JPH07118330A - アクリロニトリル系重合体溶液の精製方法 - Google Patents

アクリロニトリル系重合体溶液の精製方法

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JPH07118330A
JPH07118330A JP26747893A JP26747893A JPH07118330A JP H07118330 A JPH07118330 A JP H07118330A JP 26747893 A JP26747893 A JP 26747893A JP 26747893 A JP26747893 A JP 26747893A JP H07118330 A JPH07118330 A JP H07118330A
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acrylonitrile
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soln
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JP26747893A
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Toshihiro Makishima
俊裕 槙嶋
Koji Nishida
耕二 西田
Katsuhiko Ikeda
勝彦 池田
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】水系懸濁重合法で製造したアクリロニトリル系
重合体からなる重合体溶液より不純物たる電解質と溶存
気体を効率良く除去する方法を提供する。 【構成】アルミニウム製重合釜中で鉄含有無機系レドッ
クス開始剤を使用してアクリロニトリルを主成分とする
単量体を水系懸濁重合させてアクリロニトリル系重合体
を製造し、次いでこの重合体を溶媒に溶解させた重合体
溶液をイオン交換性物質と接触させて鉄化合物もしくは
そのイオン及びアルミニウム化合物もしくはそのイオン
を除去し、引き続いて、溶存気体を除去することからな
るアクリロニトリル系重合体溶液の精製方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アクリロニトリル系重
合体溶液の精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アクリル繊維は、羊毛に似た優れた嵩高
性、風合、染色鮮明性等の性質を有し、広範囲の用途に
利用されている。このアクリル繊維は、原料となるアク
リロニトリル系重合体を有機溶媒、又は無機溶媒に溶解
する溶解工程を経て、湿式方法、乾式方法又は乾湿式方
法などの紡糸方法で紡糸し、ステ−プル又はフィラメン
トとして製品化されている。原料のアクリロニトリル系
重合体は、アクリロニトリル単量体及びそれと共重合可
能な単量体をラジカル重合反応により製造するのが一般
的である(繊維総合研究所発行「繊維ハンドブック、1
991年度版」)。
【0003】水系での不均一重合である懸濁重合方式
は、歴史も古くかつ広く採用されているアクリロニトリ
ル系重合体の製造方法であり、重合体の品質の管理が容
易なこと、未反応単量体の回収が容易なこと及び工程全
体の管理が容易なこと等の長所がある(丸善株式会社発
行、繊維学会編「繊維便覧 原料編」)。
【0004】懸濁重合においてはアクリロニトリル単量
体を主成分とする単量体を硫酸等の酸性水中に懸濁分散
させ重合開始剤を用いて重合反応させる。反応により数
+ミクロン程度の大きさの重合体の粒子が形成され、水
性分散液の状態でアクリロニトリル系重合体を得ること
が出来る。そして重合停止剤を添加して重合を終了させ
た後、重合体の水性分散液を濾別、洗浄及び乾燥するこ
とによりアクリロニトリル系重合体が得られる。
【0005】重合開始剤としては重合安定性の点から鉄
を含有する無機系レドックス開始剤(例えば、過硫酸ア
ンモニウム−亜硫酸水素アンモニウム−硫酸第一鉄の組
合せ)が提案され使用されている。
【0006】また、重合釜としてステンレス製やグラス
ライニング製のものを使用すると、アクリロニトリル系
重合体が重合釜に付着し、実質的に連続重合が不可能と
なるために、重合釜としてはアルミニウム製のものが提
案され使用されている。即ち、反応系内は酸性水溶液と
なっているために、重合釜としてアルミニウム製を使用
した場合はアルミニウム表面が腐食溶解し、これにより
スケ−ル生成が阻止されると言われている。
【0007】また、重合停止剤としては、反応系の酸性
水溶液の中和機能を考慮して、シュウ酸ナトリウム、エ
チレンジアミンテトラアセテ−トナトリウム塩、重炭酸
ナトリウム等の電解質水溶液が使用されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このようにして得られ
るアクリロニトリル系重合体の粒子には、重合開始剤、
重合反応容器、重合停止剤に由来する電解質が混入して
いる。そしてこのような重合系ではアクリロニトリル系
重合体末端がイオン化しており、不純物である電解質が
対イオンとなって重合体に結合している。従って、重合
体粒子を水で洗浄し電解質を除去することが必要になる
が、重合体粒子の表面の洗浄は可能であっても、重合体
内部に補足された電解質の除去は困難であった。
【0009】即ち、従来の水系懸濁重合によるアクリロ
ニトリル系重合体の製造においては、洗浄が不十分な状
態のまま重合体は次の乾燥工程へ移されていた。そして
この重合体を溶媒に溶解して重合体溶液とし、これを湿
式紡糸又は半乾湿式紡糸して繊維を製造していたため、
電解質に起因する種々の問題があった。
【0010】例えば、紡糸に使用する重合体溶液を、約
100℃で長時間加熱、保持すると黄着色が顕著とな
り、重合体溶液自体がゲル化して流動性が低下した。そ
してこれが原因となって、安定した紡糸が確保出来ず、
糸切れ現象が生じた。また、製造されるアクリロニトリ
ル繊維自体にも黄着色化現象が生じ、繊維の品質が低下
した。
【0011】そこで、例えば特開平05−202115
号公報には、イオン交換樹脂によって電解質を除去する
ことによって重合体溶液の熱安定性が向上し、紡糸時の
糸切れが減少することが開示されている。しかしなが
ら、電解質の除去のみでは、実際に工業レベルでの操作
性を確保するには不十分であった。
【0012】本発明の目的は、このような水系懸濁重合
方式が有する問題点を解決し、アクリル繊維の製造に適
したアクリロニトリル系重合体溶液を提供することにあ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは糸切れを極
力少なくするするために鋭意検討を進め、本発明に到達
した。すなわち、本発明の要旨は、アルミニウム製重合
釜中で鉄含有無機系レドックス開始剤を使用してアクリ
ロニトリルを主成分とする単量体を水系懸濁重合させて
アクリロニトリル系重合体を製造し、次いでこの重合体
を溶媒に溶解させた重合体溶液をイオン交換性物質と接
触させて鉄化合物もしくはそのイオン及びアルミニウム
化合物もしくはそのイオンを除去し、かつ大気圧以下の
圧力で該重合体溶液に含有されている溶存気体を実質的
に除去することからなるアクリロニトリル系重合体溶液
の精製方法にある。
【0014】以下本発明を詳細に説明する。本発明は、
鉄含有無機系レドックス開始剤を使用して水系懸濁重合
で得られるアクリロニトリル系重合体を対象とするもの
である。
【0015】無機系レドックス開始剤としては、通常の
酸化剤、還元剤の中から選ぶことができる。代表的な酸
化剤としては過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過
硫酸ナトリウム等が挙げられる。また、還元剤としては
亜硫酸ナトリウム、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸水素ナ
トリウム、亜硫酸水素アンモニウム、チオ硫酸ナトリウ
ム、チオ硫酸アンモニウム、亜二チオン酸ナトリウム、
ナトリウムホルムアルデヒドスルフォキシレ−ト、L−
アルコルビン酸、デキストロ−ズ等が挙げられる。ま
た、酸化還元系の助剤として硫酸第一鉄等が使用され
る。その中で、過硫酸アンモニウム−亜硫酸水素ナトリ
ウム(アンモニウム)−硫酸第一鉄の組合せが好まし
い。還元剤/酸化剤の比率はどんな割合でも可能である
が重合をより効率よく進める上で還元剤/酸化剤の当量
比を1〜4にすることが好ましい。
【0016】本発明に用いられるアクリロニトリル系重
合体は、アクリロニトリル単量体から得られるもの又は
該単量体と共重合可能なモノオレフィン性単量体とから
得られるものである。ここでアクリロニトリル系重合体
中には、少なくとも60重量%のアクリロニトリル単量
体成分が含有されていることが好ましい。アクリロニト
リル単量体の含有量が60重量%未満であると、アクリ
ロニトリル系合成繊維が本来有する繊維機能を保有する
ことができないためである。ここで共重合可能なモノオ
レフィン性単量体としては、例えばアクリル酸、メタク
リル酸及びそれらのエステル、アクリルアミド、酢酸ビ
ニル、スチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、無水マ
レイン酸、N−置換マレインイミド、ブタジエン、イソ
プレン等を挙げることができる。また、P−スルフォニ
ルメタリルエ−テル、メタリルスルフォン酸、アリルス
ルフォン酸、スチレンスルフォン酸、2−アクリルアミ
ド−2−メチルプロパンスルフォン酸、2−スルフォエ
チルメタクリレ−ト及びこれらの塩も共重合可能な単量
体として使用できる。
【0017】アクリロニトリル系単量体の重合は、次の
ようにして行う。すなわち、重合反応温度は30〜80
℃にすることが好ましい。重合温度が80℃を超えると
アクリロニトリルが蒸発し、反応系外へ離散し、重合転
化率が低下する。また30℃未満では重合速度が低下
し、生産性が低下するばかりでなく、重合安定性を損な
う。重合媒体としての水はイオン交換水を使用すること
が好ましい。さらに単量体に対するイオン交換水の割合
(以下、水/単量体比という)は如何なる比率でも可能
であるが、好ましくは水/単量体比1.0〜5.0の範
囲である。重合反応釜内での単量体の平均滞在時間は、
アクリロニトリル系重合体を水系懸濁重合方式で製造す
る際に採用される通常の時間でよい。重合反応釜内での
水素イオン濃度は使用される触媒がすみやかに酸化・還
元反応を起こす範囲であればよく、好ましくはpH2.
0〜3.5の酸性領域がよい。
【0018】重合釜から取り出した重合体水溶液に、重
合停止剤を添加し反応を停止させる。重合反応の停止剤
は通常アクリロニトリル系重合体を水系懸濁重合で製造
する際使用されるものであれば問題はない。重合停止剤
を添加した後、重合体水溶液から未反応単量体の回収を
行う。未反応単量体の回収方法としては重合体水溶液を
直接蒸留する方法、また一旦脱水し未反応単量体を重合
体と分離した後蒸留する方法があるが両方式とも採用が
可能である。後者における脱水洗浄機としては通常公知
の濾過脱水機である回転式真空濾過器、遠心脱水機等が
使用される。これらの装置を用いて重合体水溶液から重
合体を分離するにあたり、より効率よく行うために硫酸
アンモニウム、硫酸アルミニウム、硫酸ナトリウム等の
凝集剤を添加したり、重合体の凝集を促進する意味で重
合体水溶液を昇温する等の操作を行うこともできる。重
合体中に残った水分は通常の乾燥方式によって取り除か
れる。
【0019】上記のごとくして得られたアクリロニトリ
ル系重合体を溶媒に溶解する。溶媒としては、ジメチル
ホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルフ
ォキシド等が挙げられる。溶液濃度は限定されないが、
アクリロニトリル系重合体5〜35重量%と溶媒95〜
65重量%とからなる溶液にするのが好ましい。重合体
の量が5重量%未満では、該重合体の濃度が低過ぎるた
めに満足な紡糸性を確保できず、また35重量%を超え
る場合には、該重合体溶液の粘度が高くなりすぎ、紡糸
性を確保できないためである。
【0020】本発明においては、鉄化合物もしくはその
イオン及びアルミニウム化合物もしくはそのイオンが除
去対象とされているが、これは重合の際に鉄を含む無機
系レドックス開始剤を使用すること、また酸性水溶液中
等でアルミニウム製反応釜を使用しアルミニウムが腐食
溶解することによるものである。即ち、生成したアクリ
ロニトリル系重合体及びこれを溶媒に溶解した重合体溶
液中には不純物として前記の金属又はそれらのイオンが
存在するからである。
【0021】重合体溶液中のこれらの不純物はイオン交
換性物質を用いて除去、精製される。精製後の重合体中
の鉄化合物もしくはそのイオンは3ppm以下であるこ
とが好ましく1ppm以下であることがより好ましい。
また、アルミニウム化合物もしくはそのイオンは10p
pm以下であることが好ましく、5ppm以下であるこ
とがより好ましい。
【0022】不純物としての鉄化合物又はそのイオンが
3ppmを超え、アルミニウム化合物又はそのイオンが
10ppmを超えると、重合体溶液の熱安定性が低下す
る原因となる。そして重合体溶液の熱安定性の低下は、
前述したようにアクリル繊維の製造工程に種々の悪影響
を及ぼし、またアクリル繊維の品質に多大の悪影響を及
ぼすことによる。
【0023】イオン交換性物質としては有機溶媒に溶解
しない架橋型イオン交換樹脂、又は架橋型イオン交換繊
維等が挙げられるが、その中で、ジビニルベンゼン−ス
チレンからなる架橋型イオン交換樹脂が一般的であり好
ましい。アクリロニトリル系重合体を有機溶媒に溶解し
た重合体溶液の状態にして、該重合体中から不純物を架
橋型イオン交換樹脂により精製除去するためには、イオ
ン交換樹脂は有機溶媒と親和性が必要であり、また該有
機溶媒に溶解しないものであることが必要である。
【0024】イオン交換能を有する官能基としては、ス
ルフォン酸基を有する強陽イオン交換樹脂が挙げられ
る。イオン交換により精製されるイオン種が、陽イオン
種、陰イオン種双方の場合には、スルフォン酸基を有す
る強陽イオン交換樹脂と第4級アンモニウム基を有する
強陰イオン交換樹脂の双方を使用する。重金属を捕捉す
るには、イミノジ酢酸型、ポリアミン型からなるキレ−
ト樹脂が挙げられる。さらにメタクリル酸、アクリル酸
からなる弱陽イオン交換樹脂、及び第1、2、3級アミ
ン型からなる弱陰イオン交換樹脂等があげられる。また
該弱陽イオン交換樹脂と該弱陰イオン交換樹脂の双方を
使用することができる。その中で、スルフォン酸基を有
する強陽イオン交換樹脂、或いはスルフォン酸基を有す
る強陽イオン交換樹脂と第4級アンモニウム基を有する
強陰イオン交換樹脂との双方使用が特に好ましい。
【0025】イオン交換樹脂は、重合体溶液100重量
%に対して、0.01〜100重量%使用するのが好ま
しい。0.01重量%未満の場合には、イオン交換能力
の低下が著しく、実用的でなくなる。100重量%を超
える場合は、経済的に不利なこと、イオン交換樹脂の回
収に必要以上の手間を要することから実際的ではない。
【0026】重合体溶液をイオン交換樹脂により精製す
るには、管型反応器又は槽型反応器のどちらを使用して
もよい。管型反応器内にイオン交換樹脂を充填して、そ
の中に重合体溶液を連続的に供給して、接触させながら
通過させて精製するのが現実的である。重合体溶液のイ
オン交換樹脂による精製は、15〜150℃の温度範囲
で実施される。15℃未満では、重合体溶液の粘度が上
昇し、流動性に劣り実質的にイオン交換反応が進行しに
くくなる。また、150℃を超える場合、使用するイオ
ン交換樹脂自体の熱安定性が不足し、実際、長期間使用
できない。
【0027】なお、水系懸濁重合によりアクリロニトリ
ル系重合体を製造する際、ガラス容器を使用し、重合助
剤として鉄化合物等の金属化合物を使用しない場合に
は、重合体中に、不純物としての鉄化合物又はそのイオ
ン、アルミニウム化合物又はそのイオンは実質的に存在
しない。しかし、実際にはこの方法で水系懸濁連続重合
を行うことは不可能であり、そのため実験室での検討に
留まるが、上記の方法で得た重合体溶液の熱安定性は良
好なものであった。
【0028】本発明においては、アクリロニトリル系重
合体溶液に含有されている溶存気体を除去する方法は特
に限定しないが、例えば、減圧したタンク中に注入する
方法、2軸押出機、連続式ニーダー等が挙げられる。ま
た、減圧時のアクリロニトリル系重合体溶液溶液の温度
は、溶剤の蒸発を考慮した値に設定することが肝要であ
る。これは減圧下沸点換算図表(例えば、溶剤ハンドブ
ック:講談社)を参照して設定することができる。アク
リロニトリル系重合体溶液中の重合体濃度が変化しない
ようにコンデンサーをとりつけることが重要である。
【0029】
【実施例】実施例において各物性は、以下の方法で測定
した。
【0030】(1)アンモニウムイオン量測定:重合体
溶液をメタノールで凝固洗浄後、水中で加熱して、アン
モニウムイオンを抽出し、比色法で測定した。
【0031】(2)鉄、アルミニウム、マグネシウム、
クロム、及びマンガン量測定:重合体溶液10gをPt
皿に秤量後、ホットプレート上で炭化する。600℃電
気炉中で灰化後、0.1規定塩酸2mlを加え、加熱溶
解後、50mlメスフラスコに定容し、ICP発光分析
法で各元素を定量した。
【0032】(3)重合体溶液の熱安定性:表示した重
合体濃度の重合体溶液を使用して、85℃のオイル浴中
で鋼球落下時間を測定して、溶液粘度を測定した。経時
変化も同様に実施した。
【0033】(4)溶存酸素量測定:重合体溶液を予め
溶存酸素量が既知の溶剤(ジメチルアセトアミド)に2
0重量%の濃度で溶解し、有機溶剤用用存酸素量測定装
置(セントラル科学(株)製UC−12−SOL型)で
測定し、その測定値と該溶剤の既知量との差から求め
た。
【0034】(5)糸切れ回数 表示した重合体溶液を使用して紡糸し、アクリル系繊維
を製造した。この工程中、糸切れしてロールに巻き付い
た工程トラブルの繊維1トン当たり発生回数を数えた。
(10トン分の平均値)
【0035】(6)繊維の熱着色の状態:上記(5)で
紡糸した繊維を170℃の乾燥器中で30分間処理し、
色調を目視で判定した。
【0036】実施例1 容量80lの撹拌付き重合反応釜(反応容器はアルミニ
ウム製ベッセル、撹拌翼はアルミニウム被覆タ−ビン
型)にイオン交換水(pH=3に設定)を35l仕込み
アクリロニトリル93.0部、酢酸ビニル7.0部、過
硫酸アンモニウム0.5部、亜硫酸水素アンモニウム
1.0部、硫酸第1鉄(FeSO4・7H20)0.00
005部、硫酸0.085部になるようにそれぞれイオ
ン交換水に溶解し連続的に供給を開始した。さらにイオ
ン交換水の全量が400部になるようにイオン交換水を
別途供給した。重合温度を55℃に保ち、充分な撹拌を
行い平均滞在時間80分として連続的に原料を供給し重
合反応した。
【0037】反応器溢流口より連続的に重合体水系分散
液を取り出し、これにシュウ酸アンモニウム0.5部、
重炭酸アンモニウム1.5部を100部のイオン交換水
に溶解した重合停止剤水溶液を重合体水系分散液に対し
て0.2%の速度で加え、更に重合体水系分散液に対し
て10倍量のイオン交換水を加えた後回転式真空濾過機
で未反応単量体、余剰の重合助剤の残渣を除去洗浄し
た。得られた湿潤重合体をスクリュ−式押出機によりペ
レット状に成形した後、通気乾燥機で乾燥し、比粘度が
0.200(0.5g/100mlジメチルホルムアミ
ド溶液、ウベローデ型粘度計(25℃))のアクリロニ
トリル系重合体を得た。
【0038】上記の乾燥した重合体23部をジメチルア
セトアミド77部に溶解して重合体溶液とした。スルフ
ォン酸基を有する強イオン交換樹脂〔ダイヤイオンPK
228LH三菱化成(株)製〕を充填したチューブ(直
径10mm、長さ300mm、本数10本、合計樹脂量
200g)を組み込んだ配管(直径2インチ)に該重合
体溶液を150g/分の流速で送液して、電解質を除去
した。次に200Torrに減圧した混練脱泡機(KR
Cニーダー:タイプS−2(株)栗本鐵工所)に連続し
て送液し、溶存気体を除去した。
【0039】このアクリロニトリル系重合体溶液を使用
して、アンモニウムイオン、鉄、アルミニウム、マグネ
シウム、クロム、及びマンガン量の測定、重合体溶液の
熱安定性、溶存酸素量測定を行った。結果を表1に示し
た。
【0040】次に上記のアクリロニトリル系重合体溶液
を使用して、孔径0.075mm、孔数40,000の
紡糸口金を通して、50重量%のジメチルアセトアミド
溶液(40℃)に湿式紡糸し、洗浄、延伸を施した後、
工程油剤を繊維重量に対し、0.5%付与し、更に乾燥
緻密化処理を施し、3.0dの繊維を得た。表1にこの
工程中に発生した、糸切れ回数を示した。
【0041】比較例1 実施例1と同様の操作で重合体を得、重合体23部をジ
メチルアセトアミド77部に溶解して重合体溶液とし
た。この際、実施例1に示した電解質の除去並びに溶存
気体の除去を行わなかった。ナトリウムイオン、アンモ
ニウムイオン、鉄、アルミニウム、マグネシウム、クロ
ム、及びマンガン量の測定、重合体溶液の熱安定性、溶
存酸素量測定を行い、結果を表1に示した。実施例1と
同様にして紡糸を行い、工程中に発生した、糸切れ回数
を測定した。
【0042】比較例2 実施例1と同様の操作で重合体を得、重合体23部をジ
メチルアセトアミド77部に溶解して重合体溶液とし
た。この際、実施例1に示した電解質の除去は行わず、
溶存気体の除去のみを行った。ナトリウムイオン、アン
モニウムイオン、鉄、アルミニウム、マグネシウム、ク
ロム、及びマンガン量の測定、重合体溶液の熱安定性、
溶存酸素量測定を行い、結果を表1に示した。実施例1
と同様にして紡糸を行い、工程中に発生した、糸切れ回
数を測定した。
【0043】比較例3 実施例1と同様の操作で重合体を得、重合体23部をジ
メチルアセトアミド77部に溶解して重合体溶液とし
た。この際、実施例1に示した電解質の除去のみを行
い、溶存気体の除去は行わなかった。ナトリウムイオ
ン、アンモニウムイオン、鉄、アルミニウム、マグネシ
ウム、クロム、及びマンガン量の測定、重合体溶液の熱
安定性、溶存酸素量測定を行い、結果を表1に示した。
実施例1と同様にして紡糸を行い、工程中に発生した、
糸切れ回数を測定した。
【0044】
【表1】
【0045】表1から明らかなように、本発明の製法で
得られるアクリロニトリル系重合体溶液は、電解質の除
去、溶存気体の除去を合わせて行うことで、重合体溶液
の熱安定性、糸切れ回数、繊維の熱着色の状態が大幅に
改善されていることがわかる。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、水系懸濁重合方式で製
造したアクリロニトリル系重合体の中に含まれる不純物
たる電解質、鉄化合物又はそのイオン及びアルミニウム
化合物又はそのイオン、並びに溶存気体を効率良く除去
することができ、熱安定性の良好なアクリロニトリル系
重合体溶液を調製することができる。そして、本発明に
よって得られるアクリロニトリル系重合体溶液からは、
熱安定性が良く、着色の少ない高品質のアクリル繊維を
糸切れを起こすことなく安定して製造することができ
る。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム製重合釜中で鉄含有無機系
    レドックス開始剤を使用してアクリロニトリルを主成分
    とする単量体を水系懸濁重合させてアクリロニトリル系
    重合体を製造し、次いでこの重合体を溶媒に溶解させた
    重合体溶液をイオン交換性物質と接触させて鉄化合物も
    しくはそのイオン及びアルミニウム化合物もしくはその
    イオンを実質的に除去し、かつ大気圧以下の圧力で該重
    合体溶液に含有されている溶存気体を実質的に除去する
    ことからなるアクリロニトリル系重合体溶液の精製方
    法。
JP26747893A 1993-10-26 1993-10-26 アクリロニトリル系重合体溶液の精製方法 Pending JPH07118330A (ja)

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JP26747893A Pending JPH07118330A (ja) 1993-10-26 1993-10-26 アクリロニトリル系重合体溶液の精製方法

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