JP3237509B2 - Ii−vi族化合物半導体結晶の成長方法 - Google Patents
Ii−vi族化合物半導体結晶の成長方法Info
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- JP3237509B2 JP3237509B2 JP08157096A JP8157096A JP3237509B2 JP 3237509 B2 JP3237509 B2 JP 3237509B2 JP 08157096 A JP08157096 A JP 08157096A JP 8157096 A JP8157096 A JP 8157096A JP 3237509 B2 JP3237509 B2 JP 3237509B2
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、昇華法又はハロゲ
ン化学輸送法で種結晶上にZnSe、ZnS、CdT
e、CdS等のII−VI族化合物半導体結晶を成長する方
法に関する。
ン化学輸送法で種結晶上にZnSe、ZnS、CdT
e、CdS等のII−VI族化合物半導体結晶を成長する方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】II−VI族化合物半導体結晶の成長方法
は、融液成長法、固相成長法、溶液成長法、気相成長法
の4種の方法に大きく分類される。その中で気相成長法
には、原料の昇華及び凝結を利用して結晶成長を行う昇
華法、及び、ハロゲンを原料と反応させてハロゲン化物
を生成し、そのハロゲン化物を種結晶上に輸送して分解
し、結晶成長を行うハロゲン化学輸送法がある。
は、融液成長法、固相成長法、溶液成長法、気相成長法
の4種の方法に大きく分類される。その中で気相成長法
には、原料の昇華及び凝結を利用して結晶成長を行う昇
華法、及び、ハロゲンを原料と反応させてハロゲン化物
を生成し、そのハロゲン化物を種結晶上に輸送して分解
し、結晶成長を行うハロゲン化学輸送法がある。
【0003】例えば、J. Crystal Growth 94 (1989) p.
1 〜5 には、石英管に5gのZnSe粉末と、種結晶と
してZnSe単結晶とをアンプルに封入し、このアンプ
ルを加熱してZnSe粉末側の温度を約1080℃に、
種結晶側の温度を約1070℃に保持することにより、
種結晶上にZnSe結晶を成長させたことが報告されて
いる。
1 〜5 には、石英管に5gのZnSe粉末と、種結晶と
してZnSe単結晶とをアンプルに封入し、このアンプ
ルを加熱してZnSe粉末側の温度を約1080℃に、
種結晶側の温度を約1070℃に保持することにより、
種結晶上にZnSe結晶を成長させたことが報告されて
いる。
【0004】図3は、従来の昇華法でZnSe単結晶を
成長させる装置の概念図であり、石英管の一端を閉じ、
その端部に凹部を形成して板状種結晶を凹部内に配置
し、種結晶の周囲を治具で固定し、封入蓋上にZnSe
多結晶を配置して石英管の開放端より挿入し、真空に引
いた後、封入蓋を封止した状態を示したものである。こ
の石英管を加熱炉に入れて、ZnSe多結晶を昇華温度
に、ZnSe種結晶を成長温度に加熱して結晶成長を行
う。ZnSe成長結晶は、図4に示すように、固定治具
先端の円錐形に沿って成長する。
成長させる装置の概念図であり、石英管の一端を閉じ、
その端部に凹部を形成して板状種結晶を凹部内に配置
し、種結晶の周囲を治具で固定し、封入蓋上にZnSe
多結晶を配置して石英管の開放端より挿入し、真空に引
いた後、封入蓋を封止した状態を示したものである。こ
の石英管を加熱炉に入れて、ZnSe多結晶を昇華温度
に、ZnSe種結晶を成長温度に加熱して結晶成長を行
う。ZnSe成長結晶は、図4に示すように、固定治具
先端の円錐形に沿って成長する。
【0005】ところで、II−VI族化合物半導体結晶は、
発光素子や太陽電池の基板として使用されるが、基板結
晶中にボイドやクラックが存在すると、発光素子や太陽
電池の特性が大きく損なわれるので、これらのない結晶
性に優れたII−VI族化合物半導体結晶が望まれていた。
一方、成長結晶の単結晶化の確率を高めるために、種結
晶を使用するのが普通であるが、本発明者は、前記特性
について種々研究する中で、昇華法やハロゲン化学輸送
法で種結晶上にII−VI族化合物半導体結晶を成長すると
きに、結晶中にボイドが発生しやすく、また、結晶には
クラックが発生しやすいことを見出した。
発光素子や太陽電池の基板として使用されるが、基板結
晶中にボイドやクラックが存在すると、発光素子や太陽
電池の特性が大きく損なわれるので、これらのない結晶
性に優れたII−VI族化合物半導体結晶が望まれていた。
一方、成長結晶の単結晶化の確率を高めるために、種結
晶を使用するのが普通であるが、本発明者は、前記特性
について種々研究する中で、昇華法やハロゲン化学輸送
法で種結晶上にII−VI族化合物半導体結晶を成長すると
きに、結晶中にボイドが発生しやすく、また、結晶には
クラックが発生しやすいことを見出した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、上
記の問題を解消し、昇華法又はハロゲン化学輸送法で種
結晶上にボイドやクラックのない結晶性に優れたII−VI
族化合物半導体結晶の成長方法を提供しようとするもの
である。
記の問題を解消し、昇華法又はハロゲン化学輸送法で種
結晶上にボイドやクラックのない結晶性に優れたII−VI
族化合物半導体結晶の成長方法を提供しようとするもの
である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、次の構成を採
用することにより、上記の課題の解決に成功した。 (1) 成長室中に原料多結晶を配置し、昇華法又はハロゲ
ン化学輸送法で種結晶上にII−VI族化合物半導体結晶を
成長させる方法において、前記種結晶の背面を平らに加
工し、他方、結晶成長環境の下で種結晶と反応せず、昇
華せず、ハロゲン化学輸送法においてはハロゲンと反応
しない材料で種結晶保護材を作製し、その表面を平らに
加工し、前記種結晶保護材及び/又は前記種結晶の加工
面に種結晶との付着を防止する被膜をコーティングした
後、前記種結晶と前記種結晶保護材の加工面を隙間なく
密着させて成長室内に配置することを特徴とするII−VI
族化合物半導体結晶の成長方法。(2) 成長室中に原料多結晶を配置し、昇華法又はハロゲ
ン化学輸送法で種結晶上にII−VI族化合物半導体結晶を
成長させる方法において、前記種結晶の背面を平らに加
工し、他方、結晶成長環境の下で種結晶と反応せず、昇
華せず、ハロゲン化学輸送法においてはハロゲンと反応
しない材料で種結晶保護材を作製し、その表面を平らに
加工し、前記種結晶保護材と種結晶との間に、応力緩衝
材を隙間なく密着配置して成長室内に配置することを特
徴とするII−VI族化合物半導体結晶の成長方法。 (3) 前記種結晶保護材及び/又は前記種結晶の加工面に
種結晶との付着を防止する被膜をコーティングしてお
き、前記前記種結晶保護材と種結晶との間に、応力緩衝
材を隙間なく密着配置することを特徴とする上記(2) 記
載のII−VI族化合物半導体結晶の成長方法。
用することにより、上記の課題の解決に成功した。 (1) 成長室中に原料多結晶を配置し、昇華法又はハロゲ
ン化学輸送法で種結晶上にII−VI族化合物半導体結晶を
成長させる方法において、前記種結晶の背面を平らに加
工し、他方、結晶成長環境の下で種結晶と反応せず、昇
華せず、ハロゲン化学輸送法においてはハロゲンと反応
しない材料で種結晶保護材を作製し、その表面を平らに
加工し、前記種結晶保護材及び/又は前記種結晶の加工
面に種結晶との付着を防止する被膜をコーティングした
後、前記種結晶と前記種結晶保護材の加工面を隙間なく
密着させて成長室内に配置することを特徴とするII−VI
族化合物半導体結晶の成長方法。(2) 成長室中に原料多結晶を配置し、昇華法又はハロゲ
ン化学輸送法で種結晶上にII−VI族化合物半導体結晶を
成長させる方法において、前記種結晶の背面を平らに加
工し、他方、結晶成長環境の下で種結晶と反応せず、昇
華せず、ハロゲン化学輸送法においてはハロゲンと反応
しない材料で種結晶保護材を作製し、その表面を平らに
加工し、前記種結晶保護材と種結晶との間に、応力緩衝
材を隙間なく密着配置して成長室内に配置することを特
徴とするII−VI族化合物半導体結晶の成長方法。 (3) 前記種結晶保護材及び/又は前記種結晶の加工面に
種結晶との付着を防止する被膜をコーティングしてお
き、前記前記種結晶保護材と種結晶との間に、応力緩衝
材を隙間なく密着配置することを特徴とする上記(2) 記
載のII−VI族化合物半導体結晶の成長方法。
【0008】(4) 前記種結晶保護材が、種結晶の熱膨張
係数に近い材料で構成されていることを特徴とする上記
(1) ないし(3) のいずれかに 記載のII−VI族化合物半
導体結晶の成長方法。(5 ) 前記種結晶保護材が、石英ガラス、アルミナ、ジル
コニア、炭化珪素、水晶又はサファイアであることを特
徴とする上記(1) ないし(4) のいずれかに記載のII−VI
族化合物半導体結晶の成長方法。
係数に近い材料で構成されていることを特徴とする上記
(1) ないし(3) のいずれかに 記載のII−VI族化合物半
導体結晶の成長方法。(5 ) 前記種結晶保護材が、石英ガラス、アルミナ、ジル
コニア、炭化珪素、水晶又はサファイアであることを特
徴とする上記(1) ないし(4) のいずれかに記載のII−VI
族化合物半導体結晶の成長方法。
【0009】(6) 前記被膜が、カーボン、炭化珪素等の
炭化物、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素等の
窒化物又は酸化アルミニウム、酸化亜鉛等の酸化物であ
ることを特徴とする上記(1) 又は(3) に記載のII−VI族
化合物半導体結晶の成長方法。
炭化物、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素等の
窒化物又は酸化アルミニウム、酸化亜鉛等の酸化物であ
ることを特徴とする上記(1) 又は(3) に記載のII−VI族
化合物半導体結晶の成長方法。
【0010】(7) 前記応力緩衝材として、種結晶と同じ
物質からなる多結晶板を用いることを特徴とする上記
(2) 又は(3) 記載のII−VI族化合物半導体結晶の成長方
法。
物質からなる多結晶板を用いることを特徴とする上記
(2) 又は(3) 記載のII−VI族化合物半導体結晶の成長方
法。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明は、昇華法又はハロゲン化
学輸送法で種結晶上にII−VI族化合物半導体結晶を成長
させるときに、前記種結晶の背面に隙間ができるのを防
止することにより、種結晶中にボイドの発生を抑制し、
成長結晶中にボイドが存在せず、クラックを発生しない
結晶性に優れたII−VI族化合物半導体結晶を成長させる
方法にある。
学輸送法で種結晶上にII−VI族化合物半導体結晶を成長
させるときに、前記種結晶の背面に隙間ができるのを防
止することにより、種結晶中にボイドの発生を抑制し、
成長結晶中にボイドが存在せず、クラックを発生しない
結晶性に優れたII−VI族化合物半導体結晶を成長させる
方法にある。
【0012】本発明者が結晶中にボイドが発生する原因
を調査したところ、成長室の凹部の底面を完全に平らに
加工することが困難であるため、種結晶を成長室の凹部
に完全に密着させることができず、その背部に隙間が生
ずることを避けることができなかった。その結果、図4
に示すように、種結晶前面に結晶が成長すると共に、種
結晶背面に存在する隙間に種結晶成分が昇華したり、化
学輸送されて、その隙間の体積分のボイドが種結晶中に
取り込まれ、このボイドが高温側に移動して成長結晶中
にボイドが発生することを見出した。
を調査したところ、成長室の凹部の底面を完全に平らに
加工することが困難であるため、種結晶を成長室の凹部
に完全に密着させることができず、その背部に隙間が生
ずることを避けることができなかった。その結果、図4
に示すように、種結晶前面に結晶が成長すると共に、種
結晶背面に存在する隙間に種結晶成分が昇華したり、化
学輸送されて、その隙間の体積分のボイドが種結晶中に
取り込まれ、このボイドが高温側に移動して成長結晶中
にボイドが発生することを見出した。
【0013】そこで、結晶中にボイドの発生を防止する
ために、次の2つの方法を試みた。その1は、種結晶の
温度を成長室中の最低温度に保持する方法であるが、一
般に結晶を安定に成長させるためには、成長界面におけ
る温度勾配をできるだけ大きくする必要があり、そのた
めには、種結晶背面から熱を放出する必要がある。した
がって、図4のように、種結晶背面に隙間があると、そ
の部分の温度は種結晶より低くなり、結晶成分が析出し
てボイドの発生の原因となる。しかし、上記のようにこ
の隙間を完全になくすことは困難である。
ために、次の2つの方法を試みた。その1は、種結晶の
温度を成長室中の最低温度に保持する方法であるが、一
般に結晶を安定に成長させるためには、成長界面におけ
る温度勾配をできるだけ大きくする必要があり、そのた
めには、種結晶背面から熱を放出する必要がある。した
がって、図4のように、種結晶背面に隙間があると、そ
の部分の温度は種結晶より低くなり、結晶成分が析出し
てボイドの発生の原因となる。しかし、上記のようにこ
の隙間を完全になくすことは困難である。
【0014】その2は、種結晶を成長室中の最低温度部
に必ずしも配置しなくても、図1のように、種結晶より
も低温にさらされる種結晶背面を、種結晶保護材で隙間
なく密着して覆って保護する方法である。種結晶保護材
は、当然のことであるが、結晶成長環境下で昇華した
り、ハロゲンと反応しない材料で作る必要がある。即
ち、種結晶の背面を平らに加工し、他方、結晶成長環境
の下で種結晶と反応せず、昇華せず、ハロゲン化学輸送
法においてはハロゲンと反応しない材料で種結晶保護材
を作製し、その表面を平らに加工し、種結晶と種結晶保
護材の加工面を隙間なく密着させて成長室内に配置する
ことにより、II−VI族化合物半導体成長結晶中にボイド
の取り込みを防止する方法である。種結晶と種結晶保護
材を密着させるには、機械的に押さえつけてもよいが、
種結晶背面が上になるように結晶成長炉中に成長容器を
配置し、種結晶保護材の自重で種結晶に密着させてもよ
い。
に必ずしも配置しなくても、図1のように、種結晶より
も低温にさらされる種結晶背面を、種結晶保護材で隙間
なく密着して覆って保護する方法である。種結晶保護材
は、当然のことであるが、結晶成長環境下で昇華した
り、ハロゲンと反応しない材料で作る必要がある。即
ち、種結晶の背面を平らに加工し、他方、結晶成長環境
の下で種結晶と反応せず、昇華せず、ハロゲン化学輸送
法においてはハロゲンと反応しない材料で種結晶保護材
を作製し、その表面を平らに加工し、種結晶と種結晶保
護材の加工面を隙間なく密着させて成長室内に配置する
ことにより、II−VI族化合物半導体成長結晶中にボイド
の取り込みを防止する方法である。種結晶と種結晶保護
材を密着させるには、機械的に押さえつけてもよいが、
種結晶背面が上になるように結晶成長炉中に成長容器を
配置し、種結晶保護材の自重で種結晶に密着させてもよ
い。
【0015】他方、本発明者は、結晶にクラックが発生
する原因について検討した結果、種結晶の背面が成長室
の内壁や種結晶保護材に付着して、結晶成長後の冷却過
程において、成長結晶と成長室の構成材料及び/又は又
は種結晶保護材との熱膨張係数の差により、成長結晶に
応力がかかり、クラックが発生することを見出した。
する原因について検討した結果、種結晶の背面が成長室
の内壁や種結晶保護材に付着して、結晶成長後の冷却過
程において、成長結晶と成長室の構成材料及び/又は又
は種結晶保護材との熱膨張係数の差により、成長結晶に
応力がかかり、クラックが発生することを見出した。
【0016】この応力の発生を防止する方法として次の
3つの方法を試みた。その1は、種結晶が付着する相手
である、種結晶保護材や成長室の構成材料の材質を、成
長結晶と熱膨張係数が近い材料を使用すれば、上記の問
題は解消するが、種結晶保護材や成長室の構成材料とし
ての特性を満たし、かつ、熱膨張係数が種結晶に近い適
当な材料がない。
3つの方法を試みた。その1は、種結晶が付着する相手
である、種結晶保護材や成長室の構成材料の材質を、成
長結晶と熱膨張係数が近い材料を使用すれば、上記の問
題は解消するが、種結晶保護材や成長室の構成材料とし
ての特性を満たし、かつ、熱膨張係数が種結晶に近い適
当な材料がない。
【0017】その2は、種結晶が、種結晶保護材や成長
室と付着しないように、付着防止用の被膜をコーティン
グする方法である。本発明では、種結晶背面や種結晶保
護材の表面に前記被膜を付着することにより、前記クラ
ックの発生を防止することに成功した。この被膜は、前
記の付着を化学的、物理的に付着し難くすると共に、結
晶成長のための昇温、成長後の冷却過程で種結晶保護材
から被膜が剥離するため、種結晶と種結晶保護材の付着
が防止されるものと考えられる。
室と付着しないように、付着防止用の被膜をコーティン
グする方法である。本発明では、種結晶背面や種結晶保
護材の表面に前記被膜を付着することにより、前記クラ
ックの発生を防止することに成功した。この被膜は、前
記の付着を化学的、物理的に付着し難くすると共に、結
晶成長のための昇温、成長後の冷却過程で種結晶保護材
から被膜が剥離するため、種結晶と種結晶保護材の付着
が防止されるものと考えられる。
【0018】仮に、種結晶保護材を省略して、種結晶背
面にコーティングする被膜だけでも種結晶背面の保護に
は効果があると考えられるが、一般的には、成長温度ま
で昇温する過程で被膜が剥離するので、種結晶背面を保
護することは困難であると考えられる。
面にコーティングする被膜だけでも種結晶背面の保護に
は効果があると考えられるが、一般的には、成長温度ま
で昇温する過程で被膜が剥離するので、種結晶背面を保
護することは困難であると考えられる。
【0019】上記の被膜は、結晶成長時に昇華したり、
ハロゲンと反応しない物質である必要がある。被膜の材
質としては、カーボン、炭化珪素等の炭化物、窒化珪
素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素等の窒化物又は酸化
アルミニウム、酸化亜鉛等の酸化物などを使用すること
ができる。
ハロゲンと反応しない物質である必要がある。被膜の材
質としては、カーボン、炭化珪素等の炭化物、窒化珪
素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素等の窒化物又は酸化
アルミニウム、酸化亜鉛等の酸化物などを使用すること
ができる。
【0020】その3は、種結晶と種結晶保護材との熱膨
張係数の差による成長結晶への応力を緩和するために、
種結晶と種結晶保護材の間に応力緩衝材を密着介在させ
る方法である。この応力緩衝材としては、種結晶と同じ
物質からなる多結晶板が最適である。多結晶板は、単結
晶より強靱で割れにくいので、クラックの発生を防いで
くれる。多結晶の強靱性を十分に活かすためには、多結
晶板の厚みを多結晶の粒径より十分に大きくする必要が
ある。また、種結晶保護材と応力緩衝材(多結晶)との
境界で結晶欠陥である転位が発生しても、多結晶の粒界
で転位の伝播が止められるので、種結晶及び成長結晶に
対する影響は極めて小さいものと考えられる。なお、上
記の付着防止用の被膜をコーティングした種結晶保護材
を、応力緩衝材と併用すれば、クラックの発生防止に一
層有効である。
張係数の差による成長結晶への応力を緩和するために、
種結晶と種結晶保護材の間に応力緩衝材を密着介在させ
る方法である。この応力緩衝材としては、種結晶と同じ
物質からなる多結晶板が最適である。多結晶板は、単結
晶より強靱で割れにくいので、クラックの発生を防いで
くれる。多結晶の強靱性を十分に活かすためには、多結
晶板の厚みを多結晶の粒径より十分に大きくする必要が
ある。また、種結晶保護材と応力緩衝材(多結晶)との
境界で結晶欠陥である転位が発生しても、多結晶の粒界
で転位の伝播が止められるので、種結晶及び成長結晶に
対する影響は極めて小さいものと考えられる。なお、上
記の付着防止用の被膜をコーティングした種結晶保護材
を、応力緩衝材と併用すれば、クラックの発生防止に一
層有効である。
【0021】
〔比較例1〕図3の装置を用いてZnSe単結晶を成長
させた。種結晶は、直径10mm、厚み1mmの表面を
ミラー研磨し、裏面をラッピング研磨した(111)A面のZ
nSe単結晶ウエハを用い、石英製の成長室の先端に設
けた凹部に該種結晶を配置し、内径25mmの円筒形部
と、円錐形の先端部からなる固定治具で種結晶の周囲を
固定し、原料多結晶としてZnSe多結晶10g及びヨ
ウ素122mgを封入蓋に載せて成長室に挿入し、3×
10-7Torrに排気してから封入蓋の部分で封着して
真空封入してZnSe結晶用アンプルを作製した。
させた。種結晶は、直径10mm、厚み1mmの表面を
ミラー研磨し、裏面をラッピング研磨した(111)A面のZ
nSe単結晶ウエハを用い、石英製の成長室の先端に設
けた凹部に該種結晶を配置し、内径25mmの円筒形部
と、円錐形の先端部からなる固定治具で種結晶の周囲を
固定し、原料多結晶としてZnSe多結晶10g及びヨ
ウ素122mgを封入蓋に載せて成長室に挿入し、3×
10-7Torrに排気してから封入蓋の部分で封着して
真空封入してZnSe結晶用アンプルを作製した。
【0022】このアンプルを縦型管状炉に配置し、多結
晶原料の温度を860℃に、種結晶の温度を850℃に
加熱して20日間結晶成長を行った。得られた成長結晶
は、6.2gの単結晶であったが、結晶内部に多数のボ
イドを含み不透明な結晶であり、種結晶の近辺にクラッ
クが発生していた。成長結晶から1mm厚さの(100)の
ウエハを切り出したところ、全てのウエハが種結晶近辺
のクラックから割れてしまった。
晶原料の温度を860℃に、種結晶の温度を850℃に
加熱して20日間結晶成長を行った。得られた成長結晶
は、6.2gの単結晶であったが、結晶内部に多数のボ
イドを含み不透明な結晶であり、種結晶の近辺にクラッ
クが発生していた。成長結晶から1mm厚さの(100)の
ウエハを切り出したところ、全てのウエハが種結晶近辺
のクラックから割れてしまった。
【0023】〔参考例1〕 図1の装置を用いてZnSe単結晶を成長させた。比較
例1の種結晶の裏面に、平らに研磨した直径10mm、
厚み1mmの石英板の種結晶保護材を、研磨面同志を隙
間がないように密着させて接合した後、石英製の成長室
の先端に設けた凹部内に配置し、比較例1と同じ固定治
具で種結晶の周囲を固定し、その他の成長条件を比較例
1と同様にして20日間結晶成長を行った。
例1の種結晶の裏面に、平らに研磨した直径10mm、
厚み1mmの石英板の種結晶保護材を、研磨面同志を隙
間がないように密着させて接合した後、石英製の成長室
の先端に設けた凹部内に配置し、比較例1と同じ固定治
具で種結晶の周囲を固定し、その他の成長条件を比較例
1と同様にして20日間結晶成長を行った。
【0024】得られた成長結晶は、5.9gの単結晶で
あった。上記のように、種結晶に種結晶保護材を隙間が
ないように密着させて成長したため、成長結晶内部には
ボイドは観察されなかったが、石英板の種結晶保護材に
種結晶が付着したため、クラックが発生した。成長結晶
から1mm厚さの(100) のウエハを切り出したところ、
全てのウエハが割れてしまった。
あった。上記のように、種結晶に種結晶保護材を隙間が
ないように密着させて成長したため、成長結晶内部には
ボイドは観察されなかったが、石英板の種結晶保護材に
種結晶が付着したため、クラックが発生した。成長結晶
から1mm厚さの(100) のウエハを切り出したところ、
全てのウエハが割れてしまった。
【0025】〔実施例1〕参考 例1において、種結晶保護材の石英板の表面をカー
ボン膜でコーティングしたものを用い、参考例1と同じ
条件でZnSe単結晶を10回成長させた。得られた全
てのZnSe結晶中に、ボイドを観察することができな
かった。また、10回の結晶成長中8回の成長では、種
結晶保護材は種結晶に付着していなかった。ただし、2
回は種結晶に付着していた。しかし、全ての成長結晶に
クラックは発生していなかった。成長結晶の転位密度を
測定すると、種結晶保護材を付着していなかった成長結
晶では、1〜3×104 cm-2であったが、種結晶保護
材を付着していた成長結晶は、2×105 cm-2の転位
密度を有していた。
ボン膜でコーティングしたものを用い、参考例1と同じ
条件でZnSe単結晶を10回成長させた。得られた全
てのZnSe結晶中に、ボイドを観察することができな
かった。また、10回の結晶成長中8回の成長では、種
結晶保護材は種結晶に付着していなかった。ただし、2
回は種結晶に付着していた。しかし、全ての成長結晶に
クラックは発生していなかった。成長結晶の転位密度を
測定すると、種結晶保護材を付着していなかった成長結
晶では、1〜3×104 cm-2であったが、種結晶保護
材を付着していた成長結晶は、2×105 cm-2の転位
密度を有していた。
【0026】〔実施例2〕 CVD法で合成した粒径数十μmの多結晶体から、直径
10mm、厚み1mmのZnSe多結晶板を切り出して
表面を平らに研磨し、種結晶と種結晶保護材の間に配置
してそれぞれの間を密着させ、実施例1と同じ条件でZ
nSe単結晶を10回成長させた。その結果、全ての結
晶成長で種結晶とZnSe多結晶板は完全に一体化して
いた。また、10回の結晶成長中3回の成長では、Zn
Se多結晶板と種結晶保護材が付着していたが、成長結
晶中にボイドやクラックは観察されなかった。成長結晶
の転位密度を測定すると、全て3×104 cm-2以下で
あり、ZnSe多結晶と種結晶保護材の付着の影響が大
きく緩和されていた。
10mm、厚み1mmのZnSe多結晶板を切り出して
表面を平らに研磨し、種結晶と種結晶保護材の間に配置
してそれぞれの間を密着させ、実施例1と同じ条件でZ
nSe単結晶を10回成長させた。その結果、全ての結
晶成長で種結晶とZnSe多結晶板は完全に一体化して
いた。また、10回の結晶成長中3回の成長では、Zn
Se多結晶板と種結晶保護材が付着していたが、成長結
晶中にボイドやクラックは観察されなかった。成長結晶
の転位密度を測定すると、全て3×104 cm-2以下で
あり、ZnSe多結晶と種結晶保護材の付着の影響が大
きく緩和されていた。
【0027】
【発明の効果】本発明は、上記の構成を採用することに
より、昇華法及び/又はハロゲン化学輸送法により、II
−VI族化合物半導体結晶を種結晶上に成長するときに、
ボイド及び、クラックの発生を防止することができ、結
晶性の優れたII−VI族化合物半導体結晶の提供が可能に
なった。
より、昇華法及び/又はハロゲン化学輸送法により、II
−VI族化合物半導体結晶を種結晶上に成長するときに、
ボイド及び、クラックの発生を防止することができ、結
晶性の優れたII−VI族化合物半導体結晶の提供が可能に
なった。
【図1】本発明の参考例1で使用した、種結晶の背部に
種結晶保護材を密着させて、成長容器の凹部に配置した
成長容器の断面図である。
種結晶保護材を密着させて、成長容器の凹部に配置した
成長容器の断面図である。
【図2】本発明の実施例2で使用した、種結晶と種結晶
保護材との間に種結晶と同じ物質の多結晶板を介して密
着させて、成長容器の凹部に配置した成長容器の断面図
である。
保護材との間に種結晶と同じ物質の多結晶板を介して密
着させて、成長容器の凹部に配置した成長容器の断面図
である。
【図3】比較例1にかかる、種結晶を直接的に成長容器
の凹部に配置した成長容器の断面図である。
の凹部に配置した成長容器の断面図である。
【図4】比較例1の成長容器を、温度勾配炉中に配置し
て成長させたZnSe単結晶の断面図である。
て成長させたZnSe単結晶の断面図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 成長室中に原料多結晶を配置し、昇華法
又はハロゲン化学輸送法で種結晶上にII−VI族化合物半
導体結晶を成長させる方法において、前記種結晶の背面
を平らに加工し、他方、結晶成長環境の下で種結晶と反
応せず、昇華せず、ハロゲン化学輸送法においてはハロ
ゲンと反応しない材料で種結晶保護材を作製し、その表
面を平らに加工し、前記種結晶保護材及び/又は前記種
結晶の加工面に種結晶との付着を防止する被膜をコーテ
ィングした後、前記種結晶と前記種結晶保護材の加工面
を隙間なく密着させて成長室内に配置することを特徴と
するII−VI族化合物半導体結晶の成長方法。 - 【請求項2】 成長室中に原料多結晶を配置し、昇華法
又はハロゲン化学輸送法で種結晶上にII−VI族化合物半
導体結晶を成長させる方法において、前記種結晶の背面
を平らに加工し、他方、結晶成長環境の下で種結晶と反
応せず、昇華せず、ハロゲン化学輸送法においてはハロ
ゲンと反応しない材料で種結晶保護材を作製し、その表
面を平らに加工し、前記種結晶保護材と種結晶との間
に、応力緩衝材を隙間なく密着配置して成長室内に配置
することを特徴とするII−VI族化合物半導体結晶の成長
方法。 - 【請求項3】 前記種結晶保護材及び/又は前記種結晶
の加工面に種結晶との付着を防止する被膜をコーティン
グしておき、前記前記種結晶保護材と種結晶との間に、
応力緩衝材を隙間なく密着配置することを特徴とする請
求項2記載のII−VI族化合物半導体結晶の成長方法。 - 【請求項4】 前記応力緩衝材として、種結晶と同じ物
質からなる多結晶板を用いることを特徴とする請求項2
又は3に記載のII−VI族化合物半導体結晶の成長方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP08157096A JP3237509B2 (ja) | 1996-04-03 | 1996-04-03 | Ii−vi族化合物半導体結晶の成長方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP08157096A JP3237509B2 (ja) | 1996-04-03 | 1996-04-03 | Ii−vi族化合物半導体結晶の成長方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09268100A JPH09268100A (ja) | 1997-10-14 |
JP3237509B2 true JP3237509B2 (ja) | 2001-12-10 |
Family
ID=13749970
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP08157096A Expired - Fee Related JP3237509B2 (ja) | 1996-04-03 | 1996-04-03 | Ii−vi族化合物半導体結晶の成長方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3237509B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102019102376B4 (de) * | 2019-01-30 | 2020-11-05 | Ebner Industrieofenbau Gmbh | Formvorrichtung zum Züchten von Einkristallen |
-
1996
- 1996-04-03 JP JP08157096A patent/JP3237509B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH09268100A (ja) | 1997-10-14 |
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Date | Code | Title | Description |
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