JP3245451B2 - ジシクロペンタジエンの反応射出成形方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ジシクロペンタジエン
を触媒の存在下で重合させて反応射出成形する方法に関
する。

【０００２】

【従来の技術】一般的なジシクロペンタジエンの反応射
出成形方法は、金型内にジシクロペンタジエンと触媒の
混合液を注入して重合固化させるが、重合の進行に伴っ
て、通常、注入された混合液の体積が約３容量％という
比較的高い収縮率で収縮するために図２に示すように金
型０１中の成形品０２の一部が分散状態で剥離して成形
品０２の表面０３にアバタ状の凹凸部０４ができる。

【０００３】これを解消する従来技術として、例えば図
示しない上下金型の型温度に差を付けることで、成形品
の表面を、金型に付着した金型付着側面と、金型に対し
て剥離された金型剥離側面とに積極的に区分し、成形品
の金型剥離側面を例えば外部露出しない裏面としてこの
裏面に前記アバタ形状を集中させる一方、反対側の表面
を平滑面となす方法、金型の片面に離型材料をコーティ
ングする方法などがある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、前述した従
来の方法では、いずれも成形品の形状によっては効果が
安定せず、例えば温度条件の変化や触媒の経時活性低下
などによっても効果が変化するために寸法精度の高い品
質の安定した成形品を得ることが難しく、従って最終的
な製品に仕上げる段階で表面形状をパテ埋めや研削によ
って整える必要があった。本発明は、上記実情に鑑みな
されたもので、簡易な方法で表面にアバタ状の凹凸部が
できにくく、かつ軽量で寸法精度の高い品質の安定した
成形品を成型後に補修することなく低コストで製造する
ことができるジシクロペンタジエンの反応射出成形方法
を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、ジシクロペン
タジエンと触媒を含有する反応原液を成形型内に注入し
て反応射出成形を行う方法において、型内面の一部に微
細な凹凸を形成した成形型を使用することにより、成型
品表面のアバタ状の凹凸部の発生を防止することを特徴
とするジシクロペンタジエンの反応射出成形方法を提供
するものである。又本発明においては、成形品の表面塗
装仕上げをすることを特徴とする。又本発明において
は、成形型が金型であることを特徴とする。又本発明に
おいては、成形型が割型であることを特徴とする。又本
発明においては、型内面の一部が割型の片側型内面であ
ることを特徴とする。又本発明においては、微細な凹凸
が、成形品の表面塗装によって隠蔽される程度の凹凸で
あることを特徴とする。

【０００６】以下、本発明を詳細に説明する。ジシクロ
ペンタジエンをＡ液およびＢ液の二液に分けて別の容器
にいれ、Ａ液にはジシクロペンタジエンにアルキルアル
ミニウム化合物などの触媒活性剤を添加する一方、Ｂ液
にはジシクロペンタジエンに対し、タングステン含有の
安定化された触媒などを適量添加して、二種類の安定な
反応溶液を調製する。この二種類の反応溶液を混合し、
次いで所定形状の金型中に注入し、そこで重合反応が行
われ、型どおりの成形品が成形される。

【０００７】本発明においては、図１に示すように、成
形型０５の型内面の一部である上型０６の内面に微細な
凹凸０８を形成した成形型０５を使用し、ジシクロペン
タジエンの反応溶液を型内に注入して成形品０９を成形
し、成形品０９の表面塗装仕上げを行い、塗装仕上げに
より成形品表面の微細な凹凸は塗装下に隠蔽され、表面
が平滑に仕上げられる。成形型０５の材質は、金属、非
金属の何れでも使用でき、非金属型としては、木型、砂
型、石膏型、コンクリート型、シリコン樹脂、不飽和ポ
リエステル樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂型、またはそ
れらと金属粉とを混合して作られる型が使用される。又
成形型０５は二つ割型等の割型が、型内面の凹凸加工上
や、成形上作業性が良く、好ましい。型への微細な凹凸
０８形成は、サンドブラスト法やエッチングによって形
成することが出来る。

【０００８】型への微細な凹凸０８形成は、成形品０９
の表面がそのまま成形品を使用した製品の外面に露出す
るような、成形品の表面外観が重要になるような、成形
品の表面に対応する成形型０５の内面に形成するだけで
良い。図１の実施例の場合は、上型０６の内面のみに微
細な凹凸０８を形成しているが、凹凸形成は上型０８の
内面全面だけでなく、内面の一部だけでも良い。また上
型０６の内面だけでなく、下型０７の一部にまたがって
形成しても良い。微細な凹凸０８は、成形品０９の表面
に凹凸模様を形成させることが目的ではなく、成形型０
５と成形品０９の密着性を向上させることが目的である
ので、成形品の表面塗装仕上げによって、成形品表面の
凹凸が視認できるような大きさではなく、表面塗装仕上
げにより成形品表面の凹凸が塗装下に隠蔽され、表面が
平滑に視認できる程度の大きさである必要がある。

【０００９】

【作用】本発明においては、ジシクロペンタジエンの反
応原液を、型内面の一部に微細な凹凸０８を形成した成
形型内に注入して原液を反応硬化させて成形するので、
凹凸０８を形成した面においては成形型０５と成形品０
９との密着性が良く剥がれ難く、成形品０９は混合液が
重合の進行に伴って体積収縮が起きて成形型０５と硬化
中の成形品０９との間に空隙１０が形成されるが、この
空隙１０は、型と成形品が剥がれやすい型の凹凸形成し
ていない部分に集中して発生する。従って、得られる成
形品０９は微細な凹凸を形成した表面では樹脂の体積収
縮によって生じるアバタ状の凹凸が形成されず、他の成
形品表面にアバタ状の凹凸が形成される。成形品０９表
面に形成された微細な凹凸は、成形品の表面塗装仕上げ
によって塗装下に隠蔽される程度の大きさであるから、
塗装表面は平滑となり、凹凸は視認されない。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
するが、本発明はこの実施例に限定されない。図１に示
すように、上型０６と下型０７との割型からなる成形用
金型０５の上型０６内面にサンドブラスト法により微細
な凹凸０８を形成させた成形用金型０５を使用した。金
型０５より得られる成形品のサイズは６００×１１００
×６mmである。

【００１１】この金型０５にＡ液とＢ液の二液に分けた
ジシクロペンタジエンの反応性溶液を１：１の重量比で
Ksauss-Maffe製の反応射出機で、混合注入して成形品０
９を得た。得られた成形品は、比重１．０４、で、全表
面積に対する凹凸部分が形成された面積（凹部面積）の
割合が約２０％で、成形品０９の微細な凹凸を形成した
表面にはアバタ状の凹凸部が視認されず、アバタ状の凹
凸部１０は成形品０９の裏面に集中して発生していた。

【００１２】比較例 成形型に微細な凹凸を形成しない成形型を使用した以外
は実施例と同様にして反応射出成形を行った。得られた
成形品は、比重１．０４、表面積に対する凹部面積割合
約３５％で、成形品の全表面にアバタ状の凹凸部が多数
発生した。

【００１３】

【発明の効果】本発明のジシクロペンタジエンの反応射
出成形方法は、成形型の型内面の一部に微細な凹凸を形
成した成形型を使用して注入硬化成形を行うだけで、成
形型に微細な凹凸を形成した面に面する成形品の表面に
は成形樹脂の収縮に伴うアバタ状の凹凸が発生せず、そ
の部分の外観がそのままで塗装仕上げに移行出来る。従
って、成形品を成形後に例えばパテ埋めや研削によって
補修する必要がなく余計な工程が不要になる効果があ
る。また、成形型の必要な部分のみ凹凸を形成するだけ
で良く、簡単な成形型の加工だけで、容易に実用上欠陥
のない成形品を得られる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例のジシクロペンタジエンの反応
射出成形方法に使用される金型と、成形品の断面図であ
る。

【図２】従来のジシクロペンタジエンの反応射出成形方
法に使用される金型と、成形品の断面図である。

【符号の説明】

０１ 従来の成形用金型 ０２ 従来の成形品 ０３ 従来の成形品の表面 ０４ アバタ状の凹凸部 ０５ 本発明の成形用金型 ０６ 本発明の成形用金型の上型 ０７ 本発明の成形用金型の下型 ０８ 微細な凹凸模様 ０９ 本発明の成形品 １０ アバタ状の凹凸部

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ジシクロペンタジエンと触媒を含有する反
   応原液を成形型内に注入して反応射出成形を行う方法に
   おいて、型内面の一部に微細な凹凸を形成した成形型を
   使用することにより、成型品表面のアバタ状の凹凸部の
   発生を防止することを特徴とするジシクロペンタジエン
   の反応射出成形方法。
2. 【請求項２】 成形品の表面塗装仕上げを行う請求項１記
   載のジシクロペンタジエンの反応射出成形方法。
3. 【請求項３】 微細な凹凸が成形品の表面塗装によって隠
   蔽される程度の凹凸である請求項２記載のジシクロペン
   タジエンの反応射出成形方法。