JP3202806U - 木造建物及びその外周壁構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】内装面材と間柱と断熱材とを柱よりも外側に配置し、柱間に間柱を配置せずに屋内側に開放した外周壁構造において、電気・通信配線の屋内側への露出を抑えることができる外周壁構造及びそれを備えた木造構造を提供する。【解決手段】内装面材14と、断熱材15と、該内装面材14と断熱材15との間に配置された間柱16とを備えた中空パネル10を、内装面材14を屋内側に向けて柱11の外側に配置し、間柱16を軸組に取り付けることにより該中空パネル10を軸組に取り付け、内装面材14と断熱材15との間の間隙を電気・通信配線の引き回しに用いる。【選択図】図1
Description
本考案は、木造軸組工法による外張断熱の木造建物の外周壁構造と、該外周壁構造を備えた木造建物に関する。
木造住宅や木造倉庫等の木造建物の断熱施工には柱や間柱などの縦材と、梁や桁、胴差などの横材との間の空間にグラスウールなどの断熱材を充填する充填断熱と、上記縦材や横材の外側に板状の断熱材を取り付ける外張断熱とがあり、従来はいずれも柱の屋内側に石膏ボードなどの耐火性の内装面材が取り付けられていた。そのため、外張断熱は充填断熱に比べ断熱材の厚さ分だけ外周壁が厚くなり、実質的な床面積が狭くなるという問題があった。しかしながら、建物の外周を隙間なく断熱材で覆うことができ、均一で高い断熱性が得られることと、壁内結露が生じないという利点があることから、外張断熱を施工する木造建物が増えてきている。
特許文献1には、内装面材と断熱材とを備えた断熱パネルを柱の外側に配置し、さらに、通常柱間に配置される構造部材としての間柱を断熱パネルの外側に配置して軸組に取り付け、柱間の間柱をなくした上で、柱間の空間を屋内側に開放することで床面積を広げた外周壁構造が開示されている。それまでの断熱施工においては、内装面材で覆われる柱間の空間に電気・通信配線や水回り及びガス設備の配管を設置していたため、柱の屋内側に内装面材を取り付ける前に電気・通信設備や水回り・ガス設備の位置を決定する必要があったが、特許文献1の構造では、柱の屋外側に内装面材が取り付けられるため、外周壁の施工後に電気・通信設備や水回り・ガス設備の位置を選択して取り付けを行うことができる。
上記したように、特許文献1の外周壁構造を備えた木造建物においては、電気・通信設備や水回り・ガス設備の位置を外周壁の施工後に自由に選択することができるが、電気・通信設備の配線(電気・通信配線)や水回り及びガス設備の配管(水回り・ガス配管)が屋内に露出した状態となる。特に、水回り・ガス配管に比べて、電気・通信配線については数が多く、配線経路も長い上、最近では、ガスを用いず、家庭内で用いるエネルギーを全て電気で賄ったオール電化住宅も増加しており、より電気・通信配線の数及び経路が増加している。そのため、これら電気・通信配線の屋内への露出をできるだけ抑える方策も必要となってきた。
また、特許文献1の外周壁構造を備えた木造建物において、電気・通信配線を床下に引き出す際には、床下に配置された土台を避けて床部材に孔を開けて引き出す必要があり、作業が繁雑であった。
本考案の課題は、内装面材と間柱と断熱材とを柱よりも外側に配置し、柱間に間柱を配置せず、該柱間の空間を屋内側に開放した開放領域を有する外周壁構造において、外周壁の施工後に電気・通信設備を取り付ける際に、電気・通信配線の屋内側への露出を抑えること、さらには、該電気・通信配線を床下に容易に引き出すことにある。また、本考案は、上記外周壁構造を備えた木造建物を提供することにある。
本考案の第一は、柱及び横材を備えた木造建物の軸組の外側に、内装面材と間柱と板状の断熱材とを備え、隣り合う2本の柱の間には間柱が無く、柱間の空間が屋内側に開放された開放領域を有する木造建物の外周壁構造において、
少なくとも一コーナー部に前記開放領域を備え、
少なくとも一部の前記開放領域が、前記軸組の外側に前記内装面材が配置され、前記内装面材の外側に前記間柱が配置されて前記軸組に取り付けられ、前記内装面材の外側に所定の間隙を介して前記断熱材が配置されていることを特徴とする。
少なくとも一コーナー部に前記開放領域を備え、
少なくとも一部の前記開放領域が、前記軸組の外側に前記内装面材が配置され、前記内装面材の外側に前記間柱が配置されて前記軸組に取り付けられ、前記内装面材の外側に所定の間隙を介して前記断熱材が配置されていることを特徴とする。
上記本考案の木造建物の外周壁構造においては、下記の構成を好ましい態様として含む。
前記内装面材と前記断熱材との間に前記間柱が配置されていること、特に、前記間柱の外側に合板が配置され、前記合板の外側に前記断熱材が配置されていること。
前記間柱の外側に合板が配置され、前記合板の内側であって間柱間に前記断熱材が充填されていること。
前記外周壁構造の外側に通気胴縁が配置され、外装材が前記胴縁に取り付けられていること。
前記軸組が基礎上に配置された土台を有し、前記土台が上面側に内外に貫通する凹部を有し、前記内装面材が前記土台の外側に隣接して、前記内装面材と前記間柱と前記断熱材とが前記基礎上に配置されていること。特に、前記凹部の深さが前記土台の1/2以下であること。前記内装面材が前記凹部の外側の開口部に重なる開口部を有していること。前記基礎の外周に断熱材が取り付けられて基礎断熱が施工されていること。
前記間隙の奥行きが60mm〜120mmであること。
前記間柱の奥行きが60mm〜120mm、幅が45mm〜90mmであること。
少なくとも一部が耐力壁であること。
前記内装面材と前記断熱材との間に前記間柱が配置されていること、特に、前記間柱の外側に合板が配置され、前記合板の外側に前記断熱材が配置されていること。
前記間柱の外側に合板が配置され、前記合板の内側であって間柱間に前記断熱材が充填されていること。
前記外周壁構造の外側に通気胴縁が配置され、外装材が前記胴縁に取り付けられていること。
前記軸組が基礎上に配置された土台を有し、前記土台が上面側に内外に貫通する凹部を有し、前記内装面材が前記土台の外側に隣接して、前記内装面材と前記間柱と前記断熱材とが前記基礎上に配置されていること。特に、前記凹部の深さが前記土台の1/2以下であること。前記内装面材が前記凹部の外側の開口部に重なる開口部を有していること。前記基礎の外周に断熱材が取り付けられて基礎断熱が施工されていること。
前記間隙の奥行きが60mm〜120mmであること。
前記間柱の奥行きが60mm〜120mm、幅が45mm〜90mmであること。
少なくとも一部が耐力壁であること。
本考案の第二は、上記本考案の第一の木造建物の外周壁構造を有することを特徴とする木造建物である。
本考案によれば、柱間に間柱がなく、柱間の空間が屋内側に開放された開放領域において、柱の外側に配置された内装面材と断熱材との間に間隙を有するため、屋内側に取り付けられた電気・通信設備からの配線を、上記間隙に引き出すことで屋内側への配線の露出を抑えることができる。本考案では、上記間隙が内装面材側に有るため、配線を引き出すための孔は内装面材のみに設ければ良く、上記間隙への電気・通信配線の引き出し作業性が良い。
特に、本考案において、基礎の上に配置される土台の上面に内外に貫通する凹部を設け、該土台に隣接して内装面材を配置することによって、内装面材と断熱材との間の間隙に引き出された配線を、容易に床下に引き出すことができる。さらに、内装面材と間柱と断熱材とを基礎の上に配置し、基礎の外周に断熱材を取り付けて基礎断熱を施工することにより、基礎とその上部との間で断熱欠損のない連続した断熱施工を施すことができる。
よって、本考案によれば、高い断熱性能を備え、柱間の空間が利用できる広い床面積の木造建物において、外周壁の施工後に電気・通信設備の取り付け位置を自由に選択して、繁雑な作業を経ることなく、電気・通信配線の屋内側への露出を最小限に抑えて電気・通信設備を設置することができる。また、電気・通信配線の床下への引き出しも容易であり、電気・通信配線の配線施工をより安価に実施することができる。さらに、一旦取り付けた電気・通信設備の位置の変更も容易であり、模様替えやリフォームの際の設計自由度が向上する。
本考案は、木造建物の外周壁構造と、該外周壁構造を有する木造建物に関する。本考案において「木造建物」とは、木造軸組工法で構築される建物全般を意味し、建築基準法によって区分される「建築物」及び「工作物」の双方を含むものである。また、木造軸組工法としては、伝統的な木材のみで枠組を構築する従来工法以外にも、SE(Engineering For Safety)構法やKES(Kimura Excellent Structure)構法などの専用の金物を用いて木材同士を接合する接合金物工法も本考案においては好ましく適用される。
本考案の外周壁構造は、軸組の外側に、内装面材と間柱と板状の断熱材とを備え、隣り合う2本の柱の間には間柱が無く、柱間の空間が屋内側に開放された開放領域を有している。そして、少なくとも一コーナー部に前記開放領域を有すること、及び、少なくとも一部の開放領域が後述する特定の構造を備えていることに特徴を有する。尚、本考案に係る特定の構造を備えた開放領域は、外周壁の一部に設けられていれば良く、コーナー部であっても、コーナー部以外であっても良い。また、本考案に係る特定の構造を備えた開放領域以外に、該特定の構造を備えていない開放領域を有していても良い。
本考案に係る軸組には、柱及び横材が含まれるが、本考案において「柱」とは、構造部材である通柱と管柱とを指す。近年の木造建物においては、通柱を用いない構造もあり、本考案は係る構造も含む。尚、通柱を用いない構造の場合、通柱の位置には管柱が配置される。また、本考案において「横材」とは、梁、桁、胴差、土台等水平方向に配置される構造部材である。
また、本考案において、内装面材と断熱材との間の間隙に引き出される電気・通信配線は、屋内に露出した柱や梁等の軸組や壁面、天井、床などに取り付けられた電気・通信設備に接続される配線やケーブルであり、係る電気・通信設備とは、照明器具や音響・映像機器、空調機器等の電気機器、該電気機器や給湯設備などの操作パネルやスイッチ、アース端子、電源コンセント、インターホンの屋内機器、固定電話やLANのコンセントなどである。
以下、図面を参照し、好ましい実施形態として2階建て木造住宅を例に挙げて詳細を説明する。これらの実施形態に記載されている構成部材の寸法、材質、形状、その相対配置などは、本考案の範囲を限定するものではない。尚、本明細書で特に図示又は記載されない部分に関しては、当該技術分野の周知又は公知技術を適用する。
図1は、本考案の外周壁構造の好ましい実施形態を示す断面模式図であって、垂直方向及び厚さ方向に平行な断面模式図である。また、図2(a)は図1中のA−A’断面模式図、図2(b)は図1中のB−B’断面模式図であり、図1は図2(a)中のC−C’断面模式図に相当する。さらに、図3は図1の外周壁構造の施工に用いられる中空パネルの構成を模式的に示す斜視図であり、図4は図1の胴差付近の拡大図、図5は図1の実施形態の1階部分を一部切り取った状態を示す斜視図である。図中、同じ部材には同じ符号を付したが、図2,図5においては、中空パネルを示す符号10を便宜上省略した。
本考案の外周壁構造は、外張断熱であるため、図1に示されるように、柱11、土台12、胴差13等の軸組の外側(紙面右側)に断熱材15が配置されるが、本考案では、軸組の外側に先ず内装面材14が配置され、該内装面材14の外側に間柱16が配置されて該間柱16が軸組に取り付けられる。そして断熱材15は、内装面材14の外側において、該内装面材14とは所定の間隙を介して配置される。本例は、間柱16の外側に断熱材15を配置した例を示す。また、本例では、施工作業の容易性を配慮して、図3(a)に示される、板状の断熱材15と内装面材14と間柱16とを一体とした中空パネル10を軸組に取り付ける形態を示す。また、本例は、本考案に係る特定の構造を備えた開放領域を外周壁の一コーナー部に設けた構成例である。
本例の中空パネル10において、間柱16の位置は、間柱16の軸組への取り付け易さを考慮して、図2,図3(a)に示すように少なくとも中空パネル10の水平方向の両端に配置する。さらに、両端の間柱16,16の中間にさらなる間柱16を配置してパネル10を補強することが好ましい。本例の中空パネル10では、間柱16を介して内装面材14と断熱材15とが一体化されているので、間柱16の奥行き(外周壁の厚さ方向の長さ)分の間隙が中空パネル10内に形成される。
中空パネル10に用いられる間柱16は、従来、柱11,11間に配置されていた構造部材としての間柱に相当し、本考案においても軸組への取り付け後は構造部材として機能する。よって、間柱16の奥行きは60mm〜120mm、幅は45〜90mmが好ましく、ピッチが450mm〜910mmとなるように用いられることが好ましい。また、内装面材14と断熱材15との間隙の奥行き(図3(a)中のt)は、電気・通信配線の引き回しができるように60mm以上が好ましく、上限は間柱16の奥行きで決定されるため、120mm以下が好ましい。
また、内装面材14としては、本考案の木造建物が建築される区域の耐火基準を満たし、壁面としての強度と、屋内側に露出しても影響のない美粧性を備えた材質が選択される。よって、屋内側に耐火性の壁材が必要でない区域では、合板に壁紙(クロス)などの内装材を貼付したものでもよく、耐火基準が厳しい区域では、耐火性と美粧性を備えた壁材や、耐火性の壁材と壁紙などの内装材とを組み合わせたものが用いられる。具体的には、例えば、耐火性と美粧性とを有する9.5mm厚の「モイス(登録商標)」(三菱商事建材株式会社)が好ましく用いられる。間柱16と内装面材14とは、内装面材14の屋内側表面に影響が出ないように、接着剤によって一体化すればよいが、内装面材14と間柱16との接着強度が弱い場合には、間柱16に釘などで合板を取り付け、該合板に内装面材14を接着した構成としても良い。
また、断熱材15としては、一般の木造住宅の断熱施工に用いられる板状の断熱材が好ましく用いられる。具体的には、例えば、JIS A 9511発泡プラスチック保温材に規定するA種フェノールフォーム保温板1種2号F☆☆☆☆Sの「ネオフォーム(登録商標)」(旭化成建材株式会社)や「フェノバボード(登録商標)」(積水化学工業株式会社)が好ましく用いられる。断熱材15の厚さは木造建物が構築される区域の環境によって適宜選択される。
間柱16と断熱材15との一体化手段は特に限定されないが、内装面材14と同様に接着剤を用いて一体化することが好ましく、必要に応じて釘やビスなどを用いても良い。
本考案において、間柱16は軸組に取り付けられ、構造部材として機能する。よって、中空パネル10は、間柱16を軸組に取り付けることで、該軸組に固定される。図1においては、間柱16は上下で胴差13,土台12等の横材に取り付けられる。よって、1階の外周壁を構成する中空パネル10の上端は、1階の胴差13の垂直方向の中央部までとし、係る胴差13の上半分には、2階の外周壁を構成する中空パネル10の下端を取り付ける。柱11に重なる位置の間柱16については、柱11にも取り付けることが好ましい。間柱16の軸組への取り付けは、図4に示されるように、外側からビス31やネジ、釘等の取り付け部材を用いて行われる。尚、中空パネル10を軸組に取り付ける際には、予め両面テープや接着剤等を用いて、中空パネル10を軸組に仮止めしても良い。さらに、水平方向及び垂直方向で互いに隣接する中空パネル10の境界は気密テープを貼付して気密性を高めておくことが好ましい。また、中空パネル10の外側にはさらに、防水シートなどを適宜取り付けても良い。
尚、本考案の外周壁構造のコーナー部においては、図2に示されるように柱11の外側に間柱16と内装面材14に対応する寸法の角材23を取り付け、断熱欠損が生じないように角材23の外側に断熱材15を配置しておけばよい。
本考案の外周壁構造においては、最外部に通気胴縁17を介して外装材18が取り付けられる。通気胴縁17は図4に示されるようにビス32などの取り付け部材を用いて間柱16に取り付けられるため、予め断熱材15の外側に間柱16の位置を示す目印を付けておけば、通気胴縁17の位置決めが容易になり好ましい。通気胴縁17としては、従来、外装材18の下地材として用いられている縦胴縁が好ましく用いられ、厚さ(外周壁の厚さ方向の長さ)が18mm〜20mm、幅(外周壁の壁面に平行な水平方向の長さ)が30mm〜60mm程度である。
また、外装材18としては、外壁の耐火基準を満たした、金属系や窯業系のサイディング、ALC(軽量気泡コンクリート板)といった市販の外装パネルが好ましく用いられるが、本考案においてはこれらに限定されるものではない。外装材18は、ビス33などの取り付け部材を用いて胴縁17に取り付けられる。
本考案の外周壁構造においては、屋内側に内装面材14を備えていることから、さらに内側に石膏ボードなどの内装面材を取り付ける必要がない。また、軸組に外側から間柱16が取り付けられているため、係る領域では外からの風圧に対する耐力を有している。よって、係る領域においては、柱11,11間に間柱を取り付ける必要が無く、柱11,11間を屋内側に開放した開放領域として、広い床面積を得ることができる。また、内装面材14を含め、全ての部材が軸組の外側から取り付けられるため、取り付け部材が屋内側に露出せず、見栄えが良い。
本考案の外周壁構造においては、内装面材14と断熱材15との間に間隙を有しているため、係る間隙に電気・通信配線を引き出すことで電気・通信配線の屋内側への露出を最小限に抑えることができる。また、電気・通信配線を該間隙に引き出す際には、内装面材14に孔を開けるだけで良いため、作業性も良い。
また、図1、図4においては、床下地材25と床仕上材26からなる2階の床構造が1階の天井となっている構成を示したが、2階の床構造の下に1階の天井部材を設けて天井とする場合には、係る天井部材を胴差13の下方に取り付けることで、1階の天井部材と胴差13との間に形成された隙間を利用して、1階の天井裏に引き出した電気・通信配線をそのまま内装面材14と断熱材15との間の間隙に引き出すことができる。よって、1階の天井や、外周壁から離れた位置に取り付けられた電気機器から外周壁に取り付けられた操作パネルやスイッチまでの配線を、該天井裏と内装面材14と断熱材15との間の間隙に引き回すことができる。同様に、屋根の下に2階の天井部材を取り付けて2階の天井裏を形成することで、2階の屋内側への電気・通信配線の露出を抑えることができる。また2階において内装面材14と断熱材15との間の間隙に引き出された電気・通信配線は、該間隙を利用して1階に引き回すことができる。
さらに、本例では、図1に示されるように、土台12上に根太を配置せず、厚さが24mm以上の構造用合板を土台12上に直接床下地材25として配置してその上に床仕上材26を配置しているため、土台12と床下地材25との間には隙間が無く、通常であれば内装面材14と断熱材15との間の間隙に引き出された電気・通信配線を床下に引き込むための領域が無い。
そこで、本考案においては、土台12の上面に凹部12aを設けておくことにより、内装面材14と断熱材15との間の間隙に引き出した電気・通信配線を容易に床下に引き出すことができる。具体的には、図5に示されるように、基礎22上に配置される土台12の上面に、内外に貫通する、即ち、基礎22の厚さ方向に貫通する凹部12aを形成する。そして、内装面材14が土台12に隣接するように中空パネル10を基礎22上に配置している。これにより、凹部12aを介して木造建物の床下から内装面材14に孔を開けて、内装面材14と断熱材15との間の間隙に引き出された配線を床下に容易に引き出すことができる。
また、本考案においては、図3(b)に示すように、内装面材14の、凹部12aの外側開口部に重なる領域に、予め開口部14aを設けておくことで、内装面材14或いは中空パネル10を軸組に取り付けた後に電気・通信配線を引き出すために、内装面材14に孔を開ける必要がなくなる。
尚、床下地材25と土台12との間に根太を配置した場合、根太と交差する方向に配置される土台12については、隣り合う根太間に根太の高さ分の隙間が土台12と床下地材25との間に開くため、係る隙間を利用して内装面材14に孔を開けることができるが、根太と平行に配される土台12上には根太が配置された上に床下地材25が配置されるため、床下から内装面材14に至る隙間がない。そのため、根太を用いた場合であっても、根太と土台12とが平行となる領域では、土台12に凹部12aを設けておくことで、容易に電気・通信配線を床下に引き出すことができる。
凹部12aは、電気・通信配線を取り出すために必要な長さを確保した上で土台12の強度を維持する範囲の大きさとすることが望ましい。よって、凹部12aの深さは30mm以上で土台12の高さの1/2以下とすることが好ましい。また、凹部12aの開口幅(基礎22の壁面に平行な水平方向の長さ)は30mm以上、470mm以下とし、隣り合う凹部12a,12a間の距離は、120mm以上とることが好ましい。尚、柱11や間柱16に重なる領域では電気・通信配線を取り出せないため、柱11及び間柱16に重なる領域を避けて凹部12aを設ける。
尚、本例では、図1,図5に示されるように、受材28を介して中空パネル10を基礎22上に配置しており、該受材28に水切り金物27を取り付けているが、これらは必要に応じて用いられる部材である。
また、本例においては、断熱材15が土台12上に配置されており、基礎22から上方が全て断熱材15で覆われている。よって、図1,図5に示されるように、基礎22の外側に断熱材29を取り付けて基礎断熱施工を施すことで、基礎22とその上方との間で断熱欠損のない断熱施工を施すことができる。尚、基礎断熱施工とは、上面が平坦で且つ床下から外部に連通する通風孔が設けられていない密閉型の基礎を用い、該基礎の外側に断熱材を取り付けることで基礎全体の外張断熱を施すことを言う。よって、本考案においても、係る基礎断熱施工を施す場合には、基礎22として、上面が平坦で且つ床下から外部に連通する通風孔が設けられていない密閉型の基礎を用いる。
上記したように、本考案においては、内装面材14にのみ孔を開けることで、電気・通信配線を容易に床下に引き出すことができるため、本考案の外周壁の施工後に、電気・通信配線を屋内側壁面に露出させることなく所望の位置に電気・通信設備を取り付けることができる。よって、本考案の木造建物の引き渡し後に施主が自由に電気・通信設備の位置を選択し、電気・通信配線の屋内側への露出を抑えて電気・通信設備を設置することができ、新築時のみならず、部屋の模様替えやリフォームなどの際に一旦取り付けた電気・通信設備の位置の変更も容易に行うことができる。また、電気・通信配線を内装面材14と断熱材15との間の間隙に引き出す作業及び床下に引き出す作業が容易であるため、係る作業に係る期間が短く、安価に実施することができる。
尚、上記したように本考案においては、内装面材14と断熱材15との間の間隙を電気・通信配線の引き回しに用いるが、係る間隙に水回り・ガス配管を配置してもかまわない。本考案においては、係る間隙は間柱16で形成されるため、これら配管の配置にも十分な大きさが確保される。従来の硬質の配管を用いる際には、外周壁の施工時に内装面材14と断熱材15との間の間隙に配管を配置する必要があるが、最近、利用が広まっている可撓性を有する配管を用いる場合は、電気・通信配線と同様に、外周壁を施工後に、内装面材14と断熱材15との間の間隙に配管を配置させることができる。よって、電気・通信設備のみならず、水回りやガス設備についても、外周壁の施工後に自由に位置を選択し、壁面への配管の露出を抑えて設置することができる。
本発明の木造建物は、上記した本発明の外周壁構造を有することに特徴を有するが、係る外周壁の一部を耐力壁としてもよい。図6はその一例であり、図1のB−B’断面に相当する位置の断面模式図である。図6に示すように、図1,図2に示した実施形態のコーナー部の柱11とこれに隣接する柱11とを覆って、外周壁に平行に構造用合板52を取り付けて耐力壁を構成し(紙面右側)、さらに、外周壁側の柱11と屋内に新たに設けた柱11とをつなぐように、外周壁に直交するように構造用合板52を取り付けて耐力壁を構成し(紙面左側)、外周壁の2箇所を耐力壁とした例である。図6においては、耐力壁内に構造用合板52を支持するための間柱51が配置されているが、構造用合板52が24mm程度と厚い場合には、係る間柱51を省略することもできる。また、係る実施形態では、耐力壁を、柱11,11に構造用合板52を取りつけた面材耐力壁としているが、隣接する柱11,11の間に筋交いを取り付けた筋交い耐力壁としても良い。
また、上記実施形態においては、内装面材14と断熱材15とを間柱16を介して一体化した中空パネル10を用いて外周壁を施工する例を挙げたが、本考案においては、軸組の外側に内装面材14と間柱16とを備え、内装面材14と断熱材15とが間隙を介して配置し、間柱16が軸組に取り付けられていれば、上記実施形態には限定されない。
例えば、本考案においては、間柱16と断熱材15との間に合板を配置しても良く、その場合には、図7(a)に示されるように、内装面材14と間柱16と合板41と断熱材15とを一体とした中空パネル10を構成し、該中空パネル10を先の実施形態と同様に軸組に取り付けることができる。この中空パネル10においては、合板41と間柱16に接着剤或いは釘やビスなどで取り付けた後に、接着剤によって合板41に断熱材15を接着するため、断熱材15と間柱16との一体化強度が高くなる。また、図7(b)に示されるように、内装面材14と間柱16と合板41とを一体化した中空パネル10を構成し、係る中空パネル10を軸組に取り付けた後に、断熱材15を合板41に取り付けてもよい。
さらに、本考案においては、断熱材15の外側に合板を配置して補強しても良く、その場合には、図8(a)に示されるように、断熱材15の外側に合板41を取り付けた中空パネル10を用いることで、容易に軸組に取り付けることができ、係る構成においてさらに、間柱16と断熱材15との間にさらなる合板を配置しても良い。
また、本考案においては、図8(b)に示されるように、合板41と内装面材14とを間柱16を介して一体化し、間柱16,16間に、内装面材14との間に所定の間隙が形成されるように断熱材15を充填した中空パネル10を用いることもできる。この場合、間柱16の奥行きに対して、内装面材14と断熱材15の間の間隙の奥行きが小さく、最小寸法の奥行きで本考案の外周壁構造を実施することができる。尚、内装面材14と断熱材15との間に間柱16を配置した構成に比べて、間柱16,16間に断熱材15を配置した構成は、断熱材15と間柱16との間に隙間が生じやすいため、断熱性を考慮すると前者の方が有利である。
尚、いずれの構成においても、中空パネル10を構成せず、軸組に内装面材14を取り付けた後、間柱16、必要に応じて間柱16と断熱材15との間に配置される合板41、断熱材15、必要に応じて断熱材15の外側に配置される合板41を、順次取り付けても良い。
尚、上記において実施形態として2階建ての住宅を例に挙げて説明したが、本考案の木造建物はこれに限定されるものではなく、平屋或いは3階建て以上でもよく、また2戸1や3戸1といった長屋式の住宅や共同住宅、集会所や店舗、倉庫、各種施設等にも好ましく適用される。
10:中空パネル、11:柱、12:土台、12a:凹部、13:胴差、14:内装面材、15,29:断熱材、16,51:間柱、17:通気胴縁、18:外装材、22:基礎、23:角材、25,52:構造用合板、26:床仕上材、27:水切り金物、28:土台、41:合板
Claims (13)
- 柱及び横材を備えた木造建物の軸組の外側に、内装面材と間柱と板状の断熱材とを備え、隣り合う2本の柱の間には間柱が無く、柱間の空間が屋内側に開放された開放領域を有する木造建物の外周壁構造において、
少なくとも一コーナー部に前記開放領域を備え、
少なくとも一部の前記開放領域が、前記軸組の外側に前記内装面材が配置され、前記内装面材の外側に前記間柱が配置されて前記軸組に取り付けられ、前記内装面材の外側に所定の間隙を介して前記断熱材が配置されていることを特徴とする木造建物の外周壁構造。 - 前記内装面材と前記断熱材との間に前記間柱が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の木造建物の外周壁構造。
- 前記間柱の外側に合板が配置され、前記合板の外側に前記断熱材が配置されていることを特徴とする請求項2に記載の木造建物の外周壁構造。
- 前記間柱の外側に合板が配置され、前記合板の内側であって間柱間に前記断熱材が充填されていることを特徴とする請求項1に記載の木造建物の外周壁構造。
- 前記外周壁構造の外側に通気胴縁が配置され、外装材が前記胴縁に取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の木造建物の外周壁構造。
- 前記軸組が基礎上に配置された土台を有し、前記土台が上面側に内外に貫通する凹部を有し、前記内装面材が前記土台の外側に隣接して、前記内装面材と前記間柱と前記断熱材とが前記基礎上に配置されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の木造建物の外周壁構造。
- 前記凹部の深さが前記土台の1/2以下であることを特徴とする請求項6に記載の木造建物の外周壁構造。
- 前記内装面材が前記凹部の外側の開口部に重なる開口部を有していることを特徴とする請求項6又は7に記載の外周壁構造。
- 前記基礎の外周に断熱材が取り付けられて基礎断熱が施工されていることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一項に記載の木造建物の外周壁構造。
- 前記間隙の奥行きが60mm〜120mmであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の木造建物の外周壁構造。
- 前記間柱の奥行きが60mm〜120mm、幅が45mm〜90mmであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の木造建物の外周壁構造。
- 少なくとも一部が耐力壁であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の木造建物の外周壁構造。
- 請求項1乃至12のいずれか一項に記載の木造建物の外周壁構造を有することを特徴とする木造建物。
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