JP3242593B2 - 屋根瓦および屋根葺き方法 - Google Patents

屋根瓦および屋根葺き方法

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JP3242593B2
JP3242593B2 JP07162497A JP7162497A JP3242593B2 JP 3242593 B2 JP3242593 B2 JP 3242593B2 JP 07162497 A JP07162497 A JP 07162497A JP 7162497 A JP7162497 A JP 7162497A JP 3242593 B2 JP3242593 B2 JP 3242593B2
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浩之 鈴木
信一 金田
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株式会社瓦道
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主に家屋の屋根に
葺かれる屋根瓦および屋根葺き方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】屋根瓦は、古来、雨雪をしのぐために建
物の屋根に葺かれてきたものであり、現在でも屋根葺材
料として主流を占めている。このような屋根瓦は、屋根
の部位によって平瓦、桟瓦、軒瓦、端瓦、棟瓦、丸瓦等
が使い分けられている。平瓦は、丸瓦との組み合わせで
使用され、通常、神社仏閣等において使用されている
が、現今、住宅用等では、丸瓦と平瓦とを合わせて1枚
の瓦にした桟瓦が多用されている。
【0003】この桟瓦は、横断面がS字形状を呈してお
り、葺いた状態で縦方向に延びる隆起部間に凹没した流
水路が形成され、雨水はこの流水路を流下するようにな
っている。
【0004】このような桟瓦は、雨漏りを防止する機能
性、長期間外力に耐える耐久性や耐荷重性、外観を美麗
にするデザイン性、焼成変形を少なくして不良率を低減
する生産性、保管や搬送が容易な経済性等に意が払わ
れ、種々の改良品が提案されている。また、葺いた状態
で隣接する瓦間の接合状態は重要であり、接合状態が悪
いと雨漏りの原因になることから、この点に工夫を凝ら
したものも多い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の桟瓦
は、一の瓦の上面の一部に、他の瓦の下面の一部が積層
され、このような積層が順次行われることによって屋根
に葺かれ、瓦の2辺縁が重なり合うようになされる。従
って、一の瓦と、他の瓦とは上面と下面とが面接触で接
触するように積層されるため、降雨時の雨水は、この面
接触した隙間に毛細管現象によって吸引され、屋根勾配
の傾斜に逆らって上昇し、これによって雨漏りの原因に
なるという課題を有していた。
【0006】そこで、このような不都合を解消すべく、
接合部分に堰を設けたり(例えば実開平5−16939
号公報)、雨水を逃がす通路を設ける(例えば実開昭6
2−190012号公報)等の雨滴の水昇りを防止する
方策がとられる場合もあるが、このようにすると屋根瓦
の構造が複雑になり、その分型取りの困難性や焼成変形
に起因した不良率の増加等によって製造コストが嵩むと
ともに、現場での施工が困難になり、施工性が劣るとい
う新たな課題が提起される。
【0007】また、構造が複雑になると、その部分が壊
れ易くなり、耐久性や耐荷重性に劣るようになるという
課題や、複雑になった分嵩高になり、保管性や搬送性に
劣るという課題も有している。
【0008】本発明は、上記のような課題を解決するた
めになされたものであり、耐久性や対荷重性、生産性、
および経済性に勝り、さらに和風建築および洋風建築の
いずれにも適用することができるというデザインの優秀
性を確保した上で、雨漏りを確実に抑止することができ
るという屋根瓦本来の機能性が、従来のものに比べて格
段に改良された屋根瓦および屋根葺き方法を提供するこ
とを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明(屋根
瓦)は、上面と下面が対称でかつ左右対称の板状に形成
され、上面に幅方向の両側端縁から中央部に向けて先下
がりの傾斜面が設けられることによって上記側端縁に対
して所定の凹没量で凹没した曲面状または平面状の流水
谷部を有するとともに、面に上記流水谷部に対応した
部分が上記側端縁に対して上記流水谷部と同一凹没量で
凹没した面凹没部を有するものである。
【0010】請求項2の発明は、請求項1の構成におい
て、上面及び下面が滑らかな曲面で形成されたものであ
る。
【0011】請求項3の発明は、請求項1または2の構
において、上記凹没量は、瓦の幅寸法の1%〜5%に
設定れたものである。
【0012】請求項4の発明は、請求項1乃至3のいず
れかの構成において、下面の上端部に桟木に係止される
幅方向に延びた桟木溝を有し、この桟木溝は、底面が少
なくとも上記各側端縁と下面凹没部とにおいて面一に構
成されたものである。
【0013】請求項5の発明は、請求項1乃至4のずれ
の構成において、下面の下端部に水切用または風吹込
み防止用の凸条を有するものである。
【0014】請求項6の発明は、請求項1乃至5のいず
れかの構成において、上縁部から延設され、かつ、下面
が屋根勾配と略等しい勾配を有する庇部が設けられた
のである。
【0015】請求項7の発明は、請求項1乃至6のいず
れかに記載の瓦が複数枚、互いの側端縁が連続する状態
で横1列に連設されて成るものである。
【0016】請求項8の発明は、請求項1乃至6のいず
れかに記載の瓦が複数枚、上段側から下段側に向けて対
角方向にずれ、かつ、側端縁が流水谷部に位置する斜め
並び状態で一体に構成されたものである。
【0017】請求項9の発明は、請求項8記載の斜め並
び瓦が、互いの側端縁が連続する状態で横1列に連設さ
れて成るものである。
【0018】請求項10の発明(屋根葺き方法)は、上
面部に、配設ピッチが瓦の縦寸法の半分以下に設定され
た複数段の桟木を横方向に延びるように配設し、下段側
の桟木から上段側の桟木に向けて、各段の桟木に桟木溝
を係止しつつ請求項1乃至10に記載の瓦を複数枚、水
平方向に互いに側端縁が当接するように配列し、上段側
の桟木に瓦本体を配列するに際しては、その側端縁を下
段側の瓦の流水谷部に当接させるものである。
【0019】請求項11の発明は、請求項10の方法に
おいて、下位の瓦列と上位の瓦列との間に、瓦と略同一
の縦長さ寸法を有するシート体を介在させるものであ
る。
【0020】請求項12の発明は、請求項11の方法に
おいて、上記シート体は、縦方向の長さ寸法が瓦の縦方
向の長さ寸法の略1.5倍のものを用い、シートの上端
は2段上の桟木に当接させるものである。
【0021】請求項13の発明は、請求項11または1
2の方法において、上記シート体は、防水性および/ま
たは撥水性を有するものを用いるものである。
【0022】請求項14の発明は、請求項11乃至13
のいずれかの方法において、上記シ ート体の上記桟木に
対応する部分に感圧接着剤層を形成するものである。
【0023】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係る屋根瓦
第1実施形態を示す上面側の斜視図であり、図2は、同
下面側の斜視図である。なお、図1および図2における
X−X方向を幅方向、Y−Y方向を前後方向といい、−
X方向を左方、+X方向を右方、−Y方向を前方または
先端側、+Y方向を後方または基端側という。
【0024】また、図1中、2は瓦本体、2xはこの瓦
本体2の上面、2yは同下面である。 図示のように、
第1実施形態の屋根瓦1は、平面視で矩形状の瓦本体2
と、この瓦本体2の上面基端側に形成された水昇り防止
部3と、瓦本体2の下面基端側に設けられた桟木溝4と
を備えた基本構成を有している。
【0025】上記屋根瓦1は、所定の粘土と、砂と、粒
子径が非常に細かい微砂とを所定の割合で配合した後、
水を加えて混練捏和し、ついで成形してから乾燥し、最
後に焼成することによって得られたものである。
【0026】上記瓦本体2は、外観視で肉薄の直方体形
状を呈しており、その上面2xと下面2yが対称で、か
つ、左右対称に形成されている。
【0027】上面2x及び下面2yには、幅方向の両側
端縁部21から中央部に向かって滑らかな円弧状の傾斜
が形成され、これによって上面2xの中央部に前後方向
に延びる流水谷部22が形成されているとともに、下面
2y側の中央部に前後方向に延びる下面凹没部23が形
成されている。
【0028】上記水昇り防止部3は、瓦本体2の上面
端側の端縁に形成された幅方向に延びる円弧条31と、
この円弧条31の前方に形成された底部が瓦本体2の
2xから円弧条31に向かって先下がりの三角溝32
と、この三角溝32の長手方向両端部に設けられた堰部
35とを備えて形成されている。円弧条31の面は
瓦本体2の面2xと面一状態の同一の円弧面に形成さ
れている。
【0029】このような水昇り防止部3により、風圧等
によって面2xを昇った雨水が三角溝32に捕捉
れ、これによって雨水が円弧条31を越えて瓦本体2の
後方から漏洩するの防止するようになされている。
【0030】また、上記桟木溝4は、図2に示すよう
に、瓦本体2の面2yに上記三角溝32に対応して瓦
本体2を幅方向に横断するように凹設されている。この
桟木溝4の底面(図1においては天井面になる)は平面
に形成され、かつ、溝の深さ寸法は幅方向の中央部に向
かって左右対称状態で漸減するように設定されている。
この桟木溝4は、屋根本体面に横方向に配設され
た桟木5に係止されるものであり、これによって葺かれ
た屋根瓦1のずり落ちが阻止されるようになっている。
【0031】また、上記三角溝32には、その底部に幅
方向一対の釘座33が上方に向かって膨設されていると
ともに、これら釘座33の中央部には、上下方向に貫通
した釘孔34が貫設され、桟木溝4が桟木5に係止され
た状態で釘Nをこれらの釘孔34に挿通して桟木5に打
ち付けることにより、屋根瓦1の屋根葺き状態が確実に
なり、ずり落ちや位置狂いが生じないようになってい
る。
【0032】図3は、図1のA線視図である。この図に
示すように、瓦本体2は、鉛直中心線L1に対して左右
に形成されているとともに、水平中心線L2に対し
て上下対に形成され、これによって瓦本体2の左右の
側端縁部21の厚み寸法Dは、左右同一になっていると
ともに、面2xの凹没量d1と面2yの凹没量d2
は同一寸法になっている。
【0033】従って、実線で示す第1の瓦本体2に側端
縁部21を隣接させて二点鎖線で示す第2の瓦本体2を
並設した状態では、これらの当接部分を跨ぐように点線
で示す第3の瓦本体2を積み重ねることによって、第1
および第2の瓦本体2の当接部分上方の側端縁部21に
第3の瓦本体2の面凹没部23が当接するとともに、
第3の瓦本体2の左右の側端縁部21は、その下部が第
1および第2の瓦本体2の流水谷部22に当接した状態
になっている。
【0034】本実施形態においては、流水谷部22およ
面凹没部23の凹没率、すなわち、瓦本体2の幅寸
法Wに対する凹没量d1,d2の割合を百分率で示した
値(流水谷部22の凹没率=(d1/W)×100、下
面凹没部23の凹没率=(d2/W)×100)は、1
%〜5%に設定されている。
【0035】凹没率をこのような範囲に設定したのは、
凹没率が1%未満であると瓦本体2の面2xの流水谷
部22に向かう傾斜が小さすぎて雨水が流水谷部22に
集まり難くなるからであり、また5%を越えると瓦本体
2の厚み寸法Dを相当大きくしないと瓦本体2の幅方向
の中央部分の厚み寸法(すなわち流水谷部22と下面凹
没部23との間の厚み寸法)が薄くなりすぎ、これによ
って瓦本体2が強度的に弱くなるからである。
【0036】以上、要すれば、上方に積み重ねられた瓦
本体2は、幅方向の中央部および両側部が下部の2枚の
瓦本体2に跨った状態で支持されており、これによって
上部に積まれた瓦本体2は、上方から加わる外力に対し
て常に安定して対応することが可能であり、内部応力の
集中も起こり難く、従って、例えば屋根瓦1の修理のた
めに屋根に登って屋根瓦1上を歩行しても、屋根瓦1の
踏み崩れが生じ難くなっている。
【0037】図4は、本発明に係る屋根瓦の第2実施形
態を示す斜視図である。この実施形態においては、屋根
瓦1aは、瓦本体2aの面2xに上記第1実施形態の
円弧面に代えて、各側端縁部21から幅方向の中央部に
向けて先下がりに傾斜した左右一対の傾斜面24と、各
傾斜面24が合流する平面状の流水谷部22aを有して
いる。また、瓦本体2aの面には、上記傾斜面24と
面対を呈する左右一対の傾斜面25と、上記流水谷部
22aと面対面凹没部23aとが設けられてい
る。
【0038】上記流水谷部22aの凹没率((d1/
W)×100)は、面凹没部23aの凹没率((d2
/W)×100)と同一に設定されており、これによっ
て上記方法で屋根瓦1aを葺いた状態で、上段の瓦本体
2aは、各側端縁部21が下段の2枚の瓦本体2aの流
水谷部22aに支持されるとともに、面凹没部23a
が下段の2枚の瓦本体2aの流水谷部22aに支持され
るようにしている。その他の構成は、第1実施形態のも
のと同様である。
【0039】第2実施形態の屋根瓦1aによれば、流水
谷部22a、傾斜面24、面凹没部23aおよび傾斜
面25が平面であるため、屋根瓦1の製造が容易にな
る。
【0040】図5は、本発明に係る屋根瓦の第3実施形
態を示す斜視図である。この実施形態においては、屋根
瓦1bは、瓦本体2bの面2xに、上記第2実施形態
の平面視で矩形状の流水谷部22aに代えて、平面視で
先細りの台形状の流水谷部22bを設けている。こうす
ることによって流水谷部22bの両側部から延設される
傾斜面24aは、後方に向かって幅寸法が漸減するとと
もに、傾斜角度が漸増するようになっている。
【0041】上記流水谷部22bの凹没率((d1/
W)×100)は、面凹没部23bの凹没率((d2
/W)×100)と同一に設定されており、これによっ
て上記方法で屋根瓦1bを葺いた状態で、上段の瓦本体
2bは、各側端縁部21が下段の2枚の瓦本体2bの流
水谷部22bに支持されるとともに、面凹没部23b
が下段の2枚の瓦本体2bの流水谷部22bに支持され
るようにしている。その他の構成は、第1実施形態のも
のと同様である。
【0042】第3実施形態の屋根瓦1bによれば、瓦本
体2bの面2xの傾斜面24aは、後方に向かうほど
傾斜が急になり、これによって後方の雨水ほどより速く
流下するため、瓦本体2b面の雨水をより速く流水谷
部22bに集めるようにする上で有効である。
【0043】なお、第2および第3実施形態の屋根瓦1
a,1bにおいては、図4および図5に示すように、流
水谷部22a,22bと、傾斜面24,24aとの境界
部分が直線状に形成されているが、この部分を滑らかな
曲面にしてもよい。
【0044】図は、本発明に係る屋根瓦の第実施形
態を示す斜視図である。この実施形態の屋根瓦1dは、
3枚の第1実施形態の瓦本体2がそれぞれの側端縁部2
1を互いに当接させた状態で一体に並設された横並び
として構成されている。このような屋根瓦1dは、当初
から3枚の瓦本体2が接合された状態になるように粘土
等の原料を成形した後、焼成することによって製造され
ている。また、各瓦本体2の側端縁部21の接合部分に
は、上面に前後方向に延びる化粧溝27が凹設されてお
り、この化粧溝27によって、屋根瓦1dを屋根に葺い
た場合の外観を美麗にすることができる。
【0045】図は、本発明に係る屋根瓦の第実施形
態を示す斜視図である。この実施形態の屋根瓦1eは、
3枚の第1実施形態の瓦本体2が、それぞれ図1に示
す配設条件を満たすように斜め方向に互いにずらせた状
態で一体に並設された斜め並び瓦として構成されてい
る。また、瓦本体2の上下の接合部分は中実に形成さ
れ、これによって上下の瓦本体2間の隙間部分への雨滴
の吹き込みが防止されるようになっている。
【0046】図は、本発明に係る屋根瓦の第実施形
態を示す斜視図である。この実施形態の屋根瓦1fは、
に示す第実施形態の屋根瓦1dを、それぞれの側
端縁部21が縦横に半ピッチずつ変位した状態でずらせ
た横斜め並び瓦として構成されている。この実施形態の
屋根瓦1fも瓦本体2の上下の接合部分は中実に形成さ
れ、これによって上下の瓦本体2間の隙間部分への雨滴
の吹き込みが防止されるようになっている。
【0047】図〜図に示す第〜第実施形態の屋
根瓦1d,1e,1fによれば、これらはいずれも瓦本
体2の複数枚が予め一体に接続されて形成されているた
め、その分瓦葺き施工が簡素化され、施工コストの軽減
を図ることができる。
【0048】図〜図11は、屋根瓦の瓦本体2,2
a,2b,2cに付設または形成される付設物または形
成物を例示する説明図であり、図は、瓦本体2,2
a,2b,2cの基端部に庇部201延設した状態、図
は、瓦本体2,2a,2b,2cの先端部に凸条2
9,29aを設けた状態をそれぞれ示している。なお、
図1の(イ)には第1例の凸条29を、(ロ)には第
2例の凸条29aを示し、それぞれについて左方に基端
面図、右方にB−B線視図およびC−C線視図を描いて
いる。また、瓦本体2,2a,2b,2cの先端側の端
面形状は第1実施形態の瓦本体2のもので代表させてい
る。
【0049】まず、庇部201は、図に示すように、
下面2yが屋根本体6の勾配に略平行になるように設定
された状態で瓦本体2,2a,2b,2cの基端側から
後方に向かって突設されている。このような庇部201
を設けることで、上位の瓦本体2,2a,2b,2cと
下位の瓦本体2,2a,2b,2cとの間の水昇りによ
る雨水の漏洩を有効に防止することができるとともに、
後述する上位の瓦本体2,2a,2b,2cと下位の瓦
本体2,2a,2b,2cとの間に介設されたシート体
71の弛み量を少なくすることが可能になる。
【0050】また、上記第1例の凸条29は、図1
(イ)に示すように、瓦本体2,2a,2b,2cの裏
面の先端部において、面凹没部23から各側端縁部2
1に向かって下方に円弧状に膨出した状態で左右一対が
形成されている。各凸条29は、下位に位置した瓦本体
2,2a,2b,2cの表面に沿うように形状設定され
ている。これに対して、第2例の凸条29aは、図1
の(ロ)に示すように、瓦本体2,2a,2b,2cの
面の先端部において、面凹没部23から各側端縁部
21に向かって下端部が直線上状に延びるように形状設
定されている。
【0051】これらの凸条29,29aを瓦本体2,2
a,2b,2cの先端側に設けることにより、上位の瓦
本体2,2a,2b,2cと、下位の瓦本体2,2a,
2b,2cとの間に形成された隙間を通って風雨が吹き
込むのを確実に抑止することができる。特に図1
(イ)に示す凸条29にあっては、隙間が全く塞がれた
状態になるため、風雨の吹き込み防止効果は大きい。
【0052】なお、図11に示すように、瓦本体2,2
a,2b,2cの上面2xの前半部に下り段差202を
設けてもよい。この下り段差202は、上面の葺上げ露
出面に、流水方向に向けて2段に設けている。この下り
段差202によって、側端縁面の面積を小さくすること
が可能であり、その分表面張力による水昇りを抑止する
ことができる。また、瓦本体2,2a,2b,2cを葺
いた状態で屋根の外観が檜皮葺きを模した状態になり、
屋根を高級感に富んだものにすることができる。
【0053】図1は、本発明に係る屋根葺き方法を説
明するための一部切欠き斜視図であり、屋根本体に第1
実施形態の屋根瓦1が葺かれた状態を示している。この
図に示すように、各屋根瓦1は、屋根本体6の上面に横
方向に前後方向に所定ピッチで配設された桟木5に沿っ
てまず最下段のものが横方向に並設され、ついで第2段
目の屋根瓦1が同様に配設され、その後、第3段目、第
4段目・・・第n段目と積み上げられることによって屋
根葺き工事が施工される。
【0054】各屋根瓦1を桟木5に沿わせるに際して
は、瓦本体2の桟木溝4を桟木5に係止させることが行
われ、これによって屋根瓦1は、その屋根本体6上での
前後位置が確定されるとともにずれ落ちが確実に阻止さ
れる。屋根瓦1の横方向への並設に際しては、横方向で
隣接する瓦本体2の側端縁部21同士が互いに密着する
ように屋根瓦1を順次配設し、配設の都度、釘孔34に
釘Nを通して桟木5に打ち付け、屋根瓦1を桟木5に固
定する。
【0055】ついで、つぎの段に屋根瓦1を葺くに際し
ては、上段側の瓦本体2の側端縁部21を下段側の瓦本
体2の流水谷部22に位置するように、つまり千鳥配置
で配設していく。また、この際、上段側の屋根瓦1の前
方半分強が下段側の屋根瓦1の後方部分に積層される。
こうするために、桟木5の配設ピッチPは、屋根瓦1の
長手方向の長さ寸法Lの半分以下に設定されている。
【0056】従って、屋根瓦1は、それを屋根本体6上
に順次葺いていくことにより、図13に示すように、千
鳥配置で屋根本体6上に敷設された状態になる。
【0057】第1実施形態の屋根瓦1を、上記のような
千鳥配置で屋根本体6に葺くことにより、上段側の屋根
瓦1は、幅方向両側部の側端縁部21が、下段側の隣接
した2枚の屋根瓦1の流水谷部22上にそれぞれ当接支
持されているとともに、幅方向中央部の下面凹没部23
が下段側の2枚に屋根瓦1の互いに当接した側端縁部2
1に支持されているため、各屋根瓦1の支持状態は非常
に安定したものになり、上方からの外力に対して瓦本体
2内で応力の集中が起こり難くなっており、踏み割れ等
の破損を確実に防止することができる。
【0058】また、桟木5の配設ピッチPを屋根瓦1の
長さ寸法Lの半分以下に設定したため、図14に示すよ
うに、例えば点描で示した各瓦本体2の前方縁部は、下
部に2枚の下段側の屋根瓦1を介して桟木5に支持され
た状態になり、中央部が1枚の下段側の瓦本体2を介し
て桟木5に支持された状態になり、後方縁部が桟木5に
直接支持された状態になり、少なくとも黒丸で示すよう
に9点で支持されている。これによって屋根瓦1に上方
から加わる外力が、下段側の瓦本体2の桟木5によって
支持されていない部分に対して桟木5を中心としたモー
メントとして作用することが回避され、屋根瓦1の踏み
割れや雪割れが確実に防止される。
【0059】上記のような屋根瓦1の千鳥配置により、
降雨時の雨水は、図13に矢印で示すように、瓦本体2
面2xでその凹面の傾斜に沿って流水谷部22に集
合し、集合水となって瓦本体2の傾斜に沿って流下し、
下段側の2枚の瓦本体2が並設されて形成された各側端
縁部21による分水嶺210上に供給され、この分水嶺
210で二分されて2枚の瓦本体2上に流下し、順次こ
のような流路を通って流れ落ちることになる。
【0060】また、分水嶺210の各側端縁部21が対
向した隙間部分にしみ込んだ雨水は、下段側の瓦本体2
の流水谷部22上の後方部分によって受けられ、流水谷
部22の傾斜に沿って流下する。このように降雨時の雨
水は、全て瓦本体2の上面を通って下方に流下するた
め、雨漏りを確実に阻止することができる。
【0061】従って、風の吹き込み等によってたとえ瓦
本体2の面2x上の雨水が上方に向かって水昇りして
も、この水は水昇り防止部3の円弧条31および堰部3
5に阻止されて三角溝32に補足されるため、昇り水が
瓦本体2から漏れることはない。
【0062】さらに、屋根本体6に屋根瓦1が葺き詰め
られた状態で、いずれの部分にも瓦本体2同士が積み重
ねられた状態において上下で面接触している部分が存在
しないため、面接触している場合に雨水の表面張力で面
接触の隙間を雨水が昇って雨漏りの原因になるという不
都合は存在しない。
【0063】図1は、下位の瓦本体2と上位の瓦本体
2との間に瓦本体2と同一縦長さ寸法を有するシート体
を介設した状態を示す断面視の説明図である。この図、
および、シート体が瓦本体2間に介設された状態を瓦本
体2の先端側から見た図である図1に示すように、瓦
本体2の施工時に瓦本体2の縦方向(流水方向)の長さ
寸法と同一寸法のシート体71を、下位の瓦列と、上位
の瓦列との間に介在させることにより、たとえ瓦本体2
に焼成歪みが大きくても、上下に積層された瓦本体2間
に挟まれたシート体71の弾性変形によって上記歪みが
吸収され、これによって瓦本体2の積層状態が安定する
とともに、瓦本体2同士の直接の当接が回避されるた
め、瓦本体2の施工時の当り欠けや、修理時の踏み割
れ、さらには降雪時の雪割れ等を確実に防止することが
できる。
【0064】上記シート体71として、縦方向の長さ寸
法が瓦本体2の縦方向の長さ寸法と等しいものを用いた
ため、上下の瓦本体2間における幅方向の各瓦本体2列
毎にシート体71が他とは独立して介設された状態にな
り、これによって屋根本体への空気の流通が確保されつ
つ雨漏りの防止効果を向上させることができる。
【0065】また、上記シート体71として、防水性ま
たは撥水性を有するものを用いることにより、シート体
71による瓦本体同士の直接当接を回避するパッキン効
果に加え、当接部の雨水の表面張力がシート体71の防
水性または撥水性によって弱められ、これによる毛細管
現象に起因した隙間への雨水の浸入を少なくすることが
でき、より確実に雨漏りを防止することができる。
【0066】また、シート体71の桟木に対応する部分
に粘着剤層(感圧接着剤層)を設けてもよい。こうする
ことによって、シート体71は、それを上下の瓦本体2
間に介在させた状態で桟木に対応した部分において上下
の瓦本体2に粘着され、これによってシート体71のず
れが確実に防止される。上記粘着剤層の形成は、瓦本体
2が幅方向に並設された状態で複数の瓦本体2に亘るよ
うに両面粘着テープを貼設し、ついでこの両面粘着テー
プ上にシート体71を置き、つぎにこのシート体71の
上に同様に両面粘着テープを貼設し、この上にさらに瓦
本体2を葺くという操作を順次繰り返すようにすればよ
い。こうすることで、シート体71への粘着剤層の形成
を現場合わせで迅速に実行することが可能になる。
【0067】さらに、下段側の桟木5に瓦本体2を配設
した状態で、下段側の瓦本体2における上段側の瓦本体
2を支持する部分に両面粘着テープを貼設するような施
工方法を採用してもよい。こうすることによって上記粘
着剤層を容易に形成させることができる。
【0068】さらに、下段側の桟木5に瓦本体2を配設
した状態で、下段側の瓦本体2における上段側の瓦本体
2を支持する部分に両面粘着テープを貼設するような施
工方法を採用してもよい。こうすることによって上記粘
着剤層を容易に形成させることができる。
【0069】図1は、下位の瓦本体2と上位の瓦本体
2との間に瓦本体2の縦寸法の1.5倍の縦長さ寸法を
有するシート体72を介設した状態を示す断面視の説明
図である。このような長さ寸法のシート体72を採用す
ることにより、シート体72は、一つ上位の桟木5か
ら、瓦本体2の面の上位側半分にまで敷設することが
可能であり、これによって屋根本体の上面と瓦本体2の
上位側半分の面との間には常に2枚のシート体72が
介在し、外部と屋根本体6上面との間はこれらシート体
72によって区切られた状態になり、これらシート体7
2によって雨漏りを確実に防止することができる
【0070】発明は、上記の実施形態に限定されるも
のではなく、以下の内容をも包含するものである。
【0071】(1)上記の実施形態においては、屋根瓦
1〜1fは、瓦本体2,2a,2b,2cがいずれも平
面視で矩形状に形成されているが、本発明は、瓦本体
2,2a,2b,2cが矩形状であることに限定される
ものではなく、両側端縁部21が互いに平行である限
り、前方縁部の形状を円弧状やジグザグ状等、任意の形
状に設定することができる
【0072】(2)上記の実施形態においては、屋根瓦
1〜1fの材料として粘土、砂、および粒子径が非常に
細かい微砂を所定の割合で配合した、和風瓦ようのもの
が採用されているが、本発明は、屋根瓦1〜1fの材料
が粘土、砂および微砂に限定されるものではなく、スレ
ート原料であってもよいし、コンクリート原料であって
もよい。さらに合成樹脂を原料として用いてもよい。
【0073】()上記の第および第実施形態の屋
根瓦1d,1e(図および図)は、3枚の瓦本体2
が一体に連設されて形成されているが、3枚の連設に限
定されるものではなく、2枚でもよいし、4枚以上であ
ってもよい。また、上記の第実施形態の屋根瓦1f
は、9枚の瓦本体2が一体に連設されて形成されている
が、9枚未満であってもよいし、10枚以上であっても
よい。
【0074】()上記実施形態の瓦本体2,2a,2
b,2cの面側であって上段瓦の当接位置、または
面側であって下段瓦の当接位置に横方向の全長に亘っ
て、少なくとも片面に接着剤層を有し、かつ、弾力性を
有する厚さ0.2〜3.0mmのテープを設けてもよ
い。こうすることによって、瓦本体2,2a,2b,2
cの屋根への施工時に、下段側の瓦本体2,2a,2
b,2cに上段側の瓦本体2,2a,2b,2cを載置
した状態で上下の瓦本体2,2a,2b,2cは粘着テ
ープを介して相互に接続された状態になり、これによっ
て上下の瓦本体2,2a,2b,2c同士が直接当接し
ないようになり、外部からの圧力によって起こり易い直
接当接した部分の割れや欠けを確実に抑止することがで
きる。
【0075】また、積層された上下の瓦本体2,2a,
2b,2cのずれが抑制されるとともに、瓦本体2,2
a,2b,2c間にシート体が介在されている場合、シ
ート体の介在状態を安定化させることができる。さら
に、瓦本体2,2a,2b,2cの移送時や取り扱い時
に、瓦本体2,2a,2b,2cを積み重ねることによ
って粘着テープを介して上下の瓦本体2,2a,2b,
2cを相互に固定することが可能になり、これによって
積み重ねた瓦本体2,2a,2b,2cの荷崩れが確実
に防止されるため、移送時や取り扱い時の荷崩れに起因
した瓦本体2,2a,2b,2cの破損を防止すること
ができる。
【0076】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の屋根瓦によれ
ば、上下対称かつ左右対称で、上面に幅方向の両側端縁
のそれぞれから中央部に向けて先下がりの傾斜面が設け
られることによって上記側端縁に対して所定の凹没量で
凹没した曲面状または平面状の流水谷部、下面に上記流
水谷部に対応した部分が上記側端縁に対して上記流水谷
部と同一凹没量で凹没した面凹没部をそれぞれ有して
いるため、屋根がこの瓦により葺かれた状態では、一の
瓦の流水谷部に、他の瓦の側端縁が当接した状態になる
とともに、他の瓦は、その下面凹没部が一の瓦の側端縁
に支持される。
【0077】従って、それぞれの瓦について上部に積層
された瓦は、左右の側端縁が下部の互いに横方向に隣接
する瓦の流水谷部に支持されるとともに、面凹没部が
下部の横方向で隣接した瓦の互いに当接している側端縁
に支持された状態になって各瓦について両側端縁と中央
部との3点支持が行われることになり、各瓦本体の安定
配置を実現することができる。
【0078】従って、この状態では、瓦を踏み付ける等
して瓦に外力が加わっても、上記3点支持によって外力
の分散が均等に行われ、これによって瓦本体内での特定
部分への応力の集中が回避されるため、瓦の損傷を確実
に防止することができる。
【0079】また、一部の瓦が破損したときの補修時に
瓦をめくるに際し、幅方向で隣接している瓦同士は、従
来のように互いに重なり合った状態にはなっていないた
め、瓦をめくる操作が幅方向に並んだ他の瓦本体に影響
を与えることがなく、瓦の補修作業を容易に行うことが
できる。
【0080】さらに、降雨時の雨水は、各瓦において両
側端縁から中央部の流水谷部に集められ、瓦の傾斜によ
って流水谷部を下方に流下し、流水谷部の下端縁部か
ら、下方の互いに隣接する瓦の側端縁に向けて供給され
るため、隣接した側端縁が分水嶺の役割を果たし、雨水
はこの部分で左右の瓦の上面に分かれて流下することに
なり、また、側端縁が互いに当接した部分に供給された
雨水は、一部が当接部分の隙間にしみ込んで下方に落下
するが、側端縁の当接部分の下方には別の瓦の流水谷部
が存在するため、降雨時の雨水は、それが瓦のいずれの
部分に降り注いだものであっても、また、隣接する瓦の
側端縁の隙間部分を通過した雨水であっても、全て流水
谷部に集められて流下するとともに、従来のように瓦同
士が面接触で接触した部分が存在せず、しかも面接触部
分での毛細管現象による雨滴の水昇りも発生しないた
め、これらによって雨漏りは確実に阻止される。
【0081】加えて、流水谷部を流下する雨水が分水嶺
に供給された状態で、左右の側端縁間の隙間に浸入した
雨水は、同伴している微細な埃や砂粒子を上記隙間に残
留させた状態で流れ出るため、隙間に粒子が溜り込み、
これによって瓦の隙間部分に目地が形成された状態にな
り、これによっても水の封止効果をることができ、雨
漏り防止に寄与することができる。
【0082】本発明の請求項2記載の屋根瓦によれば、
及び下面に滑らかで、かつ、単純な形状の曲面を形
成したため、焼成歪を少なくした状態で瓦を焼成するこ
とができる。
【0083】本発明の請求項記載の屋根瓦によれば
没量を、瓦の幅寸法の1%〜5%に設定したため、
、雨水の誘導が確保された状態で、強度的およびデザ
イン的に優れたものにすることができる。
【0084】本発明の請求項記載の屋根瓦によれば
面の上端部に桟木に係止される幅方向に延びた桟木溝
を有し、この桟木溝は、底面が少なくとも上記各側端縁
と下面凹没部とにおいて面一に構成されるようにしたた
め、瓦を、ずり落ちが確実に阻止された状態で屋根本体
の上面に確実に装着することができる。また、瓦は両側
部と中央部との少なくとも3点で桟木に支持されるため
支持状態を安定させることができ、これによって荷重の
分散を行わせることが可能になる。
【0085】本発明の請求項記載の屋根瓦によれば、
下面の下端部に水きり用または風吹込み防止用の凸条を
設けたため、瓦を葺いた状態で、下位に位置する瓦と
上位に位置する瓦の間に形成される隙間が下位側で塞が
れ、これによって瓦の中浮き状態が解消され、風雨の隙
間への吹き込みが抑止されるとともに、瓦を上方からの
外圧に対して強くすることができる。
【0086】本発明の請求項6記載の屋根瓦によれば
縁部から延設された屋根勾配と等しい勾配を有する庇
部を設けたため、瓦が敷き詰められた状態で、下位の
、上位の瓦との積層部分の後方における側面視で三角
形状の隙間を小さくすることができ、これによって瓦の
踏み割れや雪割れを確実に防止することができる。
【0087】本発明の請求項記載の屋根瓦によれ
ば、瓦を複数枚一体に接合した状態の横並び、斜め並
びおよび横斜め並びの瓦を構成したから、屋根葺き工事
の簡素化を実現させることができ、工事コストの低減を
図る上で好都合である。また、瓦同士の当接部分の数が
現象するため、その分雨漏りを防ぐ効果が向上する。
【0088】特に請求項記載の横並び瓦によれば、縦
目地の数を少なくすることができ、その分、屋根葺き施
工の簡素化を図ることができる。また、請求項8斜め
並び瓦によれば、重ね目地の数を少なくすることがで
き、その分、屋根葺き施工の簡素化を図ることができ
る。さらに、請求項記載の屋根瓦によれば、横および
斜めに並べて一体化しているため縦目地および重ね目地
の双方の目地の数を少なくすることができる。
【0089】本発明の請求項10記載の屋根葺き方法に
よれば、屋根本体の上面部に、配設ピッチが瓦の縦寸法
の半分以下に設定された複数段の桟木を横方向に延びる
ように配設し、下段側の桟木から上段側の桟木に向け
て、各段の桟木に桟木溝を係止しつつ請求項1乃至9
いずれかに記載の瓦複数枚、水平方向に互いに側端縁
が当接するように配列し、上段側の桟木に瓦を配列する
に際しては、その側端縁を下段側の瓦の上記流水谷部に
当接させるようにするようにしているため、屋根葺きの
施工時には、各瓦を横方向に並列状態で敷き詰めた後、
隣接する瓦の側端縁を跨ぐようにして上段側に瓦を敷き
詰めていくことにより、上段側の瓦は、両側端縁が下段
側の隣接した瓦の凹没した上面の傾斜に誘導されて最低
位の部分である流水谷部に位置した状態になり、これに
よって上段側の瓦の敷き詰め操作を容易なものにするこ
とができ、総じて屋根葺き作業の施工性を良好にするこ
とが可能になる。
【0090】従って、屋根が瓦により葺かれた状態で
は、一の瓦の流水谷部に、他の瓦の側端縁が当接した状
態になるとともに、他の瓦は、その面凹没部が一の
側端縁に支持されるため、それぞれの瓦について上部
に積層された瓦は、左右の側端縁が下部の互いに横方向
に隣接する瓦の流水谷部に支持されるとともに、面凹
没部が下部の横方向で隣接した瓦の互いに当接している
側端縁に支持された状態になり、各瓦について両側端縁
と中央部との3点支持が行われることになり、各瓦を
定して葺かれた状態にすることができる。
【0091】また、瓦で屋根が葺かれた状態で、隣接す
瓦同士は、各側端縁の端面が互いに当接された状態に
なるため、横方向への位置ずれを相互に抑制し合ううこ
とができ、横方向への地震ずれや雪ずりずれを確実に抑
止することが可能になる。
【0092】本発明の請求項11記載の屋根葺き方法に
よれば、下位の瓦列と上位の瓦列との間に、瓦と略同一
の縦長さ寸法を有するシート体を介在させるため、たと
瓦に焼成歪みが大きくても、上下に積層された瓦本体
間に挟まれたシート体の弾性変形によって上記歪みが吸
収され、これによって瓦本体の積層状態が安定するとと
もに、瓦同士の直接の当接が回避されるため、瓦本体の
施工時の当り欠けや、修理時の踏み割れ、さらには降雪
時の雪割れ等を確実に防止することができる。
【0093】また、シート体の縦方向の長さ寸法が瓦本
体の縦方向の長さ寸法と略等しいため、上下の瓦間にお
ける幅方向の各瓦列毎にシート体が他とは独立して介設
された状態になり、これによって屋根本体への空気の流
通が確保されつつ雨漏りの防止効果を向上させることが
できる。
【0094】本発明の請求項12記載の屋根葺き方法に
よれば、シート体として縦方向の長さ寸法が瓦の縦方向
の長さ寸法の略1.5倍のものを用い、シートの上端
2段上の桟木に当接させるようにしたため、シート体
は、一つ上位の桟木から、瓦の上面の上位側半分にまで
敷設することが可能であり、これによって屋根本体の上
面と瓦の上位側半分の下面との間には常に2枚のシート
体が介在し、外部と屋根本体上面との間はこれらシート
体によって区切られた状態になり、これらシート体によ
って雨漏りを確実に防止することができる。
【0095】本発明の請求項13記載の屋根葺き方法に
よれば、シート体として防水性および/または撥水性を
有するものを用いたため、シート体による瓦同士の直接
当接を回避するパッキン効果に加え、当接部の雨水の表
面張力がシート体の防水性または撥水性によって弱めら
れ、これによる毛細管現象に起因した隙間への雨水の浸
入を少なくすることができ、より確実に雨漏りを防止す
ることができる。
【0096】本発明の請求項14記載の屋根葺き方法に
よれば、シート体の上記桟木に対応する部分に感圧接着
剤層を形成したため、シート体は、上下の瓦間に介在さ
せた状態で桟木に対応した部分において上下の瓦に粘着
され、これによってシート体のずれが確実に防止され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る屋根瓦の第1実施形態を示す上面
側の斜視図である。
【図2】図1の屋根瓦の下面側の斜視図である。
【図3】図1のA線視図である。
【図4】本発明に係る屋根瓦の第2実施形態を示す斜視
図である。
【図5】本発明に係る屋根瓦の第3実施形態を示す斜視
図である。
【図6】本発明に係る屋根瓦の第4実施形態を示す斜視
図である。
【図7】本発明に係る屋根瓦の第5実施形態を示す斜視
図である。
【図8】本発明に係る屋根瓦の第6実施形態を示す斜視
図である。
【図9】屋根瓦の瓦本体に付設または形成される付設物
または形成物を例示する説明図であり、瓦本体の基端部
に庇部を延設した状態を示す。
【図10】屋根瓦の瓦本体に付設または形成される付設
物または形成物を例示する説明図であり、瓦本体の先端
部に凸条を設けた状態を示す。
【図11】屋根瓦の瓦本体に付設または形成される付設
物または形成物を例示する説明図であり、瓦本体の表面
前半部に下り段差を設けた状態を示す。
【図12】本発明に係る屋根葺き方法を説明するための
一部切欠き斜視図であり、屋根本体に第1実施形態の屋
根瓦が葺かれた状態を示している。
【図13】葺かれた瓦本体の支持状態を説明するための
説明図である。
【図14】下位の瓦本体と上位の瓦本体との間に瓦本体
と同一縦長さ寸法を有するシート体を介設した状態を示
す断面視の説明図である。
【図15】下位の瓦本体と上位の瓦本体との間に瓦本体
の縦寸法の1.5倍の縦長さ寸法を有するシート体を介
設した状態を示す断面視の説明図である。
【図16】シート体が瓦本体間に介設された状態を瓦本
体の先端側から見た図である。
【符号の説明】
1,1a,1b、1c,1d,1e,1f 屋根瓦 2,2a,2b,2c 瓦本体 2x 面 2y 面 21 側端縁部 22,22a,22b 流水谷部 23,23a,23b,23c 面凹没部 24,24a 傾斜面 4 桟木溝 5 桟木 6 屋根本体 71,72 シート体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−120833(JP,A) 特開 平9−49291(JP,A) 特開 平6−158786(JP,A) 実開 昭60−68220(JP,U) 実開 昭51−148811(JP,U) 実開 昭58−114331(JP,U) 実開 平3−47322(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04D 1/00 - 1/34 E04D 12/00

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上面と下面が対称でかつ左右対称の板状
    に形成され、上面に幅方向の両側端縁から中央部に向け
    て先下がりの傾斜面が設けられることによって上記側端
    縁に対して所定の凹没量で凹没した曲面状または平面状
    の流水谷部を有するとともに、面に上記流水谷部に対
    応した部分が上記側端縁に対して上記流水谷部と同一凹
    没量で凹没した面凹没部を有することを特徴とする屋
    根瓦。
  2. 【請求項2】 上面及び下面が滑らかな曲面で形成さ
    たことを特徴とする請求項1記載の屋根瓦。
  3. 【請求項3】 上記凹没量は、瓦の幅寸法の1%〜5%
    に設定れたことを特徴とする請求項1または2記載の
    屋根瓦。
  4. 【請求項4】 下面の上端部に桟木に係止される幅方向
    に延びた桟木溝を有し、この桟木溝は、底面が少なくと
    も上記各側端縁と下面凹没部とにおいて面一に構成され
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の
    屋根瓦。
  5. 【請求項5】 下面の下端部に水切用または風吹込み防
    止用の凸条を有することを特徴とする請求項1乃至
    いずれかに記載の屋根瓦。
  6. 【請求項6】 上縁部から延設され、かつ、下面が屋根
    勾配と略等しい勾配を有する庇部が設けられたことを特
    徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の屋根瓦。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6のいずれかに記載の瓦が
    複数枚、互いの側端縁が連続する状態で横1列に連設さ
    れて成ることを特徴とする屋根瓦。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至6のいずれかに記載の瓦が
    複数枚、上段側から下段側に向けて対角方向にずれ、か
    つ、側端縁が流水谷部に位置する斜め並び状態で一体に
    成されたことを特徴とする屋根瓦。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の斜め並び瓦が、互いの側
    端縁が連続する状態で横1列に連設されて成ることを特
    徴とする屋根瓦。
  10. 【請求項10】 上面部に、配設ピッチが瓦の縦寸法の
    半分以下に設定された複数段の桟木を横方向に延びるよ
    うに配設し、下段側の桟木から上段側の桟木 に向けて、
    各段の桟木に桟木溝を係止しつつ請求項1乃至10に記
    載の瓦を複数枚、水平方向に互いに側端縁が当接するよ
    うに配列し、上段側の桟木に瓦本体を配列するに際して
    は、その側端縁を下段側の瓦の流水谷部に当接させるこ
    とを特徴とする屋根葺き方法
  11. 【請求項11】 下位の瓦列と上位の瓦列との間に、瓦
    と略同一の縦長さ寸法を有するシート体を介在させるこ
    とを特徴とする請求項10記載の屋根葺き方法
  12. 【請求項12】 上記シート体は、縦方向の長さ寸法が
    瓦の縦方向の長さ寸法の略1.5倍のものを用い、シー
    トの上端は2段上の桟木に当接させることを特徴とする
    請求項11記載の屋根葺き方法
  13. 【請求項13】 上記シート体は、防水性および/また
    は撥水性を有するものを用いることを特徴とする請求項
    11または12記載の屋根葺き方法。
  14. 【請求項14】 上記シート体の上記桟木に対応する部
    分に感圧接着剤層を形成することを特徴とする請求項1
    1乃至13のいずれかに記載の屋根葺き方法。
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