JP3246387B2 - 放電ランプ用陰極の製造方法 - Google Patents

放電ランプ用陰極の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は放電ランプ用陰極
の製造方法に関する。特に、アーク放出部分の電子放射
性を良好にできる炭化処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】放電ランプで長時間にわたって安定した
放射光を得るためには、電極間に生ずるアーク放電を長
時間安定させることが必要である。このため、陰極に
は、電子放射性物質(エミッター)としての酸化トリウ
ムを含有させたタングステン棒が使われていた。
【0003】そして、さらに長時間アーク放電を安定さ
せるために、酸化トリウムを含むタングステン棒を炭化
処理する技術が確立している。この原理は、陰極表面に
形成された2タングステン炭化物(W2 C)層(以下、
「炭化層」ともいう)がアーク放電動作中に拡散された
酸化トリウム(ThO2 )の酸素をトラップして、トリ
ウム(Th)原子を効率良く陰極先端のアーク放出部分
まで供給するというものである。その一方で、陰極先端
のアーク放出部分にまで上記炭化層が形成されると、ア
ーク放電動作中に、当該アーク放出部分は非常に高温、
例えば、約2900℃になるため、炭化層が溶融してし
まい、結果としてアーク放電を不安定にさせて短寿命と
いう不具合を発生させる。
【0004】この問題を解決するために、従来は以下の
炭化処理を行っていた。 .カーボン(炭素)と揮発性有機溶媒を混ぜ合わせて
ペースト状塗布剤を練り上げる。 .陰極(タングステン棒)の表面に、このペースト状
塗布剤を塗るが、先端のアーク放出部分には塗らない。 .この状態で高温加熱処理することで、先端アーク放
出部分を除くタングステン棒の表面に所望の炭化層の膜
を生成させていた。 しかしながら、この方法では、タングステン棒に塗布し
たペースト状塗布剤のうち有機溶媒が蒸発することで亀
裂を生じ、全体として不均一な塗布状態になってしま
う。すなわち、本来炭化層が形成されるべき領域でも炭
化層が形成される部分と炭化層が形成されない部分が不
所望に生成されることになり、結果として、アーク放電
を長時間安定させることができない。
【0005】また、上記問題を解決する先行文献とし
て、例えば、特公平5−86026号があり、陰極(タ
ングステン棒)の先端を除く部分に均一に炭化層を被覆
する方法が開示される。具体的には、炭素を含むガス
(例えば、CH4 )によって炭素の析出を行い、その
際、先端の炭化層が被覆されてはならない部分は、回分
支持体(Chargentraeger) の窪みに差し込んで覆ってし
まう、というものである。すなわち、陰極をほぼ最終形
態にまで切削加工をした後に、気相成長法によって炭化
層を被覆するが、陰極の先端部分は陰極を支持する部材
に設けた窪みに差し込むことによって被覆を防止すると
いうものである。しかし、この方法でも先端アーク放出
部分の炭化を完全に防止することは困難であり、すなわ
ち、先端アーク放出部分には炭化層が微妙ではあるが形
成されてしまう。これは、先端部分を支持体の窪みに差
し込むというだけでは完全な遮蔽が困難だからと考えら
れる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この発明が解決しよう
とする課題は、長時間アーク放電動作を安定できる放電
ランプ用陰極の製造方法を提供することであり、具体的
には、陰極を良好に炭化処理することでトリウム原子を
良好に供給可能にするとともに、かつ、炭化物の溶融に
よるアーク放電動作の不良という不具合を発生させない
放電ランプ用陰極を製造する方法を提供することであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明は、電子放射性
物質を含む高圧放電ランプ用陰極の製造方法であって、
先端のアーク放出部分を除いて、それ以外の部分を略最
終形態にまで切削加工を行い、次に、当該陰極の外表面
全体に対して炭化処理を行い、その後、前記先端のアー
ク放出部分を最終形態にまで切削加工することを特徴と
する。
【0008】
【作用】この発明の放電ランプ用陰極の製造方法は、最
終形態として先端鋭利形状の棒状陰極を製造するにあた
って、まず、鋭利形状の先端部分(すなわち、アーク放
出部分)は当該形状に切削加工せず、それ以外の部分に
対してほぼ最終形態にまで切削加工をほどこす。次に、
この状態で全体を炭化処理し、その後、鋭利電極の先端
部分(アーク部分)を仕上げるべく切削加工を行うもの
である。従って、従来の製造方法のように炭化処理を施
すまえに、陰極の形状を仕上げるのではなく、炭化処理
を施す部分のみ形状を仕上げておき、その状態で全体を
炭化処理した後、先端の鋭利形状を切削加工して仕上げ
るものである。
【0009】
【発明の実施の形態】図1は高圧放電ランプの全体図を
示す。石英製発光管1の中に陽極2と陰極3が配置され
る。陽極2はタングステンよりなり、陰極3はタングス
テンにエミッターとして酸化トリウムが含有される(い
わゆるトリタン)。4は外部電流供給リード棒であって
金属箔等を介して陽極2、陰極3と電気的に接続され
る。かかる放電ランプの構造自体は、特に珍しいもので
はなく、その詳細は省略する。発光管1の中に水銀やア
ルゴンが封入される。この放電ランプは、例えば定格2
KWでアーク放電を行い、波長365nmなどの紫外光
を放射する。
【0010】図2は本発明の放電ランプ用陰極の製造方
法を示す。同図(a)は、炭化処理を行う際のタングス
テン棒(陰極)の形状を示す。先端のアーク放出部分3
1は最終形態として切削加工されていないため、図に示
すようになっている。それ以外の部分はほぼ最終形態に
まで加工している。この切削加工は、特別な方法ではな
く、旋盤などを使った通常の方法を適用できる。
【0011】この状態で炭化処理を行うが、炭化処理は
例えば気相炭化法が採用される。図2(b)はこの気相
炭化法を示す。ガラス製容器20の中にタングステン棒
3(陰極)を配置し、容器の外部に配置された高周波加
熱コイル21によってタングステン棒3を加熱する。そ
して、この容器の中にベンゼン(C6 H6 )の蒸気と水
素ガスを混合させた気体を流過させると、高温加熱状態
のタングステン棒の表面でベンゼン(C6 H6 )の蒸気
が分解されて炭素原子が遊離固着する。この場合にベン
ゼン(C6 H6 )蒸気の濃度とタングステンの加熱され
る温度を制御することで所望の炭化層が形成される。一
例をあげれば、加熱温度は1500℃で20分間高周波
加熱を行う。尚、ベンゼンに限るものではなく炭素系誘
導体の蒸気を使うことができる。その後、水素ガスのみ
をフローさせてタングステン棒3を数分間加熱させるこ
とで、その表面では2WCからW2 C+Cの形になっ
て、ここに生じた遊離炭素(C)が陰極(タングステン
棒)3の最表面層から内部に熱拡散されて、内部のタン
グステン原子と反応し(C+2W→ W2 C)、すなわ
ち、表面と同じW2 Cの層が形成される。次に、陰極の
先端部分を最終形状に加工する。同図(C)に示すよう
に点線31aで示す部分を切削加工することで所望の鋭
利形状に仕上げる。すなわち、この加工部分もその表面
は炭化処理されているが、本発明の製造方法では、炭化
処理後に当該部分を削り落とすので炭化処理がされてい
ない部分を良好に作ることができる。
【0012】図3は本発明の製造方法の他の実施例を示
す。長尺のガラス製容器30の中にはタングステン棒3
2が配置される。このタングステン棒32には、ところ
どころに縮小部33が形成される。そして、タングステ
ン棒32の両端に給電部材34、電源36が各々取り付
けられて、通電することでタングステン棒32自体が導
電体として発熱して炭化処理に必要な温度となる。ガラ
ス製容器30に設けられたガス流入口35からベンゼン
(C6 H6 )の蒸気と水素ガスを混合させた気体がガラ
ス製容器30の内部に流入される。このようにしてタン
グステン棒32の外表面を炭化処理した後、縮小部33
およびその他の部分の所定位置を切断することで複数の
陰極を良好に作ることができる。なお、本製造方法の場
合にはタングステン棒の縮小部33で電気抵抗が大きく
なるので加熱効果が高まる点で有利な効果がある。
【0013】次に、本発明の陰極を使った放電ランプの
特性を、従来の放電ランプと比較する。図4は放射され
る紫外線の減衰特性を表し、横軸は動作時間、縦軸は相
対光出力を表す。相対光出力はアーク放電開始時を10
0としたときの各々の時間における光出力を示す。図
中、aは本発明の製造方法による陰極を使った放電ラン
プ、bは従来の製造方法により炭化処理を施した陰極を
使った放電ランプ、cは炭化処理をしていない陰極を使
った放電ランプ、の紫外線減衰特性を各々示す。この結
果、本発明の製造方法による陰極を使った放電ランプは
約1000時間を経過した後であってもアーク放電開始
時の90%以上の光出力を維持していることが分かる。
これに対して、従来の製造方法により炭化処理反応をほ
どこした陰極を使った放電ランプはアーク放電開示時の
80%近傍まで光出力が減衰していることが分かる。ま
た、炭化処理を施していない放電ランプは、約500時
間アーク放電を経過した段階で60%程度まで減衰して
いることが分かる。すなわち、本発明の製造方法による
陰極を使った放電ランプがいかに長時間安定したアーク
放電を可能にするかが明白に理解される。
【0014】次に、本発明の陰極を使った放電ランプの
アーク安定性を従来の放電ランプと比較する。図5はア
ークの安定性を示す。安定度は、紫外線が一定規格電力
入力時を100とし、これに対しての揺れ具合を評価し
たものである。図中、aは本発明の製造方法による陰極
を使った放電ランプ、bは従来の製造方法により炭化処
理を施した陰極を使った放電ランプ、cは炭化処理をし
ていない陰極を使った放電ランプ、のアークの揺れ具合
を表す。この結果、本発明の製造方法による陰極を使っ
た放電ランプはアーク放電約1000時間の間でほとん
どアークの揺れは生じていないことがわかる。これに対
して、従来の製造方法により炭化処理をほどこした陰極
を使った放電ランプ、炭化処理を施していない放電ラン
プは、各々アークの揺れを示していることがわかる。
【0015】
【発明の効果】この発明の製造方法による陰極を使った
放電ランプは、長時間安定したアーク放電を得ることが
できる。具体的には、陰極棒を良好に炭化処理すること
でトリウム原子を良好に供給し、電子放射性を良好にす
るとともに、かつ、炭化物の熔融による点灯不良等の不
具合を生じることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】高圧放電ランプの全体の概略を示す。
【図2】本発明の製造方法を示す。
【図3】本発明の陰極の製造方法を示す。
【図4】本発明の効果を示す。
【図5】本発明の効果を示す。
【符号の説明】
1 発光管 2 陽極 3 陰極 4 リード棒 20 ガラス製容器 21 高周波加熱コイル 30 ガラス製容器 31 アーク放出部分 32 陰極 33 縮小部 34 給電部材 35 流入口 36 電源

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エミッター物質を含む放電ランプ用陰極の
    製造方法であって、 先端のアーク放出部分を除いて、それ以外の部分は略最
    終形態にまで切削加工を行い、 次に、当該陰極の外表面に対して炭化処理を行い、 その後、前記アーク放出部分を最終形態まで切削加工す
    る放電ランプ用陰極の製造方法。
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