JP3223092B2 - タバコ幹の幹刈り収穫方法及び装置 - Google Patents

タバコ幹の幹刈り収穫方法及び装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はタバコ幹の新規な幹
刈り収穫方法及び装置に関し、特に、在来種、バーレー
種タバコ幹の幹刈り収穫に有効に用いられる新規な幹刈
り収穫方法及び該収穫方法に用いるための装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】在来種及びバーレー種タバコの収穫は一
本のタバコ幹から20枚以上のタバコ葉を収穫する。代
表的な収穫方法は、先ず、下位葉6枚程度を幹からもぎ
取り、それは収穫後に乾燥用に葉編みされる。残りの上
葉は幹刈りと称される収穫法により行われる。すなわ
ち、14枚程度の葉を幹に着けた状態でタバコ幹は鎌で
切り取られ、一端畑内で倒した状態としてタバコ葉を萎
凋させ、その後、萎凋したタバコ葉を着けたままでタバ
コ幹が収集され、乾燥施設内に幹ごと吊り込まれる。一
部には、刈り取りと同時に積み込み運搬し、乾燥施設内
に吊り込む体系も行われている。上記した、刈り取り後
にタバコ幹を畑上に放置して萎凋させる処理、及び、刈
り取りと同時にタバコ幹を搬出する処理に関して、従来
幾つかの提案がなされている。
【0003】例えば、特公昭59−51965号公報に
記載のたばこ幹刈装置によれば、畦間を走行する管理作
業車に装着した枠体から延出する刃体取り付け腕に、乾
燥に便利な吊り込み用溝形成用の切断刃と幹刈り取り用
の切断刃の2種類の切断刃を設け、吊り込み溝形成用の
切断刃がタバコ幹へ作用すると同時に幹刈り取り用の切
断刃によってタバコ幹は切断され、倒伏される。
【0004】また、実公昭61−44572号公報に記
載の葉煙草幹刈機によれば、狭幅用一輪走行体にリンク
機構で支持された吊り込み用溝切り刃と幹切断刃とが設
けられていて、タバコ幹の切断と同時に吊り掛け用の溝
が形成され、切断されたタバコ幹はリンク機構の押圧力
により切断刃と反対側の畑上に倒される。
【0005】さらに、特開平4−55228号公報に記
載のタバコ幹刈収穫車によれば、自走台車の先端に吊り
掛け用溝形成用の切断刃と幹刈り用切断刃とを有したタ
バコ幹切断装置が配置され、その後方側には刈り取られ
たタバコ幹の梱包用スペースを持つパレットが配置され
ていて、一人の作業車がタバコ幹切断装置で刈り取られ
たタバコ幹を手で処理して後方に積層するか、もしくは
もう一人の作業者に手渡しその作業者がパレット上で梱
包するようにされる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のような幹刈り取
り装置を用いての幹刈り収穫は連続した刈り取りが可能
であるが、一方において、立状にあったタバコ幹を刈り
取りと同時に畑上に倒伏させることから、倒伏時の衝撃
により葉肉と中筋へ損傷が生じ易い欠点がある。また、
幹に着葉しているタバコ葉の裏面が直射日光に晒され易
く日射による影響を受けると共に、マルチフィルムとし
て畦面に被覆されるポリエチレンフィルム等と生のタバ
コ葉が接触し、その影響で葉焼けが生じ品質低下葉の生
出を招き易い。そのために、作業日や作業時間が制約を
受け易く、適期間内の適作業に支承をきたしている。た
ばこ葉を生の状態で刈り取りと同時に積み込みを行う場
合には、葉焼けによる品質低下葉の発生はある程度抑制
できるが、切り倒し時の衝撃や積層時の荷重による葉肉
や中筋への損傷を回避することはできない。
【0007】従って、本発明の目的は、従来の機械によ
る幹刈り収穫に伴って生じていた上記のような不都合を
解消した新規な幹刈り収穫方法を提供することにあり、
より具体的には、タバコ幹の倒伏時あるいは積層梱包時
等にタバコ葉に折損や破損が生じるのを回避することが
でき、さらに、日焼け等による品質低下葉の生出率も低
減できる新規な幹刈り収穫方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、上記の幹刈り収穫方法に特に有
効に用いることのできるタバコ幹への切り欠き溝形成装
置を提供することにある。
【0008】本発明のさらに他の目的は、畑上に倒伏し
たタバコ幹の収穫作業が容易であり、収穫されたタバコ
幹の運搬車での積載能力も向上でき、さらに、タバコ幹
1本当たりの乾燥専有面積も減少することのできる新規
な幹刈り収穫方法提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めの本発明によるタバコ幹の幹刈り収穫方法は、基本的
に、畦に立状するタバコ幹の下部に斜めもしくは横方向
の切り欠き溝を付け、タバコ幹が立状状態で上部のタバ
コ葉を萎凋させ、萎凋後に切り欠き溝位置から上部のタ
バコ幹を収容することを特徴とする。萎凋させるため
に、切り欠き溝の深さはタバコ幹断面のほぼ1/2以上
とすることが好ましく、また、不所望な倒伏を避けるた
めに、切り欠き溝はタバコ幹の軸線方向に間隔をおいて
かつ互い違いに2個あるいは2個以上形成することが好
ましい。
【0010】本発明の収穫方法によれば、畦に立状する
タバコ幹の下部に両面側から軸心(タバコ幹の縦軸心)
方向に所定間隔をもって切り欠き溝が複数個形成され
る。それにより、下部からの養分や水分の上方への移動
を実質的に停止させることができ、タバコ葉はタバコ幹
に着葉している状態で萎凋する。萎凋後にタバコ幹を人
手によりあるいは適宜の押圧手段により押し倒すことに
より、タバコ幹は該切り欠き溝箇所で容易に下方部分か
ら分離する。幹に着葉しているタバコ葉はすでに萎凋し
ており、運搬車に収容載置しても、タバコ葉が損傷する
ことはなく、以後の収穫も容易となる。また、日焼け等
による品質低下葉の生出率も低減できる。
【0011】また、本発明による収穫方法によれば、畦
に立状した状態でタバコ葉は萎凋して、収穫時あるいは
乾燥時での一本のタバコ幹が専有する容積はすでに縮小
している。そのために、運搬車での積載能力も向上で
き、さらに、タバコ幹1本当たりの乾燥専有面積も減少
することが可能となる。
【0012】本発明は、上記の収穫方法に特に好適に用
いられる装置として、作業車側の機枠に取り付けられた
第1と第2の支持桿と、該第1の支持桿に取り付けられ
た第1の回転刃と、第2の支持桿に取り付けられた第2
の回転刃とを具備したタバコ幹への切り欠き溝形成装置
であって、該第1の回転刃と第2の回転刃とは切り欠き
溝を形成しようとするタバコ幹の直径よりも少ない幅だ
け互いに交差した状態でかつ該タバコ幹の軸心方向に所
定距離離間した状態で前記第1と第2の支持桿にそれぞ
れ取り付けられていることを特徴とするタバコ幹への切
り欠き溝形成装置をも開示する。
【0013】この形態の作業車を用いることにより、畦
に立状状態にある列状のタバコ幹群に対して連続して切
り欠き溝を形成していくことができ、上記の幹刈り収穫
方法を容易かつ確実に実施することができる。好ましい
態様において、前記タバコ幹への切り欠き溝形成装置に
おける第1の回転刃は第1の支持桿に回動のみ自在に取
り付けられており、第2の回転刃は第2の支持桿に回動
及び該切り欠き溝を形成しようとするタバコ幹の方向に
接近離間できるように取り付けられている。このように
構成することにより、タバコ幹の直径の大小に応じた所
望の深さの切り欠き溝を形成することが可能となり、立
状のタバコ幹群のタバコ葉をほぼ同じ時間で同程度に萎
凋させることが容易となり、後のタバコ幹の収穫作業効
率を高めることができる。
【0014】さらに、好ましい態様では、第1の回転刃
と第2の回転刃との間にタバコ幹をカイドするための対
をなすガイド桿が第1と第2の支持桿側にそれぞれ取り
付けられると共に、該ガイド桿の先端は互いに広がる方
向にかつ下方に向けて湾曲するようにされる。それによ
り、萎凋して下方に垂れ下がっているタバコ葉は押し広
げながら、ガイド桿の間にタバコ幹Sを挟持し案内する
ことができ、タバコ葉の損傷を一層低下させる。
【0015】作業車としては、従来タバコ幹の幹刈り作
業に用いられている作業車を適宜用いることができる
が、立状状態にあるタバコ幹列を跨いで通過することの
できる門型支持機枠を有した作業車を用い、その門型支
持機枠の左右の縦柱に上下方向に移動固定自在に配置さ
れた取り付け部材に対して、前記第1と第2の支持桿を
装着するようにしてもよく、また、畦間を立状状態にあ
るタバコ幹列に沿って走行可能な作業車を用い、その作
業車の台車に作業車の進行方向と同じ方向に前進後退自
在に制御装置を配置し、さらに、該制御装置には作業車
の進行方向に直交する方向に進退するように制御された
支軸を取り付け、該支軸の先端に前記第1と第2の支持
桿を装着するようにしてもよい。
【0016】
【発明の実施の態様】以下、本発明によるタバコ幹の幹
刈り収穫方法及び装置を図面を参照した好ましい実施の
態様に基づきより詳細に説明する。図1は本発明による
タバコ幹の幹刈り収穫方法において、畦(畑)に立状す
るタバコ幹の下部に横方向の切り欠き溝を付け、タバコ
幹が立状状態で上部のタバコ葉が萎凋した状態を示す概
略図であり、図2はその切り欠き溝部を拡大して示す説
明図、図3は萎凋したタバコ葉を持つタバコ幹が倒伏す
る状態を説明する図である。
【0017】また、図4は本発明によるタバコ幹の幹刈
り収穫方法に有効に用いられるタバコ幹への切り欠き溝
形成装置の切り欠き装置部の一例を示す平面図、図5は
その正面図、図6はその側面図である。図7は該切り欠
き装置を装着した切り欠き溝形成装置の一例を示す斜視
図、図8は他の切り欠き溝形成装置を示す斜視図であ
る。
【0018】先ず、本発明によるタバコ幹の幹刈り収穫
方法について、図1、図2及び図3に基づき説明する。
畝U上に立状する在来種及びバーレー種のタバコ幹Sに
は通常20枚以上のタバコ葉Lが着葉している。収穫作
業の最初の手順として、タバコ幹Sから下位葉6枚程度
を手作業によりもぎ取る。それにより、図1に示すよう
に、畦U上に立状するタバコ幹Sには、これから収穫さ
れようとするタバコ葉Lが14枚前後着葉した状態で、
着葉している最下位葉Laと畦Uの頂面との間に着葉の
ない「空間部分」が形成される。該空間部分に適宜の手
段により、好ましくは、後記する切り欠き溝形成のため
の装置を用いて、切り欠き溝A、Bを形成する。
【0019】図2は形成された切り欠き溝の好ましい一
態様を拡大して示す斜視図であり、この例では、切り欠
き溝はタバコ幹Sの一方の側面からほぼ水平方向に切り
込まれた第1の切り欠き溝Aと、相対する他方の側面か
ら同様に水平方向に切り込まれた第2の切り欠き溝Bと
で構成される。第1の切り欠き溝Aと第2の切り欠き溝
Bとはタバコ幹Sの軸線(Z軸)方向に所定距離Dだけ
上下方向に離間して形成され、また、各切り欠き溝A、
Bの深さはタバコ幹Sの断面の1/2よりも深い位置ま
で達っするようにされ、そこに、一定の切り込み交差C
が保持されるようにされる。
【0020】このように切り欠き溝が形成されたタバコ
幹Sを一定期間畦U上に立状状態で放置する。切り欠き
溝A、Bにより下部からの養分や水分の上方への移動が
実質的に阻止され、当初は図1に仮想線で示すように上
方に向けて広がった姿勢であるタバコ葉Tは次第に萎凋
して、実線で示されるように下方に垂れた状態のタバコ
葉Taとなる。切り欠き溝A、Bの間には間隔Dが保持
されているので、タバコ幹Sが畑上に不用意に倒伏する
ことはない。
【0021】所定の萎凋度が得られた時点で、タバコ幹
Sを人手によりあるいは適宜の押圧手段により押し倒
す。それにより、図3に示すように、萎凋したタバコ葉
Laを着葉したタバコ幹Sは該切り欠き溝A、Bの箇所
で容易にその下方部分から分離して運搬車に収容する。
既にタバコ葉Lは萎凋していることから、収容時にタバ
コ葉Laが損傷することは避けられる。倒伏したタバコ
幹Sを人手によりあるいは適宜の収穫装置により収容
し、従来の方法と同様にして、乾燥施設内に吊り込む。
この際にも、既にタバコ葉Laは萎凋していることか
ら、タバコ葉Laの損傷は回避されると共に日焼け等に
よる品質低下葉の生出率も低減できる。さらに、一本の
タバコ幹Sが専有する容積は縮小していることから、運
搬車の積載能力も向上でき、また、タバコ幹1本当たり
の乾燥専有面積も減少することができる。
【0022】本発明者の実験によれば、切り欠き溝A、
Bが互いにタバコ幹SのZ軸中心付近で交差する深さC
は、約3ミリメートル程度が適範囲であり、交差が0ミ
リメートルではタバコ葉に目的とする萎凋は得られなか
った。逆に、それ以上深すぎると切り欠き溝部から不用
意に倒伏する場合が生じた。また、切り欠き溝A、Bの
上下の幅Dは、約2〜7センチメートル程度が適範囲で
あり、それより狭すぎると倒伏し易く、広すぎるとタバ
コ葉Lの萎凋に時間を要するかもしくは萎凋しない場合
があった。
【0023】また、上記の例での切り欠き溝はほぼ水平
方向に形成したが、必ずしも水平方向でなくてもよく、
斜め方向に形成しても同様な結果が得られた。切り欠き
溝数も2本に限らず、1本でも、また、交互に3本以上
形成してもタバコ葉の萎凋は得られたが、萎凋に要する
時間とタバコ葉幹の不用意な倒伏発生を考慮すると、図
2に示すように、両側から2本の切り欠き溝A、Bを形
成することが最も実際的であった。
【0024】次に、タバコ幹Sに切り欠き溝を形成する
ための切り欠き装置の一実施例について図4〜図6を参
照しつつ説明する。切り欠き装置は、左右一対の第1の
回転刃10及び第2の回転刃20を有し、各回転刃1
0、20は、上下方向に所定距離離間して配置される支
持桿11、21にそれぞれ取り付けられている。該支持
桿11、21は、後記するように、例えば走行車体等の
機枠50に固定的に支持される。
【0025】第1の回転刃10の取り付け態様について
説明する。支持桿10の先端には刃体カバー12が適宜
の手段により取り付けられおり、該刃体カバー12内に
図示しない軸受けを介して第1の回転刃10が回動自在
に支持されている。図4に明記されるように、刃体カバ
ー12の第2の回転刃20側に対向する部分は切除され
ており、該切除部分から第1の回転刃10は露出してい
る。第1の回転刃10の回転軸(図示されない)は刃体
カバー12の裏面に取り付けたモータM1の回転軸と適
宜の動力伝達系(図示されない)を介して連接してお
り、モータM1の駆動により第1の回転刃10は回動す
る。なお、刃体カバー12の切除部分は少なくともタバ
コ幹S直径の1/2以上(約4センチメートル程度)と
される。
【0026】刃体カバー12の上面側には2枚の支持板
13、13が進行方向に直交する方向(図4で上下方
向)に移動固定自在に取り付けられ、その先端に第1の
ガイド桿14が取り付けられている。なお、図中、15
は支持板13、13の位置を固定するためのボルトであ
る。ボルト15を緩めて支持板13、13を移動するこ
とにより、第1のガイド桿14は第1の回転刃10の刃
体カバー12から露出している部分上を移動し、ボルト
15を締め付けることにより、所要の位置に固定され
る。図4、図5によく示されるように、第1のガイド桿
14は進行方向(図4で左右方向)に長い棒状部材であ
り、その進行方向先端側は外側かつ下方に向けて湾曲し
た形状となっている。
【0027】次に、第2の回転刃20の取り付け態様に
ついて説明する。前記のように支持桿21は前記一方の
支持桿10よりも幾分上方に位置しており、該支持桿2
1の先端側には、第2の回転刃20が回転自在にかつ前
記第1の回転刃10に対して接近及び離間可能な状態で
支持されている。以下、その構成を説明する。支持桿2
1の先端には、第2の回転刃20の直径よりも広い前後
方向幅(図4で左右方向の幅)を有する矩形状の上部支
持板22aが適宜の手段により固定されており、該支持
板22aの裏面の前後方向両側端部近傍には、少なくと
も支承する軸の軸線方向の移動を保証するリニア軸受け
26a、26b及び27a、27bが、互いの支持軸線
が平行となるように取り付けられている。そして、各リ
ニア軸受け26a、26b及び27a、27bには、支
軸28、29が互いに平行にかつ第1の回転刃10側に
向けて接近、離間自在に支承されている。
【0028】該支軸28、29の両端には軸受け28
a、28b及び軸受け29a、29bが取り付けられて
おり、該軸受け28a、28b及び軸受け29a、29
bには下部支持板22bが、前記上部支持板22aと平
行状態で取り付けられている。従って、下部支持板22
bは、支持桿21に固定的に取り付けられた上部支持板
22aと所定距離離間した状態で、進行方向に直交する
方向に(第1の回転刃10側に向けて)自由に移動する
ことができる。
【0029】下部支持板22bの上面には、第1の回転
刃10を収容していると同様の刃体カバー22cが、そ
の切除された先端縁を下部支持板22bの第1の回転刃
10側先端縁と一致させた状態で取り付けられており、
さらに、下部支持板22bの下面にはモータM2が取り
付けられている。刃体カバー22c内には前記切除部か
ら一部を露出した状態で第2の回転刃20が図示しない
軸受けを介して回転自在に支承されており、第2の回転
刃20の回転軸(図示されない)はモータM2の回転軸
と適宜の動力伝達系(図示されない)を介して接続され
ていて、モータM2の駆動により第2の回転刃20は回
動する。
【0030】次に、固定部材である上部支持板22aに
対する下部支持板22bの位置決め手段について説明す
る。図4、図5に示されるように、下部支持板22bの
進行方向に直交する方向の横幅は上部支持板22bより
も広い。そして、下部支持板22bの上面側における第
1の回転刃10側とは反対側の端部近傍には、その両側
辺近傍に2個の第1の係止具31、31と、該第1の係
止具31、31の間に位置するガイド板32とが固定さ
れており、該ガイド板32の前記上部支持板10に対向
する位置には間隔をおいて2個の透孔32a、32aが
形成されている。一方、上部支持板22aの裏面であっ
て、前記下部支持板22bに設けた第1の係止具31、
31に対向する位置にも第2の係止具34、34が取り
付けられており、第1の係止具31、31と第2の係止
具34、34との間には、弱いスプリング35、35が
圧縮状態で介装されている。さらに、上部支持板22a
の前記ガイド板32に形成した透孔32a、32aに対
向する位置にはネジ穴が切られており、該ネジ穴には、
前記透孔32a、32aの径よりも小径の調節用ボルト
33、33が、該透孔32a、32aを通過してネジ込
まれている。また、該調節用ボルト33、33の前記ガ
イド板32よりも外側となる位置には係止体として機能
するナット33aが螺合されている。
【0031】上記の構成であり、下部支持板22bは、
圧縮スプリング35、35の付勢力により第1の切断刃
10から離間する方向に常時押圧されており、特に外力
が加わらない限り、調節用ボルト33、33に螺合した
ナット33aにガイド板32が衝接した位置において停
止している。そして、後に説明するように、その位置が
作業時での第2の回転刃20の最も後退した位置(すな
わち、第1の回転刃10の軸心から最も離れた位置)と
される。
【0032】次に、下部支持板22bを前記ナット33
aに規制される位置からさらに第1の回転刃10側に前
進させるための機構を説明する。上部支持板22aの進
行方向両側端部から下方に向けて支持腕36、36が垂
設されており、該支持腕36、36の下端は下部支持板
22bを超えて下方に延出している。支持腕36の該延
出端にはほぼU字状のクランクアーム37の湾曲部が開
放側を第1の回転刃10側としてピン38により枢支さ
れている。該クランクアーム37の第1の端部は下部支
持板22b側に延出し、その先端部に形成した長孔(図
示省略)が下部支持板22bに配置したピン39と係合
した状態で、両者は接続されており、クランクアーム3
7の第2の端部は第1の回転刃10方向に延出して、そ
の先端にはターンバックル40を装着している。そし
て、該ターンバックル40の他方側支杆41には第1の
ガイド桿14と同様の形状の第2のガイド桿45が一体
に、かつ、第2のガイド桿14と平行状態で取り付けら
れている。
【0033】上記の構成であり、第2のガイド桿45を
押圧して、例えば図5で右方向に移動させると、クラン
クアーム37はピン38を支点として反時計方向に回動
する。該回動によりクランクアーム37の前記第1の端
部も反時計方向に回動し、ピン39を介して下部支持板
22bを圧縮スプリング35の付勢力に抗して前進(す
なわち、第1の回転刃10方向に移動)させる。第2の
ガイド桿45への押圧力を解除すると、圧縮スプリング
35の付勢力により下部支持板22bは元の位置の方向
に向けて押し出され、ガイド板32が調節用ボルト33
に係合しているナット33aに衝接した位置で停止す
る。該下部支持板22bの移動により第2のガイド桿4
5も元の位置に復帰する。
【0034】次に、上記切り欠き装置の使用態様につい
て説明する。作業に際して、第1の回転刃10と第2の
回転刃20とは、上下方向に所定距離離間して、かつ、
互いの刃先が一部交差するようにして、適宜の支持機枠
に装着される。図7はその一例であり、通常知られてい
る門型の管理作業車である高架型作業車Hに上記の切り
欠き装置を装着している。この高架型作業車Hはエンジ
ンEにより駆動される駆動輪Wdと後輪Wr及び運転席
Kを有する自走式のものであり、駆動輪間の幅はタバコ
幹が植生する畦を跨ぐ広さとされ、また、門型高架枠体
61の高さは立状状態のタバコ幹の背丈を超える高さと
される。
【0035】高架型作業車Hの縦柱部分には、従来知ら
れた機構を介して、中空状の機枠50、50が高さ可変
の状態で取り付けられており、該機枠50、50内に前
記支持桿11、21が挿入され、適宜の手段により固定
される。その際に、左右一対の回転刃10、20の先端
部が数ミリメートル程度交差し、かつ、上下に2〜7セ
ンチメートル程度離間した状態となるようにしてセット
される。また、固定側の回転刃10のガイド桿14の位
置、第2の回転刃20側に設けた前記調節用ボルト3
3、33に螺合したナット33aの位置、及びU字状の
クランクアーム37に取り付けたターンバックル40の
位置をそれぞれ微調整して、一対のガイド桿14、45
の間隔が処理しようとするタバコ幹Sの予想される最低
幹直径程度となり、かつ、その時の第1と第2の回転刃
10と20との交差量が前記のように数ミリメートル程
度となるように調整する。さらに、好ましくは、固定側
の回転刃10の先端が立条するタバコ幹Sのほぼ中央位
置まで到達する位置となるようにガイド桿14の位置を
調整する。そして、その状態では調節用ボルト33に係
合しているナット33aが下部支持板22bのガイド板
32には衝接しない位置まで十分に後退させておく。
【0036】高架型作業車Hの操作装置を操作して機枠
50、50の高さをタバコ幹Sに着葉している最下位の
タバコ葉Lよりも幾分下方の位置となるようにセット
し、かつ、バッテリー(図示しない)によってモータM
1、M2を駆動して第1と第2の回転刃10、20を図
4で矢印イ方向に回動させ、高架型作業車Hをタバコ幹
の列を跨いで前進させる。前記のように第1と第2のガ
イド桿の先端は互いに外側向けかつ下方に湾曲した形状
となっているので、図1に示すように萎凋して下方に垂
れているタバコ葉Laを押し広げながら、確実にガイド
桿の間にタバコ幹Sを挟持する。
【0037】高架型作業車Hの前進により、タバコ幹S
は2本のガイド桿14、45の間を案内されて第1と第
2の回転刃10、20の位置に達し、そこを通過するこ
とにより、タバコ幹Sには、図2で示すように、上下に
離間しかつ互いに反対方向からの2本の切り欠き溝A、
Bが形成される。両切り欠き溝高さは、タバコ幹Sの生
育が順調であれば最後まで変更する必要はない。また、
作業に際して、タバコ幹の株間間隔は32〜40センチ
メートルであるため、モータM1、M2は連続回転で使
用する。
【0038】より太い直径であるタバコ幹Sがガイド桿
14、45の間に案内される場合について説明する。一
方のガイド桿14は固定されており、タバコ幹Sの径の
増加分だけ第2の回転刃20側のガイド桿45が進行方
向に交差する方向(図5において右方向)に移動する。
それにより、前記のようにクランクアーム37はピン3
8を支点として回動し、その第1の端部が図5において
反時計方向に回転する。その回転量に比例して下部支持
板22bに取り付けたピン39はタバコ幹Sの方向(図
5で左方向)に動かされ、下部支持板22bと共に第2
の回転刃20がタバコ幹Sの方向に前進する。すなわ
ち、タバコ幹Sの直径の増加分に比例した量だけ、第2
の回転刃20は第1の回転刃10の方向に移動する。ま
た、ガイド桿14、45の間に案内されるタバコ幹Sの
直径がより小さいものである場合には、圧縮バネ35の
付勢力によりガイド桿45は第1のガイド桿14側に押
し出され、同時に、第2の回転刃20もそれに比例した
距離だけ後退する。この動きにより、タバコ幹Sの直径
に応じて、第2の回転刃20の切り込み深さを、太い場
合には深く、細い場合には浅くすることが可能となり、
同時に、タバコ幹Sが太くなるに従い大きくなる回転刃
への反力により回転刃が逃げようとするのをより強く抑
制することができ、常に最適な切り込み深さを得ること
ができる。
【0039】図8は、第1の回転刃10と第2の回転刃
20とを他の形態の作業車に装着する場合を示してい
る。この例において、用いられる作業車は、立条する植
物(タバコ幹S)を跨いだ状態で走行する形式の作業車
ではなく、畦と畦との間をタバコ幹群に沿って平行に走
行する畦間作業車H’である。図7に基づき説明した作
業車での場合には、タバコ幹Sには高架型作業車Hの進
行方向と平行に切り欠き溝が成形されるが、この装置で
は、畦間作業車H’の走行方向に直交する方向から切り
欠き装置が作用し、進行方向と直交した方向の切り欠き
溝が成形される。
【0040】この畦間作業車H’において、前記第1の
支持桿11と第2の支持桿21に相当する第1の支持桿
11aと第2の支持桿21aとは第1と第2のガイド桿
14、45の延出方向と平行な方向に配置されており、
両支持桿の一方の端部を固定機枠50aにより連結固着
されている。また、固定機枠50aの上面であって第1
と第2のガイド桿14、45の間に形成される通路上に
は戻り用リミットスイッチLSが配置される。そして、
固定機枠50aの後端部には、後記するケーシング10
0から延出する支軸101が固定されている。
【0041】畦間作業車H’は台車110と、該台車1
10に搭載される走行用のエンジンEと、該エンジンE
により走行駆動されるキャタピラ111とを有する。台
車110の一側部には畦間作業車H’の走行方向と同じ
方向に延びるレール112が設置され、該レール112
には、図示しない制御機構により畦間作業車H’の走行
方向と同じ方向(矢印ロ)に往復動するように制御され
るケーシング100が搭載される。さらに、該ケーシン
グ100には前記図示しない制御機構によりケーシング
100の移動方向と直交する方向(矢印ハ)に往復動す
るように前記支軸101が取り付けられている。なお、
図8において、M3は前記ケーシング100及び支軸1
01の駆動源となるモータである。
【0042】次に、この畦間作業車H’による切り欠き
装置の作動について説明する。畦間作業車H’は、進行
方向の前方位置にケーシング100を位置させた状態
で、立条するタバコ幹群と平行に走行する。図示しない
センサがガイド桿14、45のほぼ中心位置と立状する
タバコ幹S位置とが一致したことを検出すると、制御機
構が作動して支軸101をタバコ幹Sに向けて前進させ
る。それにより、ガイド桿14、45がタバコ幹Sを挟
み込んだ姿勢で第1と第2の回転刃10、20はタバコ
幹Sに向けて前進していき、タバコ幹Sには、図7の装
置において説明したと同様にして、2本の切り欠き溝
A、Bが切り込まれる。タバコ幹Sが回転刃間を通過す
ると戻り用リミットスイッチLSにタバコ幹Sが接触
し、戻り用リミットスイッチLS押され、それにより、
支軸101がケーシング100側に戻り回転刃10、2
0はタバコ幹Sから外れる。その間、畦間作業車H’は
前進走行するが、制御機構により、ケーシング100自
体をレール112に沿って、畦間作業車H’の同じ速度
で後退させることにより、回転刃10、20の前進及び
後退移動はスムースに行われる。ガイド桿14、45の
先端がタバコ幹Sから離脱した時点で、制御機構はケー
シング100を初期の位置に早戻しさせる。
【0043】以下、同じ作動を反復することにより、立
状する一畦分のタバコ幹への切り欠き溝の形成作業は終
了する。この畦間作業車H’において、図8に示すよう
に、固定側の回転刃10を進行方向下流側に配置し、移
動側の回転刃20を進行方向上流側に配置しておくこと
により、ケーシング100の往復移動のための制御機構
をより簡素化することができる。すなわち、ケーシング
100の制御機構として、ケーシング100の反進行方
向への移動のための制御機構を省略し、進行方向側への
早戻り制御のみを持つものを用いることができる。この
場合には、ガイド桿14、45の間にタバコ幹Sが挟持
されている状態では、ケーシング100全体がレール上
をタバコ幹Sにより生じる抵抗によって、反進行方向に
自然に後進する。そして、前記リミットスイッチLSの
作動により、支軸101が後退してガイド桿14、45
とタバコ幹Sとの係合が離脱した時点で、制御機構はケ
ーシング100全体を初期の位置は早戻しさせる。
【0044】さらに、そのようなセンサーや制御機構を
用いずに、ガイド桿14、45のほぼ中心位置と立状す
るタバコ幹S位置とが一致したときに、運転者は畦間作
業車H’を停止させると同時に、支軸101を前進させ
るスイッチをオンとし、一回の切り欠き溝が形成された
時点で、再度畦間作業車H’を前進させるような運転態
様であってもよい。
【0045】本発明による上記の切り欠き装置におい
て、図4〜図5に示した装置から、前記した下部支持板
22bに設けたガイド板32、該ガイド板32に形成し
た透孔32a、32aを通過する調節用ボルト33、3
3等からなる、上部支持板22aに対して下部支持板2
2bを位置決めするための手段を除去してもよい。この
場合には、第1の係止具31、31と第2の係止具3
4、34との間に介装されるスプリング35、35は、
切り欠き装置が非作動の状態では付勢力を生じず、切り
欠き溝作業時に、タバコ幹Sの径の変化により、ガイド
桿45が押圧されて外側に移動した際に、初めて引張り
方向の付勢力が発生するようにされる。この場合であっ
ても、タバコ幹Sの径の変化に応じて切り欠き溝の深さ
を変化させることができることは説明するまでもなく明
らかであろう。
【0046】また、特に図示しないが、作業中にタバコ
葉が回転刃部分に入り込み切断されるのを防ぐために、
第1と第2のガイド桿14、45に沿って、タバコ幹の
通過部分を除いた部分に上方からカバーを取り付けるよ
うにしてもよい。
【0047】
【発明の効果】本発明によるタバコ幹の幹刈り収穫方法
によれば、立状状態でタバコ葉を萎凋させることができ
るために、タバコ幹の収容時あるいは積層梱包時等にタ
バコ葉に折損や破損が生じるのを回避することができ、
さらに、日焼け等による品質低下葉の生出率も低減でき
る。それによって、幹刈り収穫での収率を大きく改善す
ることができる。
【0048】また、本発明によるタバコ幹への切り欠き
溝形成装置を用いることにより、畦に立状状態にある列
状のタバコ幹群に対して連続して切り欠き溝を形成して
いくことが可能となり、上記の幹刈り収穫方法の実施を
容易かつ確実化する。
【図面の簡単な説明】
【図1】畦に立状するタバコ幹の下部に切り欠き溝を付
けて、立状状態で上部のタバコ葉を萎凋させた状態を示
す概略図。
【図2】切り欠き溝部を拡大して示す説明図。
【図3】萎凋したタバコ葉を持つタバコ幹が倒伏する状
態を説明する図。
【図4】本発明によるタバコ幹の幹刈り収穫方法に有効
に用いられるタバコ幹への切り欠き溝形成装置の切り欠
き装置部の一例を示す平面図。
【図5】図4に示す装置の正面図。
【図6】図4に示す装置の側面図。
【図7】切り欠き装置を装着した切り欠き溝形成装置の
一例を示す斜視図。
【図8】切り欠き溝形成装置の他の例を示す斜視図。
【符号の説明】
S…タバコ幹、L…タバコ葉(生の状態)、La…タバ
コ葉(萎凋した状態)、A、B…切り欠き溝、U…畦、
C…切り欠き溝の交差、D…切り欠き溝の上下間隔、Z
…タバコ幹の中心軸線、10…第1の回転刃、20…第
2の回転刃、11…第1の支軸、21…第2の支軸、1
4…第1のガイド桿、45…第2のガイド桿

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 畦に立状するタバコ幹の下部に斜めもし
    くは横方向の切り欠き溝を付け、タバコ幹が立状状態で
    上部のタバコ葉を萎凋させ、萎凋後に該切り欠き溝位置
    より上部のタバコ幹を収容することを特徴とするタバコ
    幹の幹刈り収穫方法。
  2. 【請求項2】 前記切り欠き溝の深さはタバコ幹断面の
    ほぼ1/2以上とされることを特徴とする請求項1記載
    のタバコ幹の幹刈り収穫方法。
  3. 【請求項3】 前記切り欠き溝はタバコ幹の軸線方向に
    間隔をおいてかつ互い違いに2個以上形成されることを
    特徴とする請求項1又は2記載のタバコ幹の幹刈り収穫
    方法。
  4. 【請求項4】 作業車側の機枠に取り付けられた第1と
    第2の支持桿と、該第1の支持桿に取り付けられた第1
    の回転刃と、第2の支持桿に取り付けられた第2の回転
    刃とを具備したタバコ幹への切り欠き溝形成装置であっ
    て、該第1の回転刃と第2の回転刃とは切り欠き溝を形
    成しようとするタバコ幹の直径よりも少ない幅だけ互い
    に交差した状態でかつ該タバコ幹の軸心方向に所定距離
    離間した状態で前記第1と第2の支持桿にそれぞれ取り
    付けられていることを特徴とするタバコ幹への切り欠き
    溝形成装置。
  5. 【請求項5】 第1の回転刃は第1の支持桿に回動のみ
    自在に取り付けられており、第2の回転刃は第2の支持
    桿に回動及び該切り欠き溝を形成しようとするタバコ幹
    の方向に接近離間できるように取り付けられていること
    を特徴とする請求項4記載のタバコ幹への切り欠き溝形
    成装置。
  6. 【請求項6】 第1の回転刃と第2の回転刃との間にタ
    バコ幹をカイドするための対をなすガイド桿が第1と第
    2の支持桿側にそれぞれ取り付けられており、該ガイド
    桿の先端は互いに広がる方向にかつ下方に向けて湾曲し
    ていることを特徴とする請求項4又は5記載の切り欠き
    溝形成装置。
  7. 【請求項7】 作業車は立状状態にあるタバコ幹列を跨
    いで通過することのできる門型支持機枠を有した作業車
    であり、該門型支持機枠の左右の縦柱に上下方向に移動
    固定自在に配置された取り付け部材に対して、前記第1
    と第2の支持桿がそれぞれ装着されていることを特徴と
    する請求項4ないし6いずれか記載のタバコ幹への切り
    欠き溝形成装置。
  8. 【請求項8】 作業車は畦間を立状状態にあるタバコ幹
    列に沿って走行可能な作業車であり、該作業車の台車に
    は作業車の進行方向と同じ方向に前進後退自在に制御装
    置が配置されており、該制御装置には作業車の進行方向
    に直交する方向に進退するように制御された支軸が取り
    付けられてり、該支軸の先端に前記第1と第2の支持桿
    が装着されていることを特徴する請求項4ないし6いず
    れか記載のタバコ幹への切り欠き溝形成装置。
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