JP3228422B2 - モノアミン再取込み部位のマッピング用ヨウ素付加神経プローブ - Google Patents

モノアミン再取込み部位のマッピング用ヨウ素付加神経プローブ

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JP3228422B2 JP50343995A JP50343995A JP3228422B2 JP 3228422 B2 JP3228422 B2 JP 3228422B2 JP 50343995 A JP50343995 A JP 50343995A JP 50343995 A JP50343995 A JP 50343995A JP 3228422 B2 JP3228422 B2 JP 3228422B2
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Description

【発明の詳細な説明】 発明の分野 本発明は、脳におけるモノアミン再取込み部位のマッ
ピング用神経プローブに関し、具体的には、そのような
再取り込み部位の画像化のための単光量子放出コンピュ
ーター支援断層撮影法(SPECT)および陽電子放出断層
撮影法(PET)で使用される放射性トレーサーとしても
利用できる神経プローブに関する。
発明の背景 脳は、化学的伝達物質を交換することによって相互に
作用する多数のニューロンから成る。各ニューロンは、
神経化学物質(神経伝達物質と呼ばれる)を産生し、神
経化学物質は、ニューロンの細胞膜上の受容体と呼ばれ
る部位に作用する。受容体は細胞膜を貫通するイオンチ
ャンネルまたは第二の神経化学伝達物質系のいずれかと
結合する。対照的に、再取込み部位は、ニューロンの細
胞膜を通り抜け化学物質を輸送する分子複合体である。
神経伝達物質がその機能を果たし終えると、それは、再
取込み部位と結合することによって受容体の周辺から除
去される。この再取込み部位は、神経伝達物質をニュー
ロンの内部に輸送する。
脳には多くの特異的なニューロンが存在するように、
また受容体に結合した種々の神経伝達物質と再取込み部
位が存在する。特異的なニューロンの分布は、問題とな
る具体的な生物体およびその生物対の健康状態により異
なる。
ニューロンは、他のニューロンとの情報伝達に用いる
神経伝達物質のタイプによって分類することができる。
ある種のタイプのニューロンは、脳の特定領域で専ら見
出される。例えば、哺乳類の脳の線条体領域には、伝達
物質としてドパミンを用いるニューロンが分布してい
る。線条体はまた、ドパミン受容体をもつ多数の非ドパ
ミン作動性ニューロンを含んでいる。ある種の化合物
(例えばコカイン)は、ドパミン再取込み部位に対して
優先的な親和性をもち、したがって、そのような再取込
み部位に結合し易い。ドパミン再取込み部位に対するコ
カインのような分子の作用は、神経伝達物質ドパミンの
再取込みの抑制であり、それによってドパミン受容体の
周辺に利用可能な多くのドパミンが残される。
ある種の神経疾患(例えばパーキンソン病)では、識
別可能なニューロン群がその正常な生理学的機能を喪失
している。結果として、この異常なニューロンは、いく
つかの神経伝達物質の存在下で異なる反応をし、さらに
また、健常なニューロンとは異なる態様で神経伝達物質
を産生する可能性がある。
主な神経伝達物質(ドパミン、ノルエピネフリンおよ
びセロトニン)は、包括的にモノアミン神経伝達物質と
呼ばれる。多くのニューロンが、これら神経伝達物質の
少なくとも1つを受容するように適応させられた受容体
を有する。パーキンソン病は、脳のドパミン作動性ニュ
ーロンのあるものの変性によって生じる。パーキンソン
病で失われるニューロンは、数多くのドパミン再取込み
部位を有し、コカインおよびコカインの化学的類似体
は、そのような再取込み部位に親和性を有する。
放射性同位元素は、通常、特定のタイプの神経受容体
に対して明らかな結合親和性を有する分子に取り込ま
れ、さらにそのような分子は通常神経プローブとして用
いられる。また、神経疾患は、神経プローブの異常結合
分布が認められることによって検出できることが分かっ
ている。そのような異常結合分布は、問題となっている
特定の再取込み部位に対して高い結合親和性を有する、
神経プローブの各分子内に放射性ヌクレオチドを取り込
ませることによって観察することが可能である。続い
て、画像化技術を用いて、問題となっている再取込み部
位の空間的広がりをもったインビボにおける分布を表示
させることができる。
単光量子放出コンピューター支援断層撮影法(SPEC
T)画像化でも、最も一般的に用いられる放射性ヌクレ
オチドは、例えば99mTCのような重金属である。神経プ
ローブは比較的小さな分子(分子量は400未満)である
ので、重金属をそのようなプローブ分子の構造中に取り
込ませるのは非常に困難である。
陽電子放出断層撮影法(PET)では、放射性ハロゲン
化物、18F(フッ素)が、サイズが類似しているがゆえ
に、放射性医薬における水素(H)の代替物として用い
られる。しかしながら、全てのハロゲンが機能するとい
うわけではない。例えば、ヨウ素(I)は、HおよびF
の両者よりはるかに大きい(ベンゼン環の約半分の大き
さ)。しかし、神経プローブとして用いられる代表的な
放射性医薬のサイズが小さいために、ヨウ素の存在によ
って化合物の大きさは顕著に変化し、したがって、その
生物学的活性を変化させ、または破壊する。
さらに、神経プローブにヨウ素が存在することによっ
て、その好脂性が強くなり、したがってその神経プロー
ブの非特異的結合傾向が高くなる。例えば、パロキセチ
ンは、セロトニン再取込み部位に対して強い親和性と選
択性をもつ医薬であり、〔3H〕パロキセチンはゲッ歯類
でのインビボ標識に有用であることが分かった(U.Sche
ffel & PR.Hartig Neurochem.,52:1605−1612(198
9))。しかしながら、この化合物でいくつかの異なる
場所にヨウ素が付加された数種の類似体は親和性が低く
許容できない。実際、その親和性は親化合物の親和性の
1/10である。さらに、ヨウ素付加化合物をインビボ標識
神経プローブとして用いたとき、非特異的結合活性が極
めて強く、セロトニン再取込み部位に特異的に結合して
いるように思われる脳の再取込み部位は極めてわずかで
あった。したがって、パロキセチンのヨウ素付加形はイ
ンビボプローブとして有用ではない。
神経プローブへのヨウ素付加は、プローブの生物学的
特性を好ましくない方向に変化させる。例えば、トモキ
セチンは、ノルエピネフリン再取り込み部位に対して高
い親和性と選択性を有するが、トモキセチンにヨウ素を
付加し、例えばR−4−ヨードトモキセチンを生成する
と、得られた標識化合物は、そのような再取込み部位に
対して親和性が低下し、さらにセロトニン再取込み部位
に対する親和性は比較的高くなる。インビボ標識実験に
よって、この化合物は、脳への取り込み総量が低いこと
と特異的取り込みが測定できないほど低いことにより、
セロトニン再取込み部位についてさえも極めて劣悪なプ
ローブであることが分かった。
ヨウ素付加化合物は、インビトロプローブとしては有
用であるが、インビボプローブとしては有用ではないか
もしれない。なぜならば、インビボプローブは、生体へ
の静脈内投与に付随する要請を満たさなければならない
からである。インビボ利用度が失われる理由には、該化
合物はあまりに急速に代謝される可能性があること、血
液脳関門を通過できないということ、脳の貯蔵脂質中へ
の非特異的取り込みが高いということが含まれる。イン
ビトロにおけるホモジネート結合実験では、肝性代謝酵
素から脳組織を分離することにより、脳組織を磨り潰し
て血液脳関門を破壊することにより、さらに脳組織を希
釈してアッセー試験管内の脂質濃度を下げることによっ
て、これらの障害は除去される。したがって、プローブ
がインビボおよびインビトロの両方の態様において有用
であるとは仮定できないであろう。
インビボのSPECTプローブはコカインにヨウ素を付加
することによって開発された。しかしながら、このプロ
ーブは、コカイン自体より結合親和性も特異性も劣り、
SPECT画像化の目的には不適当である。
発明の要旨 ヨウ素付加神経プローブが、モノアミン再取込み部位
をマッピングするために提供される。ヨウ素付加神経プ
ローブは以下の式を有する: 式中、Rは、CnH2n+1基(n=0−6)、アルケニル
基、nF(n=18または19)を含むモノフルオロアルキル
基、またはmCnH2n+1基(n=1−6、m=11または14
(少なくとも1つのmCにつき))が可能である。また
R′は、CnH2n+1基(n=0−6)、p−ヨードフェニ
ルメチル基、p−ヨードフェニルエチル基、フェニルメ
チル基、またはフェニルエチル基が可能である。Xは、
Fの同位元素、Clの同位元素、Brの同位元素、Iの同位
元素、CH3、またはSn(R″1R″2R″)が可能であ
る。R″は、CnH2n+1基(n=1−6)またはアリー
ル基が可能である。R″は、CnH2n+1基(n=1−
6)またはアリール基が可能である。R″は、CnH
2n+1基(n=1−6)またはアリール基が可能である。
Yは、XがIの同位元素であるか、またはR′がp−ヨ
ードフェニルメチル基またはp−ヨードフェニルエチル
基である場合は、Hのみである。その他の場合には、Y
はIの同位元素でなければならない。本発明の具体例の
偏左右異性体(ジアステレオマー)もまた提供される
が、この場合、カルボキシル−R′基はアルファ位に存
在する。
別の具体例では、本発明のモノアミン再取込み部位の
マッピング用ヨウ素付加神経プローブは以下の式を有す
る: 式中、Rは、CnH2n+1基(n=0−6)、アルケニル
基、nF(n=18または19)を含むモノフルオロアルキル
基、またはmCnH2n+1基(n=1−6、m=11または14
(少なくとも1つのmCにつき))が可能である。また
R′は、CnH2n+1基(n=0−6)、p−ヨードフェニ
ルメチル基、p−ヨードフェニルエチル基、フェニルメ
チル基、またはフェニルエチル基が可能である。Xは、
Fの同位元素、Clの同位元素、Brの同位元素、Iの同位
元素、CH3、またはSn(R″1R″2R″)が可能であ
る。R″は、CnH2n+1基(n=1−6)またはアリー
ル基が可能である。R″は、CnH2n+1基(n=1−
6)またはアリール基が可能である。R″は、CnH
2n+1基(n=1−6)またはアリール基が可能である。
Yは、XがIの同位元素であるか、またはR′がp−ヨ
ードフェニルメチル基またはp−ヨードフェニルエチル
基である場合は、Hのみである。その他の場合には、Y
はIの同位元素でなければならない。さらに、WはO、
S、(CH2、O(CH2(ここでn=1−6)が可
能であるが、この場合、Xはこの式のベンゼン環上にW
に対してオルト、メタもしくはパラ位に存在し、Yはベ
ンゼン環の残りのどの位置にあってもよい。さらにま
た、本具体例のジアステレオマーである別の具体例が提
供されるが、この場合、カルボキシル−R′基はアルフ
ァ位にある。
前述の具体例の各々について、放射性トレーサー原子
を欠く放射能標識神経プローブの前駆体およびヨウ素付
加関連神経プローブの調製用キットが提供される。
本発明のヨウ素付加神経プローブの放射能活性を持つ
ものも持たないものも共に、ヒトおよびヒト以外の研究
用に役立つ。例えば、一般にはドパミン再取込み部位の
研究のため、具体的にはコカイン結合部位の研究のため
に、本発明の化合物を用いてインビボおよびインビトロ
実験を実施できる。
図面の説明 本発明は、添付の下記図面と合わせて以下の詳細な説
明によってより十分に理解されることになろう。
図1は、本発明の化合物と比較した従来技術の化合物
を示す。
図2は、本発明の化合物の注射後のヒヒの脳の局部活
性を示す。
図3は、本発明の化合物の合成経路を示す。
図4は、本発明の化合物の脳内取り込みの局部領域を
示す。
図5Aは、本発明の化合物の注射後のヒヒの脳の局部活
性を示す。
図5Bは、本発明の化合物の注射後のヒヒの脳の局部活
性を示す。
発明の詳細な説明 代謝的に安定なコカイン類似体(例えば、図1の化合
物3に示す2β−カルボメトキシ−3β−(4−ヨード
フェニル)−トロパン)、これはβ−CIT(RTI−55とも
呼称される)のヨウ素含有類似体)は、ドパミンおよび
脳内のセロトニン再取込み部位に強い親和性を有する。
下記で考察するように、〔123I〕−β−CITは、ドパミ
ンおよびセロトニン再取込み部位のSPECT(単光量子放
出コンピューター支援断層撮影)放射性トレーサーであ
ることが示される。
123I〕−β−CITは、過酢酸の存在下で対応するト
リブチルチン前駆体と担体非付加Na〔123I〕とを反応さ
せ、その後メタノール/水/トリエチルアミン(75/25/
0.2)(流速1.0ml/分)を用いてC−18カラム上で調製
用HPLCを実施することによって調製された。最終生成物
は、5−10%エタノールを含む滅菌食塩水中で製剤化さ
れた。
6回のSPECT実験を4匹の雌のヒヒ(パピオアヌビス
(Papio anubis)、10kg)で、イソフルラン麻酔下で実
施した。動物に10.6±1.4mCi〔123I〕−β−CITを注射
し、810Xブレインイメージャー(脳画像化装置、Strich
man Medical Equipment社製、5回実験)またはASPECT
装置(Degital Sintigraphics社製、ケンブリッジ、MA:
1回実験)のいずれかを用いて、333±25分間走査した。
これらのデータおよび以後のデータは平均値±S.E.M.と
して表される。脳の回りに描かれた楕円の水の減弱と同
じように減弱が均質と仮定して、連続した2−6分の画
像を再構築した。データは注射の時間に対して崩壊修正
を行った。
最高の活性は線条体領域に認められ、注射後179±9
分(n=6)でピークレベルに達した(図2)。線条体
の活性は、2匹の動物でピーク値の後さらに190分と260
分モニターした。1匹の動物では、線条体活性は残り19
0分の実験中に実質的に変化はなかった。図2によれ
ば、もう一方の動物では、線条体活性の排出は指数関数
に適合し、T1/2=27h(r=0.92)であった。
中脳領域にほぼ重なる脳の領域は、2番目に強い活性
レベルを有していた。中脳値はより早くピークに達し
(注射後45±16分;n=6)、線条体の場合より急速に消
失した(T1/2=294±59分;r=0.98±0.01;n=3)。
線条体取り込みのピーク時における脳の局部活性の比
は、線条体(100%)、視床下部(38.1±5.2%)、後頭
葉(14.3±2.0%)、前頭葉(10.3±1.0%)、および小
脳(10.0±1.5%)で、全てn=6で測定された。
(−)コカイン(図1、化合物1)およびCFT(図
1、化合物2)、(ともに強力なドパミンおよびセロト
ニン再取込み抑制物質である)は、線条体および中脳活
性の迅速で用量依存性の置き換えを誘発した。注射後20
0分で投与した(−)コカイン(2.9μmol/kg)によっ
て、線条体レベルの17%、中脳レベルの49%の置き換え
が30−65分以内に生じた。注射後230分で投与した14.7
μmol/kgでは、対応する累積置き換えは、同じ時間でそ
れぞれ62%および77%であった。
注射後180分で静注投与したCFT(0.4μmol/kg)は、6
0−120分以内に線条体レベルの57%、中脳レベルの72%
の置き換えをもたらした。注射後298分で投与した2.0μ
mol/kgでは、対応する累積置き換えは、同じ時間でそれ
ぞれ83%および91%であった。
対照的に、シタロプラム(セロトニン再取込みの選択
的抑制物質)は、線条体活性よりも中脳のより大きな置
き換えをもたらした。注射後190分で静注した8.3μmol/
kgでは、中脳レベルはその後の110分間で57%まで減少
したが、同じ時間で線条体活性はわずか5%減少しただ
けであった。
123I〕−β−CITは、ドパミンおよびセロトニン再
取込み部位の有用なSPECTトレーサーのようである。脳
の取り込みおよび排出は、コカイン自体と比較して比較
的遅く、β−CITの代謝的に耐性を有する化学構造と化
学的に安定な位置にある放射性ヨウ素の配置と矛盾しな
い。線条体の取り込みは、ドパミン再取込みの標識を大
部分表しているようにみえる。一方、中脳に於ける取り
込みは、セロトニン再取込みに関連しているようであ
る。〔123I〕−β−CITの線条体活性対その小脳活性の
高い比は、トレーサーの非特異的取り込みの低さと一致
し、〔123I〕−β−CITは、パーキンソン病のドパミン
作動性不全の臨床マーカーとして有用であるかもしれな
い。
再び図1によれば、第二の実験では(J.L.Neumeyer
ら、J.Med.Chem.,34:3144−3146(1991))、強力なコ
カイン類似体、2β−カルボメトキシ−3β−(4−フ
ルオロフェニル)トロパン(化合物2、CFTまたはWIN35
428(R.L.Clarkeら、(1973);B.K.Madrasら、(198
9))とも呼称される)は、トリチウム付加または11CH3
で標識された場合、ドパミン再取込み部位に対する高い
親和性と滞在時間の長さという点で、コカイン受容体に
対する放射性リガンドプローブとして〔3H〕コカインま
たは〔11C〕コカインよりも優れていることが分かった
(J.S.Fowlerら、Synapse 4:371−377(1989))。PET
およびSPECT画像化用に適した類似体をさらに開発する
ために、2β−カルボメトキシ−3β−(4−ヨードフ
ェニル)トロパンを合成し、その性状を調べた(図1に
示したように、化合物3a(CFTと同様にβ−CITと呼
称)、化合物4(ノル−CITと呼称、対応するN−脱メ
チル誘導体)、化合物3b(C2α異性体))。
図3では、〔123I〕−β−CITの合成プロトコルが記
載されている。エクゴニジンメチルエステル(化合物
5)は、クラークら(1973)の方法でコカインから調製
された。化合物5を臭化フェニルマグネシウムで処理
し、続いてトリフルオロ酢酸と低温で処理して、C2エピ
異性体(エピマー)の混合物(化合物6、45%;化合物
7、31%)が得られ、これらは、フラッシュクロマトグ
ラフィー(シリカ;CH2Cl2/CH3OH、25:1)によって分離
された。化合物6をI2/HNO3/H2SO4で直接ヨウ素付加し
て、パラ置換化合物3a(β−CIT)を油として生成した
(62%、〔α〕25D−2.0゜(c=0.85、CHCl3)。D−
酒石酸塩;mp72−74℃;〔α〕25D−87.7゜(c=1.5、C
H3OH)。同じ工程による化合物7のヨウ素付加によっ
て、化合物3b(α−CIT)が油として得られた;39%
〔α〕25D+44゜(c=2.5、CHCl3)。1,5−ナフタレン
ジスルフォネート塩;mp.139−140℃。化合物6のN−脱
メチルは、2,2,2−トリクロロエチルカルバメートへの
変換、その後の還元(Zn/酢酸)によって達成され、ミ
リウスラ(R.A.Miliusら、J.Med.Chem.34(5):1728−
1731(1991);この文献は参照により本明細書に含まれ
る)によって記載された方法で化合物8が得られた。そ
の後ヨウ素付加してノル−CIT(化合物4)が得られ、
これは黄色の結晶性固体として分離された(化合物6か
らの遊離塩基48%):mp.149−151℃;〔α〕25D−67.4
゜(c=1、CHCl3)。
123I〕−β−CIT(化合物123I−3a)は、非放射能
性β−CIT(化合物3a)から、対応するトリブチルチン
誘導体(化合物9)への変換によって合成された。還流
テトラヒドロフラン中で化合物3aをビス(トリブチルチ
ン)、テトラキス(トリフェニルホスフェート)パラジ
ウム(0)およびパラジウム(II)アセテートで処理
し、さらにフラッシュクロマトグラフィー(シリカ、ヘ
キサンからヘキサン/エーテル(75:25)の段階勾配)
の後、3aから収量26%で無色のワックス状固体として化
合物9を得た。化合物9の300−MH3NMR(CDCl3)は、想
定構造と一致した。過酢酸存在下で化合物9を担体非付
加Na123Iで処理して、化合物〔123I〕−3aが得られた。
放射性ヨウ素付加生成物である化合物〔123I〕−3aは、
調製用HPLC(ノバパックC18、MeOH/H2O/Et3N,75:25:0.
2、1.0ml/分;tR6.7分)で精製し、5%エタノール、1
%アスコルビン酸を含む通常の食塩水中で製剤化した。
化合物〔123I〕−3aは、全体的平均収量60.0±13.4%で
得られ、放射能化学での純度は97.6±1.6%であった。
放射能標識で用いたトリブチルチン前駆体は、約7mol%
のCIT担体を含んでおり、約2000ci/mmolの比活性を有す
123I生成物を生じた。
ドパミンおよびセロトニン再取込み部位に対するコカ
イン(化合物1)、α−CIT(化合物3b)、β−CIT(化
合物3a)およびβ−CFT(化合物2)の親和性は、下記
の表1に示したように、ヒヒおよびラットの脳から調製
した組織ホモジネートを用いた放射性リガンドの置き換
え実験から求めた。
表1のデータは、霊長類線条体から調製した組織ホモ
ジネートのドパミン再取込み部位に対する〔3H〕CFT
(0.5nM)の放射性リガンド結合、およびラット皮質膜
から調製したホモジネートのセロトニン再取込み部位に
対する〔3H〕パロキセチンの結合を表している。IC50
は、特異的な放射性リガンド結合を50%まで減少させる
ために必要な置き換え類似体の濃度である。値は平均±
SEM(n回実験について)を示している。
図4では、5回のSPECT(単光量子放出コンピュータ
ー支援断層撮影法)実験を、イソフルラン麻酔の下で4
匹の雌のヒビ(パピオ・アヌビス、10−12kg)を使って
実施した。動物に8.1±1.4mCiの〔123I〕−β−CITを静
注し(この実験および以下の実験のデータは平均±SEM
で表される)、810Xブレインイメージャー(Strichman
Medical Equipment、メドフィールド、MA)で300±41分
走査した。連続した1−2分の画像は、脳の周りに描か
れた楕円における水の減弱と同様に減弱が均質なものと
仮定して再構築した。データは注射の時間に対して崩壊
修正を行った。
脳の最高取り込みは線条体領域に重なり、放射性リガ
ンドの注射後154±19分でピークとなり、その時間の線
条体対小脳比は9.8±1.6を示した。線条体活性の排出
は、3匹のコントロール動物のうち2匹でさらに200お
よび260分間続き、線条体ピーク時から実験の終了まで
それぞれ0%および12%の減少を示した。
図5Aおよび5Bで、二番目に高い活性をもつ脳の領域は
ほぼ中脳に重なり、ピークレベルは注射後43±5分(n
=5)で示され、排出は線条体活性より速かった。
123I〕−β−CITのインビボ標識の薬理学的特異性
は、インダトラリン(Lu19−005とも呼称される、ドパ
ミンおよびセロトニン再取込み部位に対する強力な薬
剤)、およびシタロプラム(セロトニン再取込み部位に
対する選択的薬剤)による脳活性の置き換えによって調
べた。放射性リガンド注射後200分で注射したインダト
ラリン(3μmol/kg、静注)によって、線条体および中
脳活性の両方が、図5Aに示したように顕著に減少した。
Lu19−005の注射後100分の間に、線条体活性は65%まで
減少し、それに較べて、同じ時間観察した2匹のコント
ロール動物では同じ時間に平均2%の減少であった。対
照的に、放射性リガンド注射後60分で注射されたシタロ
プラム(7.4μmol/kg、静注)によって、図5Bに示した
ように中脳活性の選択的減少が示された。シタロプラム
によって、注射後60分の間で中脳活性は48%減少し、そ
れに較べて同じ時間観察したコントロール動物では中脳
活性は16±3%の減少(n=3)であった。
これらの結果は、〔123I〕−β−CITは、霊長類にお
けるモノアミン再取込み部位の有用なSPECTプローブで
あることを示している。線条体活性の大半はドパミン再
取込み部位に付随し、さらに中脳活性の大半はセロトニ
ン再取込み部位に付随していた。これは、霊長類の死後
脳で測定したこれらモノアミン運搬体の密度と一致す
る。活性の脳排出は比較的遅いが、これは部分的には、
モノアミン運搬体に対するβ−CITの高い親和性に起因
する。さらに、全身スキャンは甲状腺取り込みは低いこ
とを示したので、ヨウ素原子は、代謝的に比較的抵抗性
を有する位置に存在するようである。これは、インビボ
でのヨウ素脱離が遅いことを示唆している。〔123I〕−
β−CITおよび〔11C〕−β−CITは、ヒトの疾患(例え
ばパーキンソン病およびうつ病、これら疾患は神経伝達
物質系に異常があると考えられている)におけるドパミ
ン作動性およびセロトニン作動性神経支配の有用な臨床
マーカーであろう。
合成例 実施例1.2−β−カルボメトキシ−3−β−(4−ヨー
ドフェニル)トロパン 2−β−カルボメトキシ−3−β−フェニルトロパン
(下記実施例1Aおよびミリウスらの文献(Miliusら、J.
Med.Chem.,34:1728(1991))を参照)(2.9g)、11.5m
mol)およびI2(3g、11.8mmol)の混合物を25mlの氷酢
酸中で攪拌し、4.7mlの濃硝酸および4.7mlの濃硫酸の混
合物と1滴ずつ処理した。反応混合物を55℃に加熱し、
2時間攪拌し、続いて室温まで冷却し、氷(100g)の上
に注いでさらに濾過した。濃水酸化アンモニウムを0−
5℃で添加して、濾液のpHを9.5に調整した。生じた沈
殿物を濾過によって取り出し、塩化メチレン(250ml)
に溶解させた。濾液を50mlの塩化メチレンで2回抽出し
た。抽出物および沈殿物の溶液を合わせ、ブライン(50
ml)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。溶媒
除去後、3.9g(90.4%)の2−β−カルボメトキシ−3
−β−4−ヨードフェニルトロパン遊離塩基が油として
得られた。
この遊離塩基をメタノール(20ml)に溶解し、20mlの
メタノール中で1.5gのD−(−)酒石酸と合わせた。減
圧下でメタノールを除去した後、残留物をメタノールエ
ーテル(3:1)から再結晶化させ、2−β−カルボメト
キシ−3−β−(4−ヨードフェニル)トロパンD−酒
石酸塩を白色結晶として得た(mp.72−74℃、C16H20NO2
I.C4H6O6、理論値:C:44.88、H:4.89、N:2.62;実験値:C:
44.70、H:4.94、N:2.57〔α〕D 22=−87.7゜(c=0.
3、CH3OH)。
実施例1A.2−β−カルボメトキシ−3−β−フェニルト
ロパン 攪拌装置、付加漏斗および窒素導入管を備えた500ml
の3つ首丸底フラスコに入れた臭化フェニルマグネシウ
ムの2Mエーテル溶液(83ml、166mmol)を、83mlの無水
ジエチルエーテルで希釈し、−20℃まで乾燥窒素の雰囲
気下で冷却した。無水エーテル(75ml)中でコカイン
(1)(15g、82.8mmol)から調製したアンヒドロエク
ゴニンメチルエステルの溶液を1滴ずつ加えた。この不
均質な混合物を−20℃で1時間攪拌し、続いて、等容量
の氷と水の中に注ぎ入れ、2Mの塩酸を1滴ずつ加えて酸
性にした。水層に濃水酸化アンモニウム(NaClで飽和)
を添加して塩基性にし、ジエチルエーテルで抽出した。
合わせた抽出物を乾燥させ(Na2SO4)、真空中で濃縮し
て褐色の油を得た。この粗生成物のバルブトゥバルブ蒸
留(70℃、0.9トル)によって、淡黄色油(16g、70%)
が得られた。この油のTLC分析(シリカ、ペンタン/ジ
エチルエーテル/2−プロピルアミン、15:5:0.8)によっ
て、これは、C−2αおよびβエピマーの混合物である
ことが分かった。このβ異性体をシリカゲルクロマトグ
ラフィー(ペンタン:ジエチルエーテル:イソプロピル
アミン(70:30:3)によって分離した。mp.63−66℃(文
献では62−64,5℃:Clarkeら、J.Med.Chem.16:1260(197
3))。
実施例2.2−α−カルボメトキシ−3−β−ヨードフェ
ニルトロパン 実施例1に記載したように調製したαおよびβ−2−
カルボメトキシ−3−β−ヨードフェニルトロパンの混
合物を、実施例1に記載したようにシリカゲルクロマト
グラフィーで分離した。α−2−カルボメトキシ−3−
β−ヨードフェニルトロパンを含む分画を集め、真空中
で濃縮した。このようにして得た遊離塩基をナフタレン
−1,5−ジスルホン酸で処理した。この粗塩をアセトニ
トリルから再結晶化させ、2−α−カルボメトキシ−3
−β−ヨードフェニルトロパンナフタレン−1,5−ジス
ルホン酸塩を得た(mp.166−168℃、C16H20NO2I・C10H6
(SO3H)・2H2O、理論値:C:40.01、H:4.55、N:1.97、
I:17.90;実験値:C:43.94、H:4.55、N:1.91、I:17.9
9)。
実施例3.2−β−カルボメトキシ−3−β−(4−ヨー
ドフェニル)ノルトロパン トルエン(20ml)中の2−β−カルボメトキシ−3−
β−(4−ヨードフェニル)トロパン(410mg、1.5mmo
l)の溶液を、2,2,2−トリクロロエチルクロロフォルメ
ート(1ml、7.3mmol)で処理した。混合物を120℃で1
時間加熱し、室温まで冷却し、さらに真空中で乾燥する
まで蒸発させた。残留物をメチレンクロリドと水の間で
分配させた。有機層を分離し、乾燥させ(Na2SO4)、さ
らに真空中で濃縮して、乾燥泡沫としてトリクロロエチ
ルクロロフォルメートを得た。この粗カルバミン酸塩を
50%酢酸水に溶解させ、200mg(0.0067g−原子)の亜鉛
ダストで処理し、室温で16時間攪拌した。反応混合物を
濾過し、濃水酸化アンモニウム(NaClで飽和)でpH7に
調整し、さらにジエチルエーテルで抽出した。抽出物を
集め、乾燥させ(Na2SO4)、真空中で濃縮した。残留物
をフラッシュクロマトグラフィー(シリカ、ペンタン/
ジエチルエーテル/イソプロピルアミン、3:7:0.7)で
精製し、2−β−カルボメトキシ−3−β−(4−ヨー
ドフェニル)ノルトロパンを得た。これは黄色の結晶性
固体として分離された(mp.149−151℃;〔α〕25 D−6
7.4゜(c=1、CHCl3)。
実施例4.2−β−カルボメトキシ−3−β−(4−ヨー
ドフェニル)−8−(3−フルオロプロピル)−ノルト
ロパン 乾燥トルエン(20ml)中の2−β−カルボメトキシ−
3−β−(4−ヨードフェニル)−ノルトロパン(371m
g、1.0mmol)、1−ブロモ−3−フルオロプロパン(15
5mg、1.1mmol)およびトリエチルアミン(0.5ml)を乾
燥窒素の雰囲気下で攪拌し、熱して還流させた。4時間
後、反応混合物を室温まで冷却し濾過した。濾液を減圧
下で濃縮し、残留物をシリカカラム(溶離液:ジエチル
エーテル)でクロマトグラフィーを実施した。生成物含
有分画を濃縮することによって、2−β−カルボメトキ
シ−3−β−(4−ヨードフェニル)−8−(3−フル
オロプロピル)ノルトロパンを白色固体として得た(m
p.78.5−79.5℃、C18H23NO2FI、理論値:C:50.13、H:5.3
4、N:3.25;実験値:C50.27、H:5.26、N:3.15)。
実施例5.2−β−カルボメトキシ−3−β−(3−フル
オロ−4−ヨードフェニル)トロパン 2−β−カルボメトキシ−3−β−(3−フルオロフ
ェニル)トロパン(400mg、1.44mmol)、硫酸銀(400m
g、1.3mmol)、ヨウ素(600mg、2.36mmol)および80%
硫酸(9ml)の混合物を室温で5日間攪拌した。反応混
合物を150mlの氷と水に注ぎ入れ、濃水酸化アンモニウ
ムを添加して塩基性にし、60mlのクロロホルムで3回抽
出した。集めた抽出物を、10%重亜硫酸ナトリウム溶
液、5%炭酸ナトリウム溶液および水で連続して洗浄
し、続いて硫酸ナトリウム上で乾燥させ濾過した。濾液
を真空中で濃縮し、油状残留物をクロロホルムに再溶解
させ、クロロホルム中のp−トルエンスルホニルクロリ
ドの溶液で処理した。生じた固体を水とエタノールから
繰り返し結晶化させ、2−β−カルボメトキシ−3−β
−(3−フルオロ−4−ヨードフェニル)トロパントシ
レート塩を白色結晶状固体として得た(mp.68−70℃
(軟化、45℃)、C16H19FINO2・C7H8SO3・H2O:理論値C:
46.55、H:4.93、N:2.36;実験値:C:46.34、H:4.86、N:1.
99)。
実施例6.2−β−カルボキシ−3−β−(4−ヨードフ
ェニル)トロパン 2mlのH2Oに懸濁した2−β−カルボメトキシ−3−β
−(4−ヨードフェニル)トロパン(100mg、0.26mmo
l)を還流で10時間加熱した。生じた溶液を室温まで冷
却し、生じた沈殿物を濾過で集め、真空下で一晩乾燥さ
せ、70mg(70%)の2−β−カルボキシ−3−β−(4
−ヨードフェニル)トロパンを得た(mp.299−300℃、C
15H18NO2I・0.5H2O:理論値:C:47.51、H:5.05、N:3.69;
実験値:C:47.28、H:4.84、N:3.69)。
実施例7.2−β−カルボメトキシ−3−β−ベンジルオ
キシトロパン アセトン(20ml)中の臭化ベンジル(3.0g、0.015mo
l)およびヨウ化カリウム(3.0g、0.021mol)の攪拌懸
濁物を、アセトン(10ml)中のエクゴニンメチルエステ
ル(2.6g、0.014mol)で1滴ずつ室温で処理した。この
混合物を70時間室温で攪拌し、続いて、加熱し還流し、
さらに8時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し濾
過した。濾液を真空中で濃縮し、残留物をクロロホルム
(200ml)に溶解し、さらに2Nの塩酸50mlで4回抽出し
た。集めた抽出物を濃水酸化アンモニウムを添加して塩
基性にした。生じた混合物を20mlのクロロホルムで4回
抽出した。抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥し真空中で
濃縮して、1.7gの2−β−カルボメトキシ−3−β−ベ
ンジルオキシトロパンを油として得た。
この生成物をアセトニトリル(20ml)に溶解し、アセ
トニトリル(20ml)中のナフタレン−1,5−ジスルホン
酸(2.2g)の溶液で処理した。この溶液を真空中でシロ
ップとなるまで濃縮し、ジエチルエーテルで希釈した。
生じた沈殿物を濾過で集めて乾燥させ、1.6gの2−β−
カルボメトキシ−3−β−ベンジルオキシトロパンナフ
タレン−1,5−ジスルホン酸塩を得た(mp.126−130℃、
C17H23NO3・C10H6(SO3H)・2.5H2O、元素分析:理論
値、C:52.08、H:5.83、N:2.25;実験値、C:52.2、H:5.6
9、N:2.72;〔α〕D 24=−25.4゜(C=1、CH3OH)。
実施例8.2−β−カルボメトキシ−3−β−(4−トリ
ブチルスタニルフェニル)トロパン 2−β−カルボメトキシ−3−β−(4−ヨードフェ
ニル)トロパン(250mg、0.65mmol)、ビス(トリブチ
ル)ジスタナン(522mg、0.9mmol)、テトラキス(トリ
フェニルホスフィン)パラジウム(0)(3mg)および
無水トルエン(10ml)を乾燥窒素の雰囲気下で加熱し還
流し、28時間攪拌した。混合物を濾過し、濾液を真空中
で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムに添加し、ヘキ
サン:ジエチルエーテル:イソプロピルアミン(70:30:
3)で溶出した。生成物を含む分画を集め、真空中で濃
縮しペンタンで処理して、2−β−カルボメトキシ−3
−β−(4−トリブチルスタニルフェニル)トロパンを
固体として沈澱させた。300MHzNMRスペクトルは、想定
した構造と一致した。〔α〕D 22=−8.9゜(c=0.4、C
HCl3)。
実施例9.〔123I〕−2−β−カルボメトキシ−3−β−
(4−ヨードフェニル)トロパン 2−β−カルボメトキシ−3−β−(4−トリブチル
スタニルフェニル)トロパン50μgを含むバイアルに、
50μlのエタノール、150μlの0.5MH3PO4、125−500μ
l(20−30mCi)の〔123I〕NaI溶液および100μl(4.2
μmol)の0.042M過酢酸を加えた。20−30分後、50μl
のNaHSO3水溶液(100mg/ml)を加えた。飽和NaHCO3溶液
を加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。集めた抽出液
を乾燥させ(Na2SO4)、乾燥するまで濃縮した。残留物
をメタノールに再び溶解し、HPLC(c−18カラム、溶離
液:CH3OH:H2O::トリエチルアミン(75:25:0.2))で精
製した。2−β−カルボメトキシ−3−β−(4−ヨー
ドフェニル)トロパンの保持時間で溶出する分画を集
め、乾燥するまで蒸発させ、5%エタノールおよび0.1n
Mのアスコルビン酸中で再構成させた。
SPECTに使用するために、本発明の放射能安定ヨウ素
付加神経プローブは参考用標準として有用で、さらに、
該神経プローブの放射能活性形の希釈剤としてもまた用
いることができる。放射性ヨウ素付加化合物は、完全に
性状が明らかにされている参考用標準と比較したときの
クロマトグラフィー上の移動度によって一般に識別され
る。したがって、放射性ヨウ素付加化合物の調製には、
非放射性ヨウ素付加化合物を必要とする。放射性神経プ
ローブを保存する必要性を避けるために、非放射性ヨウ
素付加化合物および適切な酸化剤(例えば、過塩素酸、
過ギ酸、過酢酸、過酸化水素)を、ラクトペルオキシダ
ーゼ、1,3,4,6−テトラクロロ−3α、6α−ジフェニ
ルグリコウリルまたはN−クロロ−4−メチルベンゼン
スルフォンアミド塩とともに含むキットを提供すること
は有用である。続いて、この非放射性前駆体化合物は適
切な放射性化合物の存在下で酸化して、使用時に使用場
所でヨウ素付加神経プローブを調製することができる。
適切な放射性化合物とは、例えば本明細書に記載した合
成経路において示された担体非含有Na〔123I〕)、他の
いずれかの放射性同位元素源(例えば、ヨウ素の放射性
同位元素の塩溶液)、mCnH2n+1Xを含む試薬(ここでn
=0−6、Xは脱離基)または式FCnH2nXの18Fを含む試
薬(ここでn=0−6、Xは脱離基)である。
本発明の放射能標識神経プローブはまた、他の画像化
工程でも有用である。例えば、125I−標識神経プローブ
は、オートラジオグラフィーまたは治療に用いることが
でき、131I−標識神経プローブは、動物実験で使用され
る多重光量子放出体として有用である。また、11C−、
14C−および18F−標識神経プローブはPET画像化で用い
ることができる。
本発明のヨウ素付加神経プローブの放射能安定形およ
び放射能活性形は、ヒトおよびヒト以外の研究で有用で
ある。例えば、ドパミン運搬体について一般的に研究
し、さらに具体的にコカイン結合部位を調べるために、
本発明の化合物を用いてインビボおよびインビトロ実験
を実施することができる。
さらに、本発明の神経プローブの放射能安定形は、ド
パミン再取込みに影響を与える医薬として用いることが
できる。
他の修飾も、本発明の範囲を越えることなく当業者に
とって可能である。したがって、上記の記載は、下記請
求の範囲に記載されたものを除き制限を意図したもので
はない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ミリアス,リチャード,エー. アメリカ合衆国 02131 マサチューセ ッツ州 ボストン ブラウン アベニュ ー 131 (72)発明者 イニス,ロバート,ビー. アメリカ合衆国 06518 コネチカット 州 ハムデン デイ スプリング アベ ニュー 40 (56)参考文献 J.Med.Chem.,Vol. 36,No.7(1993年4月2日)P. 855−862 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 51/00 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】以下の式をもつ、モノアミン再取込み部位
    のマッピング用ヨウ素付加神経プローブ: 式中、RはnF(n=18または19)を含むモノフルオロア
    ルキル基で、R′はCnH2n+1基(n=0−6)、p−ヨ
    ードフェニルメチル基、p−ヨードフェニルエチル基、
    フェニルメチル基、又はフェニルエチル基で、XはFの
    同位元素、Clの同位元素、Brの同位元素、Iの同位元
    素;CH3またはSn(R″1R″2R″)で、ここでR″
    CnH2n+1基(n=1−6)またはアリール基で、R″
    はCnH2n+1基(n=1−6)またはアリール基で、R″
    はCnH2n+1基(n=1−6)またはアリール基で、さ
    らにYはIの同位元素である、但し、XがIの同位元素
    であるか、又は、R′がp−ヨードフェニルメチル基又
    はp−ヨードフェニルエチル基である場合には、YはH
    であり得る。
  2. 【請求項2】Xが123Iである、請求の範囲第1項のヨウ
    素付加神経プローブ。
  3. 【請求項3】Xが125Iである、請求の範囲第1項のヨウ
    素付加神経プローブ。
  4. 【請求項4】Xが131Iである、請求の範囲第1項のヨウ
    素付加神経プローブ。
  5. 【請求項5】以下の式をもつ、モノアミン再取込み部位
    のマッピング用ヨウ素付加神経プローブ: 式中、RはnF(n=18または19)を含むモノフルオロア
    ルキル基で、R′はCnH2n+1基(n=0−6)、p−ヨ
    ードフェニルメチル基、p−ヨードフェニルエチル基、
    フェニルメチル基、又はフェニルエチル基で、XはFの
    同位元素、Clの同位元素、Brの同位元素、Iの同位元
    素;CH3またはSn(R″1R″2R″)で、ここでR″
    CnH2n+1基(n=1−6)またはアリール基で、R″
    はCnH2n+1基(n=1−6)またはアリール基で、R″
    はCnH2n+1基(n=1−6)またはアリール基で、さ
    らにYはIの同位元素である、但し、XがIの同位元素
    であるか、又は、R′がp−ヨードフェニルメチル基又
    はp−ヨードフェニルエチル基である場合には、YはH
    であり得る。
  6. 【請求項6】Xが123Iである、請求の範囲第5項のヨウ
    素付加神経プローブ。
  7. 【請求項7】Xが125Iである、請求の範囲第5項のヨウ
    素付加神経プローブ。
  8. 【請求項8】Xが131Iである、請求の範囲第5項のヨウ
    素付加神経プローブ。
  9. 【請求項9】以下の式をもつ、モノアミン再取込み部位
    のマッピング用放射能標識神経プローブの前駆体: 式中、Rはモノフルオロアルキル基で、R′はCnH2n+1
    基(n=0−6)で、XはSn(R″1R″2R″)で、こ
    こでR″はCnH2n+1基(n=1−6)またはアリール
    基で、R″はCnH2+1基(n=1−6)またはアリール
    基で、R″はCnH2n+1基(n=1−6)またはアリー
    ル基で、さらにYはHである。
  10. 【請求項10】以下の式をもつ、モノアミン再取込み部
    位のマッピング用放射能標識神経プローブの前駆体: 式中、Rはモノフルオロアルキル基で、R′はCnH2n+1
    基(n=0−6)で、XはSn(R″1R″2R″)で、こ
    こでR″はCnH2n+1基(n=1−6)またはアリール
    基で、R″はCnH2n+1基(n=1−6)またはアリー
    ル基で、R″はCnH2n+1基(n=1−6)またはアリ
    ール基で、さらにYはHである。
  11. 【請求項11】請求項1記載の下記式をもつモノアミン
    再取込み部位のマッピング用ヨウ素付加神経プローブの
    前駆体および酸化剤を含み、該前駆体と酸化剤を放射性
    同位元素源の存在下で反応させることができる、モノア
    ミン再取込み部位のマッピング用ヨウ素付加神経プロー
    ブを調製するためのキット: 式中、Rはモノフルオロアルキル基またはHで、R′は
    CnH2n+1基(n=0−6)で、XはIまたはSn(R″
    1R″2R″)で、ここでR″1はCnH2n+1基(n=1−
    6)またはアリール基で、R″はCnH2n+1基(n=1
    −6)またはアリール基で、R″はCnH2n+1基(n=
    1−6)またはアリール基で、さらにYはHである。
  12. 【請求項12】該放射性同位元素源がヨウ素の放射性同
    位元素の塩溶液である、請求の範囲第11項のキット。
  13. 【請求項13】請求項5記載の下記式をもつモノアミン
    再取込み部位のマッピング用ヨウ素付加神経プローブの
    前駆体および酸化剤を含み、該前駆体と酸化剤を放射性
    同位元素源の存在下で反応させることができる、モノア
    ミン再取込み部位のマッピング用ヨウ素付加神経プロー
    ブを調製するためのキット: 式中、Rはモノフルオロアルキル基で、R′はCnH2n+1
    基(n=0−6)で、XはSn(R″1R″2R″)で、こ
    こでR″はCnH2n+1基(n=1−6)またはアリール
    基で、R″はCnH2n+1基(n=1−6)またはアリー
    ル基で、R″はCnH2n+1基(n=1−6)またはアリ
    ール基で、さらにYはHである。
  14. 【請求項14】該放射性同位元素源がヨウ素の放射性同
    位元素の塩溶液である、請求の範囲第13項のキット。
JP50343995A 1992-02-25 1993-06-29 モノアミン再取込み部位のマッピング用ヨウ素付加神経プローブ Expired - Lifetime JP3228422B2 (ja)

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