JP2020200657A - 木造軸組工法住宅の遮熱断熱構造 - Google Patents

木造軸組工法住宅の遮熱断熱構造 Download PDF

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Abstract

【課題】木造軸組工法住宅において各部位の断熱を適切に行うことにより、冷暖房の外皮性能を表すUA値が0.3W/m2K以下の優れた断熱性能を備えた遮熱断熱構造を提供すること。【解決手段】木造軸組工法を用いて施工される木造住宅1の遮熱断熱構造は、小屋裏71において天井材61の裏面に沿って繊維系断熱材を所定の厚さで敷き詰めて構成した天井充填断熱部60と、外壁部分4の軸組の外面に沿ってプラスチック系断熱材を張り付けて構成した壁外張り断熱部40と、床部分3の裏面に沿ってプラスチック系断熱材を所定の厚さで敷き詰めて構成した床充填断熱部30とを備えている。屋根断熱、基礎断熱を採用する完全外断熱の住宅の場合とは異なり、冷暖房容積には小屋裏、床下の空間部分が含まれないので、冷暖房容積を少なくでき、冷暖房の効率を高めることができる。【選択図】図1

Description

本発明は、柱、梁等の構造材から構成される木造軸組によって荷重を支える木造軸組工法(在来工法)によって施工される木造住宅の遮熱断熱構造に関する。
木造軸組工法住宅の断熱、遮熱工法として様々な工法が提案されている。例えば、屋根、天井、外壁、床の各部位において構造材の間に断熱材を充填する充填断熱工法、外壁の外側に断熱材を張り付ける壁外張り断熱工法、壁外張り断熱工法に充填断熱工法を付加した付加断熱工法等が知られている。例えば、特許文献1には、在来木造工法住宅において、天井充填断熱、外壁充填断熱および床充填断熱を行った構成が記載されている。
いずれの工法においても、床、壁、天井などにおける気密性を確保して、断熱材による断熱効果を高めると共に、これらの部位に結露が発生することを防止する必要がある。特に、在来工法である木造軸組工法により施工される木造住宅においては、床と壁の取り合い部分、壁と天井の取り合い部分に隙間ができる。従来においては、このような隙間に気流止めを施して、床下から壁内を通って天井裏に抜ける壁内気流の発生を防止することで、断熱材による断熱性能を確保し、内部結露を防止している。例えば、特許文献1においては、各部の取り合い部に断熱性を有する発泡プラスチックを現場発泡工法により施こすことによって気流止めを行うことが記載されている。また、特許文献2においては、木造軸組工法住宅に用いるシンプルな構成で施工が容易な気流止め部材が提案されている。
特開昭62−206139号公報 特開2015−206247号公報
上記のように、木造軸組工法住宅において、屋根、天井、壁、床等の各部位に用いる様々な断熱工法が提案されている。しかしながら、ZEH(ゼロエネ住宅)として冷暖房の外皮性能を表すUA値(外皮平均熱貫流率)が0.3W/mK以下となるようにするために、木造軸組工法住宅の断熱構造として、各部位の断熱工法をどのようにすべきかについての総合的な検討はなされていない。断熱性能の高い木造軸組工法住宅を得るためには、断熱材の充填量を増やすと共に、冷暖房容積を減らすことが重要な要素である。
また、木造軸組工法住宅の断熱構造においては、断熱性能を確保するための気流止めも重要な要素である。しかし、気流止めのために、部材数、施工工数が多くなり、また、これに伴って施工ミスが多くなるという弊害が発生する。施工性を阻害せず、施工忘れを伴うことなく気流止めを行えることが望まれる。
さらに、高断熱化を図る上で懸念されることが熱篭りである。建物の外皮性能が高い場合には、それに伴って、冷房負荷が大きくなる。木造軸組工法住宅の高断熱化のためには、その遮熱性能を高めて熱篭りを防止する必要がある。
本発明の目的は、このような点に鑑みて、木造軸組工法住宅において各部位の断熱を適切に行うことにより、UA値が0.3W/mK以下の優れた断熱性能を備えた遮熱断熱構造を提供することにある。
また、本発明の目的は、木造軸組工法住宅において、壁内気流の発生等を防止するための気流止めを、専用の気流止め部材を用いることなく行うことのできる遮熱断熱構造を提供することにある。
さらに、本発明の目的は、木造軸組工法住宅において、遮熱性能を高めるために、壁内および小屋裏内の熱篭りを効果的に抑制できる遮熱断熱構造を提供することにある。
本発明の木造軸組工法住宅の遮熱断熱構造は、
天井部分において、繊維系断熱材からなる天井充填断熱材を天井材の裏面に沿って充填した天井充填断熱部と、
外壁部分において、プラスチック系断熱材からなる外張り断熱材を、当該外壁部分を構成する壁軸組の外面に沿って張り付けた壁外張り断熱部と、
床部分において、プラスチック系断熱材からなる床充填断熱材を、床材の裏面に沿って充填した床充填断熱部と
を備えていることを特徴としている。
本発明の遮熱断熱構造は、屋根断熱、基礎断熱を採用する完全外断熱住宅等の場合とは異なり、冷暖房容積には小屋裏、床下の空間部分が含まれない。よって、完全外断熱を採用する場合に比べて、冷暖房容積を少なくでき、冷暖房の効率を高めることができる。また、外壁断熱、床断熱用にプラスチック系断熱材を用いることで、外壁部分および床の部分に十分な気密性を確保でき、結露に起因する構造材の腐食などの弊害を抑制できる。
本発明において、外壁部分の上端および室内の間仕切壁部分の上端に位置する構造材としての横架材を、それらの下端が、天井材の下端よりも下に位置するように配置し、天井材を、その小口が横架材の側面に当接するように張り付けた根太天井とすることが望ましい。吊り天井等と異なり、天井材の背面に隙間なく天井充填断熱材を充填することが容易である。また、横架材の側面と天井材の小口との間の接合部分が、小屋裏に上昇する空気の流れを遮断する気流止めとして機能する。天井充填断熱工法を採用する場合に必要とされる気流止め工事が不要となり、施工性が向上する。
この場合、横架材の成(横架材断面の高さ寸法)を、天井充填断熱部を構成する天井充填断熱材の必要厚さ寸法に応じて、設定することが望ましい。必要とされる断熱性能を発揮するために必要とされる天井充填断熱材を充填可能な空間を天井裏に確保できる。
また、天井充填断熱部は、天井材の裏面に沿って、当該天井材と繊維系断熱材との間に敷き詰めた気密シートを備えていることが望ましい。これにより、天井面を確実に気密状態に保持でき、壁内あるいは室内側から小屋裏に上昇する空気の流れを確実に遮断して、冷暖房性能を維持できる。
同様に、一階床部分は、同一平面上に上端が位置するように配置した土台および大引きと、土台および大引きの上端に敷き詰めた床材とから構成し(剛床工法とし)、土台および大引きの上端と床材との接合部分を、床下空間から上昇する空気の流れを遮断する気流止めとして機能する部位とすることが望ましい。床充填断熱工法を採用する場合に必要とされる気流止め工事が不要となり、施工性が改善される。
この場合において、土台および大引きの成は、床充填断熱部を構成する床充填断熱材の必要厚さ寸法に応じて、設定することが望ましい。必要とされる断熱性能を発揮するために必要とされる床充填断熱材を充填可能な空間を、床裏に確保できる。
次に、屋根部分の遮熱性能を高めるために、屋根部分において、垂木に沿って屋根材と平行となるように張り付けたアルミニウム製等の遮熱材を備えていることが望ましい。これにより、屋根部分には二重通気遮熱構造が形成され、屋根裏等における熱篭りの発生を防止できる。すなわち、遮熱材によって外部から内部への熱が遮断される。また、屋根材と遮熱材との間は、屋根部分の軒下側から、屋根材と遮熱材との間を通って、屋根部分の棟側から外部に抜ける自然換気が形成される屋根側通気層となる。同時に、遮熱材と天井充填断熱部との間は、軒下側から、遮熱材と前記天井充填断熱部とによって囲まれる小屋裏の空間を通って、棟側から外部に抜ける自然換気が形成される小屋裏通気層となる。これらの二重の通気層が遮熱層として機能すると共に、これらを介して形成される自然換気によって、小屋裏の温度上昇を抑制できる。天井充填断熱材の蓄熱量を低減できるので、夏季における小屋裏の熱篭りを防止して冷房性能を高めることができる。
外壁部分においても同様にして熱篭りを防止するために、壁外張り断熱部は、外張り断熱材の外側面に積層したアルミニウムシート等の積層遮熱材を備えていることが望ましい。この場合には、外壁部分の外装材と積層遮熱材との間に、外壁部分の下端側の隙間から、外装材と積層遮熱材との間を通って、外壁部分の上端側の隙間から外部に抜ける自然換気が形成される外壁通気層を設けることが望ましい。これにより、壁外張り断熱材に蓄積される熱容量を低減でき、特に夏季の室内温度の上昇を抑制でき、冷暖房消費エネルギーの削減を図ることができる。
次に、本発明では、小屋裏において、垂木の下面に沿って屋根面と平行となるようにアルミニウムシート等の遮熱シートを設置して、小屋裏換気用の二重通気層を形成している。二重通気層は、軒下側の隙間から、屋根材とアルミニウム遮熱材との間を通って、棟側の隙間から外部に抜ける屋根側通気層と、前記軒下側の隙間から、前記アルミニウム遮熱材と前記天井充填断熱部とによって囲まれる前記小屋裏を通って、前記棟側の隙間から外部に抜ける小屋裏通気層である。屋根部分に二重の通気層を形成することにより、天井充填断熱材に蓄積される熱容量を低減でき、特に夏季の室内温度の上昇を抑制でき、冷暖房消費エネルギーの削減を図ることができる。
同様に、外張り断熱材の外面に、アルミニウムシート等の遮熱シートを張り付け、外壁の下端側の隙間から、外壁の外装材と遮熱シートとの間を通って、外壁の軒下側の隙間から外部に抜ける外壁通気層を形成する。例えば、壁外張り断熱部において、外張り断熱材として遮熱シート付のものを使用する。これにより、壁外張り断熱部に蓄積される熱容量を低減でき、特に夏季の室内温度の上昇を抑制でき、冷暖房消費エネルギーの削減を図ることができる。
(a)は本発明を適用した実施の形態に係る木造住宅の遮熱断熱構造を示す概念図、(b)はその部分拡大図であり、(c)は本発明による木造住宅と外断熱住宅の冷暖房容量を示す説明図である。 図1の木造住宅の外壁部分の矩計図である。
以下に、図面を参照して本発明を適応した木造軸組工法住宅の遮熱断熱構造の実施の形態を説明する。なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の一例を示すものであり、本発明は実施の形態の構成に限定されるものではない。
(全体構成)
まず、図1(a)を参照して、本実施の形態に係る木造軸組工法住宅の遮熱断熱構造の全体構成を説明する。木造軸組工法住宅1(以下、単に、「木造住宅1」と呼ぶ。)は、公知のように、鉄筋コンクリート製のベタ基礎あるいは布基礎からなる基礎部分2、床部分3(一階床)、外壁部分4、間仕切壁部分5、天井部分6および屋根部分7等の各部分から構成される。
木造住宅1の遮熱断熱構造は、床部分3の床材31(床下地合板)の裏面に沿って、プラスチック系断熱材からなる床充填断熱材32を充填した(敷き詰めた)構成の床充填断熱部30と、外壁部分4の軸組の外面に沿ってプラスチック系断熱材からなる外張り断熱材42を張り付けて構成した壁外張り断熱部40と、天井部分6における天井材(天井下地材)61の背面に沿って天井充填断熱材62(繊維系断熱材)を所定の厚さで充填した(敷き詰めた)構成の天井充填断熱部60とを備えている。
木造住宅1において冷暖房が必要とされる居住空間が、床充填断熱部30、壁外張り断熱部40、天井充填断熱部60によって囲まれる。これに対して、例えば、図1(c)に示す一般的な外断熱住宅100の場合には、その断熱構造は、基礎断熱部130、壁外張り断熱部140および屋根断熱部170を採用している。完全外断熱工法を採用した場合に比べて、本例の木造住宅1の断熱工法は次のような利点がある。
まず、基礎断熱を採用する場合には、床下である基礎部分を常時冷暖房して基礎コンクリートの熱容量を利用することで断熱性能を維持する必要がある。このため、住居者が不在の時でも冷暖房エネルギーが消費され、冷暖房負荷が増加してしまい、消費エネルギーが床充填断熱工法に比べて多くなるという問題がある。本例では、床部分に充填断熱工法を採用することで、冷暖房容積から基礎部分の容積を削減できるので、その分、冷暖房負荷を低減でき、冷暖房器具による室温の安定化を速やかに実現できる。
また、屋根断熱を採用する場合には、屋根直下に断熱材を設置するので、夏季に屋根が外気温以上に熱せられ、屋根断熱材が蓄熱することにより、熱篭りが発生する。これが冷暖房負荷を増加させる大きな原因の一つである。本例では、天井充填断熱工法を採用することで、冷暖房容積から、屋根部分7と天井充填断熱材62との間の小屋裏空間の容積を削減できるので、その分、冷暖房負荷を低減できる。また、小屋裏空間においては、自然換気が行われて、その内部温度が外気温に近くなり、天井充填断熱材の蓄熱量を低減でき、これによっても、冷房負荷を低減できる。
このように、外断熱住宅における冷暖房容積V(100)には、居住空間100Aに加え、小屋裏171および床下131の各空間も含まれる。このような完全外断熱を採用する場合に比べて、本例の木造住宅1においては、小屋裏、床下の容積は冷暖房容積に含まれず、居住空間1Aが冷暖房容積V(1)となる。この冷暖房容積V(1)は、完全外断熱の場合の冷暖房容積V(100)に比べて20%程度少なくなり、冷暖房の効率を高めることができる。
また、外壁部分の断熱工法として充填断熱工法を採用する場合の問題点として、気流止め工事が必要なことと、断熱材の充填量が壁の厚さによって制限されるので十分な量の充填材を配置できない場合があることである。断熱材の充填量を確保するために、付加断熱工法を採用することも考えられるが、この場合には、壁体内結露の危険性が高く、構造材の腐食の問題が生じる。本例では、外壁部分4の断熱工法として壁外張り断熱工法を採用し、外張り断熱材42として断熱性能の高いプラスチック系断熱材を使用している。これにより、気流止め工事が不要となり、また、外壁部分4に十分な断熱性能を与えることができる。
(熱篭り防止構造)
次に、本例では、外壁部分4および屋根部分7に、次のように熱篭り防止構造を採用している。図1(a)および(b)を参照して説明すると、外壁部分4の外張り断熱部40においては、外張り断熱材42として、その室外側表面に、アルミニウムシート等の遮熱シート43が積層された断熱材を用いている。また、外張り断熱材42と外壁部分4の外装材44との間には、それらの下端の隙間から上端の隙間に抜ける一定間隔の外壁通気層45を設けてある。この外壁通気層45の幅を広くして、例えば、30mm幅としてある。外壁通気層45を介して形成される自然換気と、遮熱シート43による遮熱効果によって、外壁部分4の内部の熱篭りが効果的に防止される。
一方、屋根部分7においては、熱篭り防止のために二重通気層からなる遮熱構造を採用している。図1(a)を参照して説明すると、小屋裏71において、屋根部分7の垂木72の下面に沿ってアルミニウムシート等からなる遮熱シート73を張り付けてある。屋根材74と遮熱シート73の間に、軒下側から棟に抜ける屋根側通気層75が形成される。遮熱シート73によって覆われる小屋裏71は、軒下側から棟に抜ける小屋裏側通気層76として機能する。遮熱シート73による遮熱効果と、屋根側通気層75と小屋裏側通気層76からなる二重通気層とによって、小屋裏71の熱篭りが効果的に防止される。
(気流止め構造)
次に、図2を参照して、充填断熱工法を採用した場合に必要になる気流止めについて説明する。本例の木造住宅1において、必要とされる気流止めは次のように構成されている。まず、床充填断熱部30について説明する。一般に、床充填断熱工法の場合には、断熱材の充填量(厚さ)は、土台および大引きの高さによって制限される。高断熱化を図るために、より多い量(厚さ)の断熱材を配置する場合には、断熱材の充填空間を確保するために根太を設置する必要があり、これに伴って、床面と土台との間に形成される隙間の気流止め工事が必要になる。
本例の床部分3は、基礎部分2の立ち上がり部の上端に設置した土台21と、土台21の間に架け渡され、鋼製束等の床束33によって支持されている大引き34とを備えており、これらの上端を面一として、床材31(床下地合板)を敷き、その上に床仕上げ材35を敷いた構成の剛床(根太レス床)である。土台21および大引き34として、通常よりも大きな成、例えば、210mmの成(背)の角材を用いている。床裏において、これら土台21と大引き34の間に、フェノールフォームを200mm厚さで充填して床充填断熱材32としている。
このように、土台21、大引き34として使用されている一般的な120×120、90×90の角材に比べて成の高い角材を使用し、根太を省略して、土台21および大引き34の上に、直接、床材31を張り付けている。成の高い土台21、大引き34の間に、十分な厚さで床充填断熱材32を充填可能な空間を確保でき、床充填断熱部30の断熱性能を確保できる。
また、土台21および大引き34の上端に床材31が直接に接合される。このため、床3と外壁部分4の取り合い部A、床3と間仕切壁部分5の取り合い部Bには、隙間が形成されない。よって、床下から、これらの取り合い部A、Bに形成される隙間を介して、上昇する空気の流れを遮断できる。在来工法においては、このような取り合い部A、Bには隙間ができるので、気流止め用の部材を取り付けるための気流止め工事が必要であったが、本例の床組構造を用いれば、気流止め工事が不要となり、施工性が改善される。また、気流止め工事の施工忘れ、施工ミス等によって壁内気流が形成されることに起因する断熱性能の低下、壁内結露の発生も防止できる。
次に、外壁部分4における気流止め構造について説明する。壁外張り断熱部40を備えた外壁部分4は、公知のように、土台21の上に立設した柱46、柱46の上端を繋ぐ梁、桁などの横架材47から構成される軸組を備えている。軸組の室内側の面には壁材48(石膏ボード、合板等の壁内装下地材、あるいは羽目板、化粧ボード等の壁仕上げ材)が張り付けられる。軸組の室外側の面には、外張り断熱材42から構成される壁外張り断熱部40が配置され、その室外側の面は、外壁通気層45を介して、外壁外装材44が張り付けられている。
本例の壁外張り断熱部40は、プラスチック系の外張り断熱材42として、アルミニウム製の遮熱シート付の硬質ウレタンフォーム90mm厚を用いている。外張り断熱材42は、上下方向において、土台21の外側の側面および横架材47の外側の側面に取り付けた断熱受材42a、42bによって支持されている。プラスチック系断熱材を柱46の外側に設置することで、柱46の外気側に気密層が形成されることになり、外壁面に気流止めを行う必要が無くなる。
また、外壁部分4においては、木造軸組工法の梁、桁を利用して、壁内気流の発生を防止するための通気止め構造を形成している。すなわち、在来工法である木造軸組工法の場合、気流止め工事には柱、間柱の間に木材を使い気流止め工事が行われるが、部材数、工数が多く施工ミスが多くなることで、監理が困難な場合が多い。本例では、横架材47(梁、桁)により、気流止め工事を省略する矩計モジュールを採用している。
この矩計モジュールでは、図2に示すように、横架材47として成が210mmの角材を使用している。また、横架材47の下端47aが、天井部分6の天井材61(石膏ボード、合板等の内装下地材、または、化粧ボード等の仕上げ材)の下端よりも下側に位置するように、軸組が組まれている。すなわち、天井部分6は根太天井であり、成の高い構造材である横架材47を回り縁とし、これらの間に架け渡した天井根太64の下側に、天井材61を張ってある。
横架材47の室内側の側面47bに、天井部分6の際根太が取り付けられ、ここに、天井材61の端面が面接触状態で当接している。外壁部分4の壁材48の上端部も、横架材47の側面47bに接合した状態で、天井材61の端に下側から当接した状態に取り付けられる。これにより、隙間の無い取り合い部Cが形成される。
同様に、間仕切壁部分5と天井部分6の取り合い部Dにおいても同様に構成されている。すなわち、間仕切壁部分5の上端に沿って配置されている横架材47は、例えば、幅120mm、成が210mmの角材を使用している。横架材47の下端47aは、天井材61よりも下側に位置するように架け渡されている。これにより、横架材47の両方の側面47b、47cに天井材61の小口が当接している。また、間仕切壁部分5の両方の壁材の上端の小口は、下側から天井材61の端に当接している。これにより、隙間の無い取り合い部Dが形成される。
従来においては、一般に、天井ライン上に気流止め部材を大工の手間を掛けて取り付けている。別途、気流止め部材を取り付けるので、品質の問題や手間などが掛かり、場合によっては、大変困難な工事となる。本例では、構造材である横架材47の成を大きくし、その側面47bの途中位置が天井ラインとなるように設定してある。これにより、取り合い部C、Dに隙間が出来ないので、別途、気流止め部材を取り付ける作業が不要となる。
ここで、本例においては、外壁部分4と間仕切壁部分5に配置される横架材47の下端47aを、天井材61の下端高さよりも下げ、これら以外の部位に配置される横架材(図示せず)は、天井材61の下端高さに合わせて配置される。この場合、横架材の下端を揃えると、横架材同士の継手部分、横架材と柱の接合部分において、部材の断面欠損が大きくなり、強度が低下する。また、横架材同士を繋ぐ場合、一方の横架材の上端よりも上に他方の横架材が位置する場合には、双方を繋ぎ合わせることが出来なくなってしまう。
このような不具合を解消するために、本例では、金物工法を採用して横架材47を柱46に取り付けて、断面欠損を補っている。また、横架材同士の高さ違いに起因して、双方を接続できない不具合を解消するために、一方の横架材の上端よりも上方に柱を延長させて、他方の横架材を柱の上端延長部分に取り付けるようにしている。本例において採用している金物工法は、木造軸組の継ぎ手、仕口部分をアゴ掛け金具、ホゾパイプなどの接合金具に置き換え、ボルトとドリフトピンで緊結する工法である。このような金物工法(接合金具)として、例えば、「テックワン(登録商標)」(株式会社タツミ)を用いることができる。
次に、天井充填断熱部60について説明する。天井充填断熱部60は、天井材61の裏側において、横架材47の間に、ロックウールからなる天井断熱材を270mmの厚さで充填することで構成されている。天井材61と天井充填断熱材62との間には、天井材61に沿って気密シート65を敷き詰めてある。これにより、天井面の気密性が確保され、壁内空間あるいは室内空間から天井面を介して小屋裏に抜ける空気の流れを遮断できる。
なお、従来においては、天井下地を構成する野縁、野縁受け、吊り木および横架材が配置されている天井裏に、均一厚さに成形された断熱材を敷き込むことで天井充填断熱部を構成している。この場合には、各部材と断熱材との間に隙間が生じないように、断熱材を設置することが困難である。本例では、上記のように、根太天井を採用することで、野縁、野縁受け、吊り木が不要となり、成形された断熱材を均一に隙間無く敷き込むことができる。また、天井裏に沿って敷き詰めた気密シートによって確実に気密構造を構築できる。
(作用効果)
以下に、本例の木造住宅1の遮熱断熱構造の作用効果を纏めて説明する。本例では、天井充填断熱部60、壁外張り断熱部40、床充填断熱部30の混在型断熱工法により、省エネ性能の高いとされる従来の外張り断熱工法に比べて、冷暖房容量を小さくすることができ、これにより、更なる冷暖房消費エネルギーを削減可能である。
従来において天井充填断熱を採用する場合には、気流止め材を取り付ける工事が必要である。本例によれば、横架材47に連続する天井材61と、天井材61の裏面に敷き詰めた気密シート65とによって、壁部分と天井部分の取り合い部C、Dを隙間の無い状態に施工できる。よって、作業性に優れ、施工ミス等の起きない気流止め構造を実現できる。
従来の床充填断熱工法においては、根太を設置して断熱材を充填する空間を確保すると共に、床部分と壁部分の取り合い部には気流止め材を取り付けて隙間を埋める気流止め工事が必要である。本例によれば、土台21と大引き34を大きなサイズにする(成を高くする)ことで、十分な断熱材充填空間を確保できる。また、床材31に土台21と大引き34とが連続して接合されるので、床部分3と外壁部分4の取り合い部A、床部分3と間仕切壁部分5の取り合い部Bを、隙間の無い状態で施工できる。よって、作業性に優れ、施工ミス等の起きない気流止め構造を実現できる。
本例では、壁外張り断熱部40において、外張り断熱材42として遮熱シート付のものを使用し、かつ、従来の通気工法に比べて外壁通気層45を広くとってある。これにより、壁外張り断熱材42に蓄積される熱容量を低減でき、特に夏季の室内温度の上昇を抑制でき、冷暖房消費エネルギーの削減を図ることができる。
これに加えて、屋根の垂木72の下にも遮熱シート73を設置して、屋根部分7に二重通気構造を形成している。これにより、天井充填断熱材62に蓄積される熱容量を低減でき、特に夏季の室内温度の上昇を抑制でき、冷暖房消費エネルギーの削減を図ることができる。
1 木造住宅
1A 居住空間
2 基礎部分
3 床部分
4 外壁部分
5 間仕切壁部分
6 天井部分
7 屋根部分
21 土台
30 床充填断熱部
31 床材
32 床充填断熱材
33 床束
34 大引き
35 床仕上げ材
40 外壁断熱部
42 断熱材
42a、42b 断熱受材
43 遮熱シート
44 外装材
45 外壁通気層
46 柱
47 横架材
47a 下端
47b、47c 側面
48 壁材
60 天井充填断熱部
61 天井材(天井下地材)
62 天井充填断熱材
64 天井根太
65 気密シート
71 小屋裏
72 垂木
73 遮熱シート
74 屋根材
75 屋根側通気層
76 小屋裏側通気層

Claims (6)

  1. 木造軸組工法住宅の天井部分において、繊維系断熱材からなる天井充填断熱材を天井材の裏面に沿って敷き詰めた構成の天井充填断熱部と、
    前記木造軸組工法住宅の外壁部分において、プラスチック系断熱材からなる外張り断熱材を、当該外壁部分を構成する壁軸組の外面に沿って張り付けた構成の壁外張り断熱部と、
    前記木造軸組工法住宅の床部分において、プラスチック系断熱材からなる床充填断熱材を、床材の裏面に沿って敷き詰めた構成の床充填断熱部と
    を備えていることを特徴とする木造軸組工法住宅の遮熱断熱構造。
  2. 前記外壁部分の上端および室内の間仕切壁部分の上端に位置する構造材としての横架材は、それらの下端が、前記天井材の下端よりも下に位置するように配置され、前記天井材は、その小口が前記横架材の側面に当接するように張られており、
    前記横架材の側面と前記天井材の小口との間の接合部分は、小屋裏に上昇する空気の流れを遮断する気流止めとして機能する部位であり、
    前記横架材の成は、前記天井充填断熱部を構成する前記繊維系断熱材の厚さ寸法に応じて、設定されている請求項1に記載の木造軸組工法住宅の遮熱断熱構造。
  3. 前記天井充填断熱部は、前記天井材の裏面に沿って、当該天井材と前記天井充填断熱材との間に敷き詰めた気密シートを備えている請求項1または2に記載の木造軸組工法住宅の遮熱断熱構造。
  4. 前記木造軸組工法住宅の屋根部分において、垂木に沿って屋根材と平行となるように張り付けた遮熱材を備えており、
    前記屋根材と前記遮熱材との間は、前記屋根部分の軒下側から、前記屋根材と前記遮熱材との間を通って、前記屋根部分の棟側から外部に抜ける自然換気が形成される屋根側通気層であり、
    前記遮熱材と前記天井充填断熱部との間は、前記軒下側から、前記遮熱材と前記天井充填断熱部とによって囲まれる小屋裏の空間を通って、前記棟側から外部に抜ける自然換気が形成される小屋裏通気層である請求項1、2または3に記載の木造軸組工法住宅の遮熱断熱構造。
  5. 前記壁外張り断熱部は、前記外張り断熱材の外側面に積層した積層遮熱材を備えており、
    前記外壁部分の外装材と前記積層遮熱材との間は、前記外壁部分の下端側の隙間から、前記外装材と前記積層遮熱材との間を通って、前記外壁部分の上端側の隙間から外部に抜ける自然換気が形成される外壁通気層である請求項1ないし4のうちのいずれか一つの項に記載の木造軸組工法住宅の遮熱断熱構造。
  6. 前記床部分は、同一平面上に上端が位置するように配置した土台および大引きと、前記土台および前記大引きの前記上端に沿って敷き詰めた床材とを備えており、
    前記土台および前記大引きの上端と前記床材との接合部分は、床下空間から上昇する空気の流れを遮断する気流止めとして機能する部位であり、
    前記土台および前記大引きの成は、前記床充填断熱部を構成する前記床充填断熱材の厚さ寸法に応じて、設定されている請求項1ないし5のうちのいずれか一つの項に記載の木造軸組工法住宅の遮熱断熱構造。
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