JP3227497B2 - β−ラクタム化合物及びその製造法 - Google Patents

β−ラクタム化合物及びその製造法

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JP3227497B2
JP3227497B2 JP03031092A JP3031092A JP3227497B2 JP 3227497 B2 JP3227497 B2 JP 3227497B2 JP 03031092 A JP03031092 A JP 03031092A JP 3031092 A JP3031092 A JP 3031092A JP 3227497 B2 JP3227497 B2 JP 3227497B2
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  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なβ−ラクタム化
合物及びその製造法に関する。
【0002】
【発明の開示】本発明のβ−ラクタム化合物は、文献未
記載の新規化合物であり、下記一般式(1)で表わされ
る。
【0003】
【化3】
【0004】〔式中R1 は水素原子、ハロゲン原子、ア
ミノ基又は保護されたアミノ基を示す。R2 は水素原
子、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、低級アシル基、
低級アルキル基、置換基として水酸基もしくは保護され
た水酸基を有する低級アルキル基、水酸基又は保護され
た水酸基を示す。また、R1 及びR2 は、一緒になって
基=Oを示してもよい。R3 は水素原子又はカルボン酸
保護基を示す。R4 は置換基を有していてもよいアリー
ル基を示す。R5 はC2-6 のアルキル基、置換基を有し
ていてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよい
アルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基又
は置換基を有していてもよい含窒素芳香族複素環基を示
す。〕 上記一般式(1)のβ−ラクタム化合物は、例えば後記
に示すようにペナム系、ペネム系又はセフェム系抗生物
質を合成するための重要な中間体である。
【0005】本明細書において示される各基は、具体的
には各々次の通りである。尚、以下の説明において特に
断らない限り、ハロゲン原子とは、弗素、塩素、臭素、
沃素原子等を意味する。低級アルキル基とは、例えば、
メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブ
チル、イソブチル、sec −ブチル、tert−ブチル基等の
直鎖又は分枝鎖状のC1 〜C4 アルキル基を意味する。
また、アリール基とは、例えば、フェニル、ナフチル基
等を意味する。
【0006】R1 で示される保護されたアミノ基として
は、例えばフェノキシアセトアミド、p−メチルフェノ
キシアセトアミド、p−メトキシフェノキシアセトアミ
ド、p−クロロフェノキシアセトアミド、p−ブロモフ
ェノキシアセトアミド、フェニルアセトアミド、p−メ
チルフェニルアセトアミド、p−メトキシフェニルアセ
トアミド、p−クロロフェニルアセトアミド、p−ブロ
モフェニルアセトアミド、フェニルモノクロロアセトア
ミド、フェニルジクロロアセトアミド、フェニルヒドロ
キシアセトアミド、フェニルアセトキシアセトアミド、
α−オキソフェニルアセトアミド、チエニルアセトアミ
ド、ベンズアミド、p−メチルベンズアミド、p−t−
ブチルベンズアミド、p−メトキシベンズアミド、p−
クロロベンズアミド、p−ブロモベンズアミド、或いは
Theodora W.Greene 著のプロテクティブ グループ イ
ン オーガニック シンセシス“Protective Groups in
Organic Synthesis”以下単に「文献」という)の第7
章(第218〜287頁)に記載されている基、或いは
フェニルグリシルアミド及びアミノ基の保護されたフェ
ニルグリシルアミド、p−ヒドロキシフェニルグリシル
アミド及びアミノ基、水酸基又はその両方が保護された
p−ヒドロキシフェニルグリシルアミドを例示できる。
フェニルグリシルアミド及びp−ヒドロキシフェニルグ
リシルアミドのアミノ基の保護基としては上記文献の第
7章(第218〜287頁)に記載されている基を例示
できる。また、p−ヒドロキシフェニルグリシルアミド
の水酸基の保護基としては、上記文献の第2章(第10
〜72頁)に記載されている基を例示できる。
【0007】R2 で示される低級アルコキシ基として
は、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イ
ソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec −ブ
トキシ、tert−ブトキシ等の直鎖又は分枝鎖状のC1
4 アルコキシ基を例示できる。
【0008】R2 で示される低級アシル基としては、例
えばホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イ
ソブチリル等の直鎖又は分枝鎖状のC1 〜C4 アシル基
を例示できる。
【0009】R2 で示される置換基として水酸基もしく
は保護された水酸基を有する低級アルキル基の保護され
た水酸基、及びR2 で示される保護された水酸基の保護
基としては、上記文献の第2章(第10〜72頁)に記
載されている各種基を例示できる。R2 で示される上記
置換低級アルキル基は、水酸基又は上記で示される保護
された水酸基の中から選ばれる同一又は異なる種類の置
換基で、同一又は異なる炭素上に1つ以上置換されてい
てもよい。
【0010】R3 で示されるカルボン酸の保護基として
はベンジル基、p−メトキシベンジル基、p−ニトロベ
ンジル基、ジフェニルメチル基、トリクロロエチル基、
tert−ブチル基或いは上記文献の第5章(第152〜1
92頁)に記載されている基を例示できる。
【0011】R4 で示されるアリール基に置換していて
もよい置換基の種類としては、ハロゲン原子、水酸基、
ニトロ基、シアノ基、アリール基、低級アルキル基、ア
ミノ基、モノ低級アルキルアミノ基、ジ低級アルキルア
ミノ基、メルカプト基、基R8 S−(R8 は低級アルキ
ル基又はアリール基)で表わされるアルキルチオ基又は
アリールチオ基、ホルミルオキシ基、基R8 COO−
(R8 は前記に同じ)で表わされるアシルオキシ基、ホ
ルミル基、基R8 CO−(R8 は前記に同じ)で表わさ
れるアシル基、基R8 O−(R8 は前記に同じ)で表わ
されるアルコキシ基又はアリールオキシ基、カルボキシ
ル基、基R8 OCO−(R8 は前記に同じ)で表わされ
るアルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニ
ル基等が例示できる。R4 におけるアリール基は、上記
置換基から選ばれる1つ以上の同一又は異なる種類の置
換基で置換されていてもよい。
【0012】R5 で示される置換基を有していてもよい
アルケニル基のアルケニル基としては、例えばビニル、
1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−
ブテニル、アリル、1−シクロヘキセニル基等が挙げら
れる。R5 で示される置換基を有していてもよいアルキ
ニル基のアルキニル基としては、例えばエチニル、1−
プロピニル、1−ブチニル基等が挙げられる。R5 で示
される置換基を有していてもよい含窒素芳香族複素環基
の含窒素芳香族複素環基としては、例えばチアゾール−
2−イル、チアジアゾール−2−イル、ベンゾチアゾー
ル−2−イル、オキサゾール−2−イル、ベンゾオキサ
ゾール−2−イル、イミダゾール−2−イル、ベンゾイ
ミダゾール−2−イル、ピラミジニル、ピリジル基等が
挙げられる。これらR5 で示されるアルケニル基、アル
キニル基、アリール基又は含窒素芳香族複素環基に置換
していてもよい置換基としては、R4 における置換基と
同様の置換基を挙げることができる。R5 におけるアル
ケニル基、アルキニル基、アリール基又は含窒素芳香族
複素環基は、上記置換基から選ばれる1つ以上の同一又
は異なる種類の置換基で、同一又は異なる炭素上に1つ
以上置換されていてもよい。
【0013】R6 で示される低級アルキル基又はアリー
ル基に置換していてもよい置換基としては、R4 におけ
る置換基と同様の置換基を挙げることができる。R6
おける低級アルキル基又はアリール基は、上記置換基か
ら選ばれる1つ以上の同一又は異なる種類の置換基で、
同一又は異なる炭素上に1つ以上置換されていてもよ
い。
【0014】上記一般式(1)で表わされる本発明化合
物は、例えば、一般式
【0015】
【化4】
【0016】〔式中R1 、R2 、R3 及びR4 は前記に
同じ。R6 は弗素原子,置換基を有していてもよい低級
アルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を
示す。〕で表わされるアゼチジノン誘導体をパラジウム
触媒存在下、一般式 (R7 3 −Sn−R5 (3) 〔式中R7 は低級アルキル基を示す。R5 は前記に同
じ。〕で表わされる有機スズ化合物と反応させることに
より製造することができる。
【0017】本発明において、出発原料として用いられ
る一般式(2)で表わされるアゼチジノン誘導体は、例
えば特開昭61−165367号公報に記載の方法に従
って製造される。
【0018】本発明の一般式(1)の化合物を製造する
に当っては、一般式(2)の化合物を適当な溶媒中、パ
ラジウム触媒存在下、一般式(3)で表わされる有機ス
ズ化合物と反応させる。
【0019】一般式(3)で表わされる有機スズ化合物
の具体例としては、例えばテトラエチルスズ、テトラブ
チルスズ、ビニルトリブチルスズ、(Z)−1−プロペ
ニルトリブチルスズ、1−(トリブチルスタニル)−2
−メチルプロ−1−ペン、(トリフロロビニル)トリブ
チルスズ、1−(トリブチルスタニル)−1−プロピ
ン、(p−メトキシフェニル)トリブチルスズ、1−メ
チル−2−(トリブチルスタニル)ピロール、(4−t
−ブチル−1−シクロヘキセン−1−イル)トリメチル
スズ、(4−t−ブチル−1−シクロヘキセン−1−イ
ル)トリブチルスズ、(E)−1,2−ビス(トリブチ
ルスタニル)エチレン、〔p−(トリフロロメチル)フ
ェニル〕トリブチルスズ、ビニルトリブチルスズ、1−
メトキシ−1−(トリブチルスタニル)エチレン、アリ
ールトリブチルスズ、エチニルトリブチルスズ、(フェ
ニルエチニル)トリブチルスズ等が例示できる。これら
一般式(3)で表わされる有機スズ化合物の使用量とし
ては、一般式(2)の化合物に対して通常1〜3倍モル
程度、好ましくは1〜2倍モル程度とするのがよい。
【0020】パラジウム触媒としては、例えば酢酸パラ
ジウム、塩化パラジウム、臭化パラジウム、沃化パラジ
ウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、パラジウムア
セトアセテート、酸化パラジウム、ビス(アセトニトリ
ル)二塩化パラジウム、ビス(フェニルアセトニトリ
ル)二塩化パラジウム、塩化ビス(トリフェニルホスフ
ィン)パラジウム等の二価のパラジウム塩、テトラキス
(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス
(トリ−2−フリルホスフィン)パラジウム、テトラキ
ス(トリ−2−チエニルホスフィン)パラジウム、トリ
ス(ジベンジリデンアセトニル)ビスパラジウム、トリ
ス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ビス(ジ
ベンジリデンアセトン)パラジウム等の0価のパラジウ
ム等を例示できる。これらパラジウム触媒の使用量とし
ては、一般式(2)のアゼチジノン誘導体に対して0.
01〜1倍モル程度、好ましくは0.01〜0.5倍モ
ル程度とするのがよい。
【0021】溶媒としては、一般式(2)の化合物を溶
解し且つ該反応条件下不活性なものである限り従来公知
のものを広く使用でき、例えば、ジクロルメタン、クロ
ロホルム、ジクロルエタン、トリクロルエタン、ジブロ
ムエタン、プロピレンジクロライド、四塩化炭素、フレ
オン等のハロゲン化炭化水素類、テトラヒドロフラン、
ジオキサン等の環状エーテル類、アセトニトリル類、プ
ロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリ
ル、バレロニトリル等のニトリル類、ジメチルアセトア
ミド、ジメチルフォルムアミド、N−メチルピロリジノ
ン等のアミド類、ジメチルスルホキシド等を挙げること
ができ、これらは1種又は2種以上混合して使用され
る。これら溶媒の使用量は、一般式(2)の化合物1k
g当り通常0.5〜200l程度、好ましくは1〜50
l程度とするのがよい。
【0022】上記反応は通常−60〜100℃、好まし
くは−50〜50℃の範囲で行なわれ、反応時間は一般
に0.1〜24時間程度である。
【0023】斯くして得られる一般式(1)のアゼチジ
ノン誘導体は、反応終了後、通常の抽出操作、晶析操作
等を行なうことによってほぼ純品として得ることができ
るが、その他の方法によっても勿論精製することができ
る。
【0024】一般式
【0025】
【化5】
【0026】〔式中R、R及びRは前記に同
じ。〕で表わされる2−エキソメチレンセフェム誘導体
は、Rがビニル基である一般式(1)で表わされるア
ゼチノン誘導体に適当な有機溶媒中、一般式 〔式中 は置換基を有していてもよいアリール基を示
。Mは金属原子を示す。〕で表わされる求核剤を反応
させて、一般式
【0027】
【化6】
【0028】〔式中R、R、R及び は前記に
同じ。〕で表わされる2−置換メチル−3−セフェム化
合物を得、次いで得られる2−置換メチル−3−セフェ
ム化合物に塩基を作用させることによって製造される。
ここでR で示されるアリール基に置換してもよい置換
基としては、R における置換基と同様の置換基が例示
できる。R で示されるアリール基は、上記置換基から
選ばれる同一又は異なる種類の置換基で、同一又は異な
る炭素上に1つ以上置換されていてもよい。
【0029】上記一般式(1)のアゼチジノン誘導体と
一般式(5)の求核剤との使用割合としては、通常前者
に対して後者を1〜3当量程度、好ましくは1〜1.5
当量程度用いるのがよい。該反応は、適当な有機溶媒中
で行なわれる。ここで有機溶媒としては、一般式(1)
で表わされるアゼチジノン誘導体を溶解し且つ該反応に
不活性なものである限り従来公知のものを広く使用で
き、例えば蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻
酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢
酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等
の低級カルボン酸の低級アルキルエステル類、ジエチル
エーテル、エチルプロピルエーテル、エチルブチルエー
テル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、
ジブチルエーテル、メチルセロソルブ、ジメトキシエタ
ン等のエーテル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等
の環状エーテル類、アセトニトリル、プロピオニトリ
ル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バレロニト
リル等のニトリル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、
クロルベンゼン、アニソール等の置換もしくは未置換の
芳香族炭化水素類、ジクロルメタン、クロロホルム、ジ
クロルエタン、プロピレンジクロライド、四塩化炭素等
のハロゲン化炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタ
ン、オクタン等の脂肪族炭化水素類、シクロペンタン、
シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等の
シクロアルカン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルア
セトアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等を挙
げることができる。本発明では、これら溶媒を1種又は
2種以上混合して使用できる。またこれらの溶媒には、
必要に応じて水が含有されていてもよい。これら溶媒の
使用量は、一般式(1)の化合物1kg当たり通常0.
5〜200l程度、好ましくは1〜50l程度使用され
るのがよい。該反応は−70〜180℃、好ましくは−
50〜120℃の範囲で行なわれ、反応時間は一般に
0.5〜30時間程度である。
【0030】本発明においては、反応途中において一般
式(6)の2−置換メチル−3−セフェム化合物を通常
の抽出、精製方法によって単離することもできるが、反
応溶液のまま塩基との反応を続けて行なうこともでき
る。ここで塩基としては、例えば脂肪族アミン及び芳香
族アミンが好適に使用され得る。その具体例としては、
トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、エチルジイ
ソプロピルアミン、トリブチルアミン、1,5−ジアザ
ビシクロ〔4.3.0〕ノネン−5(DBN)、1,8
−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン−7(DB
U)、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン
(DABCO)、ピペリジン、N−メチルピペリジン、
2、2、6、6−テトラメチルピペリジン、モルホリ
ン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアニリ
ン、N,N−ジメチルアミノピリジン等を例示できる。
これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上併用して
もよい。これら塩基の使用量としては、一般式(6)で
表わされる2−置換メチル−3−セフェム化合物に対し
て1〜10当量程度、好ましくは1〜5当量程度とする
のがよい。該反応は−70〜180℃、好ましくは−5
0〜120℃の範囲で行なわれ、反応時間は一般に0.
1〜30時間程度である。
【0031】また、特に一般式(6)の2−置換メチル
−3−セフェム化合物を単離する必要がない場合には、
反応の開始当初より一般式(1)のアゼチノン誘導体に
一般式(5)の求核剤及び塩基を同時に作用させてもよ
い。この場合、求核剤の使用量は一般式(1)の化合物
に対して通常0.001〜2.0当量程度、好ましくは
0.001〜1.5当量程度用いれば充分である。
【0032】
【発明の効果】本発明では、セフェム系抗生物質の合成
中間体として有用な新規なβ−ラクタム化合物が提供さ
れる。
【0033】
【実施例】以下に実施例及び参考例を挙げて本発明をよ
り一層明らかにする。
【0034】実施例1
【0035】
【化7】
【0036】R=フェニルアセトアミド、R=H、
=p−メトキシベンジル、R=フェニル、R
トリフルオロメチルである一般式(2)の化合物(以下
「化合物(2a)」という)(100mg)と酢酸パラ
ジウム(6.1mg)を秤取り、減圧下乾燥した後、窒
素置換した。これにN−メチルピロリジノン(1ml)
を加え均一溶液とした後、ビニルトリブチルスズ(60
μl)を加え、室温で12時間かき混ぜた。反応混合物
は、酢酸エチルを用いて分液ロートに移し、水、飽和食
塩水で洗浄した。次いで乾燥(NaSO)した後濃
縮すると、粗生成物が得られた。このものは、カラムク
ロマトで精製すると、R=フェニルアセトアミド、R
=H、R=p−メトキシベンジル、R=フェニ
、R =ビニルである一般式(1)の化合物(以下
「化合物(1a)」という)(59.7mg,収率72
%)が得られた。
【0037】NMR(CDCl3 ):δppm;2.0
5(s,3H)、3.66(ABq,2H,J=16.
7Hz)、3.81(s,3H)、4.71(dd,1
H,J=7.3Hz,5.4Hz)、5.03及び5.
16(ABq,2H,J=11.9Hz)、5.49
(d,1H,J=11.3Hz)、5.64(d,1
H,J=17.3Hz)、5.81(d,1H,J=
5.4Hz)、5.92(d,1H,J=7.3H
z)、7.52(dd,1H,J=17.3Hz,1
1.3Hz)、6.90−7.74(m,14H)。
【0038】実施例2 実施例1において、ビニルトリブチルスズの代りに2−
プロペニルトリブチルスズを用いて22時間反応を行な
い、R1 =フェニルアセトアミド、R2 =H、R3 =p
−メトキシベンジル、R4 =フェニル、R5 =2−プロ
ペニルである一般式(1)の化合物(以下「化合物(1
b)」という)が収率50%で得られた。
【0039】NMR(CDCl3 ):δppm;1.7
8(d,3H,J=1.5Hz)、2.06(s,3
H)、3.60及び3.64(ABq,2H,J=1
7.7Hz)、3.80(s,3H)、4.58(d,
1H,J=1.5Hz)、4.76(dd,1H,J=
1.5Hz,1.5Hz)、4.86(dd,1H,J
=7.4Hz,5.2Hz)、4.99及び5.04
(ABq,2H,J=11.9Hz)、5.83(d,
1H,5.2Hz)、5.99(d,1H,J=7.4
Hz,NH)、6.87−7.76(m,14H)。
【0040】実施例3 実施例1において、ビニルトリブチルスズの代りに2−
メチル−1−プロペニルトリブチルスズを用いて24時
間反応を行ない、R1 =フェニルアセトアミド、R2
H、R3 =p−メトキシベンジル、R4 =フェニル、R
5 =2−メチル−1−プロペニルである一般式(1)の
化合物(以下「化合物(1c)」という)が収率20%
で得られた。
【0041】NMR(CDCl3 ):δppm;1.5
7(s,3H)、1.74(s,3H)、2.06
(s,3H)、3.58及び3.65(ABq,2H,
J=22.0Hz)、3.81(s,3H)、4.81
(dd,1H,J=7.2Hz,5.2Hz)、4.9
7及び5.10(ABq,2H,J=11.9Hz)、
5.83(d,1H,5.2Hz)、5.91(d,1
H,J=7.2Hz)、6.09(s,1H)、6.9
8−7.73(m,14H)。
【0042】実施例4 実施例3において、パラジウム触媒として酢酸パラジウ
ムの代りにトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジ
ウムを用いて24時間反応を行ない、化合物(1c)が
収率67%で得られた。このもののNMRスペクトル
は、実施例3で得られた化合物(1c)のそれと完全に
一致した。
【0043】実施例5
【0044】
【化8】
【0045】R=R=H、R=ジフェニルメチ
ル、R=フェニル、R=トリフルオロメチルである
一般式(2)の化合物(以下「化合物(2b)」とい
う)(391mg)及び酢酸パラジウム(27.4m
g)にN−メチルピロリジノン(4ml)を加えて攪拌
し、ビニルトリブチルスズ(268μl)を加えた。室
温下1時間攪拌を行なった後、酢酸エチル−弗化カリウ
ム水溶液を用いて抽出、水洗を行なった。硫酸ナトリウ
ム上で乾燥した後減圧下溶媒を留去し、残液をカラムク
ロマトにより精製を行なうと、R=R=H、R
ジフェニルメチル、R=フェニル、R =ビニルであ
る一般式(1)の化合物(以下「化合物(1d)」とい
う)(250mg,収率79%)が得られた。
【0046】NMR(CDCl3 ):δppm;1.9
2(s,3H)、3.01(dd,1H,J=2.8H
z,15.9Hz)、3.52(dd,1H,J=5.
6Hz,15.9Hz)、5.49(dd,1H,J=
0.9Hz,12.1Hz)、5.58(dd,1H,
J=2.8Hz,5.6Hz,)、5.64(dd,1
H,J=0.9Hz,16.2Hz)、6.93(s,
1H)、7.25−7.63(m,16H)。
【0047】参考例1
【0048】
【化9】
【0049】化合物(1d)(30.4mg)及びベン
ゼンスルフィン酸ナトリウム(12mg)を秤取り、ジ
メチルホルムアミド(0.3ml)を加えて攪拌した。
1時間攪拌し、反応液は酢酸エチル−水にて抽出し、水
洗を2回行なった。硫酸ナトリウム上で乾燥した後、減
圧下溶媒を留去し残液は次の反応にそのまま使用した。
残渣にジメチルホルムアミド(0.3ml)を加えて攪
拌し室温下ジイソプロピルエチルアミン(40.8μ
l)を加えた。室温下2時間攪拌を行ない酢酸エチル−
水により抽出した。水洗を2回行ない硫酸ナトリウム上
で乾燥した。減圧下溶媒を留去し残液をカラムクロマト
により精製を行なうと、R1 =R2 =H、R3 =ジフェ
ニルメチルである一般式(4)の化合物(以下「化合物
(4a)」(17.8mg、81%)が得られる。
【0050】NMR(CDCl3 ):δppm;2.0
7(s,3H)、2.97(dd,1H,J=2.2H
z,15.6Hz)、3.59(dd,1H,J=4.
8Hz,15.6Hz)、4.80(dd,1H,J=
2.2Hz,4.8Hz)、5.53(s,1H)、
5.74(s,1H)、7.02(s,1H)、7.2
5−7.48(m,10H)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B01J 31/12 C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 C07D 205/08 R C07D 205/095 U (72)発明者 城井 敬史 徳島県板野郡北島町鯛浜字西ノ須51−41 (72)発明者 亀山 豊 岡山県岡山市奥田町24−194 (56)参考文献 特開 昭51−110593(JP,A) 米国特許4293462(US,A) Synlett,(1991),(12), p.888−90 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 205/09 C07D 205/095 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 【化1】 〔式中R1 は水素原子、ハロゲン原子、アミノ基又は保
    護されたアミノ基を示す。R2 は水素原子、ハロゲン原
    子、低級アルコキシ基、低級アシル基、低級アルキル
    基、置換基として水酸基もしくは保護された水酸基を有
    する低級アルキル基、水酸基又は保護された水酸基を示
    す。またR1 及びR2 は、一緒になって基=Oを示して
    もよい。R3 は水素原子又はカルボン酸保護基を示す。
    4 は置換基を有していてもよいアリール基を示す。R
    5 はC2-6 のアルキル基、置換基を有していてもよいア
    ルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基
    置換基を有していてもよいアリール基を示す。〕で表
    わされるβ−ラクタム化合物。
  2. 【請求項2】一般式 【化2】 〔式中R1 、R2 、R3 及びR4 は前記に同じ。R6
    弗素原子、置換基を有していてもよい低級アルキル基又
    は置換基を有していてもよいアリール基を示す。〕で表
    わされるアゼチジノン誘導体をパラジウム触媒存在下、
    一般式 (R7 3 −Sn−R5 〔式中R7 は低級アルキル基を示す。R5 は前記に同
    じ。〕で表わされる有機スズ化合物と反応させることを
    特徴とする請求項1記載のβ−ラクタム化合物の製造
    法。
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