JP3223198B2 - ジオルガノポリシロキサン/アクリル酸エステル系共重合体エマルジョンの製造方法 - Google Patents

ジオルガノポリシロキサン/アクリル酸エステル系共重合体エマルジョンの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は水が蒸発した後、堅固で
柔軟であり、汚れの少ない硬化皮膜を形成するジオルガ
ノポリシロキサン/アクリル酸エステル系共重合体エマ
ルジョンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、アクリル酸エステル系重合体は、
皮膜形成性,耐候性,耐油性や防汚性が良好であるた
め、塗料や繊維のコーティング剤などとして広く使用さ
れてきている。しかし、透湿性や撥水性が悪いため、特
に、コンクリート、ALC等建物の外壁材の塗料として
用いた場合、水分の浸透のためひび割れが発生したり、
外壁材の吸水と伸縮による張り合わせ目地の亀裂や変形
が発生したり、透湿性がないために結露が発生するとい
った欠点があった。また、これらを布のコーティング剤
として用いた場合、−30℃や−40℃の極低温では屈
曲によるひび割れが発生するという欠点もあった。その
ため、このような欠点を改良したコーティング剤として
ジオルガノポリシロキサン/アクリル酸エステル系共重
合体エマルジヨン組成物が提案されている(特公昭52
−12231号公報,特公昭54−5007号公報,特
開平1−168972号公報参照)。しかし、これらの
エマルジョン組成物も、皮膜強度が弱く、極低温では屈
曲によるひび割れが発生するという問題点を有してい
た。
【0003】
【本発明が解決しようとする問題点】本発明は、上記し
た問題点を解消するため鋭意検討した結果本発明に到達
した。即ち、本発明の目的は水が蒸発した後、極低温で
もひび割れせずに柔軟であり、皮膜の強度も大きく、汚
れの少ない硬化皮膜となり得るジオルガノポリシロキサ
ン/アクリル酸エステル系共重合体エマルジョンを生産
性よく製造する方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段およびその作用】上記した
目的は、 (A)(a)1分子中に2個以上のケイ素原子結合アルケニ
ル基を有し、分子鎖末端が水酸基で封鎖されたジオルガ
ノポリシロキサン100重量部、(b)水50〜1,00
0重量部および(c)乳化剤1〜50重量部からなるジオ
ルガノポリシロキサンエマルジョンを調製した後、(B)
アクリル酸エステル系モノマーを(A)成分100重量部
に対して1〜100重量部となる量加えてラジカル開始
剤の存在下で共重合した後、該共重合体100重量部
に、(C)コロイド状シリカ1〜100重量部と(D)縮合
反応促進触媒0.001〜1.5重量部を加えて混合する
ことを特徴とする、水が蒸発した後エラストマー状に硬
化するジオルガノポリシロキサン/アクリル酸エステル
系共重合体エマルジョンの製造方法により達成される。
【0005】これを説明すると、本発明に使用される
(A)成分のジオルガノポリシロキサンエマルジョンは、
本発明の製造方法により得られる共重合体エマルジョン
の主剤となるものであり、(a)1分子中に2個以上のケ
イ素原子結合アルケニル基を有し、分子鎖末端が水酸基
で封鎖されたジオルガノポリシロキサン、(b)水および
(c)乳化剤からなる。ここで、(a)成分のジオルガノポ
リシロキサンは、(D)成分と縮合反応して主鎖がソフト
セグメントのみで構成された高重合度の網状ポリマを形
成する。そのためには、両末端が水酸基で封鎖されてい
なければならない。また(B)成分とラジカル共重合し、
堅固で柔軟な皮膜を形成するためには、1分子中に2個
以上のアルケニル基を含有する必要がある。このアルケ
ニル基としてはビニル基,アリル基,ヘキセニル基が例
示され、このうち好ましくはビニル基である。これ以外
のけい素原子に結合する有機基としてはメチル基,エチ
ル基,ブチル基,ヘキシル基,オクチル基などのアルキ
ル基、フェニル基等のアリール基、3,3,3−トリフル
オロプロピル基のような置換炭化水素基が例示され、こ
のうち好ましくはメチル基である。このジオルガノポリ
シロキサンの分子構造は直鎖状であるが、一部分岐状の
ものを含んでいてもよい。また、その粘度は、通常、2
5℃において50〜1,000,000センチストークス
の範囲であり、100〜500,000センチストーク
スの範囲が好ましい。
【0006】このようなジオルガノポリシロキサンの具
体例としては、分子両末端がシラノール基で封鎖された
メチルビニルポリシロキサンあるいはジメチルシロキサ
ンとメチルビニルシロキサンの共重合体等を挙げること
ができる。このようなジオルガノポリシロキサンは、例
えば、環状ジオルガノポリシロキサンを開環重合させる
方法、アルコキシ基,アシロキシ基等の加水分解可能な
基を有する直鎖状ないし分岐状ジオルガノポリシロキサ
ンを加水分解縮合する方法、ジオルガノジハロゲノシラ
ンの一種もしくは二種以上を加水分解する方法等により
合成することができる。
【0007】 (b)成分の水は、(A)成分〜(D)成分を乳
化させて水性エマルジョンを調製するのに十分な量であ
ればよく、50〜1,000重量部の範囲であり、好ま
しい範囲は100〜500重量部の範囲である。
【0008】 (c)成分の乳化剤は、主として(a)成分の
ジオルガノポリシロキサンを乳化させるためのものであ
り、アニオン系乳化剤、非イオン系乳化剤がある。アニ
オン系乳化剤としては、例えば、高級脂肪酸塩類,高級
アルコール硫酸エステル塩類,アルキルベンゼンスルホ
ン酸塩類,アルキルナフタレンスルホン酸塩類,アルキ
ルホスホン類,ポリエチレングリコール硫酸エステル塩
類を挙げることができる。また、非イオン系乳化剤とし
ては、例えばポリオキシエチレンアルキルフェニルエー
テル類,ソルビタン脂肪酸エステル類,ポリオキシエチ
レンソルビタン脂肪酸エステル類,ポリオキシアルキレ
ン脂肪酸エステル類,ポリオキシエチレンポリオキシプ
ロピレン類,脂肪酸モノグリセライド類を挙げることが
できる。これらの乳化剤は1種または2種以上を併用し
て使用することができる。この乳化剤の使用量は、(a)
成分100重量部に対して、1〜50重量部の範囲であ
り、2〜30重量部の範囲が好ましい。
【0009】(A)成分のジオルガノポリシロキサンのエ
マルジョンは、例えば、オクタメチルシクロテトラシロ
キサンとメチル基とビニル基を有する環状のジオルガノ
シロキサンを、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸等
のアニオン系乳化剤を用いホモゲナイザー等の乳化機に
より乳化させ、70〜90℃の加熱下で開環させ、次い
で20〜40℃の低温で重合させることによって、側鎖
にビニル基を有し分子鎖両末端が水酸基で封鎖されたジ
オルガノポリシロキサンのエマルジョンとして得ること
ができる。このようにして(A)成分のエマルジョンを調
製した後、80〜85℃に加熱してラジカル重合開始剤
を滴下し、攪拌しながら(B)成分のアクリル酸エステル
系モノマーを添加し、5〜8時間重合すれば目的のジオ
ルガノポリシロキサン/アクリル酸エステル系共重合体
が得られる。これに使用されるラジカル重合開始剤とし
ては過硫酸アンモニウム,過硫酸カリウム,過酸化水
素,アゾビスイソブチルロニトリル,ジブチルパーオキ
サイド,ベンゾイルパーオキサイドが例示される。
【0010】(B)成分のアクリル酸エステル系モノマー
としては、アクリル酸メチル,アクリル酸エチル,アク
リル酸ブチル,アクリル酸オクチル,メタクリル酸メチ
ル,メタクリル酸エチル,メタクリル酸プロピル,メタ
クリル酸ブチル,メタクリル酸オクチル,メタクリル酸
2−エチルヘキシル,メタクリル酸ヒドロキシエチルが
挙げられる。なお、アクリル酸エステル系モノマーとし
ては上記に例示したものが主成分であればよく、これに
少量のアクリル酸,メタクリル酸,アクリルアミド,ア
クリロニトリル,塩化ビニル,スチレン,α−メチルス
チレン,酢酸ビニル,ビニルトリアルコキシシラン,ビ
ニルトリアセトキシシラン,γ−メタクリルロキシプロ
ピルトリメトキシシラン等を加えても本発明の目的を損
わない限り差し支えない。
【0011】(B)成分の添加量は(A)成分100重量部
に対し、1〜100重量部の範囲であり、5〜50重量
部の範囲が好ましい。
【0012】(C)成分のコロイド状シリカは架橋剤であ
り、このようなコロイド状シリカとしては、煙霧状コロ
イドシリカ,沈澱コロイドシリカ,ナトリウムあるいは
アンモニウムもしくはアルミニウムで安定化した粒径
0.0001〜0.1μmのコロイドシリカを挙げること
ができる。コロイド状シリカの配合量は、(A)成分と
(B)成分の共重合体100重量部に対して1〜100重
量部であり、2〜50重量部が好ましく、5〜30重量
部がより好ましい。
【0013】(D)成分の縮合反応促進触媒は、(A)成分
と(B)成分からなる共重合体と(C)成分のコロイド状シ
リカの縮合反応を促進するものであり、例えば、ジブチ
ル錫ジラウレート,ジブチル錫ジアセテート,ジブチル
錫ジオクテート,ラウリン酸錫,オクテン酸亜鉛などの
有機酸金属塩,テトラブチルチタネート,テトラプロピ
ルチタネート,ジブトキシチタンビス(エチルアセトア
セテート)などのチタン酸エステル,n−ヘキシルアミ
ン,グアニジンなどのアミン化合物またはこれらの塩酸
類等を挙げることができる。尚、これらの縮合反応促進
触媒は予め通常の方法により乳化剤と水を使用してエマ
ルジョンにしておくことが好ましい。この添加量は、
(A)成分と(B)成分の共重合体100重量部に対して
0.001〜1.5重量部であり、0.05〜1重量部が
好ましい。
【0014】本発明の製造方法においては、エマルジョ
ン中で十分架橋を促進させ、単に水分を蒸発させるのみ
で、堅固な皮膜を形成させるようにするため、最後にエ
マルジョンはpHを9〜12に調整後、熟成させること
が好ましい。pHの調整剤としては、例えば、ジメチル
アミン,エチレンジアミン等のアミン類,あるいは水酸
化ナトリウム,水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化
物を用いることができる。好ましい調節剤は有機アミン
である。有機アミンの例としては上記の他にモノエタノ
ールアミン,トリエタノールアミン,モルホリン,2−
アミノ−2−メチル−1−プロパノールがある。そして
このようにpHを調節した後、一定温度で一定期間熟成
する。熟成温度はエマルジョンが破壊されない温度、即
ち、10〜95℃が好ましく、15〜50℃がより好ま
しい。熟成期間は熟成温度に応じて設定される。例えば
25℃の温度条件では1週間以上、40℃の温度条件下
では4日以上が好ましい。
【0015】このようにして得られたジオルガノポリシ
ロキサン/アクリル酸エステル系共重合体エマルジョン
は、室温において保存安定性に優れ、水分の除去により
室温で容易に硬化してエラストマー状になるものであ
る。
【0016】室温における保存安定性が必要でないとき
は、上記のベースエマルジョンのpHは9未満であって
もよい。また本発明で製造したジオルガノポリシロキサ
ン/アクリル酸エステル系共重合体エマルジョンには、
例えば、カルボキシメチルセルロース,メチルセルロー
ス,ヒドロキシエチルセルロース,ポリビニルアルコー
ル,ポリアクリル酸などの増粘剤,充填剤,顔料,染
料,耐熱剤,防腐剤,アンモニア水等の浸透剤等を適宜
添加配合してもよい。
【0017】
【実施例】次に、本発明を実施例によって説明する。実
施例中、部とあるのは重量部を意味し、%とあるのは重
量パーセントを意味し、cstはセンチストークスを表
す。なお、皮膜の作製および種々の特性の評価は次の方
法に従った。(1)皮膜の作製 ジオルガノポリシロキサン/アクリル酸エステル系共重
合体エマルジョン30gを、ポリテトラフロルエチレン
シートを敷いた15×11×0.5cmのアルミニウム製
型枠に流し込み、約2.5℃の室温に3日間放置して皮
膜を作製した。 (2)皮膜の物理的性質の測定 ダンベル型3763−6Wを用い試験片を作製し、東洋
ボルドウエン社製テンシロンUTM−1−2500SL
を用いて、25℃および−20℃の2条件下で1−25
00SL50cm/分の引張り速度で、引張強さ(kgf/c
m2)および伸び(%)を測定した。 (3)皮膜の屈曲テスト 田葉井(株)社製ミニサブゼロMC−71型機を使い、−
30℃に設定した機内に4×2cmの大きさ(上の条件で
作製,厚さは約0.8mm)の試験片を2時間放置後、ピ
ンセットで片末端を固定し、もう一方の片末端を持ち上
げて、折り曲げ試験を実施し次のように判定した。 ◎ 全く変化しない × 1回で切断 △ 約10回の屈曲で切断 (4)皮膜の防汚性 流動パラフィン98部にアセチレンブラック2gを均一
に分散させた。得られた混合物40部に、ポリオキシエ
チレン(6モル)ノニルクエノールエーテル3部、ポリ
オキシエチレン(12モル)のノニエルクエールエーテ
ル2部を加え均一に攪拌後、水55部を加え、ホモミキ
サー型乳化機を用いて乳化分散させて汚れ液を調製し
た。この汚れ液を100倍の水に希釈し、この希釈した
汚れ液に5×5cm(厚さは約0.8mm)の皮膜を7日間
浸漬した。引上後、清浄なガーゼに水を含ませてふき取
った。その後、白い炉紙の上に乗せ、汚れ程度をJIS
L−0805汚染用グレースケールで汚れの程度を観察
し、5段階の評価をした。 (5)皮膜の屋外暴露 10×10×3cmの大きさのALCの表面にエマルジョ
ンを原液で刷毛塗りし、そのまま、千葉県市原市の工場
地帯の屋根下に6カ月間吊した後、これに流水を吹きか
け、次いで乾燥した。このALCと屋外暴露をしていな
いALCとを対比して、その差をJISL−0805汚
染用グレースケールで汚れの程度を観察し、5段階の評
価をした。 (6)皮膜のべたつき 上記(1)で作製した皮膜の指先による感触感を次のよ
うに判定した。 ◎ さらっとしておりべたつきなし △ べたつきが少しあり × べたつき大
【0018】
【実施例1】ジメチルサイクリックス40部とメチルビ
ニルサイクリックス4部の混合物にドデシルベンゼンス
ルホン酸2部と水53.64部を加え、攪拌機で30分
間均一に混合後、ホモジナイザー型乳化機を用い、35
0kg/cm2の圧力下で2回パスさせて均一なエマルジョ
ンを調製した。次いで、85〜90℃で2時間保持後、
20〜30℃に冷却し3時間重合した。炭酸ナトリウム
0.36部を加えて中和し、ベースとなるジメチルシロ
キサン・メチルビニルシロキサン共重合体(ベースエマ
ルジョンA:抽出したジオルガノポリシロキサンの粘度
は105,000センチストークスであった。)を調製
した。次いで、ベースエマルジョンA90部にメタクリ
ル酸メチル4部を加え、30分間攪拌して均一にメタク
リル酸メチルを分散させた。次いで、これを3つ口フラ
スコに移液し、予め水5.8部に0.2部の過硫酸カリウ
ムを溶解しておいた水溶液を添加し、この反応系を窒素
ガスで置換した。しかる後、70〜80℃に昇温しこの
温度で3時間保持して、ベースエマルジョンA中のジメ
チルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体とメ
タクリル酸メチルを共重合させた(エマルジョンA−
1)。なお、このエマルジョンをガラス板に一滴落とし
て乾燥すると完全な透明フィルムとなり、ジメチルシロ
キサン・メチルビニルシロキサン共重合体とメタクリル
酸メチルは均一に共重合されていることが確認された。
このベースエマルジョンA−1の85.0部にコロイダ
ルシリカ15部、pH調整剤としてジエチルアミン0.
2部,ジブチル錫ジラウレートの50%エマルジョン
0.3部を加え、均一に溶解分散後、45±3℃で1週
間熟成させて、ジメチルポリシロキサン/メタクリル酸
メチル共重合体エマルジョン(エマルジョンA−2)を
得た。先に記した皮膜の製作方法に準じて皮膜を調製し
て、皮膜の物理的性質,皮膜の屈曲テスト,皮膜の防汚
性およびALCにコーティングした皮膜の屋外暴露テス
トを実施した。これらの結果を表1に示した。比較例と
して、次のものを用いた。
【0019】
【比較例1】実施例1において、エマルジョンA−1の
替わりにベースエマルジョンAそのものを使用した以外
は実施例1と同様にしてジメチルシロキサン・メチルビ
ニルシロキサン共重合体エマルジョン(シリコーンウオ
ーターベースドエラストマーエマルジョン)を調製し
た。このエマルジョンの特性を実施例1と同様に測定
し、その結果を表1に示した。
【0020】
【比較例2】実施例1において、コロイダルシリカ,p
H調整用ジエチルアミン,ジブチル錫ジラウレートの5
0%エマルジョンを加えなかった以外は実施例1と同様
にしてジメチルポリシロキサン/メタクリル酸メチル共
重合体エマルジョンを調製した。このエマルジョンの特
性を実施例1と同様にして測定し、その結果を表1に併
記した。
【0021】
【比較例3】実施例1において、pH調整用ジエチルア
ミンと触媒を添加しなかった以外は実施例1と同様にし
てジメチルポリシロキサン/メタクリル酸メチル共重合
体エマルジョンを調製した。このエマルジョンの特性を
実施例1と同様に測定し、その結果を表1に併記した。
【0022】
【比較例4】分液ロート付きの4つ口フラスコに水45
部,ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩型カチオ
ン界面活性剤2.5部,ポリオキシエチレン(14.5モ
ル)オクチルフェノールエーテル型非イオン活性剤1.
5部,過硫酸ナトリウム2部を加えた水溶液を加え、続
いて11部のメタクリル酸メチルと33部のアクリル酸
エチルを入れ75℃に昇温した。次いで、分液ロートか
らメタクリル酸メチルとアクリル酸エチルの混合液を徐
々にフラスコ中に滴下し、滴下完了後5時間保持して、
メタクリル酸メチルとアクリル酸エチルのコポリマーの
エマルジョンを得た。
【0023】表1の結果から、本発明の製造方法で得た
ジメチルポリシロキサン/メタクリル酸メチル共重合体
エマルジョンは、約2.5℃という低温でも硬化し、硬
化皮膜は常温(25℃)での強度、伸びが大きく、−2
0℃での屈曲性も良好であった。硬化皮膜はべたつきも
なく、さらっとしており屋外暴露でも汚れが付着せず、
寒冷地向きALCコーティング材として非常に優れてい
た。
【表1】
【0024】
【実施例2】ジメチルサイクリックス32部とメチルビ
ニルサイクリックス8部の混合物にドデシルベンゼンス
ルホン酸1.8部と水57.04部を加え、ホモジナイザ
ー乳化機を用い、380kgf/cm2の圧力で2回パスさせ
て、ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重
合体エマルジョンを調製した。これを80〜85℃に加
熱後、2時間保持した。この後、25℃〜30℃に冷却
しこの温度で4時間保持して重合し、ついで35%のト
リエタノールアミンの水溶液を加えて中和した(ベース
エマルジョンB)。
【0025】次いで、このベースエマルジョンB350
部にアクリル酸エチル50部,メタクリル酸メチル6
部,ヒドロキシメタクリレート2部を加えた後、30分
間攪拌し、均一に分散後、過硫酸アンモニウム1部を1
45部の水に溶解した水溶液を加えた後、80±11℃
に保持して共重合した(エマルジョンB−1)。その
後、このエマルジョン90部にコロイダルシリカ[日産
化学社製,商品名スノーテックス40]10部とジエチ
ルアミン0.2部,ジブチル錫ジラウレート25%,オ
クチル酸亜鉛25%を含むエマルジョン型の縮合反応触
媒を加えた。この混合物を25℃で2週間熟成して、ジ
メチルポリシロキサン/ヒドロキシメタクリレート共重
合体(エマルジョンB−2)を得た。比較例として、上
記においてジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサ
ン共重合体エマルジョンの重合時に末端封鎖剤として
0.046部のヘキサメチルジシロキサンを添加した以
外は上記と同様にしてジメチルポリシロキサン/ヒドロ
キシメタクリレート共重合体エマルジョンを得た。尚、
この実施例2のジメチルシロキサン・メチルビニルシロ
キサン共重合体の末端は水酸基で封鎖されているため、
この水酸基とコロイダルシリカとは縮合反応するが、こ
の比較例は末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されてい
るため、コロイダルシリカとは縮合反応しない。
【0026】これらのエマルジョンについて実施例1と
同様にして、硬化皮膜を作成し、その硬化皮膜について
引張強さ(kgf/cm2),伸び(%),屈曲試験を行っ
た。さらに、これらのエマルジョンを精練上りのナイロ
ンタフタ生地に、アプリケーターを用い、120μm厚
にコーティングをした。続いて直ちに110℃のオーブ
ンに入れて乾燥させてコーティング布を−30℃の雰囲
気中に放置した後、コーティング布の風合(がさつき
感)、皮膜の耐モミ性を調べた。これらの結果を表2に
示した。表2の結果から、本発明のエマルジョンは常温
や低温での変化が小さく、寒冷な高山での登山用防水衣
のコーティング剤としても非常に好適であった。
【表2】
【0027】
【実施例3】実施例1で調製したベースエマルジョンA
50部に、ポリオキシエチレン(8モル)オクチルフェ
ニールエーテル系のノニオン乳化剤5部を添加した後、
実施例1と同様にしてメタクリル酸メチルを16部、ア
クリル酸エチル20部、アクリル酸ブチル8部、アクリ
ル酸メチル1.5部を加えた。さらに過硫酸カリウムを
0.5部加え、その他の条件は実施例1と全く同様にし
てジオルガノポリシロキサン/アクリル酸エステル系共
重合体エマルジョンを調製した。ついで、実施例1で使
用したコロイダルシリカの量を7.5部とした他は全く
同様にして、本発明のエマルジョンを調製した。次い
で、このエマルジョンの防汚性を実施例1と同様にして
測定した。また、このエマルジョンを2倍の水に希釈し
て軽量のブロックにコーティングし、汚れ試験用供試体
を作成した。この供試体を千葉県市原市の工場地帯の4
階建建物の屋上に7カ月間放置し、風雨に暴露した。ま
た、比較のため前記比較例1で得られたシリコーン/コ
ロイダルシリカからなるシリコーンウオーターベースド
エラストマーエマルジョンを使用した。これらの測定結
果を表3に示した。これらの結果から本発明のエマルジ
ョンは、建材用軽量ブロック用コーティング材用塗料ベ
ース(塗料はこれに顔料他を添加)として良好で、塗料
として用いても汚れが付着せず好適であった。
【表3】
【0028】
【実施例4】実施例3においてメタクリル酸メチル16
部の替わりにスチレンを使用した以外は、実施例3と同
様にして、本発明のエマルジョンを調製した。このエマ
ルジョンの特性を実施例3と同様に測定した。これらの
結果を表4に示した。
【0029】これらの結果から本発明のエマルジョン
は、建材用軽量ブロック用コーティング材用塗料ベース
として、汚れの付着度合が小さく、好適であった。
【表4】
【0030】
【実施例5】実施例1において、ジメチルサイクリック
スの替わりに式HO[(CH32SiO]50Hで示され
る粘度65cstの分子鎖末端水酸基封鎖ジメチルポリシ
ロキサン40部を使用した以外は実施例1と同様にし
て、ジメチルポリシロキサン/メタクリル酸メチル共重
合体エマルジョンを調製した。このエマルジョンを実施
例3と同様に建材用軽量ブロックに刷毛を用いてコーテ
ィングし、コーティング材としての評価を行った。これ
らの結果を表5に示した。
【表5】
【0031】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、水が蒸発し
た後、極低温でもひび割れせずに柔軟であり、皮膜の強
度も大きく、汚れの少ない硬化皮膜となり得るジオルガ
ノポリシロキサン/アクリル酸エステル系共重合体エマ
ルジョンを生産性よく製造し得るという特徴を有する。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)(a)1分子中に2個以上のケイ素原
    子結合アルケニル基を有し、分子鎖末端が水酸基で封鎖
    されたジオルガノポリシロキサン100重量部、(b)水
    50〜1,000重量部および(c)乳化剤1〜50重量
    部からなるジオルガノポリシロキサンエマルジョンを調
    製した後、(B)アクリル酸エステル系モノマーを(A)成
    分100重量部に対して1〜100重量部となる量加え
    ラジカル開始剤の存在下で共重合した後、該共重合体
    100重量部に、(C)コロイド状シリカ1〜100重量
    部と(D)縮合反応促進触媒0.001〜1.5重量部を加
    えて混合することを特徴とする、水が蒸発した後エラス
    トマー状に硬化するジオルガノポリシロキサン/アクリ
    ル酸エステル系共重合体エマルジョンの製造方法。
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