JP3240284U - 木造建物の外周壁構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】内張り断熱の木造建物において、施工後に電気・通信配線の配設作業が容易で、取り回しの自由度の高い外周壁構造を提供する。【解決手段】木造建物の外周壁構造は、柱4、5の屋内側にスペーサー21を介して内装材22を取り付け、断熱材9と内装材22との間に空間を形成し、さらに、該空間内において、床板8に貫通孔8aを形成する。【選択図】図2

Description

本発明は、木造軸組工法による木造建物の内張り断熱の外周壁構造に関する。
木造住宅の断熱施工としては、通し柱や管柱、間柱などの縦材と、梁や桁、胴差しなどの横材で囲まれた空間にグラスウールなどの断熱材を充填する内張り断熱(充填断熱)と、上記縦材や横材の屋外側に板状の断熱材を取り付ける外張り断熱とがある。外張り断熱は内張り断熱に比べて断熱材が高価であり、断熱材の厚さ分だけ外周壁が厚くなるため、実質的な床面積が狭くなる。一方、内張り断熱は既存の外周壁内の空間を利用するため外周壁が厚くならず、断熱材も比較的安価で施工費用を抑えることができる(特許文献1参照)。
特開2012-246720号公報
一般の木造住宅では、照明や空調、コンセント、インターフォン、固定電話といった、電気設備や通信設備(以下、「電気・通信設備」と記す)のケーブルや配線(以下、「電気・通信配線」と記す)は、見栄えをよくするため、予め設定された設備の位置に合わせて、内装材を取り付ける前に配置され、内装材で覆うことで屋内側からは見えないように施工されている。
しかしながら、近年は、施主や購買者によって施工後に電気・通信設備の位置を決めたいという要望や、リフォーム等で電気・通信設備の位置を変更したいという要望が増えてきている。
内張り断熱の場合、柱と柱の間に断熱材を充填した上で屋内側に内装材を取り付けており、断熱効果を十分に得るために断熱材は柱の厚さ(奥行)分を埋めるように充填されるため、断熱材の屋内側表面と、内装材の屋外側表面との間にはほとんど隙間がない。そのため、電気・通信配線は、内装材を取り付ける前に配設する必要があり、施工後に電気・通信設備の位置を決める、或いは既に設置されている設備を移動させる場合、電気・通信配線を新たに配設するために、一旦内装材を取り外す必要があり、作業が煩雑であった。
本考案の課題は、内張り断熱の木造建物において、施工後に電気・通信配線の配設作業が容易な外周壁構造を提供することにある。
本考案は、外周壁を構成する柱と柱の間に断熱材が充填され、前記断熱材の屋内側に内装材が配置された内張り断熱構造を有する木造建物の外周壁構造であって、
前記柱の屋内側にスペーサーを介して前記内装材が取り付けられ、前記断熱材の屋内側表面と前記内装材の屋外側表面との間に空間を有し、
前記空間内において床板に厚さ方向に貫通する貫通孔を有することを特徴とする。
本考案においては、断熱材と内装材との間に、スペーサーによって空間が形成され、さらに、床板には貫通孔が設けられているため、該空間が設けられた領域であれば、外周壁のいずれの位置であっても、内装材を取り外すことなく、自由に電気・通信配線を引くことができる。よって、施工後であっても、電気・通信設備の位置の設定、変更を容易に、且つ自由に行うことができる。
本考案の外周壁構造の一実施形態の構成を模式的に示す垂直方向及び厚さ方向の切断端面図である。 図1の外周壁構造の水平方向の断面図である。 図1とは異なる位置の切断端面図である。 従来の外周壁構造の構成を模式的に示す垂直方向及び厚さ方向の切断端面図である。 図4の外周壁構造の水平方向の断面図である。
本考案は、木造軸組工法による木造建物の外周壁構造に関し、該外周壁構造を構成する柱と柱の間に断熱材が充填された内張り断熱構造において、断熱材と内装材との間に電気・通信配線の配設作業のための空間を形成し、さらに、床板に電気・通信配線の引き込み、引き出しのための貫通孔を設けたことに特徴を有する。尚、本考案において、外周壁構造を構成する柱とは、通し柱、管柱、間柱である。
先ず、従来の外周壁構造について、図4,図5を用いて説明する。図4は、従来の外周壁構造の構成を模式的に示す垂直方向及び厚さ方向の切断端面図であり、図5のE-E’部位の切断端面図である。図5は、水平方向の断面図であり、図4のD-D’部位の断面図である。尚、図面には、便宜上、主要な部材のみを示している。
一般的な木造建物の外周壁は、先ず、基礎1の上に気密パッキン16を介して土台2が配置され、該土台2の上に通し柱(不図示)が立てられる。そして、通し柱と通し柱とを胴差し3で繋ぎ、2本の通し柱の間に、所定の間隔で管柱4が取り付けられる。また、土台2の上に一階の床板7が、胴差し3の上に二階の床板8が配置される。尚、詳細には、床板は大引きや床梁上に根太を配置し、該根太上に床材を載置して形成されるが、本考案においては、便宜上、大引きや床梁、根太、床材等、床を構成する部材を包含して床板と記す。
管柱4及び通し柱の屋外側に構造合板6が取り付けられ、通し柱と管柱4との間、及び、2本の管柱4,4間に間柱5が取り付けられる。以下、柱4,5とは、不図示の通し柱、管柱4、間柱5を指すものとする。間柱5を取り付けた後、隣り合う2本の柱4,5の間、即ち、通し柱と間柱5との間、及び、管柱4と間柱5との間に断熱材9が充填される。断熱材9としては、グラスウールや、吹き付けポリウレタンフォーム、或いは、ポリスチレンフォームパネルなどが用いられる。その後、柱4,5の屋内側に内装材22が取り付けられる。
基礎1の屋外側には断熱材14が取り付けられ、さらに、土台2及び断熱材14に水切り金物15が取り付けられる。構造合板6の屋外側には胴縁11を介して外装材12が取り付けられる。屋内においては、一階の天井13及び不図示の二階の天井が取り付けられる。さらに、必要に応じて、内装材22の屋内側に不図示の化粧板や壁紙などが取り付けられる。
従来の外周壁構造では、内装材22を取り付ける前に、断熱材14の屋内側表面に電気・通信配線を配設しておき、内装材22には該配線の引き出し孔を設けておいて、該引き出し孔から配線を引き出しつつ、内装材22を取り付け、その後、必要な設備を取り付けて引き出しておいた配線を該設備に接続していた。
次に、本考案の実施形態を挙げて、本考案の特徴を説明する。図1~図3は本考案の好ましい実施形態の構成を模式的に示す図であり、図1,図3は垂直方向及び厚さ方向の切断端面図、図2は水平方向の断面図である。また、図1は図2中のB-B’部位の切断端面図であり、図3は図2中のC-C’部位の切断端面図であり、図2は図1のA-A’部位の断面図である。以下、図4,図5に挙げた従来の外周壁構造とは異なる点について説明し、共通する点については説明を省略する。また、図1~図3において、図4,図5と同じ部材は同じ符号で示した。
従来の外周壁構造においては、断熱材9を充填した後、柱4,5の屋内側に内装材22を取り付けていたが、本考案においては、柱4,5の屋内側にスペーサー21を取り付け、該スペーサー21の屋内側に内装材22を取り付ける。その結果、断熱材9の屋内側表面と内装材22の屋外側表面との間にスペーサー21の厚み分の空間23a,23bが形成される。そして、床板7,8の、該空間23a,23b内に露出した領域には、床板7,8の厚さ方向に貫通する貫通孔7a、8aが形成されている。図2に示すように、二階の床板8によって区分される、断熱材9と内装材22との間の空間23a,23bは、貫通孔8aによって連通し、1階の床板7で区分される、断熱材9と内装材22との間の空間23aと床下とは、貫通孔7aによって連通する。貫通孔7a,8aは、予め床板7,8に形成した状態で、床板7,8を取り付けても良いし、床板7,8を取り付けた後に貫通孔7a,8aを形成しても良い。
上記のように、断熱材9と内装材22との間に空間23a,23bが形成されたことにより、該空間23a,23bのそれぞれの内部において、内装材22を取り外すことなく、電気・通信配線の引き回しを変更することが可能な上、空間23aと23bとの間、及び、空間23aと一階の床下との間で、貫通孔7a,8aを介して電気・通信配線の引き込み、引き出しができる。
また、二階の空間23bは二階の天井(不図示)上に通じているため、二階の天井上の空間に電気・通信配線を引くことも可能である。
よって、係る空間23a,23b、貫通孔7a,8aを形成した領域において、内装材22を取り付けた後に、内装材22を取り外すことなく、電気・通信配線を自由に配設することができる。即ち、内装材22の取り付け前に電気・通信設備の位置を設定する必要がなく、施工後の建物を見て、施主や購入者が設備の位置を自由に設定することができ、その後に変更することも容易になる。
尚、1階の天井13に取り付けられる照明等の配線は、通常、天井13と2階の床板8との間で引き回されるため、係る配線を空間23aに引き出すために、内装材22に開孔を設けておくことが好ましい。同様に、2階の天井(不図示)に取り付けられる照明等の配線の引き出しのため、内装材22の、2階の天井より上方に開孔を設けておくことが好ましい。
本考案において、断熱材9と内装材22との間に所定の距離を設けるためのスペーサー21の厚み(外周壁の厚さ方向の寸法)としては、電気・通信配線の配設、及び、配設作業が容易になる程度でよく、具体的には、30~40mm程度あればよい。また、スペーサー21としては、一般的に用いられる胴縁を利用することができる。また、貫通孔7a,8aの大きさとしては、直径が25~35mm程度あればよく、床板7,8のそれぞれについて、一つの空間に少なくとも一つ設けていればよく、場所も限定されない。
1:基礎、2:土台、3:胴差し、4:管柱、5:間柱、6:構造合板、7,8:床板、9:断熱材、11:胴縁、12:外装材、13:天井、14:断熱材、15:水切り金物、16:気密パッキン、21:スペーサー、22:内装材、23a,23b:空間

Claims (1)

  1. 外周壁を構成する柱と柱の間に断熱材が充填され、前記断熱材の屋内側に内装材が配置された内張り断熱構造を有する木造建物の外周壁構造であって、
    前記柱の屋内側にスペーサーを介して前記内装材が取り付けられ、前記断熱材の屋内側表面と前記内装材の屋外側表面との間に空間を有し、
    前記空間内において床板に厚さ方向に貫通する貫通孔を有することを特徴とする木造建物の外周壁構造。
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