JP3233591U - ウェットスーツ - Google Patents
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Abstract
【課題】本考案は、着脱しやすく、また、着用した際により動きに対する制限が少ないウェットスーツを提供する。【解決手段】本考案の一観点に係るウェットスーツ1は、胸部右前面又は胸部左前面にある始点21から肩部及び背中部を経由して、胸部右前面又は胸部左前面の反対側である胸部左前面又は胸部右前面にある終点22まで延びる線ファスナー2によりネック部31が上身頃部32と部分的に分離可能となるとともに、線ファスナーにより形成される領域が着脱口となっている。【選択図】図1
Description
本考案は、ウェットスーツに関する。
ウェットスーツとは、ダイビングやサーフィンにおいて水中であっても体温を保つために着用するものである。具体的には、ウェットスーツを着用し、ウェットスーツ内において体の周囲に薄い水の層を形成させ、これを体温で温めることにより水中でも保温効果を保つことができる、というものである。
ところで、一般にウェットスーツは水が必要な量以上入らない程度の防水性を高めており、材質としてクロロプレンゴムで構成されており、当然に通常の被服とは異なり硬直的であり非常に着にくいといった課題がある。
そのため、少しでも着やすくなるよう、ウェットスーツに線ファスナーを付する技術が下記特許文献1等に記載されている。
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、後身頃において着用者の脊柱に沿った位置に線ファスナーが配置されているため、ウェットスーツを着て動く際この線ファスナーが動きを制限してしまうといった課題がある。
そこで、本考案は、上記課題に鑑み、着脱しやすく、また、着用した際により動きに対する制限が少ないウェットスーツを提供することを目的とする。
本考案者は、上記課題について鋭意検討を行っていたところ、線ファスナーの始点を胸部の右前又は左前に設け、肩及び背中を通し、反対の胸部の左前又は右前に終点を設けることで、着脱しやすく、しかも動きやすいウェットスーツとなることを発見し本考案を完成させるに至った。
すなわち、本考案の一観点に係るウェットスーツは、胸部右前面又は胸部左前面にある始点から肩部及び背中部を経由して、胸部右前面又は左前面の反対側である胸部左前面又は胸部右前面にある終点まで延びる線ファスナーによりネック部が上身頃部と部分的に分離可能となるとともに、線ファスナーにより形成される領域が着脱口となっているものである。
また、本観点において、限定されるわけではないが、線ファスナーにより形成される領域の内側に、複数の内蓋部材が配置されていることが好ましい。
また、本観点において、限定されるわけではないが、線ファスナーは、始点から肩部にかけて広がり、逆に、肩部から終点にかけて狭まるよう形成されていることが好ましい。
また、本観点において、限定されるわけではないが、線ファスナーの背中部最下点は、肩部の経由点の接続線よりも15cm以上、下にあることが好ましい。
以上、本考案によって、着脱しやすく、また、着用した際により動きに対する制限が少ないウェットスーツを提供することができる。
以下、本考案の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本考案は多くの異なる形態による実施が可能であり、また以下に示す実施形態、実施例において記載される具体的な例示についても適宜変更及び調整が可能であり、これらに限定されるものではない。
図1は、本実施形態に係るウェットスーツ(以下「本スーツ」という。)1を前から見た場合の概略を示す図であり、図2は、本スーツ1を後ろから見た場合の概略を示す図である。また、図3は、本スーツを後ろから見た場合の線ファスナーの部分の概略を示す図であり、図4は、本スーツを前から見た場合であって、線ファスナーを開いてネック部31を部分的に外した場合の概略を示す図である。
これらの図で示すように、本スーツ1は、胸部右前面又は胸部左前面にある始点21から肩部及び背中部を経由して、胸部右前面又は左前面の反対側である胸部左前面又は胸部右前面にある終点22まで延びる線ファスナー2によりネック部31が上身頃部32において部分的に分離可能となるとともに、線ファスナー2により形成される領域が着脱口となっているものである。
本スーツ1は、上記の構成によって、従来のように後身頃でしかも着用者の脊柱方向に沿った直線状の線ファスナーではなく、胸部右前又は左前から肩及び背中を巻き回し、反対側の胸部左前又は右前に線ファスナーを設けた構成となっている。このため、着脱しやすく、着用した場合でも動きを妨げることが無いといった利点がある。より具体的な内容については以下詳述する。
まず、本スーツ1は、着用者の上半身を覆う上身頃部32と、下身頃部33と、を有している。上身頃部32は、着用者の上半身を覆う部分であり、下身頃33は、着用者の下半身を覆う部分である。なお、本スーツ1において上身頃部32と下身頃部33とは、本スーツ1における具体的な構成を説明するために用いられる部位の名称にすぎず、そのため、上身頃部32と下身頃部33のそれぞれが多数のパーツがつなぎ合わされた場合であっても、着用者の上半身を覆う部分である限りそれらがつなぎ合わされた状態全体が上身頃であり、着用者の下半身を覆う部分である限りそれらがつなぎ合わされた状態が下身頃である。一方、仮に、上半身及び下半身を一体の素材によって構成されていても、着用者の上半身を覆う部分は上身頃32と表現され、着用者の下半身を覆う部分は下身頃33と表現される。
また、本スーツ1の上身頃32及び下身頃33を構成する素材は、ウェットスーツとしては、防水性、保温性、伸縮性、浮力において優れたものである限りにおいて限定されず一般的な素材を用いることができ、限定されるわけではないが、ゴム、より具体的にはクロロプレンゴムを用いることが一般的であり、更にはこれらの外面及び内面にナイロン等の素材を貼付したものを用いることが好ましい。
また、本スーツ1において、上身頃部32は、上記の通り、着用者の上半身を覆う部分であり、上身頃部32は更に具体的には、ネック部31を備えており、ネック部31が線ファスナー2によって上身頃部32と部分的に分離可能となっている。着用者は、この線ファスナー2を開閉することで形成される領域、より具体的にはネック部31とそれ以外の上身頃部32の分離によって形成される領域を着脱口4として手足を挿入しつつ体全体を本スーツ1に挿入して本スーツを着ること、及びこの反対に脱ぐことができる。なお、着用者は、本スーツ1に体全体を挿入した後、ネック部31に首を通し、線ファスナー2を閉めることでネック部31と上身頃部32の下の部分を固定し、スーツ着用を完了させる。
なお、本スーツ1において、上身頃部32のネック部31以外の部分としては、両腕を覆う腕部321、胸周囲を覆う胸部322、腹周囲を覆う腹部323に分類することが可能であるが、上記の通り、ウェットスーツは一般的に上身頃部32及び下身頃部33が一体に形成されそれらの境界があいまいであることもあり、これらの部分の境界も明確にすることは難しい。ただし、上記の通りネック部31とこれ以外の部分の上身頃部32は線ファスナー2により部分的に分割可能であるため、この境界は明確に区切ることが可能ではある。
また、本スーツ1では、上記の通り線ファスナー2により、ネック部31が上身頃部32において部分的に分離可能となっている。「部分的に分離」とは、ネック部31と上身頃部32が完全に分離されず一部で接続されたままである一方、線ファスナー2により一部分離されることをいう。線ファスナー2としては、公知のものを採用することができ特に限定されるわけではないが、一般には、細長い帯状の一対の基材(布テープ等)と、それぞれの基材に連続して配置される務歯と、この務歯同士の噛み合い、解離を制御するスライダーと、を備えているものであることが好ましい。
また、線ファスナー2は、上記の通り、上身頃部32の胸部322の右前面又は左前面に始点21を備えている。胸部の前面に設けることで、着用者が着脱する際つかみやすくなるといった利点がある。なお、本図の例では左前面に始点21を設けた例を示しているが、上記の記載から明らかであるが右前面に設けることも可能である。
また、線ファスナー2は、胸部左前面又は右前面から肩部及び背中部を経由して、胸部左前面又は右前面の反対側である胸部右前面又は胸部左前面にある終点22まで延びる。この結果、ネック部31が上身頃部32において部分的に分離可能となるとともに、線ファスナー2により形成される領域が着脱口4となっている。仮に、後ろに線ファスナー2の始点21を設け、肩部及び胸部を経由して再び後ろに回されて線ファスナー2の終点22を設けた場合、着用者は着脱の際この線ファスナー2のスライダーをつかみにくくなるといった課題があるが、本スーツ1の場合はこのようなことが無い。また、線ファスナー2の横に延びる部分が胸部に設けられるような場合、線ファスナー2の部分が腕の動きに対して制限となる場合があるが、本スーツ1の場合はこのようなこともない。具体的に説明すると、着用者が腕を動かすとこの周囲の素材が伸縮することになるが、線ファスナー2においては務歯等が存在し、この伸縮に対応することが困難である。そのため、この線ファスナーの硬い部分が着用者の違和感となって顕れるのである。一方、本スーツ1では、胸部前面中央部においてこのような線ファスナー2の務歯は存在せず、着用者の腕の動きを制限することは殆ど無い。もちろん、背中において脊柱に沿った方向に延びる線ファスナー2を設けた場合に生じる縦方向の伸びに対する制限もない。
また、本スーツ1では、線ファスナー2は、始点から肩部にかけて広がり、逆に、肩部から終点にかけて狭まるよう形成されていることが好ましい。このようにすることで、着脱口4を広く確保してより容易に着脱が可能となるだけでなく、腕の動きを阻害しないよう柔軟性を高めることができるといった利点がある。
更に、本スーツ1では、後ろ身頃において、線ファスナー2の背中部最下点は、肩部の経由点の接続線よりも15cm以上、下にあることが好ましい。このようにすることで、上記の広がりと同様、着脱口4を広く確保してより容易に着脱が可能となるだけでなく、腕の動きを阻害しないよう柔軟性を高めることができるといった利点がある。なおこの背中部最下点は、下がりすぎても好ましくはなく、30cm以上、上にあることが好ましい。これにより不必要に線ファスナーを長く設けることがなく、着脱がしやすくなる。
また、本スーツ1では、線ファスナー2により部分的にネック部31が分離され形成される領域(着脱口4)の内側に、複数の内蓋部材34が配置されていることが好ましい。このように内蓋部材34を設けることで、スーツ内に必要以上の水が侵入してくるのを防止することができるようになる。なお、本スーツ1の内蓋部材34は、二つ以上の部分に分かれ、一方が他方を覆う構成となっていることが好ましい。例えば図4の例では、前側の内蓋部材341が後側の内蓋部材342を覆うように構成され、ボタン343によって止め合わせ可能となっている。このようにすることでより確実に水の侵入を防ぐことが可能となる。
また、本スーツ1の下身頃部33は、上記の通り、着用者の下半身を覆う部分であり、下身頃部33は更に具体的には、腰を覆う腰部331、両脚を覆う脚部332に分類することが可能であるが、上記の通り、ウェットスーツは一般的に上身頃部32及び下身頃部33が一体に形成されそれらの境界があいまいであることもあり、これらの部分の境界も明確にすることは難しい。
以上、本スーツは、着脱しやすく、また、着用した際により動きに対する制限が少ないウェットスーツとなる。
本考案は、ウェットスーツとして産業上の利用可能性がある。
Claims (4)
- 胸部右前面又は胸部左前面にある始点から肩部及び背中部を経由して、前記胸部右前面又は胸部左前面の反対側である胸部左前面又は胸部右前面にある終点まで延びる線ファスナーによりネック部が上身頃部と部分的に分離可能となるとともに、前記線ファスナーにより形成される領域が着脱口となっているウェットスーツ。
- 前記線ファスナーにより形成される領域の内側に、複数の内蓋部材が配置されている請求項1記載のウェットスーツ。
- 前記線ファスナーは、前記始点から肩部にかけて広がり、逆に、肩部から前記終点にかけて狭まるよう形成されている請求項1記載のウェットスーツ。
- 前記線ファスナーの背中部最下点は、前記肩部の経由点の接続線よりも15cm以上、下にある請求項1記載のウェットスーツ。
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