfs(この例では48kHz)で、共通であ
る。そして、このD/Aコンバータ81〜8nの出力ア
ナログ信号が加算回路60に供給されて、加算され、出
力端子16に導出される。
【0054】この例の場合には、A/Dコンバータ及び
D/Aコンバータは、そのサンプリング周波数が、オー
ディオ信号を復元するのに十分な通常使用される周波数
が用いられるものであるが、各周波数帯域用の適応フィ
ルタ回路71〜7nのデジタルフィルタのタップ数が、
各周波数帯域ごとに適切なタップ数に選定されている。
したがって、低減対象信号の、周波数が高い領域でも、
十分な低減量を得ることが期待できる。
【0055】さらに、図3の実施例においては、各周波
数帯域ごとにタップ数を、その周波数帯域に適切なタッ
プ数に設定することができるので、帯域ごとの低減効果
を同じにして、元のオーディオ信号の周波数特性が変化
してしまうのを防止することができる。
【0056】また、特に低減したい周波数帯域の適応フ
ィルタ回路のタップ数を、他に比べて多くしたり、低減
量が少なくともよい周波数帯域の適応フィルタ回路のタ
ップ数を、少なくしたりしてもよく、各帯域ごとの適応
フィルタ回路のタップ数を適宜所望のものに設定するこ
とにより、逆に所望の周波数特性を出力信号に付与する
ようにすることもできる。
【0057】なお、以上は、適応処理の対象がオーディ
オ信号の場合であるが、この発明はオーディオ信号に限
らず、適用できることはいうまでもない。また、適応の
アルゴリズムは、LMS法に限らず、例えば学習同程
法、その他のアルゴリズムを用いることができることは
いうまでもない。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、主要入力中の低減対象信号を低減する適応処理装置
において、処理対象信号は、オーバサンプリングして適
応低減処理するようにしたので、非定常の信号も、定常
信号のように扱うことができ、低減量を大きくすること
ができる。
【0059】また、この発明によれば、処理対象信号を
複数の周波数帯域に分割して処理するようにしたことに
より、各周波数帯域内では、定常的、かつ、レベルの周
波数変動が少ない信号として扱うことができ、低減効果
を大きくすることができる。そして、各周波数帯域ごと
に、サンプリング周波数を適当に選定することができる
ので、各周波数帯域ごとの信号処理にもっとも適切なサ
ンプリング周波数を選択することができ、これにより、
従来の装置よりも高速かつ効果的な適応信号処理を行う
ことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による適応信号処理装置の一実施例を
示すブロック図である。
【図2】この発明による適応信号処理装置の他の実施例
のブロック図である。
【図3】この発明による適応信号処理装置の他の実施例
のブロック図である。
【図4】適応型雑音低減装置の一例のブロック図であ
る。
【図5】適応フィルタ回路の一例のブロック図である。
【符号の説明】
11 主要入力信号の入力端子 12 参照入力信号の入力端子 16 出力信号 10M1〜10Mn 第1のバンドパスフィルタ 10R1〜10Rn 第2のバンドパスフィルタ 20M オーバサンプリング方式のA/D
コンバータ 20R オーバサンプリング方式のA/D
コンバータ 20M1〜20Mn 第1のA/Dコンバータ 20R1〜20Rn 第2のA/Dコンバータ 21M1〜21Mn 第1のA/Dコンバータ 21R1〜21Rn 第2のA/Dコンバータ 30、31〜3n 減算回路 40、41〜4n 適応フィルタ 50、51〜5n オーバサンプリング方式のD/A
コンバータ 60 加算回路 71〜7n 適応フィルタ回路 81〜8n D/Aコンバータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 行徳 薫 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ ニー株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−318897(JP,A) 特開 平3−98309(JP,A) 特開 平3−284098(JP,A) 特開 平3−292098(JP,A) 特開 平3−96999(JP,A) 特開 昭64−29094(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H03H 21/00 H03H 17/00 621 H03H 17/02 601 H04R 3/00 320 H04R 3/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】主要入力信号を、オーバサンプリング方式
    によりデジタル信号に変換する第1のA/Dコンバータ
    と、 前記主要入力信号中の低減対象信号と相関が強い参照入
    力信号を、オーバサンプリング方式によりデジタル信号
    に変換する第2のA/Dコンバータと、 前記第2のA/Dコンバータの出力デジタル信号が供給
    され、前記主要入力信号中の低減対象信号に近似する信
    号を得る適応フィルタ回路と、 前記第1のA/Dコンバータの出力デジタル信号から、
    前記適応フィルタ回路の出力信号を減算する合成回路と
    を備え、 前記合成回路の減算出力信号が前記適応フィルタ回路に
    フィードバックされて、前記合成回路の出力信号のパワ
    ーが最小になるように前記適応フィルタ回路で適応処理
    が行われるようにされた適応信号処理装置。
  2. 【請求項2】主要入力信号を複数の周波数帯域に帯域分
    割する第1の帯域分割手段と、 参照入力信号を、前記主要入力信号の複数の周波数帯域
    と等しく、複数の周波数帯域に帯域分割する第2の帯域
    分割手段と、前記第1の帯域分割手段の各周波数帯域の信号をオーバ
    サンプリング方式によりデジタル信号に変換する複数個
    の第1のA/Dコンバータと、 前記第2の帯域分割手段の各周波数帯域の信号をオーバ
    サンプリング方式によりデジタル信号に変換する複数個
    の第2のA/Dコンバータと、 前記第2のA/Dコンバータの出力デジタル信号から、
    前記第1のA/Dコンバータから得られる同じ周波数帯
    域の前記主要入力信号の各周波数帯域の信号中に含まれ
    る低減対象信号に近似する信号を得る各周波数帯域用の
    複数の適応フィルタ回路と、前記第1のA/Dコンバータからの 各周波数帯域の信号
    から、対応する周波数帯域用の適応フィルタ回路の出力
    信号を減算する各周波数帯域用の複数の合成回路と、 前記複数の合成回路の出力信号を加算する加算回路とを
    備え、 前記各周波数帯域用の合成回路の減算出力信号が、対応
    する各周波数帯域用の前記適応フィルタ回路にフィード
    バックされて、前記各周波数帯域用の合成回路の出力信
    号のパワーが最小になるように前記各周波数帯域用の適
    応フィルタ回路で適応処理が行われるようにされた適応
    信号処理装置。
  3. 【請求項3】各周波数帯域用の適応フィルタ回路は、デ
    ジタルフィルタを有して構成されると共に、そのデジタ
    ルフィルタのタップ数は、各周波数帯域ごとに、適切な
    数に設定されてなる請求項2に記載の適応信号処理装
    置。
  4. 【請求項4】前記複数個の第1および第2のA/Dコン
    バータでは、共通のサンプリング周波数が用いられるこ
    とを特徴とする請求項2に記載の適応処理装置。
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