JP2003238299A - Ii−vi族化合物半導体結晶の成長方法 - Google Patents
Ii−vi族化合物半導体結晶の成長方法Info
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Abstract
晶を安定して再現性よく高い歩留まりで作製することが
できるII−VI族化合物半導体結晶の成長方法を提供
することを主要な目的とする。 【解決手段】 成長室1中に原料多結晶2を配置し、昇
華法またはハロゲン化学輸送法で種結晶4上にII−V
I族化合物半導体結晶を成長させる方法において、結晶
成長後の冷却過程において、種結晶4側の温度を、成長
結晶3側の温度より高温に保持する。この発明によれ
ば、II−VI族化合物半導体結晶を作製するときに、
結晶成長後の冷却過程において熱応力を抑制し、結晶性
に優れたII−VI族化合物半導体結晶を、安定して再
現性よく高い歩留まりで作製することができる。
Description
VI族化合物半導体結晶の成長方法に関するものであ
り、より特定的には、昇華法またはハロゲン化学輸送法
で種結晶上にZnSe、ZnS、CdTe、CdS等の
II−VI族化合物半導体結晶を成長させる方法に関す
る。
法は、大きく分けて、融液成長法、固相成長法、溶液成
長法、気相成長法の4種の方法に分類される。その中
で、気相成長法には、原料の昇華および晶出を利用して
結晶成長を行なう昇華法(PVT法:Physical Vapor T
ransport法、およびハロゲンを原料と反応させることに
より原料のハロゲン化物を生成し、その分解を利用する
化学輸送法(CVT法:Chemical Vapor Transport法)
がある。
9)、第1頁〜第5頁では、石英管中の片端に原料とし
て5gのZnSe粉末、他端に成長結晶の種結晶として
ZnSe単結晶を設置して封入することにより、アンプ
ルを作製して、このアンプルを加熱し、ZnSe原料粉
末側の温度を約1080℃、種結晶側の温度を1070
℃に設定することにより、原料を種結晶側へと輸送し、
種結晶上にZnSe結晶を成長させている。
も低温の部分が存在すると、種結晶からその低温部への
輸送が生じ、種結晶の結晶性劣化やボイドの発生、場合
によっては完全な多結晶化を引き起こす。
結晶に引き継がれ、その結晶性を低下させるため、気相
成長においては、種結晶を保護するためには、少なくと
も局所的最低温部に種結晶を位置させることにより、種
結晶自体が輸送されてしまうことを防止することが重要
となる。
質からなるロッド状種結晶支持部材上に種結晶を保持す
る結晶成長法が開発されている(J. Crystal Growth vo
l.161,(1996)、第51頁〜59頁;Yu. V. Koro
ptelin)。
種結晶が保持されており、その種結晶支持部材とアンプ
ル内壁の間には小さな隙間が設けられている。種結晶は
種結晶支持部材を通して下部の低温部への輻射冷却によ
り局所的に冷却されているが、それに対して周囲の容器
壁はヒータから直接加熱され、高温に保持される。その
ため、種結晶は熱的に安定な位置に存在することにな
り、周囲への輸送により劣化することなく保持できる。
同時に、容器壁を十分高温とすることができ、成長結晶
を周囲の容器壁に無接触で成長させることができる。種
結晶支持部材とアンプル内壁の間の隙間を通過した気体
原料は、アンプル下部の最低温部に晶出する。したがっ
て、この成長方法では、成長結晶は種結晶裏面で他材料
に接しているだけであり、成長結晶も容器壁に接してい
る場合に比べると、結晶に加わる応力がかなり低減さ
れ、結晶性に優れた結晶の成長が可能となる。
導体結晶の結晶性において最も問題となる欠陥は転位で
ある。できるだけ低転位密度の結晶を得ることが重要な
技術課題である。結晶中の転位発生原因には、大きく次
の3つのメカニズムが考えられる。(1)種結晶中に存
在する転位の引継ぎ、(2)結晶成長中の外部応力、
(3)結晶冷却時の外部または内部応力である。これら
の要因をできる限り抑制することが結晶の低転位密度化
に必要である。
小さく抑えることができるため、成長中に新たに転位が
発生することはほとんどなく、主たる転位は種結晶から
引き継がれた転位となる。種結晶に存在する転位は成長
結晶に確実に引き継がれるが、引き継がれた転位は、結
晶周囲に抜けたり、極性の反対の転位同士が結合してル
ープを形成したりすることにより、結晶成長に従い徐々
に減少していく。したがって、結晶の長尺化は結晶性向
上に有利である。また、長尺成長した結晶の先端部近傍
からスライスしたウェハを新たに種結晶として使用する
ことにより、種結晶自身の転位密度を下げることができ
るので、さらに結晶性を向上させることができると期待
される。
方法は、容器壁と無接触で結晶を成長できるという優れ
た長所があるが、種結晶裏面が種結晶支持部材と接する
ことは避けられない。したがって、種結晶裏面と種結晶
支持部材が密着していると、結晶成長の冷却過程におい
て、結晶と種結晶支持部材の熱膨張率差により結晶に応
力が加わることになる。この応力により、結晶内の転位
が増殖し、結晶性悪化を引き起こす。
るためになされたもので、昇華法またはハロゲン化学輸
送法で種結晶上に結晶性に優れたII−VI族化合物半
導体結晶を安定して、再現性よく、高い歩留まりで成長
させる、II−VI族化合物半導体結晶の成長方法を提
供することを目的とする。
I族化合物半導体結晶の成長方法は、成長室中に原料多
結晶を配置し、昇華法またはハロゲン化学輸送法で種結
晶上にII−VI族化合物半導体結晶を成長させる方法
において、結晶成長後の冷却過程において、種結晶側の
温度を成長結晶側の温度より高温に保持することを特徴
とする。
体結晶の成長方法は、請求項1に記載のII−VI族化
合物半導体結晶の成長方法において、結晶成長後の冷却
過程において、成長結晶部での軸方向温度勾配が、0.
1℃/cm以上、50℃/cm以下であることを特徴と
する。この場合、種結晶側が高温である場合を正とす
る。
体結晶の成長方法は、請求項1または2に記載のII−
VI族化合物半導体結晶の成長方法において、結晶成長
温度において安定で、可視光または赤外光に対して透明
な材質よりなり、円柱状あるいはそれに類する形状をな
し、その一端面が平滑平面となっている種結晶支持部材
を準備し、上記種結晶支持部材を、少なくとも上記平滑
平面部近傍において、上記成長室の内壁と接触しないよ
うに該成長室内に配置し、上記平滑平面部上に上記種結
晶を保持させて行なうことを特徴とする。
を用いて説明する。
法で種結晶上に、II−VI族化合物半導体結晶を成長
させるときに、結晶冷却過程において結晶に加わる熱応
力を緩和し、結晶性に優れたII−VI族化合物半導体
結晶を成長させる方法に係る。
態に係る方法を実現するための装置(a:結晶成長時、
b:結晶冷却時)の概念図を示す。図1(c)は、結晶
成長炉内の、結晶成長時および結晶冷却時の、垂直方向
における温度分布を示す図である。。
て説明する。結晶成長アンプル1は、アンプル台8の上
に配置されている。結晶成長アンプル1の内部の上方に
は、原料多結晶2が配置されている。その原料多結晶2
の下側に、種結晶支持部材5が設けられており、種結晶
支持部材の上に、種結晶4が配置されている。結晶成長
アンプル1の周囲には、ヒータ6が設けられている。結
晶が成長することにより、種結晶4の上に、成長結晶3
が形成される。
タを参照して、結晶成長時には、原料(原料多結晶2)
を種結晶4より高温とすることで、原料から種結晶4に
物質輸送を行なう。この工程は、従来法と同様である。
結晶の成長時の温度プロファイルでは、成長結晶3は種
結晶支持部材5を通しての輻射により冷却されているの
で、アンプル1の内壁と比較すると、低温となってい
る。これにより安定した結晶成長が実現される。
も成長結晶3と同様に輻射冷却されているため、種結晶
支持部材5の上面は、成長結晶3の裏面に比べて低温と
なっている。そのため、成長結晶3の裏面から種結晶支
持部材5の上面への輸送は僅かに生じており、成長結晶
3と種結晶支持部材5が固着した状態となっている。従
来の方法では、この温度プロファイル(図1(c)の実
線)をほぼ維持したまま、室温まで冷却していたため、
冷却過程において、成長結晶3は、種結晶支持部材5と
の熱膨張率差に起因する熱応力を受けていた。この応力
が結晶性悪化の要因となっていた。
(b)と図1(c)の点線のデータを参照して、結晶成
長時と冷却時で温度分布を変えている。すなわち、冷却
過程では、種結晶支持部材5が成長結晶3より高温とな
るように調整する。これにより、従来の方法とは逆に、
種結晶支持部材5の側から成長結晶3の側へ、さらには
原料多結晶2の側への物質輸送が生じる。この状態で
は、成長結晶3と種結晶支持部材5との固着は完全に抑
制され、全く濡れることなく、成長結晶3は単に種結晶
支持部材5の上に載っているだけとなる。そのため、結
晶冷却中にも、熱膨張率差の応力を受けることがない。
したがって、冷却過程で結晶性を悪化させることなく、
高品質の結晶を得ることができる。
を変化させるための手段としては、結晶成長炉7内の温
度分布を変化させてもよいし、結晶成長アンプル1を結
晶成長炉7内で移動させてもよい。また、これらの両者
を組合わせてもよい。
配は、0.1℃/cm以上、50℃/cm以下であるこ
とが望ましい。なお、ここで、軸方向温度勾配とは、結
晶成長炉7の中心軸上での温度勾配、すなわち、結晶成
長方向での温度勾配を意味する。また、温度勾配は、種
結晶4側が原料多結晶2側より高温である場合を正とし
ている。軸方向温度勾配が0.1℃/cmよりも小さい
と、温度勾配を逆転させた効果がほとんどなく、成長結
晶3と種結晶支持部材5との固着を緩和することができ
ない。また、50℃/cmよりも大きいと、成長結晶3
からの再昇華による輸送が進むため望ましくない。
長環境下において、分解または融解、昇華せず、かつ種
結晶と反応せず、ハロゲン化学輸送法においてはハロゲ
ンと反応せず、かつ可視光または赤外光に対して透明な
材質の中から選ぶ必要がある。そのような材質として
は、石英ガラス、マグネシア、水晶、サファイア等を挙
げることができる。
説明する。
た。図2(a)における装置において、図1(a)に示
す装置と同一の部分には同一の参照番号を付し、その説
明は繰返さない。図2(b)は、結晶成長炉内の、結晶
成長時および結晶冷却時の、垂直方向における温度分布
を示す図である。
を成長させた。内径21mmで平底に整形した底面を有
する石英製アンプル1の底面に、種結晶支持部材5とし
て、直径20mm、長さ100mmで両端面を研磨した
サファイアロッドを、サファイアロッド側面と石英アン
プル内壁との隙間が約0.5mmに維持されるようにセ
ットした。
mmで表面をミラー研磨、裏面をラッピング研磨した、
(111)B面のZnSe単結晶ウェハを用いた。結晶
成長に先だって評価した種結晶4の転位密度は、2×1
04〜4×104cm-2であった。種結晶4の上方40m
mの位置に原料保持用石英メッシュをセットし、その上
に原料として外径20mmの円柱状ZnSe多結晶約4
0グラムを載せた。次に、1×10-7Torrまで真空
排気した後、アルゴンガスを20Torr導入し、封入
蓋の部分で封着した。
炉に配置し、多結晶原料部温度が1100℃、種結晶部
温度が1080℃、アンプル下端部温度が1000℃と
なるように、各ヒータ6の温度を設定した。この場合の
成長結晶部での軸方向温度勾配は、種結晶側が高温であ
るときを正として、−7.5℃/cmであった。その温
度条件で、約30日間保持して結晶成長を行なった。結
晶成長終了後、各ヒータ6を24時間で一定の冷却速度
で室温まで降温し、アンプルを取出した。得られた結晶
は、底面の直径20mm、先端部の直径14mm、結晶
長20mmの円錐台状の形状であり、重量23.2g
で,結晶成長速度は約0.66mm/dayであった。
し、片面を研磨後、臭素メタノール溶液でエッチングす
ることによりエッチピットを出し、結晶中の転位密度分
布を評価した。転位密度は、種結晶近傍で最も高く、約
1×105cm-2で、結晶成長方向で低下しており、結
晶先端部近傍で約3×104cm-2であった。種結晶側
で転位密度が高くなっており、また結晶成長前の種結晶
転位密度より高くなっていることから、結晶冷却時に種
結晶4の裏面に種結晶支持部材5から熱応力が加わり、
結晶性が悪化したものと考えられる。
た。アンプル作製手順は、比較例と同様に行なった。結
晶成長に先だって評価した種結晶4の転位密度は、2×
104〜4×104cm-2であった。
炉7に配置し、多結晶原料部温度が1100℃、種結晶
部温度が1080℃、アンプル下端部温度が1000℃
となるように各ヒータ6の温度を設定した。その温度条
件で約30日間保持して結晶成長を行なった。結晶成長
終了後、各ヒータ6の設定温度を4時間かけて連続的に
変化させ、同時にアンプルを50mm上昇させることに
より多結晶原料部温度が1050℃、種結晶部温度が1
080℃、アンプル下端部温度が1120℃となるよう
に温度分布を変化させた。このときの成長結晶部での軸
方向温度勾配は、種結晶4側が高温であるときを正と
し、9.0℃/cmであった。その後、各ヒータ6を2
4時間で一定の冷却速度で室温まで降温し、アンプルを
取出した。得られた結晶は、底面の直径20mm、先端
部の直径14mm、結晶長21mmの円錐台状の形状で
あり、重量24.8gで結晶成長速度は約0.7mm/
dayであった。
スし、片面を研磨後、臭素メタノール溶液でエッチング
することによりエッチピットを出し、結晶中の転位密度
分布を評価した。転位密度は、種結晶全体で大きな分布
はなく、1×104〜4×104cm-2であった。転位密
度は種結晶4側で特に増加しているということはなく、
比較例のように種結晶4の裏面に熱応力が加わっていな
いことが明らかとなった。本方法により、結晶性に優れ
たZnSeウェハを再現性よく高い歩留まりで作製する
ことができるという効果を奏する。
囲気中でのZnSe結晶の昇華法による成長についての
み述べたが、他のII−VI族化合物半導体結晶の昇華
法による成長に対しても同様に適用可能である。
雰囲気のみでなく、リザーバを用いたII族あるいはV
I族元素の雰囲気での成長に対しても適用可能である。
化学輸送法に対しても適用可能である。
すべての点で例示であって制限的なものではないと考え
られるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではな
くて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と
均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれるこ
とが意図される。
ことにより、昇華法および/またはハロゲン化学輸送法
により、II−VI族化合物半導体結晶を作成するとき
に、結晶成長後の冷却過程において熱応力を抑制し、結
晶性に優れたII−VI族化合物半導体結晶を安定し
て、再現性よく高い歩留まりで作成することができる。
内の模式図であり、(a)は結晶成長時、(b)は結晶
冷却時、(c)は結晶成長炉内の垂直方向の温度分布を
示す図である。
を示す図(a)と、結晶成長炉内の垂直方向の温度分布
を示す図(b)である。
晶、4 種結晶、5 種結晶支持部材、6 ヒータ、7
結晶成長炉、8 アンプル台。
Claims (3)
- 【請求項1】 成長室中に原料多結晶を配置し、昇華法
またはハロゲン化学輸送法で種結晶上にII−VI族化
合物半導体結晶を成長させる方法において、結晶成長後
の冷却過程において、種結晶側の温度を、成長結晶側の
温度より、高温に保持することを特徴とする、II−V
I族化合物半導体結晶の成長方法。 - 【請求項2】 結晶成長後の冷却過程において、成長結
晶部での軸方向温度勾配が、0.1℃/cm以上、50
℃/cm以下であることを特徴とする、請求項1に記載
のII−VI族化合物半導体結晶の成長方法。 - 【請求項3】 結晶成長温度において安定で、可視光ま
たは赤外光に対して透明な材質よりなり、円柱状あるい
はそれに類する形状をなし、その一端面が平滑平面とな
っている種結晶支持部材を準備し、前記種結晶支持部材
を、少なくとも前記平滑平面部近傍において、前記成長
室の内壁と接触しないように前記成長室内に配置し、前
記平滑平面部上に前記種結晶を保持させて行なう、請求
項1または2に記載のII−VI族化合物半導体結晶の
成長方法。
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