JP3244293B2 - 四輪駆動車用駆動力伝達装置 - Google Patents
四輪駆動車用駆動力伝達装置Info
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- JP3244293B2 JP3244293B2 JP30462691A JP30462691A JP3244293B2 JP 3244293 B2 JP3244293 B2 JP 3244293B2 JP 30462691 A JP30462691 A JP 30462691A JP 30462691 A JP30462691 A JP 30462691A JP 3244293 B2 JP3244293 B2 JP 3244293B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、四輪駆動車の駆動軸
と被駆動軸との間に介在して駆動力を伝達する四輪駆動
車用駆動力伝達装置に関する。
と被駆動軸との間に介在して駆動力を伝達する四輪駆動
車用駆動力伝達装置に関する。
【0002】
【従来の技術】四輪駆動車は、悪路走破性に優れている
だけでなく、一般道においても加速性や走行安定性に優
れていることから、急速に普及してきている。四輪駆動
車は、基本的には、前後輪を直結することにより実現で
きるが、このようにした場合、強固な四輪駆動状態が得
られるという利点がある一方、旋回走行時に前,後輪間
に生じる回転速度差が吸収できないため、いわゆるタイ
トコーナーブレーキング現象が発生し、旋回性能が悪化
するという難点がある。したがって、実用化されている
四輪駆動車は、前後輪間に適宜の駆動力伝達装置を介装
し、この駆動力伝達装置によって、所定の差回転を許容
した状態で前後輪を連結するようにしている。
だけでなく、一般道においても加速性や走行安定性に優
れていることから、急速に普及してきている。四輪駆動
車は、基本的には、前後輪を直結することにより実現で
きるが、このようにした場合、強固な四輪駆動状態が得
られるという利点がある一方、旋回走行時に前,後輪間
に生じる回転速度差が吸収できないため、いわゆるタイ
トコーナーブレーキング現象が発生し、旋回性能が悪化
するという難点がある。したがって、実用化されている
四輪駆動車は、前後輪間に適宜の駆動力伝達装置を介装
し、この駆動力伝達装置によって、所定の差回転を許容
した状態で前後輪を連結するようにしている。
【0003】この駆動力伝達装置として、前,後輪の一
方への伝動軸と連動回転されるケーシング内に、他方へ
の伝動軸と連動回転されるロータを収納して油圧ポンプ
(一般にはベーンポンプ)を構成した油圧ポンプ型のも
のが提供されている。この駆動力伝達装置においては、
ケーシングとロータとの間に形成されたポンプ室内に、
両伝動軸間の回転速度差に応じた油圧を発生させ、この
油圧を介して、前,後輪間での駆動力伝達が行われる。
方への伝動軸と連動回転されるケーシング内に、他方へ
の伝動軸と連動回転されるロータを収納して油圧ポンプ
(一般にはベーンポンプ)を構成した油圧ポンプ型のも
のが提供されている。この駆動力伝達装置においては、
ケーシングとロータとの間に形成されたポンプ室内に、
両伝動軸間の回転速度差に応じた油圧を発生させ、この
油圧を介して、前,後輪間での駆動力伝達が行われる。
【0004】この油圧ポンプ型の駆動力伝達装置におい
ては、伝達トルクは油圧ポンプ内に発生可能な油圧に依
存するのに対して、発生可能な油圧に限界があることか
ら、高い伝達トルクを得ることが困難であった。そこ
で、両伝動軸間に介在し、油圧ポンプの軸方向移動によ
って両軸を直結することのできる多板クラッチと、油圧
ポンプによる伝達トルクの増大に伴って当該油圧ポンプ
を多板クラッチの接続方向へ移動させるカム機構とを備
えた油圧ポンプ・多板クラッチ併用型の駆動力伝達装置
が提案されている(例えば特願平2−61737号参
照)。この併用型の駆動力伝達装置においては、脱輪等
で前,後輪間に大きな回転速度差が生じた場合に、前、
後輪を多板クラッチによって直結して高い伝達トルクを
実現できるという利点がある。
ては、伝達トルクは油圧ポンプ内に発生可能な油圧に依
存するのに対して、発生可能な油圧に限界があることか
ら、高い伝達トルクを得ることが困難であった。そこ
で、両伝動軸間に介在し、油圧ポンプの軸方向移動によ
って両軸を直結することのできる多板クラッチと、油圧
ポンプによる伝達トルクの増大に伴って当該油圧ポンプ
を多板クラッチの接続方向へ移動させるカム機構とを備
えた油圧ポンプ・多板クラッチ併用型の駆動力伝達装置
が提案されている(例えば特願平2−61737号参
照)。この併用型の駆動力伝達装置においては、脱輪等
で前,後輪間に大きな回転速度差が生じた場合に、前、
後輪を多板クラッチによって直結して高い伝達トルクを
実現できるという利点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、車両積載上
の各種の制約条件から、駆動力伝達装置の小型化が要求
されている。しかし、上記の併用型の駆動力伝達装置に
おいては、多板クラッチの機能上(すなわち所要の伝達
トルクを確保する必要があることから)、多板クラッチ
の小型化には限界があり、このため、駆動力伝達装置全
体の小型・軽量化が制約されていた。
の各種の制約条件から、駆動力伝達装置の小型化が要求
されている。しかし、上記の併用型の駆動力伝達装置に
おいては、多板クラッチの機能上(すなわち所要の伝達
トルクを確保する必要があることから)、多板クラッチ
の小型化には限界があり、このため、駆動力伝達装置全
体の小型・軽量化が制約されていた。
【0006】この発明は、小型、軽量であって高い伝達
トルクを得ることのできる四輪駆動車用駆動力伝達装置
を提供することを目的とする。
トルクを得ることのできる四輪駆動車用駆動力伝達装置
を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するた
め、請求項1記載の発明の四輪駆動車用駆動力伝達装置
は、駆動軸及び被駆動軸の一方と連動回転するハウジン
グと、他方と連動回転し、ハウジングに対して相対回転
可能で且つハウジングに対して軸方向に位置決めされる
回転軸と、ハウジングと回転軸との間に介在すると共に
ハウジングに対して軸方向に移動自在であり、両者の回
転速度差に応じて発生させた油圧を介して上記両者間に
トルクを伝達する油圧ポンプと、駆動軸と被駆動軸との
間に介在し、油圧ポンプの軸方向移動に伴って押圧され
ることにより摩擦係合して両軸を直結することのできる
多板クラッチと、油圧ポンプとハウジングとの間に介在
し、油圧ポンプによる伝達トルクの増大に伴って油圧ポ
ンプを多板クラッチの接続方向へ移動させるカム機構と
を備えた四輪駆動車用駆動力伝達装置であって、回転軸
に設けた段部と油圧ポンプとの間に、油圧ポンプのポン
プ室内の高圧の油を導入する油圧を設け、油圧ポンプ
は、油室内の圧力を受けて油圧ポンプを多板クラッチの
接続方向へ移動させる力を発生させる受圧面を有してい
ることを特徴とするものである。請求項2記載の発明
は、請求項1において、上記カム機構はボールカム機構
からなり、回転軸とハウジングとの回転数差が所定以上
になると、ボールカム機構によって多板クラッチが直結
状態にされることを特徴とするものである。 請求項3記
載の発明は、請求項1又は2において、上記油圧ポンプ
のポンプ室の高圧の油をロータに内蔵された油路を介し
て油室に導入することを特徴とするものである。 請求項
4記載の発明は、請求項3において、上記受圧面はロー
タの側面に形成されることを特徴とするものである。
め、請求項1記載の発明の四輪駆動車用駆動力伝達装置
は、駆動軸及び被駆動軸の一方と連動回転するハウジン
グと、他方と連動回転し、ハウジングに対して相対回転
可能で且つハウジングに対して軸方向に位置決めされる
回転軸と、ハウジングと回転軸との間に介在すると共に
ハウジングに対して軸方向に移動自在であり、両者の回
転速度差に応じて発生させた油圧を介して上記両者間に
トルクを伝達する油圧ポンプと、駆動軸と被駆動軸との
間に介在し、油圧ポンプの軸方向移動に伴って押圧され
ることにより摩擦係合して両軸を直結することのできる
多板クラッチと、油圧ポンプとハウジングとの間に介在
し、油圧ポンプによる伝達トルクの増大に伴って油圧ポ
ンプを多板クラッチの接続方向へ移動させるカム機構と
を備えた四輪駆動車用駆動力伝達装置であって、回転軸
に設けた段部と油圧ポンプとの間に、油圧ポンプのポン
プ室内の高圧の油を導入する油圧を設け、油圧ポンプ
は、油室内の圧力を受けて油圧ポンプを多板クラッチの
接続方向へ移動させる力を発生させる受圧面を有してい
ることを特徴とするものである。請求項2記載の発明
は、請求項1において、上記カム機構はボールカム機構
からなり、回転軸とハウジングとの回転数差が所定以上
になると、ボールカム機構によって多板クラッチが直結
状態にされることを特徴とするものである。 請求項3記
載の発明は、請求項1又は2において、上記油圧ポンプ
のポンプ室の高圧の油をロータに内蔵された油路を介し
て油室に導入することを特徴とするものである。 請求項
4記載の発明は、請求項3において、上記受圧面はロー
タの側面に形成されることを特徴とするものである。
【0008】
【作用】上記構成の四輪駆動車用駆動力伝達装置によれ
ば、油圧ポンプによる伝達トルクが増大すると、油室内
にも高圧力が導かれ、この高圧力を受けた受圧面に、油
圧ポンプを多板クラッチの接続方向に移動させる受圧力
が発生する。したがって、多板クラッチは、従来からの
カム機構による押圧力に加えて、上記受圧力による押圧
力を受けるので、従来よりも高い押圧力を受けることに
なる。したがって、小型の多板クラッチでも高い伝達ト
ルクを得ることができる。
ば、油圧ポンプによる伝達トルクが増大すると、油室内
にも高圧力が導かれ、この高圧力を受けた受圧面に、油
圧ポンプを多板クラッチの接続方向に移動させる受圧力
が発生する。したがって、多板クラッチは、従来からの
カム機構による押圧力に加えて、上記受圧力による押圧
力を受けるので、従来よりも高い押圧力を受けることに
なる。したがって、小型の多板クラッチでも高い伝達ト
ルクを得ることができる。
【0009】
【実施例】以下、実施例を示す添付図面に基づいて説明
する。図2は、この発明の一実施例としての四輪駆動車
用駆動力伝達装置を示す概略断面図であり、図1はその
要部断面図である。これらの図を参照して、この四輪駆
動車用駆動力伝達装置Aは、リヤ側のデファレンシャル
となるものであり、推進軸からなる駆動軸(図示せず)
と、左側後輪と一体的に回転する左側被駆動軸L、及び
右側後輪と一体的に回転する右側被駆動軸Rとの間のト
ルク伝達を行うものである。
する。図2は、この発明の一実施例としての四輪駆動車
用駆動力伝達装置を示す概略断面図であり、図1はその
要部断面図である。これらの図を参照して、この四輪駆
動車用駆動力伝達装置Aは、リヤ側のデファレンシャル
となるものであり、推進軸からなる駆動軸(図示せず)
と、左側後輪と一体的に回転する左側被駆動軸L、及び
右側後輪と一体的に回転する右側被駆動軸Rとの間のト
ルク伝達を行うものである。
【0010】駆動軸側とドライブギア11を介して連動
回転するデファレンシャルケース1内に、遊星ギア機構
からなる差動装置2、油圧ポンプとしてのベーンポンプ
3、駆動軸と被駆動軸L,Rを直結可能な多板クラッチ
4、所要時にベーンポンプ3を所定の押圧力によって押
して多板クラッチ4を直結させるカム機構5、及び所要
時にベーンポンプ3を多板クラッチ4の接続方向に押す
押圧力を発生させる受圧面31cを含んだ油室7とを備
えている。
回転するデファレンシャルケース1内に、遊星ギア機構
からなる差動装置2、油圧ポンプとしてのベーンポンプ
3、駆動軸と被駆動軸L,Rを直結可能な多板クラッチ
4、所要時にベーンポンプ3を所定の押圧力によって押
して多板クラッチ4を直結させるカム機構5、及び所要
時にベーンポンプ3を多板クラッチ4の接続方向に押す
押圧力を発生させる受圧面31cを含んだ油室7とを備
えている。
【0011】図2を参照して、差動装置2は、デファレ
ンシャルケース1の内周に一体に形成されたリングギア
21と、右側被駆動軸Rに回転軸6を介して一体回転可
能に結合されたサンギア20と、リングギア21及びサ
ンギア20にそれぞれ噛合し両者の差回転に応じて公転
する遊星ギア22,23の組みと、左側被駆動軸Lと一
体回転すると共に、上記遊星ギア22,23を自転自在
に保持するキャリア24とを備えている。差動装置2
は、デファレンシャルケース1の回転速度を両被駆動軸
L,Rの平均速度に等しくすると共に、両被駆動軸L,
Rどうしの差回転を吸収するものであり、これが可能と
なるように、各ギアの歯数が設定されている。
ンシャルケース1の内周に一体に形成されたリングギア
21と、右側被駆動軸Rに回転軸6を介して一体回転可
能に結合されたサンギア20と、リングギア21及びサ
ンギア20にそれぞれ噛合し両者の差回転に応じて公転
する遊星ギア22,23の組みと、左側被駆動軸Lと一
体回転すると共に、上記遊星ギア22,23を自転自在
に保持するキャリア24とを備えている。差動装置2
は、デファレンシャルケース1の回転速度を両被駆動軸
L,Rの平均速度に等しくすると共に、両被駆動軸L,
Rどうしの差回転を吸収するものであり、これが可能と
なるように、各ギアの歯数が設定されている。
【0012】上記遊星ギア22,23の組みは、例え
ば、図3に示すように周方向に3等配してある。半径方
向内側に位置しサンギア20に噛合する遊星ギア22
と、外側に位置しリングギア21に噛合する遊星ギア2
3とは相互に噛合させてある。このように2個1組の遊
星ギア22,23を用いてあるのは、サンギア20及び
リングギア21の回転方向、即ち両被駆動軸L,Rの回
転方向を同方向とするためであり、これらの回転方向が
逆方向であっても良い場合には、サンギア20とリング
ギア21との間に双方に噛合する遊星ギアを配すれば良
い。
ば、図3に示すように周方向に3等配してある。半径方
向内側に位置しサンギア20に噛合する遊星ギア22
と、外側に位置しリングギア21に噛合する遊星ギア2
3とは相互に噛合させてある。このように2個1組の遊
星ギア22,23を用いてあるのは、サンギア20及び
リングギア21の回転方向、即ち両被駆動軸L,Rの回
転方向を同方向とするためであり、これらの回転方向が
逆方向であっても良い場合には、サンギア20とリング
ギア21との間に双方に噛合する遊星ギアを配すれば良
い。
【0013】また、図3に示すように、遊星ギア22,
23の回転軸27,28をサンギア20及びリングギア
21の半径方向に対して傾斜する線上に配することによ
り、リングギア21の外径寸法を小さくして、差動装置
2の小型化を図ってある。図2に示すように、キャリア
24は、ボス部24aの右端部の外径方向にフランジ部
24bを延設している。遊星ギア22,23の回転軸2
7,28は、フランジ部24bと支承板26との間に架
設されている。
23の回転軸27,28をサンギア20及びリングギア
21の半径方向に対して傾斜する線上に配することによ
り、リングギア21の外径寸法を小さくして、差動装置
2の小型化を図ってある。図2に示すように、キャリア
24は、ボス部24aの右端部の外径方向にフランジ部
24bを延設している。遊星ギア22,23の回転軸2
7,28は、フランジ部24bと支承板26との間に架
設されている。
【0014】図2を参照して、サンギア20の一端部2
0aは、上記キャリア24のボス部24a内周に形成さ
れた段部に相対回転自在に嵌合されている。サンギア2
0の内周部は、上記回転軸6のスプライン部6aとスプ
ライン結合しており、サンギア20は、右側被駆動軸R
と一体回転する。サンギア20の他端部20bは、スナ
ップリング49により、回転軸6に対して軸方向に位置
決めされている。これにより、キャリア24、サンギア
20、スナップリング49及び回転軸6の複数の部材が
軸方向に一体的に移動できるようになっている。また、
キャリア24のボス部24aの左端部とデファレンシャ
ルケース1の内側面との間には、上記複数の部材のデフ
ァレンシャルケース1に対する軸方向位置を調整するシ
ム70が介在されている。一方、作動部材43は、カム
機構5、ベーンポンプ3及び後述する針状ころ軸受15
を介してデファレンシャルケース1に対して軸方向に位
置決めされている。
0aは、上記キャリア24のボス部24a内周に形成さ
れた段部に相対回転自在に嵌合されている。サンギア2
0の内周部は、上記回転軸6のスプライン部6aとスプ
ライン結合しており、サンギア20は、右側被駆動軸R
と一体回転する。サンギア20の他端部20bは、スナ
ップリング49により、回転軸6に対して軸方向に位置
決めされている。これにより、キャリア24、サンギア
20、スナップリング49及び回転軸6の複数の部材が
軸方向に一体的に移動できるようになっている。また、
キャリア24のボス部24aの左端部とデファレンシャ
ルケース1の内側面との間には、上記複数の部材のデフ
ァレンシャルケース1に対する軸方向位置を調整するシ
ム70が介在されている。一方、作動部材43は、カム
機構5、ベーンポンプ3及び後述する針状ころ軸受15
を介してデファレンシャルケース1に対して軸方向に位
置決めされている。
【0015】図1、図2および内圧発生の原理を示す図
4を参照して、ベーンポンプ3は、ロータ31と、この
ロータ31を内包すると共に、一組のサイドプレート
9,10によって挟持されて、ロータ31との間に複数
のポンプ室を形成したカムリング32と、ロータ31の
外周の収容溝から突出し、圧縮コイルばね33によって
カムリング32の内面に押圧され、上記ポンプ室を作動
室A,Bに仕切る複数のベーン34とにより主要部が構
成されている。サイドプレート9,10及びカムリング
32は、ボルト80によって一体回転可能に連結され、
ベーンポンプ3のケーシング30を構成している。
4を参照して、ベーンポンプ3は、ロータ31と、この
ロータ31を内包すると共に、一組のサイドプレート
9,10によって挟持されて、ロータ31との間に複数
のポンプ室を形成したカムリング32と、ロータ31の
外周の収容溝から突出し、圧縮コイルばね33によって
カムリング32の内面に押圧され、上記ポンプ室を作動
室A,Bに仕切る複数のベーン34とにより主要部が構
成されている。サイドプレート9,10及びカムリング
32は、ボルト80によって一体回転可能に連結され、
ベーンポンプ3のケーシング30を構成している。
【0016】ベーン34には、図4に示すように、当該
ベーン34によって仕切られた作動室Aと作動室Bとの
間のオイルの流通を許容するオリフィス34aが設けら
れている。また、各ベーン34の収容溝の下部を互いに
連通させるように、ロータ31の両側面に環状の凹部3
1a,31bが設けられている。これらの凹部31a,
31bは、ロータ31に内蔵された各別の油路38a,
38b(図1及び図2においては油路38aのみを示し
た)を介して、作動室A,Bと連通されている。すなわ
ち、作動室A,Bのうちの高圧となった側の作動室から
の圧油が、ベーン34をカムリング32の内周壁に向か
って押し付けるように働き、カムリング32内周壁に対
するベーン34の密着性が高められている。なお、各油
路38a,38bには、ベーン下部側へのオイルの流通
のみを許容するボール弁等からなるチェックバルブ39
a,39bがそれぞれ配設されているので、作動室A,
Bのうちの低圧側の作動室と凹部31a,31bとを結
ぶ油路に設けられているチェックバルブは閉じ、低圧側
の作動室の圧力が高くなるのを防止する。
ベーン34によって仕切られた作動室Aと作動室Bとの
間のオイルの流通を許容するオリフィス34aが設けら
れている。また、各ベーン34の収容溝の下部を互いに
連通させるように、ロータ31の両側面に環状の凹部3
1a,31bが設けられている。これらの凹部31a,
31bは、ロータ31に内蔵された各別の油路38a,
38b(図1及び図2においては油路38aのみを示し
た)を介して、作動室A,Bと連通されている。すなわ
ち、作動室A,Bのうちの高圧となった側の作動室から
の圧油が、ベーン34をカムリング32の内周壁に向か
って押し付けるように働き、カムリング32内周壁に対
するベーン34の密着性が高められている。なお、各油
路38a,38bには、ベーン下部側へのオイルの流通
のみを許容するボール弁等からなるチェックバルブ39
a,39bがそれぞれ配設されているので、作動室A,
Bのうちの低圧側の作動室と凹部31a,31bとを結
ぶ油路に設けられているチェックバルブは閉じ、低圧側
の作動室の圧力が高くなるのを防止する。
【0017】ロータ31及び作動部材43は、回転軸6
のスプライン部6b,6aにそれぞれスプライン結合さ
れ、これにより、右側被駆動軸Rに一体回転可能とされ
ている。また、ロータ31は、ケーシング30及び作動
部材43と共に回転軸6の軸方向に移動自在である。す
なわち、ベーンポンプ3全体が回転軸6の軸方向に移動
できるようになっている。ロータ31の凹部31bと回
転軸6の段部6cとの間に、ポンプ室内の高圧の油を油
路38a又は油路38bを介して導入する油室7が形成
されている。この油室7内の高圧は、凹部31bの端面
により構成される受圧面31cによって受けられ、ロー
タ31を含むベーンポンプ3全体を、図において左方
(ベーンポンプ3が作動部材43を介して多板クラッチ
4を圧接させる方向)へ移動させる受圧力を発生させ
る。なお、前記したように回転軸6は、デファレンシャ
ルケース1に対して軸方向に相対移動可能である。一
方、この回転軸6の右端部6dとデファレンシャルケー
ス1の内端面との間に、皿ばね45が介在している。し
たがって、上記の受圧力は、2枚の皿ばね44,45に
抗してベーンポンプ3と回転軸6とを軸方向に相対的に
移動させながら、上記のようにベーンポンプ3を多板ク
ラッチ4の圧接側へ移動させるように働く。したがっ
て、この受圧力による多板クラッチ4の押圧力は、直列
配置された2枚の皿ばね44,45の荷重特性に依存す
ることになり、これら皿ばね44,45の荷重特性を調
整することにより、伝達トルクの立ち上がり特性を種々
に調整することができる。特に、図7の実線に示すよう
な二段階状に立ち上がるような特性を得るのに好適であ
る。
のスプライン部6b,6aにそれぞれスプライン結合さ
れ、これにより、右側被駆動軸Rに一体回転可能とされ
ている。また、ロータ31は、ケーシング30及び作動
部材43と共に回転軸6の軸方向に移動自在である。す
なわち、ベーンポンプ3全体が回転軸6の軸方向に移動
できるようになっている。ロータ31の凹部31bと回
転軸6の段部6cとの間に、ポンプ室内の高圧の油を油
路38a又は油路38bを介して導入する油室7が形成
されている。この油室7内の高圧は、凹部31bの端面
により構成される受圧面31cによって受けられ、ロー
タ31を含むベーンポンプ3全体を、図において左方
(ベーンポンプ3が作動部材43を介して多板クラッチ
4を圧接させる方向)へ移動させる受圧力を発生させ
る。なお、前記したように回転軸6は、デファレンシャ
ルケース1に対して軸方向に相対移動可能である。一
方、この回転軸6の右端部6dとデファレンシャルケー
ス1の内端面との間に、皿ばね45が介在している。し
たがって、上記の受圧力は、2枚の皿ばね44,45に
抗してベーンポンプ3と回転軸6とを軸方向に相対的に
移動させながら、上記のようにベーンポンプ3を多板ク
ラッチ4の圧接側へ移動させるように働く。したがっ
て、この受圧力による多板クラッチ4の押圧力は、直列
配置された2枚の皿ばね44,45の荷重特性に依存す
ることになり、これら皿ばね44,45の荷重特性を調
整することにより、伝達トルクの立ち上がり特性を種々
に調整することができる。特に、図7の実線に示すよう
な二段階状に立ち上がるような特性を得るのに好適であ
る。
【0018】サイドプレート10とデファレンシャルケ
ース1との間には、ケーシング30とデファレンシャル
ケース1との相対回転を抑制し、且つベーンポンプ3に
よる伝達トルクの増大時に、ケーシング30を多板クラ
ッチ4側へ押圧することにより、ベーンポンプ3を介し
て作動部材43を多板クラッチ4の接続方向へ移動させ
る上記カム機構5が介在している。
ース1との間には、ケーシング30とデファレンシャル
ケース1との相対回転を抑制し、且つベーンポンプ3に
よる伝達トルクの増大時に、ケーシング30を多板クラ
ッチ4側へ押圧することにより、ベーンポンプ3を介し
て作動部材43を多板クラッチ4の接続方向へ移動させ
る上記カム機構5が介在している。
【0019】カムリング32は、カム機構5を介してデ
ファレンシャルケース1と連動回転する。サイドプレー
ト9,10とカムリング32との間は、それぞれOリン
グ66,67によって密封されている。サイドプレート
9と回転軸6との間、およびサイドプレート10と回転
軸6との間は、シール64,65によって液密状態を保
ちながら相対移動可能なようになされている。
ファレンシャルケース1と連動回転する。サイドプレー
ト9,10とカムリング32との間は、それぞれOリン
グ66,67によって密封されている。サイドプレート
9と回転軸6との間、およびサイドプレート10と回転
軸6との間は、シール64,65によって液密状態を保
ちながら相対移動可能なようになされている。
【0020】次に、ベーンポンプ3の働きについて説明
する。図4では、ロータ31が、カムリング32に対し
て相対的に時計回りに回転する状態が示されている。ベ
ーン34に設けられたオリフィス34aが小径のため、
オイルは回転方向下流側である作動室Aから回転方向上
流側である作動室Bに流出抵抗をもって移動する。その
結果、作動室A内に高圧力が発生し、この高圧力は、ベ
ーン34とカムリング32とで囲まれた作動室Aにピス
トン圧として作用し、トルク伝達媒体となってロータ3
1からカムリング32へトルクが伝達される。なお、上
記の圧力は、ロータ31とカムリング32との間の回転
数差が大きいほど大きく、デファレンシャルケース1と
右側被駆動軸Rとの回転速度差に応じたトルクが伝達さ
れる。
する。図4では、ロータ31が、カムリング32に対し
て相対的に時計回りに回転する状態が示されている。ベ
ーン34に設けられたオリフィス34aが小径のため、
オイルは回転方向下流側である作動室Aから回転方向上
流側である作動室Bに流出抵抗をもって移動する。その
結果、作動室A内に高圧力が発生し、この高圧力は、ベ
ーン34とカムリング32とで囲まれた作動室Aにピス
トン圧として作用し、トルク伝達媒体となってロータ3
1からカムリング32へトルクが伝達される。なお、上
記の圧力は、ロータ31とカムリング32との間の回転
数差が大きいほど大きく、デファレンシャルケース1と
右側被駆動軸Rとの回転速度差に応じたトルクが伝達さ
れる。
【0021】図1及び図2を参照して、多板クラッチ4
は、デファレンシャルケース1にスプライン結合され、
軸方向に移動自在な複数の環状のアウタプレート41
と、上記作動部材43と、この作動部材43にスプライ
ン結合され、上記アウタープレート41に交互に組み合
わされた環状のインナープレート42と、デファレンシ
ャルケース1と作動部材43のボス部との間に介在し両
者に対して相対回転自在で且つスナップリング48によ
って軸方向の移動が止められた受け部材47と、この受
け部材47と作動部材43との間に介在し、作動部材4
3を両プレート41,42が離反する方向に付勢する皿
ばね44とを備えている。多板クラッチ4の作動部材4
3とベーンポンプ3のサイドプレート9との間には、両
者の相対回転による抵抗を減ずるための針状ころ軸受1
5が介在させてある。
は、デファレンシャルケース1にスプライン結合され、
軸方向に移動自在な複数の環状のアウタプレート41
と、上記作動部材43と、この作動部材43にスプライ
ン結合され、上記アウタープレート41に交互に組み合
わされた環状のインナープレート42と、デファレンシ
ャルケース1と作動部材43のボス部との間に介在し両
者に対して相対回転自在で且つスナップリング48によ
って軸方向の移動が止められた受け部材47と、この受
け部材47と作動部材43との間に介在し、作動部材4
3を両プレート41,42が離反する方向に付勢する皿
ばね44とを備えている。多板クラッチ4の作動部材4
3とベーンポンプ3のサイドプレート9との間には、両
者の相対回転による抵抗を減ずるための針状ころ軸受1
5が介在させてある。
【0022】図1、図5及び図6を参照して、カム機構
5は、サイドプレート10に形成されたカム面10a
と、デファレンシャルケース1の内側面に形成されたカ
ム面1aとの間にボール51を介在させたボールカム機
構からなる。両カム面10a,1aは、円周上に沿って
波形に凹入形成されている。両カム面10a,1a及び
ボール51は、対をなして、円周等配に複数対が配置さ
れている。このカム機構5には、作動部材43、針状こ
ろ軸受15及びベ−ンポンプ3のケーシング30を介し
て、皿ばね44による軸方向の付勢力が働いているの
で、回転軸6とデファレンシャルケース1との回転数差
が小さい状態では、上記付勢力によって両カム面10
a,1aは、図5に示すように組み合わされている。そ
して、両カム面10a,1aは、上記回転数差が所定以
上となって、図6に示すように、回転方向に相対的なず
れを生じることにより、両者間の軸方向の距離を遠ざ
け、皿ばね44に抗して、ベーンポンプ3を介して作動
部材43を多板クラッチ4の接続方向に押圧する。
5は、サイドプレート10に形成されたカム面10a
と、デファレンシャルケース1の内側面に形成されたカ
ム面1aとの間にボール51を介在させたボールカム機
構からなる。両カム面10a,1aは、円周上に沿って
波形に凹入形成されている。両カム面10a,1a及び
ボール51は、対をなして、円周等配に複数対が配置さ
れている。このカム機構5には、作動部材43、針状こ
ろ軸受15及びベ−ンポンプ3のケーシング30を介し
て、皿ばね44による軸方向の付勢力が働いているの
で、回転軸6とデファレンシャルケース1との回転数差
が小さい状態では、上記付勢力によって両カム面10
a,1aは、図5に示すように組み合わされている。そ
して、両カム面10a,1aは、上記回転数差が所定以
上となって、図6に示すように、回転方向に相対的なず
れを生じることにより、両者間の軸方向の距離を遠ざ
け、皿ばね44に抗して、ベーンポンプ3を介して作動
部材43を多板クラッチ4の接続方向に押圧する。
【0023】次に、駆動力伝達装置A全体の作動につい
て説明する。通常は、ベーンポンプ3が、デファレンシ
ャルケース1と右側被駆動軸Rとの間に生じた回転速度
差に応じて発生させた油圧によって、駆動軸側と右側被
駆動軸Rとの差動が制限されることにより、差動装置2
による両被駆動軸L,Rの差動が制限され、両被駆動軸
L,Rへの適正なトルク配分が行われる。そして、例え
ば左右輪の一方が脱輪して空転し、他方が停止してしま
った場合等で、デファレンシャルケース1と右側被駆動
軸Rとの回転速度差が著しく増大し、ベーンポンプ3に
よる伝達トルクが増大すると、カム機構5及び受圧面3
1cの後述する受圧力がベーンポンプ3を介して作動部
材43を多板クラッチ4の接続方向へ移動させて多板ク
ラッチ4を直結状態とすることにより、デファレンシャ
ルケース1と両被駆動軸L,Rとを一体的に回転させ
て、伝達トルクを急激に増大させる(図7の実線参
照)。
て説明する。通常は、ベーンポンプ3が、デファレンシ
ャルケース1と右側被駆動軸Rとの間に生じた回転速度
差に応じて発生させた油圧によって、駆動軸側と右側被
駆動軸Rとの差動が制限されることにより、差動装置2
による両被駆動軸L,Rの差動が制限され、両被駆動軸
L,Rへの適正なトルク配分が行われる。そして、例え
ば左右輪の一方が脱輪して空転し、他方が停止してしま
った場合等で、デファレンシャルケース1と右側被駆動
軸Rとの回転速度差が著しく増大し、ベーンポンプ3に
よる伝達トルクが増大すると、カム機構5及び受圧面3
1cの後述する受圧力がベーンポンプ3を介して作動部
材43を多板クラッチ4の接続方向へ移動させて多板ク
ラッチ4を直結状態とすることにより、デファレンシャ
ルケース1と両被駆動軸L,Rとを一体的に回転させ
て、伝達トルクを急激に増大させる(図7の実線参
照)。
【0024】この実施例によれば、ベーンポンプ3によ
る伝達トルクが増大すると、油室7内にも油路38a又
は油路38bを介して高圧力が導かれ、この高圧力を受
けた受圧面31cに、ベーンポンプ3を多板クラッチ4
の接続方向に移動させる受圧力が発生する。したがっ
て、多板クラッチ4は、カム機構5による押圧力に、上
記受圧力による押圧力を付加した高い押圧力を受けるこ
とになる。したがって、小型の多板クラッチ4でも、従
来(図7に破線で示す)よりも高い伝達トルク(図7に
実線で示す)を得ることができ、ひいては、小型・軽量
であって高い伝達トルクを得ることのできる駆動力伝達
装置Aを実現することができる。
る伝達トルクが増大すると、油室7内にも油路38a又
は油路38bを介して高圧力が導かれ、この高圧力を受
けた受圧面31cに、ベーンポンプ3を多板クラッチ4
の接続方向に移動させる受圧力が発生する。したがっ
て、多板クラッチ4は、カム機構5による押圧力に、上
記受圧力による押圧力を付加した高い押圧力を受けるこ
とになる。したがって、小型の多板クラッチ4でも、従
来(図7に破線で示す)よりも高い伝達トルク(図7に
実線で示す)を得ることができ、ひいては、小型・軽量
であって高い伝達トルクを得ることのできる駆動力伝達
装置Aを実現することができる。
【0025】また、所要時における高トルク伝達は、多
板クラッチ4を介して行うので、ベーンポンプ3に高圧
力を発生させる必要がなく、したがって、ベーンポンプ
3としては、小型のものを使用でき、駆動力伝達装置A
全体を一層小型化することができる。しかも、オリフィ
ス34aの調整等によってベーンポンプ3の発生油圧特
性を調整したり、カム機構5のカム面10a,1aの形
状を変更したり、上記のシム70の厚み調整によって皿
ばね44の付勢力を調整したり、受圧面31cの受圧面
積を調整したりすることにより、容易に伝達トルクの立
ち上がり特性を調整することができる。これにより、ア
ンチ・スキッド・ブレーキ装置(ABS)と容易にマッ
チングさせることができる。
板クラッチ4を介して行うので、ベーンポンプ3に高圧
力を発生させる必要がなく、したがって、ベーンポンプ
3としては、小型のものを使用でき、駆動力伝達装置A
全体を一層小型化することができる。しかも、オリフィ
ス34aの調整等によってベーンポンプ3の発生油圧特
性を調整したり、カム機構5のカム面10a,1aの形
状を変更したり、上記のシム70の厚み調整によって皿
ばね44の付勢力を調整したり、受圧面31cの受圧面
積を調整したりすることにより、容易に伝達トルクの立
ち上がり特性を調整することができる。これにより、ア
ンチ・スキッド・ブレーキ装置(ABS)と容易にマッ
チングさせることができる。
【0026】さらに、上記トルクの急激な増大は、カム
機構5やベーンポンプ3内の通常の内圧によって行うよ
うにしており、ビスカス・カップリングのような爆発的
な内圧上昇によって行うものではないので、ビスカス・
カップリングのような耐久性の低下という虞もない。し
かも、多板クラッチ4及びベーンポンプ3の両者間に、
針状ころ軸受15を介在しているので、当該針状ころ軸
受15によって、上記両者の相対回転による両者間のす
べり摩擦力の発生を抑えることができ、摩擦トルクの付
加による駆動軸と被駆動軸間の伝達トルクを、特に低回
転数差域において大幅に低減することができる。
機構5やベーンポンプ3内の通常の内圧によって行うよ
うにしており、ビスカス・カップリングのような爆発的
な内圧上昇によって行うものではないので、ビスカス・
カップリングのような耐久性の低下という虞もない。し
かも、多板クラッチ4及びベーンポンプ3の両者間に、
針状ころ軸受15を介在しているので、当該針状ころ軸
受15によって、上記両者の相対回転による両者間のす
べり摩擦力の発生を抑えることができ、摩擦トルクの付
加による駆動軸と被駆動軸間の伝達トルクを、特に低回
転数差域において大幅に低減することができる。
【0027】また、サンギア20の一端部20aをキャ
リア24の段部に相対回転自在に嵌合して、両者を重合
させていると共に、多板クラッチ4の、両プレート4
1,42を、ベーンポンプ3の外方位置に配置している
ので、駆動力伝達装置A全体の軸方向の寸法を短くする
ことができ、装置全体を一層小型化できる。なお、この
発明は、上記実施例に限定されるものではなく、例え
ば、カム機構として、波形のカム面どうしを接触させる
等の他の公知のカム機構を用いることができる。また、
針状ころ軸受15に代えて、スライドメタル等の他の公
知のスラスト軸受を用いることができる。
リア24の段部に相対回転自在に嵌合して、両者を重合
させていると共に、多板クラッチ4の、両プレート4
1,42を、ベーンポンプ3の外方位置に配置している
ので、駆動力伝達装置A全体の軸方向の寸法を短くする
ことができ、装置全体を一層小型化できる。なお、この
発明は、上記実施例に限定されるものではなく、例え
ば、カム機構として、波形のカム面どうしを接触させる
等の他の公知のカム機構を用いることができる。また、
針状ころ軸受15に代えて、スライドメタル等の他の公
知のスラスト軸受を用いることができる。
【0028】さらに、油圧ポンプ3の受圧面を、ロータ
31ではなく、サイドプレート9又はサイドプレート1
0に形成することができる。加えて、皿ばね45に代え
てシムを用い、伝達トルクを一段階に立ち上がるように
することもできる。その他、この発明の四輪駆動車用駆
動力伝達装置を前輪側のデファレンシャルに適用するこ
と、また、いわゆるセンターデフに適用すること、さら
には、デファレンシャルに組み込まないものとして構成
すること等、この発明の要旨を変更しない範囲で種々の
設計変更を施すことができる。
31ではなく、サイドプレート9又はサイドプレート1
0に形成することができる。加えて、皿ばね45に代え
てシムを用い、伝達トルクを一段階に立ち上がるように
することもできる。その他、この発明の四輪駆動車用駆
動力伝達装置を前輪側のデファレンシャルに適用するこ
と、また、いわゆるセンターデフに適用すること、さら
には、デファレンシャルに組み込まないものとして構成
すること等、この発明の要旨を変更しない範囲で種々の
設計変更を施すことができる。
【0029】
【発明の効果】この発明によれば、多板クラッチを、従
来からのカム機構による押圧力に加えて、油圧ポンプの
受圧面への受圧力による押圧力によって押圧するので、
小型の多板クラッチでも高い伝達トルクを得ることがで
き、ひいては、小型・軽量であって高い伝達トルクを得
ることのできる四輪駆動車用駆動力伝達装置を実現する
ことができるという特有の効果を奏する。
来からのカム機構による押圧力に加えて、油圧ポンプの
受圧面への受圧力による押圧力によって押圧するので、
小型の多板クラッチでも高い伝達トルクを得ることがで
き、ひいては、小型・軽量であって高い伝達トルクを得
ることのできる四輪駆動車用駆動力伝達装置を実現する
ことができるという特有の効果を奏する。
【図1】この発明の一実施例としての四輪駆動車用駆動
力伝達装置の要部断面図である。
力伝達装置の要部断面図である。
【図2】四輪駆動車用駆動力伝達装置の概略断面図であ
る。
る。
【図3】差動装置を示す概略断面図である。
【図4】ベーンポンプの働きを示す模式的断面図であ
る。
る。
【図5】カム機構の要部断面図である。
【図6】カム機構の要部断面図である。
【図7】回転速度差と伝達トルクの関係を示す図であ
る。
る。
1 デファレンシャルケース(ハウジング) 3 ベーンポンプ(油圧ポンプ) 4 多板クラッチ 6 回転軸 6c 段部 7 油室 31c 受圧面 L 被駆動軸 R 被駆動軸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60K 17/28 - 17/36 F16D 13/52
Claims (4)
- 【請求項1】駆動軸及び被駆動軸の一方と連動回転する
ハウジングと、他方と連動回転し、ハウジングに対して
相対回転可能で且つハウジングに対して軸方向に位置決
めされる回転軸と、ハウジングと回転軸との間に介在す
ると共にハウジングに対して軸方向に移動自在であり、
両者の回転速度差に応じて発生させた油圧を介して上記
両者間にトルクを伝達する油圧ポンプと、駆動軸と被駆
動軸との間に介在し、油圧ポンプの軸方向移動に伴って
押圧されることにより摩擦係合して両軸を直結すること
のできる多板クラッチと、油圧ポンプとハウジングとの
間に介在し、油圧ポンプによる伝達トルクの増大に伴っ
て油圧ポンプを多板クラッチの接続方向へ移動させるカ
ム機構とを備えた四輪駆動車用駆動力伝達装置であっ
て、 回転軸に設けた段部と油圧ポンプとの間に、油圧ポンプ
のポンプ室内の高圧の油を導入する油室を設け、 油圧ポンプは、油室内の圧力を受けて油圧ポンプを多板
クラッチの接続方向へ移動させる力を発生させる受圧面
を有していることを特徴とする四輪駆動車用駆動力伝達
装置。 - 【請求項2】請求項1において、上記カム機構はボール
カム機構からなり、回転軸とハウジングとの回転数差が
所定以上になると、ボールカム機構によって多板クラッ
チが直結状態にされることを特徴とする四輪駆動車用駆
動力伝達装置。 - 【請求項3】請求項1又は2において、上記油圧ポンプ
のポンプ室の高圧の油をロータに内蔵された油路を介し
て油室に導入することを特徴とする四輪駆動車用駆動力
伝達装置。 - 【請求項4】請求項3において、上記受圧面はロータの
側面に形成されることを特徴とする四輪駆動車用駆動力
伝達装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30462691A JP3244293B2 (ja) | 1991-11-20 | 1991-11-20 | 四輪駆動車用駆動力伝達装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30462691A JP3244293B2 (ja) | 1991-11-20 | 1991-11-20 | 四輪駆動車用駆動力伝達装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05139180A JPH05139180A (ja) | 1993-06-08 |
JP3244293B2 true JP3244293B2 (ja) | 2002-01-07 |
Family
ID=17935296
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP30462691A Expired - Fee Related JP3244293B2 (ja) | 1991-11-20 | 1991-11-20 | 四輪駆動車用駆動力伝達装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3244293B2 (ja) |
-
1991
- 1991-11-20 JP JP30462691A patent/JP3244293B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05139180A (ja) | 1993-06-08 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |