JP3241440B2 - 化粧料 - Google Patents

化粧料

Info

Publication number
JP3241440B2
JP3241440B2 JP20035492A JP20035492A JP3241440B2 JP 3241440 B2 JP3241440 B2 JP 3241440B2 JP 20035492 A JP20035492 A JP 20035492A JP 20035492 A JP20035492 A JP 20035492A JP 3241440 B2 JP3241440 B2 JP 3241440B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cosmetics
formula
water
skin
active ingredient
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP20035492A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0616531A (ja
Inventor
宗清 岡
重孝 川口
彰夫 物部
巌 福永
Original Assignee
有限会社野々川商事
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 有限会社野々川商事 filed Critical 有限会社野々川商事
Priority to JP20035492A priority Critical patent/JP3241440B2/ja
Publication of JPH0616531A publication Critical patent/JPH0616531A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3241440B2 publication Critical patent/JP3241440B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な安定性の高い美
白作用および抗炎症作用を併せ持つ化粧料に関する。さ
らに詳しくは、フラバノン、フラバノノール、イソフラ
バノン誘導体であるプテロカルパン系化合物、マルバハ
ギまたはオノニスの根の、水またはエタノール及びそれ
らの混合物による抽出物を有効成分として含有する美白
作用および抗炎症効果の大なる化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】皮膚のしみ、そばかすなどの発生機構に
ついては不明な点もあるが、一般には、ホルモンの異常
や日光からの紫外線の刺激が原因となってメラニン色素
が形成され、これが皮膚内に異常沈着するものと考えら
れている。メラニンは、皮膚内においてチロシンを基質
として酵素チロジナーゼにより、L−ドーパ、ドーパキ
ノンを経て生成後、周囲のケラチノサイトに分泌される
ことによって、生成される。したがって、従来、しみや
そばかすの治療には、皮膚内に存在するチロジナ−ゼ活
性を阻害してメラニン生成を抑制する物質、例えば、ビ
タミンCを大量に投与する方法、グルタチオンを軟膏、
クリ−ム、ロ−ションなどの形態にして局所に塗布する
方法など美白外用剤として、その組成中にこれらのメラ
ニン生成抑制物質を配合することが行われている。ま
た、欧米ではハイドロキノン製剤が医薬品として用いら
れている。
【0003】また、皮膚の角質層より水分が減少すると
肌荒れなどの原因となる。角質層に適当な水分含量を与
えるため、保湿剤として、グリセリン、1、3−ブチレ
ングリコ−ル、プロピレングリコール、ヒアルロン酸等
が用いられ、肌荒れ等の防止が行われている。
【0004】一方、紫外線のうち中波長紫外部の波長2
80〜320nm付近の光(以下UVーBと略記す)は
皮膚に紅斑もたらし、甚だしくは火傷と同様な水泡を生
じさせる。また、長波長紫外部の波長320〜400n
mの光(以下UV−Aと略記す)には、皮膚の黒化をも
たらし、長期にわたって作用した場合には皮膚の老化を
もたらすことが認められている。この様に有害な紫外線
に対してさまざまな紫外線吸収剤、例えば、p−アミノ
安息香酸エステル、ウロカニン酸等が挙げられるが、こ
れらはUV−B領域に極大吸収をもち皮膚の紅斑等の炎
症を防ぐことを目的にしている。皮膚の黒化、老化をも
たらすUV−A領域に極大吸収を持つ紫外線吸収剤とし
ては、サリチル酸フェニル誘導体、ベンゾトリアゾール
誘導体等を化粧料に用いることが提案されているが、そ
れらはいずれも光毒性、光アレルギー等があり安全性に
問題がある。
【0005】フラボノイド化合物は、自然界に多く存在
し、特に植物中の葉、花、果実、根に多く発現する。そ
の生理作用として酸化防止、毛細血管の強化、出血予
防、体内酸化還元過程の参与等が挙げられる。また黄色
色素としても古くから知られ食品、医薬品等に利用され
ている。フラボノイド誘導体のうちフラボン誘導体であ
るクエルセチン、クエルシトリン、ルチンについては、
特に利用が検討されている。ルチン等についてはビタミ
ンPとしてビタミンCの生理活性、例えば生体結合組織
の主成分であるコラーゲンの合成に必要なプロリンやリ
ジンのヒドロキシル化反応に関与し、生体の健康維持、
増進に重要な役割を果たしている。
【0006】しかし、クエルセチンやルチン等のフラボ
ン誘導体、フラノボノール誘導体は黄色の色調が強く、
化粧品原料として利用する上で問題となる点の一つであ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ビタミンC類は、熱、
光に対し経時的安定性が悪く、特に、水分を含む系で変
色、変臭の原因となる。一方、ハイドロキノン系は皮膚
刺激、アレルギー性等の安全性に問題があるため、使用
が制限されている。また、空気酸化されやすいため安定
性の面においても問題がある。グルタチオン、システイ
ン等のチオ−ル系化合物は異臭が強い上、酸化されやす
く効果も緩慢である。また、2−メルカプトエチルアミ
ン塩、N−(2−メルカプトエチル)ジメチルアミン塩
等は、黒色モルモットの皮膚を脱色することが知られて
いるが、脱色後に白班が生じやすいので、一般には使用
されていない。
【0008】一方、有害な紫外線より皮膚を保護する目
的で紫外線吸収を有する成分は前記のごとくさまざまな
ものがあるが、UV−BおよびUV−Aの広い吸収領域
にわたって一様な吸収性能を有するものはなく、UV−
A領域に極大吸収を持つ紫外線吸収剤であるサリチル酸
フェニル誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体はいずれも
光毒性、光アレルギー性などの安全面および安定性に問
題があり、実際に化粧料への適用は困難である。そこで
現在、紫外線等による皮膚の炎症を防ぐことも併せて、
UV−BだけでなくUV−Aをも遮断して、皮膚の紅斑
および黒化を防ぐ安定性の高い化粧料が求められてい
る。
【0009】以上の様にメラニン生成抑制物質を有効成
分とする美白化粧料や、これを製剤化して皮膚に塗布す
るようにした皮膚外用剤や紫外線吸収剤は知られている
が、さらに、メラニン生成抑制効果の優れ、有害な紫外
線より皮膚を守り、抗炎症作用を持った、安全性の高い
化粧料が求められている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる状
況を鑑み、さきに有効成分としてフラバノノールに属す
るジヒドロミリセチンを含有する化粧料について特許出
願(特開昭63−208506)を行い、該化合物が紫
外線防御作用が大きいと共に、酸化安定性をはじめp
H、光、熱等に対する安定性に優れ、保存性も良好であ
り、化粧品原料として優れていることを明らかにした。
しかし、さらに鋭意研究を重ねた結果、フラバノン、フ
ラバノノール、イソフラバノン、マルバハギまたはオノ
ニスの根の、水またはエタノールによる抽出物を有効成
分として含有する化粧料が、紫外線の幅広い波長領域に
わたって良好な吸収性能を示し、それによる日焼け防止
作用だけでなく、さらに、安定性が高く良好な美白作用
および皮膚の炎症を防ぐことも併せて有することを見い
だした。また、フラボン、フラボノールと比較して、
ラバノン、フラバノノール、イソフラバノン、マルバハ
ギまたはオノニスの根の、水またはエタノールによる抽
出物は抗炎症作用が高く、フラボノイド化合物群の中で
も無色もしくは薄色化合物であり、化粧品の原料として
利用範囲が広く、本発明を完成するに至った。
【0011】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、別
記の式1、2、4で表されるフラバノン、フラバノノー
ル、イソフラバノン誘導体であるプテロカルパン系化合
物、マルバハギまたはオノニスの根の、水またはエタノ
ール及びそれらの混合物による抽出物を有効成分として
含有することを特徴とする安定性の高い美白作用および
抗炎症作用を併せ持つ化粧料を提供するものである。
【0012】本発明におけるフラバノン、フラバノノー
ル、およびイソフラバノン系化合物の構造的特徴は、ア
ピゲニン、ルテオリン、クエルセチン、ルチンをはじめ
とする一般的なフラボン、フラボノールと比較して、フ
ラバノン、フラバノノールはフラボノイド骨格の2、3
位が還元されており、イソフラバノン系化合物はクロモ
ン環の3位にフェニル基が置換しており、共に2、3位
に特徴を有している。上記の化合物が安全性が高く、美
白作用等を有していることに対して如何なる機構による
ものかは未確認の段階ではあるが、おそらく4位のカル
ボキシ基と2、3位とが立体的に極めて複雑に影響し合
っていると考えられ、このことが該化合物群が本発明に
効果を発揮するための特徴である。
【0013】本発明のフラバノン、フラバノノール、お
よびイソフラバノン誘導体であるプテロカルパン系化合
は合成品であっても、天然より抽出し、精製しても良
い。また天然より抽出を行い、本発明のフラバノン、フ
ラバノノール、およびイソフラバノン系化合物を得る場
合、該化合物を含む混合物であっても良い。さらに該化
合物を2種以上含む場合でも良い。
【0014】本発明のフラバノン、フラバノノール、お
よびイソフラバノン誘導体であるプテロカルパン系化合
の例は下記の表1から2に示すように天然にも多くみ
ることが出来る。
【0015】
【表1】
【化5】
【化6】
【0016】
【表2】
【0017】
【0018】本発明の安定性の高い美白作用および抗炎
症作用を併せ持つ化粧料は、本発明のフラバノン、フラ
バノノール、およびイソフラバノン誘導体であるプテロ
カルパン系化合物の任意の1種または2種以上を有効成
分として含有したものである。該化合物の含有量として
は、0.1から10重量%の範囲が適当である。0.1
重量%未満では十分な効果が望めず、10重量%を超え
配合しても効果の増強がなく不経済である。
【0019】かかる範囲内で人体に対しまったく無害で
あると共に、紫外線の幅広い波長領域にわたって良好な
吸収性能があり、併せて、充分に満足し得る美白および
皮膚の炎症を防ぐ効果が得られる。
【0020】例えば化粧水においては、精製水にグリセ
リン、プロピレングリコール等の保湿剤、皮膚栄養剤等
を溶解し、香料等をアルコールに溶解し、両者を混合し
て室温下にて溶解する。この一般の化粧水の製造に於い
て、アルコール部に本発明のフラバノン、フラバノノー
ル、およびイソフラバノン系化合物を1種もしくは2種
以上を0.1から10重量%程度加えて化粧水とする。
【0021】またクリームにおいては、精製水に親水性
成分であるグリセリン、プロピレングリコール、ソルビ
ット等の保湿剤、ケン化乳化の場合には、アルカリを添
加して約70℃に加熱して水相部とする。一方、油相部
としてミツロウ、パラフィン、セレシン、硬化油等の固
形油分、ワセリン、ラノリン、グリセリド等の半固形油
分、スクワラン、流動パラフィン、各種エステル油等の
液状油分に防腐剤、界面活性剤等の油性成分を添加し、
加熱溶解する。上記の油相部を緩やかに攪拌しつつ、加
温した水相部を徐々に添加して、乳化する。この一般的
なクリームの製造に於いて、水相部に本発明のフラバノ
ン、フラバノノール、およびイソフラバノン系化合物を
1種もしくは2種以上を0.1から5重量%程度加えて
クリームとする。
【0022】また乳液においては、上記のクリームの製
造と同様に、精製水にグリセリン等の保湿剤等を加え
て、ケン化乳化の場合にはアルカリを添加し、加熱混合
し、水相部とする。油相部としてミツロウ、パラフィ
ン、セレシン、硬化油等の固形油分、ワセリン、ラノリ
ン、グリセリド等の半固形油分、スクワラン、流動パラ
フィン、各種エステル油等の液状油分に防腐剤、界面活
性剤等の油性成分を添加して、加熱溶解し、油相部と
し、水相部を油相部に徐々に添加して、乳化する。ま
た、これに粘度調整の為に、カルボキシメチルセルロー
ス、カルボキシビニルポリマー等の増粘剤を加えて均一
に乳化する。この一般的な乳液の製造に於いて、水相部
に本発明のフラバノン、フラバノノール、およびイソフ
ラバノン系化合物を1種もしくは2種以上を0.1から
5重量%程度加えて乳液とする。
【0023】また、添加の方法については、予め加えて
おいても、製造途中で添加しても良く、作業性を考え
て、適宜選択すれば良い。
【0024】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明するが、本発明は何らこれらに限定されるものでは
ない。なお、実施例に示す部とは重量部を、%とは重量
%を示す。
【0025】実施例−1: 7、3’、4’−トリヒド
ロキシフラバノンの合成 粉末化した塩化亜鉛65gを1lのコルベンに入れ、氷
酢酸160mlを加え加熱して溶解後、さらに110g
のレゾルシン(レゾルシノール)を加え沸騰させた。沸
騰したら加熱を止め約20分間放置し、この反応液を6
N塩酸500mlで希釈し氷水中にて冷却した。析出し
た結晶を集め、再度3N塩酸200mlで良く洗い、風
乾した。
【0026】得られた結晶(レズアセトフェノン)10
0gと3、4ージヒドロキシベンズアルデヒド100g
を1lの三角コルベンにとり、アセトン500ml加え
て溶解し、50%NaOH溶液70mlをゆっくり加え
密栓して一昼夜放置した。反応液を塩酸酸性にすると結
晶が析出した。この結晶をろ取し、水洗した後メタノー
ルにて再結晶を行い、2、4、3’、4’−テトラヒド
ロキシカルコンと7、3’4’−トリヒドロキシフラバ
ノンの混合物(80g)を得るので、これをカラムクロ
マトグラフィー(シリカゲル)にて分取し、7、3’、
4’−トリヒドロキシフラバノン(30g)を得ること
ができた。
【0027】実施例−2:アルピノン(5−ヒドロキシ
−7−メトキシフラバノノール)の単離 市販の縮砂をよく砕き、朝比奈式循環抽出器を用いてジ
エチルエーテルにてくり返し浸出した。浸液を蒸発乾固
し、残留物に約10倍量のジエチルエーテルを加えて暗
緑色の樹脂様物質を溶解した後、微黄緑色の結晶性粉末
を得た。(収率:0.4%)これを30倍量の熱トルエ
ンに溶かして活性炭で脱色し、そのろ液を放冷すると、
35℃以上でアルピノン(5−ヒドロキシ−7−メトキ
シフラバノノール)を得る。(収率:0.2%)
【0028】
【0029】実施例−4:マ−キアイン(7、4’−ジ
ヒドロキシプテロカルパン)の単離 エンジュの根500gを10倍量のメタノールにて2時
間還流抽出し濃縮する(乾燥エキスとして収率約20
%)。さらにこの濃縮エキスをベンゼン:アセトンの混
合溶媒にてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)を
行い、溶媒比ベンゼン:アセトン3:1の溶出画分を濃
縮した。これをメタノールにて再結晶することにより、
マーキアインを得た(収率:1.0%)。
【0030】実施例−5:マルバハギの抽出 乾燥したマルバハギの葉100gを粉砕し、50%(V
/V)エタノ−ル水溶液1lで5時間加熱抽出して、さ
らに濃縮することにより抽出物15gを得た。
【0031】実施例−6 乾燥したオノニスの根1kgを粉砕し、エタノ−ル1l
を加え、常温で1カ月放置する。さらに濃縮することに
より抽出物23g(99%以上の固形物を含む)を得
た。
【0032】実施例−7 化粧水 (1)7、3’、4’−トリヒドロキシフラバノン 1.0 部 (2)グリセリン 2.0 (3)エチルアルコ−ル 7.0 (4)パラオキシ安息香酸メチル 0.05 (5)ポリオキオシエチレン (20)ソルビタンモノオレート 0.5 (6)クエン酸 0.01 (7)クエン酸ナトリウム 0.1 (8)香料 0.1 (9)精製水にて全量を100とする 成分(1)〜(4)、(8)を混合して溶解する。別に
成分(5)〜(7)、(9)を混合して溶解する。つい
で両者を混合し、テトロン製布(300メッシュ)によ
りろ過し、製品とする。
【0033】実施例−8 クリーム (1)マルバハギの50%(V/V)エタノ−ル水溶液 抽出物 2.0 部 (2)スクワラン 10.0 (3)オリーブ油 3.0 (4)ステアリン酸 2.0 (5)ミツロウ 2.0 (6)ミリスチン酸オクチルドデシル 3.5 (7)ポリオキシエチレン(20) セチルエーテル 3.0 (8)ベヘニルアルコール 1.5 (9)グリセリンモノステアレート 2.5 (10)1、3−ブチレングリコール 8.5 (11)パラオキシ安息香酸メチル 0.2 (12)パラオキシ安息香酸エチル 0.05 (13)香料 0.1 (14)精製水にて全量を100とする 成分(2)〜(9)を加熱溶解して混合し、70℃に保
ち油相とする。成分(1)、(10)〜(12)を成分
(14)に加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とす
る。油相に水相を加えて乳化し、成分(13)を加えて
かき混ぜながら、30℃まで冷却して製品とする。
【0034】
【0035】実施例−10 パック (1)5−ヒドロキシ、7−メトキシフラバノノール 3.0 部 (2)ポリビニルアルコール 11.5 (3)1、3−ブチレングリコール 2.5 (4)ポリオキシエチレン(40) 硬化ヒマシ油 1.0 (5)エチルアルコール 7.0 (6)パラオキシ安息香酸メチル 0.2 (7)香料 0.05 (8)精製水にて全量を100とする 成分(1)から(8)を75℃にて加温溶解し、30℃
まで冷却し製品とする。 (以下余白)
【0036】
【発明の効果】本発明のフラバノン、フラバノノール、
イソフラバノン誘導体であるプテロカルパン系化合物、
マルバハギまたはオノニスの根の、水またはエタノール
による抽出物を有効成分として含有する化粧料は、安定
性の高い美白作用および抗炎症作用を併せ持ち、かつ安
全性においても好ましいものである。以下、実験例を挙
げて本発明の効果を説明する。
【0037】[実験例] 有効性試験例1 美白作用 チロジナーゼ活性阻害作用を調べるため、試料の0.0
5%水溶液について37℃、2週間の保温処理を行い、
その前後のチロジナーゼ活性阻害力を測定した。比較例
として、従来より化粧料として用いられているアスコル
ビン酸、ヘチマ水、およびヘチマ果実の熱水抽出物を同
様に試験した。なお、試料は実施例―1、2で得られた
フラボノイドを用いた。またヘチマの熱水抽出物(比較
例)の調製方法としては、乾燥品10gを熱水抽出(9
5℃、3時間、300ml)後、ろ液を凍結乾燥したも
のを試料とした。
【0038】チロジナーゼ活性阻害作用の測定;試験管
にL-チロシン溶液(0.3mg/ml)を1ml、マッ
クスベイン氏の緩衝液(pH6.8)を1ml、および
前記試料の0.15%水溶液0.9mlを加えて、37
℃の恒温水槽中で10分間インキュベートした。これに
チロジナーゼ水溶液(1mg/ml)を0.1ml加え
てよく攪拌し、37℃、12分間インキュベート後、分
光光度計にセットして475nmにおける吸光度を測定
した。一方、ブランクとして前記試料の代わりに蒸留水
を用いて同様の吸光度測定を行い、各試料のチロジナー
ゼ活性阻害率を次式より算出した。なお、式中のAは各
試料を添加した場合の吸光度を、Bはブランクの吸光度
を意味する。 阻害率(%)=(1−A/B)×100
【0039】これらの試験結果を表4に示す。表4より
明らかなように実施例―1、2で得たフラボノイド化合
物は、ヘチマ水およびヘチマの熱水抽出物よりも顕著な
チロジナーゼ活性阻害力を有しており、更にこの化合物
は熱安定性が良く、37℃、2週間放置後では、ビタミ
ンCよりも強力なチロジナーゼ活性阻害力を有している
ことが認められた。また、これらの安定性試験により、
これらのフラボノイド化合物は変臭、変色が見られなか
った。さらに実施例―4〜6で得られたフラボノイド化
合物、もしくは本発明のフラボノイド化合物を含む抽出
物も同様に試験したところ、同程度に良好なチロジナー
ゼ活性阻害力を示すことが判った。
【0040】
【表4】 チロジナーゼ活性阻害作用
【0041】有効性試験例2 抗炎症作用 抗炎症作用を調べるため、試料を0.01%、0.1
%、1.0%含有する各水溶液について、ヒスタミン遊
離を抑制する試験を実施した。比較例として従来より化
粧料に用いられているヘチマ水およびキタチアロエの熱
水抽出物を同様に試験した。試料は実施例―1、2で得
られたフラボノイド化合物を用いた。なお、ヘチマ水は
実験例1で使用したものと同じである。またキタチアロ
の熱水抽出物(比較例)の調製方法としては、乾燥品
10gを水300mlで3時間加熱抽出し、凍結乾燥し
たものを用いた(99%以上の固形物を含む)。
【0042】ヒスタミン遊離抑制試験;平井らの報告
(生薬学雑誌、37、374、1983.)に従って、雄性Spraqu
e-Dawley系ラット(200から450g)の腹腔内から
採取した肥満細胞に対するヒスタミン遊離抑制作用を測
定した。すなわち、4ppmのコンパウンド48/80
によるヒスタミン遊離を抑制する作用を遊離抑制率
(%)として求めた。
【0043】結果を表5に示す。これらの結果から、
施例―1、2で得たフラボノイド化合物はヘチマ水およ
びキタチアロエの熱水抽出物と比較して、顕著なヒスタ
ミン遊離抑制作用が認められ、抗炎症作用も優れている
ことを見出した。また実施例―4〜6で得られたフラボ
ノイド化合物、もしくは本発明のフラボノイド化合物を
含む抽出物についても同様に試験したところ、良好な抗
炎症作用を示すことが判った。
【0044】
【表5】 ヒスタミン遊離抑制作用
【0045】有効性試験例3 使用試験 健康な被験者30名を用いて使用試験を実施した。試料
実施例―7の化粧料を用い、フラボノイド化合物の重
量%だけを各々変化させ用いた。被験者の前腕内側部の
2cm平方のサイトに、UV−Bランプ(東芝FL−2
0SE)を用い、3mw/cmの強度の紫外線を1分
間照射した。各サイトに先の各試料を3日間毎日朝夕の
2回塗布した後、炎症の抑制効果をアンケート調査し評
価を行った。1ヵ月間使用後の色素沈着の抑制効果につ
いてもアンケート調査を行って評価を行った。なお、紫
外線照射したうちの1サイトは何も塗布しないコントロ
ールとした。アンケートの判定基準は下記に基づいて
ントロールと比較して評価を行った。 (判定基準) 有効 ◎ やや有効 ○ ほとんど無効 △ 無効 ×
【0046】
【表6−1】 炎症の抑制効果のアンケート結果
【0047】
【表6−2】 色素沈着の抑制効果の結果
【0048】表6の結果により本発明で用いる化粧料は
著効な日焼け後の炎症および色素沈着の抑制効果を示す
ことが判る。
【0049】有効性試験例4 安全性試験 本発明のフラボノイド化合物の安全性を明らかにするた
め、ヒトに対する一次刺激性試験を閉塞パッチテストに
より行った。すなわち、フィンチャンバー(EPITE
ST社製)を用い、健康人30名に対し、前腕屈側部に
48時間閉塞貼付を行い、パッチテスト用絆創膏除去
後、1時間後、24時間後、48時間後の判定の平均値
を用いて判定した。試料は実施例−1、2で得られたフ
ラボノイド化合物を用い、塗布濃度は10%(W/W)
水溶液とし、対照として蒸留水を使用した。判定結果、
本発明のフラボノイド化合物では全く紅斑を認めず、一
方、対照の蒸留水では5名にわずかな紅斑を認めた。こ
れらの結果からフラバノン、フラバノノールは一次刺激
性が極めて低く、皮膚に対して安全性が高いことが確認
された。また、実施例―4〜6で得られたフラボノイド
化合物、もしくはフラボノイド化合物を含む水溶性抽出
物も同様に試験し、皮膚に対して同様に安全性が高いこ
とが認められた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福永 巌 愛知県名古屋市西区鳥見町2丁目130番 地 日本メナード化粧品株式会社 中央 研究所内 審査官 大宅 郁治 (56)参考文献 特開 昭63−316711(JP,A) 特開 昭60−61513(JP,A) 特開 昭58−225004(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 7/00 - 7/50 CA(STN)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式1で表されるフラバノンを有効成分とし
    て、少なくとも一種以上を、0.1〜10%配合するこ
    とを特徴とする安定性の高い美白作用および抗炎症作用
    を併せ持つ化粧料。 【化1】 (式1中で、R1、R2、R3、R4およびR1’、R
    2’、R3’、R4’、R5’は、水素原子または水酸
    基、メトキシ基、もしくは直鎖状、分岐状、環状のアル
    キル基(ただし炭素数は1から10個とする)を表
    す。)
  2. 【請求項2】式2で表されるフラバノノールを有効成分
    として、少なくとも一種以上を、0.1〜10%配合す
    ることを特徴とする安定性の高い美白作用および抗炎症
    作用を併せ持つ化粧料。 【化2】 (式2中で、R1、R2、R3、R4およびR1’、R
    2’、R3’、R4’、R5’は、水素原子または水酸
    基、メトキシ基、もしくは直鎖状、分岐状、環状のアル
    キル基(ただし炭素数は4から10個とする)とし、ま
    R5はメトキシ基を表わす。)
  3. 【請求項3】マルバハギまたはオノニスの根の、水また
    はエタノールによる抽出物を、0.1〜10%配合する
    ことを特徴とする安定性の高い美白作用および抗炎症作
    用を併せ持つ化粧料。
  4. 【請求項4】式3で表わされるイソフラバノン誘導体で
    あるプテロカルパンを有効成分として、少なくとも一種
    以上を0.1〜10%配合することを特徴とする安定性
    の高い美白作用および抗炎症作用を併せ持つ化粧料。 【化4】 (式4中で、R1、R2、R3、R4およびR1’、R
    2’、R3’、R4’、R5’は、水素原子または水酸
    基、メトキシ基、もしくは直鎖状、分岐状、環状のアル
    キル基(ただし炭素数は4から10個とする)を表
    す。)
JP20035492A 1992-07-02 1992-07-02 化粧料 Expired - Lifetime JP3241440B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20035492A JP3241440B2 (ja) 1992-07-02 1992-07-02 化粧料

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20035492A JP3241440B2 (ja) 1992-07-02 1992-07-02 化粧料

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0616531A JPH0616531A (ja) 1994-01-25
JP3241440B2 true JP3241440B2 (ja) 2001-12-25

Family

ID=16422907

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP20035492A Expired - Lifetime JP3241440B2 (ja) 1992-07-02 1992-07-02 化粧料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3241440B2 (ja)

Families Citing this family (27)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE4444238A1 (de) * 1994-12-13 1996-06-20 Beiersdorf Ag Kosmetische oder dermatologische Wirkstoffkombinationen aus Zimtsäurederivaten und Flavonglycosiden
JPH08283143A (ja) * 1995-04-14 1996-10-29 Kose Corp 皮膚外用剤
AUPO203996A0 (en) * 1996-08-30 1996-09-26 Novogen Research Pty Ltd Therapeutic uses
US6060070A (en) * 1997-06-11 2000-05-09 Gorbach; Sherwood L. Isoflavonoids for treatment and prevention of aging skin and wrinkles
JPH11255637A (ja) * 1998-03-13 1999-09-21 Kansai Kouso Kk チロシナーゼ活性阻害剤及び化粧料
BR9908870A (pt) * 1998-03-16 2000-11-21 Procter & Gamble Processos para regularizarem a aparência da pele
US7799766B2 (en) * 1998-04-08 2010-09-21 Theta Biomedical Consulting & Development Co., Inc. Composition for treating hormonally-dependent cancers
GB9918030D0 (en) * 1999-07-30 1999-09-29 Unilever Plc Skin care composition
US20020016358A1 (en) * 2000-04-19 2002-02-07 Nof Corporation Cosmetic composition
JP4585671B2 (ja) * 2000-09-11 2010-11-24 ポーラ化成工業株式会社 新規ベンズジピラン誘導体及びそれを含有してなる皮膚外用剤
GB0027769D0 (en) * 2000-11-14 2000-12-27 Unilever Plc Cosmetic method of treating skin
KR100472694B1 (ko) * 2000-12-30 2005-03-07 한국생명공학연구원 플라바논 유도체 및 이를 포함하는 혈중 지질 농도 관련질환의 예방 및 치료용 조성물
JP4901024B2 (ja) * 2001-06-22 2012-03-21 株式会社ナリス化粧品 8−OHdG(8−ハイドロキシデオキシグアノシン)産生抑制剤
KR20030091049A (ko) * 2002-05-22 2003-12-01 한국생명공학연구원 멜라닌 생합성 저해활성을 가지는 화합물을 함유하는피부미백제
JP2005343864A (ja) * 2004-06-07 2005-12-15 Kuraray Co Ltd 皮膚外用剤
JP5041569B2 (ja) * 2004-09-01 2012-10-03 丸善製薬株式会社 チロシナーゼ活性阻害剤、美白剤及び皮膚化粧料
US20080207928A1 (en) * 2005-03-12 2008-08-28 Ranjit Bhogal Hair and/or Scalp Care Compositions Incorporating Flavonoid Compounds
CA2599349C (en) 2005-03-12 2014-08-19 Unilever Plc Hair and/or scalp care compositions incorporating amino-oxo-indole-ylidene compounds
DE102005056890A1 (de) * 2005-11-28 2007-05-31 Institut für Umweltmedizinische Forschung gGmbH Kosmetisches Verfahren zur Beeinflussung der Melaninbildung in der Haut
JP2007223965A (ja) * 2006-02-24 2007-09-06 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 表皮角化細胞エンドセリン−1産生抑制剤
WO2007128725A1 (en) * 2006-05-03 2007-11-15 Symrise Gmbh & Co. Kg 6h-benzofuro[3,2-c] [1]benzopyran and [2] benzopyrano [4,3-b] [1]benzopyran derivatives and wood extracts of these compounds as aryl hydrocarbon receptor (ahr) antagonists for the prevention of uv-b induced skin damage
JP2010083804A (ja) * 2008-09-30 2010-04-15 Saishunkan Seiyakusho:Kk 美白化粧料
JP2011213600A (ja) * 2010-03-31 2011-10-27 Toyo Shinyaku Co Ltd 美白剤
CN102985068B (zh) 2010-05-18 2014-10-22 荷兰联合利华有限公司 个人护理组合物
KR101692851B1 (ko) 2015-10-16 2017-01-05 경상대학교산학협력단 아모르피제니를 유효성분으로 함유하는 피부 미백용 조성물
KR101965978B1 (ko) * 2017-11-01 2019-04-04 포항공과대학교 산학협력단 8-메톡시부틴을 포함하는 피부 미백 또는 열노화 개선용 조성물
WO2019117371A1 (ko) * 2017-12-14 2019-06-20 주식회사 파이토코퍼레이션 아이리린 b를 포함하는 혈전증 예방 및 치료용 조성물

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0616531A (ja) 1994-01-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3241440B2 (ja) 化粧料
US6124268A (en) Natural antioxidant compositions, method for obtaining same and cosmetic, pharmaceutical and nutritional formulations thereof
JP4850397B2 (ja) クロメン−4−オン誘導体類の使用
JP2890212B2 (ja) 化粧料
DE19807774A1 (de) Verwendung von Flavonen bzw. Flavanonen bzw. Flavonoiden zum Schutze von Ascorbinsäure und/oder Ascorbylverbindungen gegen Oxidation
JP2004115513A (ja) 抗酸化剤性質を有する製剤
FR2679140A1 (fr) Composition cosmetique ou dermatologique depigmentante contenant des derives d'arbutoside.
JP2003524648A (ja) ベンゾフラノン誘導体を含む酸化ストレスに対する保護用の配合物
DE19806890A1 (de) Kosmetische und dermatologische Wirkstoffkombinationen aus mindestens einer Substanz gewählt aus der Gruppe, bestehend aus Carnitin und den Acylcarnitinen, und mindestens einem Antioxidans sowie Zubereitungen mit einem Gehalt an solchen Wirkstoffkombinationen
JP2002193962A (ja) 生薬製剤
JP2003002819A (ja) 皮膚組成物
JP3084104B2 (ja) 化粧料
JP2006225359A (ja) 美白化粧料
JP2896815B2 (ja) 化粧料
JPH07252128A (ja) 皮膚外用剤
FR2820974A1 (fr) Composition topique comprenant une solution vraie contenant un derive de chromane ou de chromene, son procede de preparation et son utilisation cosmetique et therapeutique
JP2004345969A (ja) チロシナーゼ阻害剤及びそれを用いた美白化粧料
EP1909919B1 (de) Flavonoide als synergisten zur verstärkung der wirkung von selbstbräunungssubstanzen
JP3010560B2 (ja) 化粧料
JP3647295B2 (ja) 過酸化脂質生成抑制剤及びこれを含有する組成物
JP2896816B2 (ja) 化粧料
KR100449228B1 (ko) Egcg 유도체와 그 제조방법 및 이를 함유하는 화장료조성물
JP2896814B2 (ja) 化粧料
JP3027409B2 (ja) 化粧料
JP3792053B2 (ja) 過酸化脂質生成抑制剤及びこれを含有する組成物

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101019

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121019

Year of fee payment: 11

EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121019

Year of fee payment: 11