JP3244538B2 - イオン交換精製装置と重合体溶液の精製方法 - Google Patents

イオン交換精製装置と重合体溶液の精製方法

Info

Publication number
JP3244538B2
JP3244538B2 JP24658492A JP24658492A JP3244538B2 JP 3244538 B2 JP3244538 B2 JP 3244538B2 JP 24658492 A JP24658492 A JP 24658492A JP 24658492 A JP24658492 A JP 24658492A JP 3244538 B2 JP3244538 B2 JP 3244538B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ion exchange
acrylonitrile
ion
polymer
filled
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP24658492A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06100617A (ja
Inventor
耕二 西田
俊裕 槙嶋
行生 笠坊
勝彦 池田
由雄 真鍋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp, Mitsubishi Rayon Co Ltd filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP24658492A priority Critical patent/JP3244538B2/ja
Publication of JPH06100617A publication Critical patent/JPH06100617A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3244538B2 publication Critical patent/JP3244538B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アクリロニトリル系繊
維及び炭素繊維前駆体であるブレーカーの原料となるア
クリロニトリル系重合体溶液に好適なイオン交換精製装
置及び重合体の精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アクリル繊維は、羊毛に似た優れた嵩高
性、風合、染色鮮明性等の性質を有し、広範囲の用途に
利用されている。これらの繊維を製造するには原料とな
るアクリロニトリル系重合体を有機溶媒又は無機溶媒に
溶解させた溶液を準備し、湿式方法、乾式方法又は乾湿
式方法などの紡糸方法で紡糸し、工業的に繊維を生産し
ている。
【0003】上記繊維を製造するため、目的とする重合
体を得るには原料となるアクリロニトリル単量体及びそ
れと共重合可能な単量体をラジカル重合反応させること
が一般的である。こうして得られた重合体は、同重合体
を溶媒に溶解させる溶解工程を経て、湿式紡糸法、乾式
紡糸法又は乾湿式紡糸法により紡糸し、ステープル又は
フィラメントとして製品化される。(「繊維ハンドブッ
ク」1991年度版繊維総合研究所発行 による。)ま
た、上記方法により得られたアクリロニトリル系繊維
は、炭素繊維前駆体(プレカーサー)としても使用さ
れ、焼成工程を経て炭素化されて炭素繊維となる。かか
る炭素繊維は強度、弾性率、耐熱性等において高性能な
ものであり、航空機素材をはじめ種々の用途に利用され
ている。
【0004】水系での不均一系重合である懸濁重合方式
は、歴史も古く、且つ広く採用されているアクリロニト
リル系重合体の製造方式である。この製造方式は、前記
重合体の品質管理が容易なこと、未反応単量体の回収が
容易なこと及び工程全体の管理が容易なこと等の特徴が
挙げられる。(繊維便覧「原料編」繊維学会編集 丸善
(株)発行 による。)上記のアクリロニトリル系重合
体の製造方法としては、水を反応媒体として連続懸濁重
合方式で製造されるが、このときの重合開始剤として
は、一般的に無機系開始剤(過硫酸アンモニウム等)が
使用される。連続懸濁重合で製造されたアクリロニトリ
ル系重合体は濾別、乾燥を経て、同重合体の溶媒に溶解
した後、各種方法で紡糸される。
【0005】上記のように無機系開始剤(例えば、過硫
酸アンモニウム−亜硫酸水素ナトリウム−鉄の酸化還元
系の組み合わせ)によりアクリロニトリル単量体を主成
分とする単量体を、反応溶媒として硫酸酸性の水を使用
して重合反応させると、精製した同重合体の粒子が形成
され、水性分散液の状態でアクリロニトリル系重合体を
得ることができる。重合終了後、該重合体の水性分散液
を濾別、洗浄及び乾燥することによりアクリル繊維の原
料となるアクリロニトリル系重合体を得る。
【0006】連続水系懸濁重合によりアクリロニトリル
系重合体を得る場合の反応容器としては、アルミニウム
製反応容器を使用することが好ましい。アクリロニトリ
ル系重合体を水系連続懸濁重合反応で製造実施すると
き、ステンレス製の反応容器、或いはグラスライニング
製の反応容器を使用すると、アクリロニトリル系重合体
の付着によるスケールが生成されるため実質的には連続
使用が不可能となる。反応容器としてアルミニウム製反
応容器を使用した場合、反応系内は酸性水溶液となって
いるために、アルミニウム表面が腐食溶解することによ
り、スケール生成を阻止しているといわれている。
【0007】重合反応を終了させるためには重合停止剤
を添加する。上記重合体を水系懸濁重合で製造する場合
の重合停止剤としては、反応系の酸性水溶液を中和する
機能を保持することが必要であり、シュウ酸ナトリウ
ム、エチレンジアミンテトラアセテートナトリウム塩、
重炭酸ナトリウムの電解質水溶液が挙げられる。
【0008】かくして、上述の製造方式によるとアクリ
ロニトリル系重合体は重合開始剤による電解質、重合反
応容器の腐食による電解質、重合停止剤による電解質等
の存在下で製造されていることになる。しかも、該アク
リロニトリル系重合体は重合反応の進行と共に、既述し
たごとく数十ミクロンの重合体粒子を形成して水系で分
散粒子となるが、この重合体の粒子中には前記各種の電
解質が混入していることになる。従って、水系連続懸濁
重合によりアクリロニトリル系重合体を製造するにあた
っては、生成した同重合体の粒子表面を洗浄することは
可能であっても、重合体内部に捕捉された電解質までを
水によって洗浄することは困難である。
【0009】従って、現在の水系懸濁重合によるアクリ
ロニトリル系重合体の製造においては、上述のごとく洗
浄が不十分な状態のまま乾燥工程に移行し、アクリロニ
トリル系重合体を溶媒に溶解してアクリロニトリル系重
合体ドープとし、湿式、半乾湿式又は乾式で紡糸した
後、アクリル繊維を得ている。このように電解質等の不
純物が混入したアクリロニトリル系重合体ドープ溶液
は、最近のように高品質なアクリル繊維を製造する際に
種々の問題をもたらしている。
【0010】例えば、アクリル繊維製造において使用す
るドープ溶液(アクリロニトリル系重合体を溶解する溶
媒に同重合体を溶解して得られる溶液)を長時間加熱
(約100℃)保持すると黄着色が顕著となり、ドープ
溶液自体がゲル化して溶液流動性の低下をもたらす。こ
の原因は、アクリロニトリル系重合体に含まれる上記不
純物(無機電解質)によるものと考えられる。また、同
不純物のために製品であるアクリル繊維自体の黄着色化
現象が生じ、高品質のアクリル繊維を製造しようとする
場合の品質に大きな影響を及ぼしていると考えられてい
る。同様に、ドープ溶液自体がゲル化して溶液流動性の
低下をもたらすと、安定した紡糸性が確保できず、その
結果、糸切れ現象が生じると考えられている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】水系懸濁重合方式で得
られたアクリロニトリル系重合体を原料として、アクリ
ル繊維又は同アクリル繊維を焼成して炭素繊維を製造す
るにあたっての問題点は、水系懸濁重合方式で該重合体
を製造する際に混入を免れない無機電解質等の不純物が
該重合体に残存することである。この不純物の混入が、
製品となるアクリル繊維又は同繊維を焼成してなる炭素
繊維を製造する際の問題点を誘発していることである。
【0012】本発明の目的は、このような水系懸濁重合
方式が有する問題点を解決し、アクリル繊維又は同繊維
を焼成してなる炭素繊維の製造に適した工業的に有利な
重合体ドープ溶液のイオン交換精製装置及び同精製方法
を提供するにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは、重合溶液の導入口及び導出口を有する密閉ケーシ
ングと、同ケーシング内に所定の間隔をおいて装着され
る一枚以上の多孔板とを備え、前記多孔板は2個以上の
貫通孔をもち、且つ1個以上の貫通孔にはイオン交換能
をもつ物質が充填されてなることを特徴とするアクリロ
ニトリル系重合体溶液のイオン交換精製装置、及び前記
溶液を同イオン交換精製装置に通して、無機系レドック
ス開始剤を使用した水系懸濁重合で得られるアクリロニ
トリル系アクリロニトリル系重合体溶液から不純物とし
ての無機電解質又はそのイオンを除去精製するイオン交
換精製方法にある。
【0014】好ましくは、前記多孔板が2枚以上であ
り、隣合う多孔板間のイオン交換能をもつ物質が充填さ
れる貫通孔位置を全体として各多孔板ごとにずらして装
着してなり、各多孔板の上下両面に前記イオン交換能を
もつ物質より細かい網目をもつ金網のような多孔シート
材を添設する。
【0015】前記無機系レドックス開始剤を使用した水
系懸濁重合で得られるアクリロニトリル系重合体と該重
合体の有機溶剤とからなる溶液(ドープ溶液)は、紡糸
するに適当な該アクリロニトリル系重合体濃度とするた
めに、その粘度の数100倍の粘度となる。従って、こ
のような高粘度の溶液から、不純物である無機電解質の
ような低分子化合物を効率的に除去することが、本発明
の最大の目的となる。
【0016】以下、本発明を作用と共に詳細に説明す
る。無機系レドックス開始剤としては、過硫酸アンモニ
ウム、過硫酸カリウムなどの通常使用される無機系過酸
化物が挙げられる。重合助剤として使用する還元剤とし
て、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸水
素ナトリウム、亜硫酸水素アンモニウム、チオ硫酸ナト
リウム、同アンモニウム、亜ニチオン酸ナトリウム、ナ
トリウムホルムアルデヒドスルフォキシレート、L−ア
スコルビン酸、デキストローズ等が代表的なものであ
り、硫酸第一鉄又は硫酸銅などの化合物も組み合わせて
使用できる。その中で、亜硫酸アンモニウム−亜硫酸水
素ナトリウム(アンモニウム)−硫酸第一鉄の組み合わ
せが好ましい。
【0017】本発明に用いられるアクリロニトリル系重
合体は、アクリロニトリル単量体から得られるもの又は
該単量体と共重合可能なモノオレフィン性単量体とから
得られるものである。ここでアクリロニトリル系重合体
には、少なくとも60重量%のアクリロニトリル単量体
から構成される必要がある。アクリロニトリル単量体の
含有量が60重量%未満であると、アクリロニトリル系
合成繊維が本来有する繊維機能を保有することができな
いためである。ここで共重合可能なモノオレフィン性単
量体としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタ
コン酸、アクリルアミド、酢酸ビニル、スチレン、塩化
ビニル、塩化ビニリデン、無水マレイン酸、N−置換マ
レインイミド、ブタジエン、イソプレン等を挙げること
ができる。
【0018】本発明に用いられる有機溶剤は、該アクリ
ロニトリル系重合体を溶解する溶媒であることが必要で
ある。その中でジメチルホルムアミド、ジメチルアセト
アミド、ジメチルスルフォキシドが好ましい。水系懸濁
重合で得られたアクリロニトリル系重合体5〜35重量
%、該アクリロニトリル系重合体を溶解し得る上記有機
溶媒95〜65重量%からなるドープ溶液とすることが
好ましい。アクリロニトリル系重合体5〜35重量%と
したのは、5重量%未満では、前記重合体の濃度が低過
ぎるために満足なアクリル繊維の紡糸性を確保できない
ためである。また、35重量%を超える場合は、該重合
体溶液の粘度が高くなりすぎ、同紡糸性を確保できない
ためである。
【0019】上記有機溶剤に溶解しないイオン交換能あ
る物質としては、架橋型イオン交換樹脂、架橋型イオン
交換繊維等が挙げられるが、その中で、ジビニルベンゼ
ン−スチレンからなる架橋型イオン交換樹脂が一般的で
あり好ましい。上記アクリロニトリル系重合体が有機溶
媒に溶解したドープ溶液の状態で、同重合体の不純物を
架橋型イオン交換樹脂により精製除去するためには、イ
オン交換樹脂が有機溶媒と親和性ある必要があり、また
上記有機溶媒に溶解しないためには架橋樹脂でなくては
ならない。
【0020】イオン交換能を有する官能基としてはスル
フォン酸基を挙げることができ、イオン交換能を有する
樹脂としてスルフォン酸基を保有する強陽イオン交換樹
脂が挙げられる。イオン交換により精製されるイオン種
が、陽イオン種、陰イオン種双方ある場合、スルフォン
酸基を保有する強陽イオン交換樹脂と第4級アミノ基を
保有する強陰イオン交換樹脂とからなるイオン交換樹脂
との双方を使用することができる。重金属を捕捉するに
は、イミノジ酢酸型、ポリアミン型からなるキレート樹
脂が挙げられる。更に、以上の他にもメタクリル酸、ア
クリル酸からなる弱陽イオン交換樹脂、及び第1、2、
3級アミン型からなる弱陰イオン交換樹脂等が挙げられ
る。また、前記弱陽イオン樹脂と弱陰イオン交換樹脂の
双方を同時に使用することもできる。
【0021】その中で、スルフォン酸基を保有する強陽
イオン交換樹脂、又はスルフォン酸基を保有する強陽イ
オン交換樹脂と第4級アミノ基を保有する強陰イオン交
換樹脂との双方使用のいずれかが特に好ましい。
【0022】本発明に用いられる前記イオン交換樹脂
は、アクリロニトリル系重合体溶液100重量%に対し
て、0.01〜100重量%を使用するのが好ましい。
0.01重量%未満の場合は、イオン交換能力の低下が
著しく実用的でなくなる。100重量%を超える場合
は、経済的に不利なこと、並びにイオン交換樹脂の回収
に必要以上の手間を要することから実際的ではない。
【0023】上記アクリロニトリル系重合体溶液のイオ
ン交換樹脂による精製は、好ましくは30〜150℃の
温度範囲で実施される。30℃未満では、該アクリロニ
トリル系重合体溶液の粘度が上昇し、流動性に劣り、実
質的にイオン交換反応が進行しにくくなる。また、15
0℃を超える場合、使用するイオン交換樹脂自体の耐熱
安定性が不足し、長時間の使用が実際上不可能となる。
【0024】そして、本発明の重合体溶液のイオン交換
樹脂による精製にあたっては、少なくとも2個以上の孔
数を保有する多孔板の少なくとも1個以上の孔にイオン
交換能ある物質を充填してなる多孔板の少なくとも一枚
以上を所定の間隔をおいて並設し、各多孔板に前記アク
リロニトリル系重合体溶液を通過させることにより、同
アクリロニトリル系重合体溶液から不純物としての無機
電解質又はそのイオンを精製除去する。並設される各多
孔板間において、イオン交換能ある物質が充填された孔
の位置を互いにずらして設置することが好ましい。 上
述のごとくして一枚以上の多孔板間を通過するドープ溶
液は、2ケ以上ある孔のうち部分的にイオン交換能ある
物質を充填した多孔板に衝突しながら、イオン交換能あ
る物質の表面に接触し、同物質の充填されていない孔を
通り抜けて、次に配列された多孔板に衝突しながらイオ
ン交換能ある物質の表面に接触することを繰り返す。こ
のような流動が一枚以上の多孔板間でなされて、ドープ
溶液に存在する不純物である無機電解質はイオン交換さ
れて精製除去される。この場合、上記多孔板の枚数が多
いほどイオン交換の効率が向上し、またその間隔が狭い
ほどドープ溶液の流速が大となり、効率良くイオン交換
がなされる。しかし、多孔板の枚数を多くし、同時にそ
の間隔を狭くすると、圧力損失が大となり工業設備とし
て適当なものでなくなる。
【0025】本発明の方法により、無機系レドックス開
始剤を使用して得られたアクリロニトリル重合体と溶媒
からなるドープ溶液を上述のようにしてイオン交換精製
した後に、湿式、半乾式又は乾式法により紡糸して製造
されるアクリロニトリル系繊維には、不純物としての無
機電解質である鉄化合物又はそのイオンが0〜3pp
m、好ましい場合は0〜1ppm、アルミニウム化合物
又はそのイオンが0〜10ppm、好ましい場合は0〜
5ppmが混入しているに過ぎない。
【0026】ここで、鉄化合物又はそのイオン、アルミ
ニウム化合物又はそのイオンの混入量を挙げたのは、本
発明に規定している水系懸濁重合で使用する重合開始所
剤として硫酸第一鉄を使用すること、また水系懸濁連続
重合反応で反応釜としてアルミニウム容器を使用し、且
つ反応系が酸性水溶液であるために該アルミニウム釜が
腐食溶解することにより、精製するアクリロニトリル系
重合体中には不純物として少なくとも上記金属又はそれ
らのイオンが存在するがためである。
【0027】
【実施例】以下、本発明のドープ溶液精製装置及び方法
を添付図面に基づいてを具体的に説明する。図1〜図3
は本発明の代表的な実施例装置の概略構成を示してい
る。なお、図4〜図6は本発明の比較例に用いるドープ
溶液精製装置の概略構成を示している。
【0028】まず、本発明の実施例装置について図1〜
図3を参照しながら説明する。図1は本発明のドープ溶
液精製装置の内部構造を示す縦断面図、図2は同精製装
置に適用される多孔板の一例を示す平面図、図3は同多
孔板の断面図である。
【0029】図1〜図3において、符号1は内部にドー
プ溶液を通すためのケーシングであり、本実施例におい
て同ケーシング1は有底円筒状の本体1aと円形蓋1b
からなり、両者はボルト2により一体化される。前記有
底円筒状の本体1a及び円形蓋1bの中心部にはドープ
溶液の導入口1a′と導出口1b′が形成され、また同
ドープ溶液の導入口1a′及び導出口1b′と、その周
辺並びに前記本体1aの側壁部1a−1には、加熱流体
が流通させるためのジャケット1cが形成されている。
該ジャケット1cには、ケーシング1の内部温度を30
℃〜150℃に制御し得る加熱流体が通される。かかる
構造をもつケーシング1の内部には、本発明の特徴部分
をなす複数枚(本実施例では5枚)の多孔板3が、ケー
シング1と同芯上に等間隔をおいて装着されている。図
示例によれば、前記多孔板3は図2及び図3に示すごと
く全体が円板状をなし、周縁に複数のボルト孔4を有す
ると共にその中央部には多数の貫通孔5が規則的な配列
の下に形成されている。そして、これらの貫通孔5のう
ちの一部の貫通孔5には上述のイオン交換樹脂6が充填
される。この充填の対象となる貫通孔5は特定の貫通孔
5ではなく任意の貫通孔5でよいが、ケーシング1の内
部に複数枚の多孔板3を配設する場合は、隣合う多孔板
3の間において出来るかぎりイオン交換樹脂6の充填さ
れた貫通孔5同士が対向しないようにさせることが好ま
しい。図1の例によれば、上方から第1段目、第3段目
及び第5段目の多孔板3は中央部分の貫通孔5にイオン
交換樹脂6を充填した同一構造とし、第2段目及び第4
段目の多孔板3は周辺部分の貫通孔5にイオン交換樹脂
6を充填した構造としている。
【0030】これらの多孔板3は、図1に示すごとく上
下にリング状の押え板7,8を配して、その間にそれぞ
れパッキング9を介して多段に積み重ねられ、その周辺
でボルト10によりケーシング1の内部に固着される。
このとき、各多孔板3の上下両面には図3に示すごとく
イオン交換樹脂6の粒度より小さいメッシュをもつ金網
等からなる多孔シート材11が添設され、貫通孔5に充
填されたイオン交換樹脂6が脱落しないようにしてい
る。
【0031】次に、上記実施例装置を使用した本発明の
ドープ液精製方法の実施例を、比較例と共に具体的に説
明する。なお、以下の記載中、部及び%は重量部及び重
量%を示す。
【0032】(実施例1)容量80Lの攪拌付き重合反
応釜(容器はアルミニウム製、攪拌翼はアルミニウム被
覆タービン型)にイオン交換水(PH3に設定)を35
L仕込み、アクリロニトリル98.5部、メタクリル酸
1.5部、過硫酸アンモニウム1.5部、亜硫酸水素ア
ンモニウム4.5部、硫酸第一鉄(FeSO4 ・7H2
O)0.00005部、硫酸0.085部になるよう
に、それぞれイオン交換水に溶解し連続的に供給を開始
した。同時にイオン交換水の全量が400部になるよう
にイオン交換水を別途供給した。重合温度を60℃に保
ち、十分な攪拌を行い、平均滞在時間80分として連続
的に原料を供給し重合反応させた。
【0033】反応器の溢流口より連続的に重合体水系分
散液を取り出し、これにシュウ酸アンモニウム0.5
部、重炭酸アンモニウム1.5部を100部のイオン交
換水に溶解した重合停止剤水溶液を0.2部の速度で更
に加え、更にイオン交換水を加えた後、回転式濾過機で
未反応単量体、余剰の重合助剤の残渣を洗浄除去した。
【0034】得られた湿潤重合体をスクリュー式押出機
によりペレット状に成形した後、通気乾燥機で乾燥し、
表1に示すアクリロニトリル系重合体を得た。
【0035】乾燥した上記アクリロニトリル系重合体2
2部をジメチルフォルムアミド78部に溶解して重合体
溶液(ドープ溶液)とした。図1に示したドープ溶液精
製装置に連続的に前記ドープ溶液を供給した。ここで、
ドープ溶液精製装置に使用したイオン交換樹脂はスルフ
ォン酸基を保有する強イオン交換樹脂(ダイヤイオンP
K228LH 三菱化成(株)製)である。ドープ溶液
精製装置内に設置する多孔板は、283個の直径3m
m、厚さ5mmの孔が等間隔に規則的に配列して形成さ
れた円板であり、その同じ多孔板を5mm間隔に5枚重
ねて装着した。ドープ溶液流入側は、多孔板の約70%
(200個)にあたる中央部分の貫通孔にイオン交換樹
脂を充填し、残り外周部の約30%貫通孔はそのまま空
孔とした多孔板を装着した。下から2段目の多孔板は、
前記第1段の多孔板と対照的に、多孔板の約70%(2
00個)にあたる外周部分の貫通孔にイオン交換樹脂を
充填し、残り中央部の約30%はそのまま空孔とした。
そして、これらの多孔板のそれぞれ上下両面にはイオン
交換樹脂が脱落しないように100メッシュのステンレ
ス製金網を添設した。
【0036】この2種類の多孔板を交互に装着してドー
プ溶液精製装置とした。なお、ここに充填するイオン交
換樹脂は、スルフォン酸型にした後、十分に水で洗浄
後、乾燥して、ジメチルフォルムアミドにより浸漬膨潤
したもので、1枚の多孔板当たり10gを充填した。ド
ープ溶液の導入口回り及び導出口回りのジャケット部及
びケーシング内のジャケット部には60℃の温水を流し
て内部を流れるドープ溶液を加熱した。このドープ溶液
精製装置に、連続的に上記ドープ溶液を250g/分の
速度で供給した後、100ホール、0.13mmφの口金
を通して、55%のジメチルフォルムアミド水溶液(3
0℃)で、乾湿式紡糸法(液面空間距離5mm)により紡
糸し、5倍延伸後に115℃で熱セットを行い、1.5
デニールの表1に示すアクリル繊維を得た。この紡糸に
おける定常運転時のドープ溶液精製装置にかかる圧力損
失は2.0kg/cm2Gであった。イオン交換性は良好であ
り、ドープ中のアルミニウムイオン、鉄イオンを十分に
除去できた。また、使用したイオン交換樹脂量に対し1
5000倍のドープのイオン交換が可能であった。
【0037】(比較例1)実施例1と同様の方法でアク
リロニトリル系重合体を製造し、図4〜図6に示すよう
なドープ溶液精製装置にドープ溶液を供給した後、実施
例と同様の方法で紡糸した。ドープ溶液精製装置内に設
置するイオン交換樹脂を充填した多孔板3は、上記実施
例1と同様に直径3mm、厚さ5mmの孔283個を等間隔
に規則的に形成したものである。この多孔板3を一枚を
使用して、多孔板3の孔の全てにイオン交換樹脂6を充
填し、多孔板3の上下両面にはイオン交換樹脂6が脱落
しないように100メッシュのステンレス製金網を添設
した。この多孔板3をケーシング1内に一枚装着してド
ープ溶液精製装置とした。この比較例においても、上記
実施例1と同様に強イオン交換樹脂(ダイヤイオンPK
228LH 三菱化成(株)製)を使用した。なお、こ
こに充填するイオン交換樹脂は、スルフォン酸型にした
後、十分水洗浄後乾燥してジメチルフォルムアミドで浸
漬膨潤したもので、多孔板当たり10gを充填した。こ
のドープ溶液精製装置に、連続的に上記ドープ液を25
0g/分の速度で供給した後、100ホール、0.13
mmφの口金を通して、55%のジメチルフォルムアミド
水溶液(30℃)に、半乾式紡糸法(液面空間距離5m
m)により紡糸した。この紡糸運転中のドープ溶液精製
装置にかかる圧力損失は急激に上昇し、実質的は紡糸直
後に紡糸が不能となった。
【0038】
【表1】
【0039】
【発明の効果】以上詳細に説明したごとく、本発明のア
クリロニトリル系重合体のイオン交換精製装置及び方法
によれば、装置の構造が簡単であるにも関わらず、前記
重合体に混入されている不純物としての無機電解質やそ
のイオンが効率的に且つ十分に除去され、高品質の最終
製品たるアクリル繊維或いは同繊維を焼成して得られる
炭素繊維が製造可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明装置の代表的な実施例を示す縦断面図で
ある。
【図2】同装置に適用される多孔板の一例を示す平面図
である。
【図3】同他孔板の断面図である。
【図4】本発明と比較するために用いた比較例装置の縦
断面図である。
【図5】同装置に適用される多孔板の一例を示す平面図
である。
【図6】同他孔板の縦断面図である。
【符号の説明】
1 ケーシング 1a 本体 1a′ 導入口 1b′ 導出口 1b 円形蓋 1c ジャケット 1a−1 側壁部 2 ボルト 3 多孔板 4 ボルト孔 5 貫通孔 6 イオン交換樹脂 7,8 押え板 9 パッキング 10 ボルト 11 多孔シート材
フロントページの続き (72)発明者 池田 勝彦 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイ ヨン株式会社大竹事業所内 (72)発明者 真鍋 由雄 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイ ヨン株式会社大竹事業所内 (56)参考文献 特開 平5−39313(JP,A) 特開 平3−210304(JP,A) 特開 昭63−286405(JP,A) 特開 昭56−159317(JP,A) 特開 平5−237399(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 6/00 - 6/28 C08F 20/44

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合体溶液の導入口及び導出口を有する
    密閉ケーシングと、同ケーシング内に所定の間隔をおい
    て装着される一枚以上の多孔板とを備え、前記多孔板は
    2個以上の貫通孔をもち、且つ1個以上の貫通孔にはイ
    オン交換能をもつ物質が充填されてなることを特徴とす
    るイオン交換精製装置。
  2. 【請求項2】 前記多孔板が2枚以上であり、隣合う多
    孔板間においてイオン交換能をもつ物質が充填される貫
    通孔位置を全体として各多孔板ごとにずらして装着して
    なる請求項1記載のイオン交換精製装置。
  3. 【請求項3】 イオン交換能をもつ物質が中央部の貫通
    孔にのみ充填された多孔板と周辺部の貫通孔にのみ充填
    された多孔板が交互に配設されてなる請求項1記載のイ
    オン交換精製装置。
  4. 【請求項4】 前記多孔板の上下両面に多孔シート材を
    添設してなる請求項2又は3記載のイオン交換精製装
    置。
  5. 【請求項5】 無機系レドックス開始剤を使用した水系
    懸濁重合で得られるアクリロニトリル系重合体と該重合
    体を溶解する有機溶剤とからなる溶液を、請求項1記載
    のイオン交換精製装置に通して、同アクリロニトリル系
    重合体溶液から不純物としての無機電解質又はそのイオ
    ンを除去精製することを特徴とする重合体溶液のイオン
    交換精製方法。
  6. 【請求項6】 前記イオン交換精製装置の管部材内部温
    度が30〜150℃である請求項5記載のイオン交換精
    製方法。
JP24658492A 1992-09-16 1992-09-16 イオン交換精製装置と重合体溶液の精製方法 Expired - Fee Related JP3244538B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24658492A JP3244538B2 (ja) 1992-09-16 1992-09-16 イオン交換精製装置と重合体溶液の精製方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24658492A JP3244538B2 (ja) 1992-09-16 1992-09-16 イオン交換精製装置と重合体溶液の精製方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06100617A JPH06100617A (ja) 1994-04-12
JP3244538B2 true JP3244538B2 (ja) 2002-01-07

Family

ID=17150593

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP24658492A Expired - Fee Related JP3244538B2 (ja) 1992-09-16 1992-09-16 イオン交換精製装置と重合体溶液の精製方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3244538B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100837426B1 (ko) * 2006-01-20 2008-06-12 주식회사 엘지화학 중합체 정제 방법 및 정제된 중합체

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS56159317A (en) * 1980-04-14 1981-12-08 Hitco Removal of impurity of alkali metal and alkaline earth metal from oxidized polyacrilonitrile material
JPH0768298B2 (ja) * 1987-05-20 1995-07-26 日東紡績株式会社 カチオン性水溶性重合体の精製方法
US4985540A (en) * 1989-11-20 1991-01-15 Polysar Limited Process for removing rhodium-containing catalyst residue from hydrogenated nitrile rubber
JPH0539313A (ja) * 1991-05-24 1993-02-19 Toagosei Chem Ind Co Ltd 脱イオン方法
JPH05237399A (ja) * 1992-02-25 1993-09-17 Kobe Steel Ltd 高圧イオン交換分離装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06100617A (ja) 1994-04-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN1105793C (zh) 用于形成碳纤维的丙烯腈-基前体纤维、及其制备方法以及由该前体纤维得到的碳纤维
CN101165238A (zh) 聚丙烯腈基碳纤维原丝的制造方法
JP3244538B2 (ja) イオン交換精製装置と重合体溶液の精製方法
CN101392417A (zh) 采用联合法从纤维素纺丝中回收离子液体溶剂的方法
CN1265885C (zh) 单分散凝胶型阳离子交换剂的制备方法
JP3264384B2 (ja) 重合体溶液のイオン交換精製装置及びその精製方法
JP3244537B2 (ja) イオン交換精製装置及び重合体溶液の精製方法
JP3269860B2 (ja) イオン交換精製システムと重合体溶液の精製方法
CN110052177B (zh) 一种中空微球增强高通量聚丙烯腈过滤膜的制备方法
JPH07133318A (ja) アクリロニトリル系重合体溶液およびその製造方法
CN110605033B (zh) 一种耐温中空纤维超滤膜的制备方法、该耐温中空纤维超滤膜及其组件
KR100203222B1 (ko) 폴리아크릴로니트릴의 정제방법
KR20210016432A (ko) 탄소 섬유 제조용 중합체 및 이로부터 제조된 탄소 섬유
JP3041655B2 (ja) アクリロニトリル系繊維及びその製造方法
JPS6226332B2 (ja)
US3002956A (en) Polymerization process
US3174954A (en) Process for producing acrylonitrile polymers using catalyst systems of hydroxylamine-n-sulfonates and tetravalent sulfur containing compounds
JPH07118330A (ja) アクリロニトリル系重合体溶液の精製方法
JP3073580B2 (ja) アクリロニトリル系炭素繊維及びその製造方法
CN101543795B (zh) 具吸附功能的离子交换材料与使用该材料过滤重金属离子的方法
CN105948294B (zh) 一种基于纳米复合载体阻滞法的废酸资源化处理工艺
JPH01234428A (ja) カチオン交換繊維
CN1039337C (zh) 聚丙烯腈系纤维的制造方法
EP0372622A2 (en) Acrylic precursor for carbon fibres and method for its preparation
JPH05295614A (ja) アクリロニトリル系繊維の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081026

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091026

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091026

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101026

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees