JP3224621B2

JP3224621B2 - 包装乾燥錦糸卵

Info

Publication number: JP3224621B2
Application number: JP02315293A
Authority: JP
Inventors: 木英信荒; 木英希荒; 瀬道考成
Original assignee: 株式会社山海
Priority date: 1993-01-19
Filing date: 1993-01-19
Publication date: 2001-11-05
Anticipated expiration: 2016-11-05
Also published as: JPH06209741A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、乾燥錦糸卵の小分け包
装に関するものであり、更に詳細には、計量器を用いる
ことなく乾燥錦糸卵を自動的に小分け包装する特に工業
的にすぐれた技術に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】錦糸卵の保存性を高めたり、即席食品と
して使用したり、運搬しやすくする等の目的で、これを
乾燥させて乾燥錦糸卵とし、これを一定量ずつ包装する
ことが行われるようになった。しかしながら、錦糸卵
は、柔軟性があり付着力も強いために、一定量を計量し
カットして容器に充填するのが非常に困難であって、自
動化ないし機械化することが困難であり、大量包装の場
合はともかく、小分け包装の場合は自動化ないし機械化
することができなかった。したがって、これを乾燥させ
てなる乾燥錦糸卵を自動包装することは更に困難であっ
た。

【０００３】そこでやむを得ず、小分け包装の場合は、
マニュアル操作を行うことしかなく、現在までのとこ
ろ、自動小分け包装した乾燥錦糸卵の製造に成功した例
は知られていない。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】錦糸卵は、自由水を含
むものは比重が重くベト付き、準結合水領域に乾燥した
ものは比重が軽過ぎて、いずれも形状が細長くて、物性
として剛柔性が不適な上、表面滑性が乏しい為、たわみ
易くて折れ癖がついたり、ひっついたり、からんだり、
もつれ易くて、エアー噴射やバイブレーションで強制し
ても、自由に自動定量充填する事ができないという欠点
があった。

【０００５】そこで、特に小分け包装の場合はマニュア
ル操作に頼らざるを得なくなるが、たとえ指先や箸で摘
まんで小袋に入れ量って、定量充填できたとしても、小
袋包装フィルム内面のシール部の噛込みを防ぎ乍ら充填
するには、熟練した指先の技と多大な作業時間を要し、
その割に処理量が微々としかならず、生産性が低く、そ
の上、手作業による微生物汚染も避けられないため、食
品衛生上からも種々問題があった。したがって、これを
乾燥してなる乾燥錦糸卵の場合もこれと同様の問題点が
あった。

【０００６】本発明は、自動定量包装する新規な手段に
よって、これらの問題点を解決して、効率的に包装乾燥
錦糸卵を製造する目的でなされたものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成して、従来なし得なかった乾燥錦糸卵の自動小分け包
装、つまり小分け包装の自動化ないし機械化を可能なら
しめるためになされたものであって、一定サイズの錦糸
卵シートをスリットして糸状となし、次いで一定長さに
カットし、そのカットカウントによって一定量を得て容
器に充填、包装する際、いずれかの工程において錦糸卵
を乾燥せしめることにより、目的を達成するのにはじめ
て成功した。

【０００８】さらに必要によっては、得られた包装品を
誘電加熱して、包装内部を発生した湿熱で高温度雰囲気
に達せしめ殺菌する事によって、長期保存に耐える製品
を得、更に包装効果を高めるものである。

【０００９】以下、本発明を詳しく説明するが、本発明
を実施するには、一定サイズの錦糸卵シートを調製する
必要がある。

【００１０】一定サイズの錦糸卵シートは、常法にした
がって製造すればよく、卵、調味料、その他必要な原料
を適宜常法にしたがってスラリーとなし、これを成形加
熱して得られた、厚さと幅が一定サイズのシート状に加
工された食品である。加熱は準結合水領域に水分調整し
たスラリーを誘電加熱したものが良いが、自由水を含ん
だスラリーを外部加熱したものであってもよい。一定サ
イズとは、普通は厚さ０．２〜３ｍｍ、幅６０〜６００
ｍｍ程度の範囲の一定したサイズを決めて、エンドレス
なシートベルト状にしたものが多いが、そのサイズは所
望によって自由に変更できるものである。

【００１１】これをスリッター等に導いて一定幅の糸状
に切断するが、そのサイズも所望によって自由に変更で
きるものである。一定幅の糸状に切断した食品は、続い
て回転刃等を用いて一定の長さにカットされるが、その
長さサイズも所望によって自由に変更できるものであ
る。

【００１２】本発明のひとつの特徴は、この一定長さに
カットする時、そのカットの回数をカウントする事によ
って、一定量を得、重さの計測によらないで一定量を得
るところにある。このシステムを採用したことによっ
て、非常に取扱いにくく計量が困難であった錦糸卵を効
率良く正確に計量することが可能となり、しかも計量ロ
スがなく、乾燥工程の新規採用とも相まって、乾燥錦糸
卵の小分け包装の機械化ないし自動化がはじめて可能と
なったのである。

【００１３】本発明のまた別の特徴は、上記したように
乾燥工程を新規に採用した点であり、またこの工程と上
記計量工程とを有機的に結合した点である。乾燥処理
は、一定サイズの錦糸卵シートを形成する工程〜容器に
充填、シールする工程の少なくともいずれかで行う。例
えば、乾燥した錦糸卵をスリットして糸状となしたり、
これをカットする際乾燥したり、及び／又は、カットカ
ウントによって得た一定量をそのまま乾燥しながら容器
に充填したりすればよく、また希望するのであれば全工
程を乾燥して、乾燥しながら所定の工程を行ってもよ
い。

【００１４】本発明においては、上記のように錦糸卵を
乾燥することが必要であるが、過度に乾燥させると所定
の位置で正確に切断することができなくなる場合がある
ので、少なくとも切断時には切断できる程度に乾燥さ
せ、切断刃、ベルトコンベアー、その他装置類に付着し
ない程度に乾燥させるのが好ましい。

【００１５】乾燥は、電気、ガス、赤外線、熱風、誘電
加熱その他の乾燥手段が適宜使用される。錦糸卵が完全
に乾燥する前にカットすると、所定のカットが行えるの
で好都合であり、例えば電子レンジで加熱処理した場
合、未だ錦糸卵が熱を持っている間にカットすれば、未
だ適度に水分が残っているので、付着したり、錦糸卵が
破断したり、目的とは別の個所が折れたりすることな
く、希望どおりに正確にカットすることができる。この
ようにして乾燥工程と切断工程とを組み合わせれば、一
定の糸状サイズに切断することができ、そのワンカウン
トの集積で一定量を得ることがきわめて効率的に可能と
なるのである。

【００１６】一袋に充填すべき一定量は、この一定サイ
ズに切断するワンカウントの集積で得られるものであ
る。また所望の厚みの幅の増減によって、ワンカウント
の量を増減する事もできるものである。

【００１７】このようにして包装乾燥錦糸卵の自動化が
はじめて可能となった。しかしながら、乾燥錦糸卵とは
いっても、スムースにカットするためには水分が未だ残
留しているので、このような場合はもとより、更に乾燥
度が高い場合であっても、耐熱性菌や落下微生物が付着
する危険性があり、長期保存には難がある。そこで長期
保存のためには、殺菌剤、保存料、ｐＨ調整剤等添加物
の使用が一応は可能である。

【００１８】しかしながら、本発明においては、味覚上
と安全な健康確保のために添加物を利用しないで、二次
汚染の増殖を防止する目的で、包装済の密封製品を引続
いて誘電加熱し無菌化して、更に包装乾燥錦糸卵の包装
性を高めることができる。

【００１９】すなわち誘電損失係数の値が小さい耐熱性
の包装フィルム、例えばＫＯＰエバール等を用いた包装
品を誘電加熱して、包装内部を発生した湿熱で７０〜１
５０℃、好ましくは７８℃〜１４０℃の雰囲気におき殺
菌せしめるものである。密封内部は発生した湿熱で均一
に加圧されて熱の廻りが良く、隈無く殺菌できるもので
ある。到達最高温度と処理量は、主として単位面積当り
のマイクロ波電力／試料目方×時間によって自由に設定
されるものである。品温は少なくとも７０℃以上、好ま
しくは７８℃以上、更に好ましくは１０５〜１１０℃、
耐熱性芽胞菌を内在する場合は誘電損失係数の値が小さ
い例えば四弗化エチレン製のリテーナー等に包装品を詰
めて１２０〜１５０℃で誘電加熱し殺菌される。これら
条件は二次汚染機会確度によって選ばれるものである。
袋内部に発生した自由水の露滴は冷却と共に再び錦糸状
食品内部へ吸収されるので問題はない。

【００２０】以下、本発明の実施例について述べる。

【００２１】

【実施例１】誘電加熱して水分活性０．６４、含有水分
１５％の強い準結合水領域に乾燥された厚さ０．２ｍ
ｍ、幅４２ｍｍのエンドレスなベルト状卵シートを、放
冷して、スリッターで０．８ｍｍ幅の糸状にし、続いて
回転刃で長さ４０ｍｍにカットした。このワンカット
０．７５ｇの４タクト分を通常の縦型ピローパッカーで
自動包装し一食用の小分パックした乾燥錦糸卵製品を得
た。このものはシール面の噛込がなく、内容量の誤差も
±０．３％の範囲であった。このものは冷し中華や釜飯
に添付したり、開封してソーメンや暖かい御飯にのせて
供すると、直ちに吸湿して戻るので、計量ロスがなく、
何時でも誰でも必要な時に利用でき、衛生的で便利だっ
た。

【００２２】

【実施例２】自由水を含む水分活性９．８、水分７２
％、厚さ０．６ｍｍ、幅８０ｍｍのエンドレスなベルト
状卵シートを、放冷し、スリッターで０．９ｍｍ幅の糸
状にし、続いて電子レンジのトンネルを１０秒間パスし
て乾燥せしめ、未だ熱い内に、回転刃で長さ４０ｍｍに
カットした。このワンカット１．０ｇの３タクト分をそ
のまま通常の縦型ピローパッカーで自動包装し一食用の
小分けパックした乾燥錦糸卵製品を得た。

【００２３】このものはシール面の噛込がなく、内容量
の誤差も±０．３％の範囲であった。クリーンブース内
で操作しないこのものは、乾燥してはいるものの乾燥が
未だ不充分であって落下菌付着のおそれがあるので、リ
テ−ナー型をしたテフロン製のトレーに５００袋を詰め
密封してからＰ．Ｄ．１１でマイクロ波加熱して、内部
温度を１２０℃とし殺菌処理を施した。得られた乾燥錦
糸卵小分け包装品は生菌数ゼロであって、しかも常温で
半年間保持したにもかかわらず、腐敗は認められず、し
かも復元性も良好で、風味にも変化は認められなかっ
た。

【００２４】

【発明の効果】本発明によってはじめて乾燥錦糸卵の包
装を自動化することが可能となり、業務用大袋から従来
不可能であった２〜４ｇ／袋といった個人用ないし小家
族用の小分け包装の自動化がはじめて可能となった。し
かも重さ計量のための高価なコンピュータースケールシ
ステムも不用であり、簡単な操作でしかも正確な計量を
実施することができ、きわめて工業化に適している。

【００２５】本発明に係る包装錦糸卵は乾燥しているの
で保存性が高いのであるが、そのうえ更に本発明によれ
ば包装した後に誘電加熱ができるので効率的に殺菌する
ことができ、したがって常温で長期保存が可能となっ
た。その結果、製品のシェルフライフが大幅にのびるだ
けでなく、長期間の常温流通が可能となったので、そし
てまた水や湯による復元性もすぐれているので、例えば
寿司の素や冷し中華セットなどのパッケージに錦糸卵を
添加することが可能となるなど、食品業界において更に
バラエティに富んだ製品の開発が大いに期待できる。

【００２６】また本発明によれば、大きな包装から非常
に少量の小分け包装も可能となったので、目的に応じて
必要な量の包装乾燥錦糸卵を必要に応じてその都度使用
すればよく、従来のようにレストランや家庭において必
要でもないのに大きなパックを購入して不使用分を大量
に残すこともなくなり、その結果、厨房廃棄物も出なく
なるので、ゴミ公害の防止はもとより貴重な食料品を浪
費することもなくなる。そのうえ、本発明の計量システ
ムによれば、計量によるロスが少なくなり、その分コス
トダウンにつながるだけでなく、貴重な食料資源の浪費
防止にもつながり、本発明は、各方面においてもすぐれ
た効果を広く奏するものである。そのうえ、上記したよ
うに保存期間が非常に延長されるので、鶏卵の価格が低
いときに大量に錦糸卵を調製し、これを乾燥して保存し
ておくことが可能となる。その結果、本発明は、錦糸卵
のコストを低下できるのみでなく、生産過剰になった場
合の卵を大量に消費できるので、養鶏農家の経営の安定
化にも大いに貢献することができる。

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】一定サイズの錦糸卵シートを、スリット
して一定幅の糸状にし、これを乾燥しながら又は乾燥し
た後、一定の長さにカットし、そのカットカウントによ
って得た一定量を、計量することなく、そのまま容器に
充填し、包装することを特徴とする包装乾燥錦糸卵の製
造法。
【請求項２】一定サイズの錦糸卵シートを、乾燥しな
がら又は乾燥した後スリットして一定幅の糸状にし、次
いで一定の長さにカットし、そのカットカウントによっ
て得た一定量を、計量することなく、容器に充填し、包
装することを特徴とする包装乾燥錦糸卵の製造法。
【請求項３】乾燥を誘電加熱によって行うことを特徴
とする請求項１又は請求項２に記載の包装乾燥錦糸卵の
製造法。
【請求項４】包装した後、誘電加熱処理することを特
徴とする請求項１〜請求項３のいずれか１項に記載の包
装乾燥錦糸卵の製造法。
【請求項５】誘電加熱処理を行って、包装内部を発生
湿熱で７０〜１５０℃の雰囲気におき、殺菌せしめるこ
とを特徴とする請求項４に記載の包装乾燥錦糸卵の製造
法。