JP3237115B2 - Ti―Al系金属間化合物の発泡体製造方法と製品 - Google Patents

Ti―Al系金属間化合物の発泡体製造方法と製品

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Description

【発明の詳細な説明】 a. 産業上の利用分野 本発明はTi−Al系金属間化合物の発泡体の製造方法
と、その発泡体を用いた強化製品に関する。
b. 従来の技術 従来、Ti−Al系金属間化合物に関して、Al,Ti等の粉
末を混合し、加圧成形後、高温処理して緻密な組織の材
料を製造する技術が開示されている(特公平1−30898
号)。
また、ニッケル発泡体としてウレタンまたはポリスチ
レンのビーズを金型内で発泡させて、発泡集合体を形成
したあと、これに無電解ニッケルメッキを施し、これを
加熱してビーズを消失させNiの発泡体を製作する方法が
知られている。
一方、ピストン頭部の強化方法として、頭部のFRM
化、頭部へのセラミックス溶射、頭部への鋳ぐるみ等の
技術が知られている。
c. 発明が解決しようとする課題 頭部のFRM化によるピストンの強化法は、用いるウス
カーの価格が高く、また、その部分の熱伝導率が悪いた
め蓄熱し易いという欠点がある。さらにFRM化した部分
はマトリックス合金と熱膨脹率が異なるため、その境界
部分に割れが発生し易いという問題点がある。
また、セラミックス溶射による方法は、熱衝撃に弱く
溶射被膜が基材表面から剥離し易いという欠点がある。
同様に熱伝導率が悪く蓄熱し熱ダレを起し易い。
さらにセラミックスを鋳込む方法は、接合強度が弱
く、信頼性に欠けるという欠点があった。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、軽量かつ
耐熱性に優れたTi−Al系金属間化合物を用いて発泡体を
作り、該発泡体を用いて部品、たとえばピストン頭部等
を強化することによって、前記各問題点を解消してなる
Ti−Al系金属間化合物の発泡体の製造法と製品を提供す
ることを目的とする。
d. 課題を解決するための手段 前記目的に添い、本発明は、Ti−Al系金属間化合物の
粉末と発泡性樹脂のビーズとを70〜95:30〜5wt%の割合
で混合撹拌して、前記ビーズ表面に前記粉末を付着させ
たあと、これを加圧して成形体を形成し、次にこれを加
熱して、成形体中のビーズを消失せしめるとともに焼結
をおこない、Ti−Al系金属間化合物からなる焼結体に多
数の空隙を形成したことを特徴とするTi−Al系金属間化
合物の発泡体製造方法とすることによって、また、この
発泡体を複合強化材料とした製品とすることによって前
記課題を解消した。
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら詳
細に説明する。
本発明が対象とするTi−Al系金属間化合物は、難焼結
性であり、真空焼結を施しても気孔率は約20%(成形圧
力4tf/cm2での成形体を1200℃で4時間に亘って焼結し
た場合)である。TiAl単相またはTi3Alを若干含むTiAl
基合金は温度の上昇とともに強度が増大するという“強
度の逆温度依存性”が存在するが、こうした材料の真空
焼結材では強度が低く単体で構造部材に用いることは難
しい。本発明は材料内の気孔を更に多くして発泡体と
し、これをプリフォームとして利用し、この発泡体の隙
間にマトリックスとなる溶湯を加圧鋳造することによっ
て優れた耐熱材料や製品が製造できるようにしたもので
ある。
第1図に示すように、まずTi−(15〜45)wt%Al組成
の粉末1と、発泡ポリスチレンのビーズ2多数とを容器
3内に収容し、充分混合撹拌する。なお、発泡ポリスチ
レンに代って発泡ウレタン及びこれに類する他の発泡合
成樹脂のビーズを用いてもよい。
このTi−(15〜45)wt%Al粉末と発泡ポリスチレンの
ビーズとの配合割合は70〜95:30〜5(wt%)とし、そ
の粉末粒度は10〜100μm、上記ビーズ径は0.5〜4mmと
する。
なお、この粉末粒度が10μm以下では、後の工程で必
要な成形性が劣り、100μm以上ではビーズに粉末が付
着しない。またビーズ径が0.5mm以下では焼結体の空隙
が大きくならず、4mm以上では空隙が大きくなりすぎる
からである。さらに前記粉末と前記ビーズの配合割合に
おいて、ビーズが30wt%以上では、ビーズ消失時に加圧
成形体が破壊する。また5wt%以下では空洞が少なすぎ
効果が得られない。
前記混合物には、さらに第三添加元素としてMn粉末を
0.1〜5wt%添加し、焼結体の性改善をしておく。また、
V粉末を0.1〜4wt%添加してもよい。
なお、ビーズへの粉体の付着を良好にするため、かつ
後述の加圧成形性を良好にするためポリビニルアルコー
ル(P.V.A.)を1〜10wt%を添加する。これを添加しな
いとビーズが上部に分離した状態となる。
このようにして処理されたものは、第1図に拡大して
示すように静電気的引力と機械的撹拌によって単一のビ
ーズ2の表面に粉末1が付着した状態となっている。
次に、このように処理された混合粉を金型5内に収容
し、パンチ6によって成形圧力2〜6tf/cm2で常温で加
圧成形し、成形体8を得る。ビーズ2は潰されて偏平な
状態で集積されている。なお、この場合、成形圧力を6t
f/cm2以上とすると、後述のビーズの消失時におけるガ
ス抜けが悪くなり、割れる原因となる。また前記加圧成
形時に、100〜130℃の温度範囲でビーズを更に発泡させ
ながら加圧してもよい。このようにすると成形体が強化
される。
次に、この成形体8を焼結炉9に収容し、真空または
不活性ガス(例えばアルゴン)の雰囲気(大気中でもよ
い)のもとで、第2図に示す昇温パターンに従って焼結
する。すなわち、真空中において、まず、10〜30℃/分
の速度で300〜400℃に昇温し、その温度領域で0.5〜1
時間保持して成形体8内のポリスチレンと、バインダー
として用いたポリビニルアルコールを焼失させ、さらに
10〜30℃/分の速さで約1200℃の温度に昇温して、約4
時間にわたって焼結後、−10℃/分の速さで常温まで冷
却する。なお、前記300〜400℃の加熱領域までは、大気
中でおこなってもよい。
また、Ti−(15〜36)wt%Al合金粉末及びTi3Al粉末
を用いた場合には前記焼結温度は1050〜1100℃、TiAl基
合金粉使用の場合には1200〜1400℃が好ましい。また、
アルゴンガス雰囲気中では直ちに400〜500℃に昇温して
0.5〜1時間保持し、同様に10〜30℃/分の速さで1200
付近に昇温する。
このようにして得られた発泡焼結体(以下発泡体とす
る)の拡大断面を第3図に示す。なお、この図は加圧成
形方向に沿う平面で切断した断面を示す。金属間化合物
の間に多数の空隙が形成されている。
なお、このTiAl粉末の焼結処理について、その焼結温
度と焼結時間について、多数のサンプルについて試験を
したところ、夫々、次のようなデーターがえられた。す
なち、圧縮強度と破断歪とに対する焼結温度と焼結時間
との関係を第4図と第5図に示す。これらの関係からTi
Alの焼結温度は1200℃以上、焼結時間は約4時間または
それ以上必要であることが確認できた。
次に、前記発泡体をピストンの強化に用いた例につい
て説明する。
利用例1 まず、第6図に示すように金型11内に、本発明に係る
発泡体で製作したプリフォーム12をセットする。このプ
リフォーム12は発泡体を製作する際に加圧した方向(矢
印N方向)が金型11の底面に対し水平となるように配置
する。
次にマトリックスとなるアルミニウム合金、たとえ
ば、AC8A,AC9A,AC9B等の高Siを含む溶湯13を、金型11内
に注湯して加圧鋳造する。脱型後、機械仕上加工を施し
て完成する。
これによって発泡体内の空隙に前記アルミ合金が浸
透、充填し、ピストン頭部に金属間化合物からなる発泡
体が複合されて強化された強化ピストンが得られる。
利用例2 第7図に示すように、加熱炉15内に発泡体16をセット
し、その上部にAC8A,AC9A,AC9B,A390等の素材17を載置
し、真空中(アルゴンガス中でもよい)でこの素材17が
溶融する750℃付近の温度に加熱して、発泡体16内の空
隙に素材17を溶浸させ、被溶浸体18を得る。
次に、この被溶浸体18をピストン頭部に位置するよう
に通常の重力鋳造用の鋳型19にセットしたあと、溶浸し
た素材と同じ溶湯を注湯して鋳ぐるみ、頭部を金属間化
合物で複合強化したピストン20を得る。
利用例3 タービンブレードを製作するため、前記利用例2で用
いた溶浸用の素材しとてNi−13wt%Al合金を用いる。こ
れに用いる発泡体には融点の関係上、TiAl単相のものを
用いる。
これを真空又はアルゴンの雰囲気の加熱炉で約1450℃
で溶浸すればよい。なおNi−13wt%Al合金の融点は1385
℃であるが、この材料も温度の上昇とともに強度が増大
する“強度の逆温度依存性”を有し、タービン材として
用いられている。なお、Ni−13wt%Al合金は、Cr,Mo,Co
等を3〜10wt%をそれぞれ含むものでもよい。このよう
にして得られたものを削り出しによってタービンブレー
ドに仕上げればよい。
e. 発明の効果 本発明に係る方法によれば、軽量・耐熱性に優れるTi
−Al系金属間化合物の発泡体を製造することが可能にな
り、従来の耐熱材料に代って、軽量・高強度の材料がえ
られる。
また高価なチタンの使用量が少なくてすみ、コストを
低くすることができる。さらに、本発明に係る方法で製
造した材料を、たとえばピストン頭部に複合材として利
用することによって、ピストンの耐熱性が向上し、また
熱伝導率や線膨脹率もセラミックスより金属に近いため
熱衝撃にも強くなる。さらにタービンブレード等へ応用
すれば、タービンの軽量化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る方法の実施要領を説明する図、第
2図は同熱処理パターンの説明図、第3図は本発明の方
法で製造した発泡体断面の金属組織の拡大写真、第4図
及び第5図は加圧成形体の焼結温度と焼結時間に対する
圧縮強さと破断歪との関係を示す図、第6図及び第7図
は本発明の方法で製造した発泡体を用いたピストンの製
造要領をそれぞれ示す説明図である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−167160(JP,A) 特開 昭55−79804(JP,A) 特開 平1−129906(JP,A) 特開 昭57−123942(JP,A) 特公 昭58−11497(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 1/08 C22C 1/04 C22C 14/00 B22F 3/11

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Ti−Al系金属間化合物の粉末と発泡性樹脂
    のビーズとを70〜95:30〜5wt%の割合で混合撹拌して、
    前記ビーズ表面に前記粉末を付着させたあと、これを加
    圧して成形体を形成し、次にこれを加熱して成形体中の
    ビーズを消失せしめるとともに焼結をおこない、Ti−Al
    系金属間化合物からなる焼結体に多数の空隙を形成した
    ことを特徴とするTi−Al系金属間化合物の発泡体製造方
    法。
  2. 【請求項2】発泡性樹脂の前記ビーズ径が0.5〜4mmであ
    り、Ti−Al系金属間化合物の前記粉末の粒度が10〜100
    μmであることを特徴とする特許請求の範囲第1項に記
    載のTi−Al系金属間化合物の発泡体製造方法。
  3. 【請求項3】前記ビーズと前記粉末に、バインダーを添
    加混合することを特徴とする特許請求の範囲第1項に記
    載のTi−Al系金属間化合物の発泡体製造方法。
  4. 【請求項4】前記成形体の成形圧力が2〜6tf/cm2であ
    ることを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載のTi−
    Al系金属間化合物の発泡体製造方法。
  5. 【請求項5】前記成形体を300〜500℃で0.5〜1時間加
    熱後、昇温し、少なくとも1000℃以上で4時間以上にわ
    たって焼結することを特徴とする特許請求の範囲第1項
    に記載のTi−Al系金属間化合物の発泡体製造方法。
  6. 【請求項6】Ti−Al系金属間化合物の粉末と発泡性樹脂
    のビーズとを70〜95:30〜5wt%の割合で混合撹拌して、
    前記ビーズ表面に前記粉末を付着させたあと、これを加
    圧して成形体を形成し、次にこれを加熱して、成形体中
    のビーズを消失せしめるとともに焼結をおこない、Ti−
    Al系金属間化合物からなる焼結体に多数の空隙を形成し
    てなる発泡体を、複合強化材料として用いたことを特徴
    とする強化製品。
  7. 【請求項7】前記発泡体に他の合金を溶浸したあと、複
    合強化材料として用いることを特徴とする特許請求の範
    囲第6項に記載の強化製品。
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