JP3152730U - 建築物における断熱構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】非常に長い期間にわたる使用であっても断熱材が取り付けられた状態を安定かつ確実に保持することができ、コストの増大を抑制しながら断熱性を向上することができるとともに、前記断熱構造を床に適用した場合において床鳴りの原因とならない建築物における断熱構造を提供する。【解決手段】大引等の支持部材間に発泡合成樹脂製矩形板状断熱材1を配置して構成される建築物における断熱構造であって、前記支持部材の長手方向と略平行な断熱材1の辺2Aと略平行に延びる係合凹部3Aを断熱材1に形成するとともに、係合凹部3Aに係合する係合部材4Aと、係合凹部3A内に一部C1が挿入されて断熱部材1及び係合部材4Aにより挟まれ、端縁部C2が前記支持部材に添う大きさを有するシート体5Aとを備え、シート体5Aの端縁部C2を前記支持部材に添わせて固定する。【選択図】図3
Description
本考案は、木造住宅等の建築物における断熱構造の改良に関するものである。
木造住宅等の建築物の断熱性及び気密性を向上することにより、エネルギー漏れが少なくなることから省エネルギー化が進展し、結果的に地球温暖化の抑制に繋がるため、建築物の断熱性及び気密性を向上する意義は非常に大きいと言える。
また、例えば国土交通省が実現及び普及に取り組んでいる200年住宅のように非常に長い期間にわたって使用する住宅においては、その使用部材の信頼性をより長期間にわたって確保する必要がある。
また、例えば国土交通省が実現及び普及に取り組んでいる200年住宅のように非常に長い期間にわたって使用する住宅においては、その使用部材の信頼性をより長期間にわたって確保する必要がある。
木造住宅等の建築物における床、壁、天井又は屋根の断熱構造としては、取付け金具(受け金具)を大引に装着した状態で該金具により発泡合成樹脂製矩形板状断熱材を支持するもの(例えば、特許文献1参照。)、及び、前記断熱材を構造用合板の片面中央部に接着して断熱パネルとし、前記構造用合板の外周の固定用縁部に釘又は鋲等を打ち込んで垂木等に固定するもの(例えば、特許文献2参照。)が一般的である。
また、前記断熱材自体に張出縁部を形成し、該縁部に釘又は鋲等を打ち込んで間柱等に固定するもの(例えば、特許文献3参照。)、前記断熱材の両側端に鍔部材を取り付け、該鍔部材に釘又は鋲等を打ち込んで根太等に固定するもの(例えば、特許文献4参照。)、前記断熱材の両側縁近傍に長手方向に延びるスリット溝を形成し、該スリット溝にL字状断面形状である断熱材ブラケットの逆止構造をもった挿入縁を叩き込んで一体化し、前記断熱材ブラケットのフランジ部に釘又は鋲等を打ち込んで垂木等に固定するもの(例えば、特許文献5参照。)等もある。
また、前記断熱材自体に張出縁部を形成し、該縁部に釘又は鋲等を打ち込んで間柱等に固定するもの(例えば、特許文献3参照。)、前記断熱材の両側端に鍔部材を取り付け、該鍔部材に釘又は鋲等を打ち込んで根太等に固定するもの(例えば、特許文献4参照。)、前記断熱材の両側縁近傍に長手方向に延びるスリット溝を形成し、該スリット溝にL字状断面形状である断熱材ブラケットの逆止構造をもった挿入縁を叩き込んで一体化し、前記断熱材ブラケットのフランジ部に釘又は鋲等を打ち込んで垂木等に固定するもの(例えば、特許文献5参照。)等もある。
特許文献1のような断熱材取付けのために取付け金具を用いる構成では、例えば前記200年住宅のように非常に長い期間にわたって使用する際には、金具が腐食し、発錆による強度低下により破断して断熱材が落下してしまう恐れがある。
また、特許文献2のような断熱材取付けのために断熱パネルの構造用合板外周の固定用縁部を用いる構成では、例えば屋根の断熱構造として使用した際に、断熱材を構造用合板に接着して断熱パネルとしているため、例えば前記200年住宅のように非常に長い期間にわたって使用する際には、接着剤が温度や湿気等により劣化し、構造用合板から断熱材が剥がれて落下する恐れがある。その上、使用箇所によっては構造用合板が余分となるためコストが増大する。
また、特許文献2のような断熱材取付けのために断熱パネルの構造用合板外周の固定用縁部を用いる構成では、例えば屋根の断熱構造として使用した際に、断熱材を構造用合板に接着して断熱パネルとしているため、例えば前記200年住宅のように非常に長い期間にわたって使用する際には、接着剤が温度や湿気等により劣化し、構造用合板から断熱材が剥がれて落下する恐れがある。その上、使用箇所によっては構造用合板が余分となるためコストが増大する。
さらに、特許文献3のような断熱材取付けのために断熱材の張出縁部を用いる構成では、例えば床の断熱構造として使用した際に、張出縁部が断熱材本体から千切れて断熱材が落下する恐れがある。したがって、断熱材本体の幅を断熱材が嵌め込まれる部材間隔よりも大きくし、断熱材の片表面に入れた切込みに沿い折り曲げた状態で断熱材を前記部材間に嵌め込み、折曲げ部を一平面に戻して断熱材本体の端面を前記部材に圧接するように構成する必要があるため、このような断熱材の組付け作業コストが増大する。その上、張出縁部が床鳴りの原因になる場合がある。
さらにまた、特許文献4のような断熱材取付けのために断熱材の両側端に取り付けた鍔部材を用いる構成では、例えば床の断熱構造として使用した際に、鍔部材を断熱材に接着しているため、例えば前記200年住宅のように非常に長い期間にわたって使用する際には、接着剤が温度や湿気等により劣化し、鍔部材から断熱材が剥がれて落下する恐れがある。
また、特許文献5のような断熱材取付けのために断熱材と一体化したL字状断面形状の断熱材ブラケットを用いる構成では、断熱材ブラケットが樹脂若しくはアルミニウム製の成形材又は板金材であることから、この断熱材ブラケットが床鳴りの原因になる場合がある。
その上、特許文献1〜5のいずれの構成によっても、例えば根太レス工法により形成される床の断熱構造として使用した際に、大引が直交する土台と断熱材との突き合わせ部又は断熱材同士の突き合わせ部に隙間が生じて断熱性が低下する場合がある。
また、特許文献5のような断熱材取付けのために断熱材と一体化したL字状断面形状の断熱材ブラケットを用いる構成では、断熱材ブラケットが樹脂若しくはアルミニウム製の成形材又は板金材であることから、この断熱材ブラケットが床鳴りの原因になる場合がある。
その上、特許文献1〜5のいずれの構成によっても、例えば根太レス工法により形成される床の断熱構造として使用した際に、大引が直交する土台と断熱材との突き合わせ部又は断熱材同士の突き合わせ部に隙間が生じて断熱性が低下する場合がある。
そこで本考案が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、発泡合成樹脂製矩形板状断熱材を用いた断熱構造を、建築物における床、壁、天井又は屋根に適用した場合において、非常に長い期間にわたる使用であっても断熱材が取り付けられた状態を安定かつ確実に保持することができ、コストの増大を抑制しながら断熱性を向上することができるとともに、前記断熱構造を床に適用した場合において床鳴りの原因とならない建築物における断熱構造を提供する点にある。
本考案に係る建築物における断熱構造は、前記課題解決のために、大引若しくは根太等の水平支持部材、柱若しくは間柱等の垂直支持部材又は垂木等の傾斜支持部材に対して、これらの隣り合う支持部材間に発泡合成樹脂製矩形板状断熱材を配置して構成される、建築物における断熱構造であって、前記支持部材の長手方向と略平行な前記断熱材の辺と略平行に延びる係合溝を前記断熱材に形成するとともに、前記係合溝に係合する係合部材と、前記係合溝内に一部が挿入されて前記断熱部材及び係合部材により挟まれ、端縁部が前記支持部材に添う大きさを有するシート体とを備え、前記シート体の端縁部を前記支持部材に添わせて固定するものである。
ここで、前記支持部材の長手方向と略直交する方向の前記断熱材の辺と略平行に延びる第2係合溝を前記断熱材に形成するとともに、前記第2係合溝に係合する第2係合部材と、前記第2係合溝内に一部が挿入されて前記断熱部材及び第2係合部材により挟まれ、端縁部が前記支持部材と直交する部材又は隣接する前記断熱材に添う大きさを有する第2シート体とを備え、前記第2シート体の端縁部を前記支持部材と直交する部材又は隣接する前記断熱材に添わせた状態とすると好ましい。
また、前記係合溝又は第2係合溝が、前記係合部材又は第2係合部材を押し込んで係合させる際に、弾性的に係合するように形成されてなると好ましい。
さらに、前記シート体が反射断熱シートであると好ましい。
本考案に係る建築物における断熱構造によれば、大引若しくは根太等の水平支持部材、柱若しくは間柱等の垂直支持部材又は垂木等の傾斜支持部材に対して、これらの隣り合う支持部材間に発泡合成樹脂製矩形板状断熱材を配置して構成される、建築物における断熱構造であって、前記支持部材の長手方向と略平行な前記断熱材の辺と略平行に延びる係合溝を前記断熱材に形成するとともに、前記係合溝に係合する係合部材と、前記係合溝内に一部が挿入されて前記断熱部材及び係合部材により挟まれ、端縁部が前記支持部材に添う大きさを有するシート体とを備え、前記シート体の端縁部を前記支持部材に添わせて固定するので、断熱材の係合溝と係合部材との係合によりシート体の一部を挟持することにより、シート体が取付け金具(受け金具)や接着剤を使用せずに断熱材に取り付けられていることから、金具の腐食や接着剤の劣化による影響がないため、非常に長い期間にわたる使用であっても断熱材が取り付けられた状態を安定かつ確実に保持することができるとともに、断熱材と支持部材との間に隙間が生じる場合であっても、断熱材に取り付けられたシート体により前記隙間を塞ぐことができるため、前記隙間の存在に基づく断熱性の低下を防止することができる。
その上、断熱材を構造用合板に接着して断熱パネルとする構成と比較して、構造用合板が余分になることがないため、コストの増大を抑制することができるとともに、接着剤を使用せずに断熱材の係合溝と係合部材との係合によりシート体が断熱材に取り付けられていることから、建築物を解体する際に断熱材からシート体を極めて容易に分離することができるため、リサイクルを容易に行うことができる。
その上さらに、この断熱構造を床に適用した場合において、断熱材はシート体により支持部材に取り付けられており、シート体は可撓性があることから支持部材に密着するとともに比較的薄いため、この上に床板を載置固定しても床鳴りの原因になることがない。
その上さらに、この断熱構造を床に適用した場合において、断熱材はシート体により支持部材に取り付けられており、シート体は可撓性があることから支持部材に密着するとともに比較的薄いため、この上に床板を載置固定しても床鳴りの原因になることがない。
また、前記支持部材の長手方向と略直交する方向の前記断熱材の辺と略平行に延びる第2係合溝を前記断熱材に形成するとともに、前記第2係合溝に係合する第2係合部材と、前記第2係合溝内に一部が挿入されて前記断熱部材及び第2係合部材により挟まれ、端縁部が前記支持部材と直交する部材又は隣接する前記断熱材に添う大きさを有する第2シート体とを備え、前記第2シート体の端縁部を前記支持部材と直交する部材又は隣接する前記断熱材に添わせた状態とすると、前記効果に加え、例えば根太レス工法により形成される床の断熱構造として使用した際に、大引が直交する土台と断熱材との突き合わせ部又は断熱材同士の突き合わせ部に隙間が生じる場合であっても、断熱材に取り付けられた第2シート体により前記隙間を塞ぐことができるため、前記隙間の存在に基づく断熱性の低下を防止することができる。
さらに、前記係合溝又は第2係合溝が、前記係合部材又は第2係合部材を押し込んで係合させる際に、弾性的に係合するように形成されてなると、前記効果に加え、断熱材が発泡合成樹脂製であることから弾性変形しやすいことを利用して、断熱材の係合溝と係合部材との係合によるシート体の保持の信頼性をより長期間にわたって確保することができる。
さらにまた、前記シート体が反射断熱シートであると、前記効果に加え、矩形板状断熱材に対して、その周りに隙間がある場合に該隙間を塞ぐ機能を有するシート体及び第2シート体が断熱効果を有しているため断熱性が向上する。特に、シート体又は第2シート体が、断熱材の裏面又は表面全体を被うように前記裏面又は表面に添わせるようにした1枚の反射断熱シートである場合には、その輻射熱の遮断効果により断熱性をさらに向上することができる。
次に本考案の実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明するが、本考案は、添付図面に示された形態に限定されず実用新案登録請求の範囲に記載の要件を満たす実施形態の全てを含むものである。
なお、本明細書においては、大引Aの長手方向(大引Aが側土台Bに近づく方向)を前とし(図中矢印F参照。)、左右は前方に向かっていうももとする。また、前方から見た図を正面図とする。
なお、本明細書においては、大引Aの長手方向(大引Aが側土台Bに近づく方向)を前とし(図中矢印F参照。)、左右は前方に向かっていうももとする。また、前方から見た図を正面図とする。
以下において、本考案の実施の形態に係る建築物の断熱構造をいわゆる根太レス工法による床に適用した例を、該床の前側部分を示す図1を参照して説明する。
発泡合成樹脂製矩形板状断熱材1,1,…は左右方向に離間して並設された前後方向に延びる水平支持部材である大引A,A,…の間に配置され、大引A,A,…が直交する側土台Bとその後側に離間する図示しない間仕切土台との間に、断熱材1,1,…が隣接して配置されており、これらの断熱材1,1,…は、後述する構造によって左右の大引A,Aにより支持され、大引A,A,…の上側には図示しない床板が載置され固定される。
発泡合成樹脂製矩形板状断熱材1,1,…は左右方向に離間して並設された前後方向に延びる水平支持部材である大引A,A,…の間に配置され、大引A,A,…が直交する側土台Bとその後側に離間する図示しない間仕切土台との間に、断熱材1,1,…が隣接して配置されており、これらの断熱材1,1,…は、後述する構造によって左右の大引A,Aにより支持され、大引A,A,…の上側には図示しない床板が載置され固定される。
図2及び図3に示すように、発泡合成樹脂製矩形板状断熱材1の左右側面には、前後方向に延びる辺2A,2A,…と略平行に略前後方向に延びる、例えば縦断面略丸穴状で左右側面側を開口させてなる、開口よりも内部を広げた形状の係合溝3A,3Aが形成され(図4も参照。)、断熱材1の前後側面には、左右方向に延びる辺2B,2B,…と略平行に略左右方向に延びる、例えば縦断面略丸穴状で前後側面側を開口させてなる、開口よりも内部を広げた形状の第2係合溝3B,3Bが形成される。
また、係合溝3A,3Aの前記開口よりも直径が大きい例えば丸棒状の係合部材4A,4A、及び、第2係合溝3B,3Bの前記開口よりも直径が大きい例えば丸棒状の第2係合部材4B,4Bを備えている。
また、係合溝3A,3Aの前記開口よりも直径が大きい例えば丸棒状の係合部材4A,4A、及び、第2係合溝3B,3Bの前記開口よりも直径が大きい例えば丸棒状の第2係合部材4B,4Bを備えている。
よって、左右のシート体5A,5Aの一部C1,C1を左右の係合溝3A,3A内に挿入し、左右の係合部材4A,4Aを、係合溝3A,3Aの前記開口の上下を弾性変形させて広げながら、係合溝3A,3A内に押し込んで係合させることにより、前記弾性変形の復元力により前記開口の上下の間隔が元のように狭まって抜け止めされた状態で、断熱材1にシート体5A,5Aが取り付けられる。
また、前後の第2シート体5B,5Bの一部D1,D1を前後の第2係合溝3B,3B内に挿入し、前後の第2係合部材4B,4Bを、第2係合溝3B,3Bの前記開口の上下を弾性変形させて広げながら、第2係合溝3B,3B内に押し込んで係合させることにより、前記弾性変形の復元力により前記開口の上下の間隔が元のように狭まって抜け止めされた状態で、断熱材1に第2シート体5B,5Bが取り付けられる。
さらに、図1に示すように、断熱材1に取り付けられた左右のシート体5A,5Aは、断熱材1を設置した状態で、端縁部C2,C2を大引A,Aに添わせることができる大きさを有しており、断熱材1に取り付けられた前後のシート体5B,5Bは、断熱材1を設置した状態で、端縁部D2,D2を側土台B又は隣接する断熱材1に添わせることができる大きさを有している。
また、前後の第2シート体5B,5Bの一部D1,D1を前後の第2係合溝3B,3B内に挿入し、前後の第2係合部材4B,4Bを、第2係合溝3B,3Bの前記開口の上下を弾性変形させて広げながら、第2係合溝3B,3B内に押し込んで係合させることにより、前記弾性変形の復元力により前記開口の上下の間隔が元のように狭まって抜け止めされた状態で、断熱材1に第2シート体5B,5Bが取り付けられる。
さらに、図1に示すように、断熱材1に取り付けられた左右のシート体5A,5Aは、断熱材1を設置した状態で、端縁部C2,C2を大引A,Aに添わせることができる大きさを有しており、断熱材1に取り付けられた前後のシート体5B,5Bは、断熱材1を設置した状態で、端縁部D2,D2を側土台B又は隣接する断熱材1に添わせることができる大きさを有している。
ここで、発泡合成樹脂製矩形板状断熱材1の発泡合成樹脂としては、例えばポリスチレン等のポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、又はポリウレタン等のポリウレタン系樹脂が用いられ、係合溝3A,3A及び第2係合溝3B,3Bは、例えばニクロム線を用いたカッターにより容易に形成することができる。
また、係合部材4A及び第2係合部材4Bは、発泡合成樹脂製としてもよいし、木製又は合成樹脂製等としてもよく、複数の係合部材を離間させて係合溝に係合させるようにしてもよい。
さらに、シート体5A及び第2シート体5Bは、織布若しくは編布又は不織布である布帛を基体とし、その表面及び裏面の少なくともどちらかにアルミニウム等の金属薄膜を積層してなる、例えば0.1〜0.3mm程度の厚さの可撓性のある反射断熱シートが好ましいが、他の材質としてもよい。
また、係合部材4A及び第2係合部材4Bは、発泡合成樹脂製としてもよいし、木製又は合成樹脂製等としてもよく、複数の係合部材を離間させて係合溝に係合させるようにしてもよい。
さらに、シート体5A及び第2シート体5Bは、織布若しくは編布又は不織布である布帛を基体とし、その表面及び裏面の少なくともどちらかにアルミニウム等の金属薄膜を積層してなる、例えば0.1〜0.3mm程度の厚さの可撓性のある反射断熱シートが好ましいが、他の材質としてもよい。
断熱材1に左右のシート体5A,5A及び前後のシート体5B,5Bを取り付けた図2の状態で、図4に示すように左右の大引A,A間に断熱材1を装着する際に、断熱材1の左右方向の外径寸法が大引A,A間の間隔よりも若干大きい場合であっても、断熱材1の下面には前後方向に延びるスリット溝S,S,…が形成されていることから断熱材1の左右側面が内側に弾性変形するため、容易に装着作業を行うことができる。
そして、左右のシート体5A,5Aを大引A,Aの上面に添わせた状態で端縁部C2,C2を固定具である例えばタッカー6,6,…により容易に固定することができ、その上には構造用合板等が載置され固定される。
また、断熱材1の左右方向の外径寸法が左右の大引A,A間の間隔よりも小さい場合は、大引A,Aの対向内面と断熱材1との間に隙間が生じるが、この隙間はシート体5A,5Aにより塞がれるため気密性を確保することができる。
そして、左右のシート体5A,5Aを大引A,Aの上面に添わせた状態で端縁部C2,C2を固定具である例えばタッカー6,6,…により容易に固定することができ、その上には構造用合板等が載置され固定される。
また、断熱材1の左右方向の外径寸法が左右の大引A,A間の間隔よりも小さい場合は、大引A,Aの対向内面と断熱材1との間に隙間が生じるが、この隙間はシート体5A,5Aにより塞がれるため気密性を確保することができる。
さらに、断熱材1には、前後の第2シート体5B,5Bも取り付けられているため、図1に示すように、端縁部D2,D2を側土台B若しくは図示しない間仕切土台及び隣接する断熱材1に添わせることにより隙間を塞いで気密性を確保することができ、前後に隣接する断熱材1,1間では第2シート体5B,5Bが重複するため、これらを同方向に折り曲げてどちらかの断熱材上に添わせればよく、あるいは、重複箇所では第2シート体5Bを前後の断熱材1,1の一方のみに取り付けるようにしてもよい。
なお、シート体5A,5A及び第2シート体5B,5Bの形状は、図3に示すような矩形に限定されるものではなく、例えば図1において平面視矩形状である断熱材1の角部近傍の、シート体5Aの端縁部C2と第2シート体5Bの端縁部D2との端部同士が重なる形状とすることもでき、このようにすればさらに気密性が向上する。
なお、シート体5A,5A及び第2シート体5B,5Bの形状は、図3に示すような矩形に限定されるものではなく、例えば図1において平面視矩形状である断熱材1の角部近傍の、シート体5Aの端縁部C2と第2シート体5Bの端縁部D2との端部同士が重なる形状とすることもでき、このようにすればさらに気密性が向上する。
係合溝3A,3Aは、図4のような断熱材1の左右側面ではなく、図5(a)のように断熱材1下面左右の前後方向の辺2A,2Aの近傍、又は、図5(b)のように断熱材1上面左右の前後方向の辺2A,2Aの近傍に、これらの辺2A,2Aと略平行に形成してもよく、第2係合溝3B,3Bも、断熱材1下面又は上面前後の左右方向の辺2B,2Bの近傍に、これらの辺2B,2Bと略平行に形成してもよい。
また、シート体5A,5Bの係合溝3A,3B内に挿入される一部分C1,D1を、シート体5A,5Bの端縁を折り返して縫着したループ状とし、このループの中に係合部材4A,4Bを挿入するようにしてもよく、このようにすれば、シート体5A,5Bの取付作業が容易になる。その上、例えば図5(a)の構成において、地震等により断熱材1の係合溝3A,3Bから係合部材4A,4Bが外れる場合があったとしても、シート体5A,5Bの前記ループ内に係合部材4A,4Bが保持されていることから、係合部材4A,4Bにより断熱材1が掛止されるため、断熱部材1が落下することがない。
また、シート体5A,5Bの係合溝3A,3B内に挿入される一部分C1,D1を、シート体5A,5Bの端縁を折り返して縫着したループ状とし、このループの中に係合部材4A,4Bを挿入するようにしてもよく、このようにすれば、シート体5A,5Bの取付作業が容易になる。その上、例えば図5(a)の構成において、地震等により断熱材1の係合溝3A,3Bから係合部材4A,4Bが外れる場合があったとしても、シート体5A,5Bの前記ループ内に係合部材4A,4Bが保持されていることから、係合部材4A,4Bにより断熱材1が掛止されるため、断熱部材1が落下することがない。
さらに、断熱材1に形成する係合溝3A,3Aの形状は、図4及び図5に示す形状に限定されるものではなく、図6(a)に示すように縦断面略コ字状(U字状)とする等、様々な形状を採用することができ、第2係合溝3B,3Bについても同様である。
さらにまた、係合部材4A,4A及び第2係合部材4B,4Bの形状は、図3に示す丸棒状に限定されるものではなく、図6(a)に示す平板状等、係合溝3A,3A及び第2係合溝3B,3Bの形状に合わせた適宜形状とすることができる。
さらにまた、係合部材4A,4A及び第2係合部材4B,4Bの形状は、図3に示す丸棒状に限定されるものではなく、図6(a)に示す平板状等、係合溝3A,3A及び第2係合溝3B,3Bの形状に合わせた適宜形状とすることができる。
また、図4に示す左右のシート体5A,5Aを、図6(b)に示すように、断熱材1の裏面(底面、下面)全体を被うように前記裏面に添わせるようにした1枚のシート体5Aとしてもよく、同様に図5(a)の構成においても、左右のシート体5A,5Aを1枚のシート体5Aとしてもよい。
さらに、図5(b)に示す左右のシート体5A,5Aを、断熱材1の表面(上面)全体を被うように前記表面に添わせるようにした1枚のシート体5Aとしてもよい。
さらにまた、上述の1枚のシート体5Aと同様に、前後の第2シート体5B,5Bを、断熱材1の裏面又は表面全体を被うように前記裏面又は表面に添わせるようにした1枚のシート体5Bとしてもよい。
さらに、図5(b)に示す左右のシート体5A,5Aを、断熱材1の表面(上面)全体を被うように前記表面に添わせるようにした1枚のシート体5Aとしてもよい。
さらにまた、上述の1枚のシート体5Aと同様に、前後の第2シート体5B,5Bを、断熱材1の裏面又は表面全体を被うように前記裏面又は表面に添わせるようにした1枚のシート体5Bとしてもよい。
以上のような建築物の断熱構造によれば、断熱材1の係合溝3A,3Aと係合部材4A,4Aとの係合によりシート体5A,5Aの一部C1,C1を挟持することにより、左右のシート体5A,5A又は1枚のシート体5Aが、取付け金具(受け金具)や接着剤を使用せずに断熱材1に取り付けられていることから、金具の腐食や接着剤の劣化による影響がないため、非常に長い期間にわたる使用であっても断熱材1が取り付けられた状態を安定かつ確実に保持することができる。
また、断熱材1と水平支持部材である例えば大引A,Aとの間に隙間が生じる場合であっても、断熱材1に取り付けられた左右のシート体5A,5A又は1枚のシート体5Aにより前記隙間を塞ぐことができるため、前記隙間の存在に基づく断熱性の低下を防止することができる。
さらに、断熱材1を構造用合板に接着して断熱パネルとする構成と比較して、構造用合板が余分になることがないため、コストの増大を抑制することができるとともに、接着剤を使用せずに断熱材1の係合溝と係合部材との係合によりシート体が断熱材1に取り付けられていることから、建築物を解体する際に断熱材1からシート体を容易に分離することができるため、リサイクルを容易に行うことができる。
また、断熱材1と水平支持部材である例えば大引A,Aとの間に隙間が生じる場合であっても、断熱材1に取り付けられた左右のシート体5A,5A又は1枚のシート体5Aにより前記隙間を塞ぐことができるため、前記隙間の存在に基づく断熱性の低下を防止することができる。
さらに、断熱材1を構造用合板に接着して断熱パネルとする構成と比較して、構造用合板が余分になることがないため、コストの増大を抑制することができるとともに、接着剤を使用せずに断熱材1の係合溝と係合部材との係合によりシート体が断熱材1に取り付けられていることから、建築物を解体する際に断熱材1からシート体を容易に分離することができるため、リサイクルを容易に行うことができる。
さらにまた、この断熱構造を床に適用した場合において、断熱材1は左右のシート体5A,5A又は1枚のシート体5Aにより水平支持部材である例えば大引A,Aに取り付けられており、前記シート体は可撓性があることから大引A,Aに密着するとともに比較的薄いため、この上に床板を載置固定しても床鳴りの原因になることがない。
また、断熱材1には、左右のシート体5A,5A又は1枚のシート体5Aと同様の取付方法により前後の第2シート体5B,5B又は1枚のシート体5Bも取り付けられているため、例えば根太レス工法により形成される床の断熱構造として使用した際に、大引A,Aが直交する側土台B又は間仕切土台と断熱材1との突き合わせ部又は前後の断熱材1,1同士の突き合わせ部に隙間が生じる場合であっても、断熱材1,1の前後に取り付けられた前後の第2シート体5B,5B又は1枚のシート体5Bにより前記隙間を塞ぐことができるため、前記隙間の存在に基づく断熱性の低下を防止することができる。
また、断熱材1には、左右のシート体5A,5A又は1枚のシート体5Aと同様の取付方法により前後の第2シート体5B,5B又は1枚のシート体5Bも取り付けられているため、例えば根太レス工法により形成される床の断熱構造として使用した際に、大引A,Aが直交する側土台B又は間仕切土台と断熱材1との突き合わせ部又は前後の断熱材1,1同士の突き合わせ部に隙間が生じる場合であっても、断熱材1,1の前後に取り付けられた前後の第2シート体5B,5B又は1枚のシート体5Bにより前記隙間を塞ぐことができるため、前記隙間の存在に基づく断熱性の低下を防止することができる。
さらに、係合溝3A,3A及び第2係合溝3B,3Bが、係合部材4A,4A及び第2係合部材4B,4Bを押し込んで係合させる際に、弾性的に係合するように形成されているものにあっては、断熱材1が発泡合成樹脂製であることから弾性変形しやすいことを利用して、断熱材1の係合溝3A,3A及び第2係合溝3B,3Bと係合部材4A,4A及び第2係合部材4B,4Bとの係合による左右のシート体5A,5A又は1枚のシート体5A及び前後の第2シート体5B,5B又は1枚のシート体5Bの保持の信頼性をより長期間にわたって確保することができる。
さらにまた、矩形板状断熱材1に対して、その周りに隙間がある場合に該隙間を塞ぐ機能を有するシート体5A,5A及び第2シート体5B,5Bが反射断熱シートであるため、その断熱効果により断熱性が向上する。特に、シート体5A又は第2シート体5Bが、断熱材1の裏面又は表面全体を被うように前記裏面又は表面に添わせるようにした1枚の反射断熱シートである場合には、その輻射熱の遮断効果により断熱性をさらに向上することができる。
さらにまた、矩形板状断熱材1に対して、その周りに隙間がある場合に該隙間を塞ぐ機能を有するシート体5A,5A及び第2シート体5B,5Bが反射断熱シートであるため、その断熱効果により断熱性が向上する。特に、シート体5A又は第2シート体5Bが、断熱材1の裏面又は表面全体を被うように前記裏面又は表面に添わせるようにした1枚の反射断熱シートである場合には、その輻射熱の遮断効果により断熱性をさらに向上することができる。
以上の説明においては、発泡合成樹脂製矩形板状断熱材1を大引A,A間に装着する例を示したが、断熱材1は根太等の大引以外の水平支持部材に装着してもよく、あるいは、柱若しくは間柱等の垂直支持部材又は垂木等の傾斜支持部材に対して、これらの隣り合う支持部材間に装着してもよい。すなわち、本考案に係る建築物における断熱構造は、床、壁、天井、屋根等に対して適用することができる。
また、断熱材1は矩形板状のものであるが、その形状は平板状のものに限定されるものではなく、例えば屋根の断熱に適用する際に通気用の溝や段部を形成する等、その使用箇所に応じた形状とすることができる。
また、断熱材1は矩形板状のものであるが、その形状は平板状のものに限定されるものではなく、例えば屋根の断熱に適用する際に通気用の溝や段部を形成する等、その使用箇所に応じた形状とすることができる。
A 大引(水平支持部材)
B 側土台(水平支持部材と直交する部材)
C1,D1 一部
C2,D2 端縁部
F 前方
S スリット溝
1 発泡合成樹脂製矩形板状断熱材
2A 支持部材の長手方向の辺
2B 支持部材の長手方向と直交する方向の辺
3A 係合溝
3B 第2係合溝
4A 係合部材
4B 第2係合部材
5A シート体
5B 第2シート体
6 タッカー(固定具)
B 側土台(水平支持部材と直交する部材)
C1,D1 一部
C2,D2 端縁部
F 前方
S スリット溝
1 発泡合成樹脂製矩形板状断熱材
2A 支持部材の長手方向の辺
2B 支持部材の長手方向と直交する方向の辺
3A 係合溝
3B 第2係合溝
4A 係合部材
4B 第2係合部材
5A シート体
5B 第2シート体
6 タッカー(固定具)
Claims (4)
- 大引若しくは根太等の水平支持部材、柱若しくは間柱等の垂直支持部材又は垂木等の傾斜支持部材に対して、これらの隣り合う支持部材間に発泡合成樹脂製矩形板状断熱材を配置して構成される、建築物における断熱構造であって、
前記支持部材の長手方向と略平行な前記断熱材の辺と略平行に延びる係合溝を前記断熱材に形成するとともに、前記係合溝に係合する係合部材と、前記係合溝内に一部が挿入されて前記断熱部材及び係合部材により挟まれ、端縁部が前記支持部材に添う大きさを有するシート体とを備え、前記シート体の端縁部を前記支持部材に添わせて固定する建築物における断熱構造。 - 前記支持部材の長手方向と略直交する方向の前記断熱材の辺と略平行に延びる第2係合溝を前記断熱材に形成するとともに、前記第2係合溝に係合する第2係合部材と、前記第2係合溝内に一部が挿入されて前記断熱部材及び第2係合部材により挟まれ、端縁部が前記支持部材と直交する部材又は隣接する前記断熱材に添う大きさを有する第2シート体とを備え、前記第2シート体の端縁部を前記支持部材と直交する部材又は隣接する前記断熱材に添わせた状態とする請求項1記載の建築物における断熱構造。
- 前記係合溝又は第2係合溝が、前記係合部材又は第2係合部材を押し込んで係合させる際に、弾性的に係合するように形成されてなる請求項1又は2記載の建築物における断熱構造。
- 前記シート体が反射断熱シートである請求項1又は2記載の建築物における断熱構造。
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JP2019078125A (ja) * | 2017-10-27 | 2019-05-23 | 住建システム株式会社 | 建築材料、及び、施工方法 |
JP2020200657A (ja) * | 2019-06-10 | 2020-12-17 | 株式会社 小林工業所 | 木造軸組工法住宅の遮熱断熱構造 |
JP7573314B1 (ja) | 2023-07-21 | 2024-10-25 | 株式会社和紙空間 | 断熱パネル取付構造およびそれに用いる断熱ユニットパネル |
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