従来のエアコンスーツのエアダクトは、図1及び図2に示されるように、風がまず衣服の外側からファンにより衣服内に吸い込まれ、その後、衣服の袖口及び襟ぐりへ流れ、衣服の袖口及び襟ぐりから排出される。
上記エアダクト構造では、風が衣服の元の襟ぐり及び袖口から排出されるため、以下の欠陥がある。
(1)風出口の抵抗が非常に大きく、通常衣服が風で膨らむため、着用が不便で不快適であり、時には衣服が膨らみ過ぎて直接作業中の操作に支障をもたらし、作業に大きな不便及び安全リスクを招く。
(2)風が主に袖口及び襟ぐりから排出され、背部の汗を流す重要な部位が効果的に風に当たらなくて、排汗降温効果に影響を与える。
(3)風抵抗が大きいため、ファンのモータが電力を過度に消費し、モータの寿命が短い等の欠陥を引き起こす。
本考案は、従来技術の欠陥を改善するために、エアコンスーツの衣服内の風抵抗を低下させ、気流を背部から襟ぐりの上方へ排出するように導き、それによって背部及び頭部の汗を迅速に蒸発させるエアコンスーツを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本考案は以下の技術案を採用する。
首部エアダクト構造を有するエアコンスーツを提供し、前記エアコンスーツの腰部に衣服内へ送風するためのファンが設けられ、エアコンスーツの背部の人体の首部に近い部位に排風流路が設けられ、該排風流路は内側メッシュ布、及び外側防風布を備え、前記内側メッシュ布はエアコンスーツの背部の人体の首部に近い部位に縫製され、前記外側防風布は内側メッシュ布の外を向く側に積み重ねられ、底辺がエアコンスーツの背部に縫製され、頂辺がエアコンスーツの襟の布に縫製して固定されず、両側辺がエアコンスーツの背部の外側に縫製され、前記内側メッシュ布と外側防風布との間に風が流通する通路が形成される。
さらに、前記内側メッシュ布がエアコンスーツの背部の人体の首部に近い部位の中央部に位置し、それによって前記排風流路の出口をエアコンスーツの着用者の頭部に面させる。
さらに、前記内側メッシュ布が衣服の背部の中央部から上向きにエアコンスーツの襟の底辺まで延伸し、前記外側防風布の頂辺がエアコンスーツの襟の布の頂辺、中部又は底辺と面一である。
さらに、前記内側メッシュ布の各辺がそれぞれエアコンスーツの襟の布及びエアコンスーツの背部の布に縫製して固定されている。
さらに、前記内側メッシュ布と外側防風布の形状が同じであり、外側防風布の両側辺が内側メッシュ布の両側辺に縫製される。
さらに、前記排風流路は2枚の側面布をさらに備え、外側防風布の両側辺がそれぞれ2枚の側面布によってエアコンスーツの背部の外側に縫製される。
さらに、前記側面布の生地が防風生地である。
さらに、各側面布はいずれも少なくとも2枚の布片を縫製して接合してなり、それによって自然の折り目を形成する。
さらに、各側面布にいずれも一対の雌雄型の隠れバックルが設けられる。
さらに、前記隠れバックルが側面布の頂部位置にある。
本考案は、エアコンスーツの内部気流の流れ経路を変更し、さらに排風口の構造及び位置を組み合わせて考案し、以下の効果を達成することができる。
(1)エアコンスーツの排汗降温効果をさらに向上させ、特に背部及び頭部の発汗しやすい位置に対して優れた降温効果がある。
(2)衣服の着用中の膨らみを効果的に軽減させることができ、日常では着用しやすく、それと同時に外観も考慮している。
(3)風抵抗が小さく、ファンのモータのさらなる省電力化が可能であり、寿命をより延ばす。
以上、本考案の技術案の概要を説明したが、本考案の技術手段をさらに明瞭に把握し、明細書の内容に従って実施でき、且つ本考案の上記及びほかの目的、特徴や利点をより分かりやすくするために、以下、本考案の具体的な実施例を挙げて説明する。
以下、図面を参照して本開示の例示的な実施例をさらに詳細に説明する。図面に本開示の例示的な実施例が示されているが、本開示はここで説明される実施例に限定されるものではなく、様々な形態で実現すると理解できる。一方、これらの実施例は本開示をよりよく理解するために提供され、且つ本開示の範囲を当業者に完全に伝えることができる。
本考案の実施例のエアコンスーツは、図3に示されるように、上衣本体を備え、上衣本体の腰部に衣服内へ送風するファン1が設けられ、上衣本体の内側にリチウム電池を収容するポケット2を有し、ファン1がリチウム電池から給電されて動作し、ファン1及びポケット2の位置、構造はいずれも従来技術であるため、ここではその詳細について省略する。
図4及び図5に示されるように、エアコンスーツの背部の人体の首部に近い部位に排風流路Aが設けられる。
排風流路Aは、図3に示される内側メッシュ布3、図6に示される外側防風布4、及び両側の側面布5からなり、図3に示されるように、内側メッシュ布3はエアコンスーツの背部の人体の首部に近い部位の中央部に位置し、長尺状であり、衣服の背部の中央部から上向きに襟6の底辺まで延伸し、内側メッシュ布3の各辺がそれぞれ襟6の布及び背部の布に縫製して固定される。
図6に示されるように、排風流路Aの外側防風布4も長尺状であり、外側防風布4は内側メッシュ布3に積み重ねられ且つ内側メッシュ布3に位置合わせされ、頂辺が襟6の布の頂辺と面一であるが該頂辺と縫製して固定されておらず、底辺がエアコンスーツの背部の中央部に縫製される。外側防風布4の自由状態を固定し、気流に吹き飛ばされることを回避するために、外側防風布4の両側辺がそれぞれ2枚の側面布5によって内側メッシュ布3の両側辺に縫製され、外側防風布4と内側メッシュ布3との間が中空であり、障壁となる防風生地が設けられておらず、このように、内側メッシュ布3、外側防風布4及び両側の側面布5が共同に前記排風流路Aを形成し、それによって風を背部から首部へ流して排出するように導く。
排風流路Aが位置する領域の全域を風が流れて、該領域の人体の皮膚も降温効果を享受できるようにするために、本実施例の側面布5の生地は防風生地であることが好ましく、風が頭部へ完全に吹き付けられ、頭部の汗をより迅速に蒸発させることを確保できる。
さらに、各側面布5は、いずれも2枚の布片を中央部で縫製して接合してなり、自然の折り目を形成でき、非排風時、自然に折り畳まれ、排風時、気流によって膨らんでエアダクトを形成して風を排出する。
好適には、各側面布5の2つの布片の頂部位置にそれぞれ1つの雌雄型の隠れバックル7が縫製され、図7に示されるように、排風流路Aの出口は隠れバックル7によって締められてもよく、それによって外側防風布4を襟6に密着させ、エアコンスーツの平坦性を維持し、日常の着用及び外観を損なわず、図8に示されるように、隠れバックル7を開けて排風案内を実現してもよい。
本実施例のエアコンスーツの動作プロセスは以下の通りである。
エアコンスーツがファン1をオンにしていない状態では、隠れバックル7を締め、排風流路Aは、図7に示されるように、この時、側面布5が折り畳み状態にあり、外側防風布4が襟6に密着し、排風流路Aが閉鎖している。
エアコンスーツがファン1をオンにしている状態では、隠れバックル7を開け、排風流路Aは図8に示すように開放状態にあり、図5に示されるように、ファン1が衣服内へ送風し、衣服内を風が流れ、風が内側メッシュ布3まで流れると、内側メッシュ布3を透過して外側防風布4へ流れ、それによって外側防風布4が風に当たって外へ膨らみ、側面布5が展開され、図9に示されるように、風が排風流路Aを介して頭部へ吹き付けることができ、屋外施工の場合、ほとんどヘルメットを着用する必要があり、風がヘルメットの内側後縁へ吹き付け、それによってヘルメットの内側に沿って頭部全体を降温し、屋外施工では汗びっしょりなることを回避し、施工中、汗が目に流れて安全問題を招くこともない。
なお、図10及び図11に示されるように、本実施例では、外側防風布4の頂辺が襟6の布の中部又は底辺と面一になるようにしてもよく、同様に上記襟の頂辺と面一である場合と同じ効果を達成することができる。
最後に、上記実施例は本考案の技術案を説明したが、本考案の保護範囲を限定するものではなく、好適実施例を参照して本考案を詳細に説明したが、当業者であれば、本考案の技術案の趣旨及び範囲を逸脱せずに本考案の技術案に対して変更や同等置換を行うことができると理解できる。